JP2008086990A - 塗布方法および塗布装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂フィルムの製造工程中において、比較的高粘度の塗液を、装置構成が単純で操作および保守が簡易なロッドコート法によって塗布することが可能な、塗布方法および塗布装置を提供する。
【解決手段】樹脂フィルムの上面側に配置した塗工ロッドを、該塗工ロッドの長手方向に間欠的に配置した複数対のローラを有する支持体で外接支持しながら前記樹脂フィルムに押し付けて前記樹脂フィルムと略同速かつ順方向に回転させると共に、前記塗工ロッドの下流側かつテンターの上流側に配置したガイドロールまたは第2塗工ロッドで前記樹脂フィルムの下面を支持し、前記樹脂フィルムの上面に連続的に計量供給される前記塗液を前記塗工ロッドで平滑化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗布方法および塗布装置に関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルムは、タッチパネルや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの光学用部材のベースフィルムとして広く使用されるようになってきた。樹脂フィルムを用いた光学用部材の1つに、ディスプレイの前面に装着されるハードコートフィルムがある。ハードコートフィルムは、樹脂フィルムの片面に耐擦傷性や耐摩耗性などの特性を備えるハードコート膜を積層して用いている。これらの特性を備えるハードコート膜は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂などで構成され、膜厚は1〜15μmが好ましいとされている。
従来、ハードコート膜の積層方法としては、活性線硬化型樹脂のモノマーあるいはオリゴマーを有機溶剤で希釈した塗液を、ダイコート法、ロッドコート法、ロールコート法、グラビアコート法などを用いて樹脂フィルムの表面に塗布し、乾燥オーブンで有機溶剤を蒸発させた後、紫外線などの活性線を照射して硬化させる方法が一般的である。しかしながら前述した従来の方法は、有機溶剤を多量に用いるため、環境への負荷が大きいだけでなく、防爆設備を有する塗布・乾燥装置が必要であり製造コストが増大するという問題があった。
かかる問題に対し、特許文献1で開示されているように、樹脂フィルムの製造工程中においてアクリルオリゴマーと反応希釈剤を主成分とする塗液を塗布することで、耐擦傷性や耐摩耗性などの特性を発現するハードコートフィルムが発明された。かかる塗液は、防爆設備を有さない従来の樹脂フィルム製造装置中で塗布しても安全が確保される程度に有機溶剤の配合量を減らすことが可能であるため、環境への負荷を低減できると共に、従来樹脂フィルムの製造ラインとは別の塗布専用ラインで行っていた塗布工程(オフラインコーティングと呼ぶ)を必要としないためハードコートフィルムの製造コストを低減できる。しかしながら、従来の有機溶剤で希釈した塗液の粘度が1〜10mPa・s程度であるのに対して、有機溶剤の配合量を極力減らした塗液の粘度は200mPa・s以上となり、塗工性が著しく悪化するという問題を新たに生じた。
樹脂フィルムの製造工程中に塗液を塗布するいわゆるインラインコーティングは、一般に、塗液を塗布した後、テンターと呼ばれる装置のオーブンを利用して塗液を乾燥させる。テンターは樹脂フィルムの両端部をクリップにて把持し、樹脂フィルムの横延伸もしく同時二軸延伸を行う装置である。クリップは樹脂フィルムを間欠的に把持するため、樹脂フィルムに振動を生じる。その振動は塗工部まで伝播し、横段ムラと呼ばれる塗布ムラを生じることが知られている(例えば、特許文献2)。
そのためインラインコーティングにはロッドコート法が広く用いられている。ロッドコート法としては、例えば特許文献3で開示されているように、塗工ロッドの長手方向に間欠的に配置した複数対のローラを有する支持体で外接支持しながら樹脂フィルムの下面に押し付けて、予め樹脂フィルムに供給した過剰量の塗液を塗工ロッドで掻き落とす(計量する)方法が知られている。このようなロッドコート法は、塗工ロッドの外周面に形成された溝の頂点が樹脂フィルムと接触しているため、樹脂フィルムの振動を抑えることができ横段ムラを生じ難い。ここで、「溝の頂点が樹脂フィルムと接触している」とは、基本的に溝の頂点が樹脂フィルムと直接接触している状態をいうが、現実には、塗液のごく薄い膜が溝の頂点と樹脂フィルムとの間に介在することもあるので、かかる状態も含んでいるものとする。
また、ロッドコート法は、装置構成が単純で、操作および保守が簡易で、比較的高速に塗布できる等の特徴を有するためインラインコーティングに用いて好適である。しかし、ロッドコート法を用いて好適な塗液の粘度範囲は通常100mPa・s以下である(例えば、非特許文献1)。
本発明者らの知見によると、ロッドコート法において高粘度の塗液を塗布することが困難である理由の1つは、高粘度の塗液は流動性が低いため、塗工ロッドで掻き落とした塗液を回収し、循環して使用することが難しいためである。仮に吸引等の手段によって回収しても、塗液中に入り込んだ気泡や異物を除去するために、特別な装置や処理時間が必要になり、生産性が低下してしまう。塗液を循環することなく塗布するロッドコート法としては、例えば特許文献4で開示されているように、塗工ロッドの支持体から塗液を供給し、塗工ロッドによってピックアップされる塗液量と樹脂フィルムに塗布される塗液量とを等しくする方法が知られている。しかしこの方法においても、塗液の粘度は100mPa・s以下が好ましい。塗液の粘度が高い場合には、塗工ロッドによって支持体から塗液をピックアップする際に塗液がスジ状になり、塗工ロッドと樹脂フィルムとの接触部の直前に形成される液だまりが樹脂フィルムの幅方向に不均一となるため、塗布スジと呼ばれる塗布欠点を生じやすいのである。
塗液を循環することなく、かつ、塗工ロッドと樹脂フィルムとの接触部の直前に形成される液だまりが均一となるように塗布するロッドコート法としては、例えば特許文献5で開示されているように、塗工ロッドの近傍に配置したダイによって樹脂フィルムの上面に塗液を供給する方法が知られている。本発明者らの知見によると、この方法であれば、塗工ロッドと樹脂フィルムとの接触部の直前に形成される液だまりは、重力の作用によって広がるために、塗液が高粘度であっても樹脂フィルムの幅方向に均一となりやすい。しかし、塗液が塗工ロッドと樹脂フィルムに囲まれた空間(即ち塗工ロッドの外周面に形成された溝の部分)を通過する際、塗液に生じる圧力は塗液の粘度に比例するため、粘度が高い場合には塗工ロッドと樹脂フィルムの間に高い圧力がかかる。従来のインラインコーティングでは、塗布後の樹脂フィルムはテンターのクリップで両端部のみを把持されるため、樹脂フィルムは幅方向に撓み易い。従って塗液の粘度が高い場合には、塗液の圧力によって樹脂フィルムの中央部で塗工ロッドと樹脂フィルムが離間し、塗布厚みが所望よりも厚くなったり、樹脂フィルムの幅方向に塗布厚みムラを生じるなどの問題がある。
樹脂フィルムの幅方向の撓みを防止する手段としては、塗工ロッドで樹脂フィルムの下面に塗液を塗布する際に、塗工ロッドの前後に配置したガイドロールで樹脂フィルムの上面を押圧し、塗工ロッドに対する樹脂フィルムの巻き付け角を一定とする方法が知られている(例えば、特許文献6、特許文献7)。しかし、この場合も樹脂フィルムの下面に塗布するため、前述の塗液回収の問題および塗液を塗工ロッドでピックアップする際に生じるスジの問題により、塗液の粘度は100mPa・s以下が好ましい。また、樹脂フィルムの両面に、同時に塗液を塗布することができない。
一方、粘度200mPa・s以上の塗液を塗布するのに好適な塗布方式としては、ダイコート法、ロールコート法、グラビアコート法などが知られている。これらの塗布方式は塗工具(ダイ、塗工ロール、グラビアロール)と樹脂フィルムを非接触状態に保ち、塗工具と樹脂フィルムとの間隙に保持した塗液を塗布するものである。従って、これらの塗布方式をインラインコーティングに適用すると、前述したテンターに起因する樹脂フィルムの振動によって、塗工具と樹脂フィルムとの間隙に保持した塗液が振動し横段ムラを生じ易い。また、ロッドコート法に比べ装置構成が複雑になるため、操作および保守が煩雑となる。
特開2005−041205号公報 特開2004−174410号公報 特開2001−276713号公報 特許第1169863号公報 特許第2805177号公報 特開2000−107661号公報 特開2004−113963号公報 原崎勇次著、「コーティング方式」、日本、槇書店、1979年10月30日発行、56p.
本発明の課題は、上記のような問題の発生を防止し、樹脂フィルムの製造工程中において、樹脂フィルムの片面に耐擦傷性や耐摩耗性などの特性を備えるハードコート膜を積層することと、必要に応じてハードコート膜の反対面に易滑性や易接着性などの特性を備える機能膜を積層可能にすることである。そして、装置構成が単純で、操作および保守が簡易で、横段ムラを生じ難いロッドコート法によって塗布することが可能な、塗布方法および塗布装置を提供することにある。また、樹脂フィルムの製造工程中において、樹脂フィルムの片面に比較的高粘度の塗液を塗布すると同時に、その反対面に低粘度の塗液を塗布することが可能であり、装置構成が単純で操作および保守が簡易な塗布方法および塗布装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、樹脂フィルムの製造工程中で、走行する前記樹脂フィルムの上面に第1塗工ロッドを用いて塗液を塗布したのち、テンター内で前記塗液を乾燥および/または硬化する塗布方法において、前記樹脂フィルムの上面側に配置した前記第1塗工ロッドを、該第1塗工ロッドの長手方向に間欠的に配置した複数対のローラを有する支持体で外接支持しながら前記樹脂フィルムに押し付けて前記樹脂フィルムと略同速かつ順方向に回転させると共に、前記第1塗工ロッドの下流側かつテンターの上流側に配置したガイドロールで前記樹脂フィルムの下面を支持し、前記樹脂フィルムの上面に連続的に計量供給される前記塗液を前記第1塗工ロッドで平滑化することを特徴とする塗布方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記樹脂フィルムの幅がW、前記第1塗工ロッドの直径がDc、前記ガイドロールの直径がDgである場合に、前記第1塗工ロッドと前記ガイドロールの軸中心間距離をDc+Dg以上W/2以下とすることを特徴とする塗布方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記樹脂フィルムの上面に供給される前記塗液として粘度が200〜2000mPa・sの塗液を用いることを特徴とする塗布方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、押出機によりポリマーを押し出し、該ポリマーをシート状に成形して前記樹脂フィルムとなし、上記の塗布方法を用いて、前記塗液を前記樹脂フィルムに塗布し、塗膜を形成する、塗膜つき樹脂フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記樹脂フィルムの下面に塗液を塗布し、前記ガイドロールとして第2塗工ロッドを用いることにより、前記樹脂フィルムの下面に過剰量供給される塗液を前記第2塗工ロッドで計量することを特徴とする塗布方法が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、樹脂フィルムの製造工程中で、走行する前記樹脂フィルムの両面に第1および第2の塗工ロッドを用いて塗液を塗布したのち、テンター内で前記塗液を乾燥および/または硬化する塗布方法において、前記樹脂フィルムの上面側に配置した前記第1塗工ロッドを、その長手方向に間欠的に配置した複数対のローラを有する支持体で外接支持しながら前記樹脂フィルムに押し付けて前記樹脂フィルムと略同速かつ順方向に回転させると共に、前記第1塗工ロッドの下流側かつテンターの上流側にあって前記樹脂フィルムの下面側に配置した前記第2塗工ロッドを、その長手方向に間欠的に配置した複数対のローラを有する支持体で外接支持しながら前記樹脂フィルムに押し付けて前記樹脂フィルムと略同速度かつ順方向に回転させ、前記樹脂フィルムの上面に連続的に計量供給される第1塗液を前記第1塗工ロッドで平滑化すると同時に、前記樹脂フィルムの下面に過剰量供給される第2塗液を前記第2塗工ロッドで計量することを特徴とする塗布方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記樹脂フィルムの幅がW、前記第1塗工ロッドの直径がDc、前記第2塗工ロッドの直径がD2である場合に、前記第1塗工ロッドと前記第2塗工ロッドの軸中心間距離をDc+D2以上W/2以下とすることを特徴とする塗布方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記樹脂フィルムの上面に供給される前記第1塗液として粘度が200〜2000mPa・sの塗液を用い、前記樹脂フィルムの下面に供給される前記第2塗液として粘度が1〜50mPa・sの塗液を用いることを特徴とする塗布方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、押出機によりポリマーを押し出し、該ポリマーをシート状に成形して前記樹脂フィルムとなし、上記の塗布方法を用いて、塗液を前記樹脂フィルムに塗布し、塗膜を形成する、塗膜つき樹脂フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、樹脂フィルムの製造工程中に配置され、走行する前記樹脂フィルムの上面に第1塗工ロッドを用いて塗液を塗布する塗布装置であって、前記樹脂フィルムの上面側に配置した前記第1塗工ロッドと、複数対のローラからなり前記第1塗工ロッドを回転自在に外接支持する支持体を前記第1塗工ロッドの長手方向に間欠的に複数配置した支持手段と、前記支持手段で支持した前記第1塗工ロッドを前記樹脂フィルムに押し付ける押し付け手段と、前記第1塗工ロッドの下流側かつ前記樹脂フィルムの下面側に配置したガイドロールと、前記樹脂フィルムの上面に塗液を連続的に供給する塗液供給手段とを有することを特徴とする塗布装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記樹脂フィルムの幅がW、前記第1塗工ロッドの直径がDc、前記ガイドロールの直径がDgである場合に、前記第1塗工ロッドと前記ガイドロールの軸中心間距離をDc+Dg以上W/2以下とすることを特徴とする塗布装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記樹脂フィルムの下面にも塗液を塗布する塗布装置であって、前記ガイドロールが第2塗工ロッドであり、前記樹脂フィルムの下面に塗液を連続的に供給する塗液供給手段を有することを特徴とする塗布装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、樹脂フィルムの製造工程中に配置され、走行する前記樹脂フィルムの両面に第1および第2の塗工ロッドを用いて塗液を塗布する塗布装置であって、前記樹脂フィルムの上面側に配置した前記第1塗工ロッドと、複数対のローラからなり前記第1塗工ロッドを回転自在に外接支持する支持体を前記第1塗工ロッドの長手方向に間欠的に複数配置した支持手段と、前記支持手段で支持した前記第1塗工ロッドを前記樹脂フィルムに押し付ける押し付け手段と、前記第1塗工ロッドの下流側かつ前記樹脂フィルムの下面側に配置した前記第2塗工ロッドと、複数対のローラからなり前記第2塗工ロッドを回転自在に外接支持する支持体を前記第2塗工ロッドの長手方向に間欠的に複数配置した第2支持手段と、前記樹脂フィルムの上面に第1塗液を連続的に供給する第1塗液供給手段と、前記樹脂フィルムの下面に第2塗液を連続的に供給する第2塗液供給手段とを有することを特徴とする塗布装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記樹脂フィルムの幅がW、前記第1塗工ロッドの直径がDc、前記第2塗工ロッドの直径がD2である場合に、前記第1塗工ロッドと前記第2塗工ロッドの軸中心間距離をDc+D2以上W/2以下とすることを特徴とする塗布装置が提供される。
本発明における樹脂フィルムとしては、溶融製膜もしくは溶液製膜が可能な樹脂フィルムが好適に用いられる。その具体例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、アセテート、ポリカーボネート、アクリル系樹脂などからなるフィルムを挙げることができる。これらの内、特に透明性、機械的強度、寸法安定性などに優れた熱可塑性樹脂からなるフィルムが好ましい。画像表示装置の光学用部材のベースフィルムとして用いるためには、光線透過率が高く、ヘイズ値が低いことが好ましいため、ポリエステル、アセテートおよびアクリル系樹脂より選ばれた少なくとも1種からなるフィルムが好ましい。透明性、ヘイズ値、機械特性の点から、特にポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
また、本発明における樹脂フィルムは、単層のフィルムであっても良いし、2層以上の積層構造の複合体フィルムであっても良い。また、上記複合体フィルムは、内層部と表層部を構成する樹脂が、化学的に異種の樹脂であっても同種の樹脂であっても良い。
本発明において、「樹脂フィルムと略同速に回転させる」とは、第1塗工ロッドの周速とフィルムの走行速度との速度差を±10%以下で回転させることをいう。また、速度差はより小さい方がよく、±5%以下で回転させることが好ましい。さらに好ましくは速度差を±1%以下で回転させることが好ましい。積極的に第1塗工ロッドを駆動させてフィルム走行速度と同期させても良いし、また、装置構成を単純化し操作を簡易にするために第1塗工ロッドをフィルムに従動回転させて略同速で回転させても良い。第2塗工ロッドについても同様である。
また、本発明において、「第1塗工ロッドで平滑化する」とは、予め計量して供給した塗液を第1塗工ロッドで平らにすることをいい、「第2塗工ロッドで計量する」とは、過剰に供給した塗液の過剰分を第2塗工ロッドで掻き落とすことをいう。
また、本発明において、「樹脂フィルムの下面に過剰量供給される」とは、前記第2塗工ロッドで計量後に前記樹脂フィルム上に塗布されている前記第2塗液の量に対して多く供給されることをいう。
本発明において、塗液の粘度は、レオメータ(レオテック社製 RC20)を用いて、JIS Z8803の規格に従い測定する。その際、測定条件である塗液の温度および剪断速度は、実際の塗布部における塗液の温度および剪断速度を用いるのが理想ではあるが、塗布部における塗液の温度および剪断速度を正確に知ることは難しい。そこで、塗液の温度については、液だまり中央部の温度を放射温度計で測定して、塗布部の温度に近い温度を使用すれば良い。剪断速度については、本発明においては塗工ロッドが樹脂フィルムと略同速かつ順転するため、剪断速度は非常に小さい。従って、1〜50/sの剪断速度を用いれば良く、代表値として10/sの剪断速度を用いて差し支えない。
本発明に係る塗布方法および塗布装置によれば、装置構成が単純で操作および保守が簡易なロッドコート法によって、走行する樹脂フィルムの上面に従来に比べ高粘度の塗液を塗布できる。インラインコーティングにおいて横段ムラを生じることなく高粘度の塗液を塗布できるようになるため、従来は有機溶剤で希釈して低粘度化していた塗液を、有機溶剤で希釈しない塗液に置き換えることが可能となり、環境への負荷を低減できる。さらに、従来は有機溶剤を使用するため防爆設備を有するオフラインコーティングで実施していた塗布工程の一部をインラインコーティングで実施可能になるため、製造コストを低減できる。また、本発明に係る別の塗布方法および塗布装置によれば、走行する樹脂フィルムの上面に従来に比べ高粘度の塗液を塗布しながら、下面に従来と同程度の低粘度塗液を同時に塗布することが可能となる。
本発明における樹脂フィルムの製造工程としては、溶融製膜もしくは溶液製膜によってシート状に成形したのち二軸延伸する製造工程が好ましい。二軸延伸方法は逐次二軸延伸もしくは同時二軸延伸が好ましく、逐次二軸延伸における横延伸工程と同時二軸延伸における縦横延伸工程にはテンターを用いる。本発明の塗布方法および塗布装置を用いる位置は、逐次二軸延伸の場合は縦延伸工程と横延伸工程の間、同時二軸延伸の場合はキャスト工程と縦横延伸工程の間であり、塗布した塗液をテンターのオーブンで乾燥および/または硬化させるためテンターの直前であることが好ましい。
樹脂フィルムの製造工程中に塗液を塗布する際の装置構成を図7および図8を用いて説明する。図7は逐次二軸延伸法による樹脂フィルムの製造工程の一形態を示しており、図8は図7の工程中において樹脂フィルムに塗液を塗布する際の装置構成を示している。逐次二軸延伸法による樹脂フィルムの製造工程は、図7に示すように、押出機91、口金92、キャストドラム93、縦延伸機94、横延伸機95、巻取りロール96からなり、ポリマーを押出機91で溶融して押し出し、口金92からシート状に吐出し、キャストドラム93で冷却固化して得られる未延伸フィルムを、縦延伸機94で長手方向に延伸して一軸延伸フィルムとし、該一軸延伸フィルムを横延伸機95で幅方向に延伸して二軸延伸フィルムとし、該二軸延伸フィルムを巻取りロール96によって連続的に巻き取るものである。該工程中において樹脂フィルムに塗液を塗布する際は、図8に示すように、縦延伸機94と横延伸機95の間に塗布装置97を設置し、一軸延伸された樹脂フィルムに塗布を行なう。ここでは逐次二軸延伸法における例を示したが、同時二軸延伸法において同時二軸延伸機の前に本塗布装置を設置しても良い。
本発明における樹脂フィルムの走行速度は、速すぎると塗布スジが発生しやすくなり、遅すぎると走行速度に変動を生じやすくなるため、塗液を塗布する位置において5〜100m/分が好ましく、10〜60m/分がより好ましい。
本発明で用いる樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、光学用部材のベースフィルムとして用いる場合には機械的強度やハンドリング性などの点から、二軸延伸後の厚みは10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。
本発明における樹脂フィルムの走行方向にかける単位幅当たりの張力は、3000N/m以上10000N/m以下であることが好ましい。一般に、逐次二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造装置においては、縦延伸機と横延伸機の間にかかる張力は10000N/m以下で設計されているため、設計上の上限値を超えない範囲とする。また、張力を3000N/mより小さくすると、樹脂フィルムの走行が不安定となることがある。
本発明を更に図面を参照して説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態の塗布装置の側面図である。図3は本発明の第1の実施形態の樹脂フィルムの上面側に配置される塗工ロッドおよび支持手段の正面図である。
第1塗工ロッドたる塗工ロッド11は、例えば、平滑な丸棒の外周面にワイヤーを巻いて溝を形成したワイヤーロッドや、平滑な丸棒の外周面に転造加工で溝を形成した転造ロッドなどを用いることができる。塗工ロッド11の材質はステンレスが好ましく、特にSUS304またはSUS316が好ましい。塗工ロッド11の表面にはハードクロムメッキなどの表面処理を施してもよい。塗工ロッド11の直径は5〜40mmが好ましく、10〜30mmがより好ましい。塗工ロッド11の回転は、樹脂フィルム1へ傷が入るのを防止するため、樹脂フィルム1と略同速かつ順方向に回転させる。
塗液14の塗布量は、塗布直後の湿潤状態において2〜100g/mが好ましく、4〜50g/mがより好ましい。塗布量は従来のロッドコート法と同様に塗工ロッド11に形成された溝の大きさによって調節できる。溝の大きさは、塗工ロッド11がワイヤーロッドの場合は巻き付けるワイヤーの線径を変更し、塗工ロッド11が転造ロッドの場合は溝深さおよび/または溝ピッチの異なるダイスで転造加工することで変更できる。
樹脂フィルム1の上面に塗液14を連続的に計量供給する塗液供給手段33は、タンク15、ポンプ16、フィルタ17、吐出口金18で構成される。これ以外に、塗液14の温度調節手段や脱泡手段などを具備しても良い。ポンプ16によって樹脂フィルム1の上面に計量供給された塗液14は、塗工ロッド11と樹脂フィルム1の接触部の上流側に液だまりを形成し、塗工ロッド11によって平滑化される。塗液14の塗布幅は、ポンプ16の吐出量によって調節する。ポンプ16は、定量性および低脈動性が要求されるため、ダイヤフラムポンプまたはモーノポンプが好ましい。
図3に示すように、塗工ロッド11の支持体13は、複数対のローラ12で構成され、塗工ロッド11の長手方向に間欠的に複数配置される。高粘度の塗液14を塗工ロッド11で平滑化する場合には、塗工ロッド11と樹脂フィルム1の間に作用する塗液の圧力が大きくなるため、塗工ロッド11と樹脂フィルム1が離間しないように塗工ロッド11を樹脂フィルム1に強く押し付ける必要がある。従来の支持体としては、塗工ロッドの軸方向に延在するV字型溝や半円型溝に塗工ロッドをはめ込む構造のものが知られているが、塗工ロッド11の樹脂フィルム1への押し付け力を大きくすると、塗工ロッド11と支持体との摩擦抵抗が大きくなり、塗工ロッドの回転不良を生じるため好ましくない。本実施形態では塗工ロッド11を複数対のローラ12で構成された支持体13で周方向に回転自在に支持することにより、塗工ロッド11と支持体13との摩擦抵抗を小さくできるため、押し付け力が大きくても塗工ロッド11の回転不良を生じない。
ローラ12の直径は、8mm以上であることが汎用のベアリングを用いることができるため好ましく、塗工ロッド11の直径の2倍以下であることが配置スペースを確保できるため好ましい。ローラ12の幅は、3mm以上であることが汎用のベアリングを用いることができるため好ましく、塗工ロッド11の直径の2倍以下であることが塗工ロッド11とローラ12の片当たりを小さくできるため好ましい。また、塗工ロッド11の摩耗を軽減するため、ローラ12の表層には塗工ロッド11より硬度が低い材料を用いるのが好ましく、合成ゴムやエラストマを使用することが好ましい。ここで、エラストマとは、射出成形法、押出成形法、注型成型法、ブロー成形法、インフレーション成型法などにより溶融成形が可能なゴム状の弾性体樹脂をいう。エラストマとしては、ウレタンエラストマ、ポリエステルエラストマ、ポリアミドエラストマなどが好ましく、特に、耐摩耗性、機械的強度に優れた熱可塑性ポリウレタンエラストマを使用することが好ましい。ローラ12の表層に形成するエラストマの厚みは0.5〜6mmが好ましい。エラストマの硬度は60〜98A(JIS K6253の規格に従い測定)が好ましい。
図3に示すように、塗工ロッド11の支持手段31は、一対のローラ12を備える複数の支持体13と、塗工ロッド11の少なくとも一端において塗工ロッド11の周方向には回転自在とし軸方向および上下方向の動きを拘束するホルダー32とを有する。支持体13の配置間隔L1は、高粘度の塗液14を平滑化する際の塗工ロッド11の撓み量が10μm以下となるように配置するのが好ましい。撓み量は、樹脂フィルム1の走行方向にかかる張力と塗工ロッド11に対する樹脂フィルム1の巻き付け角度から算出される樹脂フィルム1の面外方向への反力を塗工ロッド11にかかる等分布加重とし、ローラ12を支持点とし、塗工ロッド11の断面二次モーメントおよびヤング率を用いて材料力学の式より求めればよい。塗工ロッド11にかかる荷重が算出できない場合は、およその目安として、支持体13の配置間隔L1を塗工ロッド11の直径の7〜15倍とするのが好ましい。塗工ロッド11の押し付け手段(図示せず)は、支持手段31を上下に移動し任意の位置で固定できるように構成する。具体的には、支持手段31をリニアガイドなどを用いて上下方向のみに移動可能となるように設置し、エアシリンダやオイルシリンダなどを用いて支持手段31をストッパーに押し付けて固定するように構成しても良いし、ボールネジなどを用いて支持手段31を任意の位置に移動し固定できるように構成しても良い。
塗工ロッド11の下流側かつテンター4の上流側には、樹脂フィルム1の全幅を下面側から支持するガイドロール19を設ける。前述したように、高粘度の塗液14を塗工ロッド11で平滑化する場合には、塗工ロッド11と樹脂フィルム1の間に作用する塗液の圧力が大きくなる。ガイドロール19を設けていない従来の方法では、塗工ロッド11の下流側の樹脂フィルム1はテンター4で両端のみが把持された状態であるため、樹脂フィルム1の走行方向にかかる張力は樹脂フィルム1の端部より中央部の方が小さくなる。そのため、塗工ロッド11と樹脂フィルム1の間に大きな圧力が作用すると、樹脂フィルム1の中央部が塗工ロッド11から離間してしまう。本実施形態では、塗工ロッド11の下流側かつテンター4の上流側にガイドロール19を設けることで、樹脂フィルム1の撓みが抑制され、高粘度の塗液14が塗布可能になる。ガイドロール19は、一般的な金属ロールを用いて好適であり、直径は100〜200mmが好ましい。
より好ましい態様として、塗工ロッド11とガイドロール19との軸中心間距離Laは、樹脂フィルム1の幅がW、塗工ロッド11の直径がDc、ガイドロール19の直径がDgである場合に、Dc+Dg以上W/2以下であることが好ましい。軸中心間距離LaがDc+Dgより小さいと、塗工ロッド11とガイドロール19とが干渉する可能性を生じる。軸中心間距離LaがW/2より大きいと、ガイドロール19による樹脂フィルム1の幅方向の撓みを抑制する効果が小さくなる。
より好ましい態様として、樹脂フィルム1の上面に供給する塗液14の粘度は200〜2000mPa・sであることが好ましい。塗液14の粘度が200mPa・sより小さくなると、塗工ロッド11と樹脂フィルム1の接触部の上流側に形成される液だまりの変動が大きくなり、塗布厚みにムラを生じたり、塗布幅が変動してクリップを汚染することがある。また、ロッドコート法においては、リブスジと呼ばれる塗布スジが発生することがある。リブスジは、通常、2mm以下の小さなピッチで塗布面全体に発生する。一般に、塗液の粘度が高いと発生しやすいが、塗布直後においてリブスジの発生が視認されても、塗液が乾燥または硬化するまでの間にレベリングして、品質上問題にならない程度まで低減することがある。本発明者らの知見によると、塗液14の粘度が2000mPa・s以下であれば、リブスジは品質上問題にならない程度までレベリングしやすい。また、ロッドコート法において塗工ロッドを樹脂フィルムと順方向に回転させる場合、塗工ロッドと樹脂フィルムが離れる部分に生じるメニスカスに気泡が混入し、泡スジと呼ばれる塗布スジが発生することがある。気泡の混入は、メニスカス内に存在する塗液流れの分岐点において、塗液の圧力が大気圧より低くなることに起因している。分岐点の圧力は、塗液の粘度が高いほど低下することが知られている。本発明者らの知見によると、塗液14の粘度が2000mPa・sより大きくなると泡スジの発生頻度が増加する。
塗工ロッド11に対する巻き付け角度θは、塗布面の状態を見ながら調整することが好ましい。巻き付け角度θは、小さすぎると塗液14を十分に平滑化できなくなり塗布厚みにムラを生じ、大きすぎると泡スジを生じる。本発明者らの知見によると、塗布面の状態が最も良好となる巻き付け角度θは3度以上10度以下の範囲内に存在する。巻き付け角度θは、図5に示すように、塗工ロッド11の軸に垂直な断面において、樹脂フィルム1が塗工ロッド11の外周に巻き付いている部分を塗工ロッド11の軸中心における角度で表したものである。従って、巻き付け角度θは、塗工ロッド11とガイドロール2との間のフィルムパスに相当する接線の水平からの傾きθ1と、塗工ロッド11とガイドロール19との間のフィルムパスに相当する接線の水平からの傾きθ2の和もしくは差として求めることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は本発明の第2の実施形態の塗布装置の側面図である。図4は本発明の第2の実施形態の樹脂フィルムの下面側に配置される塗工ロッドおよび支持手段の正面図である。前述した第1の実施形態と異なるのは、第1の実施形態におけるガイドロール19に代えて第2塗工ロッドたる塗工ロッド21を用いることで、樹脂フィルム1の上面に高粘度の第1塗液たる塗液14を塗布すると同時に、樹脂フィルム1の下面に低粘度の第2塗液たる塗液24を塗布するように構成したことである。この塗工ロッド21は、第1の実施形態におけるガイドロール19の役割を果たしつつ、しかも下面にも塗膜を形成するという機能を同時に果たすものである。第1塗工ロッドたる塗工ロッド11、支持手段31(ローラ12、支持体13、ホルダー32で構成)、第1塗液供給手段たる塗液供給手段33(タンク15、ポンプ16、フィルタ17、吐出口金18で構成)は、第1の実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。
塗工ロッド21は、塗工ロッド11の下流側かつテンター4の上流側であって、樹脂フィルム1の下面側に配置する。塗工ロッド21は、平滑な丸棒の外周面にワイヤーを巻いて溝を形成したワイヤーロッドや、平滑な丸棒の外周面に転造加工で溝を形成した転造ロッドなど、従来から知られている一般的なものを用いることができる。材質はステンレスが好ましく、特にSUS304またはSUS316が好ましい。塗工ロッド21の表面にはハードクロムメッキなどの表面処理を施してもよい。塗工ロッド21の直径は5〜40mmが好ましく、10〜30mmがより好ましい。塗工ロッド21の回転は、樹脂フィルム1へ傷が入るのを防止するため、樹脂フィルム1と略同速かつ順方向に回転させる。
塗液24の塗布量は、塗布直後の湿潤状態において2〜100g/mが好ましく、4〜50g/mがより好ましい。塗布量は従来のロッドコート法と同様に塗工ロッド21に形成された溝の大きさによって調節できる。溝の大きさは、塗工ロッド21がワイヤーロッドの場合は巻き付けるワイヤーの線径を変更し、塗工ロッド21が転造ロッドの場合は溝深さおよび/または溝ピッチの異なるダイスで転造加工することで変更できる。
樹脂フィルム1の下面に塗液24を連続的に過剰量供給する第2塗液供給手段たる塗液供給手段43は、タンク25、ポンプ26、フィルタ27、吐出口金28で構成される。これ以外に、塗液24の温度調節手段や脱泡手段などを具備しても良い。ポンプ26によって樹脂フィルム1の下面に過剰量供給された塗液24は、塗工ロッド21と樹脂フィルム1の接触部で、塗工ロッド21によって過剰分を掻き落とされる。塗液24の塗布幅は、吐出口金28の吐出幅によって調整する。ポンプ26は、ある程度の定量性および低脈動性が要求されるため、ギアポンプ、ダイヤフラムポンプ、モーノポンプが好ましい。
図4に示すように、塗工ロッド21の支持体23は、一対のローラ22で構成され、塗工ロッド21の長手方向に間欠的に複数配置される。塗工ロッド11を樹脂フィルム1に強く押し付けると、樹脂フィルム1を支持する塗工ロッド21も樹脂フィルム1に強く押し付けられる。そこで、塗工ロッド11と同様に、塗工ロッド21は一対のローラ22で構成された支持体23で周方向に回転自在に支持する。
ローラ22の直径は、8mm以上であることが汎用のベアリングを用いることができるため好ましく、塗工ロッド21の直径の2倍以下であることが配置スペースを確保できるため好ましい。ローラ22の幅は、3mm以上であることが汎用のベアリングを用いることができるため好ましく、塗工ロッド21の直径の2倍以下であることが塗工ロッド21とローラ22の片当たりを小さくできるため好ましい。ローラ22の表層に用いて好ましい材料とその厚みおよび硬度はローラ12と同様である。
塗工ロッド21の第2支持手段たる支持手段41は、一対のローラ22を備える複数の支持体23と、塗工ロッド21の少なくとも一端において塗工ロッド21の周方向には回転自在とし軸方向および上下方向の動きを拘束するホルダー42とを有する。支持体23の配置間隔L2は、塗工ロッド21の撓み量が10μm以下となるように配置するのが好ましい。撓み量は、樹脂フィルム1の走行方向にかかる張力と塗工ロッド21に対する樹脂フィルム1の巻き付け角度から算出される樹脂フィルム1の面外方向への反力を塗工ロッド21にかかる等分布加重とし、ローラ22を支持点とし、塗工ロッド21の断面二次モーメントおよびヤング率を用いて材料力学の式より求めればよい。塗工ロッド21にかかる荷重が算出できない場合は、およその目安として、支持体23の配置間隔L2を塗工ロッド21の直径の7〜15倍とするのが好ましい。
より好ましい態様として、塗工ロッド11と塗工ロッド21との軸中心間距離Lbは、樹脂フィルム1の幅がW、塗工ロッド11の直径がDc、塗工ロッド21の直径がD2である場合に、Dc+D2以上W/2以下であることが好ましい。理由は第1の実施形態と同様である。
樹脂フィルム1の下面に供給する塗液24の粘度は、従来の塗工ロッドと同様に低粘度であることが好ましく、特に1〜50mPa・sであることが好ましい。また、塗液24によって形成される膜は、樹脂フィルム1の搬送や巻き取りを容易にするための易滑性や、樹脂フィルム1を他部材と貼り合わせる際の密着性を向上するための易接着性などの特性を備えることが好ましい。これらの特性を発現する塗液としては、水分散性のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも一種を主たる成分とする水系塗液が好ましい。
巻き付け角度θは、第1の実施形態と同様であるが、θ2は塗工ロッド11と塗工ロッド21との間のフィルムパスに相当する接線の水平からの傾きとする。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は必ずしも以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
極限粘度(固有粘度ともいう)0.62dl/g(JIS K7367の規格に従い、25℃のo−クロロフェノール中で測定)のポリエチレンテレフタレート(以下PETと省略する)のチップを、180℃で十分に真空乾燥した後、押出機91に供給して285℃で溶融し、T字型口金92よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度23℃の鏡面キャストドラム93に巻き付けて冷却固化して未延伸フィルムとした。続いて縦延伸機において、この未延伸フィルムを、80℃に加熱したロール群で加熱し、さらに赤外線ヒータにて加熱しながら長手方向に3.2倍延伸し、50℃に調整した冷却ロールで冷却し、一軸延伸の樹脂フィルム1とした。樹脂フィルム1の幅Wは1600mmであった。続いて図1に示す塗布装置を用いて、速度25m/分で走行するこの樹脂フィルム1の上面に塗液14を塗布した。続いて横延伸機95において、塗液14が塗布された樹脂フィルム1の両端をテンター4のクリップ3で把持し、90℃のオーブン内に導いて加熱し、引き続き100℃のオーブン内で幅方向に3.7倍延伸し、さらに220℃のオーブン内で幅方向に5%弛緩処理しつつ塗液14の硬化およびフィルムの熱固定を行い、片面に塗液14の硬化膜を形成した二軸延伸フィルムを得た。縦延伸機94と横延伸機95の間の張力は、フィルムの走行方向にかかる単位幅当たりの張力が8000N/mとなるようにダンサーロールで制御した。
塗工ロッド11は、材質SUS316、直径Dc=16mm、幅1900mm、溝ピッチ250μm、溝深さ54μmの転造ロッド(オーエスジー株式会社製)とした。ローラ12は、直径17mm、幅16mmのアルミパイプ材の表面に、厚さ2.5mm、硬度90Aの熱可塑性ポリウレタンエラストマを接着して構成した。支持体13は、2個のローラ12を軸中心間距離24mmで水平に並べ、ローラ12が周方向に回転自在で軸方向と上下方向に拘束されるよう構成した。図3に示す支持手段31は、支持体13を長手方向に配置間隔L1=160mmで10個配置し、ホルダー32を塗工ロッド11の両端に配置し、塗工ロッド11が周方向に回転自在で軸方向と上下方向に拘束されるよう構成した。ガイドロール19は、表面にハードクロムメッキを施した金属ロールで、直径Dg=200mm、幅2200mmとした。塗工ロッド11とガイドロール19の軸中心間距離Laは800mm、すなわち樹脂フィルム1の幅Wの1/2とした。図5に示す塗工ロッド11に対するフィルム1の巻き付け角度θは、塗工ロッド11とガイドロール2の関係が(a)の状態、すなわち、塗工ロッド11の下面よりもガイドロール2の上面の位置が低い場合であり、θ1を4度、θ2を10度としたので、θ=θ2−θ1=6度であった。
塗液供給手段33は、タンク15、ポンプ16、フィルタ17、吐出口金18で構成した。ポンプ16はダイヤフラムポンプ(株式会社タクミナ製、脈動率±3.5%の範囲)を用い、吐出量を650g/分とした。吐出口金18はスリット間隙0.1mm、スリット幅1200mmのダイとした。これら塗液供給手段33は25℃に温度調節した。塗液14は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(商品名:カヤラッドDPHA、日本化薬株式会社製)63重量部(固形分重量比、以下同様)、メチル化メラミン樹脂(商品名:サイメル303、米国Cytec Industries Inc.製)21重量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:アロニックスM−350、東亞合成株式会社製)16重量部の混合液とした。この塗液14の粘度は、温度25℃、剪断速度10/sにおいて、2000mPa・sであった。
このとき、塗工ロッド11で平滑化直後の塗布幅は1400±20mmであり、塗布幅の変動は工程安定性の視点で許容できる範囲であった。塗工ロッド11で平滑化直後の塗布面を目視で観察すると、弱いリブスジは発生していたが、製品長さ3000mを採取する2時間の間に泡スジは発生しなかった。二軸延伸後の積層フィルム(塗液14の硬化膜+PETフィルム)の厚みは130±3μmであり、厚みムラの大きさは塗液14を塗布していない通常のPETフィルムと同等であった。この積層フィルムの外観を目視で観察した結果、リブスジは視認されない程度にレベリングしており、横段ムラも視認されなかった。従って、製品として出荷可能な品質レベルであった。
[比較例1]
実施例1における支持体13に代えて、図6に示す支持体63を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、片面に塗液14の硬化膜を形成した二軸延伸フィルムを得た。支持体63は、塗工ロッド11の軸方向に延在するV字型溝として構成し、材質は滑り性の良い“テフロン(登録商標)”とした。このとき、塗工ロッド11と支持体13の摩擦抵抗によって塗工ロッド11に回転不良を生じた。得られた積層フィルムの外観を目視で観察した結果、塗工ロッド11に回転不良に起因する横段ムラが視認され、製品としての品質を満たさず不良品となった。
[比較例2]
実施例1におけるガイドロール19を用いないこと以外は、実施例1と同様にして、片面に塗液14の硬化膜を形成した二軸延伸フィルムを得た。このとき、塗工ロッド11と樹脂フィルム1との接触部の直前には液だまりが十分に形成されておらず幅方向に不連続となった。塗工ロッド11で平滑化直後の塗布面には、多数の塗布スジが発生しており、部分的に塗液14が塗られていないところもあった。そこで、ポンプ16の吐出量を800g/分に増やしたが、塗布面の状態は改善しなかった。このことから、塗液14の圧力によって樹脂フィルム1が幅方向に撓み、塗工ロッド11と樹脂フィルム1が離間して、吐出口金18から供給した塗液14を塗工ロッド11で平滑化できていないことがわかった。そこで、塗工ロッド11に対するフィルム1の巻き付け角度θを10度にすると、塗布面の状態が若干改善した。しかし、これ以上巻き付け角度θを増加するのは、塗布装置への負荷が大きく、またクリップ3が樹脂フィルム1の端部を把持できなくなる可能性もあったため塗布の継続を断念した。
[実施例2]
実施例1における塗工ロッド11とガイドロール19の軸中心間距離Laを1200mm、すなわち樹脂フィルム1の幅Wの1/2より大きくした以外は、実施例1と同様にして、片面に塗液14の硬化膜を形成した二軸延伸フィルムを得た。このとき、塗工ロッド11と樹脂フィルム1との接触部の直前には液だまりが十分に形成されておらず幅方向に不連続となり、塗布面には多数の塗布スジが発生していた。
そこで、ポンプ16の吐出量を770g/分に増やしたところ、液だまりが十分に形成され、塗布スジが無くなった。このとき、塗工ロッド11で平滑化直後の塗布幅は1400±20mmであり、塗布幅の変動は工程安定性の視点で許容できる範囲であった。二軸延伸後の積層フィルム(塗液14の硬化膜+PETフィルム)の厚みは131±6μmであり、厚みムラの大きさは塗液14を塗布していない通常のPETフィルムより悪化した。厚みムラの原因は、フィルム中央部の塗膜厚みが端部に比べて厚いためであった。この積層フィルムの外観を目視で観察した結果、リブスジ、泡スジ、横段ムラは視認されなかった。従って、厚みムラの許容範囲が広い用途に限定すれば、製品として出荷可能な品質レベルであった。
[実施例3]
図2に示す塗布装置を用いて、樹脂フィルム1の上面に塗液14を塗布すると同時に、下面に塗液24を塗布した。実施例1におけるガイドロール19は用いず、代わりに塗工ロッド21で樹脂フィルム1の下面を支持した。第2塗工ロッド21は、材質SUS304、直径D2=19mm、幅1900mmの丸棒に、材質SUS304、直径0.1mmのワイヤー巻いて溝を形成したワイヤーロッド(加納商事株式会社製)とした。塗工ロッド11と第2塗工ロッド21の軸中心間距離Lbは100mmとした。ローラ22は、直径17mm、幅14mmのアルミパイプ材の表面に、厚さ2.5mm、硬度90Aの熱可塑性ポリウレタンエラストマを接着して構成した。支持体23は、2個のローラ22を軸中心間距離24mmで水平に並べ、ローラ22が周方向に回転自在で軸方向と上下方向に拘束されるよう構成した。図4に示す支持手段41は、支持体23を長手方向に配置間隔L2=200mmで8個配置し、ホルダー42を第2塗工ロッド21の両端に配置し、塗工ロッド21が周方向に回転自在で軸方向と上下方向に拘束されるよう構成した。第2塗液供給手段43は、タンク25、ポンプ26、フィルタ27、吐出口金28で構成した。ポンプ26はギアポンプを用い、吐出量を15kg/分とした。吐出口金28はスリット間隙0.3mm、スリット幅1300mmのファウンテンとした。塗工ロッド21で掻き落とした塗液24は、液受け29を介してタンク25に回収して再使用した。塗液24は、ポリエステル共重合体のエマルジョン(含有成分:テレフタル酸90モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸10モル%、エチレングリコール96モル%、ネオペンチルグリコール3モル%、ジエチレングリコール1モル%)100重量部に対し、メラミン系架橋剤(イミノ基型メチル化メラミンをイソプロピルアルコール10重量%と水90重量%の混合溶媒で希釈した液)を5重量部、平均粒径が0.1μmのコロイダルシリカ粒子を1重量部添加した混合液とした。この塗液24の粘度は、温度25℃、剪断速度10/sにおいて、2mPa・sであった。塗液24は、テンター4のオーブンで幅方向の延伸が開始するまでに乾燥させた。その他は実施例1と同様にして、片面に塗液14の硬化膜を形成し、その反対面に塗液24の乾燥膜を形成した二軸延伸フィルムを得た。
このとき、塗工ロッド11で平滑化直後の塗液14の塗布幅は1400±20mm、第2塗工ロッド21で計量直後の塗液24の塗布幅は1420±50mmであり、塗布幅の変動は工程安定性の視点で許容できる範囲であった。塗工ロッド11で平滑化直後の塗液14の塗布面を目視で観察すると、弱いリブスジは発生していたが、製品長さ3000mを採取する2時間の間に泡スジは発生しなかった。二軸延伸後の積層フィルム(塗液14の硬化膜+PETフィルム+塗液24の乾燥膜)の厚みは130±3μmであり、厚みムラの大きさは塗液24を片面に塗布しただけの通常のPETフィルムと同等であった。この積層フィルムの外観を目視で観察した結果、塗液14の塗布面においては、リブスジは視認されない程度にレベリングしており、横段ムラも視認されなかった。塗液24の塗布面においては、塗液24を片面に塗布しただけの通常のPETフィルムの塗布面と同等であった。従って、製品として出荷可能な品質レベルであった。
[実施例4]
塗液14の混合比率を、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(商品名:カヤラッドDPHA、日本化薬株式会社製)67重量部(固形分重量比、以下同様)、メチル化メラミン樹脂(商品名:サイメル303、米国Cytec Industries Inc.製)22重量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:アロニックスM−350、東亞合成株式会社製)11重量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、片面に塗液14の硬化膜を形成し、その反対面に塗液24の乾燥膜を形成した二軸延伸フィルムを得た。この塗液14の粘度は、温度25℃、剪断速度10/sにおいて、2500mPa・sであった。このとき、塗工ロッド11で平滑化直後の塗液14の塗布面を目視で観察すると、弱いリブスジが発生していた。また、製品長さ3000mを採取する2時間の間に泡スジが3回発生した。二軸延伸後の積層フィルムの外観を目視で観察した結果、塗液14の塗布面においては、リブスジは視認されない程度にレベリングしていた。また、横段ムラも視認されなかった。しかし、泡スジは視認された。従って、泡スジが発生した部分に不良部分として印を付ければ、製品として出荷可能な品質レベルであった。
[実施例5]
塗液14の供給手段を55℃に加熱したこと以外は、実施例3と同様にして、片面に塗液14の硬化膜を形成し、その反対面に塗液24の乾燥膜を形成した二軸延伸フィルムを得た。この塗液14の粘度は、温度55℃、剪断速度10/sにおいて、200mPa・sであった。このとき、塗工ロッド11で平滑化直後の塗液14の塗布面を目視で観察すると、リブスジは発生しておらず、製品長さ3000mを採取する2時間の間に泡スジも発生しなかった。二軸延伸後の積層フィルムの外観を目視で観察した結果、塗液14の塗布面においては、リブスジ、横段ムラとも視認されなかった。従って、製品として出荷可能な品質レベルであった。
[実施例6]
塗液14の供給手段を65℃に加熱したこと以外は、実施例3と同様にして、片面に塗液14の硬化膜を形成し、その反対面に塗液24の乾燥膜を形成した二軸延伸フィルムを得た。この塗液14の粘度は、温度65℃、剪断速度10/sにおいて、100mPa・sであった。このとき、塗工ロッド11と樹脂フィルム1との接触部の直前に形成された液だまりが変動した。塗工ロッド11で平滑化直後の塗液14の塗布面を目視で観察すると、リブスジは発生していなかったが、製品長さ3000mを採取する2時間の間に泡スジが5回発生した。二軸延伸後の積層フィルム(塗液14の硬化膜+PETフィルム+塗液24の乾燥膜)の厚みは130±4μmであり、厚みムラの大きさは塗液24を片面に塗布しただけの通常のPETフィルムより若干悪化した。この積層フィルムの外観を目視で観察した結果、塗液14の塗布面においては、リブスジ、横段ムラとも視認されなかったが、泡スジは視認された。従って、泡スジが発生した部分に不良部分として印を付けるとともに、厚みムラの許容範囲が広い用途に限定すれば、製品として出荷可能な品質レベルであった。
[まとめ]
上記の実施例および比較例の結果を表1にまとめて示す。実施例1〜6は、塗工ロッド11を複数対のローラ12を有する支持体13で外接支持すると共に、塗工ロッド11の下流側かつテンター4の上流側において樹脂フィルム1の下面を支持し、樹脂フィルム1の上面に塗液14を塗布することで、製品として出荷可能な品質レベルの積層フィルムを得ることができた。 また、実施例1に対し実施例2の厚みムラが大きいことから、塗工ロッド11とガイドロール19との軸中心間距離Laは、樹脂フィルム1の幅Wの半分以下であることがより好ましいといえる。ガイドロール19に代えて第2塗工ロッド21を用いても、樹脂フィルム1の下面を支持するという点で実質的に同じであるため、塗工ロッド11と第2塗工ロッド21との軸中心間距離Lbは、樹脂フィルム1の幅Wの半分以下であることがより好ましいといえる。
また、実施例3および実施例5に対して、実施例4および実施例6では泡スジが発生したことから、塗液14の粘度は200〜2000mPa・sであることがより好ましいと言える。
Figure 2008086990
本発明の第1の実施形態の塗布装置の側面図である。 本発明の第2の実施形態の塗布装置の側面図である。 本発明の第1の実施形態における樹脂フィルムの上面側に配置される塗工ロッドおよび支持手段の正面図である。 本発明の第2の実施形態における樹脂フィルムの下面側に配置される塗工ロッドおよび支持手段の正面図である。 巻き付け角度の求め方を示す概念図である。 塗工ロッドの支持体をV字型溝で構成した塗布装置の側面図である。 逐次二軸延伸法による樹脂フィルムの製造工程の一形態を示す概略図である。 図7の工程中において樹脂フィルムに塗液を塗布する際の装置構成を示す概略図である。
符号の説明
1 樹脂フィルム
2、19 ガイドロール
3 クリップ
4 テンター
11、21 塗工ロッド
12、22 ローラ
13、23 支持体
14、24 塗液
15、25 タンク
16、26 ポンプ
17、27 フィルタ
18、28 吐出口金
29 液受け
31、41 支持手段
32、42 ホルダー
33、43 塗液供給手段
63 V字型溝の支持体
L1、L2 支持体の配置間隔
La 塗工ロッド11とガイドロール19との軸中心間距離
Lb 塗工ロッド11と塗工ロッド21との軸中心間距離
θ 巻き付け角
θ1 塗工ロッド11とガイドロール2との間のフィルムパスに相当する接線の水平からの傾き
θ2 塗工ロッド11とガイドロール19もしくは塗工ロッド21との間のフィルムパスに相当する接線の水平からの傾き
W 樹脂フィルム1の幅
Dc 塗工ロッド11の直径
Dg ガイドロール19の直径
D2 塗工ロッド21の直径

Claims (14)

  1. 樹脂フィルムの製造工程中で、走行する前記樹脂フィルムの上面に第1塗工ロッドを用いて塗液を塗布したのち、テンター内で前記塗液を乾燥および/または硬化する塗布方法において、前記樹脂フィルムの上面側に配置した前記第1塗工ロッドを、該第1塗工ロッドの長手方向に間欠的に配置した複数対のローラを有する支持体で外接支持しながら前記樹脂フィルムに押し付けて前記樹脂フィルムと略同速かつ順方向に回転させると共に、前記第1塗工ロッドの下流側かつテンターの上流側に配置したガイドロールで前記樹脂フィルムの下面を支持し、前記樹脂フィルムの上面に連続的に計量供給される前記塗液を前記第1塗工ロッドで平滑化することを特徴とする塗布方法。
  2. 前記樹脂フィルムの幅がW、前記第1塗工ロッドの直径がDc、前記ガイドロールの直径がDgである場合に、前記第1塗工ロッドと前記ガイドロールの軸中心間距離をDc+Dg以上W/2以下とすることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
  3. 前記樹脂フィルムの上面に供給される前記塗液として粘度が200〜2000mPa・sの塗液を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布方法。
  4. 押出機によりポリマーを押し出し、該ポリマーをシート状に成形して前記樹脂フィルムとなし、請求項1〜3のいずれかに記載の塗布方法を用いて、前記塗液を前記樹脂フィルムに塗布し、塗膜を形成する、塗膜つき樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記樹脂フィルムの下面に塗液を塗布し、前記ガイドロールとして第2塗工ロッドを用いることにより、前記樹脂フィルムの下面に過剰量供給される塗液を前記第2塗工ロッドで計量することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗布方法。
  6. 樹脂フィルムの製造工程中で、走行する前記樹脂フィルムの両面に第1および第2の塗工ロッドを用いて塗液を塗布したのち、テンター内で前記塗液を乾燥および/または硬化する塗布方法において、前記樹脂フィルムの上面側に配置した前記第1塗工ロッドを、その長手方向に間欠的に配置した複数対のローラを有する支持体で外接支持しながら前記樹脂フィルムに押し付けて前記樹脂フィルムと略同速かつ順方向に回転させると共に、前記第1塗工ロッドの下流側かつテンターの上流側にあって前記樹脂フィルムの下面側に配置した前記第2塗工ロッドを、その長手方向に間欠的に配置した複数対のローラを有する支持体で外接支持しながら前記樹脂フィルムに押し付けて前記樹脂フィルムと略同速度かつ順方向に回転させ、前記樹脂フィルムの上面に連続的に計量供給される第1塗液を前記第1塗工ロッドで平滑化すると同時に、前記樹脂フィルムの下面に過剰量供給される第2塗液を前記第2塗工ロッドで計量することを特徴とする塗布方法。
  7. 前記樹脂フィルムの幅がW、前記第1塗工ロッドの直径がDc、前記第2塗工ロッドの直径がD2である場合に、前記第1塗工ロッドと前記第2塗工ロッドの軸中心間距離をDc+D2以上W/2以下とすることを特徴とする請求項5または6に記載の塗布方法。
  8. 前記樹脂フィルムの上面に供給される前記第1塗液として粘度が200〜2000mPa・sの塗液を用い、前記樹脂フィルムの下面に供給される前記第2塗液として粘度が1〜50mPa・sの塗液を用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の塗布方法。
  9. 押出機によりポリマーを押し出し、該ポリマーをシート状に成形して前記樹脂フィルムとなし、請求項5〜8のいずれかに記載の塗布方法を用いて、塗液を前記樹脂フィルムに塗布し、塗膜を形成する、塗膜つき樹脂フィルムの製造方法。
  10. 樹脂フィルムの製造工程中に配置され、走行する前記樹脂フィルムの上面に第1塗工ロッドを用いて塗液を塗布する塗布装置であって、前記樹脂フィルムの上面側に配置した前記第1塗工ロッドと、複数対のローラからなり前記第1塗工ロッドを回転自在に外接支持する支持体を前記第1塗工ロッドの長手方向に間欠的に複数配置した支持手段と、前記支持手段で支持した前記第1塗工ロッドを前記樹脂フィルムに押し付ける押し付け手段と、前記第1塗工ロッドの下流側かつ前記樹脂フィルムの下面側に配置したガイドロールと、前記樹脂フィルムの上面に塗液を連続的に供給する塗液供給手段とを有することを特徴とする塗布装置。
  11. 前記樹脂フィルムの幅がW、前記第1塗工ロッドの直径がDc、前記ガイドロールの直径がDgである場合に、前記第1塗工ロッドと前記ガイドロールの軸中心間距離をDc+Dg以上W/2以下とすることを特徴とする請求項10に記載の塗布装置。
  12. 前記樹脂フィルムの下面にも塗液を塗布する塗布装置であって、前記ガイドロールが第2塗工ロッドであり、前記樹脂フィルムの下面に塗液を連続的に供給する塗液供給手段を有することを特徴とする請求項10または11に記載の塗布装置。
  13. 樹脂フィルムの製造工程中に配置され、走行する前記樹脂フィルムの両面に第1および第2の塗工ロッドを用いて塗液を塗布する塗布装置であって、前記樹脂フィルムの上面側に配置した前記第1塗工ロッドと、複数対のローラからなり前記第1塗工ロッドを回転自在に外接支持する支持体を前記第1塗工ロッドの長手方向に間欠的に複数配置した支持手段と、前記支持手段で支持した前記第1塗工ロッドを前記樹脂フィルムに押し付ける押し付け手段と、前記第1塗工ロッドの下流側かつ前記樹脂フィルムの下面側に配置した前記第2塗工ロッドと、複数対のローラからなり前記第2塗工ロッドを回転自在に外接支持する支持体を前記第2塗工ロッドの長手方向に間欠的に複数配置した第2支持手段と、前記樹脂フィルムの上面に第1塗液を連続的に供給する第1塗液供給手段と、前記樹脂フィルムの下面に第2塗液を連続的に供給する第2塗液供給手段とを有することを特徴とする塗布装置。
  14. 前記樹脂フィルムの幅がW、前記第1塗工ロッドの直径がDc、前記第2塗工ロッドの直径がD2である場合に、前記第1塗工ロッドと前記第2塗工ロッドの軸中心間距離をDc+D2以上W/2以下とすることを特徴とする請求項12または13に記載の塗布装置。
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