JP2008086590A - 布ライクな高速吸収性複合体およびその製法 - Google Patents

布ライクな高速吸収性複合体およびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄型・軽量且つ形態安定性、加工特性に優れかつ、吸収速度の高い吸収性複合体を提供すること。
【解決手段】基材と粒子状の吸収性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体。
(1)基材が親水性繊維から構成されている、
(2)平面に対する吸収性樹脂の平均坪量が10〜150g/mである、
(3)50%以上の吸収性樹脂が基材と直接接着している、
(4)該吸収性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(5)該吸収性樹脂の平均粒径が10〜300μmである。
【選択図】なし

Description

本発明は薄型・軽量のシート状の吸収性複合体、及びその製造方法、及び該吸収性複合体を使用した体液吸収物品に関する。この吸収性複合体は、布のような感触と、優れた吸収速度、高拡散能力をもつ吸収性複合体であるため、特に紙おむつ、生理用ナプキン等の衛材分野で好適に使用することができる。また、形態安定性に優れるため、加工性にも優れる吸収性複合体に関する。
吸水性ポリマーは生理用品、おむつ等の衛生材、農業分野での保水剤、土壌改良剤、更には人工スキー場の人工雪、洗顔料のスクラブ剤等、広範な分野で利用されてきている。吸水性ポリマーは通常、粒子状であり成形、加工性に乏しく、使用条件も限られている。これらの用途のうち、生理用品、おむつ等の衛生材用に使用される場合、吸水速度が速く、また皮膚に接触させて使用するため柔軟であることが好ましい。また、加工性の観点からシート状であることが好ましい。
吸水性ポリマー粒子は、吸水後、表面に粘着性が生じ、ゲルブロッキング(ままこ現象)から粒子間の通液性が低下し、吸水速度が低下することが知られている。また一般に用いられる、アクリル酸あるいはアクリル酸アルカリ金属塩を架橋重合させて製造される吸
水性ポリマーの乾燥粒子は、硬く感触上好ましくない。
吸水性ポリマーの、吸水速度を増加させる方法として、モノマーを含む水相のO/W/Oエマルションを作り、重合することによって得られる多孔性吸水性ポリマー粒子がある(例えば特許文献1参照)。多孔化により、表面積を増すことで、1つの粒子の吸水速度は改善されるが、上記のゲルブロッキングは改善されないため、吸水速度は十分ではなかった。
また、ヒドロゲルを粒子間架橋によりシート化した多孔性吸収性高分子マクロ構造物がある(例えば特許文献2参照)。シート状のこのマクロ構造物は、粒子間の架橋により得られるシートであるため、シートとしての強度が低く、成型時また使用時に破れやすいという問題があった。
また、吸水性ポリマーを発泡性ポリウレタン樹脂中に担持させ、裁断することによって製造される高吸収性樹脂シートの製造方法もある(例えば特許文献3、4参照)。しかしながら、ポリウレタン発泡体が吸水性ポリマーの膨潤を阻害するため吸水量が十分でなく、また吸水にともない吸水性ポリマーがポリウレタン樹脂から脱落するため、使用時に感触が悪いという問題があった。
また、シリコーン化合物で被覆されてなる多孔質吸収性ポリマーのシート状組成物もある(例えば特許文献5参照)。しかしながら、吸収性ポリマーのシート状組成物は、液体を吸収したときに全方位に膨潤してしまう。特に衛生用品のように決められた面積で、厚み方向への吸収膨潤が求められる場合には不向きである。また、吸収性ポリマー内部での水の移動は早くないため、一部のみが液体と接触した際に、接触部位のみが膨潤しようとするが、硬い乾燥部分の影響で吸収速度が低下すると考えられる。
形態安定性と吸収方向の制御のために、支持担体に吸収性樹脂を固着する方法も検討されてきた。例えば、吸収体をエンボス処理する方法、熱可塑性のバインダー繊維を吸収性樹脂と親水性繊維からなる吸収体に含有させて吸収体を熱融着させる方法、歪みからの回復率の高い合成樹脂を吸収性樹脂と親水性繊維からなる吸収体に含有させて吸収体を熱融着させる方法(例えば、特許文献6および特許文献7参照。)、アニオン性基を有する吸収性樹脂の表面にカチオン性ポリマーをコーティングして、膨潤時に粒子どおしを接着固定化する方法(例えば、特許文献8および特許文献9参照。)、エマルションバインダーを用いて吸収性樹脂と親水性繊維を固定化する方法、ホットメルト接着剤を用いて吸収性樹脂を基材に固定化する方法(例えば、特許文献10および特許文献11参照。)等である。このような例においては、大量のバインダーを用いる必要があるため、そのバインダー力の拘束による吸収性樹脂の膨潤の規制という問題が発生する。とくに吸収性樹脂と親水性繊維等を、熱可塑性バインダーやエマルションで固定した場合には、本来吸収性樹脂が有する吸収能力が十分に発揮できないという問題がある。
バインダーを用いないで基材に吸収性樹脂を固定化する例もある。例えば、重合進行中の吸収性ポリマー粒子を繊維質基材に付着させ、繊維質基材上で重合を行う方法(たとえば特許文献12参照。)がある。この方法においては、ポリマー粒子中に繊維質基材が入り込んで硬く固着されるが、基材中で反応を完結させることは難しく、残存モノマーや残存架橋剤が多いと考えられる。起毛処理を施した不織布に、ある一定量以上の単量体水溶液を微細粒子状に担持させた後に重合し、熱圧縮している例(例えば特許文献13参照。)もある。この例においては吸収性樹脂の量が多いため、複合体としての吸収性能が高いし、不織布を使用しているため、パルプと比べ移動が起こりにくい。しかしながら、この例においても不織布中での重合になるため残存モノマーが問題となる。また、吸収性樹脂に再度未重合のモノマー水溶液を含浸させ、基材上に塗布し、含浸させたモノマーが重合することにより、吸収性樹脂と基材を接着させている例(例えば特許文献14参照。)もあるが、基材へ接着後に残存モノマーを完全に重合させることは困難であり、大量の残存モノマーが問題となる。同様に吸収性樹脂をスラリーとして、基材へ塗布している別の例(例えば特許文献15参照。)もある。この場合、スラリーとして塗布することで、確かに生産性はあがるが、分散媒体として高価なミクロフィブリル繊維を使用する必要があるし、接着力は十分ではないと考えられる。
以上のように、吸収速度が早く、形態安定性、加工性に優れた吸収体というのは得られていなかった。
特開昭62−106902号公報 特表平5−506681号公報 特開平1−282223号公報 特開平2−62208号公報 特開2003−301007号公報 特開平10−118114号公報 特開平10−118115号公報 特開平5−31362号公報 特開平6−370号公報 特開2000−238161号公報 特表平10−510447号公報 特開2003−11118号公報 特開2004−124303号公報 特開平11−137600号公報 特開平9−239912号公報
本発明の目的は、薄型・軽量且つ形態安定性、加工特性に優れかつ、吸収速度の高い吸収性複合体を提供することにある。特に、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生用品に好適に用いることが出来る吸収性複合体を提供することにある。
上記の課題を達成するために鋭意検討を行った結果、所定の平均粒径に調整された吸収性樹脂を特定量使用し、基材と複合化させることにより、樹脂の吸収速度が飛躍的に向上し、更には良好な触感を示すことを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下のような吸収性複合体および該吸収性複合体の製造方法、さらには該複合体を利用した体液吸収性物品である。
〔1〕基材と粒子状の吸収性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体。
(1)基材が親水性繊維から構成されている、
(2)平面に対する吸収性樹脂の平均坪量が10〜150g/mである、
(3)50%以上の吸収性樹脂が基材と直接接着している、
(4)該吸収性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(5)該吸収性樹脂の平均粒径が10〜300μmである。
〔2〕基材がセルロース系であることを特徴とする〔1〕記載の吸収性複合体。
〔3〕少なくとも1枚以上の基材の坪量が28〜100g/mであることを特徴とする〔1〕あるいは〔2〕に記載の吸収性複合体。
〔4〕複数枚の基材を使用した吸収性複合体であり、吸収性複合体の表面における樹脂の平均坪量が0〜20g/mであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の吸収性複合体。
〔5〕2枚の基材を使用し、基材間に配置された樹脂層によって基材同士が接着していることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の吸収性複合体。
〔6〕基材重量に対する吸収性樹脂重量の割合が、35〜300%であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の吸収性複合体。
〔7〕吸収性樹脂が、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であり、吸収性樹脂中の酸基のうち50%以上がアンモニウム塩の形で中和されていることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の吸収性複合体。
〔8〕吸収性樹脂が、ポリアクリル酸塩を主とした共重合体であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の吸収性複合体。
〔9〕吸収性樹脂にカルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上もった化合物が共存していることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の吸収性複合体。
〔10〕基材および/または吸収性樹脂を吸水させた後、該樹脂と基材を接触させ、その後脱水乾燥させることで製造することを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の吸収性複合体の製造方法。
〔11〕複数枚の含水状態の基材間に樹脂を配置し、密着させた後に脱水乾燥させることを特徴とする〔10〕記載の吸収性複合体の製造方法。
〔12〕透液性シート、不透液性シートおよび両者の間に〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の吸収性複合体を有することを特徴とする体液吸収物品。
本発明によれば、吸収性粒子が基材に固定化されている布状の吸収性複合体であり、液の吸収速度の高い吸収体を提供できる。このような吸収体を衛生材料に使用することにより、衛生材料の製造プロセスを簡略化できる。
以下本発明を詳細に説明する。
1.本発明の複合体の構造・性能について
本発明において、吸収性樹脂と基材を接着させたものを吸収性複合体と呼ぶ。樹脂の位置変化が起こらず形態安定性に優れる。したがって、基材とはシート形状が維持できるものである。この吸収性複合体にパルプ等の短繊維やその他シート状材料を混合して吸収体としての性能を調整することは好ましいことである。吸収性複合体に、固定化されていない吸収性樹脂を組み合わせてもよいが、ブロッキングを起こし吸収性複合体の性能を低下させる恐れがあるため、固定化されていない吸収性樹脂は、吸収性複合体の重量に対して50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、5%以下であることが最も好ましい。
本発明の吸収性複合体は、基材上に吸収性樹脂を複合化し接着させ、吸収速度を向上させたものである。基材構成繊維と直接接着することで、樹脂への通液が該接着繊維を通じて可能となった。これにより、樹脂の濡れ性が向上する。また、繊維の水との接触に伴う繊維の形態変化が接着している樹脂へ一定の力を加えることもあり、吸収速度が飛躍的に向上した。基材の繊維は通液路となるため、親水性であることが必須である。
本発明において、基材はシート状であるため、1枚の基材は表と裏と2つの平面を持つ。本発明においては、平面に対する吸収性樹脂の平均坪量が10〜150g/mであることが必要である。基材上に樹脂を配置する際に粒子同士が接触していると、吸水時にブロッキングの問題が生じるが、基材の平面上に配置する粒子量を一定の範囲に保つことにより、粒子表面と基材繊維との接着点を確保できる。すなわち、粒子間でブロッキング現象が起こったとしても、吸収性樹脂が基材繊維を通じて吸収するため、通液阻害が起こらず高速に吸収することができる。より高い吸収容量が求められ、吸収性樹脂の使用量を増やす必要がある場合には、吸収性複合体を複数枚使用するか、または、基材を複数枚使用した複合体にし、平面の面積を増やすことで対応できる。
吸収性樹脂が基材に接着していると、運搬時や液体吸収時の吸収性樹脂の移動を防ぐことができるため好ましい。接着方法は特に問わないが、接着剤を使用しない方法が好ましく、基材の繊維の一部が吸収性樹脂中にとりこまれた形態で接着することが更に好ましい。接着している吸収性樹脂中の50重量%以上の個数の吸収性樹脂が繊維の一部が吸収性樹脂中に取り込まれた形態で接着することが好ましく、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上の吸収性樹脂がこの形態で接着することである。接着剤を使用しないと、液体吸収時に膨潤規制を受けないため好ましい。繊維の一部が吸収性樹脂中にとりこまれた形態で接着していると、繊維を通じて吸収性樹脂の内部まで液体を送り込むことができ、吸収速度が向上するので好ましい。一方、複合体として高い吸収倍率を発現させるためには、同時に該樹脂の吸収倍率も高いことが好ましい。すなわち、使用する吸収性樹脂の平均吸収倍率が50g/g以上であることが好ましい。この様な高い吸収倍率を有する吸収性樹脂は、通常、ゲルブロッキングを生じやすく、これまでは表面や内部の架橋度の高い硬い低吸収倍率樹脂を使用せざるを得なかった。本発明においては繊維からの通液によりブロッキングの影響をなくすため、吸収容量の高い軟らかい樹脂を使用しても、高い吸収速度が可能となる。
さらに本発明の複合吸収体は基材によって高い液体拡散性をもち、全ての吸収性樹脂の吸収性能を発揮させることができるため、余分な吸収性樹脂を使用することなく、吸収性複合体を軽量化することができる。
種々の性能の中には、(社)日本衛生材料工業連合会の吸収性樹脂の自主基準の中でも規制されている低残存モノマー量が求められているが、この残存モノマーを樹脂中で200ppm以下という著しく低い値まで引き下げているところが本発明の吸収性複合体の特徴の一つである。これは、一般的な基材と樹脂の直接接着法で使用される樹脂の基材上重合法では、達成が困難な値である。すなわち、使用される樹脂を予め重合し、所定の低残存モノマー状態とされたものを複合体用の樹脂として使用しているので達成されている。水溶液中で重合され、その際生成した塊を破砕工程を含む工程で粒状とされた樹脂、または、予め逆相懸濁重合法で重合された粒子凝集体を吸収性樹脂として使用することが好ましい。
2.接着について
本発明において、基材と吸収性樹脂が接着しているとは、基材に吸収性樹脂が固定化されていて、実質的に基材と吸収性樹脂の位置関係が変化しないことを表す。本発明においては、吸収性複合体の一辺を手で持ち、複合体の平面方向を垂直にした状態で辺の方向に、20cmの幅で1秒間に1往復の速さで1分間振って、脱離しない粒子を接着しているとする。脱離した粒子については、吸収性複合体に混合されているものとみなし、吸収性複合体に含まれない。吸収性複合体にこの試験で脱離するような、接着されていない吸収性樹脂が混ざっていても問題ないが、接着されていない吸収性樹脂は、吸収性複合体の重量に対して50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。基材と吸収性樹脂の位置関係が変化しないと、使用前の運搬などによって吸収性複合体の性能が変化することもないし、繰り返し吸液の観点からも好ましい。
本発明においては、全粒子に対する接着形態に特に制限はなく、接着剤による接着、基材と吸収性樹脂との化学結合による接着、物理的相互作用による接着、吸収性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着等でよい。しかし、使用される吸収性樹脂の50重量%以上が、基材と樹脂が直接接触した形態であることが好ましい。より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上が直接接着した形態である。ここで、直接接着しているとは、接着剤等の基材、吸水性樹脂粒子またはこれらに由来する成分以外の成分を利用せずに接着していることをいう。ただし、膨潤規制が生じない程度に接着剤を併用している場合は、直接接着に含まれる。直接接着している粒子の割合は、接着剤を溶解する溶剤に吸収性複合体を1時間浸漬した後になお接着している吸水性樹脂粒子の量を測定することで求められる。
直接接着の方法に特に制限はなく、基材と吸水性樹脂粒子との化学結合による接着、物理的相互作用による接着、吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着等でよい
中でも、吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着が好ましい。具体的には、全吸水性樹脂粒子の50重量%以上が、吸水性樹脂中に繊維を取り込んだ形態で接着していることが好ましい。好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の粒子がこの形態で接着していることである。
吸水性樹脂中に繊維を入り込んだ形態とは、吸水性樹脂マトリックス中に基材中の繊維が存在している状態を表す。入り込んだ繊維の形状や長さは特に限定されない。この形態で接着していると、吸水性樹脂中に繊維を介して水を取り込むことができるため、吸収量、吸収速度の点で優れた性能を発揮する。吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態で接着しているかどうかは、電子顕微鏡で確認することができる。接着している粒子を任意に30個抽出し、引き剥がして電子顕微鏡観察を行い、割合を決定することができる。
本発明においては、全吸水性樹脂粒子の50重量%以上が基材と直接接着していれば、残りの吸水性樹脂粒子の接着方法については特に問わない。
しかし、接着剤を利用した接着をしないことが、液体吸収時の膨潤規制を防ぐ観点から好ましい。接着剤を使用すると、吸水性樹脂の膨潤を阻害する可能性があるため好ましくない。接着剤とは、例えば熱可塑性の繊維やポリマー、エマルジョンバインダー、ホットメルト接着剤などがある。
基材の片面のみに樹脂が接着されていても構わないし、基材の両面に接着されていてもかまわない。1つの平面に配置できる粒子量は制限されるため、より速い吸収速度、より多量の吸収量が求められ、使用する樹脂量を増やす必要がある場合には、両面に配置することが好ましい。さらに使用する樹脂量を増やしたい場合、樹脂層を増やすために吸収性複合体を複数枚使用することは好ましい。複数枚の吸収性複合体を使用することで、加工が複雑になる場合には、複数枚の吸収性複合体同士を、接着剤を用いて一体化させておくことも可能であるが、接着剤によって吸収性複合体間の通液性が悪くなる場合もある。この場合は、基材同士を1つの樹脂層を介して接着させることで改善できる。すなわち、基材数が任意の数n枚であるとき、n−1〜n+1層の樹脂層を持った一体型の吸収性複合体を使用することが好ましい。基材を複数枚使用する場合においては、全ての基材が親水性繊維である必要はなく、目的に応じて使い分けることが出来る。外側への漏れを防止したい場合などは、一番外側に疎水性の基材を用いることは好ましいといえる。ただし、樹脂層の吸水速度を確保する観点から、1つの樹脂層は少なくとも1枚の親水性基材に接していることが好ましく、2つの親水性基材に接していることが更に好ましい。
親水性基材の枚数/吸水性樹脂層の数の値が高いほど、樹脂層に対する親水性基材の寄与が大きくなるため、効率的に吸収速度を高めることができる。親水性基材の枚数/吸水性樹脂層の数の値は好ましくは1.3以上であり、より好ましくは1.5以上であり、最も好ましくは2である。すなわち、2枚の親水性の基材間に、両方の基材に接着した樹脂層を設けることが最も好ましい。この時、2枚の基材は樹脂層によって接着しているため、形態安定性に優れ、薄く布のような触感になる。
本発明における吸収性複合体の表面とは、外部に剥き出しになっている平面のことを指す。全ての吸収性複合体は、2つの表面をもつ。表面に存在する樹脂は、膨潤後に力がかかると脱離する可能性がある。そのため、脱離が好ましくない用途の場合は、表面における樹脂量を制限することが好ましい。平面あたりの樹脂量を少なくすることで、1つの粒子に対する基材面積が増えるため、接着力を強くすることができる。吸収性複合体の表面の樹脂量は少ないほど好ましい。具体的には、平均坪量が0〜20g/mであることが好ましく、0〜10g/mであることがより好ましく、0〜5g/mであることが更に好ましく、0〜1g/mであることが最も好ましい。
3.樹脂の平均坪量について
本発明における平均坪量とは、1つの平面における吸収性樹脂の単位面積あたりの重量として定義される。吸収性樹脂の重量は全ての粒子をはがした状態で測定する。平均坪量は、10〜150g/mであることが必須であり、30〜130g/mであることが好ましく、40〜120g/mであることがより好ましく、50〜110g/m2であることが更に好ましく、60〜90g/mであることが最も好ましい。樹脂の坪量が少なすぎると、基材中の液体を完全に樹脂へ移送することが難しく、液の逆戻りの原因となる場合がある。樹脂の坪量が多すぎると、基材繊維と接触していない樹脂が増えるため、ブロッキングの影響を避け得ない。より多くの樹脂量が必要なときには、平面を増やすことで対応できる。この場合においても、基材と基材の間の平面の樹脂量は前述の範囲を満たすことが好ましい。
4.吸収性樹脂粒子について
(吸収性樹脂)
まず、本発明において吸収性樹脂粒子を構成する吸収性樹脂について説明する。
本発明において、吸収性樹脂は、吸収性樹脂の重量に対する残存モノマー濃度が200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm下、さらに好ましくは50ppm以下、最も好ましくは10ppm以下である。残存モノマーが多いと、液吸収時の溶出成分が多く性能的に好ましくない。
残存モノマーは、吸収性複合体製造時または完成後に加熱処理を施し重合を完結させることによっても低減できるが、基材との接触前の吸収性樹脂の残存モノマー濃度は5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましく、0.05%以下であることが最も好ましい。出発材料として残存モノマーが多い状態の吸収性樹脂を使用すると、複合体製造時に該残存モノマーの重合反応を完結させるのが困難で、最終的に残存モノマーが多量に残りやすいため好ましくない。また、反応方法によっては基材の風合いを損なうことがあり好ましくない。
このようなことから、本発明においては、吸収性樹脂として、水溶液重合法で重合された後、破砕工程を含む製法で不定形の粒状とされた樹脂および/または逆相懸濁重合法で製造された粒子を用いることが好ましい。
残存モノマー量は、以下のような方法を用いて定量することができる。
吸収性樹脂を、樹脂重量の250倍の0.9%生理食塩水に加え、常温で撹拌しながら6時間程度抽出した後に濾過をする。濾液を、液体クロマトグラフィー法を用いて定量する。
本発明において、吸収性樹脂の種類は特に限定されず、どのような吸収性樹脂でも構わない。側鎖に酸基を有した吸収性樹脂であることが好ましく、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であることがさらに好ましい。酸基のうち50%以上が塩の形で中和されていることが好ましく、酸基のうち50%以上がアンモニウム塩の形で中和されていることがさらに好ましい。側鎖に酸基をもった吸収性樹脂は、液体吸収時に酸基同士の静電反発が起こり、吸収速度が速くなるため好ましい。酸基が中和されていると、浸透圧により液体が吸収性樹脂内部に吸収されるため好ましい。アンモニウム塩の形で中和されていると、アンモニウム塩は水への親和性が高く吸収量が多くなるため好ましい。
吸収性樹脂の種類としては、ポリアクリル酸部分中和物架橋体(例えば特開昭55−84304号公報参照)、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(例えば特公昭49−43395号公報参照)、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物(例えば特開昭51−125468号公報参照)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物(例えば特開昭52−14689号公報参照)、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば特公昭53−15959号公報参照)、ポリグルタミン酸塩(例えば特開2003−192794号公報参照)など多くが知られている。
吸収性能、コストなどの観点から、通常衛生材料用途に使用されているポリアクリル酸塩共重合体やポリアクリル酸部分中和物架橋体が好ましい。
以下に、使用する吸収性樹脂の好ましい例としてポリアクリル酸架橋体およびその製造方法について説明する。
ポリアクリル酸架橋体では、ポリマー分子鎖中における繰り返し単位の好ましくは50mol%以上がカルボキシル基含有単位である。より好ましくは80mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上である。繰り返し単位のうちのカルボキシル基含有単位が50mol%以下では吸収性能の低下が見られるため好ましくない。
ポリマー分子鎖中のカルボキシル基は部分中和されていることが好ましく、塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、アンモニア等の含窒素塩基性物等が挙げられる。カルボキシル基の50%以上が中和されていることが好ましく、70%以上が中和されていることがさらに好ましい。塩の種類としては、アンモニアを含む少なくとも1種類以上で部分中和されることが好ましく、アンモニア単独で部分中和されることが最も好ましい。吸収性能の観点から、ポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基中和塩のうち50mol%以上がアンモニウム塩であることが好ましく、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上、最も好ましくは全てアンモニウム塩で中和される。アンモニウム塩の割合が高いと、吸収倍率、基材との接着性の点において好ましい。なお、吸収性樹脂中のアンモニウム塩の割合は、吸収性樹脂中の全窒素原子量を求めることで計算することができる。吸収性樹脂中の全窒素原子量はケルダール法により求めることができる。
吸収性樹脂を構成する単量体としては、(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、けい皮酸、それらの無水物、不飽和カルボン酸単量体の中和塩が挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸の中和塩を用いる。中和塩の種類はリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニア等の含窒素塩基性物質であることが好ましい。その他単量体を共重合してもよく、共重合してもよい不飽和単量体は(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、ソルビン酸、けい皮酸、それらの無水物、ビニルスルフォン酸、アリルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸、ビニルトルエンフルフォン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルフォン酸、2−ヒドロキシルエチルアクリロイルオフォスフェート、2−ヒドロキシルエチルメタクリロイルフォスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルフォスフェート、ビニルリン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクレリート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペジリン、N−アクリロイルピロリジンなどのノニオン性の親水性基含有不飽和単量体、また、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどの様に重合後の官能基の加水分解によって、吸収性樹脂を形成する親水性単量体を用いてもよい。また、併用できる疎水性単量体としては、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの中で1種類、もしくは2種類以上を添加することができる。
単量体中に架橋剤を共存させておいてもよく、架橋剤としては、縮合型架橋剤を用いて樹脂中の官能基と反応して架橋される方法、重合性の架橋剤を用いて不飽和単量体と共重合することにより架橋する方法、樹脂に電子線や放射線を照射することで架橋する方法等が上げられ、好ましくは縮合型架橋を用いる方法、より好ましくは樹脂の官能基と反応する縮合型架橋剤の共存下で、重合性の架橋剤と不飽和単量体を共重合する方法である。
縮合型架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオンなどが挙げられ、これら架橋剤は2種以上用いてもよい。
不飽和単量体重合性の架橋剤としては、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩などが挙げられ、これら架橋剤は2種以上用いてもよい。
単量体溶液の溶媒は溶解性に優れたものであれば特に限定されない。特に好ましくは水単独であるが、エタノール、メタノール、アセトンなどの親水性溶媒を単独もしくは複数混合して使用してもよい。また、必要に応じて塩化ナトリウムなどの塩類、pHコントロールを目的としたアンモニアなどの塩基性化合物、逆相懸濁重合の際には懸濁剤を添加してもよい。
不飽和単量体の重合方法は特に限定されず、水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合、噴霧重合、ベルト重合など一般に広く用いられている方法が適用できる。重合開始方法も特に限定されず、ラジカル重合開始剤による重合、放射線、電子線などの照射による重合、光増感剤による紫外線重合を行うこともできる。かかるラジカル重合に用いられる開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酢酸などの有機化酸化物、などの公知の開始剤が挙げられる。酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合はL−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤を併用してもよい。
重合開始前に予め単量体溶液中の脱酸素操作を行うことは好ましい。具体的な方法として、十分な時間の不活性ガスによるバブリング等により溶存酸素を取り除く方法が挙げられる。また、反応器内雰囲気も窒素、ヘリウムなどの不活性ガスに置換されていることは好ましい。反応器内は減圧、常圧、加圧のいずれであってもよい。重合開始温度は通常0〜100℃の範囲で行うことが好ましい。より好ましくは、20〜70℃の範囲である。開始温度が高すぎると、開始剤を加える前から熱による重合が起こってしまい好ましくない。また、開始温度が低すぎると、反応開始に時間がかかりすぎるため好ましくない。反応中の反応器内の温度は成り行きに任せてもよく、外部から冷却もしくは加熱により温度制御を行ってもよい。重合中の昇温速度や最高温度は特に問題とならず、最高温度が100℃を超えても問題はない。重合時の最高温度は、通常20〜140℃で、好ましくは、40〜120℃の範囲である。単量体溶液の濃度は10〜80%が好ましく、30〜70%がより好ましい。濃度が濃すぎると、反応が暴走しやすいため好ましくない。濃度が薄すぎると、反応に時間がかかりすぎるし、その後の乾燥工程にも負荷がかかるため好ましくない。重合時間は、反応溶液からの発熱が止まる時間付近に設定することが好ましい。重合後の後工程として、乾燥工程、後架橋工程等などの加熱工程が存在するので、反応溶液からの発熱が止まる前に重合を終了しても構わない。また、発熱終了後、数時間加温、保温しても構わない。
上記重合後に得られる重合体が含水ゲルである場合、乾燥を行う。この乾燥方法は特に限定されるものではないが、例えば共沸脱水、流動乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などが好ましく用いられ、特に熱風乾燥、真空乾燥が好ましい。含水率としては30重量%以下、好ましくは10重量%以下まで乾燥する。乾燥はどのような形態の含水ゲルで行ってもよいが、粗解砕して表面積を増やしてから乾燥するのが好ましい。乾燥温度は70〜180℃の範囲が好ましく、より好ましくは100〜140℃である。
乾燥後の重合体は、必要に応じて粉砕や分級等の操作によって粒子径が調整される。 ポリアクリル酸架橋体では、所定の粒子径にコントロールされた乾燥後の重合体を加熱してもよい。この加熱処理の時に、使用するカルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上もった化合物を共存させておくことが好ましい。このような化合物が共存していると、粒子間ブロッキングの影響が減り、吸収速度の点から有利になる。カルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上もった化合物は、重合前から入れておいてもいいし、重合後の熟成中に入れておいてもよいし、粒子の凝集を行う場合には、凝集工程に加えてもよいし、熱処理の前に乾燥した粒子に加えても構わない。熱処理の前に入れる場合は、水、アルコール類、エーテル類などの親水性溶媒に溶解させて、表面に散布することが好ましい。加熱処理の温度は特に限定されないが、好ましくは120〜250℃の範囲である。より好ましくは150〜240℃、さらに好ましくは170〜230℃である。加熱処理は、乾燥終了後に連続的に同じ装置内で加熱しても良く、乾燥工程とは独立の工程としてもよい。吸収性複合体の製造工程に加熱工程を含む場合には、複合体の製造時に加熱を行うことが好ましい。
上記加熱処理は、通常の乾燥機や加熱炉を使用することができ、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
吸収性樹脂に、必要に応じて消臭剤、香料、各種無機粉末、発泡剤、顔料、染料、抗菌剤、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、キレート剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、水、塩類等を添加しても構わない。
上記無機粉末としては、例えば、水および親水性有機溶媒に対して不活性な各種無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。特に無機粉末としては、水に対して適度な親和性を有し、かつ、水に不溶或いは難溶のものが好ましく、例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。
上記無機粉末の使用量は、通常は吸収性樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。吸収性樹脂と無機粉末の混合方法に特に制限はなく、ドライブレンド法、湿式混合法等で行われる。
(粒子形状)
吸収性樹脂粒子の形状はどのような形状でもよく、吸収性組成物に広く用いられている球形粒子状、不定形粒子状、粒子凝集粒状、短繊維状、長繊維状、シート状などが挙げられる。不定形破砕状、粒子凝集体状(例えば葡萄の房状)、鱗片状、顆粒状でもよい。粒子凝集粒状、球形粒子状、不定形粒子状が好ましい。
(表面近傍の塩濃度)
次に、基材上へ接着する前の吸収性樹脂粒子は、その表面近傍の塩濃度(以下、「表面塩濃度」という。)が、50mol%以上であることが好ましく、より好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは70mol%、最も好ましくは80mol%以上である。基材上へ接着する前の表面塩濃度が低すぎると、粒子の接着性が低下する。
最終的な基材への接着後の吸収性複合体中の吸収性樹脂粒子の表面塩濃度については特に制限はないが、好ましくは90mol%以下、より好ましくは80mol%以下、さらに好ましくは60mol%以下である。最終的な複合体中の吸収性樹脂粒子の表面塩濃度が低い方が、仮に湿潤空気下にさらされた時にもベトツキを起こしにくく有利である。また、水溶液吸収後の膨潤時に粒子同士の接触が生じても吸収性複合体中での水溶液拡散性が高い状態で維持できるので、大変好ましい。高い吸収倍率を維持するためには、吸収性樹脂粒子全体の塩濃度を高める必要があるが、複合体中の液拡散性を高く維持するためには、表面近傍の塩濃度を低くすることが望まれる。すなわち、表面塩濃度だけを下げて、内部の塩濃度を高めることが好ましい。具体的には、表面塩濃度を樹脂中心部の塩濃度に比べて、10mol%以上低くすることが好ましく、より好ましくは20mol%以上、さらに好ましくは30mol%以上表面塩濃度を下げることである。なお、表面近傍とは、表面から深さ方向に約1μm厚みの外層部のことである。表面近傍の塩濃度の調整は、基材上への接着と同時に行われることにより、接着力と吸収力を高いレベルでバランスさせることができるため好ましい。
吸収性樹脂は、通常カルボキシル基やスルホン酸基などの酸基とその中和塩、アミノ基などの塩基性基とその中和塩などからなっており、吸収性樹脂粒子の表面塩濃度とは、吸収性樹脂粒子の表面部分の中和された基の割合を表す。本発明において、樹脂粒子の表面近傍の塩濃度は、赤外吸光分析法の一つである顕微ATR法によって測定することにより求める。このATR法では、通常、表層の深さ1μmの構造情報が得られるので、樹脂粒子表面の中和率の測定は顕微ATR法にて直接表面を測定できる。内部部分については、ウルトラミクロトーム(Reichert製 ULTRACUT N)を用いることにより樹脂を割断して中心部を露出させてから顕微ATR法にて測定する。測定装置は、Bio−Rad社製FTS−575を用いる。
以下、ポリアクリル酸系吸収性樹脂を例に挙げて説明する。カルボン酸およびカルボキシレートの組成比を規定する指標として、1695cm-1(カルボン酸νC=0 ベースライン1774〜1616cm-1)および1558cm-1(カルボキシレートνCOO- ベースライン1616〜1500cm-1)のピーク面積比(1695/1558cm-1)を計算し、別途、10mol%,30mol%,50mol%,70mol%,90mol%,100mol%アンモニア中和の部分架橋ポリアクリル酸を標準サンプルとして測定、作成した検量線より組成比を求める。
(表面強度)
次に、基材上へ接着する前の吸収性樹脂粒子は、表面強度が0.1〜5.5Nであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5N、さらに好ましくは0.2〜4N、最も好ましくは0.2〜3Nである。表面強度とは、粒子表面の変形しやすさを表すパラメータである。特定倍率に吸収して膨潤した吸収性樹脂粒子を容器に入れて荷重をかけていくと、容器内で隙間をあけて充填されていた吸収性樹脂粒子の隙間を埋めるようにゲルが移動、変形していく。表面強度は、吸収した吸収性樹脂粒子が実体積になった時の弾性率であるので、ゲル粒子間の相互作用の大きさや表面の変形しやすさを意味する。表面強度が大きいということは、吸収性樹脂粒子が変形しにくいことを表す。変形しにくいということは、吸収性樹脂粒子が吸収して膨潤するのに対し負の力が強いということになり、ひいては吸収容量を下げてしまうことになる。また、表面が変形しにくいと、樹脂と基材との接着面が小さくなり複合体からの粒子の脱離が起こりやすく好ましくない。本発明の吸収性樹脂粒子の表面強度は、以下のように求める。
装置:島津オートグラフAG−1
試料:吸収性樹脂粒子0.10gを精秤し、底面に75μmの孔径のナイロンシートを貼り付けた内径20.5mm、高さ50mmの円筒容器の底に均一に入れた。50φのシャーレを用意し、0.90gの生理食塩水をいれ、吸収性樹脂粒子の入った円筒容器を静置し、1時間吸収膨潤させた。
測定:1kNのロードセルを使用し、直径19.7mmの円柱軸をとりつけた。測定レンジは0.2kNと設定し、ロードセルに荷重がかからない高さにあわせ、そこから降下速度0.6mm/分という一定の速度で下がるように設定する。ロードセルに加わる圧力を経時的に記録した。ここで、表面強度とは実体積になった時点における荷重(N)を表す。吸収性樹脂粒子の実体積は、生理食塩水の比重1.010g/cm3と吸収性樹脂粒子の比重を利用して計算した。
(吸収倍率)
次に、本発明において、複合体中の吸収性樹脂粒子の平均吸収倍率は50g/g以上である必要がある。より好ましくは60g/g以上であり、70g/g以上がさらに好ましい。
また、本発明における吸収性樹脂粒子は、0.8psiにおける吸収性樹脂の荷重下加圧下吸収倍率が、好ましくは20g/g以上であり、より好ましくは25g/g以上、30g/g以上が最も好ましく。吸収性樹脂粒子の吸収倍率が高いほど、使用する吸収性樹脂粒子の量を減らすことができるため好ましい。
本発明において吸収性樹脂粒子の吸収倍率とは0.9%の生理食塩水を、吸収性樹脂粒子に荷重がかからない状態において、自由に膨潤吸収できる量のことである。吸収性樹脂粒子の吸収倍率は以下のような方法で測定する。
吸収性樹脂粒子0.05gを不織布製のティーバッグ式袋(60×40mm)に均一に入れ、23℃の0.9%生理食塩水中に浸漬する。180分後にバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で10分間吊るして水切り後、重量を測定する。吸収性樹脂粒子を用いずに同様の操作を行い、重量を測定しブランクとする。(式4)に従って吸収倍率を算出する。測定は3回行い、平均値を吸収倍率とする。
(式4)
吸収性樹脂粒子の吸収倍率(g/g)={(吸収後のティーバッグの重量)−(吸収後のブランクのティーバッグの重量)−(吸収性樹脂粒子の重量)}/(吸収性樹脂粒子の重量)
本発明の吸収性樹脂粒子の加圧下吸収倍率は以下の方法により測定する。吸収性樹脂粒子0.02gを内径25mm、高さ30mmで底部に250メッシュのナイロン不織布を備えたアクリル樹脂製円筒に入れ、円筒の中にスムーズに動くシリンダーを入れて測定装置とし、重量を測定する。測定装置のシリンダーの上部に0.8psi相当の278.33gの荷重を載せて荷重とし、0.9%生理食塩水60gを入れた内径120mmのシャーレに入れる。60分後に取り出してキムタオルの上に3秒間静置して水切りをし、荷重を取り除いた後の装置の重量を測定し、(式5)に従って加圧下吸収倍率を算出する。
(式5)
吸収性樹脂粒子の荷重下の吸収倍率(g/g)=(吸収後の装置の重量(g)−吸収前の装置の重量(g))/(吸収性樹脂粒子の重量)
吸収倍率が70g/g以上、0.8psi荷重下における吸収倍率が20g/g以上である吸収性樹脂粒子から構成される引張破断強度が0.6(N/20mm)以上である吸収性複合体は、加圧下、無加圧下共に優れた吸収特性を示すため紙オムツ等の衛生材料用途に好ましい。この時、吸収性複合体は吸収性樹脂粒子と紙および/または布から構成されていることが好ましく、吸収性樹脂粒子同士がブロッキングしないように吸収性樹脂粒子同士が離れた状態にあることがさらに好ましく、90%重量以上の吸収性樹脂粒子が紙および/または布に接着されていることが最も好ましい。無加圧の吸収倍率が70g/g以上、0.8psi荷重下における吸収倍率が20g/g以上である吸収性樹脂粒子は、以下のような方法で得ることができる。70%以上がアクリル酸であり、さらにカルボキシル基のうち50%以上がアンモニウム塩として中和されており、合計で70%以上が中和されている不飽和カルボン酸単量体を重合することで得ることができる。この際、架橋剤として働く1分子中に不飽和基を2個以上もつ化合物を全単量体成分に対して0.0005〜0.1モル%含んだ単量体を使用する。カルボキシル基を反応しうる官能基を2個以上もった化合物0.1〜3重量部を重合前、または、重合後のいずれかの工程中に使用しても構わない。レドックス系開始剤を用いてラジカル重合を行い、ラジカル重合開始剤として、不飽和単量体の量に対して0.005〜0.5モル%使用する。還元剤は単量体1モルに対して0.0001〜1gとする。必要に応じて、以下の(式6)を満たすような加熱条件で加熱を行う。この加熱は、吸収性樹脂粒子単独で行われるよりも、吸収性複合体を製造するときに同時に行われることが好ましい。
(式6)
Y=−1.6X+345
ただし、Yは加熱時間(分)、Xは加熱温度(℃)
このような方法で得られる吸収性樹脂粒子は、ブロッキングを起こしやすいため、過去に行われているような吸収性樹脂粒子同士が密着するような評価法を適用すると、特に吸水速度や加圧下の吸収性能においては劣った結果となる。しかしながら、吸収性複合体中の樹脂粒子の状態を想定した前述の本発明中の測定方法においては、吸収性樹脂粒子の性能を発揮できるため、無加圧においても加圧下においても吸水速度においても優れた吸収能力を示す。
(粒子径)
次に、本発明に使用する吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径は好ましくは10〜300μmであり、より好ましくは20〜260μm、さらに好ましくは30〜230μm、最も好ましくは40〜200μmである。平均粒子径が小さすぎると、吸水性能の点で好ましくない。また、大きすぎると、吸収速度が劣るし、粒子の感触が目立ってしまうため好ましくない。
本発明において、吸収性樹脂粒子の粒子径は、目の開きが32μm、38μm、45μm、53μm、63μm、75μm、90μm、106μm、125μm、150μm、180μm、212μm、250μm、300μm、355μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、1700μm、2500μmの篩を使用して篩い分けすることによって求める。本発明においては、通過することのできた篩の目の開きと通過することのできない篩の目の開きの中間の値を粒子径とする。なお、32μmの篩を通過したものについては、16μmとし、2500μmの篩の上に残ったものについては、2700μmとする。この操作により、16μm、35μm、41.5μm、49μm、58μm、69μm、82.5μm、98μm、115.5μm、137.5μm、165μm、196μm、231μm、275μm、327.5μm、390μm、462.5μm、550μm、655μm、780μm、925μm、1090μm、1290μm、1550μm、1850μm、2100μm、2700μmの粒径へと分類される。
また、本発明の複合体中の吸収性樹脂粒子は、目の開きが500μmの篩を通過できない粒子は50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは10%以下である。目の開きが300μmの篩を通過できない粒子は50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは10%以下である。大きすぎる粒子が大量に存在すると、複合体中で粒子の触感が目立ってしまうため好ましくない。
6.基材について
本発明において基材とは、シート形状を保てる素材のことをいう。
(素材)
本発明においては、基材はシート状であり、親水性であればどのような素材でも構わないが、好ましくは紙および/または布である。本発明において親水性の基材とは、後述する基材の吸収速度が0.2mg/秒以上である基材のことをいう。紙とは、JISP0001で定義される広義の意味での紙のことを指し、布とはJISL0206で定義されるシート状繊維製品の総称である。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明に使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、より好ましくは不織布である。紙および/または布は、形態安定性に優れているため好ましい。不織布とは、JIS L 0222により定義される。
基材の原料に限定はなく、複数の組み合わせの基材でもよい。基材繊維としては、天然繊維、合成繊維の双方があり、さらに複数の繊維の組み合わせでも構わない。繊維の長さは、短繊維でも長繊維でもかまわない。強化のためや親水性付与のために処理をほどこしていても構わない。長繊維の方が拡散性を求める場合は好ましい。捕獲力の観点からは短繊維が好ましい。特にパルプは捕獲力に優れるため、パルプを布状にした基材は好ましい。
親水性の基材のなかでも、特にセルロース系の基材が好ましい。本発明におけるセルロース系基材とは、セルロースを主原料とした布および/または紙のことを表し、この中でもセルロース系繊維からなる布および/または紙、特に、セルロース不織布が好ましい。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維と混ぜたものでもよい。セルロースとしては、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、キュプラなどの再生繊維などがある。繊維としては再生繊維の方が好ましく、一年草である綿実を再生繊維化した繊維がさらに好ましい。
(形状)
基材の形状は特に限定されず、1枚あたりの厚さは好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.01mm以上であり、さらに好ましくは0.05mm以上であり、最も好ましくは0.1mm以上である。基材の1枚あたりの坪量は28〜100g/mであることが好ましく、35〜80g/mであることがより好ましく、40〜60g/mであることが更に好ましい。薄すぎるものは強度の点から好ましくない。厚みがあるほど、樹脂を保持する空間が大きく、樹脂同士の接触が起こりにくく、樹脂と繊維との接点が大きくなるため、吸収速度の点から好ましい。また、基材の表面は平滑であるよりも、凹凸が多いほど樹脂と基材繊維との接点が多くなるため好ましい。軽すぎるものについては、吸収性樹脂に対して通水路となる繊維量が不足するため好ましくない。重すぎるものについては、樹脂に対して繊維の割合が高くなりすぎるため、繊維中の液体を樹脂が吸収しきれないと逆戻りの原因になる場合があり好ましくない。
基材を複数枚使用する場合においては、少なくとも1枚が前述の坪量を満たしていることが好ましい。樹脂層が複数ある場合には、それぞれの樹脂層に対して、少なくとも1枚の基材が前述の坪量を満たすことが好ましい。
基材、樹脂層は何層あってもよいが、吸収性樹脂の合計重量と基材の合計重量との比率が一定の範囲であると、吸収速度と逆戻り性のバランスが特に良好になる。基材に対する吸収性樹脂の比率は、35〜300%であることが好ましく、42〜250%であることがより好ましく、50〜200%であることが更に好ましく、60〜140%であることが最も好ましい。
(引張破断強度)
本発明においては、生理食塩水後の引張破断強度が、好ましくは0.6N/20mm以上であり、より好ましくは0.6〜5000N/20mmであり、さらに好ましくは0.7〜500N/20mmであり、0.85〜100N/20mmであることがさらに好ましく、1〜100N/20mmであることが最も好ましい。
本発明においては、強度が最大である方向を縦方向、それに対して垂直の方向を横方向とするが、横方向において(すなわち、縦方向と横方向いずれにおいても)上記の範囲にあることが好ましい。
本発明において、基材の生理食塩水吸収後の引張破断強度は、基材に生理食塩水を吸収させた後の引張破断強度のことを表す。衛生材料においては、液吸収後もすぐに交換されずにそのまま使用されることもある。また、液吸収後、複数回にわたっての液吸収を求められることもある。一度吸収した後に使用を続けると、吸収体に水分がある状態で荷重がかかることとなる。荷重によって基材が破断してしまうと、通液性や液拡散性が低下することになり吸収体の性能を劣化させることとなる。生理食塩水吸収後も、高強度を保つ基材ほど吸収体の耐久性の点において好ましいといえる。また、製造時に基材が含水するようなプロセスの場合は、含水時の強度が低いと問題になることがあり、基材の強度が高いほど好ましいといえる。しかし、強度が高すぎても、実質的に性能の差はみられない。
生理食塩水吸収後の引張破断強度は以下のように求める。
試料:15cm×2cmの長方形型基材(方向を変えて何種類か用意する)
装置:引張試験機(島津のオートグラフ)
方法:1Lビーカーに0.9%生理食塩水を700g取り、基材を10分間浸漬させる。基材を引き上げ、キムタオル上に1分間放置し、間隔が10cmとなるように両端から2.5cmの部分をセットし、10mm/分のスピードで破断するまで引っ張り続ける。この時の力を記録し、最大値を強度N/20mmとする。方向があるものについては、方向を変えて何点か測定する。
(吸収倍率)
本発明において基材の吸収倍率とは、基材が0.9%生理食塩水を60分間で吸収して何倍の重量になるかを測定したものであり、具体的には以下のような方法で測定する。
基材を直径59.5mmの円形に切り取り、重量を記録した後、円周部分から1cmのところに針金を通す。1Lのビーカーに23℃の生理食塩水を500g以上用意しておき、基材を針金ごと生理食塩水に漬け込む。60分後、基材を針金ごと生理食塩水から取り出し、基材が他のものと触れないようにして10分間吊り下げる。10分後針金を抜いて含水基材と付着水の総重量を計測する。
基材の吸収倍率は、式(7)で示した。
(式7)
基材の吸収倍率(g/g)=吸収後の重量(g)/吸収前の重量(g)
本発明においては、基材の吸収倍率は6g/g以上200g/g以下であることが好ましく、より好ましくは8g/g以上100g/g以下、さらに好ましくは10g/g以上50g/g以下であり、最も好ましくは12g/g以上30g/gである。
吸収性複合体においては、吸収性樹脂粒子よりも繊維の方が吸収速度が速いため、吸収初期には基材が、後期には吸収性樹脂粒子が吸収することとなる。基材の吸収倍率が高いほど初期の液体吸収速度が速くなるため好ましい。通常、基材の吸収は毛細管現象によるもので、荷重がかかった時には液体が戻ってしまうこともあるし、使用中の蒸れの原因となる可能性もある。そこで、樹脂粒子が基材の繊維を取り込んだ形で接着させると、基材から吸収性樹脂が液体を奪い取る形で吸収する。このため、荷重によって液体が戻ったり、使用中に蒸れたりすることは少ない。
(吸収速度)
基材の親水性、通液性を表す指標として、吸収速度がある。
本発明において基材の吸収速度とは、幅2cmの基材が0.9%生理食塩水を垂直方向に吸収していく速度のことを表す。
基材の吸収速度は、0.2mg/秒以上100mg/秒以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mg/秒以上50mg/秒以下、さらに好ましくは0.40mg/秒以上30mg/以下、最も好ましくは0.5mg/秒以上10mg/秒以下である。
基材の吸収速度は、具体的には下記のように測定する。
試料:10cm×2cmの長方形型基材
縦横方向があるものについては、方向を変えて2点以上用意する
装置:電子天秤、直径90mmのシャーレ
方法:電子天秤上にシャーレをおき、基材をシャーレの10cm上から垂直に吊り下げる。シャーレを電子天秤から取り、他の天秤で0.9%の生理食塩水60gを量り取る。基材の下部を手でもち、生理食塩水にふれないようにしてシャーレを電子天秤上に再度設置し、天秤の値を0点に設定する。基材を静かに生理食塩水に漬け込み、電子天秤の値を経時的に記録する。時間(秒)と電子天秤の値の絶対値(mg)をグラフにプロットし、120秒後から240秒後までの間の傾き(mg/秒)を吸収速度とする。基材で方向があるものについては、方向を変えて何点か測定を行い、一番早い値を吸収速度とする。
基材中に、吸収速度の違う方向がある方が好ましいといえる。基材に方向が存在すると、特定の方向への通液性に優れ、特定方向に液体を拡散させやすいため、吸収体中において吸収のバランスをコントロールすることができる。
(縦方向と横方向の引張破断伸び、強度の比率)
基材に方向が存在すると、方向ごとに強度と伸びが変化する。前述のとおり、本発明においては、強度が最大である方向を縦方向とし、それに対して垂直の方向を横方向とする。
縦方向と横方向の引張破断強度の比は好ましくは1.2:1以上であり、より好ましくは1.5:1以上、さらに好ましくは2:1以上であり、10:1以下である。
縦方向と横方向の引張破断伸びの比は好ましくは1:1.2以上であり、より好ましくは1:1.5以上、さらに好ましくは1:2以上であり、1:10以下である。基材の伸びと強度は、生理食塩水吸収後の基材の強度と同様の方法で、生理食塩水に浸さず乾燥状態において引っ張り試験を行うことで求めることができる。基材が破断するまで引っ張りの試験を行い、最大の強度を示した時の力を基材の強度とし、その時に伸びた距離を伸びとする。
(接触角)
本発明における基材は、接触角が130度以下である不織布が好ましい。
本発明中における接触角とは室温で粘度74cpの44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を基材へ接触させ、10秒後になす角として定義される。測定は、FACE(協和界面科学株式会社)製の接触角計(CA−X150型)を用いて測定する。液は和光純薬の44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(70〜110cp)を水で粘度調整して使用する。粘度は回転円盤粘度計を用いて測定する。
接触角は130度以下であることが好ましく、より好ましくは120度以下であり、さらに好ましくは110度以下であり、最も好ましくは100度以下である。接触角が小さいほど、基材と水、基材と吸収性樹脂の親和性が高くなり、吸収性や接着性の点で好ましい。
7.吸収性複合体の製造方法
本発明における吸収性複合体は、吸収性樹脂粒子と基材を原料とし、基材に吸収性樹脂粒子を接着させる工程を含む製法で製造されることが好ましい。
接着方法は特に限定されず、前述の条件を満たすような接着方法を行えばよい。接着方法としては、基材に吸収性樹脂をからませる方法や、接着剤を使用する方法などが挙げられるが、好ましい方法は、吸収性樹脂100重量部に対して10〜3000重量部の水を吸収性樹脂および/または基材に吸収させ、その後、吸収性樹脂と基材が接触した状態で、脱水する方法である。水の量は吸収性樹脂粒子100重量部に対して、20〜2000重量部であることが好ましく、50〜1000重量部であることがさらに好ましい。この方法で接着を行うと、不純物となる接着剤も使用する必要がないため好ましい。また、この方法で接着を行うと、吸収性樹脂中に繊維の一部が取り込まれるため、吸収速度や吸収倍率の点で好ましい。水の量が多いほど接着性が高くなり好ましいが、あまりにも多すぎると乾燥に時間がかかりすぎるため非効率的である。
水を吸収させるのは、基材でも吸収性樹脂でも両方でも構わないが、好ましいのは基材に吸収させることである。基材に含水させて、その後、吸収性樹脂粒子と接触させる場合の基材の含水率としては、50〜500重量%の範囲が好ましい。吸収性樹脂粒子と基材との接着性を上げるためには、含水率が高いことが好ましいが、高すぎると乾燥に時間がかかる。勿論、含水率が低すぎると基材と樹脂の接着性が低下する問題がある。したがって、好ましい含水率の範囲は、50〜200重量%、より好ましくは、80〜150重量%である。複数枚の基材を使用する場合には、全ての基材を含水させることが好ましい。
接着のための含水法としては、吸収性樹脂粒子中に接着用の水を含ませておく方法を採用しても構わないが、その場合吸収性樹脂が基材以外の部分にくっつきやすくなるため、接触させる前の吸収性樹脂粒子は他の物質への接着や粒子同士の接着がない程度に乾燥していることが好ましい。この場合の吸収性樹脂粒子の含水率としては、1〜50重量%としておくことが好ましい。より好ましくは、5〜30重量%である。
接触の方法の例とは、基材上に上部から吸収性樹脂粒子を散布する方法、吸収性樹脂を空気と一緒に吹き付ける方法などが挙げられる。吸収性樹脂粒子同士の重なりがより少なくなる様に配置できる方法が、接着性の観点から好ましい。更に基材繊維と樹脂との絡まりが多くなるような方法であると、吸収速度が向上するため好ましい。基材繊維と樹脂との絡まりを多くする方法としては、基材を起毛させておく方法や、接触後に基材と樹脂との密着性を高めるためにプレスをかける方法などがある。プレスをかける際に、プレス機器と樹脂が接触する部分に樹脂が付着することがあるため、接触する部分は樹脂が付着しにくい材料にしておくことが好ましい。付着しにくい材料とは、疎水性の材料であり、ポリオレフィン類やテフロン(登録商標)などがあげられ、特にテフロン(登録商標)が好ましい。テフロン(登録商標)のシートを捲きつけてもよいし、コーティングしたものでもよい。樹脂の付着を防止する最も好ましい方法としては、表面に樹脂を配置しないことである。すなわち樹脂層より1多い数の基材を使用し、基材間に樹脂を完全に挟み込むことである。
含水させる水に、不純物を含んでいても構わない。不純物としては、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、鉄イオンなどの陽イオン、塩素イオンなどの陰イオン、アセトン、アルコール類、エーテル類、アミン類などの水溶性有機化合物などが挙げられる。吸収性樹脂および/または吸収性複合体のpH調整のために、酸性または塩基性のものを使用してもよい。吸収性樹脂と基材の接触性や吸収能力の点から考えると、これら不純物のない蒸留水またはイオン交換水を単独で用いることが好ましい。
また、この水中に消臭等の機能を有する物質を溶解および/または分散させて製造させる吸収性複合体に機能付与することは好ましい方法である。ここで使用可能な消臭剤の例としては、有機系、無機系の消臭剤が挙げられる。水に不溶な消臭剤を使用する場合は、必要に応じて分散剤や界面活性剤を使用することが好ましい。また、無機系消臭剤は、その粒子径をナノレベルまで小さくすることで、分散剤を使用しなくても水中に分散させることが可能となるので、微粒子の無機系消臭剤を分散剤なしで使用することは好ましい。
含水方法には特に制限はない。例えば、水浴につける方法、水を噴霧する方法、含水体と接触させる方法、加湿状態へ曝す方法等が挙げられる。これらのうち、工業的に最も簡便で、かつ、含水量の調整が容易に方法である水噴霧方式が好ましい方法である。水噴霧の方式としては、布等の基材の含水率が均質になるような方式を採用することが好ましい。基材の各場所における含水率にバラツキが大きい場合は、吸収性樹脂接触後、脱水乾燥の工程までの間に吸収性樹脂粒子が吸水する量が場所により異なってしまい、乾燥工程時の脱水に伴う発泡挙動が異なり、乾燥後の吸収性複合体中の樹脂粒径が不均質になってしまう。粒径が不均質な樹脂粒子が配置された吸収性複合体は、風合いを悪化させることがある。
脱水の方法は、どのような方法を用いても構わない。方法としては、加熱による乾燥、乾燥空気や窒素などを吹きかける方法、真空乾燥、凍結乾燥、共沸脱水、流動乾燥、マイクロウェーブによるなどが挙げられるが、加熱による乾燥が好ましい。加熱の条件は、70〜350℃で1秒〜1000秒の条件で行うことが好ましく、より好ましくは100〜340℃で1秒〜1000秒、さらに好ましくは120〜330℃で1秒〜1000秒、最も好ましくは150℃〜300℃で1秒〜1000秒である。高温であるほど短時間で乾燥が可能であるが、高温で長時間加熱を行うと樹脂の種類によっては吸収性能が低下する場合もある。乾燥と同時に、表面架橋などの表面処理を行ってもよい。脱水は、最終製品になるまでの間であれば、いつ行われてもかまわないが、吸収性樹脂の劣化の点から、含水後に速やかに脱水を行うことが好ましい。
吸収性複合体はシート状であり、基材もシート状であるため、ロールの基材を用い、ロール状の吸収性複合体を製造することが好ましい。すなわち、基材ロールから流れた基材を含水させ、乾燥した吸収性樹脂を配置し、乾燥させたのちに再びロールにまくことである。ロールにまいたときの滑り性を考慮すると、表面に樹脂が存在しないことが好ましい。すなわち、基材ロールを2つ用意し、1枚の基材に樹脂を配置した後に、もう1枚の基材を重ねて同時に乾燥する製造方法が好ましいといえる。この時、後から重ねる方の基材も含水させておくことが好ましい。また、重ねたのちにプレスをかけることも好ましい。基材ロールの数を増やし、樹脂を配置する装置を増やすことで、樹脂層及び基材枚数を増やすこともできるが、製品ロールの厚みと乾燥しやすさを考慮すると、樹脂層は2層までであることが好ましく、1層であることが最も好ましい。
8.吸収性複合体の性能
(吸収倍率)
本発明において、吸収性複合体の吸収倍率は、0.9%生理食塩水を自由吸収させた時、3時間後に吸収された量とする。具体的には、直径59.5mmの円状の吸収性複合吸収体を作製し、前述の基材の吸収倍率と同様の方法を用いて測定する。ただし、脱離がおきた場合においては、濾過を行って吸収性樹脂粒子を回収し、キムワイプ上で10秒以上静置して水切りを行い、その重量も加えて計算することにする。接着されていない吸収性樹脂粒子を含んでいる場合は、取り除いてから測定する。
吸収性複合体の吸収倍率は、好ましくは30g/g以上であり、より好ましくは40g/g以上、さらに好ましくは50g/g以上である。
(面積あたりの吸収量)
吸収性複合体の吸収性能の指標として、面積あたりの吸収量が重要となる。面積あたりの吸収量は、前述の測定結果から(式8)に従って計算することができる。
(式8)
面積あたりの吸収量(g/cm2)=((吸収後の全重量(g)−吸収性複合体の重量(g))/吸収性複合体の面積(cm2
面積あたりの吸収量は、多い方が好ましく、0.2g/cm2以上あることが好ましく、より好ましくは0.4g/cm2以上、さらに好ましくは0.6g/cm2以上である。
(加圧下吸収倍率)
本発明の吸収性複合体の加圧下吸収倍率は、荷重のかかった状態において0.9%生理食塩水を吸収させた時、3時間後に吸収された量で表される。具体的には、直径59.5mmの円状の吸収性複合体を用いて以下のように測定する。
先ず測定装置について、図1を参照しながら、以下に簡単に説明する。図1に示すように、測定装置は、天秤1と、この天秤1上に載置された所定容量の容器2と、外気吸入パイプ3と、導管4と、ガラスフィルタ6と、このガラスフィルタ6上に載置された測定部5とからなっている。上記の容器2は、その頂部に開口部2aを、その側面部に開口部2bをそれぞれ有しており、開口部2aに外気吸入パイプ3が嵌入される一方、開口部2bに導管4が取り付けられている。また、容器2には、所定量の生理食塩水12が入っている。外気吸入パイプ3の下端部は、生理食塩水12中に没している。上記のガラスフィルタ6は、直径70mmに形成されている。そして、容器2およびガラスフィルタ6は、導管4によって互いに連通している。また、ガラスフィルタ6は、外気吸入パイプ3の下端と同じ高さになるように調節する。図2に示すように、上記の測定部5は、濾紙7と、支持円筒9、重り11とを有している。濾紙7はアドバンテックNo2、直径60mmのものを使用する。そして、測定部5は、ガラスフィルタ6上に、濾紙7、支持円筒9がこの順に載置されると共に、支持円筒9内部、重り11が載置されてなっている。支持円筒9は、内径60mmに形成されている。重り11は、吸収性複合体13に対して、0.8psiの荷重を均一に加えることができるように、その重量が調整されている。上記構成の測定装置を用いて吸収性複合体の加圧下吸収倍率を測定した。測定方法について以下に説明する。先ず、容器2に所定量の生理食塩水12を入れる、容器2に外気吸入パイプ3を嵌入する、等の所定の準備動作を行った。次に、ガラスフィルタ6上に濾紙7を載置した。一方、これら載置動作に並行して、支持円筒9内部に吸収性複合体13を配置し、この吸収性複合体13の上に重り11を載置した。次いで、上記支持円筒9を、その中心部がガラスフィルタ6の中心部に一致するようにして載置した。そして、支持円筒9を載置した時点から、10秒毎に吸収性複合体13が吸収した生理食塩水12の重量W(g)を、天秤1を用いて測定した。吸収性複合体の加圧下吸収倍率は(式9)に従って求める。
(式9)
吸収性複合体の加圧下吸収倍率(g/g)=重量W(g)/吸収性複合体の重量(g)
吸収性複合体の0.8psi荷重下の加圧下吸収倍率は、好ましくは8g/g以上であり、より好ましくは11g/g以上、さらに好ましくは14g/g以上である。加圧下においても無加圧の場合と同様に、面積あたりの吸収量も求めることができる。0.8psi加圧下における面積あたりの吸収量は、0.1g/cm2であることが好ましく、より好ましくは0.15g/cm2以上、さらに好ましくは0.2g/cm2以上である。
(1分後吸収倍率)
1分後吸収倍率は、初期の液体の吸収速度を表す。紙オムツなどの衛生材料用途においては、瞬時に体液を吸収することが求められるため、1分後吸収倍率が大きいほど好ましい。1分後吸収倍率は(式10)に従って求められる。具体的には以下の方法で測定する。
吸収性複合体を縦2cm、横7cmに切り取り、重量を測定する。1000ccのガラス製ビーカーに生理食塩水を700cc入れておく。まず、縦80cm、横70cmのT−Bagの重量を測定し、T−Bagのみの状態で1分間吸水させて遠心分離を行い、その後重量を測定する。この重量を、吸水前のT−Bagの重量で割ることにより、T−Bagの1分後吸収倍率を求める。同じ大きさのT−Bagの重量を測定し、T−Bagに吸収性複合体を入れる。T−Bagを液から素早く引き出すために、ひものついたクリップを用意し、T−Bagにとりつけ、布が折れたり絡んだりしないように丁寧に素早く液へ漬け込む。漬け込んでから1分経過後に、ひもをもって速やかに引き上げる。その後クリップをはずし、150Gで3分間遠心分離を行い、重量を測定する。総重量からT−Bagの吸水分を引き、吸水前の吸収性複合体重量で割ることにより1分後吸収倍率を求める。吸収性複合体の引き上げから遠心分離の開始までは15秒以内とする。
(式10)
1分後の吸収倍率(g−生食/g)=(遠心後の重量(g)−T−Bagの重量(g)*T−Bagの1分後の吸収倍率)/吸収性複合体の重量(g)
(剛軟性)
吸収性複合体の剛軟性は、JIS規格L1096記載の剛軟性D法(ハートループ法)によって行う。表と裏とで粒子の粒径や分布が異なる場合は、異なった値となるが、本発明においては、硬い方、つまり値が小さいほうを剛軟性とする。剛軟性は40mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましく60mm以上であることがさらに好ましい。
9.吸収性複合体の使用法について
本発明の吸収性複合体の好ましい使用法として、体液吸収物品の構成要素としての使用が挙げられる。以下に体液吸収物品の構成要素として使用される場合について説明する。
(体液吸収物品)
本発明の体液吸収物品とは、透液性シート、不透液性シートとその間に介在する吸収性複合体から構成される体液吸収物品であり、体液を吸収する能力をもつ物品全てを指す。本発明において吸収する体液は特に限定されず、例としては尿、経血、母乳、軟便等が挙げられる。物品の形状も特に限定されないが、パッド状やテープタイプ、パンツ型などが好ましく使用される。具体的な例の一つとしては、おむつや生理用ナプキン、尿取りパッド、母乳パッド等が挙げられる。
本発明の吸収性複合体を、透液性シート、不透液性シートと組み合わせると、薄型・軽量で高い吸収速度をもった体液吸収物品を構成することができる。また、使用中に体液吸収物品中における吸収体のずれや移動がおきにくいため、安定的に体液を吸収させることができる。
本発明において透液性シートとは、シート形状であり、シートに水をかけたときに水が透過するようなものであればどのようなものでも構わないが、JISL0206で定義されるような布であることが好ましい。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明の透液性シートに使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、不織布が最も好ましい。肌と接触した部分の湿潤感をなくし、肌触りを快適にするためには、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系からなる吸水能力の低いシートが好ましく、短時間で液体を透過させる観点からすると、透水処理や親水化処理を施したポリオレフィン系であることが好ましい。
本発明において不透液性シートとは、シート形状であり、水を透過しないシートであればどのようなものでも構わない。蒸れを防止する観点から通気性のよい素材であることが好ましい。
本発明の体液吸収物品においては、少なくとも透液性シート、不透液性シートと間に介在する吸収性複合体があれば問題ないが、透液性シートと吸収性複合体の間、および/または不透液性シートと吸収性複合体の間にその他の部材が存在していても構わない。また、透液性シート、不透液性シートの外側にその他の部材が存在していても構わない。
ここで使用される部材には、例えばパルプなど繊維状のものや、吸収性樹脂など粒子状のものや、ティッシュ、布、紙などシート状のものなどが挙げられる。これらの部材が本発明の吸収性複合体と接着されていても構わない。接着法としては、接着剤を使用して接着されていても構わないし、本発明の吸収性複合体中の吸収性樹脂粒子と直接接着していても構わない。体液吸収性物品においては、透液性シート、不透液性シート、吸収性複合体の他に、例えば、体に固定するためのテープやゴム、横からの漏れを防止するためのギャザーなどがあることは好ましい。
本発明の体液吸収物品の形状としては、正方形や真円、長方形や楕円、台形を組み合わせたような形状でもよいし、不定形でも構わない。長方形や楕円形、またはそれに準ずるような長手方向と短手方向(長手方向に対して垂直な方向)を持つ形状であると、おむつや生理用品、尿取りパッド等の場合は、股の形状に合わせて装着できるため好ましい。長手方向をもつ吸収性複合体の形状の一例を図3に示した。吸収性複合体をその他の部材と接着するための、のりしろとなる部分があっても構わない。
なお、吸収性複合体中に吸収性樹脂の存在しないのりしろの部分があってもかまわないが、その場合、吸収性複合体の吸収性樹脂の坪量などは、その部分を省いた状態で、吸収性複合体として好ましい条件範囲を満たしていることが好ましい。
吸収性複合体の使用枚数は1枚でもよいし、複数枚を使用してもよい。薄型化の物品を構成するためには1枚のみを使用したほうが好ましい。より高い吸収力をもった物品を構成するためには複数枚使用することが好ましい。複数枚を使用する時は、それぞれを重ねて使用してもよいし、並べて使用してもよい。また、全く同じ形状のものを使用してもよいし、異なった形状のものを使用してもよい。無駄なく吸収力を向上させるためには、体液の分泌される部分のみ重ねて使用することが好ましく、漏れを防止したい時には、漏れ易い部分を重ねて使用することが好ましい。
体液吸収物品中における吸収性複合体の状態は特に限定されず、吸収性複合体シートが完全に伸ばされた状態でもよいし、しわがよった状態でもよいし、折り曲げられた状態でもよい。
(体液吸収物品の性能評価)
・戻り性(リウエット性)、液拡散長の評価
十分な広さのある木の板を水平な実験台の上に設置し、その上に体液吸収物品の四隅を物品がしわがよらない程度に伸ばした状態で画鋲を用いて固定する。37℃に暖めた生理食塩水を20g量り取り、2秒かけて吸収性複合体の中心部分に滴下する。液滴下開始から15秒後に、アドバンテック製No2、直径150mmの濾紙を1辺10cmの正方形に切り取った濾紙を約100gになるように重ねて液滴下部に静置する。その上に3.5kgの荷重をかける。荷重の設置から3分後に荷重をはずし、濾紙の重量を測定し、増加した重量を戻り量とする。液滴下開始から5分後に、縦方向に拡散した長さを測りこれを液拡散長とする。
濾紙設置を、液滴下開始から5分後にする以外は同様の操作を行い、これを5分後戻り量とする。
以下に本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されない。
製造例1
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。試薬アクリル酸100gを水91.02gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、25質量%のアンモニア水溶液117.94gを攪拌しながら徐々に加え40質量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。
300mlセパラブルフラスコにこの40質量%アクリル酸アンモニウム水溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0187g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次に42質量%グリセリン水溶液をシリンジにて0.43g添加、よく攪拌した後にそれぞれ1gの水に溶かした30質量%過酸化水素水溶液 0.0917gとロンガリット 0.0415gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始5分で100℃まで上昇する。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕した。これを吸収性樹脂1とする。この樹脂の表面強度は0.5Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は96%、表面の塩濃度は90%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例2
製造例1で製造した吸水性樹脂をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。これを吸収性樹脂2とする。表面塩強度は2.7Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は70%、表面の塩濃度は30%、中心部の塩濃度は95%であった。
製造例3
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム31.78gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度70%)。300mlセパラブルフラスコにこの単量体溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱酸素し、反応系中を窒素置換した。それぞれ1gの水に溶かした30質量% 0.0826gとロンガリット 0.0518gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始から10分で70℃まで上昇する。最高到達温度記してから5分後に内部温度が75℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。所定時間経過後、セパラブルフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕した。これを吸収性樹脂3とする。この樹脂の表面強度は0.9Nであった。
製造例4
イソプロピルアルコール0.6g、グリセリン0.02g、水0.06gの混合液を作り、製造例3で製造した吸水性樹脂2gに均一に散布した。これをイナートオーブンを用いて180℃にて10分間加熱を行った。これを吸収性樹脂4とする。この樹脂の表面強度5.9Nであった。
製造例5
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。精製したアクリル酸753gを氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ち、和光純薬製、試薬特級品25重量%アンモニア水溶液625gを攪拌しながら徐々に加え66重量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。ここへ水1gに溶解したN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.0395gを添加、攪拌して溶解させた後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸アンモニウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸アンモニウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら120rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を120rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gとグリセリン8.35gを混合した溶液を15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が80℃となるまで加熱した後3時間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。70℃にてイナートオーブンを用いて6時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕した。これを吸収性樹脂5とする。この樹脂の吸収倍率は70倍であった。この樹脂の表面強度は0.4Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は95%、表面の塩濃度は88%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例6
製造例7において、重合時の攪拌速度を120rpmから400rpmに変更した以外は、製造例7と同様の操作を行った。ここで得た吸収性樹脂6とした。この樹脂の吸収倍率は80倍であった。この樹脂の表面強度は0.4Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は95%、表面の塩濃度は87%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例7
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。試薬アクリル酸2557.8gを水2087.3gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、40.5重量%NaOH水溶液3507.0gを攪拌しながら徐々に加え40重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を得た。
上記で得たアクリル酸ナトリウム水溶液1733.0gを水341.5gに溶解した。このアクリル酸ナトリウム水溶液に、アクリル酸227.7gを加え、40重量%のアクリル酸ナトリウム/アクリル酸=70/30水溶液2302.2gを得た。架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド2.5gを加え溶解した後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸ナトリウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸ナトリウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら400rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を400rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gとグリセリン4.2gを混合した溶液を15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が80℃となるまで加熱した後3時間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕した。これを吸収性樹脂7とする。この樹脂の吸収倍率は55倍であった。この樹脂の表面強度は、1.2Nであった。
製造例8
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。試薬アクリル酸2557.8gを水2087.3gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、40.5重量%NaOH水溶液3507.0gを攪拌しながら徐々に加え40重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を得た。
上記で得たアクリル酸ナトリウム水溶液1733.0gを水341.5gに溶解した。このアクリル酸ナトリウム水溶液に、アクリル酸227.7gを加え、40重量%のアクリル酸ナトリウム/アクリル酸=70/30水溶液2302.2gを得た。架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド2.5gを加え溶解した後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸ナトリウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸ナトリウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら400rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を400rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gを15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が80℃となるまで加熱した後3時間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕した。これを吸収性樹脂8とする。この樹脂の吸収倍率は57倍であった。この樹脂の表面強度は、1.1Nであった。
Figure 2008086590
Figure 2008086590
実施例1
坪量45g/mのレーヨンスパンレースを縦16cm、横8cmの大きさに2枚切り取った。1枚の上に製造例1の樹脂のうち、300μmの篩を通過し、106μmの篩を通過出来ない樹脂のみを取り出した。この樹脂の平均粒径は180μmであった。この樹脂1.0gを1枚のレーヨンスパンレースの上に均一に散布した。霧吹きを用いて樹脂の上から水を散布した。もう1枚のレーヨンスパンレースにも、霧吹きを用いて水を散布し、樹脂面の上に重なるように配置した。上から荷重をかけて密着させた後に、イナートオーブンを用いて180℃10分の乾燥を行った。吸収性樹脂を介して、2枚のレーヨンスパンレースは強固に接着していた。これを実施例1とする。
実施例2
製造例3の樹脂を用いる以外は実施例1と同様の方法で吸収性複合体を製造した。この樹脂の平均粒径は190μmであった。これを実施例2とする。
実施例3
製造例5の樹脂のうち、300μmの篩を通過する樹脂のみを使用し、加熱条件を180℃7分とする以外は実施例1と同様の方法で吸収性複合体を製造した。この時の平均粒径は210μmであった。これを実施例3とする。
実施例4
製造例6の樹脂のうち、200μmの篩を通過する樹脂のみを使用し、加熱条件を180℃7分とする以外は実施例1と同様の方法で吸収性複合体を製造した。この時の平均粒径は60μmであった。これを実施例4とする。
実施例5
製造例7の樹脂を使用する以外は実施例3と同様の方法で吸収性複合体を製造した。この時の平均粒径は50μmであった。これを実施例5とする。
実施例6
製造例8の樹脂を使用する以外は実施例3と同様の方法で吸収性複合体を製造した。この時の平均粒径は110μmであった。これを実施例6とする。
実施例7
基材を25g/m2のレーヨンとする以外は、実施例4と同様に吸収性複合体を製造した。これを実施例7とする。
実施例8
ナイロン製の旭化成せんい社製「スパンボンド」登録商標を縦16cm、横8cmに切り取った。製造例6の樹脂のうち、200μmの篩を通過する樹脂のみを1gを基材上に散布した。霧吹きで水を散布したのち、テフロン(登録商標)シートを被せて荷重をかけて密着させた。イナートオーブンにて150℃30分の加熱し、吸収性複合体を製造した。接着していない粒子があり、これは複合体に含めない。これを実施例8とする。
実施例9
王子キノクロス社製の「王子キノクロスKS−40」登録商標を使用する以外は実施例4と同様に吸収性複合体を製造した。これを実施例9とする。
実施例10
坪量45g/m2のレーヨンスパンレースを縦16cm、横8cmの大きさに1枚切り取った。坪量25g/mのレーヨンスパンレースを2枚切り取った。製造例6の樹脂のうち、200μmの篩を通過する樹脂のみを取り出した。この樹脂0.5gずつを2枚の25g/mのレーヨンスパンレースの上に均一に散布した。霧吹きを用いて樹脂の上から水を散布した。もう45g/mのレーヨンスパンレースの両面に、霧吹きを用いて水を散布した。45g/mのレーヨンスパンレースの両面に樹脂が重なるように、先に用意した2つの25g/mのレーヨンスパンレースの樹脂側を接触させた。表層に25g/mのレーヨンスパンレース、樹脂層を介して中心に45g/mのレーヨンスパンレースというサンドイッチ構造となる。上から荷重をかけて密着させた後に、イナートオーブンを用いて180℃8分の乾燥を行った。吸収性樹脂を介して、3枚のレーヨンスパンレースは強固に接着していた。これを実施例10とする。
実施例11
坪量45g/m2のレーヨンスパンレースを縦16cm、横8cmの大きさに1枚切り取った。坪量25g/mのレーヨンスパンレースを1枚切り取った。製造例6の樹脂のうち、200μmの篩を通過する樹脂のみを取り出した。この樹脂0.5gずつを2枚のレーヨンスパンレースの上に均一に散布した。霧吹きを用いて樹脂の上から水を散布した。45g/mのレーヨンスパンレースの方は、粒子のない面にも水を散布し、散布した面と、25g/mのレーヨンスパンレース上にある粒子とが接触するように重ね合わせた。粒子が剥離しないように、上からテフロン(登録商標)シートを被せて荷重をかけて密着させた後に、イナートオーブンを用いて180℃8分の乾燥を行った。実施例10と比較して、基材が1枚少ない形の複合体である。これを実施例11とする。表層に大量の樹脂層があるため、吸収後の粒子が剥がれやすかった。
実施例12
樹脂の使用量のみ実施例11と変化させて吸収性複合体を製造した。45g/mのレーヨン上には0.1g、25g/mのレーヨン上には0.9gとした。これを実施例12とする。表面に樹脂層が存在するものの、量が少ないため吸収後の粒子の剥がれはほとんどなかった。
実施例13
45g/mのレーヨンスパンレースを3枚使用し、樹脂量を0.35gずつ使用する以外は実施例10と同様の方法で吸収性複合体を製造した。これを実施例13とする。基材に対する吸収性樹脂の重量比率が低く、逆戻り性に劣る。
実施例14
王子キノクロス社製の「王子キノクロスKS−40」登録商標を縦16cm、横8cmに切り取った。均一に水を散布した後に、製造例1の樹脂のうち、300μmの篩を通過し、106μmの篩を通過出来ない樹脂のみを1g散布した。その上にテフロン(登録商標)シートを被せて荷重をかけて密着させた。樹脂のない面に再び水を散布し、そこへ同様に1gの樹脂を散布した。テフロン(登録商標)シートを被せて密着させた後に、イナートオープンにて180℃10分の乾燥を行った。これを実施例14とする。吸収性樹脂の重量比率が高く、樹脂を大量に使用している割には吸収速度が改善されていない。
比較例1
基材をPET製の旭化成せんい社製「スパンボンド」登録商標とする以外は、実施例8と同様に吸収性複合体を製造した。これを比較例1とする。接着していない粒子があり、これは複合体に含めない。
比較例2
樹脂量を3gにする以外は実施例4と同様の方法で複合体を製造した。これを比較例2とする。
比較例3
樹脂量を0.13gにする以外は実施例4と同様の方法で複合体を製造した。これを比較例3とする。
比較例4
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム31.78gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度70%)。窒素ボックス中で、この単量体溶液90gを霧吹きにいれ、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加した。水溶液を窒素ガスでバブリングしたことにより脱酸素した。塩化鉄(III)・6水和物0.022gを水100gに溶解させた溶液を1ml、30重量%の過酸化水素水1ml、L−アスコルビン酸0.12gを水1mlに溶解させた液を、素早く加え攪拌し、旭化成せんい社製のスパンボンドエルタスクリンプ(登録商標)PC8020に噴霧した。ホットプレートを使用し、不織布ごと60℃まで加熱し1時間重合した後、温度を120℃まで上昇させ30分間ホールドし、重合を完結させた。100℃で真空乾燥を行い、残存モノマーを測定したと1000ppm以上であった。
比較例5
製造例6の樹脂のうち、600μmの篩を通過し、400μmの篩を通過できない樹脂のみを使用して、実施例1と同様に吸収性複合体を製造した。これを比較例5とする。この時の樹脂の平均粒径は520μmであった。
比較例6
坪量45g/mのレーヨンスパンレースを縦16cm、横8cmの大きさに2枚切り取った。製造例2の樹脂のうち、300μmの篩を通過し、106μmの篩を通過出来ない樹脂のみを0.9g取り出した。この樹脂の平均粒径は180μmであった。これを2枚の基材の間に均一に散布しこれを比較例6とする。
比較例7
ユニ・チャーム社製ライフリーさわやかパッド15cc用から吸収体部分のみを取り出し、比較例7とする。粒子状の吸収性樹脂が、区画に区切られた袋に固定されずに配置されている構造の吸収体である。
比較例8
リブドゥ社製安心パッドスーパーライトから吸収体部分のみを取り出し、比較例8とする。吸収性樹脂が接着剤を使用して基材に固定化されている。
Figure 2008086590
本発明の吸収性複合体の加圧下吸収倍率の測定装置の説明図。 図1における測定部5の拡大説明図。 長手方向をもつ吸収性複合体の形状の一例 吸収性樹脂中に繊維が侵入して接着している様子を電子顕微鏡写真。吸収性粒子中に繊維が侵入して接着している様子を電子顕微鏡(倍率150倍)写真で示した。丸で囲った部分が吸収性樹脂と繊維との結合部分。黒く見えるところから右上が吸収性樹脂で、左下は基材の繊維部分であり、繊維が黒い部分に侵入して結合している。

Claims (12)

  1. 基材と粒子状の吸収性樹脂が接着されている複合物であって、以下の条件を満たすことを特徴とする吸収性複合体。
    (1)基材が親水性繊維から構成されている、
    (2)平面に対する吸収性樹脂の平均坪量が10〜150g/mである、
    (3)50%以上の吸収性樹脂が基材と直接接着している、
    (4)該吸収性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
    (5)該吸収性樹脂の平均粒径が10〜300μmである。
  2. 基材がセルロース系であることを特徴とする請求項1記載の吸収性複合体。
  3. 少なくとも1枚以上の基材の坪量が28〜100g/mであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の吸収性複合体。
  4. 複数枚の基材を使用した吸収性複合体であり、吸収性複合体の表面における樹脂の平均坪量が0〜20g/mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性複合体。
  5. 2枚の基材を使用し、基材間に配置された樹脂層によって基材同士が接着していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性複合体。
  6. 基材重量に対する吸収性樹脂重量の割合が、35〜300%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸収性複合体。
  7. 吸収性樹脂が、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であり、吸収性樹脂中の酸基のうち50%以上がアンモニウム塩の形で中和されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸収性複合体。
  8. 吸収性樹脂が、ポリアクリル酸塩を主とした共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性複合体。
  9. 吸収性樹脂にカルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上もった化合物が共存していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の吸収性複合体。
  10. 基材および/または吸収性樹脂を吸水させた後、該樹脂と基材を接触させ、その後脱水乾燥させることで製造することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性複合体の製造方法。
  11. 複数枚の含水状態の基材間に樹脂を配置し、密着させた後に脱水乾燥させることを特徴とする請求項10記載の吸収性複合体の製造方法。
  12. 透液性シート、不透液性シートおよび両者の間に請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性複合体を有することを特徴とする体液吸収物品。
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