JP5000198B2 - 漏れの少ない吸収体及び体液吸収物品 - Google Patents
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Description
すなわち、以下のような吸収体および該吸収体を利用した体液吸収性物品である。
〔1〕少なくとも吸収性複合体と繊維から構成されている吸収体であって、吸収性複合体と繊維の比率が1:1〜1:0.07であり、吸収性複合体が以下の条件を満たすことを特徴とする吸収体。
(1)セルロース系の基材と粒子状の吸収性樹脂から構成されている複合物である、
(2)該吸収性複合体に対する吸収性樹脂の組成比が65〜99重量%である、
(3)基材と直接接着している吸収性樹脂が全吸収性樹脂の50重量%以上である、
(4)該吸収性樹脂の平均吸収倍率が50g/g以上である、
(5)該吸収性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性樹脂が縮合型架橋剤を含有する、
(7)基材上に吸水性樹脂が配置されている。
〔2〕吸収性複合体が、少なくとも基材の片面において、粒径550μm〜2100μmの吸収性樹脂粒子の面積充填率が1〜30%を満たすことを特徴とする〔1〕記載の吸収体。
〔3〕繊維の目付けが15〜300g/m2であることを特徴とする〔1〕あるいは〔2〕に記載の吸収体。
〔4〕繊維の吸収倍率が8g/g以上のものであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の吸収体。
〔5〕繊維が、セルロース及び/又はセルロース誘導体を含むことを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の吸収体。
〔6〕繊維が、パルプであることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の吸収体。
〔7〕吸収性複合体と繊維が、シートによってラッピングされていることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の吸収体。
〔8〕透液性シート、不透液性シートおよび両者の間に〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の吸収体を有することを特徴とする体液吸収物品。
1.吸収体の構成について
本発明において吸収体とは、液体を吸収し、保持する能力を持つ構造物のことをいう。本発明の吸収体は、少なくとも吸収性複合体と繊維を組み合わせた構造である。吸収性複合体と繊維以外のものが含まれていても構わない。吸収体には、漏れを防ぐために排出された液体の流れを止める瞬間の液体捕獲能力と、捕獲した液体を閉じ込める吸収能力が求められる。本発明の吸収性複合体は、吸収性樹脂を基材に特定の状態で配置することにより、樹脂の力を無駄なく発揮させ、薄型でかつ高い吸収能力を持つ。この吸収性複合体に、繊維を特定の比率で組み合わせることにより、吸収能力を犠牲にせずに液体捕獲能力を高めることができる。
本発明における吸収性複合体と繊維の組み合わせの形態はどのようなものでもよい。シート形状である吸収性複合体で繊維を包みこんでもよいし、繊維を吸収性複合体の上面及び/または下面に配置するだけでもよい。繊維がシート形状であるときには、繊維シートにより吸収性複合体を包み込む形でもよい。吸収体には吸収性複合体を複数枚使用してもよいし、繊維層も複数あって構わない。繊維は全体的に均一な厚みになっていることが好ましいが、液の捕獲力が特に必要な液体の注入部を厚くしておくことは好ましいといえる。体液吸収物品においては、トップシート側に繊維が配置されることは、着用時の感触の観点から好ましい。しかし、繊維が親水性繊維である場合には、大量に配置しすぎるとドライ感の低下を引き起こす場合があるので、トップシート側に配置される量を適度に調節することが好ましい。
本発明の吸収体は、シートによってラッピングされることが好ましい。ラッピングされていると、短繊維や粒子径の小さい吸収性樹脂が固定されずに使用されている場合においても、外部への漏れ出す可能性を低減させることができるため好ましい。ここでいうシートは、繊維であってもよいし、繊維以外でも構わないが、繊維から構成されるシートであることが好ましく、布または紙であることが好ましい。更には親水性シートであることが好ましい。本発明においてラッピングされているとは、吸収体を袋状に包み込んでいる状態を表す。1枚のシートで包み込んでも構わないし、複数枚のシートをつなぎ合わせたり、接着させたりすることで吸収体を覆っていても構わない。この時、一部に開放部があっても構わないが、完全に密閉系であることが好ましい。
本発明において繊維とは、JISL0204中に記載されている広義の意味の繊維、及び繊維による造形物を意味する。繊維による造形物とは、例えば布や紙があげられる。本発明における繊維の原料はなんでもよい。天然繊維、合成繊維のどちらでもよいし、さらに複数の繊維の組み合わせも構わない。繊維の長さは、短繊維でも長繊維でもかまわない。強化のためや親水性付与のために処理をほどこしていても構わない。疎水性のものより親水性のものが吸液性、通水性、液の捕獲力に優れているため好ましい。親水性繊維のなかでも、特にセルロース及び/又はセルロース誘導体を含む繊維が好ましい。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維と混ぜたものでもよい。セルロースのなかでも、液体の捕獲力、コストの面からパルプであることが好ましい。本発明におけるパルプとはJISP0001に記載されている広義のパルプを指す。パルプの種類や成分、製造方法はどのようなものでもよいが、繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能及び価格の面で優れ、エアレイド法により作製されたものが好適である。なお、本発明においては、吸収性複合体に繊維から構成される基材を使用する場合もあるが、基材の大部分の面積は樹脂と接着されており、捕獲力に劣るため、基材とは別な繊維である必要がある。
吸収性複合体と繊維の比率は、1:1〜1:0.07であることが必須であるが、1:0.9〜1:0.15であることが好ましく、1:0.8〜1:0.2であることがより好ましく、1:0.7〜1:0.25であることが更に好ましく、1:0.6〜1:0.3であることが最も好ましい。繊維の比率が低いと、十分な液の捕獲能力が得られないし、繊維の比率が高すぎると、繊維から吸収性複合体が液体を奪うことが困難になり、吸収性能が低下してしまう。
本発明における繊維の好ましい使用量は、15〜300g/m2であり、より好ましくは25〜240g/m2であり、更に好ましくは40〜200g/m2であり、最も好ましくは60〜170g/m2である。少なすぎると、液の捕獲力に劣るが、多すぎると吸収性複合体による吸収を阻害する恐れがあるし、液の逆戻りの原因になることもあるため好ましくない。
本発明における繊維の吸収倍率とは、繊維が0.9%生理食塩水を60分間で吸収して何倍の重量になるかを測定したものであり、具体的には以下のような方法で測定する。複数の繊維を使用している場合には、分離させてそれぞれ測定を行う。分離が困難である場合には、混合物として吸収倍率を求めてよい。この場合には、5点以上のサンプリングを行い平均をとることとする。不織布製のティーバッグ式袋(60×40mm)に繊維0.1gを均一に入れる。1Lのビーカーに23℃の生理食塩水を500g以上用意しておき、ティーバッグを漬け込む。60分後、ティーバッグを針金ごと生理食塩水から取り出し、斜めの状態にして10分間吊り下げる。10分後ティーバッグの重量を計測する。同様に繊維をいれずに測定したものをブランクとする。吸収倍率は、以下の式によって求められる。ちなみに繊維がシート形状であるときには、基材の吸収倍率と同様の方法で求める。
繊維の吸収倍率(g/g)=(吸収後の重量(g)−ブランクの重量)/吸収前の重量(g)
本発明においては、繊維の吸収倍率は8g/g以上60g/g以下であることが好ましく、更に好ましくは10g/g以上50g/g以下であり、最も好ましくは12g/g以上40g/g以下である。親水性が高いと、液の捕獲能力に優れるため好ましい。
本発明において、吸収性樹脂と基材を組み合わせたものを吸収性複合体と呼ぶ。この際、吸収性樹脂の50重量%以上が基材と直接接着して、樹脂位置変化が少ない複合体である。したがって、基材とはシート形状が維持できるものである。この吸収性複合体にパルプ等の短繊維やその他シート状材料を混合して吸収体としての性能を調整することは好ましいことである。
本発明の吸収性複合体において、基材と吸収性樹脂が接着しているとは、基材に吸収性樹脂が固定化されていて、実質的に基材と吸収性樹脂の位置関係が変化しないことを表す。本発明においては、吸収性複合体の端を手で持ち固定し接着粒子が存在する面を下にして、20cmの幅で1秒間に2往復の速さで1分間振って、脱離しない粒子を接着しているとする。接着している粒子の割合は、脱離した粒子の重量と、接着している粒子をピンセット等で無理やり引き剥がし重量の測定をすることで求められる。基材と吸収性樹脂の位置関係が変化しないと、使用前の運搬などによって吸収性複合体の性能が変化することもないし、繰り返し吸液の観点からも好ましい。本発明においては50重量%以上の吸収性樹脂が直接接着していることが必須であり、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは99%重量以上が接着していることである。
本発明において、直接接着しているとは、接着剤等の基材、吸水性樹脂、またはこれらに由来する成分以外の成分を利用せずに接着していることをいう。ただし、膨潤規制が生じない程度に接着剤を併用している場合は、直接接着に含まれる。直接接着している粒子の割合は、接着剤を溶解する溶剤に吸収性複合体を1時間浸漬した後になお接着している吸水性樹脂の量を測定することで求められる。
接着された大粒の配置は、後述する樹脂面積充填率1〜30%を満たしていることが好ましいが、大粒が想定の液量吸収時に触れ合うことのないように配置されて接着されていると、大粒が吸収性能を発揮しやすく好ましい。また、基材の片面のみに大粒が接着されていても構わないし、基材の両面に接着されていてもかまわない。両面に接着されている方が、面積あたりの吸収量が大きくなるため好ましい。
本発明の吸収性複合体における樹脂比率とは、複合吸収体中の吸収性樹脂の割合を示したもので、具体的には(式1)のように決定される。
(式1)
樹脂比率(質量%)=A/B×100
ただし、吸収性複合体中の吸収性樹脂重量をA(g)、複合体の総重量をB(g)とする。
樹脂比率は65質量%以上99%未満であることが必須であり、好ましくは70質量%以上99質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上99質量%以下である。樹脂比率が高いほど、複合体としての総吸収量が高くなるため好ましい。吸収性樹脂の重量は全ての粒子をはがした状態で測定する。
6.樹脂面積充填率について
本発明の吸収性複合体における樹脂面積充填率とは、吸収性樹脂が液体を吸収した時に粒子同士の接触しやすさを表す指標である。本発明において樹脂面積充填率は以下のように測定する。
光学顕微鏡、または電子顕微鏡により吸収性複合体の表面の写真を測定する。この時、吸収性樹脂と基材が区別でき、1枚の写真中に吸収性樹脂粒子が10個以上入る状態で撮影できるように測定条件、倍率を選択する。写真を拡大コピーし、吸収性樹脂部分と基材部分を切り取り分ける。写真の倍率、拡大コピーの倍率から計算して、複合体上で1辺500μm相当である正方形の紙を用意する。同様に1辺2500μm相当である正方形の紙を用意する。吸収性樹脂粒子のコピーを、これら正方形の紙に重ね合わせた時、500μmの正方形の内部に完全に入るもの、及び、2500μmの正方形から一部でもはみ出る粒子を取り除き、これを吸収性樹脂部分とする。それぞれ重量を測定して以下の(式2)にしたがって計算する。吸収性複合体の任意の点を5点以上撮影し、その平均値を面積充填率とする。吸収性樹脂を基材の両面に接着させる場合においては、それぞれの面において別々に測定する。
樹脂面積充填率(%)=吸収性樹脂部分の重量/全体の重量×100
樹脂面積充填率は1〜30(%)であることが好ましくであり、より好ましくは2〜25であり、更に好ましくは3〜20である。面積充填率が高すぎると吸収性樹脂が膨潤した時に吸収性樹脂同士が接触し、ブロッキングが起こり吸収性樹脂の能力をフルに発揮することができなくなるので好ましくない。また、樹脂面積充填率が低すぎると、吸収性複合中の面積あたりの吸収量が少なくなるため好ましくない。
本発明の吸収性複合体における総表面積係数とは、吸収性複合体の単位面積あたりの吸収性樹脂の表面積を表す指標である。総表面積係数が大きいほど、吸収性複合体の吸収速度が速くなるため好ましい。総表面積係数は0.3〜3であることが好ましく、0.4〜3であることがより好ましく、0.5〜3であることが更に好ましい。本発明における総表面積係数は、吸収性複合体に使用されている吸収性樹脂を回収し、所定の粒径ごとに分け、粒径ごとの粒子重量、かさ比重を測定し、(式3)によって求める。
Wrは粒子径がr(cm)である粒子の重量の合計(g)
Crは粒子径がr(cm)である粒子のかさ比重(g/cm2)
Sは吸収性複合体の面積(cm2)
吸収性樹脂の粒子径とかさ比重は、吸収性複合体から吸収性樹脂を取り出し(接着した粒子については引き剥がし)回収して測定するが、その際、繊維等が吸収性樹脂表面についている場合は、繊維を取り除いて測定する。吸収性樹脂中に繊維が浸入している場合は、粒子表面の繊維を切り取り測定する。吸収性樹脂表面に接着剤などが塗布されている場合は、吸収性樹脂が吸収することのできない溶剤を用いて、接着剤を除去する。
総表面積係数は0.3〜3であることが好ましく、0.4〜3であることがより好ましく、0.5〜3であることが更に好ましい。総表面積係数が大きいほど吸収速度が向上するため好ましい。
本発明の吸収性複合体中の吸収性樹脂は、吸収性樹脂の重量に対する残存モノマー濃度が200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm下、更に好ましくは50ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。残存モノマーが多いと、液吸収時の溶出成分が多く性能的に好ましくない。本発明の複合体は予め製造された吸収性樹脂を出発原料とし、当該樹脂を基材と接触させた後、製造されることが好ましい方法であるが、基材との接触前の吸収性樹脂の残存モノマー濃度は5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましく0.05%以下であることが最も好ましい。出発原料として残存モノマーが多い状態の吸収性樹脂を使用すると、複合体製造時に該残存モノマーの重合反応を完結させるのが困難であるし、反応方法によっては基材の風合いを損なうことがあり好ましくない。残存モノマー量は、以下のような方法を用いて定量することができる。吸収性樹脂を、樹脂重量の250倍の0.9%生理食塩水に加え、撹拌しながら6時間程度抽出した後に濾過をする。濾液を、液体クロマトグラフィー法を用いて定量する。
以下に、使用する吸収性樹脂の好ましい例としてポリアクリル酸部分中和物架橋体の製造方法をあげておく。
測定装置は Bio−Rad社製 FTS−575を用いる。
試料:吸収性樹脂0.10gを精秤し、底面に75μmの孔径のナイロンシートを貼り付けた内径20.5mm、高さ50mmの円筒容器の底に均一に入れた。50φのシャーレを用意し、0.90gの生理食塩水をいれ、吸収性樹脂の入った円筒容器を静置し、1時間吸収膨潤させた。
測定:1kNのロードセルを使用し、直径19.7mmの円柱軸をとりつけた。測定レンジは0.2kNと設定し、ロードセルに荷重がかからない高さにあわせ、そこから降下速度0.6mm/分という一定の速度で下がるように設定する。ロードセルに加わる圧力を経時的に記録した。ここで、表面強度とは実体積になった時点における荷重(N)を表す。吸収性樹脂の実体積は、生理食塩水の比重1.010g/cm3と吸収性樹脂の比重を利用して計算した。
吸水性樹脂の吸収倍率(g/g)={(吸収後のティーバッグの重量)−(吸収後のブランクのティーバッグの重量)−(吸収性樹脂の重量)}/(吸収性樹脂の重量)
本発明の吸収性樹脂の加圧下吸収倍率は以下の方法により測定する。吸収性樹脂0.02gを内径25mm、高さ30mmで底部に250メッシュのナイロン不織布を備えたアクリル樹脂製円筒に入れ、円筒の中にスムーズに動くシリンダーを入れて測定装置とし、重量を測定する。測定装置のシリンダーの上部に0.8psi相当の278.33gの荷重を載せて荷重とし、0.9%生理食塩水60gを入れた内径120mmのシャーレに入れる。60分後に取り出してキムタオルの上に3秒間静置して水切りをし、荷重を取り除いた後の装置の重量を測定し、(式5)に従って加圧下吸収倍率を算出する。
吸収性樹脂の荷重下の吸収倍率(g/g)=(吸収後の装置の重量(g)−吸収前の装置の重量(g))/(吸収性樹脂の重量)
吸収倍率が70g/g以上、0.8psi荷重下における吸収倍率が20g/g以上である吸収性樹脂から構成される引張破断強度が0.6(N/20mm)以上である吸収性複合体は、加圧下、無加圧下共に優れた吸収特性を示すため紙オムツ等の衛生材料用途に好ましい。この時、吸収性複合体は吸収性樹脂と紙及び/または布から構成されていることが好ましく、吸収性樹脂同士がブロッキングしないように吸収性樹脂同士が離れた状態にあることが更に好ましく、90%重量以上の吸水性樹脂が紙及び/または布に接着されていることが最も好ましい。
Y=−1.6X+345
ただし、Yは加熱時間(分)、Xは加熱温度(℃)
このような方法で得られる吸収性樹脂は、ブロッキングを起こしやすいため、過去に行われているような吸収性樹脂同士が密着するような評価法を適用すると、特に吸水速度や加圧下の吸収性能においては劣った結果となる。しかしながら、複合体中の樹脂状態を想定した本発明中の測定方法においては、吸収性樹脂の性能を発揮できるため、無加圧においても加圧下においても吸水速度においても優れた吸収能力を示す。
本発明の吸収性複合体中には大粒が使用される。大粒の粒径は、550〜2100μである。吸収性複合体の面積当たりの吸収倍率を高めるためには、より大きな粒子を使用することが好まれるが、粒径が大きすぎると吸収速度の著しく低速となり、また、衛生材料用の吸収体の中に使用する場合、粒子の突き出しによる肌に対する痛さ等が問題となる。したがって、大粒の好ましい粒径としては700〜1800μm、さらに好ましくは850〜1400μm、最も好ましくは850〜1200μmである。
本発明において基材とは、シート形状を保てる素材のことをいう。本発明においては、基材はシート状であればどのような素材でも構わないが、好ましくは紙および/または布である。紙とは、JISP0001で定義される広義の意味での紙のことを指し、布とはJISL0206で定義されるシート状繊維製品の総称である。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明に使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、最も好ましくは不織布である。紙及び/又は布は、パルプなどの短繊維などと異なり形態安定性に優れているため好ましい。
試料:15cm×2cmの長方形型基材(方向を変えて何種類か用意する)
装置:引張試験機(島津のオートグラフ)
方法:1Lビーカーに0.9%生理食塩水を700g取り、基材を10分間浸漬させる。基材を引き上げ、キムタオル上に1分間放置し、間隔が10cmとなるように両端から2.5cmの部分をセットし、10mm/分のスピードで破断するまで引っ張り続ける。この時の力を記録し、最大値を強度N/20mmとする。方向があるものについては、方向を変えて何点か行い一番数値の低い値を強度とする。
本発明において基材の吸収倍率とは、基材が0.9%生理食塩水を60分間で吸収して何倍の重量になるかを測定したものであり、具体的には以下のような方法で測定する。基材を直径59.5mmの円形に切り取り、重量を記録した後、円周部分から1cmのところに針金を通す。1Lのビーカーに23℃の生理食塩水を500g以上用意しておき、基材を針金ごと生理食塩水に漬け込む。60分後、基材を針金ごと生理食塩水から取り出し、基材が他のものと触れないようにして10分間吊り下げる。10分後針金を抜いて含水基材と付着水の総重量を計測する。基材の吸収倍率は、式(7)で示した。
基材の吸収倍率(g/g)=吸収後の重量(g)/吸収前の重量(g)
本発明においては、基材の吸収倍率は6g/g以上200g/g以下であることが好ましく、より好ましくは8g/g以上100g/g以下、更に好ましくは10g/g以上50g/g以下であり、最も好ましくは12g/g以上30g/gである。吸収性複合体においては、吸収性樹脂よりも繊維の方が吸収速度が速いため、吸収初期には基材が、後期には吸収性樹脂が吸収することとなる。基材の吸収倍率が高いほど初期の液体吸収速度が速くなるため好ましい。通常、基材の吸収は毛細管現象によるもので、荷重がかかった時には液体が戻ってしまうこともあるし、使用中の蒸れの原因となる可能性もある。しかし、本発明の吸収性複合体においては、樹脂が基材の繊維を取り込んだ形で接着しているために、基材から吸収性樹脂が液体を奪い取る形で吸収する。このため、荷重によって液体が戻ったり、使用中に蒸れたりすることは少ない。
基材の吸収速度は、具体的には下記のように測定する。
試料:10cm×2cmの長方形型基材
縦横方向があるものについては、方向を変えて2点以上用意する
装置:電子天秤、直径90mmのシャーレ
方法:電子天秤上にシャーレをおき、基材をシャーレの10cm上から垂直に吊り下げる。シャーレを電子天秤から取り、他の天秤で0.9%の生理食塩水60gを量り取る。基材の下部を手でもち、生理食塩水にふれないようにしてシャーレを電子天秤上に再度設置し、天秤の値を0点に設定する。基材を静かに生理食塩水に漬け込み、電子天秤の値を経時的に記録する。時間(秒)と電子天秤の値の絶対値(mg)をグラフにプロットし、120秒後から240秒後までの間の傾き(mg/秒)を吸収速度とする。基材で方向があるものについては、方向を変えて何点か測定を行い、一番早い値を吸収速度とする。
基材中に、吸収速度の違う方向がある方が好ましいといえる。基材に方向が存在すると、特定の方向への通液性に優れ、特定方向に液体を拡散させやすいため、吸収体中において吸収のバランスをコントロールすることができる。
本発明における基材は、接触角が130度以下である不織布が好ましい。本発明中における接触角とは室温で粘度74cpの44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を基材へ接触させ、10秒後になす角として定義される。測定は、FACE(協和界面科学株式会社)製の接触角計(CA−X150型)を用いて測定する。液は和光純薬の44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(70〜110cp)を水で粘度調整して使用する。粘度は回転円盤粘度計を用いて測定する。
接触角は130度以下であることが好ましく、より好ましくは120度以下であり、更に好ましくは110度以下であり、最も好ましくは100度以下である。接触角が小さいほど、基材と水、基材と吸収性樹脂の親和性が高くなり、吸収性や接着性の点で好ましい。
本発明における吸収性複合体は、吸収性樹脂と基材を原料とし、基材に吸収性樹脂を接着させる工程を含む製法で製造されることが好ましい。接着方法は特に限定されず、前述の条件を満たすような接着方法を行えばよい。接着方法としては、基材に吸収性樹脂をからませる方法や、接着剤を使用する方法などがあげられるが、好ましい方法は、吸収性樹脂100重量部に対して10〜3000重量部の水を吸収性樹脂及び/又は基材に吸収させ、その後、吸収性樹脂と基材が接触した状態から、脱水する方法である。水の量は吸収性樹脂100重量部に対して、20〜2000重量部であることが好ましく、50〜1000重量部であることが更に好ましい。この方法で接着を行うと、不純物となる接着剤も使用する必要がないため好ましい。また、この方法で接着を行うと、吸収性樹脂中に繊維の一部が取り込まれるため、吸収速度や吸収倍率の点で好ましい。水の量が多いほど接着性が高くなり好ましいが、あまりにも多すぎると乾燥に時間がかかりすぎるため非効率的である。
接触の方法の例とは、基材上に上部から吸収性樹脂を散布する方法、表面にくぼみのあるドラムでくぼみ中に吸収性樹脂を収めた後、くぼみ中の吸収性樹脂を基材表面に転写する方法、表面に穴のあいたドラムロールの中に吸収性樹脂を充填しておき基材上へ圧力でドラムより排出して接触させる方法などが挙げられる。吸収性樹脂が膨潤した時に、吸収性樹脂同士の接触がより少なくなるに配置できる方法が、吸収性樹脂の性能を無駄なく発揮しやすいため好ましい。
脱水の方法は、どのような方法を用いても構わない。方法としては、加熱による乾燥、乾燥空気や窒素などを吹きかける方法、真空乾燥、凍結乾燥、共沸脱水、流動乾燥、マイクロウェーブによるなどが挙げられるが、加熱による乾燥が好ましい。加熱の条件は、70〜350℃で1秒〜1000秒の条件で行うことが好ましく、より好ましくは100〜340℃で1秒〜1000秒、更に好ましくは120〜330℃で1秒〜1000秒、最も好ましくは150℃〜300℃で1秒〜1000秒である。高温であるほど短時間で乾燥が可能であるが、高温で長時間加熱を行うと樹脂の種類によっては吸収性能が低下する場合もある。乾燥と同時に、表面架橋などの表面処理を行ってもよい。脱水は、最終製品になるまでの間であれば、いつ行われてもかまわないが、吸収性樹脂の劣化の点から、含水後に速やかに脱水を行うことが好ましい。
(吸収性複合体の好ましい製造例)
本発明の吸収性複合体の好ましい製造例を図1に示した。
図1中の各符号は以下を示す。
a:源反ロール(基材)、b:水噴霧機、c:布および/または紙、d1、d2:吸収性樹脂粒子ホッパー、e1、e2:粒子接着用ドラム、f:吸収性樹脂粒子、g:乾燥装置、h:複合体ロール、i:小粒径粒子散布用ホッパー
本発明の吸収性複合体の好ましい製造法の一例を簡単に説明する。源反ロール(a)から取り出された基材は、水噴霧機(b)等の装置を用いて含水状態の基材(c)にし、その後、ドラム上のくぼみ部分に粒子が置かれた粒子接着用ドラム(e1)より、含水した基材へ吹き付けられ、基材の片面に接着させ、その後、粒子が接着されていない面上へもドラム上のくぼみ部分に粒子が置かれた粒子接着用ドラム(e2)より、粒子が吹き付けられ、更に、吸収性複合体の吸収性能を調整するための粒子を(i)より均一に散布し、両面に粒子が付着された基材が乾燥機を通り乾燥され、強固に粒子が接着された複合体が製造される。
11.吸収性複合体の性能
(吸収性複合体の吸収倍率について)
本発明の吸収性複合体の吸収倍率は、0.9%生理食塩水を自由吸収させた時、3時間後に吸収された量とする。具体的には、直径59.5mmの円状の吸収性複合吸収体を作製し、前述の基材の吸収倍率と同様の方法を用いて測定する。ただし、接着されていない吸水性樹脂を含んでいる場合や、脱離がおきた場合においては、濾過を行って吸水性樹脂を回収し、キムワイプ上で10秒以上静置して水切りを行い、その重量も加えて計算することにする。また、50重量%近くの吸収性樹脂が固定されていない吸収性複合体の場合は、吸水性樹脂の吸収倍率の測定方法に準じて、T−Bagに吸収性複合体をいれて測定する。
(式8)
面積あたりの吸収量(g/cm2)=((吸収後の全重量(g)−吸収性複合体の重量(g))/吸収性複合体の面積(cm2)
面積あたりの吸収量は、多い方が好ましく、0.4g/cm2以上あることが好ましく、更に好ましくは0.7g/cm2以上、最も好ましくは1g/cm2以上である。
(吸収性複合体の加圧下吸収倍率について)
本発明の吸収性複合体の加圧下吸収倍率は、荷重のかかった状態において0.9%生理食塩水を吸収させた時、3時間後に吸収された量で表される。具体的には、直径59.5mmの円状の吸収性複合体を用いて以下のように測定する。
(式9)
吸収性複合体の加圧下吸収倍率 (g/g)=重量W(g) /吸収性複合体の重量(g)
吸収性複合体の0.8psi荷重下の加圧下吸収倍率は、好ましくは15g/g以上であり、更に好ましくは16g/g以上、最も好ましくは18g/g以上である。加圧下においても無加圧の場合と同様に、面積あたりの吸収量も求めることができる。0.8psi加圧下における面積あたりの吸収量は、0.1g/cm2であることが好ましく、更に好ましくは0.15g/cm2以上、最も好ましくは0.2g/cm2以上である。
(吸収性複合体の1分後吸収倍率の測定)
吸収性複合体を縦2cm、横7cmに切り取り、重量を測定する。1000ccのガラス製ビーカーに生理食塩水を700cc入れておく。まず、縦80cm、横70cmのT−Bagの重量を測定し、T−Bagのみの状態で1分間吸水させて遠心分離を行い、その後重量を測定する。この重量を、吸水前のT−Bagの重量で割ることにより、T−Bagの1分後吸収倍率を求める。同じ大きさのT−Bagの重量を測定し、T−Bagに吸収性複合体を入れる。T−Bagを液から素早く引き出すために、ひものついたクリップを用意し、T−Bagにとりつけ、布が折れたり絡んだりしないように丁寧に素早く液へ漬け込む。漬け込んでから1分経過後に、ひもをもって速やかに引き上げる。その後クリップをはずし、150Gで3分間遠心分離を行い、重量を測定する。総重量からT−Bagの吸水分を引き、吸水前の吸収性複合体重量で割ることにより1分後吸収倍率を求める。吸収性複合体の引き上げから遠心分離の開始までは15秒以内とする。1分後吸収倍率は、初期の液体の吸収速度を表す。紙オムツなどの衛生材料用途においては、瞬時に体液を吸収することが求められるため、吸収速度が速いほど好ましい。
(式10)
1分後の吸収倍率(g−生食/g)=(遠心後の重量(g)−T-Bagの重量(g)*T-Bagの1分後の吸収倍率)/吸収性複合体の重量(g)
(吸収性複合体の剛軟性の測定)
吸収性複合体の剛軟性は、JIS規格L1096記載の剛軟性D法(ハートループ法)によって行う。表と裏とで粒子の粒径や分布が異なる場合は、異なった値となるが、本発明においては、柔らかい方、つまり値が大きいほうを剛軟性とする。剛軟性は90mm以下であることが好ましく、85mm以下であることが更に好ましい。
本発明の吸収体の好ましい使用法として、体液吸収物品の構成要素としての使用が挙げられる。
(体液吸収物品について)
本発明の体液吸収物品とは、透液性シート、不透液性シートとその間に介在する吸収体から構成される使い捨て体液吸収物品であり、体液を吸収する能力をもつ物品全てを指す。本発明において吸収する体液は特に限定されず、例としては尿、経血、母乳、軟便等があげられる。物品の形状も特に限定されないが、パッド状やテープタイプ、パンツ型などが好ましく使用される。具体的な例の一つとしては、おむつや生理用ナプキン、尿取りパッド、母乳パッド等があげられる。
透液性シート及び/又は不透液性シートと吸収体の間に、接着剤を使用することは好ましい。ここで使用する接着剤とは、接着剤の性状は特に限定されず、液状のものでも固体状のものでもよい。接着剤は1種類のみを使用してもよいし、複数の接着剤を併用しても構わない。接着剤の種類も特に限定されず、例えば、溶剤系、水分散系、ホットメルト系、反応系などがあり、具体的には、例えば、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシン系接着剤、α-オレフィン系接着剤、水溶性高分子-イソシアネート系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤、天然ゴム系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、嫌気性接着剤、変性シリコーン形接着剤、無機接着剤、糊、等があげられる。親水性の接着剤を使用すると拡散されやすく接着面のコントロールが難しくなるため、疎水性の接着剤が好ましい。製造プロセスの容易さからホットメルト系接着剤を使用することが好ましい。ホットメルト接着剤とは、常温で固体であるが加熱溶融して塗布し、冷えると固まって接着する接着剤全てを指し、具体的には、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アタクチックポリプロピレン、熱可塑性エラストマーなどを主成分とし、粘着付与材としてロジン系樹脂、石油樹脂など、ワックス類、酸化防止剤、無機充填剤、可塑剤などが配合されたものがあげられる。接着剤の量は、接着効果が発現する量であれば問題ない。単位長さあたりの接着剤分量は好ましくは0.000001〜0.1g/cmであり、より好ましくは0.00001〜0.01g/cmであり、0.00003〜0.0045g/cmであることが更に好ましい。吸収体の面積に対する、接着剤の塗布量は0.2〜1000g/m2であることが好ましく、2.0〜100g/m2であることが更に好ましい。接着剤の量が多すぎると、風合いを損なうために好ましくない。また、接着剤が少なすぎても接着強度の点から好ましくはない。
・戻り性(リウエット性)、液拡散長の評価
ユニチャーム社製「ムーニーのびーるフィットMサイズ」登録商標を用意し、ドライヤーの熱によりホットメルト接着剤を溶かすことで、トップシートとバックシートのみを回収した。十分な広さのある木の板を水平な実験台の上に設置し、その上に吸収体の上にトップシートを重ね、四隅をしわがよらない程度に伸ばした状態で画鋲を用いて固定する。体液吸収物品の場合は、新たにトップシートを重ねることはせずに、物品を直接固定する。吸収体の中心部分に直径60mm、重さ53.5gの円筒形のパイプを設置する。37℃に暖めた生理食塩水を80g量り取り、7〜8ml/秒の速度で吸収体の中心部分に滴下する。生理食塩水が表面シートより上面に見えなくなったことを確認し、円筒を取り除く。液滴下開始から3分後に、縦方向に拡散した長さを測りこれを液拡散長とする。液滴下開始から5分後に、アドバンテック製No2、直径150mmの濾紙を1辺10cmの正方形に切り取った濾紙を約90gになるように重ねて液滴下部に静置し、直後に濾紙の上に3.5kgの荷重をかける。荷重をかけてから3分後に、荷重をはずし、濾紙を物品上からはずして重量を測定する。この時、もとの濾紙の重量から増加した重量を1回目戻り量とする。
(45度試験)
本発明における45度試験とは、漏れの生じやすさを測る測定である。具体的には以下のように測定をおこなう。十分な広さのある長方形の木の板を水平な実験台の上に設置し、その上に吸収体の四隅を物品がしわがよらない程度に伸ばした状態で画鋲を用いて固定する。この時、体液吸収物品の長手方向が、長方形の長辺と平行になるように設置する。続いてこの板を、地面と板の長辺が45度の角度になるように傾け固定する。37℃に暖めた生理食塩水を80g量り取り、7〜8ml/秒の速度で吸収体の上端部分に滴下する。吸収体の下から漏れた液を全量回収し、重量を測定しこれを漏れ量とする。漏れ量は、15g以下であることが好ましく、10g以下であることがより好ましく、5g以下であることが更に好ましく、0gであることが最も好ましい。
本発明における体液吸収物品の吸収倍率とは、体液吸収物品を生理食塩水に1時間漬け込んだ時に、吸収した液体の量を、物品中の吸収体の重量で除した値を表す。具体的には、物品が浸るほど十分な大きさのバットを用意し、生理食塩水を満たす。そこへ物品を1時間漬け込んだ後に引き上げ、洗濯バサミでつるして10分放置する。10分後に重量を測定する。
製造例1
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。試薬アクリル酸100gを水91.02gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、25質量%のアンモニア水溶液117.94gを攪拌しながら徐々に加え40質量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。
300mlセパラブルフラスコにこの40質量%アクリル酸アンモニウム水溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0187g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次に42質量%グリセリン水溶液をシリンジにて0.43g添加、よく攪拌した後にそれぞれ1gの水に溶かした30質量%過酸化水素水溶液 0.0917gとロンガリット 0.0415gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始5分で100℃まで上昇する。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1200μm、1000〜1180μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂1とする。この樹脂の表面強度は0.5Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は96%、表面の塩濃度は90%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例2
製造例1で製造した吸水性樹脂をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。これを吸収性樹脂2とする。表面塩強度は2.7Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は70%、表面の塩濃度は30%、中心部の塩濃度は95%であった。
製造例3
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム31.78gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度70%)。300mlセパラブルフラスコにこの単量体溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱酸素し、反応系中を窒素置換した。それぞれ1gの水に溶かした30質量% 0.0826gとロンガリット 0.0518gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始から10分で70℃まで上昇する。最高到達温度記してから5分後に内部温度が75℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。所定時間経過後、セパラブルフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1200μm、1000〜1180μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂3とする。この樹脂の表面強度は0.9Nであった。
製造例4
イソプロピルアルコール0.6g、グリセリン0.02g、水0.06gの混合液を作り、製造例3で製造した吸水性樹脂2gに均一に散布した。これをイナートオーブンを用いて180℃にて10分間加熱を行った。これを吸収性樹脂4とする。この樹脂の表面強度5.9Nであった。
製造例5
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム21.8gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度48%)。300mlセパラブルフラスコにこの単量体溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱酸素し、反応系中を窒素置換した。それぞれ1gの水に溶かした30質量%過酸化水素水0.0826gとロンガリット 0.0518gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始から10分で70℃まで上昇する。最高到達温度記してから5分後に内部温度が75℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。所定時間経過後、セパラブルフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂5とする。この樹脂の表面強度は1.1Nであった。
製造例6
イソプロピルアルコール0.6g、グリセリン0.02g、水0.06gの混合液を作り、製造例5で製造した吸水性樹脂2gに均一に散布した。これをイナートオーブンを用いて180℃にて10分間加熱を行った。これを吸収性樹脂6とする。この樹脂の表面強度は6Nであった。
製造例7
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。精製したアクリル酸753gを氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ち、和光純薬製、試薬特級品25重量%アンモニア水溶液625gを攪拌しながら徐々に加え66重量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。ここへ水1gに溶解したN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.0395gを添加、攪拌して溶解させた後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸アンモニウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸アンモニウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら120rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を120rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gとグリセリン8.35gを混合した溶液を15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が110℃となるまで加熱した後30分間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。70℃にてイナートオーブンを用いて6時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1400μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂7とする。この樹脂の吸収倍率は70倍であった。この樹脂の表面強度は0.4Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は95%、表面の塩濃度は88%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例7で製造した吸収性樹脂7をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。この操作は、後の実施例で実施する基材と複合化の為の加熱処理条件と同じ条件である。その結果、吸収性樹脂の表面塩強度が2.5Nとなり、全体のアンモニウム塩濃度は70%、表面の塩濃度は32%、中心部の塩濃度は94%となった。
製造例8
製造例7において、重合時の攪拌速度を120rpmから400rpmに変更した以外は、製造例7と同様の操作を行った。ここで得た吸収性樹脂8とした。この樹脂の吸収倍率は80倍であった。この樹脂の表面強度は0.4Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は95%、表面の塩濃度は87%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例8で製造した吸収性樹脂8をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。この操作は、後の実施例で実施する基材と複合化の為の加熱処理条件と同じ条件である。その結果、吸収性樹脂の表面塩強度が2.2Nとなり、全体のアンモニウム塩濃度は68%、表面の塩濃度は33%、中心部の塩濃度は93%となった。
製造例9
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。試薬アクリル酸2557.8gを水2087.3gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、40.5重量%NaOH水溶液3507.0gを攪拌しながら徐々に加え40重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を得た。
上記で得たアクリル酸ナトリウム水溶液1733.0gを水341.5gに溶解した。このアクリル酸ナトリウム水溶液に、アクリル酸227.7gを加え、40重量%のアクリル酸ナトリウム/アクリル酸=70/30水溶液2302.2gを得た。架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド2.5gを加え溶解した後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸ナトリウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸ナトリウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら400rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を400rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gとグリセリン4.2gを混合した溶液を15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が110℃となるまで加熱した後30分間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1400μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂9とする。この樹脂の吸収倍率は55倍であった。この樹脂の表面強度は、1.2Nであった。
製造例10
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。精製したアクリル酸753gを氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ち、和光純薬製、試薬特級品25質量%アンモニア水溶液625gを攪拌しながら徐々に加え66質量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。その後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノラウリレート7.53g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を30kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が40℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸アンモニウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7699gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が40℃到達後、調整したアクリル酸アンモニウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら400rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を30kPa,内温40℃に保ち重合を開始、攪拌速度を400rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂10とする。この樹脂の吸収倍率は80倍であった。この樹脂の表面強度は0.6Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は97%、表面の塩濃度は91%、中心部の塩濃度は98%であった。
製造例10で製造した吸収性樹脂10をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。この操作は、後の実施例で実施する基材と複合化の為の加熱処理条件と同じ条件である。その結果、吸収性樹脂の表面塩強度が2.8Nとなり、全体のアンモニウム塩濃度は70%、表面の塩濃度は29%、中心部の塩濃度は95%となった。
製造例11
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。試薬アクリル酸2557.8gを水2087.3gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、40.5重量%NaOH水溶液3507.0gを攪拌しながら徐々に加え40重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を得た。
上記で得たアクリル酸ナトリウム水溶液1733.0gを水341.5gに溶解した。このアクリル酸ナトリウム水溶液に、アクリル酸227.7gを加え、40重量%のアクリル酸ナトリウム/アクリル酸=70/30水溶液2302.2gを得た。架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド2.5gを加え溶解した後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸ナトリウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸ナトリウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら400rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を400rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gを15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が110℃となるまで加熱した後30分間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1400μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂11とする。この樹脂の吸収倍率は57倍であった。この樹脂の表面強度は、1.1Nであった。
製造例12
粒子を分級する篩として106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を用いて分級した以外は製造例1と同じ方法で、吸収性樹脂を得た。
製造例13
粒子を分級する篩として106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を用いて分級した以外は製造例3と同じ方法で、吸収性樹脂を得た。
旭化成せんい社製の「ベンリーゼ」(登録商標)を繊維の縦方向に37cm、横方向に21cmに切り取った。テフロン(登録商標)のシートを同じように縦37cm、横21cmに切り取り、中に縦35cm、横19cmの線を引く。これを2枚用意した。1枚のシートの線の内側に製造例1の粒径1000〜1180μmの樹脂6.6gを大粒として取り出し1180μmの篩を使用しながら均一に散布した。更に製造例1の粒径212〜300μmの樹脂6.65gを小粒として使用し取り出し300μmの篩を使用して均一に散布した。もう一枚のシートに、1000〜1180μmの樹脂6.7gを同様に散布した。霧吹きを使用して、ベンリーゼに8gの水を散布し、一方の樹脂の上に置き押さえつける。更にベンリーゼに2gの水を散布し、裏面に他方の樹脂を接着させる。樹脂のない部分に錘をおいて固定し、3gの水を散布した後に、ベンリーゼの縮みを抑えながら、イナートオーブンを使用して180℃10分間の乾燥を行った。全ての吸収性樹脂がベンリーゼと強固に接着しており、手でこすっても吸収性樹脂が脱離することはなかった。接着形態を走査電子顕微鏡(JEOL製JSM-5300)で観察すると全ての粒子が、繊維を吸収性樹脂中へ取り込む形で接着していた。接合部が見えるように粒子の上面ではなく、角度をつけて側面から撮影した電子顕微鏡写真(150倍拡大)を図5に示す。この複合体を実施例1とする。
吸収性複合体を縦33cm、横11cmに切り取った。吸収性複合体の小粒がない方を上側とし、ここへパルプ3gを重量を計測しながら、篩を使用して均一に散布した。
目付け17g/m2のティッシュを縦35cm、横24cmに切り取り、パルプを散布した吸収性複合体を図6のようにラッピングした。ラッピングしたティッシュをGE東芝シリコーン株式会社製の接着剤、非腐食速乾性接着シール材TSE397を用いて固定した。この吸収体を実施例1とする。
参考例2
製造例3の吸収性樹脂を使用する以外は実施例1と同様に吸収体を作製し、これを実施例2とする。
実施例3
製造例1で製造された樹脂の粒子径850〜1200μmを、16.5gずつ両面に使用する以外は実施例1と同様に吸収体を作製した。これを実施例3とする。
実施例4
製造例1で製造された大粒1000〜1180μmを6.65g、小粒212〜300μmを5.6gを両面に使用し複合体を作製し、パルプを9.7gとする以外は実施例1と同様に吸収体を作製した。これを実施例4とする。
実施例5
実施例4と同じ複合体を作製し、パルプを0.1g、ティッシュを縦33cm、横11cmのものを2枚用意し、下からティッシュ、複合体、パルプ、ティッシュの順番で配置した。これを実施例5とする。
実施例6
実施例1と同じ複合体を作製した。旭化成せんい社製のPP製のスパンボンドエルタス(登録商標)アクアを縦33cm、横66cmに切り取り複合体のまわりを3回巻きつけた。これを実施例6とする。
実施例7
実施例1と同様に吸収製複合体を作製し、これを縦33cm、横11cmに切り取ったレーヨンスパンレース5枚を複合体の上に設置した。これを実施例7とする。
実施例8
ティッシュを使用しない以外は実施例1と同様に吸収体を作製した。ハンドリングの際にパルプの一部が移動してしまった。
実施例9
ユニチャーム株式会社製ムーニーのびーるフィット(登録商標)のMサイズから、ティッシュにくるまれた吸収体を摘出した。ここへ、実施例1の吸収体を挿入し、吸収体の端部分に接着剤を使用して体液吸収物品を作製した。実施例1と同様にすぐれた吸収能力を示し、漏れも生じにくい。更に薄型でかつ、肌触りも良好であった。
比較例1
実施例1と同様に吸収性複合体を作製し、これをそのまま吸収体とした。これを比較例1とする。繊維がないため捕獲力に劣る。
比較例2
パルプを使用せずに、ティッシュを縦33cm、横11cmに切り取り吸収性複合体に重ねるだけにした他は実施例1と同様に吸収体を作製した。これを比較例2とする。繊維比率が少ないため、捕獲力に劣る。
比較例3
パルプを13gとする他は、実施例1と同様に吸収体を作製した。これを比較例3とする。繊維が多すぎるため、吸収性能に劣る。
比較例4
ユニチャーム株式会社製ムーニーのびーるフィット(登録商標)のMサイズを比較例4とする。これは基材シートがなく吸収体はパルプと吸水性樹脂の混合物であり、厚みがあり、吸収能力も低い。
比較例5
P&G株式会社製パンパースコットンケア(登録商標)のMサイズを比較例5とする。これも基材シートがなく吸収体はパルプと吸水性樹脂の混合物であり、厚みがあり、吸収能力も低い。
比較例6
樹脂を製造例1の粒径1000〜1180μmの樹脂1.1g、製造例1の粒径212〜300μmの樹脂1.1g片面に、1000〜1180μmの樹脂1.1gをもう片面に使用する以外は実施例1と同様に吸収性複合体を作製した。ここへパルプ1gと縦33cm、横11cmに切り取ったティッシュ2枚を配置した。これを比較例6とする。樹脂比率が低いため、吸収能力が低い。
比較例7
縦35cm、横19cmのベンリーゼに、製造例2の樹脂の粒径1000〜1180μmの樹脂3g、粒径212〜300μmの樹脂3gを片面に、1000〜1180μmの樹脂3gをもう片面にKOKUYO製のパワープリットスティックのりを使用しながら接着させていった。これを縦33cm、横11cmに切り取り、2gのパルプを散布した。実施例1と同様にティッシュで包み込み、これを比較例7とする。のりを介して接着しているため性能に劣る。
比較例8
実施例1と同様の方法で、製造例6の吸収性樹脂を用いて複合体を作製した。粒子径は850〜1200μmのものを使用した。表面強度が6Nと高く、25%程度の樹脂しか接着しなかった。吸収体を作製するまで、なるべく粒子が落ちないように注意し、また、脱落した粒子に関しては元の位置になるように調整した。脱落粒子が多いため、安定的に性能を発揮できない。
比較例9
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム31.78gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度70%)。窒素ボックス中で、この単量体溶液90gを霧吹きにいれ、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加した。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱酸素した。塩化鉄(III)・6水和物0.022gを水100gに溶解させた溶液を1ml、30重量%の過酸化水素水1ml、L-アスコルビン酸0.12gを水1mlに溶解させた液を、素早く加え攪拌し、旭化成せんい社製のスパンボンドエルタスクリンプ(登録商標)PC8020に噴霧した。ホットプレートを使用し、不織布ごと60℃まで加熱し1時間重合した後、温度を120℃まで上昇させ30分間ホールドし、重合を完結させた。100℃で真空乾燥を行い、残存モノマーを測定すると1000ppm以上であった。残存モノマーが多いため、吸収体を構成するには好ましくない。
Claims (8)
- 少なくとも吸収性複合体と繊維から構成されている吸収体であって、吸収性複合体と繊維の比率が1:1〜1:0.07であり、吸収性複合体が以下の条件を満たすことを特徴とする吸収体。
(1)セルロース系の基材と粒子状の吸収性樹脂から構成されている複合物である、
(2)該吸収性複合体に対する吸収性樹脂の組成比が65〜99重量%である、
(3)基材と直接接着している吸収性樹脂が全吸収性樹脂の50重量%以上である、
(4)該吸収性樹脂の平均吸収倍率が50g/g以上である、
(5)該吸収性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性樹脂が縮合型架橋剤を含有する、
(7)基材上に吸水性樹脂が配置されている。 - 吸収性複合体が、少なくとも基材の片面において、粒径550μm〜2100μmの吸収性樹脂粒子の面積充填率が1〜30%を満たすことを特徴とする請求項1記載の吸収体。
- 繊維の目付けが15〜300g/m2であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の吸収体。
- 繊維の吸収倍率が8g/g以上のものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の吸収体。
- 繊維が、セルロース及び/又はセルロース誘導体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸収体。
- 繊維が、パルプであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸収体。
- 吸収性複合体と繊維が、シートによってラッピングされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸収体。
- 透液性シート、不透液性シートおよび両者の間に請求項1〜7のいずれかに記載の吸収体を有することを特徴とする体液吸収物品。
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