JP5000198B2 - 漏れの少ない吸収体及び体液吸収物品 - Google Patents

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Description

本発明は薄型・軽量でありながら液の捕獲力に優れかつ、高い吸水性能をもつ吸収体、及び、体液吸収物品に関する。
紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料においては、体液等の液体を吸収する吸収体と、体に接する側に配された柔軟な液透過性の表面シート(トップシート)と、体と接する反対側に配された液不透過性の背面シート(バックシート)とを有している。吸収体は通常パルプ等の繊維状物質と吸収性樹脂を混合してつくられている。
近年、意匠性の問題、流通の問題、ゴミ問題等から衛生材料に対して薄型化、軽量化という要求が強まっている。これに対応するため現在の衛生材料において一般的に行われている方法としては、繊維などの衛生材料中の吸収性樹脂支持担体を減らし、大量の吸収性樹脂を使用するという方法がある。この方法では吸収性樹脂を固定する役割を担っていた親水性繊維の相対量が低下することから、吸収性樹脂の粒子が使用前に偏ったり、使用中に移動するという問題が生じてくる。このように吸収性樹脂が吸収性物品の設計した位置からずれることで型くずれを起こし、次に排出された尿等の液体が吸収性物品中の吸収性樹脂に接触せず、漏れに繋がる問題が生じてくる。
偏りを抑えるために吸収性樹脂とパルプを水と一緒に混合し、さらに親水性繊維と乾式混合した混合物をウェブに空気抄造し、繊維と吸収性樹脂の混合度を高めた方法(例えば特許文献1参照。)がある。しかし、ウェブへ空気抄造するプロセスにおいて、吸収性樹脂のつまりが問題となる。吸収性樹脂のつまりが起こった際には、逆にドラムから吐き出すことが必要となり、生産性の低下を招くし、詰まり防止や詰まった際の吐き出しを簡便に行うためには、硬度の高い吸収性樹脂を使用することが好ましい。通常、硬度の高い吸収性樹脂は吸収容量が少ない傾向にあり、目的の量の液体を吸収するためには大量の吸収性樹脂をする必要がある。また、パルプの形態安定性、粒子の支持力にも問題があるため、吸収性樹脂の比率を高めて薄型化をするにも限界がある。
吸収性樹脂の移動や偏りの問題を改善するために、支持担体に吸収性樹脂を固着する方法も検討されてきた。例えば、吸収体をエンボス処理する方法、熱可塑性のバインダー繊維を吸収性樹脂と親水性繊維からなる吸収体に含有させて吸収体を熱融着させる方法、歪みからの回復率の高い合成樹脂を吸収性樹脂と親水性繊維からなる吸収体に含有させて吸収体を熱融着させる方法(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)、アニオン性基を有する吸収性樹脂の表面にカチオン性ポリマーをコーティングして、膨潤時に粒子どおしを接着固定化する方法(例えば、特許文献4および特許文献5参照。)、エマルションバインダーを用いて吸収性樹脂と親水性繊維を固定化する方法、ホットメルト接着剤を用いて吸収性樹脂を基材に固定化する方法(例えば、特許文献6および特許文献7参照。)等である。このような吸収体構造においては、接着時に大量のバインダーを用いる必要があるが、大量のバインダーを用いて吸収性樹脂を基材に固定する場合には、そのバインダー力の拘束による吸収性樹脂の膨潤の規制という問題が発生する。結果として、吸収容量や吸収速度を低下させる原因となる。基材と吸収性樹脂のみの薄型吸収体構造は、薄いという観点では好ましい方向であるが、液体を捕獲する空間が少ないため漏れ防止という観点では劣ることがある。漏れを防止する手段としては、例えばトップシートと吸収体の間にシートを配置する方法(例えば特許文献8および特許文献9参照。)がある。
このような手段を併用すれば、漏れの問題は改善の方向へ向かうと考えられるが、繊維が捕獲した液体は荷重によって戻りやすくドライ感の点で問題となる。ドライ感を保つためには、繊維が捕獲した液体を奪い取る吸収力が求められるが、これらの例で使用されている吸収体は、満足のいける吸収力を持っているとは言いがたい。
吸収性樹脂の膨潤規制を防ぐために、直接基材に吸水性樹脂を固定化している例もある。例えば、重合進行中の吸収性ポリマー粒子を繊維質基材に付着させ、繊維質基材上で重合を行う方法(たとえば特許文献10参照。)、起毛処理を施した不織布に、ある一定量以上の単量体水溶液を微細粒子状に担持させた後に重合し、熱圧縮している例(例えば特許文献11参照。)、吸収性樹脂に再度未重合のモノマー水溶液を含浸させ、基材上に塗布し、含浸させたモノマーが重合することにより、吸収性樹脂と基材を接着させている例(例えば特許文献12参照。)、低粘度なモノマー水溶液の液球を布上にプリントして、その後、布状で重合反応を起こさせ、重合粒子間に空隙を持たせる方法(例えば特許文献13参照。)が提案させている。これらの方法により、吸収性樹脂の性能の低下を防ぐことができるが、モノマーを完全に重合させることは困難であり、大量の残存モノマーが問題となる。
このように、薄型で形態安定性、吸収能力に優れかつ、残存モノマーが少ない漏れの生じにくい吸収体というのは存在していなかった。
特開平5−230747号公報 特開平10−118114号公報 特開平10−118115号公報 特開平5−31362号公報 特開平6−370号公報 特開2000−238161号公報 特表平10−510447号公報 特開平2−4358号公報 特開平11−192259号公報 特開2003−11118号公報 特開2004−124303号公報 特開平9−239912号公報 米国特許 US2003/0205318 A1
本発明の目的は、薄型で形態安定性、吸収能力に優れかつ、残存モノマーが少ない漏れの生じにくい吸収体、及び体液吸収物品を提供することにある。このような吸収体は紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生用品に好適に用いることが出来る。
上記の課題を達成するために鋭意検討を行った結果、基材と吸収性樹脂を複合化させ、基材と吸収性樹脂が結合された吸収性複合体と、繊維を組み合わせて使用することで、吸収能力と捕獲力を両立できることを見出し本発明にいたった。
すなわち、以下のような吸収体および該吸収体を利用した体液吸収性物品である。
〔1〕少なくとも吸収性複合体と繊維から構成されている吸収体であって、吸収性複合体と繊維の比率が1:1〜1:0.07であり、吸収性複合体が以下の条件を満たすことを特徴とする吸収体。
(1)セルロース系の基材と粒子状の吸収性樹脂から構成されている複合物である、
(2)該吸収性複合体に対する吸収性樹脂の組成比が65〜99重量%である、
(3)基材と直接接着している吸収性樹脂が全吸収性樹脂の50重量%以上である、
(4)該吸収性樹脂の平均吸収倍率が50g/g以上である、
(5)該吸収性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
(6)吸収性樹脂が縮合型架橋剤を含有する、
(7)基材上に吸水性樹脂が配置されている。
〔2〕吸収性複合体が、少なくとも基材の片面において、粒径550μm〜2100μmの吸収性樹脂粒子の面積充填率が1〜30%を満たすことを特徴とする〔1〕記載の吸収体。
〔3〕繊維の目付けが15〜300g/mであることを特徴とする〔1〕あるいは〔2〕に記載の吸収体。
〔4〕繊維の吸収倍率が8g/g以上のものであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の吸収体。
〔5〕繊維が、セルロース及び/又はセルロース誘導体を含むことを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の吸収体。
〔6〕繊維が、パルプであることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の吸収体。
〔7〕吸収性複合体と繊維が、シートによってラッピングされていることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の吸収体。
〔8〕透液性シート、不透液性シートおよび両者の間に〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の吸収体を有することを特徴とする体液吸収物品。
本発明によれば、薄型かつ液の捕獲能力、吸収能力に優れた吸収体を提供できる。このような吸収体を衛生材料に使用することにより、今までにないような薄型軽量で漏れの生じにくい衛生材料を提供することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
1.吸収体の構成について
本発明において吸収体とは、液体を吸収し、保持する能力を持つ構造物のことをいう。本発明の吸収体は、少なくとも吸収性複合体と繊維を組み合わせた構造である。吸収性複合体と繊維以外のものが含まれていても構わない。吸収体には、漏れを防ぐために排出された液体の流れを止める瞬間の液体捕獲能力と、捕獲した液体を閉じ込める吸収能力が求められる。本発明の吸収性複合体は、吸収性樹脂を基材に特定の状態で配置することにより、樹脂の力を無駄なく発揮させ、薄型でかつ高い吸収能力を持つ。この吸収性複合体に、繊維を特定の比率で組み合わせることにより、吸収能力を犠牲にせずに液体捕獲能力を高めることができる。
本発明における吸収性複合体と繊維の組み合わせの形態はどのようなものでもよい。シート形状である吸収性複合体で繊維を包みこんでもよいし、繊維を吸収性複合体の上面及び/または下面に配置するだけでもよい。繊維がシート形状であるときには、繊維シートにより吸収性複合体を包み込む形でもよい。吸収体には吸収性複合体を複数枚使用してもよいし、繊維層も複数あって構わない。繊維は全体的に均一な厚みになっていることが好ましいが、液の捕獲力が特に必要な液体の注入部を厚くしておくことは好ましいといえる。体液吸収物品においては、トップシート側に繊維が配置されることは、着用時の感触の観点から好ましい。しかし、繊維が親水性繊維である場合には、大量に配置しすぎるとドライ感の低下を引き起こす場合があるので、トップシート側に配置される量を適度に調節することが好ましい。
本発明の吸収体は、シートによってラッピングされることが好ましい。ラッピングされていると、短繊維や粒子径の小さい吸収性樹脂が固定されずに使用されている場合においても、外部への漏れ出す可能性を低減させることができるため好ましい。ここでいうシートは、繊維であってもよいし、繊維以外でも構わないが、繊維から構成されるシートであることが好ましく、布または紙であることが好ましい。更には親水性シートであることが好ましい。本発明においてラッピングされているとは、吸収体を袋状に包み込んでいる状態を表す。1枚のシートで包み込んでも構わないし、複数枚のシートをつなぎ合わせたり、接着させたりすることで吸収体を覆っていても構わない。この時、一部に開放部があっても構わないが、完全に密閉系であることが好ましい。
2.繊維について
本発明において繊維とは、JISL0204中に記載されている広義の意味の繊維、及び繊維による造形物を意味する。繊維による造形物とは、例えば布や紙があげられる。本発明における繊維の原料はなんでもよい。天然繊維、合成繊維のどちらでもよいし、さらに複数の繊維の組み合わせも構わない。繊維の長さは、短繊維でも長繊維でもかまわない。強化のためや親水性付与のために処理をほどこしていても構わない。疎水性のものより親水性のものが吸液性、通水性、液の捕獲力に優れているため好ましい。親水性繊維のなかでも、特にセルロース及び/又はセルロース誘導体を含む繊維が好ましい。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維と混ぜたものでもよい。セルロースのなかでも、液体の捕獲力、コストの面からパルプであることが好ましい。本発明におけるパルプとはJISP0001に記載されている広義のパルプを指す。パルプの種類や成分、製造方法はどのようなものでもよいが、繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能及び価格の面で優れ、エアレイド法により作製されたものが好適である。なお、本発明においては、吸収性複合体に繊維から構成される基材を使用する場合もあるが、基材の大部分の面積は樹脂と接着されており、捕獲力に劣るため、基材とは別な繊維である必要がある。
吸収性複合体と繊維の比率は、1:1〜1:0.07であることが必須であるが、1:0.9〜1:0.15であることが好ましく、1:0.8〜1:0.2であることがより好ましく、1:0.7〜1:0.25であることが更に好ましく、1:0.6〜1:0.3であることが最も好ましい。繊維の比率が低いと、十分な液の捕獲能力が得られないし、繊維の比率が高すぎると、繊維から吸収性複合体が液体を奪うことが困難になり、吸収性能が低下してしまう。
本発明における繊維の好ましい使用量は、15〜300g/mであり、より好ましくは25〜240g/mであり、更に好ましくは40〜200g/mであり、最も好ましくは60〜170g/mである。少なすぎると、液の捕獲力に劣るが、多すぎると吸収性複合体による吸収を阻害する恐れがあるし、液の逆戻りの原因になることもあるため好ましくない。
繊維の親水性を表す指標として、吸収倍率がある。これについて次に説明する。
本発明における繊維の吸収倍率とは、繊維が0.9%生理食塩水を60分間で吸収して何倍の重量になるかを測定したものであり、具体的には以下のような方法で測定する。複数の繊維を使用している場合には、分離させてそれぞれ測定を行う。分離が困難である場合には、混合物として吸収倍率を求めてよい。この場合には、5点以上のサンプリングを行い平均をとることとする。不織布製のティーバッグ式袋(60×40mm)に繊維0.1gを均一に入れる。1Lのビーカーに23℃の生理食塩水を500g以上用意しておき、ティーバッグを漬け込む。60分後、ティーバッグを針金ごと生理食塩水から取り出し、斜めの状態にして10分間吊り下げる。10分後ティーバッグの重量を計測する。同様に繊維をいれずに測定したものをブランクとする。吸収倍率は、以下の式によって求められる。ちなみに繊維がシート形状であるときには、基材の吸収倍率と同様の方法で求める。
繊維の吸収倍率(g/g)=(吸収後の重量(g)−ブランクの重量)/吸収前の重量(g)
本発明においては、繊維の吸収倍率は8g/g以上60g/g以下であることが好ましく、更に好ましくは10g/g以上50g/g以下であり、最も好ましくは12g/g以上40g/g以下である。親水性が高いと、液の捕獲能力に優れるため好ましい。
3.本発明の吸収性複合体の構造・性能について
本発明において、吸収性樹脂と基材を組み合わせたものを吸収性複合体と呼ぶ。この際、吸収性樹脂の50重量%以上が基材と直接接着して、樹脂位置変化が少ない複合体である。したがって、基材とはシート形状が維持できるものである。この吸収性複合体にパルプ等の短繊維やその他シート状材料を混合して吸収体としての性能を調整することは好ましいことである。
本発明の吸収性複合体は、基材上に比較的大きな吸収性樹脂(粒子粒径550〜2100μm)[以後、大粒と略す。]を配置することで、面積当たりの吸収倍率が高く、吸収速度も衛生材料としての使用可能な吸収速度を有する吸収性複合体としたものである。大粒は、その吸収速度の遅さから通常衛生材料向けの吸収性物品には使用しにくいとされていたが、基材構成繊維と直接接着することで、大粒内部への通液が該接着繊維を通じて可能となり、また、繊維の水との接触に伴う繊維の形態変化が接着している大粒へ一定の力を加えることもあり、大粒の吸収速度が飛躍的に向上し衛生材料向けの吸収性物品の構成成分として使用可能になった。
また、基材上に樹脂を配置する場合、基材の平面に対して水平方向への膨潤スペースを確保しなければ、膨潤樹脂同士がぶつかりあいお互いに膨潤を阻害してしまい複合体中で樹脂の性能が充分発揮されないので、少なくとも片面の大粒の面積充填率を1〜30%の低い値に維持させている。この場合、粒子同士の接触を避けるように配置することがより好ましく、一定の間隔をあけて吸水性樹脂を配置することが更に好ましい。また、吸収性樹脂が重なりあわないように一層に配置されることが好ましい。さらに、大粒を両面側に配置し、両面側とも大粒の面積充填率を1〜30%の範囲にすることは好ましい。この複合体中に比較的小さな粒子が混在しても大粒の下部で膨潤するだけで、大粒の膨潤を大きく阻害しないので、小さい粒子を混在させ吸収速度を吸収体の要求速度に調整することは可能であり、好ましいことである。
この比較的小さな吸収性樹脂粒子を混在させて、吸収速度を調整する場合は、総表面積係数(後に詳細は説明する。)が0.3〜3の範囲に調整することが、複合体の吸収倍率と吸収速度のバランスが良くなるので、好ましい。また、衛生材料としての性能を発揮させるためには、比較的高い樹脂比率が求められるので、該複合体全体に対する樹脂の比率が65〜99質量%とする必要がある。この様な高い樹脂比率でもゲルブロッキングを生じないのは、使用する樹脂の50重量%以上が基材に接着し、樹脂間の空隙がある程度保たれているからである。この樹脂の接着重量としては、好ましく70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上の吸収性樹脂が接着していることである。吸収性樹脂が基材に接着していると、運搬時や液体吸収時の吸収性樹脂の移動を防ぐことができるため好ましい。
接着方法は特に問わないが、接着剤を使用しない方法が好ましく、基材の繊維の一部が吸収性樹脂中にとりこまれた形態で接着することが更に好ましい。接着している吸収性樹脂中の50重量%以上の個数の吸収性樹脂が繊維の一部が吸収性樹脂中に取り込まれた形態で接着することが好ましく、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上の吸収性樹脂がこの形態で接着することである。接着剤を使用しないと、液体吸収時に膨潤規制を受けないため好ましい。繊維の一部が吸収性樹脂中にとりこまれた形態で接着していると、吸収性樹脂が液体を吸収する時に繊維が通水路となり、吸収速度が向上すると同時に樹脂の加圧下吸収倍率も向上するので、好ましい。一方、大粒を使用して、面積当たりの樹脂量を多くするだけでは複合体として高い吸収倍率を発現させることはできず、同時に該樹脂の吸収倍率も高い必要がある。
すなわち、使用する吸収性樹脂の平均吸収倍率が50g/g以上である必要がある。この様な高い吸収倍率を有する吸収性樹脂は、通常、ゲルブロッキングを生じやすく、かつ、樹脂同士のぶつかり合いによる膨潤阻害の影響を大きく受けやすいので、樹脂比率が50重量%を超えるような高樹脂比率複合物に使用しても種々の性能を満たす吸収性複合体とはならないため、これまで表面や内部の架橋度の高い加圧下吸収力の高い硬い低吸収倍率樹脂を使用せざるを得なかった。本発明においては配置によりブロッキングを回避し、さらに樹脂中に通水路を持つため、吸収容量の高い軟らかい樹脂を使用しても高い加圧下吸収力を発揮させることができる。結果として、無加圧においても加圧下においても高い吸収能力をもった吸収性複合体となる。さらに本発明の複合吸収体は高い液体拡散性をもち、全ての吸収性樹脂の吸収性能を発揮させることができるため、余分な吸収性樹脂を使用することなく、吸収性複合体を軽量化することができる。複合体の吸収倍率を向上されせるためには、高吸収性能樹脂の使用割合を上げることが好ましく、また、該高吸収性能樹脂の吸収倍率もさらに高い方が好ましい。
種々の性能の中には、(社)日本衛生材料工業連合会の吸水性樹脂の自主基準の中でも規制されている低残存モノマー量が求められているが、この残存モノマーを大粒中で200ppm以下という著しく低い値まで引き下げているところが本発明の吸収性複合体の特徴の一つである。これは、一般的な基材と樹脂の直接接着法で使用される樹脂の基材上重合法では、達成が困難な値である。すなわち、使用される大粒を予め重合し、所定の低残存モノマー状態とされたものを複合体用の樹脂として使用しているので達成されている。すなわち、水溶液中で重合され、その際生成した塊を破砕工程を含む工程で粒状とされた樹脂、または、予め逆相懸濁重合法で重合された粒子凝集体を大粒として使用している。
4.接着について
本発明の吸収性複合体において、基材と吸収性樹脂が接着しているとは、基材に吸収性樹脂が固定化されていて、実質的に基材と吸収性樹脂の位置関係が変化しないことを表す。本発明においては、吸収性複合体の端を手で持ち固定し接着粒子が存在する面を下にして、20cmの幅で1秒間に2往復の速さで1分間振って、脱離しない粒子を接着しているとする。接着している粒子の割合は、脱離した粒子の重量と、接着している粒子をピンセット等で無理やり引き剥がし重量の測定をすることで求められる。基材と吸収性樹脂の位置関係が変化しないと、使用前の運搬などによって吸収性複合体の性能が変化することもないし、繰り返し吸液の観点からも好ましい。本発明においては50重量%以上の吸収性樹脂が直接接着していることが必須であり、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは99%重量以上が接着していることである。
本発明において、直接接着しているとは、接着剤等の基材、吸水性樹脂、またはこれらに由来する成分以外の成分を利用せずに接着していることをいう。ただし、膨潤規制が生じない程度に接着剤を併用している場合は、直接接着に含まれる。直接接着している粒子の割合は、接着剤を溶解する溶剤に吸収性複合体を1時間浸漬した後になお接着している吸水性樹脂の量を測定することで求められる。
本発明においては、全粒子に対する接着形態に特に制限はなく、接着剤による接着、基材と吸収性樹脂との化学結合による接着、物理的相互作用による接着、吸収性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着等でもよい。しかし、使用される吸収性樹脂の50重量%以上が、基材と直接接触した形態での必要がある。この場合の接着の形態としては、吸収性樹脂中に繊維が入り込んだ形態での接着が好ましく、接着している吸収性樹脂の重量%が高い方が好ましい。具体的には、50重量%以上の吸収性樹脂が、吸収性樹脂中に繊維を取り込んだ形態で接着していることが好ましい。好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、もっとも好ましくは90重量%以上の大粒がこの形態で接着する。接着剤を使用すると、吸収性樹脂の膨潤を阻害する可能性があるため好ましくない。接着剤とは、例えば熱可塑性の繊維やポリマー、エマルジョンバインダー、ホットメルト接着剤などがある。吸収性樹脂中に繊維を入り込んだ形態とは、吸収性樹脂マトリックス中に基材中の繊維が存在している状態を表す。入り込んだ繊維の形状や長さは特に限定されない。この形態で接着していると、吸収性樹脂中に繊維を介して水を取り込むことができるため、吸収量、吸収速度の点で優れた性能を発揮する。吸収性樹脂中に繊維が入り込んだ形態で接着しているかどうかは、電子顕微鏡で確認することができる。接着している粒子を任意に30個抽出し、引き剥がして電子顕微鏡観察を行い、割合を決定することができる。
接着された大粒の配置は、後述する樹脂面積充填率1〜30%を満たしていることが好ましいが、大粒が想定の液量吸収時に触れ合うことのないように配置されて接着されていると、大粒が吸収性能を発揮しやすく好ましい。また、基材の片面のみに大粒が接着されていても構わないし、基材の両面に接着されていてもかまわない。両面に接着されている方が、面積あたりの吸収量が大きくなるため好ましい。
5.樹脂比率について
本発明の吸収性複合体における樹脂比率とは、複合吸収体中の吸収性樹脂の割合を示したもので、具体的には(式1)のように決定される。
(式1)
樹脂比率(質量%)=A/B×100
ただし、吸収性複合体中の吸収性樹脂重量をA(g)、複合体の総重量をB(g)とする。
樹脂比率は65質量%以上99%未満であることが必須であり、好ましくは70質量%以上99質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上99質量%以下である。樹脂比率が高いほど、複合体としての総吸収量が高くなるため好ましい。吸収性樹脂の重量は全ての粒子をはがした状態で測定する。
6.樹脂面積充填率について
本発明の吸収性複合体における樹脂面積充填率とは、吸収性樹脂が液体を吸収した時に粒子同士の接触しやすさを表す指標である。本発明において樹脂面積充填率は以下のように測定する。
光学顕微鏡、または電子顕微鏡により吸収性複合体の表面の写真を測定する。この時、吸収性樹脂と基材が区別でき、1枚の写真中に吸収性樹脂粒子が10個以上入る状態で撮影できるように測定条件、倍率を選択する。写真を拡大コピーし、吸収性樹脂部分と基材部分を切り取り分ける。写真の倍率、拡大コピーの倍率から計算して、複合体上で1辺500μm相当である正方形の紙を用意する。同様に1辺2500μm相当である正方形の紙を用意する。吸収性樹脂粒子のコピーを、これら正方形の紙に重ね合わせた時、500μmの正方形の内部に完全に入るもの、及び、2500μmの正方形から一部でもはみ出る粒子を取り除き、これを吸収性樹脂部分とする。それぞれ重量を測定して以下の(式2)にしたがって計算する。吸収性複合体の任意の点を5点以上撮影し、その平均値を面積充填率とする。吸収性樹脂を基材の両面に接着させる場合においては、それぞれの面において別々に測定する。
(式2)
樹脂面積充填率(%)=吸収性樹脂部分の重量/全体の重量×100
樹脂面積充填率は1〜30(%)であることが好ましくであり、より好ましくは2〜25であり、更に好ましくは3〜20である。面積充填率が高すぎると吸収性樹脂が膨潤した時に吸収性樹脂同士が接触し、ブロッキングが起こり吸収性樹脂の能力をフルに発揮することができなくなるので好ましくない。また、樹脂面積充填率が低すぎると、吸収性複合中の面積あたりの吸収量が少なくなるため好ましくない。
7.総表面積係数について
本発明の吸収性複合体における総表面積係数とは、吸収性複合体の単位面積あたりの吸収性樹脂の表面積を表す指標である。総表面積係数が大きいほど、吸収性複合体の吸収速度が速くなるため好ましい。総表面積係数は0.3〜3であることが好ましく、0.4〜3であることがより好ましく、0.5〜3であることが更に好ましい。本発明における総表面積係数は、吸収性複合体に使用されている吸収性樹脂を回収し、所定の粒径ごとに分け、粒径ごとの粒子重量、かさ比重を測定し、(式3)によって求める。
Figure 0005000198

・・・(式3)
Wrは粒子径がr(cm)である粒子の重量の合計(g)
Crは粒子径がr(cm)である粒子のかさ比重(g/cm
Sは吸収性複合体の面積(cm
吸収性樹脂の粒子径とかさ比重は、吸収性複合体から吸収性樹脂を取り出し(接着した粒子については引き剥がし)回収して測定するが、その際、繊維等が吸収性樹脂表面についている場合は、繊維を取り除いて測定する。吸収性樹脂中に繊維が浸入している場合は、粒子表面の繊維を切り取り測定する。吸収性樹脂表面に接着剤などが塗布されている場合は、吸収性樹脂が吸収することのできない溶剤を用いて、接着剤を除去する。
本発明における吸収性樹脂の粒子径は、目の開きが106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、1700μm、2500μmの篩を使用して篩い分けすることによって求める。本発明においては、通過することのできた篩の目の開きと通過することのできない篩の目の開きの中間の値を粒子径とする。なお、106μmの篩を通過したものについては、53μmとし、2500μmの篩の上に残ったものについては、2700μmとする。この操作により、53μm、159μm、256μm、362.5μm、462.5μm、550μm、655μm、780μm、925μm、1090μm、1290μm、1550μm、1850μm、2100μm、2700μmの粒径へと分類される。
本発明における吸収性樹脂のかさ比重は、2cmのメスフラスコを使用して2cm分の吸収性樹脂を測り取り、その重量を計量し、重量を2で割ることによって求める。測定は5回行い、平均値をとる。かさ比重は、篩い分け後のそれぞれの粒径において測定する。
総表面積係数は0.3〜3であることが好ましく、0.4〜3であることがより好ましく、0.5〜3であることが更に好ましい。総表面積係数が大きいほど吸収速度が向上するため好ましい。
8.樹脂について
本発明の吸収性複合体中の吸収性樹脂は、吸収性樹脂の重量に対する残存モノマー濃度が200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm下、更に好ましくは50ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。残存モノマーが多いと、液吸収時の溶出成分が多く性能的に好ましくない。本発明の複合体は予め製造された吸収性樹脂を出発原料とし、当該樹脂を基材と接触させた後、製造されることが好ましい方法であるが、基材との接触前の吸収性樹脂の残存モノマー濃度は5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましく0.05%以下であることが最も好ましい。出発原料として残存モノマーが多い状態の吸収性樹脂を使用すると、複合体製造時に該残存モノマーの重合反応を完結させるのが困難であるし、反応方法によっては基材の風合いを損なうことがあり好ましくない。残存モノマー量は、以下のような方法を用いて定量することができる。吸収性樹脂を、樹脂重量の250倍の0.9%生理食塩水に加え、撹拌しながら6時間程度抽出した後に濾過をする。濾液を、液体クロマトグラフィー法を用いて定量する。
本発明の吸収性樹脂の種類は特に限定されず、どのような吸収性樹脂でも構わない。側鎖に酸基を有した吸収性樹脂であることが好ましく、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であることが更に好ましい。酸基のうち50%以上が塩の形で中和されていることが好ましく、酸基のうち50%以上がアンモニウム塩の形で中和されていることが更に好ましい。側鎖に酸基をもった吸収性樹脂は、液体吸収時に酸基同士の静電反発が起こり、吸収速度が速くなるため好ましい。
酸基が中和されていると、浸透圧により液体が吸収性樹脂内部に吸収されるため好ましい。アンモニウム塩の形で中和されていると、アンモニウム塩は水への親和性が高く吸収量が多くなるため好ましい。吸収性樹脂の種類としては、ポリアクリル酸部分中和物架橋体(例えば特開昭55−84304号公報参照)、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(例えば特公昭49−43395号公報参照)、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物(例えば特開昭51−125468号公報参照)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物(例えば特開昭52−14689号公報参照)、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば特公昭53−15959号公報参照)、ポリグルタミン酸塩(例えば特開2003−192794号広報参照)など多くが知られている。吸収性能、コストなどの観点から通常衛生材料用途に使用されているポリアクリル酸部分中和物架橋体が好ましい。吸収性樹脂の形状はどのような形状でもよく、不定形破砕状、粒子凝集体(例えば葡萄の房状)、球状などの粒子状でもよい。
但し、大粒として使用する吸収性樹脂については、水液重合法で重合された後、破砕工程を含む製法で不定形の粒状とされた樹脂および/または逆相懸濁重合法で製造された粒子凝集体であることが好ましい。球状の粒子の場合は、基材の複合化効果に伴う吸収速度向上が生じても、その超低比表面積により衛生材料として満足される吸収速度を示しがたいからである。
以下に、使用する吸収性樹脂の好ましい例としてポリアクリル酸部分中和物架橋体の製造方法をあげておく。
ポリアクリル酸架橋物では、ポリマー分子鎖中における繰り返し単位の好ましくは50mol%以上がカルボキシル基含有単位である。より好ましくは80mol%以上、最も好ましくは90mol%以上である。繰り返し単位のうちのカルボキシル基含有単位が50mol%以下では吸収性能の低下が見られるため好ましくない。
ポリマー分子鎖中のカルボキシル基は部分中和されていることが好ましく、塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、アンモニア等の含窒素塩基性物があげられる。カルボキシル基の50%以上が中和されていることが好ましく、70%以上が中和されていることが更に好ましい。塩の種類としては、アンモニアを含む少なくとも1種類以上で部分中和されることが好ましく、アンモニア単独で部分中和されることが最も好ましい。吸収性能の観点から、ポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基中和塩のうち50mol%以上がアンモニウム塩であることが好ましく、より好ましくは70mol%以上、更に好ましくは90mol%以上、最も好ましくは全てアンモニウム塩で中和される。アンモニウム塩の割合が高いと、吸収倍率、基材との接着性の点において好ましい。なお、吸収性樹脂中のアンモニウム塩の割合は、吸収性樹脂中の全窒素原子量を求めることで計算することができる。吸水性樹脂中の全窒素原子量はケルダール法により求めることができる。
吸収性樹脂の形状は特に問題なく、吸収性組成物に広く用いられている球形粒子状粉末、不定形粒子状粉末、粒子凝集粒状、短繊維状、長繊維状、シート状などがあげられる。粒子凝集粒状、球形粒子状粉末、不定形粒子状粉末が好ましく、その粒子粒径は好ましくは10〜2700μmであり、より好ましくは100〜2000μm、更に好ましくは200〜2000μm、最も好ましくは200〜1400μmである。
吸収性樹脂を構成する単量体としては、(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、けい皮酸、それらの無水物、不飽和カルボン酸単量体の中和塩があげられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸の中和塩を用いる。中和塩の種類はリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニア等の含窒素塩基性物質であることが好ましい。その他単量体を共重合してもよく、共重合してもよい不飽和単量体は(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、ソルビン酸、けい皮酸、それらの無水物、ビニルスルフォン酸、アリルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸、ビニルトルエンフルフォン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルフォン酸、2−ヒドロキシルエチルアクリロイルオフォスフェート、2−ヒドロキシルエチルメタクリロイルフォスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルフォスフェート、ビニルリン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクレリート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペジリン、N−アクリロイルピロリジンなどのノニオン性の親水性基含有不飽和単量体、また、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどの様に重合後の官能基の加水分解によって、吸水性樹脂を形成する親水性単量体を用いてもよい。また、併用できる疎水性単量体としては、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの中で1種類、もしくは2種類以上を添加することができる。
単量体中に架橋剤を共存させておいてもよく、架橋剤としては、縮合型架橋剤を用いて樹脂中の官能基と反応して架橋される方法、重合性の架橋剤を用いて不飽和単量体と共重合することにより架橋する方法、樹脂に電子線や放射線を照射することで架橋する方法等が上げられ、好ましくは縮合型架橋を用いる方法、最も好ましくは樹脂の官能基と反応する縮合型架橋剤の共存下で、重合性の架橋剤と不飽和単量体を共重合する方法である。
縮合型架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオンなどがあげられこれら架橋剤は2種以上用いてもよい。
不飽和単量体重合性の架橋剤としては、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩などがあげられ、これら架橋剤は2種以上用いてもよい。
単量体溶液の溶媒は溶解性に優れたものであれば特に限定されない。特に好ましくは水単独であるが、エタノール、メタノール、アセトンなどの親水性溶媒を単独もしくは複数混合して使用しても良い。また、必要に応じて塩化ナトリウムなどの塩類、pHコントロールを目的としたアンモニアなどの塩基性化合物、逆相懸濁重合の際には懸濁剤を添加しても良い。
不飽和単量体の重合方法は特に限定されず、水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合、噴霧重合、ベルト重合など一般に広く用いられている方法が適用できる。重合開始方法も特に限定されず、ラジカル重合開始剤による重合、放射線、電子線などの照射による重合、光増感剤による紫外線重合を行うこともできる。かかるラジカル重合に用いられる開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酢酸などの有機化酸化物、などの公知の開始剤が挙げられる。酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合はL−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤を併用してもよい。
重合開始前に予め単量体溶液中の脱酸素操作を行うことは好ましい。具体的な方法として、十分な時間の不活性ガスによるバブリング等により溶存酸素を取り除く方法があげられる。また、反応器内雰囲気も窒素、ヘリウムなどの不活性ガスに置換されていることは好ましい。反応器内は減圧、常圧、加圧のいずれであっても良い。重合開始温度は通常0〜100℃の範囲で行うことが好ましい。さらに好ましくは、20〜70℃の範囲である。開始温度が高すぎると、開始剤を加える前から熱による重合がおこってしまい好ましくない。また、開始温度が低すぎると、反応開始に時間がかかりすぎるため好ましくない。反応中の反応器内の温度は成り行きに任せてもよく、外部から冷却もしくは加熱により温度制御を行ってもよい。重合中の昇温速度や最高温度は特に問題とならず、最高温度が100℃を超えても問題はない。重合時の最高温度は、通常20〜140℃で、好ましくは、40〜120℃の範囲である。単量体溶液の濃度は10〜80%が好ましく、30〜70%が最も好ましい。濃度が濃すぎると、反応が暴走しやすいため好ましくない。濃度が薄すぎると、反応に時間がかかりすぎるし、その後の乾燥工程にも負荷がかかるため好ましくない。重合時間は、反応溶液からの発熱が止まる時間付近に設定することが好ましい。重合後の後工程として、乾燥工程、後架橋工程等などの加熱工程が存在するので、反応溶液からの発熱が止まる前に重合を終了しても構わない。また、発熱終了後、数時間加温、保温しても構わない。
上記重合後に得られる重合体が含水ゲルである場合、乾燥を行う。この乾燥方法は特に限定されるものではないが、例えば共沸脱水、流動乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などが好ましく用いられ、特に熱風乾燥、真空乾燥が好ましい。含水率としては30質量%以下、好ましくは10質量%以下まで乾燥する。乾燥はどのような形態の含水ゲルで行ってもよいが、粗解砕して表面積を増やしてから乾燥するのが好ましい。乾燥温度は70℃〜180℃の範囲が好ましく、特に好ましくは100〜140℃である。
乾燥後の重合体は、必要に応じて粉砕や分級等の操作によって粒子径が調整される。その形状は、球状、鱗片状、不定形破砕状、顆粒状、粒子凝集体状など種種の形状であってもよいが、その重量平均粒子径は好ましくは100〜2700μmであり、より好ましくは100〜2100μm、更に好ましくは200〜2100μm、最も好ましくは200〜1400μmである。平均粒子径が小さすぎると、吸水性能の点で好ましくない。また、大きすぎると、総表面積係数を所定の範囲にすることが困難となる。
ポリアクリル酸架橋物では、所定の粒子径にコントロールされた乾燥後の重合体を加熱してもよい。この加熱処理の時に、使用するカルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上もった化合物を共存させておくことが好ましい。カルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上もった化合物は、重合前からいれておいてもいいし、熱処理の前の粒子に加えても構わない。熱処理の前に入れる場合は、水、アルコール類、エーテル類などの親水性溶媒に溶解させて、表面に散布することが好ましい。加熱処理の温度は特に限定されないが、好ましくは120〜250℃の範囲である。好ましくは150〜240℃、更に好ましくは170〜230℃である。加熱処理は、乾燥終了後に連続的に同じ装置内で加熱しても良く、乾燥工程とは独立の工程としても良い。
上記加熱処理は、通常の乾燥機や加熱炉を使用することができ、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
この様にして得られる吸収性樹脂に、必要に応じて消臭剤、香料、各種無機粉末、発泡剤、顔料、染料、抗菌剤、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、キレート剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、水、塩類等を添加してもかまわない。
上記無機粉末としては、例えば、水及び親水性有機溶媒に対して不活性な各種無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。特に無機粉末としては、水に対して適度な親和性を有し、かつ、水に不溶或いは難溶のものが好ましく、例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。
上記無機粉末の使用量は、通常は吸収性樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。吸収性樹脂と無機粉末の混合方法に特に制限はなく、ドライブレンド法、湿式混合法等で行われる。
必要に応じて粉砕や分級等の操作によって最終的に吸収性樹脂の粒子径が調整される。その形状は、球状、鱗片状、不定形破砕状、顆粒状、粒子凝集体状など種種の形状であってもよい。
本発明における基材上へ接着する前の吸収性樹脂は、吸収性樹脂の表面塩濃度が、50mol%以上であることが好ましく、更に好ましくは60mol%以上、更に好ましくは70mol%、最も好ましくは80mol%以上である。基材上へ接着する前の表面塩濃度が低すぎると、粒子の接着性が低下する。最終的な基材への接着後の吸収性複合体中の吸収性樹脂部分の表面塩濃度については特に制限はないが、好ましくは90mol%以下、更に好ましくは80mol%以下、最も好ましくは60mol%以下である。最終的な複合体中の吸収性樹脂の表面塩濃度が低い方が、仮に湿潤空気下にさらされた時にもベトツキを起こしにくく有利である。また、樹脂同士の水溶液吸収後の膨潤時に粒子同士の接触が生じても吸収性複合体中での水溶液拡散性が高い状態で維持できるので、大変好ましい。高い吸収倍率を維持するためには、吸収性樹脂全体の塩濃度を高める必要があるが、複合体中の液拡散性を高く維持するためには、表面近傍の塩濃度を低くすることが望まれる。すなわち、表面近傍の塩濃度だけを下げて、内部の塩濃度を高めることが好ましい。具体的には、表面近傍の塩濃度を樹脂中心部の塩濃度に比べて、10mol%以上低くすることが好ましく、さらに好ましくは20mol%以上、最も好ましくは30mol%以上表面近傍の塩濃度を下げることである。尚、表面近傍とは、表面から深さ方向に約1μm厚みの外層部のことである。
吸収性樹脂は、通常カルボキシル基やスルホン酸基などの酸基とその中和塩、アミノ基などの塩基性基とその中和塩などからなっており、吸収性樹脂の表面塩濃度とは、吸収性樹脂の表面部分の中和された基の割合を表す。本発明において、樹脂の表面近傍の塩濃度は、赤外吸光分析法の一つである顕微ATR法によって測定することにより求める。このATR法では、通常、表層の深さ1μmの構造情報が得られるので、樹脂表面の中和率の測定は顕微ATR法にて直接表面を測定できる。内部部分については、ウルトラミクロトーム(Reichert製 ULTRACUT N)を用いることにより樹脂を割断して中心部を露出させてから顕微ATR法にて測定する。
測定装置は Bio−Rad社製 FTS−575を用いる。
以下、ポリアクリル酸系吸収性樹脂を例に挙げて説明する。カルボン酸及びカルボキシレートの組成比を規定する指標として、1695cm−1(カルボン酸νC=0 ベースライン1774〜1616cm−1)および1558cm−1(カルボキシレートνCOO ベースライン1616〜1500cm−1)のピーク面積比(1695/1558cm−1)を計算し、別途、10mol%,30mol%,50mol%,70mol%,90mol%,100mol%アンモニア中和の部分架橋ポリアクリル酸を標準サンプルとして測定、作成した検量線より組成比を求める。
本発明の複合体を製造するための接着前の原料として用いる吸収性樹脂は、表面強度が0.1〜5.5Nであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5N、更に好ましくは0.2〜4N、最も好ましくは0.2〜3Nである。表面強度とは、粒子表面の変形しやすさをあらわすパラメータである。特定倍率に吸収して膨潤した吸収性樹脂を容器にいれて荷重をかけていくと、容器内で隙間をあけて充填されていた吸収性樹脂の隙間を埋めるようにゲルが移動、変形していく。表面強度は、吸収した吸収性樹脂が実体積になった時の弾性率であるので、ゲル粒子間の相互作用の大きさや表面の変形しやすさを意味する。表面強度が大きいということは、吸収性樹脂が変形しにくいことを表す。変形しにくいということは、吸収性樹脂が吸収して膨潤するのに対し負の力が強いということになり、ひいては吸収容量を下げてしまうことになる。また、表面が変形しにくいと、樹脂と基材との接着面が小さくなり複合体からの粒子の脱離が起こりやすく好ましくない。本発明の吸収性樹脂の表面強度は、以下のように求める。
装置:島津オートグラフAG−1
試料:吸収性樹脂0.10gを精秤し、底面に75μmの孔径のナイロンシートを貼り付けた内径20.5mm、高さ50mmの円筒容器の底に均一に入れた。50φのシャーレを用意し、0.90gの生理食塩水をいれ、吸収性樹脂の入った円筒容器を静置し、1時間吸収膨潤させた。
測定:1kNのロードセルを使用し、直径19.7mmの円柱軸をとりつけた。測定レンジは0.2kNと設定し、ロードセルに荷重がかからない高さにあわせ、そこから降下速度0.6mm/分という一定の速度で下がるように設定する。ロードセルに加わる圧力を経時的に記録した。ここで、表面強度とは実体積になった時点における荷重(N)を表す。吸収性樹脂の実体積は、生理食塩水の比重1.010g/cmと吸収性樹脂の比重を利用して計算した。
本発明において、複合体中の吸収性樹脂中の吸収性樹脂の平均吸収倍率は50g/g以上である必要がある。好ましくは60g/g以上であり、70g/g以上が最も好ましい。また、本発明における吸収性樹脂は、0.8psiにおける吸収性樹脂の荷重下加圧下吸収倍率が、好ましくは20g/g以上であり、更に好ましくは25g/g以上、30g/g以上が最も好ましい。吸水性樹脂の吸収倍率が高いほど、使用する吸収性樹脂の量を減らすことができるため好ましい。
本発明の吸収性の吸収倍率とは0.9%の生理食塩水を、吸水性樹脂に荷重がかからない状態において、自由に膨潤吸収できる量のことである。吸収性樹脂の吸収倍率は以下のような方法で測定する。
吸収性樹脂0.05gを不織布製のティーバッグ式袋(60×40mm)に均一に入れ、23℃の0.9%生理食塩水中に浸漬する。180分後にバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で10分間吊るして水切り後、重量を測定する。吸収性樹脂を用いずに同様の操作を行い、重量を測定しブランクとする。(式1)に従って吸収倍率を算出する。測定は3回行い、平均値を吸収倍率(1)とする。
(式4)
吸水性樹脂の吸収倍率(g/g)={(吸収後のティーバッグの重量)−(吸収後のブランクのティーバッグの重量)−(吸収性樹脂の重量)}/(吸収性樹脂の重量)
本発明の吸収性樹脂の加圧下吸収倍率は以下の方法により測定する。吸収性樹脂0.02gを内径25mm、高さ30mmで底部に250メッシュのナイロン不織布を備えたアクリル樹脂製円筒に入れ、円筒の中にスムーズに動くシリンダーを入れて測定装置とし、重量を測定する。測定装置のシリンダーの上部に0.8psi相当の278.33gの荷重を載せて荷重とし、0.9%生理食塩水60gを入れた内径120mmのシャーレに入れる。60分後に取り出してキムタオルの上に3秒間静置して水切りをし、荷重を取り除いた後の装置の重量を測定し、(式5)に従って加圧下吸収倍率を算出する。
(式5)
吸収性樹脂の荷重下の吸収倍率(g/g)=(吸収後の装置の重量(g)−吸収前の装置の重量(g))/(吸収性樹脂の重量)
吸収倍率が70g/g以上、0.8psi荷重下における吸収倍率が20g/g以上である吸収性樹脂から構成される引張破断強度が0.6(N/20mm)以上である吸収性複合体は、加圧下、無加圧下共に優れた吸収特性を示すため紙オムツ等の衛生材料用途に好ましい。この時、吸収性複合体は吸収性樹脂と紙及び/または布から構成されていることが好ましく、吸収性樹脂同士がブロッキングしないように吸収性樹脂同士が離れた状態にあることが更に好ましく、90%重量以上の吸水性樹脂が紙及び/または布に接着されていることが最も好ましい。
無加圧の吸収倍率が70g/g以上、0.8psi荷重下における吸収倍率が20g/g以上である吸収性樹脂は、以下のような方法で得ることができる。70%以上がアクリル酸であり、更にカルボキシル基のうち50%以上がアンモニウム塩として中和されており、合計で70%以上が中和されている不飽和カルボン酸単量体を重合することで得ることができる。この際、架橋剤として働く1分子中に不飽和基を2個以上もつ化合物を全単量体成分に対して0.0005〜0.1モル%含んだ単量体を使用する。カルボキシル基を反応しうる官能基を2個以上もった化合物0.1〜3重量部を重合前、または、重合後のいずれかの工程中に使用しても構わない。レドックス系開始剤を用いてラジカル重合を行い、ラジカル重合開始剤として、不飽和単量体の量に対して0.005〜0.5モル%使用する。還元剤は単量体1モルに対して0.0001〜1gとする。必要に応じて、以下の(式6)を満たすような加熱条件で加熱を行う。この加熱は、吸収性樹脂単独で行われるよりも、吸収性複合体を製造するときに同時に行われることが好ましい。
(式6)
Y=−1.6X+345
ただし、Yは加熱時間(分)、Xは加熱温度(℃)
このような方法で得られる吸収性樹脂は、ブロッキングを起こしやすいため、過去に行われているような吸収性樹脂同士が密着するような評価法を適用すると、特に吸水速度や加圧下の吸収性能においては劣った結果となる。しかしながら、複合体中の樹脂状態を想定した本発明中の測定方法においては、吸収性樹脂の性能を発揮できるため、無加圧においても加圧下においても吸水速度においても優れた吸収能力を示す。
本発明に使用する吸収性樹脂の粒子径は、好ましくは10〜2700μmであり、より好ましくは100〜2100μm、更に好ましくは200〜2100μm、最も好ましくは200〜1400μmである。
本発明の吸収性複合体中には大粒が使用される。大粒の粒径は、550〜2100μである。吸収性複合体の面積当たりの吸収倍率を高めるためには、より大きな粒子を使用することが好まれるが、粒径が大きすぎると吸収速度の著しく低速となり、また、衛生材料用の吸収体の中に使用する場合、粒子の突き出しによる肌に対する痛さ等が問題となる。したがって、大粒の好ましい粒径としては700〜1800μm、さらに好ましくは850〜1400μm、最も好ましくは850〜1200μmである。
この大粒は、形状によって大きく吸収速度が左右されるので、破砕工程を含む製造方法により製造された不定形破砕状粒子、および/または、逆相懸濁重合で製造された粒子凝集状粒子が好ましい。その他の不定形破砕状粒子や粒子凝集状粒子より比表面積(表面積/体積)の小さい粒子を使用すると吸収速度が低速となることがある。ここでいう粒子凝集状粒子とは、平均粒径が10〜550μmの範囲にある粒子(以後一次粒子と称す。)が2個以上凝集してなる粒子である。一次粒子の粒径分布が単分散である必要はなく、550μmを超える粒子を含んでいてもよく、また、10μm未満の粒子を含んでいても良い。すなわち、凝集させる前の一次粒子の平均粒径が10〜550μmの範囲にあればよい。この一次粒子の平均粒径が小さいと大粒の吸収速度が向上して好ましい。逆に、この一次粒子の平均粒径が大きい場合は、膨潤後の粒子表面積が小さくなり吸収性樹脂と外界との接触面積が小さくなり、人が感じる冷たさが軽減されるので好ましい。さらには、膨潤後一次粒子が乖離した時でも、吸収性複合体と人の肌との間に介在するシートを通り抜けて肌に膨潤樹脂が届くことを抑止できるので好ましい。したがって、特に好ましい一次粒子の平均粒径は200〜500μmである。
大粒の表面近傍の状態としては、表面近傍の塩濃度が樹脂中心部の塩濃度より10mol%好ましく、さらに好ましくは20mol%、最も好ましくは30mol%以上表面近傍の塩濃度が低いことが好ましい。特に、不定形破砕状粒子を使用する場合は、粒子凝集状粒子より比表面積が小さいので、この表面近傍と中心部との塩濃度の差に伴う、イオン浸透圧効果による粒子内部への水の輸送力を利用することで、吸収速度を向上させることが好ましい。また、表面架橋することで、吸水時の表面近傍膨潤による内部へ液拡散阻害作用を低減させることも好ましい。一方、大粒として粒子凝集状粒子を使用する場合は、構成一次粒子のゲルブロッキング現象により、大粒の内部へ液拡散を妨げることにより吸収速度が低下することがある。したがって、一次粒子の表面近傍の塩濃度を低下させて、膨潤時の表面をドライにするか、一次粒子の表面近傍が表面架橋された状態としゲルブロッキング現象を緩和することが好ましい。
本発明の吸収性複合体は、大粒以外の吸収性樹脂を含ませて吸収性複合体の吸収倍率や吸収速度を調整することは好ましく、その場合の混合する樹脂の平均粒径の好ましい範囲としては10〜2700μmであり、より好ましくは100〜1000μm、更に好ましくは200〜550μmである。大粒以外の樹脂を本発明の複合体中に含ませる目的として吸収速度を向上させたい場合は、比較的粒径の小さい吸収性樹脂を多く含ませることが好ましい。その場合は、目の開きが300μmを通過する粒子が吸収性複合体中の全吸収性樹脂量に対して10〜50重量%の範囲で含ませることが好ましい。あまり小さすぎる吸収性樹脂は、吸収性能が低くなってしまうので、100μm未満の吸収性樹脂の含有量は10重量%以下が好ましい。さらに好ましくは、212μm未満の吸収性樹脂の含有量が10重量%以下である。
本発明の複合体中の吸収性樹脂全体についての粒径の好ましい範囲は、目の開きが300μmの篩を通過する粒子は50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下である。目の開き3000μmの篩を通過できない粒子は10%以下であることが好ましく、更に好ましくは5%以下である。
本発明の吸収性複合体中の吸収性樹脂の粒径分布の状況は、吸収性複合体の吸収性能への関係が深い。例えば、平均粒子径が小さいほど、吸収速度は向上する傾向にあり、平均粒子径が大きいほど、基材に対して垂直方向への膨潤が大きくなり、面積当たりの吸収量を上げることができる。また、同じ重量の粒子を置いた時、平均粒径が大きいほど樹脂の面積充填率が低くなり、膨潤阻害を受け難いといえる。粒子単独では、粒子径が大きすぎると吸収速度が遅くなってしまうが、本発明の複合体中の粒子は、繊維との複合化効果により大きな粒径の粒子でも著しく吸収速度が向上するため、比較的大きい粒子を使うことも好ましい。吸収倍率と吸収速度を両立させる観点から、550μm以上の比較的粒子径の大きな粒子と、300μm以下の比較的粒子径の小さい粒子を両方用いることが好ましく、粒子径分布において二つ、またはそれ以上のピークをもつような分布になっていることが好ましい。二つのピークは、粒子径が2倍以上異なっていることが好ましく、3倍以上異なっていることが更に好ましく、4倍以上異なっていることが最も好ましい。粒子径に差があると、細密充填に近くなり、大きな粒子と小さな粒子は膨潤時の接触が小さくなり、お互いの性能を発揮させることができる。
9.基材について
本発明において基材とは、シート形状を保てる素材のことをいう。本発明においては、基材はシート状であればどのような素材でも構わないが、好ましくは紙および/または布である。紙とは、JISP0001で定義される広義の意味での紙のことを指し、布とはJISL0206で定義されるシート状繊維製品の総称である。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明に使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、最も好ましくは不織布である。紙及び/又は布は、パルプなどの短繊維などと異なり形態安定性に優れているため好ましい。
不織布とは、JIS L 0222により定義される。基材の形状は特に限定されず、厚さは好ましくは0.001mm〜1cm、より好ましくは0.01mm〜5mmであり、更に好ましくは0.05mm〜3mmであり、最も好ましくは0.1mm〜1mmである。重量は好ましくは0.1g/m〜1kg/m、より好ましくは0.5g/m〜500kg/mであり、更に好ましくは1g/m〜100g/mである。薄すぎるもの、軽すぎるものについては、強度の点から好ましくない。本発明においては、生理食塩水後の引張破断強度が、好ましくは0.6〜5000N/20mmであり、より好ましくは0.7〜500N/20mmであり、0.85〜100N/20mmであることが更に好ましく、1〜100N/20mmであることが最も好ましい。
本発明において生理食塩水吸収後の引張破断強度は、基材に生理食塩水を吸収させた後の引張破断強度のことを表す。衛生材料においては、液吸収後もすぐに交換されずにそのまま使用されることもある。また、液吸収後、複数回にわたっての液吸収を求められることもある。一度吸収した後に使用を続けると、吸収体に水分がある状態で荷重がかかることとなる。荷重によって基材が破断してしまうと、通液性や液拡散性が低下することになり吸収体の性能を劣化させることとなる。生理食塩水吸収後も、高強度を保つ基材ほど吸収体の耐久性の点において好ましいといえる。また、製造時に基材が含水するようなプロセスの場合は、含水時の強度が低いと問題になることがあり、基材の強度が高いほど好ましいといえる。しかし、強度が高すぎても、実質的に性能の差はみられない。
生理食塩水吸収後の引張破断強度は以下のように求める。
試料:15cm×2cmの長方形型基材(方向を変えて何種類か用意する)
装置:引張試験機(島津のオートグラフ)
方法:1Lビーカーに0.9%生理食塩水を700g取り、基材を10分間浸漬させる。基材を引き上げ、キムタオル上に1分間放置し、間隔が10cmとなるように両端から2.5cmの部分をセットし、10mm/分のスピードで破断するまで引っ張り続ける。この時の力を記録し、最大値を強度N/20mmとする。方向があるものについては、方向を変えて何点か行い一番数値の低い値を強度とする。
基材の原料はなんでもよく、複数の組み合わせの基材でもよい。基材繊維としては、天然繊維、合成繊維の双方があり、さらに複数の繊維の組み合わせも構わない。繊維の長さは、短繊維でも長繊維でもかまわない。強化のためや親水性付与のために処理をほどこしていても構わない。疎水性のものより親水性のものが吸液性、通水性に優れているため好ましい。また、短繊維よりも連続長繊維の方が通液性にすぐれるため好ましい。親水性の基材のなかでも、特にセルロース系の基材が好ましい。本発明におけるセルロース系基材とは、セルロースを主原料とした布及び/または紙のことを表す。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維と混ぜたものでもよい。セルロースとしては、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、キュプラなどの再生繊維などがある。繊維としては再生繊維の方が好ましく、一年草である綿実を再生繊維化した繊維が更に好ましい。
基材の親水性、通液性を表す指標として、吸収倍率と吸収速度がある。これについて次に説明する。
本発明において基材の吸収倍率とは、基材が0.9%生理食塩水を60分間で吸収して何倍の重量になるかを測定したものであり、具体的には以下のような方法で測定する。基材を直径59.5mmの円形に切り取り、重量を記録した後、円周部分から1cmのところに針金を通す。1Lのビーカーに23℃の生理食塩水を500g以上用意しておき、基材を針金ごと生理食塩水に漬け込む。60分後、基材を針金ごと生理食塩水から取り出し、基材が他のものと触れないようにして10分間吊り下げる。10分後針金を抜いて含水基材と付着水の総重量を計測する。基材の吸収倍率は、式(7)で示した。
(式7)
基材の吸収倍率(g/g)=吸収後の重量(g)/吸収前の重量(g)
本発明においては、基材の吸収倍率は6g/g以上200g/g以下であることが好ましく、より好ましくは8g/g以上100g/g以下、更に好ましくは10g/g以上50g/g以下であり、最も好ましくは12g/g以上30g/gである。吸収性複合体においては、吸収性樹脂よりも繊維の方が吸収速度が速いため、吸収初期には基材が、後期には吸収性樹脂が吸収することとなる。基材の吸収倍率が高いほど初期の液体吸収速度が速くなるため好ましい。通常、基材の吸収は毛細管現象によるもので、荷重がかかった時には液体が戻ってしまうこともあるし、使用中の蒸れの原因となる可能性もある。しかし、本発明の吸収性複合体においては、樹脂が基材の繊維を取り込んだ形で接着しているために、基材から吸収性樹脂が液体を奪い取る形で吸収する。このため、荷重によって液体が戻ったり、使用中に蒸れたりすることは少ない。
本発明において基材の吸収速度とは、幅2cmの基材が0.9%生理食塩水を垂直方向に吸収していく速度のことを表す。基材の吸収速度は、0.35mg/秒以上100mg/秒以下であることが好ましく、より好ましくは0.45mg/秒以上50mg/秒以下、更に好ましくは0.55mg/秒以上30mg/以下、最も好ましくは0.65mg/秒以上10mg/秒以下である。
基材の吸収速度は、具体的には下記のように測定する。
試料:10cm×2cmの長方形型基材
縦横方向があるものについては、方向を変えて2点以上用意する
装置:電子天秤、直径90mmのシャーレ
方法:電子天秤上にシャーレをおき、基材をシャーレの10cm上から垂直に吊り下げる。シャーレを電子天秤から取り、他の天秤で0.9%の生理食塩水60gを量り取る。基材の下部を手でもち、生理食塩水にふれないようにしてシャーレを電子天秤上に再度設置し、天秤の値を0点に設定する。基材を静かに生理食塩水に漬け込み、電子天秤の値を経時的に記録する。時間(秒)と電子天秤の値の絶対値(mg)をグラフにプロットし、120秒後から240秒後までの間の傾き(mg/秒)を吸収速度とする。基材で方向があるものについては、方向を変えて何点か測定を行い、一番早い値を吸収速度とする。
基材中に、吸収速度の違う方向がある方が好ましいといえる。基材に方向が存在すると、特定の方向への通液性に優れ、特定方向に液体を拡散させやすいため、吸収体中において吸収のバランスをコントロールすることができる。
基材に方向が存在すると、方向ごとに強度と伸びが変化する。本発明においては、強度が最大である方向を縦方向とし、それに対して垂直の方向を横方向とする。縦方向と横方向の強度の比は好ましくは1.2倍以上であり、更に好ましくは1.5倍以上、最も好ましくは2倍以上である。縦方向と横方向の伸びの比は好ましくは好ましくは1.2倍以上であり、更に好ましくは1.5倍以上、最も好ましくは2倍以上である。基材の伸びと強度は、生理食塩水吸収後の基材の強度と同様の方法で、生理食塩水に浸さず乾燥状態において引っ張り試験を行うことで求めることができる。基材が破断するまで引っ張りの試験を行い、最大の強度を示した時の力を基材の強度とし、その時に伸びた距離を伸びとする。
本発明における基材は、接触角が130度以下である不織布が好ましい。本発明中における接触角とは室温で粘度74cpの44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を基材へ接触させ、10秒後になす角として定義される。測定は、FACE(協和界面科学株式会社)製の接触角計(CA−X150型)を用いて測定する。液は和光純薬の44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(70〜110cp)を水で粘度調整して使用する。粘度は回転円盤粘度計を用いて測定する。
接触角は130度以下であることが好ましく、より好ましくは120度以下であり、更に好ましくは110度以下であり、最も好ましくは100度以下である。接触角が小さいほど、基材と水、基材と吸収性樹脂の親和性が高くなり、吸収性や接着性の点で好ましい。
10.吸収性複合体の製法
本発明における吸収性複合体は、吸収性樹脂と基材を原料とし、基材に吸収性樹脂を接着させる工程を含む製法で製造されることが好ましい。接着方法は特に限定されず、前述の条件を満たすような接着方法を行えばよい。接着方法としては、基材に吸収性樹脂をからませる方法や、接着剤を使用する方法などがあげられるが、好ましい方法は、吸収性樹脂100重量部に対して10〜3000重量部の水を吸収性樹脂及び/又は基材に吸収させ、その後、吸収性樹脂と基材が接触した状態から、脱水する方法である。水の量は吸収性樹脂100重量部に対して、20〜2000重量部であることが好ましく、50〜1000重量部であることが更に好ましい。この方法で接着を行うと、不純物となる接着剤も使用する必要がないため好ましい。また、この方法で接着を行うと、吸収性樹脂中に繊維の一部が取り込まれるため、吸収速度や吸収倍率の点で好ましい。水の量が多いほど接着性が高くなり好ましいが、あまりにも多すぎると乾燥に時間がかかりすぎるため非効率的である。
含水させる水に、不純物を含んでいても構わない。不純物としては、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、鉄イオンなどの陽イオン、塩素イオンなどの陰イオン、アセトン、アルコール類、エーテル類、アミン類などの水溶性有機化合物などがあげられる。吸収性樹脂及び/または吸収性複合体のpH調整のために、酸性または塩基性のものを使用してもよい。吸収性樹脂と基材の接触性や吸収能力の点から考えると、これら不純物のない蒸留水またはイオン交換水を単独で用いることが好ましい。また、この水中に消臭等の機能を有する物質を溶解および/または分散させて製造させる吸収性複合体に機能付与することは好ましい方法である。ここで使用可能な消臭剤の例としては、有機系、無機系の消臭剤が挙げられる。水に不溶な消臭剤を使用する場合は、必要に応じて分散剤や界面活性剤を使用することが好ましい。また、無機系消臭剤は、その粒子径をナノレベルまで小さくすることで、分散剤を使用しなくても水中に分散させることが可能となるので、微粒子の無機系消臭剤を分散剤無しで使用することは好ましい。
含水方法には特に制限は無い。例えば、水浴へつける方法、水を噴霧する方法、含水体と接触させる方法、加湿状態へ曝す方法等が挙げられる。これらの内、工業的に最も簡便で、かつ、含水量の調整が容易に方法である水噴霧方式が好ましい方法である。水噴霧の方式としては、布の含水率が均質になるような方式を採用することが好ましい。基材の各場所における含水率にバラツキが大きい場合は、吸収性樹脂接触後、脱水乾燥の工程までの間に吸収性樹脂が吸水する量が場所により異なってしまい、乾燥工程時の脱水に伴う発泡挙動が異なり、乾燥後の吸収性複合体中の樹脂粒径が不均質になってしまう。粒径が不均質な樹脂粒子は配置された吸収性複合体は、風合いを悪化させることがある。基材に含水させて、その後、吸収性樹脂と接着させる場合の基材の含水率としては、50〜500重量%の範囲が好ましい。吸収性樹脂と布との接着性を上げるためには、含水率が高いことが好ましいが、高すぎるとドラム上に大量の水が付着してしまいドラムのくぼみ以外の場所に吸収性樹脂が付着してしまう問題がある。勿論、含水率が低すぎると布と樹脂の接着性が低下する問題がある。したがって、好ましい含水率の範囲は、50〜200重量%、さらに好ましくは、80〜150重量%である。
接着のためには含水法としては、吸収性樹脂中に接着用の水を含ませておく方法を採用しても構わないが、その場合吸収性樹脂が基材以外の部分にくっつきやすくなるため、接触させる前の吸収性樹脂は他の物質への接着や粒子同士の接着がない程度に乾燥していることが好ましい。この場合の吸収性樹脂の含水率としては、1〜50重量%としておくことが好ましい。さらに好ましくは、5〜30重量%である。
接触の方法の例とは、基材上に上部から吸収性樹脂を散布する方法、表面にくぼみのあるドラムでくぼみ中に吸収性樹脂を収めた後、くぼみ中の吸収性樹脂を基材表面に転写する方法、表面に穴のあいたドラムロールの中に吸収性樹脂を充填しておき基材上へ圧力でドラムより排出して接触させる方法などが挙げられる。吸収性樹脂が膨潤した時に、吸収性樹脂同士の接触がより少なくなるに配置できる方法が、吸収性樹脂の性能を無駄なく発揮しやすいため好ましい。
これらの方法を採用する場合は、
脱水の方法は、どのような方法を用いても構わない。方法としては、加熱による乾燥、乾燥空気や窒素などを吹きかける方法、真空乾燥、凍結乾燥、共沸脱水、流動乾燥、マイクロウェーブによるなどが挙げられるが、加熱による乾燥が好ましい。加熱の条件は、70〜350℃で1秒〜1000秒の条件で行うことが好ましく、より好ましくは100〜340℃で1秒〜1000秒、更に好ましくは120〜330℃で1秒〜1000秒、最も好ましくは150℃〜300℃で1秒〜1000秒である。高温であるほど短時間で乾燥が可能であるが、高温で長時間加熱を行うと樹脂の種類によっては吸収性能が低下する場合もある。乾燥と同時に、表面架橋などの表面処理を行ってもよい。脱水は、最終製品になるまでの間であれば、いつ行われてもかまわないが、吸収性樹脂の劣化の点から、含水後に速やかに脱水を行うことが好ましい。
(吸収性複合体の好ましい製造例)
本発明の吸収性複合体の好ましい製造例を図1に示した。
図1中の各符号は以下を示す。
a:源反ロール(基材)、b:水噴霧機、c:布および/または紙、d1、d2:吸収性樹脂粒子ホッパー、e1、e2:粒子接着用ドラム、f:吸収性樹脂粒子、g:乾燥装置、h:複合体ロール、i:小粒径粒子散布用ホッパー
本発明の吸収性複合体の好ましい製造法の一例を簡単に説明する。源反ロール(a)から取り出された基材は、水噴霧機(b)等の装置を用いて含水状態の基材(c)にし、その後、ドラム上のくぼみ部分に粒子が置かれた粒子接着用ドラム(e1)より、含水した基材へ吹き付けられ、基材の片面に接着させ、その後、粒子が接着されていない面上へもドラム上のくぼみ部分に粒子が置かれた粒子接着用ドラム(e2)より、粒子が吹き付けられ、更に、吸収性複合体の吸収性能を調整するための粒子を(i)より均一に散布し、両面に粒子が付着された基材が乾燥機を通り乾燥され、強固に粒子が接着された複合体が製造される。
上記好ましい製造方法において、その吸収性樹脂粒子を基材へ配置するドラムの構造が重要な点である。ドラム表面には、任意に決められた部位に吸収性樹脂が挿入可能なくぼみが存在する。このくぼみの配置は、設置される吸収性樹脂が互い接触する確立を少なくするように配置されていること好ましい。本発明の製造方法で製造される吸収性複合体の吸収性能を向上させるためには、最適なくぼみの配置が存在する。即ち、吸収性樹脂が吸収により膨潤できるように近傍樹脂粒子との間隔が空いており、かつ、より多くの吸収性樹脂が基材上に載せられている状態である。
この製造方法においては、使用するドラム表面上のくぼみの入り口の外径はドラムに供せられる吸収性樹脂の粒径の1〜3倍のサイズを有することが好ましい。さらに好ましくは1.2〜2倍である。このドラム上のくぼみの入り口の外径とは、くぼみ入り口のドラム表面の縁取り線上の最も長くなる点間の距離である。くぼみの構造としては、ドラム表面の縁取りが、円形、楕円形等に代表される無角形、三角形、四角形、五角形等に代表される角形、特定の形状と定義されない不定形などどのような形状でも構わない。ドラム製作上の観点からは、無角形や角形の定形が好ましく。ドラム製作上の簡便さと粒子のくぼみへの挿入と排出の容易さより、無角形が好ましい。また、該くぼみのドラム表面縁取りから内部へ向かう構造としては、表面から内部へ同じ空間を有するようなくぼみ構造でも、表面から内部へ空間が広がるようなくぼみ構造でも、表面から内部へ空間が狭まるようなくぼみ構造でも構わない。吸収性樹脂粒子のくぼみへ挿入と排出の容易さからは、表面から内部へ空間が狭まるくぼみ構造であることが好ましい。該くぼみ入り口の外径が大きすぎる場合は、多数の吸収性樹脂粒子がくぼみに挿入されてしまったり、挿入後の吸収性樹脂粒子が容易にくぼみより脱落してしまう確立がましてしまい、安定した運転が困難となる。また、該ドラム入り口の外径が小さすぎる場合は、吸引力を使用してくぼみ吸収性樹脂粒子を吸い付けても静電気等の原因でくぼみ以外の場所に付着した吸収性樹脂粒子を除去するプロセスでくぼみ中に存在する吸収性樹脂粒子まで除去されてしまうことがある。
また、該ドラムのくぼみの深さは、ドラムに供せられる吸収性樹脂の平均粒径の0.3〜2倍であることが好ましい。より好ましくは0.5〜1.5倍、さらに好ましくは、0.7〜1.2倍である。該くぼみの深さが浅い場合は、吸引力を使用してくぼみ吸収性樹脂粒子を吸い付けても静電気等の原因でくぼみ以外の場所に付着した吸収性樹脂粒子を除去するプロセスでくぼみ中に存在する吸収性樹脂粒子まで除去されてしまうことがある。また、該くぼみの深さが深すぎる場合は、多数の吸収性樹脂粒子がくぼみに挿入されてしまい製造される吸収性複合体上の接着される樹脂量の調整が困難となったり、挿入後の吸収性樹脂粒子が排出されにくくなってしまい、安定した運転が困難となる。
この製造方法に用いられるドラムには、ドラム表面のくぼみの底部に吸収性樹脂粒子吹き出し用のガスが通過できる穴があることが好ましい。この穴の内径は、ドラムに供せられる吸収性樹脂の小粒径粒子の粒径より小さいことが好ましい。この穴が小粒径粒子より大きい場合は、穴より小さい粒径の粒子は穴を通過し、ドラム内部へ入り込んでしまい基材へ吹き付けられない場合が多くなり、結果としてドラム内に滞留し、運転上に問題を生じることが多々ある。また、穴の構造としては、実質的にガスをドラム内部からドラム外部へ吹き出す機能を果たせば如何なる構造でも構わない。該穴への吸収性樹脂粒子のつまりを出来る限り防止するためには、穴がドラム内側に向かうほど広がった構造であることが好ましい。
また、該ドラム中に吸収性樹脂粒子を挿入させる際に、ドラム内部を減圧状態とし、吸引状態で挿入させることが好ましい。この時のドラムの外部と内部の圧力差は、0.01〜500Torrの範囲である好ましい。この圧力差が小さすぎるとくぼみ中に挿入された粒子が容易に脱落することがあり、逆に大きすぎるとくぼみ中に多くの粒子が入り込み排出が困難となることがある。したがって、この圧力差の好ましい範囲は0.05〜100Torrで、さらに好ましくは0.1〜50Torr、最も好ましくは0.5〜5Torrの範囲である。この吸引の効果は、くぼみへの吸収性樹脂粒子の挿入確立の向上だけでなく、くぼみへ吸収性樹脂粒子を挿入させた後、布状親水性支持体への吹き付けまでの間に、ドラム上のくぼみ以外の場所に付着した吸収性樹脂粒子を除去する操作によるくぼみ中の吸収性樹脂粒子の脱落を抑止できるので大変好ましい方法である。
この製造方法に使用されるドラム上のくぼみに吸収性樹脂粒子が挿入された後、基材へ吹き付けられる前までの間に、くぼみ以外のドラム上に付着した吸収性樹脂粒子を除去する設備を付与することは好ましい。該除去法は特に限定されるものではないが、具体的方法の例としては、ブラシによるかきとる方法、気体を吹き付ける方法、振動を与える方法等が挙げられる。これらの方法の中では、気体を吹き付ける方法が最も好ましい方法である。
また、該ドラムは運転時に静電気を発生し、吸収性樹脂粒子の動きを不安定化する場合があるので、静電気を除去する装置を設置することは好ましい。
ドラムによって粒子径の大粒を配置した後に、総表面積係数等を調整するために種々の粒子径の吸収性樹脂を散布することが好ましい。散布は片面のみでも構わないし、布を逆にして両面に散布することも好ましい。脱離を減らすために、この樹脂散布前に、基材に再び水を散布しておくことは好ましい。この樹脂散布方法は特に限定されないが、なるべく均一にコントロールできる方法が好ましい。
この製造方法では、基材を移動させることが好ましい。この時の移動方法は特に限定されるものではない。移動方法の具体例としては、基材の上下部に支えの無い状態での移動や下部にベルトコンベアなどの支えを有しその支えの動きに従って移動する方法が挙げられる。基材の両面に吸収性樹脂を接着させる場合に、最後に接着される面へ接着工程のドラム表面を通過する際は、ベルトコンベア式の移動方法を採用することが好ましい。これは、該ドラムから吸収性樹脂粒子吹き付け時に基材裏面に接着している樹脂の脱落の防止に繋がるからである。また、最終工程の脱水乾燥工程時には、ベルトコンベア式の移動方法を採用することが好ましい。これは、基材の中には脱水乾燥時に収縮するものもあるので、その収縮を最小限に抑える効果があるからである。
11.吸収性複合体の性能
(吸収性複合体の吸収倍率について)
本発明の吸収性複合体の吸収倍率は、0.9%生理食塩水を自由吸収させた時、3時間後に吸収された量とする。具体的には、直径59.5mmの円状の吸収性複合吸収体を作製し、前述の基材の吸収倍率と同様の方法を用いて測定する。ただし、接着されていない吸水性樹脂を含んでいる場合や、脱離がおきた場合においては、濾過を行って吸水性樹脂を回収し、キムワイプ上で10秒以上静置して水切りを行い、その重量も加えて計算することにする。また、50重量%近くの吸収性樹脂が固定されていない吸収性複合体の場合は、吸水性樹脂の吸収倍率の測定方法に準じて、T−Bagに吸収性複合体をいれて測定する。
吸収性複合体の吸収倍率は、好ましくは40g/g以上であり、更に好ましくは45g/g以上、最も好ましくは50g/g以上である。
吸収性複合体の吸収性能の指標として、面積あたりの吸収量が重要となる。面積あたりの吸収量は、前述の測定結果から(式8)にしたがって計算することができる。
(式8)
面積あたりの吸収量(g/cm)=((吸収後の全重量(g)−吸収性複合体の重量(g))/吸収性複合体の面積(cm
面積あたりの吸収量は、多い方が好ましく、0.4g/cm以上あることが好ましく、更に好ましくは0.7g/cm以上、最も好ましくは1g/cm以上である。
(吸収性複合体の加圧下吸収倍率について)
本発明の吸収性複合体の加圧下吸収倍率は、荷重のかかった状態において0.9%生理食塩水を吸収させた時、3時間後に吸収された量で表される。具体的には、直径59.5mmの円状の吸収性複合体を用いて以下のように測定する。
先ず測定装置について、図2を参照しながら、以下に簡単に説明する。図2に示すように、測定装置は、天秤1と、この天秤1上に載置された所定容量の容器2と、外気吸入パイプ3と、導管4と、ガラスフィルタ6と、このガラスフィルタ6上に載置された測定部5とからなっている。上記の容器2は、その頂部に開口部2aを、その側面部に開口部2bをそれぞれ有しており、開口部2aに外気吸入パイプ3が嵌入される一方、開口部2bに導管4が取り付けられている。また、容器2には、所定量の生理食塩水12が入っている。外気吸入パイプ3の下端部は、生理食塩水12中に没している。上記のガラスフィルタ6は、直径70mmに形成されている。そして、容器2およびガラスフィルタ6は、導管4によって互いに連通している。また、ガラスフィルタ6は、外気吸入パイプ3の下端と同じ高さになるように調節する。図3に示すように、上記の測定部5は、濾紙7と、支持円筒9重り11とを有している。濾紙7はアドバンテックNo2、直径60mmのものを使用する。そして、測定部5は、ガラスフィルタ6上に、濾紙7、支持円筒9がこの順に載置されると共に、支持円筒9内部、重り11が載置されてなっている。支持円筒9は、内径60mmに形成されている。重り11は、吸収体に対して、0.8psiの荷重を均一に加えることができるように、その重量が調整されている。上記構成の測定装置を用いて吸収性複合体の加圧下吸収倍率を測定した。測定方法について以下に説明する。先ず、容器2に所定量の生理食塩水12を入れる、容器2に外気吸入パイプ3を嵌入する、等の所定の準備動作を行った。次に、ガラスフィルタ6上に濾紙7を載置した。一方、これら載置動作に並行して、支持円筒9内部に吸収体を配置し、この吸収体の上に重り11を載置した。次いで、上記支持円筒9を、その中心部がガラスフィルタ6の中心部に一致するようにして載置した。そして、支持円筒9を載置した時点から、10秒毎に吸収性複合体が吸収した生理食塩水12の重量W(g)を、天秤1を用いて測定した。吸収性複合体の加圧下吸収倍率は(式9)にしたがって求める。
(式9)
吸収性複合体の加圧下吸収倍率 (g/g)=重量W(g) /吸収性複合体の重量(g)
吸収性複合体の0.8psi荷重下の加圧下吸収倍率は、好ましくは15g/g以上であり、更に好ましくは16g/g以上、最も好ましくは18g/g以上である。加圧下においても無加圧の場合と同様に、面積あたりの吸収量も求めることができる。0.8psi加圧下における面積あたりの吸収量は、0.1g/cmであることが好ましく、更に好ましくは0.15g/cm以上、最も好ましくは0.2g/cm以上である。
吸収倍率が40g/g以上、0.8psi荷重下における加圧下吸収倍率が15g/g以上、引張破断強度が0.6(N/20mm)以上である吸収性複合体は、高吸収性能でかつ強度をもっているため紙オムツ等の衛生材料には好ましく用いられる。吸収倍率は好ましくは45g/g以上であり、より好ましくは50g/g以上、更に好ましくは55g/g以上である。0.8psi荷重下における加圧下吸収倍率は好ましくは16.5g/g以上であり、より好ましくは18g/g以上であり、更に好ましくは20g/g以上である。この吸収性複合体は、吸水性樹脂と基材から構成される。吸水性樹脂は50%以上が基材に固定され、好ましくは70%以上が基材に固定され、更に好ましくは90%以上が基材に固定され、最も好ましくは95%以上が基材に固定される。
(吸収性複合体の1分後吸収倍率の測定)
吸収性複合体を縦2cm、横7cmに切り取り、重量を測定する。1000ccのガラス製ビーカーに生理食塩水を700cc入れておく。まず、縦80cm、横70cmのT−Bagの重量を測定し、T−Bagのみの状態で1分間吸水させて遠心分離を行い、その後重量を測定する。この重量を、吸水前のT−Bagの重量で割ることにより、T−Bagの1分後吸収倍率を求める。同じ大きさのT−Bagの重量を測定し、T−Bagに吸収性複合体を入れる。T−Bagを液から素早く引き出すために、ひものついたクリップを用意し、T−Bagにとりつけ、布が折れたり絡んだりしないように丁寧に素早く液へ漬け込む。漬け込んでから1分経過後に、ひもをもって速やかに引き上げる。その後クリップをはずし、150Gで3分間遠心分離を行い、重量を測定する。総重量からT−Bagの吸水分を引き、吸水前の吸収性複合体重量で割ることにより1分後吸収倍率を求める。吸収性複合体の引き上げから遠心分離の開始までは15秒以内とする。1分後吸収倍率は、初期の液体の吸収速度を表す。紙オムツなどの衛生材料用途においては、瞬時に体液を吸収することが求められるため、吸収速度が速いほど好ましい。
(式10)
1分後の吸収倍率(g−生食/g)=(遠心後の重量(g)−T-Bagの重量(g)*T-Bagの1分後の吸収倍率)/吸収性複合体の重量(g)
(吸収性複合体の剛軟性の測定)
吸収性複合体の剛軟性は、JIS規格L1096記載の剛軟性D法(ハートループ法)によって行う。表と裏とで粒子の粒径や分布が異なる場合は、異なった値となるが、本発明においては、柔らかい方、つまり値が大きいほうを剛軟性とする。剛軟性は90mm以下であることが好ましく、85mm以下であることが更に好ましい。
12.吸収性複合体の使用法について
本発明の吸収体の好ましい使用法として、体液吸収物品の構成要素としての使用が挙げられる。
(体液吸収物品について)
本発明の体液吸収物品とは、透液性シート、不透液性シートとその間に介在する吸収体から構成される使い捨て体液吸収物品であり、体液を吸収する能力をもつ物品全てを指す。本発明において吸収する体液は特に限定されず、例としては尿、経血、母乳、軟便等があげられる。物品の形状も特に限定されないが、パッド状やテープタイプ、パンツ型などが好ましく使用される。具体的な例の一つとしては、おむつや生理用ナプキン、尿取りパッド、母乳パッド等があげられる。
本発明の吸収体を、透液性シート、不透液性シートと組み合わせると、薄型・軽量ながらも高い液体吸収能力をもち、漏れの生じにくい体液吸収物品を構成することができる。また、使用中に体液吸収物品中における吸収体のずれや移動がおきにくいため、安定的に体液を吸収させることができる。さらに、従来の体液吸収物品と比較して、荷重をかけた時に一度吸収した液体を吐き出してしまう量、すなわち戻り量が少ない。そのため、装着部分を快適に保つことができる。
本発明において透液性シートとは、シート形状であり、シートに水をかけたときに水が透過するようなものであればどのようなものでも構わないが、JISL0206で定義されるような布であることが好ましい。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明の透液性シートに使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、不織布が最も好ましい。肌と接触した部分の湿潤感をなくし、肌触りを快適にするためには、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系からなる吸水能力の低いシートが好ましく、短時間で液体を透過させる観点からすると、透水処理や親水化処理を施したポリオレフィン系であることが好ましい。
本発明において不透液性シートとは、シート形状であり、水を透過しないシートであればどのようなものでも構わない。蒸れを防止する観点から通気性のよい素材であることが好ましい。
本発明の体液吸収物品においては、少なくとも透液性シート、不透液性シートと間に介在する吸収体があれば問題ないが、透液性シートと吸収体の間、及び/または不透液性シートと吸収体の間にその他の部材が存在していても構わない。また、透液性シート、不透液性シートの外側にその他の部材が存在していても構わない。その他の部材が本発明の吸収体と接着されていても構わない。接着法としては、接着剤を使用して接着されていても構わない。体液吸収性物品においては、透液性シート、不透液性シート、吸収性体の他に、例えば、体に固定するためのテープやゴム、横からの漏れを防止するためのギャザーなどがあることは好ましい。
本発明の吸収物品の形状としては、正方形や真円、長方形や楕円、台形を組み合わせたような形状でもよいし、不定形でも構わない。長方形や楕円形、またはそれに準ずるような長手方向と短手方向を持つ形状であると、おむつや生理用品、尿取りパッド等の場合は、股の形状に合わせて装着できるため好ましい。長手方向をもつ吸収体の形状の一例を図4に示した。
体液吸収物品中における吸収性複合体の状態は特に限定されず、吸収性複合体シートが完全に伸ばされた状態でもよいし、しわがよった状態でもよいし、折り曲げられた状態でもよい。
透液性シート及び/又は不透液性シートと吸収体の間に、接着剤を使用することは好ましい。ここで使用する接着剤とは、接着剤の性状は特に限定されず、液状のものでも固体状のものでもよい。接着剤は1種類のみを使用してもよいし、複数の接着剤を併用しても構わない。接着剤の種類も特に限定されず、例えば、溶剤系、水分散系、ホットメルト系、反応系などがあり、具体的には、例えば、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシン系接着剤、α-オレフィン系接着剤、水溶性高分子-イソシアネート系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤、天然ゴム系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、嫌気性接着剤、変性シリコーン形接着剤、無機接着剤、糊、等があげられる。親水性の接着剤を使用すると拡散されやすく接着面のコントロールが難しくなるため、疎水性の接着剤が好ましい。製造プロセスの容易さからホットメルト系接着剤を使用することが好ましい。ホットメルト接着剤とは、常温で固体であるが加熱溶融して塗布し、冷えると固まって接着する接着剤全てを指し、具体的には、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アタクチックポリプロピレン、熱可塑性エラストマーなどを主成分とし、粘着付与材としてロジン系樹脂、石油樹脂など、ワックス類、酸化防止剤、無機充填剤、可塑剤などが配合されたものがあげられる。接着剤の量は、接着効果が発現する量であれば問題ない。単位長さあたりの接着剤分量は好ましくは0.000001〜0.1g/cmであり、より好ましくは0.00001〜0.01g/cmであり、0.00003〜0.0045g/cmであることが更に好ましい。吸収体の面積に対する、接着剤の塗布量は0.2〜1000g/mであることが好ましく、2.0〜100g/mであることが更に好ましい。接着剤の量が多すぎると、風合いを損なうために好ましくない。また、接着剤が少なすぎても接着強度の点から好ましくはない。
(体液吸収物品の性能評価)
・戻り性(リウエット性)、液拡散長の評価
ユニチャーム社製「ムーニーのびーるフィットMサイズ」登録商標を用意し、ドライヤーの熱によりホットメルト接着剤を溶かすことで、トップシートとバックシートのみを回収した。十分な広さのある木の板を水平な実験台の上に設置し、その上に吸収体の上にトップシートを重ね、四隅をしわがよらない程度に伸ばした状態で画鋲を用いて固定する。体液吸収物品の場合は、新たにトップシートを重ねることはせずに、物品を直接固定する。吸収体の中心部分に直径60mm、重さ53.5gの円筒形のパイプを設置する。37℃に暖めた生理食塩水を80g量り取り、7〜8ml/秒の速度で吸収体の中心部分に滴下する。生理食塩水が表面シートより上面に見えなくなったことを確認し、円筒を取り除く。液滴下開始から3分後に、縦方向に拡散した長さを測りこれを液拡散長とする。液滴下開始から5分後に、アドバンテック製No2、直径150mmの濾紙を1辺10cmの正方形に切り取った濾紙を約90gになるように重ねて液滴下部に静置し、直後に濾紙の上に3.5kgの荷重をかける。荷重をかけてから3分後に、荷重をはずし、濾紙を物品上からはずして重量を測定する。この時、もとの濾紙の重量から増加した重量を1回目戻り量とする。
液滴下から9分後に再び円筒を設置する。液滴下から10分後に再び80gを滴下し1回目と同様の操作を繰り返す。この時の濾紙の重量増加分を2回目戻り量とする。
1回目の液滴下から19分後に円筒を設置し、1回目の液滴下から20分後に再び80gを滴下し、同様の操作を繰り返す。この時の濾紙の重量増加分を3回目戻り量とする。
戻り量とは、体液吸収物品を使用したときの使用感を表す指標となる。戻り量が多いと肌が濡れて装着に不快感を伴うこととなる。戻り量が少ないほど、物品の表面が乾いて快適な状態となるため好ましいといえる。更に、回数を重ねた際の戻り量は、体液吸収物品を連続して着用し、繰り返し体液を吸収させるときの使用感を表し、2回目、3回目の戻り量が少ないほど、連続して着用する場合にも優れた着用感を示すため好ましい。1回目戻り量は、30g以下であることが好ましく、20g以下であることがより好ましく、10g以下であることが更に好ましく、3g以下であることが最も好ましい。2回目戻り量は、40g以下であることが好ましく、30g以下であることがより好ましく、25g以下であることが更に好ましく、20g以下であることが最も好ましい。3回目戻り量は、50g以下であることが好ましく、45g以下であることがより好ましく、40g以下であることが更に好ましく、30g以下であることが最も好ましい。
液拡散長とは、吸収体中で液体の吸収に利用された長さを表し、液拡散長が長いほど吸収体の利用効率が高いといえる。吸収体の利用効率が高いと、少ない吸収体重量でも必要な吸収能力を発揮することができ、吸収性物品を省資源化できる。また、液拡散長が長いと、液体吸収後の吸収層の厚みが薄くなるため、吸収体のずれが起こりにくいし、着用者の装着感も少なくなり好ましい。液拡散長は200mm以上であることが好ましく、220mm以上であることがより好ましく、240mm以上であることが更に好ましく、260mm以上であることが最も好ましい。
(45度試験)
本発明における45度試験とは、漏れの生じやすさを測る測定である。具体的には以下のように測定をおこなう。十分な広さのある長方形の木の板を水平な実験台の上に設置し、その上に吸収体の四隅を物品がしわがよらない程度に伸ばした状態で画鋲を用いて固定する。この時、体液吸収物品の長手方向が、長方形の長辺と平行になるように設置する。続いてこの板を、地面と板の長辺が45度の角度になるように傾け固定する。37℃に暖めた生理食塩水を80g量り取り、7〜8ml/秒の速度で吸収体の上端部分に滴下する。吸収体の下から漏れた液を全量回収し、重量を測定しこれを漏れ量とする。漏れ量は、15g以下であることが好ましく、10g以下であることがより好ましく、5g以下であることが更に好ましく、0gであることが最も好ましい。
(吸収倍率)
本発明における体液吸収物品の吸収倍率とは、体液吸収物品を生理食塩水に1時間漬け込んだ時に、吸収した液体の量を、物品中の吸収体の重量で除した値を表す。具体的には、物品が浸るほど十分な大きさのバットを用意し、生理食塩水を満たす。そこへ物品を1時間漬け込んだ後に引き上げ、洗濯バサミでつるして10分放置する。10分後に重量を測定する。
体液吸収物品の吸収倍率(g/g)=吸収した生理食塩水量(g)/吸収体の重量(g)
以下に本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されない。
製造例1
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。試薬アクリル酸100gを水91.02gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、25質量%のアンモニア水溶液117.94gを攪拌しながら徐々に加え40質量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。
300mlセパラブルフラスコにこの40質量%アクリル酸アンモニウム水溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0187g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次に42質量%グリセリン水溶液をシリンジにて0.43g添加、よく攪拌した後にそれぞれ1gの水に溶かした30質量%過酸化水素水溶液 0.0917gとロンガリット 0.0415gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始5分で100℃まで上昇する。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1200μm、1000〜1180μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂1とする。この樹脂の表面強度は0.5Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は96%、表面の塩濃度は90%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例2
製造例1で製造した吸水性樹脂をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。これを吸収性樹脂2とする。表面塩強度は2.7Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は70%、表面の塩濃度は30%、中心部の塩濃度は95%であった。
製造例3
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム31.78gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度70%)。300mlセパラブルフラスコにこの単量体溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱酸素し、反応系中を窒素置換した。それぞれ1gの水に溶かした30質量% 0.0826gとロンガリット 0.0518gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始から10分で70℃まで上昇する。最高到達温度記してから5分後に内部温度が75℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。所定時間経過後、セパラブルフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1200μm、1000〜1180μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂3とする。この樹脂の表面強度は0.9Nであった。
製造例4
イソプロピルアルコール0.6g、グリセリン0.02g、水0.06gの混合液を作り、製造例3で製造した吸水性樹脂2gに均一に散布した。これをイナートオーブンを用いて180℃にて10分間加熱を行った。これを吸収性樹脂4とする。この樹脂の表面強度5.9Nであった。
製造例5
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム21.8gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度48%)。300mlセパラブルフラスコにこの単量体溶液を90g、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加する。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴す。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱酸素し、反応系中を窒素置換した。それぞれ1gの水に溶かした30質量%過酸化水素水0.0826gとロンガリット 0.0518gを添加し重合を開始する。内部温度は30℃から開始して反応開始から10分で70℃まで上昇する。最高到達温度記してから5分後に内部温度が75℃に保たれるように水浴にて3時間加熱する。所定時間経過後、セパラブルフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂5とする。この樹脂の表面強度は1.1Nであった。
製造例6
イソプロピルアルコール0.6g、グリセリン0.02g、水0.06gの混合液を作り、製造例5で製造した吸水性樹脂2gに均一に散布した。これをイナートオーブンを用いて180℃にて10分間加熱を行った。これを吸収性樹脂6とする。この樹脂の表面強度は6Nであった。
製造例7
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。精製したアクリル酸753gを氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ち、和光純薬製、試薬特級品25重量%アンモニア水溶液625gを攪拌しながら徐々に加え66重量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。ここへ水1gに溶解したN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.0395gを添加、攪拌して溶解させた後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸アンモニウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸アンモニウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら120rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を120rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gとグリセリン8.35gを混合した溶液を15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が110℃となるまで加熱した後30分間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。70℃にてイナートオーブンを用いて6時間乾燥させる。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1400μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂7とする。この樹脂の吸収倍率は70倍であった。この樹脂の表面強度は0.4Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は95%、表面の塩濃度は88%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例7で製造した吸収性樹脂7をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。この操作は、後の実施例で実施する基材と複合化の為の加熱処理条件と同じ条件である。その結果、吸収性樹脂の表面塩強度が2.5Nとなり、全体のアンモニウム塩濃度は70%、表面の塩濃度は32%、中心部の塩濃度は94%となった。
製造例8
製造例7において、重合時の攪拌速度を120rpmから400rpmに変更した以外は、製造例7と同様の操作を行った。ここで得た吸収性樹脂8とした。この樹脂の吸収倍率は80倍であった。この樹脂の表面強度は0.4Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は95%、表面の塩濃度は87%、中心部の塩濃度は97%であった。
製造例8で製造した吸収性樹脂8をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。この操作は、後の実施例で実施する基材と複合化の為の加熱処理条件と同じ条件である。その結果、吸収性樹脂の表面塩強度が2.2Nとなり、全体のアンモニウム塩濃度は68%、表面の塩濃度は33%、中心部の塩濃度は93%となった。
製造例9
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。試薬アクリル酸2557.8gを水2087.3gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、40.5重量%NaOH水溶液3507.0gを攪拌しながら徐々に加え40重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を得た。
上記で得たアクリル酸ナトリウム水溶液1733.0gを水341.5gに溶解した。このアクリル酸ナトリウム水溶液に、アクリル酸227.7gを加え、40重量%のアクリル酸ナトリウム/アクリル酸=70/30水溶液2302.2gを得た。架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド2.5gを加え溶解した後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸ナトリウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸ナトリウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら400rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を400rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gとグリセリン4.2gを混合した溶液を15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が110℃となるまで加熱した後30分間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1400μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂9とする。この樹脂の吸収倍率は55倍であった。この樹脂の表面強度は、1.2Nであった。
製造例10
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。精製したアクリル酸753gを氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ち、和光純薬製、試薬特級品25質量%アンモニア水溶液625gを攪拌しながら徐々に加え66質量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。その後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノラウリレート7.53g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を30kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が40℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸アンモニウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7699gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が40℃到達後、調整したアクリル酸アンモニウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら400rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を30kPa,内温40℃に保ち重合を開始、攪拌速度を400rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂10とする。この樹脂の吸収倍率は80倍であった。この樹脂の表面強度は0.6Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は97%、表面の塩濃度は91%、中心部の塩濃度は98%であった。
製造例10で製造した吸収性樹脂10をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。この操作は、後の実施例で実施する基材と複合化の為の加熱処理条件と同じ条件である。その結果、吸収性樹脂の表面塩強度が2.8Nとなり、全体のアンモニウム塩濃度は70%、表面の塩濃度は29%、中心部の塩濃度は95%となった。
製造例11
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を使用した。試薬アクリル酸2557.8gを水2087.3gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、40.5重量%NaOH水溶液3507.0gを攪拌しながら徐々に加え40重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を得た。
上記で得たアクリル酸ナトリウム水溶液1733.0gを水341.5gに溶解した。このアクリル酸ナトリウム水溶液に、アクリル酸227.7gを加え、40重量%のアクリル酸ナトリウム/アクリル酸=70/30水溶液2302.2gを得た。架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド2.5gを加え溶解した後、窒素ガスでバブリングする事により脱気した。
あらかじめ、系内を窒素雰囲気とした12Lオートクレーブにシクロヘキサン4.3L、界面活性剤としてソルビタンモノステアレート7.8785g加え、室温で攪拌し溶解させた後、反応系内部を65kPaの減圧下にて脱気を行った。減圧状態のまま内温が60℃となるまで加熱した。前述のアクリル酸ナトリウム水溶液に、水50gに過硫酸アンモニウム0.7186gを溶解させた水溶液を添加した。反応系内部温度が60℃到達後、調整したアクリル酸ナトリウム水溶液を系内へ添加し、窒素を流しながら400rpmにて攪拌し懸濁させた。その後、反応系内部を65kPa,内温60℃に保ち重合を開始、攪拌速度を400rpmに保ったまま2時間保持し重合を完結させ、含水ゲルを含んだエマルジョンを得た。反応系内部を窒素により常圧にした後、系内を密閉し内温80℃で加熱し、攪拌速度を400rpmに設定し、和光純薬製特級エタノール108.8gを15分間かけて添加した。窒素により系内を加圧し、内温が110℃となるまで加熱した後30分間攪拌しながら保持した。その後、系内を常圧まで落圧後シクロヘキサン2Lを用い、温度40℃にて生成した含水ゲルの洗浄を計3回行った。
生成した含水ゲルはろ過により回収し、70℃フルバキュームにて乾燥し回収した。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、篩い分けにて106μm以下、106〜212μm、212〜300μm、300〜425μm、425〜500μm、500〜600μm、600〜710μm、710〜850μm、850〜1400μm、850〜1200μm、1200〜1400μm、1400〜1700μm、1700〜2500μm、2500〜3000μm、3000μm以上に分級した。これを吸収性樹脂11とする。この樹脂の吸収倍率は57倍であった。この樹脂の表面強度は、1.1Nであった。
製造例12
粒子を分級する篩として106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を用いて分級した以外は製造例1と同じ方法で、吸収性樹脂を得た。
製造例13
粒子を分級する篩として106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を用いて分級した以外は製造例3と同じ方法で、吸収性樹脂を得た。
Figure 0005000198

Figure 0005000198

実施例1
旭化成せんい社製の「ベンリーゼ」(登録商標)を繊維の縦方向に37cm、横方向に21cmに切り取った。テフロン(登録商標)のシートを同じように縦37cm、横21cmに切り取り、中に縦35cm、横19cmの線を引く。これを2枚用意した。1枚のシートの線の内側に製造例1の粒径1000〜1180μmの樹脂6.6gを大粒として取り出し1180μmの篩を使用しながら均一に散布した。更に製造例1の粒径212〜300μmの樹脂6.65gを小粒として使用し取り出し300μmの篩を使用して均一に散布した。もう一枚のシートに、1000〜1180μmの樹脂6.7gを同様に散布した。霧吹きを使用して、ベンリーゼに8gの水を散布し、一方の樹脂の上に置き押さえつける。更にベンリーゼに2gの水を散布し、裏面に他方の樹脂を接着させる。樹脂のない部分に錘をおいて固定し、3gの水を散布した後に、ベンリーゼの縮みを抑えながら、イナートオーブンを使用して180℃10分間の乾燥を行った。全ての吸収性樹脂がベンリーゼと強固に接着しており、手でこすっても吸収性樹脂が脱離することはなかった。接着形態を走査電子顕微鏡(JEOL製JSM-5300)で観察すると全ての粒子が、繊維を吸収性樹脂中へ取り込む形で接着していた。接合部が見えるように粒子の上面ではなく、角度をつけて側面から撮影した電子顕微鏡写真(150倍拡大)を図5に示す。この複合体を実施例1とする。
P&G社製の「パンパースコットンケア」(登録商標)Mサイズを解体し、吸収体部分からパルプを取り出し、吸収性樹脂の篩い分けと同様の方法で篩をかけた。篩い分けをしている最中にパルプの塊ができてくるので、これをピンセットで回収した。新しい篩を用い、このパルプの塊をほぐしたものを、再び篩にかけた。この作業を3回繰り返し、パルプを回収した。
吸収性複合体を縦33cm、横11cmに切り取った。吸収性複合体の小粒がない方を上側とし、ここへパルプ3gを重量を計測しながら、篩を使用して均一に散布した。
目付け17g/mのティッシュを縦35cm、横24cmに切り取り、パルプを散布した吸収性複合体を図6のようにラッピングした。ラッピングしたティッシュをGE東芝シリコーン株式会社製の接着剤、非腐食速乾性接着シール材TSE397を用いて固定した。この吸収体を実施例1とする。
図6において、吸収性性粒子中に繊維が侵入して接着している様子を電子顕微鏡(倍率150倍)写真で示した。丸で囲った部分が吸収性樹脂と繊維との結合部分。黒く見えるところから右上が吸収性樹脂で、左下は基材の繊維部分であり、繊維が黒い部分に侵入して結合している。
参考例2
製造例3の吸収性樹脂を使用する以外は実施例1と同様に吸収体を作製し、これを実施例2とする。
実施例3
製造例1で製造された樹脂の粒子径850〜1200μmを、16.5gずつ両面に使用する以外は実施例1と同様に吸収体を作製した。これを実施例3とする。
実施例4
製造例1で製造された大粒1000〜1180μmを6.65g、小粒212〜300μmを5.6gを両面に使用し複合体を作製し、パルプを9.7gとする以外は実施例1と同様に吸収体を作製した。これを実施例4とする。
実施例5
実施例4と同じ複合体を作製し、パルプを0.1g、ティッシュを縦33cm、横11cmのものを2枚用意し、下からティッシュ、複合体、パルプ、ティッシュの順番で配置した。これを実施例5とする。
実施例6
実施例1と同じ複合体を作製した。旭化成せんい社製のPP製のスパンボンドエルタス(登録商標)アクアを縦33cm、横66cmに切り取り複合体のまわりを3回巻きつけた。これを実施例6とする。
実施例7
実施例1と同様に吸収製複合体を作製し、これを縦33cm、横11cmに切り取ったレーヨンスパンレース5枚を複合体の上に設置した。これを実施例7とする。
実施例8
ティッシュを使用しない以外は実施例1と同様に吸収体を作製した。ハンドリングの際にパルプの一部が移動してしまった。
実施例9
ユニチャーム株式会社製ムーニーのびーるフィット(登録商標)のMサイズから、ティッシュにくるまれた吸収体を摘出した。ここへ、実施例1の吸収体を挿入し、吸収体の端部分に接着剤を使用して体液吸収物品を作製した。実施例1と同様にすぐれた吸収能力を示し、漏れも生じにくい。更に薄型でかつ、肌触りも良好であった。
比較例1
実施例1と同様に吸収性複合体を作製し、これをそのまま吸収体とした。これを比較例1とする。繊維がないため捕獲力に劣る。
比較例2
パルプを使用せずに、ティッシュを縦33cm、横11cmに切り取り吸収性複合体に重ねるだけにした他は実施例1と同様に吸収体を作製した。これを比較例2とする。繊維比率が少ないため、捕獲力に劣る。
比較例3
パルプを13gとする他は、実施例1と同様に吸収体を作製した。これを比較例3とする。繊維が多すぎるため、吸収性能に劣る。
比較例4
ユニチャーム株式会社製ムーニーのびーるフィット(登録商標)のMサイズを比較例4とする。これは基材シートがなく吸収体はパルプと吸水性樹脂の混合物であり、厚みがあり、吸収能力も低い。
比較例5
P&G株式会社製パンパースコットンケア(登録商標)のMサイズを比較例5とする。これも基材シートがなく吸収体はパルプと吸水性樹脂の混合物であり、厚みがあり、吸収能力も低い。
比較例6
樹脂を製造例1の粒径1000〜1180μmの樹脂1.1g、製造例1の粒径212〜300μmの樹脂1.1g片面に、1000〜1180μmの樹脂1.1gをもう片面に使用する以外は実施例1と同様に吸収性複合体を作製した。ここへパルプ1gと縦33cm、横11cmに切り取ったティッシュ2枚を配置した。これを比較例6とする。樹脂比率が低いため、吸収能力が低い。
比較例7
縦35cm、横19cmのベンリーゼに、製造例2の樹脂の粒径1000〜1180μmの樹脂3g、粒径212〜300μmの樹脂3gを片面に、1000〜1180μmの樹脂3gをもう片面にKOKUYO製のパワープリットスティックのりを使用しながら接着させていった。これを縦33cm、横11cmに切り取り、2gのパルプを散布した。実施例1と同様にティッシュで包み込み、これを比較例7とする。のりを介して接着しているため性能に劣る。
比較例8
実施例1と同様の方法で、製造例6の吸収性樹脂を用いて複合体を作製した。粒子径は850〜1200μmのものを使用した。表面強度が6Nと高く、25%程度の樹脂しか接着しなかった。吸収体を作製するまで、なるべく粒子が落ちないように注意し、また、脱落した粒子に関しては元の位置になるように調整した。脱落粒子が多いため、安定的に性能を発揮できない。
比較例9
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム31.78gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度70%)。窒素ボックス中で、この単量体溶液90gを霧吹きにいれ、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加した。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱酸素した。塩化鉄(III)・6水和物0.022gを水100gに溶解させた溶液を1ml、30重量%の過酸化水素水1ml、L-アスコルビン酸0.12gを水1mlに溶解させた液を、素早く加え攪拌し、旭化成せんい社製のスパンボンドエルタスクリンプ(登録商標)PC8020に噴霧した。ホットプレートを使用し、不織布ごと60℃まで加熱し1時間重合した後、温度を120℃まで上昇させ30分間ホールドし、重合を完結させた。100℃で真空乾燥を行い、残存モノマーを測定すると1000ppm以上であった。残存モノマーが多いため、吸収体を構成するには好ましくない。
Figure 0005000198
本発明の吸収体の製造例を示す説明図。 本発明に使用した測定装置の説明図。 同上測定部の説明図。 本発明の吸収体の形状の説明図。 吸収性粒子中に繊維が侵入して接着している様子を説明する電子顕微鏡写真(倍率150倍)、図中丸で囲った部分が吸収性樹脂と繊維との結合部分。黒く見えるところから右上が吸収性樹脂で、左下は基材の繊維部分であり、繊維が黒い部分に侵入して結合している。 実施例1のラッピングした吸収体の説明図。

Claims (8)

  1. 少なくとも吸収性複合体と繊維から構成されている吸収体であって、吸収性複合体と繊維の比率が1:1〜1:0.07であり、吸収性複合体が以下の条件を満たすことを特徴とする吸収体。
    (1)セルロース系の基材と粒子状の吸収性樹脂から構成されている複合物である、
    (2)該吸収性複合体に対する吸収性樹脂の組成比が65〜99重量%である、
    (3)基材と直接接着している吸収性樹脂が全吸収性樹脂の50重量%以上である、
    (4)該吸収性樹脂の平均吸収倍率が50g/g以上である、
    (5)該吸収性樹脂中の残存モノマーが200ppm以下である、
    (6)吸収性樹脂が縮合型架橋剤を含有する、
    (7)基材上に吸水性樹脂が配置されている。
  2. 吸収性複合体が、少なくとも基材の片面において、粒径550μm〜2100μmの吸収性樹脂粒子の面積充填率が1〜30%を満たすことを特徴とする請求項1記載の吸収体。
  3. 繊維の目付けが15〜300g/mであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の吸収体。
  4. 繊維の吸収倍率が8g/g以上のものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の吸収体。
  5. 繊維が、セルロース及び/又はセルロース誘導体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸収体。
  6. 繊維が、パルプであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸収体。
  7. 吸収性複合体と繊維が、シートによってラッピングされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸収体。
  8. 透液性シート、不透液性シートおよび両者の間に請求項1〜7のいずれかに記載の吸収体を有することを特徴とする体液吸収物品。
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