JP2872851B2 - 吸収性物品 - Google Patents

吸収性物品

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JP2872851B2
JP2872851B2 JP4009454A JP945492A JP2872851B2 JP 2872851 B2 JP2872851 B2 JP 2872851B2 JP 4009454 A JP4009454 A JP 4009454A JP 945492 A JP945492 A JP 945492A JP 2872851 B2 JP2872851 B2 JP 2872851B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生理用ナプキン、紙お
むつ、外科用パッド、母乳シート等の体液吸収物品に関
するものであり、更に詳しくは、吸収体の一部又は全部
に、液吸収力(保持力)を付与した吸収素材と吸収ポリ
マーとを点状、線状又は曲線状に塗布された粘着剤を介
して弱く固着した吸収シートを用いた吸収性物品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、生理用ナプキン、紙おむつ等吸収
性物品の吸収体は、主に綿状パルプ、吸収紙及び吸収ポ
リマーから構成されている。中でも高吸収ポリマーは、
吸収容量が大きいこと及び液をゲル状に固めて一旦吸収
した液を二度と外へ漏らさないという特性を持つことか
ら、現在では、殆どの吸収性物品に用いられている。
【0003】しかし、吸収ポリマーは、このような特性
を持っている反面、その形状が粉末状である為、吸収
ポリマーが脱落(吸収ポリマーが吸収物品から漏れでて
くる)しやすいという技術的課題がある。また、吸収
ポリマーが本来持つ吸収能力を更に高めたいという要請
がある。特に、吸収ポリマーの脱落に関しては、吸収性
を含めた製品性能上の致命的な問題となるので、吸収ポ
リマーの脱落防止(固定化)を目的とした種々の先行技
術が提案されている。
【0004】吸収ポリマーの脱落防止(固定化)を目的
とした先行技術は、吸収ポリマーと組み合わせる基材を
何らかの方法で接着させるもので、その接着の手段とし
て、 (1)吸収ポリマーと基材を水分を介して接着するも
の、 (2)基材に接着剤を塗布し、吸収ポリマーをサンドイ
ッチ状にして接着するもの、 (3)熱融着性を有する繊維(不織布)又はフィルムを
用いて吸収ポリマーを接着するものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、上述の
(1)に関するものとしては、特公昭59−2647号
公報、特開昭54−123293号公報、特開昭54−
141099号公報等多数提案されているが、このよう
に吸収ポリマーを水で膨潤させ固着させるケースにおい
ては、固着させるに必要な程度吸収ポリマーに十分に含
水させ、ゲルを柔らかくした後固着すると、固着時に吸
収ポリマーが押しつぶされ、吸収ポリマーの本来持つ吸
収特性を損なってしまうばかりか、含水が吸収ポリマー
層全体にゆきわたらずにゲルの粘着力が十分でなかった
一部の吸収ポリマー群が脱落するという問題点を有して
いる。
【0006】(2)に関するものとしては、特開昭60
─63043号公報等において提案されているが、この
公報に開示の技術においては、接着剤によって、吸収ポ
リマーと基材を接着してしまう為、吸収ポリマーの脱落
はかなりの程度防止することができるが、接着剤が十
分に親水性でない為基材の吸収性が著しく低下し、その
結果として、吸収ポリマーの特性が低下してしまう、ま
た、吸収ポリマーが基材に完全に固着されてしまう
為、吸収時に固着点がはずれず、吸収ポリマーの膨潤を
阻害してしまい、結果として吸収倍率が著しく低下する
といった問題点がある。
【0007】(3)のケースとしては、特開昭54−1
58096号公報、特開昭55−14024号公報等が
挙げられるが、これらに開示の技術においても前述の
(2)と同様に吸収ポリマー特性の低下という問題点が
ある。このように、従来技術の範囲内においては、吸収
ポリマー本体の吸収特性を犠牲にすることなく、吸収ポ
リマーの脱落を防止するという2つの要求を同時に満足
する技術が望まれている。
【0008】従って、本発明の目的は、吸収特性の向上
と吸収ポリマーの脱落を防止した吸収性物品を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、液透過性の表
面材、液保持性の吸収体及び液不透過性の防漏材を有す
る吸収性物品において、上記吸収体の一部又は全部は、
吸収ポリマーが、点状、直線状、又は曲線状に塗布され
た粘着剤にて吸収素材に固着されてなる吸収シートによ
り構成されており、上記粘着剤は、180°引き剥がし
粘着力が、500g以上4000g以下であり、塗布さ
れた後の上記粘着剤の占有面積が、10%以上70%以
下であることを特徴とする吸収性物品を提供することに
より、上記目的を達成したものである。
【0010】本発明の好ましい一実施例の吸収シートA
は、図1に示すように、適度な液吸収力(保持力)をも
つ吸収素材1の上に、適度な粘着力を有する粘着剤3を
適度な密度で点状、線状又は曲線状(スパイラル形状
等)に塗布した後、この上に吸収ポリマー2を散布し、
更に吸収素材1を重ね合わせ圧縮一体化することによっ
て得られる。
【0011】この圧縮一体化の際には、エンボス加工等
種々の後加工が組み合わせ可能であり、これにより、吸
収シートの拡散方向、拡散速度等をコントロールするこ
とが可能である。本発明における適度な液吸収力(保持
力)を有する吸収素材は、吸収ポリマーの効果を最大限
に引き出す最も重要な役割を果たすものであり、以下に
示す特性を有する。 (1)吸収ポリマーと液との接触効率を最大限に高める
(吸収ポリマーを液で十分に濡らす)。(2)吸収ポリ
マーが液を完全に吸収しきる前、一時的なストック層と
なりうる。(3)吸収素材に一旦吸収された液が吸収ポ
リマーへスムーズに移行していく為、吸収ポリマーと吸
収素材の間に十分な液吸収力の差があること(吸収ポリ
マーの液吸収力>吸収素材の液吸収力)。 上記のような特性は、吸収素材(繊維集合体)の平均毛
管径及び濡れ性によって決定されるものであり、これら
の最適化をはかることが肝要となる。
【0012】そこで、本発明者らは、複数の試験液(例
えば、水とエタノール)を用いれば、平均毛管径及び濡
れ性に関する因子を同時に評価可能となるクレム吸収度
(JIS P8141)に着目し、上記(1)〜(3)
の特性を満足しうる吸収素材の好ましい物性値の範囲を
明確化した。上記の特性を満足させる為には、吸収素材
は、1分後のクレム吸水度(試験液としてイオン交換
を用いた場合の水吸収高さ)が、20mm〜150mmであ
る必要がある。これより少ないと、吸収ポリマーと液が
十分に濡れず、に吸収不良が起こったり、又、吸収素材
の液吸収力が小さすぎる為、いったん吸収した液を吸収
ポリマーが吸収しきる前に、外部ヘ離水してしまうとい
ったトラブルが生じてしまう。
【0013】また、逆にクレム吸収度が高すぎると、吸
収素材の液吸収力が高くなりすぎ、吸収ポリマー層ヘス
ムーズに液が移行しなくなる。その結果として、吸収ポ
リマーの吸収倍率を著しく低下する事になる。吸収素材
(基材)上に吸収ポリマーがしっかりと固着する為に、
吸収素材の平均毛管径は0.5μm以上300μm以下
である事が好ましい。上記のような特性を満足するもの
であれば、吸収素材として、種々の素材が使用可能であ
り、適度な親水化処理を施した合成繊維等からなる不織
布(乾式/湿式)、パルプ、レーヨン、コットン、麻等
の親水性繊維等からなる不織布、紙等のシート状物が使
用可能である。但し、これらの濡れ特性及び平均毛管径
の設計を慎重に行っていかなければならない事は言うま
でもない。
【0014】上記合成繊維としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリエステル繊
維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエチ
レン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリエチレン複合
繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニルアルコー
ル−ポリプロピレン複合繊維、ポリビニルアルコール−
ポリエステル複合繊維等が挙げられる。次に、上記吸収
素材に、接着剤により固着される吸収ポリマーの好まし
い特性について説明する。
【0015】吸収ポリマーが、液の吸収による膨潤阻害
を起こさない為に、液の吸収時に吸収ポリマーの膨潤圧
によって吸収素材と吸収ポリマーとの間の固着が解き放
たれる必要があり、高い膨潤圧を発揮していく上で、吸
収ポリマーは高い膨張倍率を持つ事が必要となる。この
為には、生理食塩水を試験液として用いた場合の吸収量
が30g/g以上である必要がある。また、前述の吸収
素材から吸収ポリマーが液をスムーズに引き抜くために
は、吸収ポリマーに大きな液吸収速度(吸引力)が必要
であり、20分間で8.0ml/0.3g(対生理食塩
水)〜20ml/0.3g(対生理食塩水)の吸収力を持
つ事が必要となる。好ましい吸収性ポリマーとしては、
特開昭60−185551号公報で開示されているもの
が挙げられ、架橋構造を特別に制御したアクリル酸
(塩)重合体架橋物が特に好ましい。
【0016】また、吸収ポリマーの散布量は、10g/
2 〜150g/m2 であることが好ましい。10g/
2 より少ないと充分な吸収効果が得られず、また15
0g/m2 より多いと吸収ポリマー層が厚くなりすぎ、
吸収ポリマー膨潤時のゲルブロッキングによる吸収不良
を起こしたり、粘着剤で固定しきれない吸収ポリマーが
漏れ出してしまう危険性がある。次に、上記吸収素材と
上記吸収ポリマーとを固着させる粘着剤について説明す
る。
【0017】本発明における粘着剤は、シート製造時に
おいては、吸収ポリマーの飛散及び脱落を防止する為、
適度の粘着性を有し、吸収ポリマーを固着させておく役
割を果たすが、液吸収時においては、液の吸収拡散を阻
害することなく、吸収ポリマーを液で十分に濡らし、か
つ吸収ポリマー膨潤時においては、吸収ポリマーの膨潤
を阻害しないよう、固着が解き放たれる必要がある。上
記のような機能を発現させる為には、まず、吸収ポリマ
ーの膨潤圧によって吸収ポリマーと吸収素材との間の粘
着剤による固着が解き放たれる必要がり、適度な引きは
がし粘着力の設計が重要となる。このような特性を得る
為には、粘着剤は、180°引きはがし粘着力(JIS
C2107)が500g以上4000g以下であるこ
とが必要である。また、吸収素材の持つ濡れ性及び拡散
性を損なわずに吸収ポリマーを固定する為には、粘着剤
を吸収素材に面状に塗布するのではなく、点状、線状又
は曲線状に塗布することが必要であり、又、その場合、
粘着剤の占有面積が10%以上70%以下の範囲で適度
に密に詰まった状態で塗布することが吸収ポリマーの脱
落を引き起こさずに、吸収ポリマーの性能を最大限に引
き出していく上で肝要である。
【0018】上記の範囲の物性を有する具体的な粘着剤
としては、アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル、
アクリル酸エステル共重合体、エチレンオレフィン共重
合体、エチレンブタジエン共重合体、石油系粘着樹脂
等、種々の粘着剤等が使用可能であり、ホットメルト粘
着剤が好ましい。ホットメルト粘着剤としては、例え
ば、東洋ペトロライトP−618B(商品名)、カネボ
ウNSC(株)MQ−916(商品名)、新田ゼラチン
(株)HT400ZB(商品名)等が挙げられるが、上
記の物性を満たすものであれば、特に制限を受けるもの
ではない。尚、本発明の吸収性物品は、その吸収体の一
部又は全部が、上記の吸収性シートで構成されていれば
良い。本発明の吸収性物品は、吸収体として、吸収素
材、吸収ポリマー、粘着剤の3者の特性が全て合致した
吸収シートを用いることにより、更に優れた効果を発揮
する。
【0019】吸収ポリマーが最大限に膨潤をおこなえる
環境としては、吸収される液が吸収ポリマー周辺をまん
べんなく濡らし、且つ吸収ポリマーへの液移動抵抗が小
さい状態が望ましい。実際に吸収物品中の液の移動経路
は、初期の吸収速度の大きな吸収素材でまず液のストッ
クが行われ、それが徐々に吸収ポリマーの周辺に濡れ拡
がり、吸収素材の持つ毛管力と吸収ポリマーの浸透圧の
差圧△Pをドライビングフォースとして、吸収ポリマー
側へ液が移動して吸収ポリマーの吸収が行われる。従っ
て、吸収素材は吸収ポリマーを十分に濡らすだけの液拡
散力が必要となる一方、その構造体(吸収素材)として
の毛管力は出来るだけ小さいことが望ましい。従って、
上記のような理由により吸収ポリマーの効果を最大限に
発揮させうる為には、吸収ポリマーと吸収素材との浸透
圧(毛管力)のバランスが非常に重要となる。
【0020】両者には、必然的に双方の効果を最大限に
発揮させうる物性範囲が存在し、本発明において我々
は、この物理特性を明確にするに至った。即ち、液の拡
散を十分に行う為には、吸収初期の単位時間当たりの拡
散量は、それを間接的に表わす尺度として、クレム吸収
度を用いた場合には、20mm/(1分後)以上であるこ
とが必要である。しかし、このような要件を吸収素材に
与えた場合、それを組み合わせる吸収ポリマーの吸収量
は、自由膨潤(大過剰の液中の膨潤)と比べ、吸収ポリ
マーの浸透圧と毛管構造体(吸収素材)との毛管力の差
が小さくなってしまう事により、大きく減少してしま
う。このような不都合を回遊する為には、これに打ち勝
つだけの強い浸透圧を吸収ポリマーに付与してやる事が
必要条件となり、このような要請によって、吸収ポリマ
ーの吸収力(浸透圧)はある範囲以上のもののみしか本
発明の目的を達し得なくなる。このような吸収ポリマー
の物性は、それを間接的に表現する物理量として、液吸
収速度、即ち、どのくらいの速度で吸収ポリマーが構造
体から液を引き抜くかという値を代表して用いた場合、
8.0cc/0.3g(20分後)以上である事が明確と
なった。しかし、このように吸収ポリマーの液吸収力
(浸透圧)を大きく設計しても、吸収素材の毛管力が大
きくなり過ぎると、その効果は極端に低下する。
【0021】粘着剤の塗布方法としては、スプレー塗布
等、一般的な粘着剤塗布方法が可能であり、前期占有面
積率を確保可能な塗布方法であれば、何ら制約を受ける
ものではない。粘着剤の塗布量は、塗布方法によって異
なるが、例えば、粘着剤として、ホットメルト粘着剤、
P−618B(東洋ペトロライト(株))を使用し、ス
パイラル形状でスプレー塗布した場合には、1g/m2
〜50g/m2 の塗布量が最適である。粘着剤を点状、
線状又は曲線状に塗布する場合の塗布態様について更に
説明する。
【0022】粘着剤の点状の好ましい塗布パターンとし
ては、図2(a)に示すように、各点を間隔を空けて配
置したものや、図2(b)に示すように、互いに隣合う
点が接するように配置したものが挙げられる。粘着剤の
線状の好ましい塗布パターンとしては、図3(a)に示
すように、列状に配置したものや、図3(b)に示すよ
うに、格子状に配置したものが挙げられる。
【0023】粘着剤の好ましい曲線状の塗布パターンと
しては、図4(a)及び(b)に示すような螺旋状に配
置したものが挙げられる。また、液の吸収、拡散を阻害
せずにポリマー粒子を吸収素材に確実に固定化するに
は、粘着剤の塗布パターン及び塗布面積が同一ならば、
線ならばなるべく細く、点ならばなるべく小さく塗布す
る方が好ましい。液が透過し易く、ポリマーが粘着剤と
付く確率が高くなるからである。また、粘着剤を点状に
塗布する場合の各点の大きさは、直径0.1〜10mmと
するのが好ましく、直径0.5〜3mmとするのがより好
ましい。線状又は曲線状に塗布する場合の線の幅は0.
03〜10mmが好ましく、0.05〜5mmがより好まし
く、且つ各線間の非塗布部の幅は0.05〜10mmとす
るのが好ましい。
【0024】また、粘着剤の塗布部の好ましい占有面積
は、前述の通り10%〜70%であり、好ましくは20
〜60%、より好ましくは30〜50%である。また、
粘着剤の塗布部と非塗布部が適当に存在するように配置
されていることが好ましく、従って好ましくは直径10
〜30mmの円形内、より好ましくは直径20mmの円形内
には必ず非塗布部が存在することが好ましい。以上のよ
うにして得られる吸収シートは、単独でも吸収体として
使用可能であるが、使用目的に応じて他の吸収素材、例
えば、綿状パルプ、吸収紙等と組み合わせる事により、
更にその機能は高くなり、種々の吸収性物品に使用可能
である。以上の事項を、以下本発明を構成する3つの要
素、即ち、吸収素材、吸収ポリマー、粘着剤各々の物性
値の意味が3者の相乗作用により、いかにして本発明が
成立しているかを更に詳細に説明する。
【0025】吸収素材の毛管力は、0.2×104dyn/
cm2 〜1.5×104dyn/cm2 、またはクレム吸収度で
置き換えた場合には、150mm/1分後以下である事が
必要である。以上より吸収素材と吸収ポリマーとの物性
値の相互の関係は明確になったが、本発明の第2の目的
である吸収ポリマーの膨潤を阻害しないで吸収ポリマー
の脱落を完全に防止する為には、更に以下に記すような
各素材間の物性値のバランス及び相乗効果が必要とな
る。即ち、液吸収前においては、吸収ポリマーを固定す
る為には、粘着剤に適度な粘着又は接着力が必要となる
が、これは吸収ポリマー膨潤時には吸収ポリマーが吸収
する際に生ずる大きな膨潤圧によって容易にその接着力
が解き放たれることが重要となる。この為には、吸収ポ
リマー側としては、液吸収膨潤倍率を大きく設計する必
要があり、この膨潤(張)圧及び大きな体積膨潤により
粘着剤による束縛から解放され、自由膨潤が可能とな
る。
【0026】このような理由により、粘着剤が一時的に
吸収ポリマーを固着した状態から、吸収時に解放される
為には、生理食塩水を自由膨潤させた時の吸収量(倍
率)を1つの物理量として表現した場合に、30g/
g、即ち自重の30倍以上の膨潤能力を持つことが必要
となることが種々の検討により明確になった。即ち、こ
れ以下だと膨潤圧が小さすぎ、粘着剤と固着からの解放
が思うようにいかず、吸収ポリマーを粘着剤で固着した
際の膨潤倍率が粘着剤の束縛により極端に小さなものと
なってしまうのである。また、たとえ、吸収ポリマーの
膨潤倍率が高くても、粘着剤の固着力(粘着力)がそれ
以上に強ければ、これまた吸収ポリマーの膨潤は大きく
妨げられるものとなり、粘着剤の粘着力は、例えば、1
80°引きはがし粘着力を物性値の代表とした場合50
0g〜4000gである必要(JIS C210)があ
る。また、この際には前述の如く、吸収素材と吸収ポリ
マーの物性のバランスが適当であり、吸収ポリマーが十
分に膨潤しやすい環境にあることが前提条件であること
が好ましい。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と
比較しながら詳細に説明する。下記表1は、後述する実
施例品及び比較例品について、それぞれ下記の(試験の
内容)に示す試験をした結果を示すものである。
【0028】
【表1】 (試験の内容) (1)吸収ポリマー脱落テスト 70×200mmに切り出した吸収シートの重量を測定し
た後、長さ280mm×幅200mmのチャック付きのポリ
袋に入れ、この状態で50回手で振りながら振動を加え
る。試験終了後、吸収シートの重量変化を測定するとと
もに、ポリ袋中に脱落した吸収ポリマーが肉眼でよく観
察できるよう、青色一号で染色(0.3g/水100m
l)した色水を加え、吸収ポリマーを膨潤させ目視で脱
落の大小を判定する。 ○ 吸収ポリマーの脱落が殆ど認められない。 △ 吸収ポリマーの脱落が多少認められる。 × 吸収ポリマーの脱落がかなり認められる。 測定は10回の試験を行い、その平均値をもって脱落量
を表わす。
【0029】(2)吸収量の測定(吸収シート中の吸収
ポリマーの吸収量) 70×200mmに切り出した吸収シートを重量を測定
し、この重量をW0 とする。次に、10メッシュの金網
上にのせ、この上から大過剰の生理食塩水を注ぎ、吸収
シートを飽和させ、この状態で30分間放置後、遠心分
離によって、吸収シート中の吸収ポリマー以外の素材が
吸収した液を離水させ、吸収シートの重量を測定し、こ
れをW1 とする。次に、吸収ポリマーを含まない同構成
の吸収シートを作成し、同様の操作を繰り返す。この時
の初期重量及び遠心分離後の重量をX0 及びX1 とす
る。この時吸収シート中の吸収ポリマーの吸収量は以下
の式に従って算出する。
【数1】
【0030】(3)液戻り量の測定 70×200mmに切り出した吸収シートに疑似血液10
gを注入し、3分間放置する。その後、濾紙(東洋濾紙
TYPE2)10枚を重ね、50g/cm2 の加重を加え
た時、濾過上に液戻りした量を測定する。 液戻り量=(加圧後の濾紙の重量)−(加圧前(初期)
の濾紙の重量) (4)吸収量の測定(吸収ポリマー) 1gの吸収性ポリマーを大過剰の生理食塩水に分散さ
せ、十分に膨潤させた後、80メッシュの金網で吸水ポ
リマーを濾過し、その重量を測定し、この測定値を吸収
量とした。
【0031】(5)吸収速度の測定(吸収ポリマー) 吸収速度の測定には、図5に示すような測定装置を用い
た。まず、測定台4と、ビュレット6中の生理食塩水5
の液面を等高位にセットし、測定台4中の直径70mmの
ガラスフィルター7上に0.3gの吸収性ポリマー2を
均一に散布し、20分間に吸収性ポリマー2が吸収した
生理食塩水5の容量を吸収ポリマー2の吸収速度(cc/
0.3gポリマー・20分)とした。
【0032】(実施例品) 実施例1 化学パルプ100%からなる湿式抄紙によって得られた
吸収紙A(33g/m、クレム吸水度30mm/1分後)
上にホットメルト粘着剤a(トプコP−618B(商品
名)、東洋ペトロライト(株)〕を20g/m2 でスパ
イラル形状に塗布した。尚、粘着剤の塗布部の占有面積
を45%とし、スパイラル形状の幅を約0.05mm〜
0.1mmとした。次いで、吸収ポリマーX(アクリル酸
ナトリウム重合体架橋物、吸収量50g/g、吸収速度
10.5cc/0,3g・20分)を散布坪量45g/m
2 で散布し、この上から吸収紙Aを更に重ね圧着一体化
する事により、本発明の吸収シート1を得た。
【0033】実施例2 化学パルプ30%、レーヨン70%からなる吸収紙B
(25g/m2 、クレム吸収度50mm/1分後)上に、
ホットメルト粘着剤b(MQ−916(商品名)、カネ
ボウNSC(株))を40g/m2 で点状に、占有面積
60%でスプレーで塗布した。尚、粘着剤の塗布部の占
有面積を45%とし、点状の点の直径を1〜2mmのドッ
トパターンとした。次いで、吸収ポリマーXを散布坪量
70g/m 2 で散布し、この上から吸収紙Bを重ね圧着
一体化し、本発明の吸収シート2を得た。
【0034】実施例3 実施例1において、吸収紙Aの代わりに、親水化処理を
行ったポリエチレン/ポリエステル複合繊維からなる不
織布9(坪量35g/m2 、クレム吸収度25mm/1
分)を用い、吸収ポリマーY(アクリル酸ナトリウム重
合体架橋物、吸収量40g/g、吸収速度8.5cc/
0.3g・20分)、散布坪量を20g/m 2 とした以
外は同様にして本発明の吸収シート3を得た。
【0035】比較例1 上述した実施例1において、ホットメルト粘着剤aを使
わずに、吸収紙A上に水散布を施した吸収ポリマーXを
散布し、次いで、吸収紙Aを重ねた圧着一体化すること
により、比較品1を得た。 比較例2 実施例1において、ホットメルト粘着剤の代わりに、接
着剤A(モビニール710、ヘキスト合成(株))を2
0g/m2 で塗布する以外は同様にして比較品2を得
た。
【0036】そして、実施例1〜3における本発明にか
かる吸収シート1〜3及び比較品1、2それぞれの吸収
ポリマーの脱落量及び吸収ポリマーの吸収量についての
試験を行い、その結果を前記表1に示した。前記表1よ
り明らかなように、本発明の吸収シートは、吸収ポリマ
ーの固定化効果に優れ、且つ吸収ポリマーの吸収特性を
最大限に発揮させることが可能である。
【0037】
【発明の効果】本発明の吸収性物品によれば、吸収特性
の向上と吸収ポリマーの脱落を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の吸収性シートの一実施例の要
部の概略を示す斜視図である。
【図2】図2は、粘着剤の点状の塗布パターンを示す平
面図である。
【図3】図3は、粘着剤の線状の塗布パターンを示す平
面図である。
【図4】図4は、粘着剤の曲線状の塗布パターンを示す
平面図である。
【図5】図5は、吸収性ポリマーの吸収速度の測定に用
いられる測定装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 吸収素材 2 吸収性ポリマー 3 粘着剤
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−35001(JP,A) 特開 昭64−40651(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61F 13/15

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液透過性の表面材、液保持性の吸収体及
    び液不透過性の防漏材を有する吸収性物品において、 上記吸収体の一部又は全部は、吸収ポリマーが、点状、
    直線状、又は曲線状に塗布された粘着剤にて吸収素材に
    固着されてなる吸収シートにより構成されており、 上記粘着剤は、180°引き剥がし粘着力が、500g
    以上4000g以下であり、 塗布された後の上記粘着剤の占有面積が、10%以上7
    0%以下であ ることを特徴とする吸収性物品。
  2. 【請求項2】 上記点状の各点の大きさが、直径0.1
    〜10mmであり、上記線状または曲線状の線の幅が0.
    03〜10mmで且つ各線間の非塗布部の幅が0.05〜
    10mmであり、 そして、直径10〜30mmの円形内には粘着剤の非塗布
    部が必ず存在することを特徴とする請求項1記載の吸収
    性物品。
  3. 【請求項3】 上記吸収ポリマーは、吸収量が30g/
    g(対生理食塩水)以上であり、且つ吸収速度が20分
    間で8.0cc/0.3g(対生理食塩水)以上であり、 上記吸収素材は、クレム吸水度が、1分後、20mm以上
    あることを特徴とする請求項1または2記載の吸収性
    物品。
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