JP2009061063A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸水性ポリマー10を含んで構成される吸収体3を備えた吸収性物品1であって、吸水性ポリマー10は、2.0kPaでの加圧下通液速度が50ml/min以上、2.0kPaでの加圧下吸収量が25g/g以上、ボルテックス法による吸水速度が30秒以下である。吸水性ポリマーは、重合性モノマーを重合させた後、架橋材を加えて橋掛構造を作り更に必要に応じて表面架橋を施したもの、重合性モノマーを重合させると共に他のブロックポリマーを合成し、これらを互いに架橋させ更に必要に応じて表面架橋を施したもの、ポリアミノ酸を主鎖とするもの等を用いることができる。
【選択図】図2
Description
しかし、吸水性ポリマーの割合を多くすると、液の吸収により膨潤した吸水性ポリマーによって吸収体における液の通路が閉塞される、いわゆるゲルブロッキングが発生しやすくなる。このゲルブロッキングは、例えば、1回目の体液吸収時においては良好な液吸収性を示すが、2回目以降の体液吸収時においては液吸収性が大幅に低下し、吸収されずに吸収体の表面を流れた液によって液漏れが生じる等の問題を生じる。
しかし、特許文献1の吸収性部材においては、吸水性ポリマーの吸水速度が不十分となり易く、通液性が高く液が移動しやすいことが却って液漏れ等の不都合を招く恐れがある。
図1には、本発明の第1実施形態としての使い捨ておむつが示されている。図2は、図1におけるII−II線断面図である。尚、図2では、図1において破断していた部分を破断していない状態で示している。
吸水性ポリマー10は、2.0kPaでの加圧下通液速度が50ml/min以上であり、好ましくは50〜200ml/min、更に好ましくは60〜150ml/minである。ここで、2.0kPaという荷重は、吸収性物品を着用しているときに吸収体に加わる体圧にほぼ相当する。
吸水性ポリマーの該通液速度の値が50ml/min未満の場合、吸液によって飽和膨潤した吸水性ポリマー同士が荷重下に付着し合って、液の通過を妨げてしまい、ゲルブロッキング発生が起こりやすい。吸水性ポリマー10の上記通液速度を上記範囲内とすることで、ゲルブロッキング発生が起こりづらくなると共に、一度に多量の排泄物が排泄されたとき、月齢の高い乳幼児又は大人の例に見られるように排泄速度が速いとき、更に吸収体の薄型化を図ったときでも、液の固定を十分に行うことができ、液漏れが起こりづらくなる。
なお、上記通液速度の範囲は、最も効率的に吸水性ポリマーを使用するための適切な範囲である。もちろん、通液速度が200ml/minを超える吸収ポリマーの場合であっても、パルプ等を多量に用いることにより吸収体としての性能は確保できるが、ゲルブロッキングの防止としての機能はパルプによって担うことができるので、必ずしも吸水性ポリマー単独で担う必要がなくなる。
100mLのガラスビーカーに、測定試料である吸水性ポリマー0.32±0.005gを膨潤するに十分な量の生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)、例えば吸水性ポリマーの飽和吸収量の5倍以上の生理食塩水に浸して30分間放置する。
別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm、株式会社三商販売のバイオカラム焼結ステンレスフィルター30SUS)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で該円筒管内に、膨潤した測定試料を含む上記ビーカーの内容物全てを投入する。次いで、目開きが150μmで直径が25mmである金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、該金網と測定試料とが接するようにし、更に測定試料に2.0kPaの荷重が加わるようおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(つまり20mLの液が通過する)までの時間(T1)(秒)を計測する。計測された時間T1(秒)を用い、次式から2.0kPaでの通液速度を算出する。尚、式中、T0(秒)は、濾過円筒管内に測定試料を入れないで、生理食塩水20mlが金網を通過するのに要する時間を計測した値である。
通液速度(ml/min)=20×60/(T1−T0)
上記式で得られた値を円筒内の膨潤した吸水性ポリマー層の厚みで除して、20mmあたりの値に換算して加圧下通液速度とする。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。
通液速度の更に詳細な測定方法は、特開2003−235889号公報の段落0008及び段落0009に記載されている。測定装置は同公報の図1及び図2に記載されている。
吸水性ポリマーの該吸収量の値が25g/g未満であると、全体の吸収容量を所定のレベルに保つために多量の吸水性ポリマーを用いなければならず、上記に示したような薄型の吸収体、すなわちおおむねパルプ坪量で300g/m2以下、さらに250g/m2以下であるとき、さらにまた200g/m2以下の吸収体においては吸収体の中で吸水性ポリマーを固定することが難しくなる。十分に固定されていない吸水性ポリマーは、着用者の動作によって移動し、装着違和感や吸収性能にばらつきが生じるなどの欠点が出る。
上記吸収量の値は大きければ大きい程、もれや液戻りを防止する観点では好ましいが、吸収量の値が60g/gを超える場合には、吸水性ポリマーの尿に対する安定性が低下したり、吸水性ポリマーの水可溶分が多くなる傾向にあることから、液戻りが起こった場合に肌のべたつきが生じるため、このような観点から上述した(更に)好ましい範囲の上限値を決めた。
加圧下吸収量は、特開2003−235889号公報に記載されている測定方法及び測定装置を利用して測定される。25±2℃、相対湿度50%±5%の環境で次のようにして測定する。
すなわち、目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000)を底面に貼った円筒プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内に試料0.10gを秤量し、円筒プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に試料がほぼ均一厚さになるように整え、2.0kPaの加圧が試料にかかるように外径29.5mm×厚さ22mmの分銅を円筒プラスチックチューブ内に挿入する。円筒プラスチックチューブと分銅の重量はあらかじめ測定しておく。
次いで、生理食塩水60mlの入ったシャーレ(直径:120mm)の中に試料及び分銅の入った円筒プラスチックチューブをナイロン網側を下面にして垂直に浸す。この時、シャーレの底面ぎりぎりの深さまで、円筒プラスチックチューブが浸漬するようにする。
60分後に試料及び分銅の入った円筒プラスチックチューブを水中から引き上げて重量を計量し、あらかじめ測定しておいた円筒プラスチックチューブと分銅の重量を差し引き、試料が吸収した生理食塩水の重量を算出する。この吸収した生理食塩水の重量を10倍した値を加圧下吸収量(g/g)とする。
加圧下の上記通液速度及び上記吸収量がそれぞれ上述した範囲内の吸水性ポリマー10は、ゲルブロッキング発生が比較的起こりづらく、また、排出速度が遅い場合や、時間をかけて少量づつ排泄された場合等には、その液を十分に吸収することができる。
しかし、吸水性ポリマー10の吸水速度が遅いと、一度に多量の排泄物が排泄されたとき、月齢の高い乳幼児又は大人の例に見られるように排泄速度が速いとき、更に吸収体の薄型化を図ったとき等には、液の固定を十分に行うことができない場合があり、速い通液速度が却って液漏れを誘発する恐れがある。
そのため、本発明においては、吸水性ポリマーとして、ボルテックス法(VORTEX法)による吸水速度が30秒以下のものを用いる。そして、それにより、一度に多量の排泄物が排泄されたとき、月齢の高い乳幼児又は大人の例に見られるように排泄速度が速いとき、更に吸収体の薄型化やコンパクト化(長さを短く、あるいは幅を狭くした場合)を図ったときでも、液の固定を十分に行うことができ、液漏れが起こりづらくなる。
尚、本発明においてはボルテックス法による吸水速度の評価を、時間を測定することで評価しているため、測定時間が短いほど吸水速度が速いとみなされる。ボルテックス法による吸水速度は次のようにして測定する。
100mLのガラスビーカーに、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)50mLとマグネチックスターラーチップ(中央部直径8mm、両端部直径7mm、長さ30mmで、表面がフッ素樹脂コーティングされているもの)を入れ、ビーカーをマグネチックスターラー(アズワン製HPS−100)に載せる。マグネチックスターラーの回転数を600±60rpmに調整し、生理食塩水を攪拌させる。測定試料である吸水性ポリマー2.0gを、攪拌中の食塩水の渦の中心部で液中に投入し、JIS K 7224(1996)に準拠して該吸水性ポリマーの吸水速度(秒)を測定する。具体的には、吸水性ポリマーのビーカーへの投入が完了した時点でストップウォッチをスタートさせ、スターラーチップが試験液に覆われた時点(渦が消え、液表面が平らになった時点)でストップウォッチを止め、その時間(秒)をボルテックス法による吸水速度として記録する。測定はn=5測定し、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。尚、これらの測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
こうして得られた吸収体は、一度の排泄量が多い場合、あるいは排泄速度が速い場合においても、液を素早く吸収し且つ液戻りや漏れを効果的に低減できるため、特に高月齢の乳幼児や大人用の吸収性物品、あるいは夜間・寝起き時のおねしょを想定した吸収性物品などに好適に使用できる。
また、上述した3つの特性がそれぞれ上述した範囲に調整された吸水性ポリマーを用いることにより、吸収体の厚みを薄くすることが可能となるので、例えば、活動量の多い高月齢の乳幼児の運動を阻害することが少ない薄型の吸収体、あるいは高齢者の外出時においてもおむつを装着していることを目立たせない薄型の吸収体を得ることができる。
(1)重合性モノマーを重合させた後、架橋材を加えて橋掛構造を作り、更に必要に応じて表面架橋を施したもの。
(2)重合性モノマーを重合させると共に、他のブロックポリマーを合成し、これらを互いに架橋させ、更に必要に応じて表面架橋を施したもの。
(3)ポリアミノ酸を主鎖とするもの。ここで、ポリアミノ酸とは、アミノ酸の単独重合体、アミノ酸と他の単量体成分の共重合体、又は複数種のアミノ酸の共重合体である。主鎖とは、重合体の架橋部を除いた部分である。
(4)(1)〜(3)の何れかの吸水性ポリマーに、極細の親水性繊維又はクレイを複合化したもの。
前記(1)の吸水性ポリマーは、重合性モノマーを重合させた後、架橋材を加えて橋掛構造を作り、更に必要に応じて表面架橋を施したもの、吸水性ポリマーは、例えば重合に不活性な疎水性有機溶媒(必要により重合に不活性な両親媒性も用いる)と重合性モノマー(水溶性重合性モノマーが50重量%以上)及び/又は重合性モノマーの水溶液、分散剤、必要により架橋剤を用いて重合して得られる重合体粒子、重合性モノマー(水溶性重合性モノマーが50重量%以上)及び/又は重合性モノマーの水溶液、必要により架橋剤を用いて重合して得られる含水ゲル状重合体を粉砕、必要により架橋処理を施して得られる重合体粒子である。
オレフィン系不飽和リン酸又はその塩としては、(メタ)アクリロイル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル及び/又はそのアルカリ塩等が挙げられ、オレフィン系不飽和アミンとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及び/又はそれらの四級塩などのカチオン性不飽和単量体が挙げられ、オレフィン系不飽和アンモニウム塩としては、(メタ)アクロイルオキシエチレントリメチルアンモニウムハロゲン塩等が挙げられ、オレフィン系不飽和アミドとしては、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体やビニルメチルアセトアミド等が挙げられる。
他の単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルアセトアミドなどのノニオン性の親水基含有不飽和単量体などが挙げられる。
また、重合性モノマーが常温で固体である場合には、水溶液として用いることができる。この際、水溶液中における重合性モノマーの濃度は、生産性の観点より水溶液全体中に好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、一層好ましくは30重量%以上である。水溶性である重合性モノマーは、これと共重合し得る水不溶性の重合性モノマーと併用することもできる。該水不溶性の重合性モノマーとしては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸などの不飽和カルボン酸エステルモノマー、スチレンなどが挙げられる。この場合、水溶性の重合性モノマーは、全重合性モノマー中に50重量%以上、特に70重量%以上含有していることが好ましい。
また、吸水性ポリマーの製造には、上記疎水性溶媒以外に両親媒性の溶剤を用いてもよい。該両親媒性の溶剤の使用量は、該疎水性有機溶媒との合計量で、重合性モノマー100重量部に対し500重量部までの量であることが好ましい。該両親媒性の溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール及び2−プロパノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類が挙げられる。
ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート及びポリオキシメチレンソルビタンモノオレート等のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩及びドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩等の陰イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等のグリコシド化合物、エチルセルロース及びベンジルセルロース等のセルロースエーテル、セルロースアセテート、セルロースブチレート及びセルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル、トリメチルステアリルアンモニムクロリド及びカルボキシメチルジメチルセチルアンモニウム等の陽イオン性及び両性の界面活性剤、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化ポリエチレン、マレイン化α−オレフィン、スチレン−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩及びイソプロピルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩等の高分子分散剤を例示することができる。これらの分散剤は一種以上を用いることができる。
使用量は、上記重合性モノマー100重量部に対して好ましくは0.001〜5重量部であり、更に好ましくは0.001〜1重量部であり、一層好ましくは0.001〜0.5重量部である。
(i)界面活性剤(分散剤)を、予め重合に不活性な疎水性有機溶媒(必要により重合に不活性な両親媒性も用いる)に溶解及び/または分散させる方法。
(ii)界面活性剤(分散剤)を、予め重合性モノマーまたはその水溶液に溶解及び/または分散させる方法。
(iii)重合を行いながら、徐々に界面活性剤(分散剤)またはその分散液もしくは溶液を重合に不活性な疎水性有機溶媒(必要により重合に不活性な両親媒性も用いる)または重合性モノマー(またはその水溶液)に添加する方法。
(iv)前記(i)〜(iii)の方法を併用した添加方法。
陰イオン性界面活性剤は単独で使用しても分散剤として充分効果があるが、更に、他の陰イオン性界面活性剤と混合して使用するか、又は非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤若しくは高分子型分散剤を併用してもよい。これらの中でも他の陰イオン性界面活性剤を併用することが好ましい。
該重合開始剤としては、特に限定されないが、酸化性重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド等のケトパーオキシド;ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパーイソブチレート、tret−ブチルピバレート等のアルキルパーエステル;tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、過酸化水素等のハイドロパーオキシド類;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニム等の過硫酸塩;過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等の過塩素酸類;塩素酸カリ、臭素酸カリ等のハロゲン酸塩が挙げられる。これらは一種以上を使用することができる。
使用に際しては、酸化性重合開始剤,アゾ系重合開始剤,レドックス系重合開始剤を併用しても良い。単独若しくは2種以上の混合物として用いることができる。
これらの中でも、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム,2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロハライド及び2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロハライドを含む群より選択される一種以上が本発明の目的を達成する為に好ましい。
上記重合開始剤の使用量は、上記重合性モノマーに対して、通常0.001〜10%、好ましくは0.01〜5%である。重合開始剤の添加方法は、特に制限されないが、重合溶媒に添加、及び/またはモノマー溶液に添加するのが好ましい。
重合に不活性な疎水性有機溶媒(必要により重合に不活性な両親媒性も用いる)と重合性モノマー(水溶性重合性モノマーが50重量%以上)とを用いて、重合性モノマーを重合させる方法としては、下記に示す方法等の何れかを挙げることができる。重合性モノマーまたはその水溶液と疎水性有機溶媒とを一括に混合し、その後重合させる方法(一括重合法)。重合性モノマーまたはその水溶液を疎水性有機溶媒の中に滴下しながら逐次重合させる方法(逐次重合法)。重合性モノマーまたはその水溶液を予め一部の疎水性有機溶媒と混合又は分散して得られる混合溶液を、疎水性有機溶媒の中に滴下しながら重合する方法(前分散法)、前記の方法を併用した方法。重合温度は、通常、20〜150℃、好ましくは40〜100℃の範囲が適当である。120℃を超えると、架橋が極度に高まるために重合体粒子の吸水能が極度に低下し、20℃未満であると、重合速度が極端に低下するので好ましくない。モノマーまたは水溶液の温度は、0〜100℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。
ゲル解砕工程において含水ゲル状重合体を粒子状にする手段としては、従来公知のゲル解砕および/または粉砕装置を用いることができる。例えば、ミートチョッパー等の多孔板を有するスクリュウ型押し出し機、エクストルーダー、シュレッダー、エッジランナー、カッターミル、スクリュウ式破砕機等があげられる。また、回転腕または攪拌を有する重合反応容器内で、該回転腕または攪拌翼の回転により生じる剪断力によって含水ゲル状重合体を粒子状にしてもよい。含水ゲル状重合体に対する攪拌力の大きい反応容器が好ましい。例えば、ニーダー、インターナルミキサー、バンバリーミキサー等のバッチ式のものや、コンティニュアスニーダー等の連続式のものをあげることができる。
表面架橋は、架橋度を高めて架橋点の間隔を狭くすると、吸収量が高まる一方、通液速度が低下する。反対に間隔を広くすると、通液速度が低下する一方、吸収量が高まる。上述した2.0kPaでの加圧下通液速度及び2.0kPaでの加圧下吸水量が、それぞれ上述した範囲の吸水性ポリマーを得るためには、表面架橋の架橋度を変化させて吸水性ポリマーを製造し、バランスの良いものを選択する。
表面処理剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、カリウム明礬、アンモニウム明礬、ナトリウム明礬、(ポリ)塩化アルミニウム、これらの水和物などの多価金属化合物;ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどのポリカチオン化合物;シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、ベントナイトなどの無機微粒子;などが挙げられ、これらの1種のみ用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリカなどの無機微粒子が、吸水速度や通液性を向上する点で好ましい。
前記(1)の吸水性ポリマーの製造においては、重合に悪影響を与えない範囲で各種添加剤を重合性モノマー中に共存させて重合することができる。かかる添加剤の具体例としては、澱粉−セルロ−ス、澱粉−セルロ−スの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の分散助剤やキノン類などの重合禁止剤、連鎖移動剤、キレート剤等である。
重合性モノマー、その重合方法、架橋剤、表面架橋、表面処理等については、前記(1)の吸水性ポリマーと同様である。
重合性モノマーの重合体と架橋させるブロックポリマーとしては、上述したように水溶性で、重合性の不飽和基を有する種々のビニルモノマーを重合した吸水性ポリマーが挙げられる。
具体的には、オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩、オレフィン系不飽和カルボン酸エステル、オレフィン系不飽和スルホン酸又はその塩、オレフィン系不飽和リン酸又はその塩、オレフィン系不飽和リン酸エステル、オレフィン系不飽和アミン、オレフィン系不飽和アンモニウム、及び/又はオレフィン系不飽和アミドなどの重合性不飽和基を有するビニルモノマーが例示される。これらの具体例は、前記(1)の吸水性ポリマーに関して上述したものと同様のものが挙げられる。
前記(2)の吸水性ポリマーにおいては、これらの中でも、特にオレフィン系不飽和カルボン酸及び/またはそのアルカリ塩が好ましく用いられ、更に好ましくはメタクリル酸及び/またはそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩が用いられる。
本発明に用いられるポリアミノ酸としては、その一部が架橋された架橋ポリアミノ酸が好ましい。架橋ポリアミノ酸から形成された吸水性ポリマーは、架橋されていないポリアミノ酸から形成された吸水性ポリマーに比して、吸水量、保持量、尿に対する安定性の点で優れる。架橋ポリアミノ酸の主鎖は、アミノ酸が脱水縮合したポリペプチドからなる。架橋ポリアミノ酸が共重合体である場合、その重合様式は、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であっても、グラフト共重合体であってもよい。
極細の親水性繊維又はクレイの複合化は、以下のようにして調整する。すなわち、極細の親水性繊維又はクレイを水あるいは水と1価あるいは多価アルコールの混合溶液に分散させた液の中に、表面架橋若しくは表面処理前又はその後のポリマーを投入し、攪拌混合することにより、極細の親水性繊維又はクレイが接合されて複合体となった吸水性ポリマーが得られる。
上記繊維は、全ての繊維が同一の細さを有する必要はなく、フィブリル化パルプのように、繊維の一部がささくれ立って細くなっているものや、分割繊維の一部が分割され、極細の繊維が含まれる場合を含む。
極細の親水性繊維の平均繊維長は、1〜10mmが好ましく、1〜5mmが一層好ましく、直径(繊維幅)は、5〜100μmであることが好ましい。これらはは、パルプ繊維長分布測定器(カヤーニ社製)を用いて測定することができる。
これらクレイの平均粒径は0.01〜50μm、より好ましくは0.1〜30μmである。
極細の親水性繊維又はクレイを複合化することで、加圧下通液速度、加圧下吸水量及び吸水速度をバランス良く高めて、それぞれを上記範囲内とすることができる。
塊状の吸収性ポリマーの平均粒径は、150〜600μm、特に200〜500μmであることが好ましい。
非塊状のポリマーとしては、モノマーと重合開始剤、架橋剤等を混合したものと噴霧乾燥する方法、逆相けん濁重合法で溶媒の種類や界面活性剤の種類を調整する方法(おおむね、ポリマーと溶媒のsp値の差を小さくすることにより、表面のでこぼこがない球状のポリマーを得ることができる)等によって得られた球状の粒子等を用いることができる。
繊維混合体33の構成成分として吸水性ポリマー10と併用される繊維状物としては、当該技術分野において通常用いられているものを適宜用いることができる。繊維混合体33としては、例えば繊維状物と吸水性ポリマーを空気中で均一混合し特定の形状に成型したもの、あるいはウエブ上に吸水性ポリマーを散布して混合状態を形成したもの、あるいは長繊維を開繊して吸水性ポリマーを散布し混合したものや積層させたものが挙げられる。繊維状物としては、例えば、木材パルプや植物パルプ、コットン、羊毛、麻等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の再生繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン等の単独あるいは複合体繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。繊維状物としては、その断面が円あるいはY字、C型、中空等の異型断面繊維を用いることができる。繊維状物は、親水性及び疎水性を有するもののどちらを用いてもよい。
(1)吸水性ポリマー10と、繊維長70mm以上、好ましくは80mm以上の親水性を有する長繊維とを含む繊維混合体(吸収体)。
(2)吸水性ポリマー10と、親水性の短繊維と、捲縮した潜在捲縮性繊維とを含む繊維混合体(吸収体)。
繊維混合体(吸収体として吸水性ポリマーを含む。以下の長繊維の含有割合は、吸水性ポリマーを含む吸収体全体を分母とした場合の値。中の長繊維の含有割合は、5〜50重量%、特に10〜30重量%であることが好ましい。
合成又は半合成繊維である短繊維が存在することで、柔軟で吸収性能に優れ、液の拡散を制御して液漏れを効率よく防止することができ、製造も容易である。
尚、このような繊維混合体(吸収体)は、例えば、長繊維のウエブに、上述したポリマーを散布した後、該ウエブを一対の加圧ロール間に導入して上下面間を加圧することにより、繊維をポリマーに強く押し当て切断することにより得ることができる。また、他の切断方法により、長繊維のウエブの一部の長繊維を切断して得ることもできる。
上記短繊維の繊維長の測定は、JIS L1015の平均繊維長測定方法(C法)により測定した値を用いる。 また、本発明の吸収体には、JIS L1015の測定法で測定するのが困難と思われる、あるいは大きな誤差を含みうるような、非常に短い繊維(長さ5mm未満)や粉状に近いものが含まれることがある。
潜在捲縮性繊維は、例えば、収縮率の異なる2種類の成分からなる偏心芯鞘型若しくは同心芯鞘型の複合繊維又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許2759331号明細書に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる2種類の成分(熱可塑性ポリマー等)としては、(1)エチレン−プロピレンランダム共重合体(高収縮率成分)とポリプロピレン(低収縮率成分)との組み合わせ、(2)ポリエチレンテレフタレート(PET,低収縮率成分)とポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸の共重合体(CoPET,高収縮率成分)との組み合わせが挙げられる。その太さは1.0〜11.0dtex程度が好適である。熱捲縮性繊維は、ステープルファイバでも長繊維のフィラメントでもよい。
繊維混合体(吸収体として吸水性ポリマーを含む。以下の短繊維の含有割合は、吸水性ポリマーを含む吸収体全体を分母として場合の値。中の親水性の短繊維の含有割合は、5〜45重量%、特に20〜40重量%であることが好ましい。繊維混合体(吸収体)中の潜在捲縮性繊維の含有割合(捲縮したものと捲縮していないものとの合計)は、5〜45重量%、特に10〜30重量%であることが好ましい。
本発明における圧力下での吸収は、一定の圧力が持続してかかっている状態のみならず、股下部など、着用者の運動によって、圧力がかかったりかからなかったりする状態が起こることによって、吸収体の構造が変化する場合を含む。したがって、吸収体構造が変化することによって、繊維-繊維、繊維-吸水性ポリマーの距離も変化することになるため、毛管による保持機能に変化が生じることを意味する。この場合、従来の吸収体のように、毛管力に頼った吸収システムをとることができず、いかに吸水性ポリマーが効率よく液を固定するかがポイントとなり、上記3つの特性が重要となってくる。
おむつ1は、全体として股下部に相当する長手方向中央部が括れた砂時計状の形状となっている。表面シート2及び裏面シート4はそれぞれ、吸収体3の左右両側縁及び前後両端部から外方に延出している。表面シート2は、その幅方向Sの寸法が、裏面シート4の幅方向の寸法より小さくなっている。おむつ1は、展開型のおむつであり、長手方向Lの一方の端部においては、その両側縁部に一対のファスニングテープFTが取り付けられている。また、他方の端部においては、裏面シート4上にランディングテープLTが取り付けられている。
また、おむつ1における長手方向Lの両側には、レッグギャザー形成用の左右一対の一本又は複数本(第1実施形態においては2本)の弾性部材7,7が配されて、レッグギャザーが形成されている。レッグギャザー形成用の弾性部材7は、吸収体3の長手方向両側縁それぞれの外方に延出するレッグフラップにおいて、伸長状態で略直線状に配設されている。
上層30や下層31がセルロース系の繊維集合体からなる場合は、繊維集合体の密度は0.05〜0.5g/cm3 が好ましく、0.10〜0.3g/cm3 がより好ましい。本発明の吸水性ポリマーのように、液の吸収、固定化、透過性を高めた吸水性ポリマーの性能を十分発揮させるためには、吸水性ポリマー周辺の繊維集合体の液の透過性を高め手億必要がある。密度が0.5g/cm3を超えると、繊維集合体が圧縮されて硬くなるばかりでなく、液の透過性が低下して、吸水性ポリマーが吸収するだけの液を供給できなくなる。一方、密度が0.05に満たない場合は、着用者が激しい動作をした場合に繊維集合体としての構造が崩れてしまい、安定した液の分配が困難となる。この場合は別途合成繊維からなる不織布と複合化することにより構造の破壊を防ぐことが可能である。
また、第2実施形態の吸収体を作成する際、湿潤下に圧力をうけて、膨潤した吸水性ポリマーがつぶれてゲルブロッキングを起こしたまま乾燥されることがないので、液の透過性を保つことができる水素結合で接着されているので、吸水性ポリマーの吸収が阻害されやすい。しかし、上述した3つの特性(2.0kPaでの加圧下通液速度、2.0kPaでの加圧下吸水量、ボルテックス法による吸水速度)がそれぞれ上述した範囲にある吸水性ポリマーを用いることにより、高い吸水速度と吸収量の実現が可能となった。
例えば前記実施形態では、本発明の吸収性物品の適用例の一つとして展開型の使い捨ておむつを挙げたが、例えばパンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナ、失禁ライナ、吸収パッド(尿取りパッド)等にも適用できる。
本発明の吸収性物品は、主として尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられる。
撹拌機,還流冷却管,モノマー滴下口,窒素ガス導入管を取り付け、良好な気密状態を保つことができるSUS304製 5L反応容器(アンカー翼使用)に分散剤として花王製ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基:C12/C78=72/28,EO平均付加モル数:1モルのAES)を0.2%[対アクリル酸重量,有効成分として]とエチレンジアミン四酢酸三ナトリウム二水和物4.6mgを仕込んだ。溶媒には、ノルマルヘプタン1600mlを用いた。容器内の圧力を所定圧(70kPa前後)に制御しながら、窒素ガスを吹き込み、撹拌しながら、バス温を80℃まで昇温した。還流状態を30分間保った。
一方、2L 三つ口フラスコ中に、東亞合成製80%アクリル酸500g,イオン交換水250gを仕込み、氷冷しながら旭硝子製48%苛性ソーダ水溶液350gを滴下し、モノマー水溶液としてのアクリル酸ナトリウム水溶液1050gを得た。このモノマー水溶液に、(味の素製N-アシル化グルタミン酸ソーダ(商品名 アミソフトGS−11F)0.175gをイオン交換水3gに溶解させたものを添加し、暫く撹拌した後、250g、250g、550gに三分割した。
一方、アクリル酸ナトリウム水溶液に、味の素製N−アシル化グルタミン酸ソーダ(商品名 アミソフトGS−11F)を添加し、暫く撹拌した後、和光純薬工業製2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名V−50)0.2gとISP TECHNOLOGIES,INC.製ポリビニルピロリドン(K−15)0.2g,イオン交換水14gを混合溶解し、開始剤(A)水溶液を調製した。また、和光純薬工業製過硫酸ナトリウム0.6gをイオン交換水12gに溶解し、開始剤(B)水溶液を調製した。さらに、クエン酸チタン水溶液(50%クエン酸と7.6%(TiO2)硫酸チタニル水溶液を33/439の重量比で混合)を調製した。
はじめに、モノマー水溶液と開始剤(A)の混合液を反応容器内に徐々に滴下し、その後、モノマー水溶液と開始剤(B)の混合溶液を滴下し重合を行った。なお、モノマー水溶液と開始剤(B)の混合溶液を滴下中に、上記クエン酸チタン水溶液1.2gを追加添加した。
モノマー滴下終了5分後、常圧に戻し、脱水管を用いて共沸脱水を行い、吸水性ポリマー(ハイドロゲル)の含水量を吸水性ポリマー100重量部に対して60重量部に調整した。その後、架橋剤としてナガセ化成工業製エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコールEX−810)を添加した。その後、更に共沸脱水を行い、吸水性ポリマー(ハイドロゲル)の含水量を吸水性ポリマー100重量部に対して35重量部に調整した。引き続き、ソルーシア製ディクエスト2010CS 3.15gを添加し、冷却後、溶媒を除去・乾燥させることにより吸水性ポリマーを得た。
得られた吸水性ポリマーについて、一部大粒径の吸水性ポリマーをふるいわけによって除去し、平均粒径330μmの吸水性ポリマーを得た。さらに、吸水性ポリマー100重量部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル0.5重量部をドライブレンドにより表面処理を行い、加圧下吸収量は26g/g、吸水速度25秒、加圧下通液速度65ml/minの吸水性ポリマーを得た。
撹拌機,還流冷却管,モノマー滴下口,窒素ガス導入管,温度計を取り付けたSUS304製 5L反応容器(アンカー翼使用)に分散剤としてポリオキシアルキレンエーテルリン酸エステル(撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を付設した容量5Lの四つ口丸底フラスコに、ポリオキシアルキレン(EO=5、PO=4、EO=5のトリブロック型)アルキル(C12/C14=7/3(原料アルコールの重量比))エーテル(OHV:63.8)を3000g入れた。これに50mL/minで窒素ガスを導入しつつ、200rpmで撹拌を行い、昇温を開始した。バス温が設定値の40℃に到達(内温は35〜38℃)してから40分間、窒素置換を行った。ここに無水リン酸180gを内温が60℃を超えないよう注意しながら添加した。添加の際には窒素ガス導入管を外し、そのフラスコ口に粉末ロートを差し込んで行った。添加終了後、内温を60℃まで昇温して、1時間撹拌した。さらに内温を80℃まで昇温して、15時間撹拌した。ここにイオン交換水95gを添加し、さらに4時間撹拌を行った。
次に、溶媒としてノルマルヘプタン1600mlを加え、アンカー翼で撹拌しながら、溶存酸素を追い出す目的で窒素ガスを吹き込み、常圧で内温90℃まで昇温した。
一方、2L 三つ口フラスコ中に、80%アクリル酸(東亞合成製 act. 80.6%)の水溶液500g、イオン交換水220gを仕込み、氷冷しながら48%苛性ソーダ水溶液(旭硝子製 act. 49.6%)330gを滴下し、モノマー水溶液としてのアクリル酸ナトリウム水溶液(72%中和品)1050gを得た。このモノマー水溶液に、N−アシル化グルタミン酸ソーダ(味の素製 商品名アミソフトGS−11F)0.25gをイオン交換水3gを添加した後、二分割した。
次いで、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(和光純薬工業製 商品名V−50)0.06g,ポリエチレングリコール(花王製 K−PEG6000 LA)0.2g,イオン交換水7gを混合溶解し、開始剤(A)溶液を調製した。また、過硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)0.6gをイオン交換水3gに溶解し、開始剤(B)溶液を調製した。
上記、二分割したモノマー水溶液の1つに、開始剤(A) 溶液7gを加えた(モノマー(1))。また、二分割した残りのモノマー水溶液に、開始剤(B) 溶液10.5gを加えた(モノマー(2))。
前述の5L反応容器の内温が90℃であることを確認した後、モノマー滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、モノマー(1)、モノマー(2)の順番で滴下し重合した。
モノマー滴下終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、吸水性ポリマー(ハイドロゲル)の含水量を吸水性ポリマー100重量部に対して60重量部に調整した。その後、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業製、商品名デナコールEX−810)0.25gを水10gに溶解した溶液を添加した。その後、冷却、乾燥させることにより吸水性ポリマーを得た。
得られた吸水性ポリマーについて、一部大粒径の吸水性ポリマーをふるいわけによって除去し、平均粒径410μmの吸水性ポリマーを得た。さらに、吸水性ポリマー100重量部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル0.5重量部をドライブレンドにより表面処理を行い、加圧下吸収量は25g/g、吸水速度28秒、加圧下通液速度51ml/minの吸水性ポリマーを得た。
合成例1で用いたアクリル酸ナトリウムとポリエチレングリコールジアクリレートおよびD−ソルビトールを溶解させて反応液とした。次に窒素ガス雰囲気下で20分脱気した。続いて、過硫酸ナトリウムの10%水溶液および、0.1%アスコルビン酸水溶液を攪拌しながら滴下した。生成したゲルを粉砕しながら20〜95℃で重合を行い、重合開始30分後に含水物を取り出した。含水ゲルを金網上に広げて電気乾燥機で乾燥させ、ロールミルを用いて粉砕した。得られた粉砕物は篩い分けをして、合成例1の吸水性ポリマーの粒径分布に合わせた。得られた吸水性ポリマーに0.5重量%のアエロジル(日本アエロジル(株)製、多孔質シリカ粒子)を添加し、ドライブレンドによって吸水性ポリマー表面に付着させた。
得られた吸水性ポリマーは、平均粒径350μm、加圧下吸収量は21g/g、吸水速度65秒、加圧下通液速度130ml/minの吸水性ポリマーを得た。
合成例1で用いたアクリル酸ナトリウムとN−アシル化グルタミン酸ソーダ(味の素製 商品名アミソフトGS−11F)のイオン交換水溶液に開始剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(和光純薬工業製 商品名V−50)と、ポリエチレングリコール(花王製 K−PEG6000 LA)を混合溶解し、モノマー溶液を調製した。
次に合成例1の分散剤に変えて、ポリオキシアルキレンエーテル硫酸エステルを0.11%[対アクリル酸重量,有効成分として]を仕込み、溶媒としてノルマルヘプタン1600mlを加えた。以後、合成例1と同様にして吸水性ポリマーを得た。
得られた吸水性ポリマーについて、得られた吸水性ポリマーについて、大粒径の吸水性ポリマーをふるいわけによって除去し、平均粒径320μmの吸水性ポリマーを得た。さらに、吸水性ポリマー100重量部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル0.5重量部をドライブレンドにより表面処理を行い、加圧下吸収量は12g/g、吸水速度45秒、加圧下通液速度3ml/minの吸水性ポリマーを得た。
合成例1によって得られた吸収ポリマーを用いて、以下のようにして吸収体を作成した。
解繊したパルプ(フラッフパルプ)100重量部と合成例1の吸水性ポリマー200重量部を空気気流中に混合し、メッシュ内面から吸引を行いながら積繊した。パルプ/吸水性ポリマー混合積繊体の合計坪量は450g/m2であった。得られた積繊体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量16g/m2のティッシュペーパーで包み込んで吸収体を得た。
実施例1の吸水性ポリマーを合成例2の吸水性ポリマーに変更した以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
はじめに、合成例1の吸水性ポリマー100重量部に対し、あらかじめ調整したフィブリル化パルプスラリー10重量部(パルプ2重量部に対して、水100重量部を加えて叩解機で叩解度150mlとなるように調整したものを攪拌混合した。その後、乾燥、粉砕を行い、フィブリル化パルプを複合させた吸水性ポリマー(以後、パルプ複合化ポリマー)を得た。
次に、針葉樹パルプ(ウエハウザー社製、NB−416)をガーネットシリンダーにて開繊し、空気気流中で上記パルプ複合化ポリマー200重量部と針葉樹パルプ100重量部となるように混合し、合計坪量450g/m2の積繊体を得た。
実施例3のパルプ複合化ポリマーに変えて、クレイを複合化させたものを用いた以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
クレイ複合化吸水性ポリマーの調整は、合成例1の吸水性ポリマー100重量部に対し、クレイスラリー10重量部(クレイとして、合成スメクタイト2重量部:和光純薬製をイオン交換水100重量部に分散させたもの)を処理し、乾燥・粉砕した。
実施例5では、吸水性ポリマーとして実施例4で用いたクレイ複合化吸水性ポリマーを用いた。
先ず、捲縮したアセテート長繊維のトウを用意した。この長繊維の繊維径は2.1dtexであった。トウの全繊維量は2.5万dtexであった。このトウを、伸張下に搬送し空気開繊装置を用いて開繊し、開繊ウエブを得た。次いで、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウエブを通して、該ウエブを梳いた。その後、幅100mmに調節し、その搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウエブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウエブ中の繊維の捲縮率は30%、1cm当たりの捲縮数は15個であった。これによって長繊維間の空間を広げ、吸収性ポリマーを入り込ませ易くし、またウエブを厚くして吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させた。ウエブ上に幅80mmで吸収性ポリマーを散布し、該吸収性ポリマーを開繊ウエブ中に埋没担持させた。ウエブの坪量は25g/m2、吸収性ポリマーの坪量は132g/m2であった。
次に、開繊したフラッフパルプ100重量部と吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合したものをT字状の型の上に積繊し、合計坪量300g/m2の積繊体を得た。T字状の型は、脚部の幅が100mmで、長さが100mm、横架部の幅が125mmで、長さが100mmあった。積繊体におけるフラッフパルプ及び吸収性ポリマーの坪量はそれぞれ150g/m2であった。積繊体上にウエブを重ね、これら全体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量16g/m2のティッシュペーパーで包みこんだ。その後、金属ロール−ゴムロール間で圧縮を行い(2つのロール間のクリアランスは0mmに設定した。)、ウエブとティッシュペーパーを一体化するとともに、ウエブが圧縮され、吸収性ポリマーによってウエブの構成繊維を切断し、吸収体を得た。
このウエブ(繊維集合体ないし長繊維のウエブ)は、塊状の吸収性ポリマーと短繊維を含有しており、吸収体における短繊維の分布は、幅方向中央部80mm(吸収性ポリマーを散布した位置)に偏って存在した。ウエブ幅方向中央領域の短繊維の存在割合は86%(長繊維が14%)、ウエブ幅方向両端部の短繊維の存在割合は18%であった。
実施例1の吸収体を次のように変更した。はじめに、針葉樹パルプ(NBKP)70重両部とクリンプ構造を有するパルプ(商品名:HighBulk Additive(以下HBAと称す)、ウエハウザー(株))30部を水中で攪拌混合し、水溶性結合剤として、ポリビニルアルコール(以下、PVAと称す)(商品名:ゴーセノール p−250、日本合成化学(株))5部及びジアルデヒドデンプン(商品名:カルダス、日本カーリット(株))10部をそれぞれ水中に分散し、これらを抄紙し、乾燥した後、秤量25g/m2の嵩高紙を得た。
得られた紙を、含水率100%(紙の自重と同じ重量の水を含んだ状態)に調整し、上記吸水性ポリマー50g/m2を散布し、同様に調整した嵩高紙を積層して、2枚の嵩高紙の間に吸水性ポリマーが挟みこまれた吸収体を得た。上記、嵩高紙と吸水性ポリマーは、吸水性ポリマーの粘着性あるいは嵩高紙に含まれるPVAによって固定されている。得られた吸収体は生理用ナプキンの吸収体として好適である。
実施例1の吸水性ポリマーを比較合成例1の吸水性ポリマーに変更した以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
〔比較例2〕
実施例1の吸水性ポリマーを比較合成例2の吸水性ポリマーに変更した以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
〔比較例3〕
実施例6の吸水性ポリマーを比較合成例2の吸水性ポリマーに変更した以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
〔吸収性能〕
長さ400mm、幅100mmの大きさに作成した実施例1〜5及び比較例1,2の吸収体と、花王(株)製の市販の使い捨ておむつ(メリーズMサイズ)における吸収体以外の材料とを用いて、該使い捨ておむつと同様の構造を有する使い捨ておむつを作成して、評価サンプルとした。評価はサンプルを幅方向が上下になるように30°の傾斜板に固定し、吸収体の上方側の端部から20mmの位置に生理食塩水を40gずつ、5分間隔に繰り返し注入した。吸収体の端部(サンプルによって、立体ギャザーを乗り越えて幅方向端部からもれを生じる場合と、立体ギャザーによって液がせき止められ、長手方向端部から漏れを生じる場合がある)のから液が漏れ出すまでの注入量を比較した。
評価結果は実施例1の吸収容量を1.0とした時の相対値を以下の計算式を用いて算出した。
吸収容量(相対値)=(サンプルの吸収容量)/(実施例1の吸収容量)
上述の吸収性能を評価したものと同様に試験サンプルを作成した。吸収体長手方向前端部から200mm、幅方向中央部に、内径35mmの円筒を置き、生理食塩水40gを高さ10mmになるように液を維持しながら注入した。この時、吸収に要した時間を測定した。吸収開始から10分後に、再度40gを注入、吸収時間を測定というサイクルで、同様の操作を計3回繰り返し、合計120gの生理食塩水を吸収させた。なお、吸収時間の評価としては3回目の吸収に要した時間を評価値とし、時間が短いのほど性能が良好であることを示している。予め、東洋ろ紙(アドヴァンテックNo.5A)を100mm×100mmに切断し、30枚重ねにしたものを準備し(重量測定W1)、注入開始後10分後に、注入点を中心として吸収体上に載せ、厚さ5mm、100mm×100mmのアクリル板を介して、3.5kPaの圧力を掛け、2分後にろ紙の重量を測定し(W2)、次式により液戻り量を算出した。
液戻り量(g)=最初のろ紙の重量(W1)−加圧後のろ紙の重量(W2)
幅80mm、長さ210mmに作成した吸収体を準備した。
幅80mm、長さ210mmの大きさに作成した実施例6及び比較例3の吸収体と、花王(株)製の市販の生理用ナプキン(スーパースリムガード昼用ナプキン)における吸収体以外の材料とを用いて、該生理用ナプキンと同様の構造を有する生理用ナプキンを作成して、評価サンプルとした。吸収体と同じ面積を有する厚さ3mmのアクリル板の中央部に、内径10mmの孔を開け、その周りを覆うように内径15mmの円柱を立てた。アクリル板の両端に各5g/cm2の荷重となるように錘を載せた。円柱部に脱繊維馬血(日本バイオテスト社、適宜血漿を足して粘度を8cPに調整)を6gを約1秒で注入し、脱繊維馬血が全て吸収される時間を測定し、注入量を吸収に要した時間で除して吸収速度を求めた。吸収後、3分間その状態を保持した。次いでアクリル板と重りを外し、生理用ナプキンの肌当接面上に、7cm×10cmで坪量30g/m2の吸収紙(市販のティッシュペーパー)を10枚重ねたものを載せた。更にその上に圧力が660Paになるように重りを載せて2分間加圧した。加圧後、吸収紙10枚を取り出し、加圧前後の吸収紙の重さを測定して、吸収紙に吸収された血液量を求めた。この値を、生理用ナプキンから戻った血液の液戻り量とした。
吸収速度
○:0.15g/秒以上
△:0.1g/秒以上0.15g/秒未満
×:0.1g/秒未満
液戻り量
○:1.0g未満
△:1.0g以上1.2g未満
×:1.2g以上
2 表面シート
3 吸収体
30 上層
31 下層
33 繊維混合体
4 裏面シート
10 吸水性ポリマー
Claims (6)
- 吸水性ポリマーを含んで構成される吸収体を備えた吸収性物品であって、
前記吸水性ポリマーは、2.0kPaでの加圧下通液速度が50ml/min以上、2.0kPaでの加圧下吸収量が25g/g以上、ボルテックス法による吸水速度が30秒以下である、吸収性物品。 - 前記吸水性ポリマーが、極細の親水性繊維又はクレイとの複合体である、請求項1記載の吸収性物品。
- 前記吸収体は、前記吸水性ポリマーと繊維状物との繊維混合体を有し、前記繊維状物として、親水性を有する長繊維を含んでいる、請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記繊維混合体が、前記長繊維と共に合成又は半合成繊維である短繊維を含んでいる、請求項3記載の吸収性物品。
- 前記吸収体は、親水性の短繊維と捲縮した潜在捲縮性の合成繊維を含む請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品。
- 前記吸収体は、液透過性を有する上層及び下層を有し、該上層と該下層とにより前記吸水性ポリマーを挟持している請求項1又は2記載の吸収性物品。
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