JP2008082029A - 耐力フレーム - Google Patents
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Abstract
【課題】建築物の構造体に取付けるだけで、優れた制震性能が発揮され、平面プランなどに制約されることなく、優れた制震性能の建築物を簡単な施工で構築できる耐力フレームを提供する。
【解決手段】建築物の構造体に取付けることにより、構造体の水平耐力を補強する耐力フレームであって、矩形状の外周枠と、この外周枠の内側に設けられた取付部と、平板状の制震部材とを具え、前記制震部材は、平行に配される複数枚の剛性板材が、その間に介在する層状の粘弾性体により接着されて構成されるとともに、前記各剛性板材には、その側端縁部が左右交互に延出した取付片が形成され、前記各剛性板材は、その取付片の少なくとも上下二箇所において取付部に固着されることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】建築物の構造体に取付けることにより、構造体の水平耐力を補強する耐力フレームであって、矩形状の外周枠と、この外周枠の内側に設けられた取付部と、平板状の制震部材とを具え、前記制震部材は、平行に配される複数枚の剛性板材が、その間に介在する層状の粘弾性体により接着されて構成されるとともに、前記各剛性板材には、その側端縁部が左右交互に延出した取付片が形成され、前記各剛性板材は、その取付片の少なくとも上下二箇所において取付部に固着されることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、建築物の構造体に取付けられ、地震時等の震動エネルギーを減衰することによって建築物の制震機能を高める耐力フレームに関する。
従来より、建築物の地震時などにおける横揺れを制御してエネルギーを減衰する手段として、横揺れによって周期的に動く可動箇所に粘弾性体を介在させ、この粘弾性体に繰り返し応力を負荷させることによって、震動エネルギーを減衰する制震装置が知られている。
例えば、建築物の梁部材に固定した壁部材の側面と、柱のそれぞれから、相対移動可能に重畳できる動作片を水平方向に突設し、この動作片間に粘性体を一体に介装することにで、地震あるいは風等により建築物に揺れが生じた際、これに伴って発生する構造体同士あるいは動作片同士の相対移動によって生じる粘性体の変形で、震動エネルギーを吸収することにより制震効果を発生させる制震装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この種従来の制震装置は、柱、壁、梁など向き合う建物構造体に、一対の動作片を直接取付けるとともに、動作片の間に粘弾性体を介装して構成するものであることから、装置自体が大型化して、壁厚が大きくなったり、開口部の位置、大きさが制限されるなど平面プランが制約を受けがちであった。また反対にプラン上の制約から制震効果を発揮する上で効果的な位置に装置を設置できない場合も多くあり、制震効果を充分にえることができないという問題がある。また前記のように装置自体が複雑で大型化することから、これを建築物に組込む作業に熟練を要するなど建築の施工性が低下し、更にはメンテナンスにも手間がかかっていた。
本発明の耐力フレームは、外周枠の内側に設けた取付部に、平行に配される複数枚の剛性板材を層状の粘弾性体により接着して構成される制震部材を取付けて構成することを基本とし、建築物の構造体に取付けるだけで、優れた制震性能が発揮され、平面プランなどに制約されることなく、優れた制震性能の建築物を簡単な施工で構築できる耐力フレームの提供を課題としている。
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、建築物の構造体に取付けることにより、構造体の水平耐力を補強する耐力フレームであって、矩形状の外周枠と、この外周枠の内側に設けられた取付部と、平板状の制震部材とを具え、前記制震部材は、平行に配される複数枚の剛性板材が、その間に介在する層状の粘弾性体により接着されて構成されるとともに、前記各剛性板材には、その側端縁部が左右交互に延出した取付片が形成され、前記各剛性板材は、その取付片の少なくとも上下二箇所において取付部に固着されることを特徴とする。
請求項2に係る発明において、前記外周枠は、左右に平行に配された一対の竪枠と、左右の竪枠の上端部間に水平に架け渡された上枠と、左右の竪枠の下端部間に架け渡された下枠と、前記上枠、下枠の中間部の間に取付けられた縦長で、かつ制震部材の面に直行方向に向き合う一対の添え材とを具え、前記一対の添え材は、各々が制震部材の表裏両面に沿って配設されることを特徴とする。
請求項3に係る発明において、前記一対の添え材は、繋ぎ材によって連結され、請求項4に係る発明では、前記外周枠の表面に、パネル面材が張設され、前記添え材とパネル面材との間にスペーサーが介装され、パネル面材に直行する方向への添え材の変形がパネル面材によって抑制されることを特徴とする。
請求項5に係る発明において、前記外周枠は、左右に平行に配された一対の竪枠と、左右の竪枠の上端部間に水平に架け渡された上枠と、左右の竪枠の下端部間に架け渡された下枠と、前記上枠、下枠の中間部の間に取付けられた垂直な中間枠とを具え、前記剛性板材の取付片は、中間枠の表面からなる取付部に固着されることを特徴とする。
請求項6に係る発明では、前記外周枠の表面にパネル面材が張設されるとともに、前記パネル面材の裏面が中間枠によって支持され、請求項7に係る発明では、前記取付部は、制震部材と平行に向き、かつ前記粘弾性体を挟んで向き合う剛性板材の間隙と略同厚の板部材によって形成され、制震部材は、一対の剛性板材が取付部に外挿した状態で取付部に固着されることを特徴とする。
請求項8に係る発明において、前記取付部は、前記竪枠と上枠、又は前記竪枠と下枠とを連結する連結プレートによって形成されることを特徴とする。
請求項1に係る発明においては、地震、或いは風荷重を受けて建築物が横揺れする時、構造体に取付けられた耐力フレームには、揺れに追従して変形が発生する。その結果耐力フレームに固着され、粘弾性体によって接着された複数枚の剛性板材間に相対移動が生じることから、粘弾性体には面方向に沿って、周期的にズレ方向が逆方向に変化する剪断力が発生する。そのため、地震時等、建築物に発生する震動エネルギーが吸収されて減衰し、優れた制震効果が得られる。
特に各剛性板材は、耐力フレームの取付片に対し上下二箇所において固着され、建築物の横揺れに対して、粘弾性体によって接着された複数枚の剛性板材間には、上下方向の相対移動が生じることから、耐力フレームは縦長のものが、納まり良く好適に構成できる。そのため、開口部、出入り口などを避けるため縦長に割り付けられる壁領域に、耐力フレームを支障なく、取付けできる。しかも制震部材を矩形状の外周枠の内側に取付けて構成されることから、建築規模、構造の種類などに応じた個数を建築物の構造体に取付けることによって、必要な制震機能を得ることができるため、施工性に優れるとともに高い精度の制震性能が得られる。
請求項2に係る発明のように、制震部材の表裏両面に沿う添え材を設けると、周期的に方向が替わる剪断力が制震部材に繰り返し作用する際、粘弾性体を挟んで重なった領域が面外に変形しようとしても、添え材によって支持されて変形が阻止されることから、粘弾性体によって規則的な剪断変形が繰り返し発生し、そのため確実なエネルギー吸収効果を発揮でき、優れた制震効果が得られる。
請求項3に係る発明のように、繋ぎ材によって添え材相互を連結すると、双方の添え板が協働して制震部材の面外への変形を確実に阻止できる。また請求項4に係る発明のように、添え材とパネル面材との間にスペーサーを介装して、パネル面材に直行する方向への添え材の変形をパネル面材によって抑制できるように構成すると、制震部材の剪断変形がより確実に支持されることから、優れた制震効果を発揮できる。
請求項5に係る発明のように、剛性板材の取付片を、前記上枠、下枠の中間部の間に取付けられた垂直な中間枠の表面からなる取付部に固着して構成すると、外周枠内側の中間枠によって分割した各領域に、小割りの制震部材を取り付けることにより、複数に分割された小面積の制震部材が協働して、その結果全体として複合して安定した制震能力が発揮できる。
請求項6に係る発明のように、パネル面材の裏面を、中間枠によって支持するように構成すると、パネル面材の反り、割れなどの変形を有効に防止できるとともに、中間枠の方もパネル面材によって支持補強されることから、剛性板材の剪断変形を一層確実に支持できる。
請求項7に係る発明のように、制震部材と平行に向き、かつ前記粘弾性体を挟んで向き合う剛性板材の間隙と略同厚の板部材によって取付部を形成するとともに、制震部材を一対の剛性板材が取付部に外挿した状態で取付部に固着すると、制震部材を安定して取付けできるため、取り付け部の緩みによる振動なども防止されるとともに、安定した制震効果が得られる。
請求項8に係る発明のように、前記竪枠と上枠、又は前記竪枠と下枠とを連結する連結プレートによって取付部を形成すると、制震部材の取付強度が安定するとともに、部品点数が減少することから合理的な構造となる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1に示すように、耐力フレーム1は、矩形状の外周枠3と、この外周枠3の内側に設けられた取付部4と、外周枠3の内側で取付部4に固着される制震部材5とを具える。
前記外周枠3は、本形態では、左右に平行に配された一対の竪枠9、9と、この竪枠9、9の上端部間に水平に架け渡された上枠10と、竪枠9、9の下端部間に架け渡された下枠11と、上枠10、下枠11の中間部分、本形態では中央部の間に取付けられた垂直な中間枠16とからなる。本形態の竪枠9、上枠10及び下枠11は、角鋼管を用いて構成される。
また竪枠9の上端部、及び上枠10の側端部に、垂直方向のスリットが形成されるとともに、双方のスリットに鋼板を用いた連結プレート17が挿入されるとともに溶接で一体化される。このように連結プレート17を介して竪枠9と上枠10とが連結される。本形態では、この連結プレート17の外周枠3の内側に張り出した領域によって取付部4が形成される。更には竪枠9及び連結プレート17の上部に、上向きの螺孔21を有する水平な固着板22が溶着される。
竪枠9の下端部と下枠11の側端部との間も、同様にして連結プレート17を介して連結され、連結プレート17の外周枠3の内側領域によって取付部4が形成される。そして竪枠9及び連結プレート17の下部には、下向きの取付孔(図示せず)を設けた固着ボックス23が溶着されている。
また本形態では図2に示すように、竪枠9を上下方向に三等分する高さに、前記上下の連結プレート17に並ぶ二段の中間プレート24が溶着され、この中間プレート24によって中間の取付部4が形成される。このように本形態では、連結プレート17の外周枠3の内側の領域からなる取付部4と、前記中間の取付部4と、更に前記中間枠16の表面で形成される取付部4とを含んで、合計3種類の取付部4が形成される。
前記制震部材5は図4に示すように、平行に配置された複数枚(本形態では3枚)の剛性板材6によって構成される。各々の剛性板材6の間には、層状をなす粘弾性体7が介在し、この粘弾性体7によって剛性板材6相互が接着され、全体として平板状を構成する。また各剛性板材6は千鳥状に左右に位置ズレして配置することにより、その側縁端部が交互に側方へ延出している。このように剛性板材6が左右に延出した領域によって、取付片8が形成されている。
剛性板材6は、厚さが例えば、0.5〜10.0mm程度、好ましくは1.5〜5.0mm、本形態では2.3mmの炭素鋼板が用いられる。この他ステンレス鋼、合金鋼を含む鉄鋼材料、或いはアルミニウム、真鍮、銅、チタンなどの金属材料、純アルミに銅、マンガン、ケイ素、マグネシウムなどを添加したアルミニウム合金、純マグネシウムにアルミニウム、亜鉛、けい素、マンガンなど添加したマグネシウム合金、チタン合金などの軽量合金を用いることもできる。
前記粘弾性体7は、予め均一な厚さに成形され、かつ両面に粘着剤が塗布されたシート体を用いると、制震部材5組立の作業性、及び寸法精度など品質安定の上で好ましい。粘弾性体7の厚さは、例えば、0.5〜10.0mm程度、好ましくは1.0〜5.0mm、本形態では2.0mmとしている。粘弾性体7としては、例えばアスファルトとゴムとの混合物、天然ゴム、合成ゴム、軟質樹脂、シリコン系粘性体などを好適に用いることができる。
図4に示すように本形態の制震部材5は、3枚の剛性板材6を積層して構成され、従って、一方の側部に小間隙を隔てて向き合うダブルの取付片8、8が形成され、反対側にはシングルの取付片8を形成している。しかも前記制震部材5の横幅は、外周枠3の竪枠9と中間枠16の間隔と略同じ大きさに形成される。このように構成された制震部材5は図1、3に示すように、前記シングルの取付片8側を前記中間枠16側に向けた状態で、前記外周枠3の左右の竪枠9と中間枠16との間に各々上下3枚を連続的に配置している。そして前記シングルの取付片8は、中間枠16の表面からなる取付部4に重ねるとともに、上下二箇所において、ボルトナットからなる固着具26を用いて取付部4に固着している。尚取付片8を均等間隔の三箇所以上で固着すると、一層強度が安定化する点で好ましい。
図3に示すように前記連結プレート17及び中間プレート24からなる取付部4は、粘弾性体7を挟んで向き合う剛性板材6の間隙、即ちその先端で形成される前記ダブルの取付片8、8の間隙と略同厚の板部材を用いて構成される。従って、制震部材5のダブルの取付片8、8は、連結プレート17、又は中間プレート24からなる取付部4に外挿し、その状態でボルトナットからなる固着具27によって上下二箇所において固着される。このように、制震部材5を構成する剛性板材6の端縁部よりなるダブルの取付片8、8が、取付部4に外挿固着されることから、取付箇所に緩みを生じることなく安定して取付られ、従って振動発生も防止されるとともに安定した制震効果が得られる。更には、取付片8を均等間隔の三箇所以上で固着することも良い。
また連結プレート17からなる取付部4は、竪枠9と上枠10、又は竪枠9と下枠11とを連結する連結プレートの外周枠3内部の領域によって形成されることから、各部材が一体化して接合され、その結果制震部材5の取付強度が安定すると共に、部品数が減少して構造を合理化しうる点で好ましい。また前記の如く、外周枠3の内側を中間枠16によって分割した各領域に、小割りに分割された制震部材5を取付けると、複数に分割された小面積の制震部材5の協働によって、安定した制震効果が発揮できる。
また本形態の耐力フレーム1は、縦長の外周枠3の内側に縦長の制震部材5を配置して構成している。そのため大きな振幅の横揺れに対しても、粘弾性体7の上下方向の相対移動は、制震部材の横/縦の比率に比例して減少する。従って振幅の大きな横揺れに対しても、粘弾性体7の変形許容範囲内で剪断変形することから、大地震に対しても安定した制震性能を発揮できる。また粘弾性体7の上下方向の相対移動が、揺れの振幅に比して小さく設定されることから、粘弾性係数の異なる多種類の粘弾性体7の中から最適特性のものを採用でき、その結果建築物毎に固有の耐震動特性に応じた耐震設計を容易になしうる点で好ましい。
本形態では図3に示すように、外周枠3の両側の表面にパネル面材14を張設している。このパネル面材14は、外周枠3と略同大の矩形状をなし、外周枠3の外側面に沿って配される木製の縦桟28とともに外周枠3に対し固着される。このパネル面材14は、石膏ボードの他、ケイ酸カルシウム板、フレキシブルボードなどの窯業系ボード、合板、木毛セメント板、木片セメント板などの木質系ボードが用いられる。更にこのパネル面材14の裏面が、スペーサー29を介して前記中間枠16に支持される。前記スペーサー29は中間枠16とパネル面材14の間隙に挿入される大きさを有し、中間枠16及びパネル面材14の双方に対して接着剤などを用いて固着される。このように中間枠16によって裏面を支持することによって、パネル面材14の反り、割れなどの変形を有効に防止できるとともに、中間枠16自体がパネル面材14によって支持補強されることから、剛性板材6の剪断変形を一層確実に支持できる点で好ましい。
このように構成された耐力フレーム1は、図1に示すように、竪枠9下部の固着ボックス23を布基礎30に埋設されたアンカーボルト31に取付けるとともに、竪枠9上部の固着板22を建築物の構造体2を構成する梁32に取付けることにより、構造体2に固着され、この構造体2の水平耐力を補強する。即ち、地震時などに建築物の横揺れに伴って生じる耐力フレーム1の変形によって、粘弾性体7を介して接着積層された複数枚の剛性板材6間に相対移動が生じる。この動きにより、粘弾性体7には面方向に沿って、周期的にズレ方向が入れ替わる剪断力が発生するため、地震時等、建築物に発生する震動エネルギーが吸収されて減衰し、優れた制震効果が得られる。
前記の如く各剛性板材6は、外周枠3の取付片8に対し少なくとも上下の二箇所において固着されることによって、建築物の横揺れに対し、粘弾性体7を介して接着された複数枚の剛性板材6の間に、上下方向の相対移動が生じることから、耐力フレーム1自体は縦長のものが好適に構成される。その結果、開口部、出入り口などを避けるため縦長に割り付けられる建築物の壁領域に、耐力フレーム1を支障なく取付けることができる。しかも制震部材5が矩形状の外周枠3の内側に取付けて構成されることから、建築規模、構造の種類などに応じた個数の耐力フレーム1を建築物の構造体2の適宜位置に取付けることによって、必要な制震機能を得ることができることから、信頼性が高い制震性能が得られるとともに施工性に優れる。
図5、6は他の実施形態を例示している。以下異なる内容について説明し、それ以外は図中に表れた主要構成に同じ符号を付すだけとする。外周枠3は前記同様、一対の竪枠9、上枠10、下枠11を矩形状に枠組みしている。しかし本形態では、上枠10の下面、下枠11の上面から外周枠3内側へ互いに向き合ってのびる内フランジ33を有する。また一方の竪枠9は前記同様、連結プレート17の外周枠3の内側領域によって形成された取付部4と、2つの中間プレート24からなる取付部4を設けているが、他方の竪枠9には、上下に亘り連続して外周枠3の内側へ向いてのびる側フランジ34からなる取付部4を設けている。
更に前記上下の内フランジ33の中間部(本形態では中央部)の間に縦にのびる一対の添え材12が取付けられる。この添え材12は図5、7に示すように、略長板状をなし、両側部が外側へ90度小さく折れ曲がった小フランジを有して断面略コ字状をなす。そして、一対の添え材12の間には、小間隙を設けて取付けられる。
図8に示すように本形態の制震部材5は前記同様、千鳥状に左右へ位置ズレしつつ平行に配置された3枚の剛性板材6を層状の粘弾性体7で接着して構成している。但し本形態の制震部材5は、その幅寸法が外周枠3の竪枠9間の幅と略同じ大きさに形成される。このように構成された制震部材5は、外周枠3の内側に上下に3枚が小間隔を隔てて配置される。そして、各々の制震部材5は、ダブルの取付片8、8を連結プレート17、中間プレート24からなる取付部4に外挿し、その状態でボルトナットからなる固着具27によって上下二箇所において固着している。他方シングルの取付片8は、前記側フランジ34からなる取付部4に重ねるとともに、上下二箇所において、ボルトナットからなる固着具26を用いて取付部4に固着している。
このように固着された制震部材5は、剛性板材6が前記粘弾性体7を介して重なっている領域が、前記添え材12の小間隙内に内挿される。従って、制震部材5の表面に対し、直行方向に向き合う一対の添え材12の各々が、制震部材5の表裏両面に沿うことにより、制震部材5が表側から支持される。このように地震時に周期的に方向が替わる剪断力が制震部材5に繰り返し作用することにより、粘弾性体7を挟んで重なった領域が面外に変形しようとしても、一対の添え材12によって両表面から支持されるため、面外への変形が阻止される。その結果、粘弾性体7における剪断変形が繰り返し規則的に発生するため、エネルギー吸収効果が最大限発揮され、信頼性の高い優れた制震効果が得られる。
図6に示すように本形態では、一対の添え材12、12は、制震部材5間の小間隔を通る繋ぎ材13によって連結される。本形態の繋ぎ材13は、添え材12を挿通するボルト及びナットを用いて構成される。このように繋ぎ材13によって添え材12を連結すると、双方の添え材12が協働して制震部材5の面外への変形を確実に阻止できる点で好ましい。
また本形態では、添え材12とパネル面材14との間に、スペーサー15が介装される。このスペーサー15は、合板、パーティクルボード、インシュレーションボード、MDF(中密度繊維板)などの木質加工板材、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、発泡フェノールなどの発泡樹脂その他を好適に用いることができる。これらスペーサー15は、添え材12に接着して固定されているが、併せてパネル面材14の裏面にも接着してよい。このように添え材12とパネル面材14との間にスペーサー15を介装し、パネル面材14に直行する方向への添え材12の変形をパネル面材14によって抑制できるように構成すると、地震時の制震部材5の剪断変形がより確実に支持されて、信頼性に優れた制震効果を発揮できる点で好ましい。
尚、叙上の説明は本発明の実施の形態を例示したものである。従って本発明の技術的範囲はこれに何ら限定されるものではなく、前記した実施の形態の他にも、各種の変形例が含まれる。
1 耐力フレーム
2 構造体
3 外周枠
4 取付部
5 制震部材
6 剛性板材
7 粘弾性体
8 取付片
9 竪枠
10 上枠
11 下枠
12 添え材
13 繋ぎ材
14 パネル面材
15 スペーサー
16 中間枠
17 連結プレート
2 構造体
3 外周枠
4 取付部
5 制震部材
6 剛性板材
7 粘弾性体
8 取付片
9 竪枠
10 上枠
11 下枠
12 添え材
13 繋ぎ材
14 パネル面材
15 スペーサー
16 中間枠
17 連結プレート
Claims (8)
- 建築物の構造体に取付けることにより、構造体の水平耐力を補強する耐力フレームであって、
矩形状の外周枠と、この外周枠の内側に設けられた取付部と、平板状の制震部材とを具え、
前記制震部材は、平行に配される複数枚の剛性板材が、その間に介在する層状の粘弾性体により接着されて構成されるとともに、前記各剛性板材には、その側端縁部が左右交互に延出した取付片が形成され、
前記各剛性板材は、その取付片の少なくとも上下二箇所において取付部に固着されることを特徴とする耐力フレーム。 - 前記外周枠は、左右に平行に配された一対の竪枠と、左右の竪枠の上端部間に水平に架け渡された上枠と、左右の竪枠の下端部間に架け渡された下枠と、前記上枠、下枠の中間部の間に取付けられた縦長で、かつ制震部材の面に直行方向に向き合う一対の添え材とを具え、
前記一対の添え材は、各々が制震部材の表裏両面に沿って配設されることを特徴とする請求項1記載の耐力フレーム。 - 前記一対の添え材は、繋ぎ材によって連結されることを特徴とする請求項2記載の耐力フレーム。
- 前記外周枠の表面に、パネル面材が張設され、
前記添え材とパネル面材との間にスペーサーが介装され、パネル面材に直行する方向への添え材の変形がパネル面材によって抑制されることを特徴とする請求項2又は3記載の耐力フレーム。 - 前記外周枠は、左右に平行に配された一対の竪枠と、左右の竪枠の上端部間に水平に架け渡された上枠と、左右の竪枠の下端部間に架け渡された下枠と、前記上枠、下枠の中間部の間に取付けられた垂直な中間枠とを具え、
前記剛性板材の取付片は、中間枠の表面からなる取付部に固着されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐力フレーム。 - 前記外周枠の表面に、パネル面材が張設され、
前記パネル面材の裏面が、中間枠によって支持されることを特徴とする請求項5記載の耐力フレーム。 - 前記取付部は、制震部材と平行に向き、かつ前記粘弾性体を挟んで向き合う剛性板材の間隙と略同厚の板部材によって形成され、
制震部材は、一対の剛性板材が取付部に外挿した状態で取付部に固着されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐力フレーム。 - 前記取付部は、前記竪枠と上枠、又は前記竪枠と下枠とを連結する連結プレートによって形成されることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の耐力フレーム。
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