JP2008081615A - 平版インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】黄インキ、紅インキ、及び藍インキのうちいずれか2つ又は3つ、ならびに墨インキを使用する平版印刷において、黄、紅、藍の3色がジスアゾイエロー系化合物を顔料成分とする黄インキと、ローダミン系染料の金属レーキ化合物を顔料成分とする紅インキと、フタロシアニン系化合物を顔料成分とする藍インキとの組み合わせからなる平版インキ組成物。
【選択図】なし
Description
しかし、現在主流となっている黄、紅、藍、墨のプロセス4色(CMYK)からなる平版オフセット印刷では、減色混合による色相となるため、色を重ねるごとに色相に濁りが生じ、必然的に色再現領域がRGBのそれよりも狭いものとなりデジタルデータと印刷物との間の色再現性の差異が問題となっていった。特に、印刷の最終色として印刷されることが一般的な黄インキが不透明であると黄かぶり現象を起こし、下刷りのインキ各色へ与える影響が大きい為、黄インキはできる限り透明であることが望ましく、他の色と刷り重ねた時に、濁りのない二次色、三次色が得られることが望ましい。
これらを解決する手段として、特許文献1では高彩度の印刷システムとして5〜7色のインキセットを使用する印刷方法が確立され、それぞれの特定した色相を持つインキセットを用いる印刷方法として、プロセス4色に橙、緑を加えた6色(ヘキサクロム印刷)やプロセス4色に橙、緑、紫を加えた7色(ハイファイ印刷)等が確立されている。また、ヘキサクロムインキに代表されるように、二次色、三次色の濁りを抑え、色再現領域を広げる手段として一部の色に蛍光顔料を含有させる等の手法もとられるが、印刷適性の劣化(転移不良、光沢低下等)や耐光性不足による印刷物の褪色等のデメリットもある。更に、使用するインキの色数が6色、7色となり、印刷機の胴数が6胴以上の高価な多色印刷機を必要とする事に加え、それと同数の多色分解した版数が必須条件となり、新たに始めるには巨額な設備投資と、色調管理の複雑化などで本システムを用いるには限られた範囲に止まっている。
すなわち本発明は、黄、紅、藍、墨のプロセス4色からなる平版印刷用インキ組成物において、黄、紅、藍の3色がジスアゾイエロー系化合物を顔料成分とする黄インキと、顔料成分としてC.I.ピグメントレッド169を含有する紅インキと、フタロシアニン系化合物を顔料成分とする藍インキとの組み合わせからなる平版インキ組成物に関するものである。
さらに、上記紅インキとしてC.I.ピグメントレッド169を含有することを特徴とし、これら(a)黄、(b)紅、(c)藍が、下記の反射率を有する上記印刷インキ組成物に関する。
(a)400nm〜700nmの波長領域において、最大反射率を100%としたときに、400nm〜480nmの波長領域が1〜20%、530nm〜700nmの波長領域での反射率が90〜100%の反射スペクトルを有することを特徴とする黄色相化合物をインキの全重量に対して5〜15重量%含有する黄インキ。
(c)400nm〜700nmの波長領域において、最大反射率を100%としたときに、400nm〜530nmの波長領域の反射率が50〜100%、600nm〜700nmの反射率が1〜30%の反射スペクトルを有することを特徴とする藍色相化合物をインキの全重量に対して10〜25重量%含有する藍インキ。
本発明は、顔料と、合成樹脂、植物油、石油系溶剤とを必要に応じてステアリン酸アルミニウム、アルミキレート等のゲル化剤と共に加熱溶解したビヒクル成分と、耐摩擦剤等の補助剤とからなる黄、紅、藍、墨の4色からなる平版インキであって、ISO規格のジャパンカラー標準用紙、例えば三菱製紙(株)製「特菱アート両面四六版/110kg」に印刷し、黄、紅、藍の各色をグレタグマクベスD196濃度計にて測定した際の濃度値が、黄が1.40〜1.44、紅が1.52〜1.56、藍が1.63〜1.67の範囲内であるときに単色及び各単色の刷り重ねのL*a*b*表色系による色度(JIS Z 8729)が、黄インキで、L*:87〜95、好ましくは88〜93、a*:−4〜−12、好ましくは−5〜−10、b*:90〜100、好ましくは92〜98、紅インキで、L*:50〜55、好ましくは51〜54、a*:75〜83、好ましくは76〜81、b*:−14〜−20、好ましくは−15〜−18、藍インキで、L*:52〜58、好ましくは52〜57、a*:−40〜−45、好ましくは−41〜−44、b*:−45〜−53、好ましくは−46〜−51、更には、紅インキ×黄インキの刷り重ねで、L*:51〜56、a*:65〜70、b*:56〜61、藍インキ×黄インキの刷り重ねで、L*:47〜53、a*:−77〜−83、b*:25〜32、藍インキ×紅インキの刷り重ねで、L*:23〜29、a*:28〜33、b*:−63〜−68の範囲内になることを特徴とする。
L*a*b*表色系では、色相に関係なく比較できる明るさの度合いとして「明度」をL*で表現し、L*が大きくなるほど色が明るく、小さくなるほど暗くなることを示している。また、各色によって異なる「色相」をa*、b*の値で示し、a*は赤(+)から緑(−)方向、そしてb*は黄(+)から青(−)方向を示し、各方向とも絶対値が大きくなるに従って色鮮やかになり、0に近づくに従ってくすんだ色になることを示している。これによって一つの色を、L*、a*、b*を用いて数値化することが可能となる。また「明度」「色相」とは別に、鮮やかさの度合いを数値化する方法として「彩度(C)」があり、以下の計算式にて求めることができる。
本発明で使用される黄インキに関し、濃度値1.85〜1.90の範囲内で印刷した墨インキ上に、濃度1.40〜2.10の範囲で刷り重ねした場合のL*値が17を超えない透明性を有していれば、二次色、三次色の重ね刷りをした際の下刷りインキへの影響が少なく、良好な色再現領域を得ることができる。更には、補色としてC.I.ピグメントイエロー83を上記黄顔料の0.5〜10重量%、好ましくは2〜5重量%加えて使用することも可能である。
ロジン変性フェノール樹脂の製造例
撹拌機、冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコにP−オクチルフェノール1000部、35%ホルマリン850部、93%水酸化ナトリウム60部、トルエン1000部を加えて、90℃で6時間反応させた。その後6N塩酸125部、水道水1000部の塩酸溶液を添加し、撹拌、静置し、上層部を取り出し、不揮発分49%のレゾールタイプフェノール樹脂のトルエン溶液2000部を得て、これをレゾール液とした。
撹拌機、水分分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、ガムロジン1000部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃で溶解し、上記で製造したレゾール液1800部を添加し、トルエンを除去しながら230℃で4時間反応させた後、グリセリン110部を仕込み、260℃で10時間反応させ、酸価20以下として、重量平均分子量50000、新日本石油化学(株)AFソルベント6号での白濁温度90℃のロジン変性フェノール樹脂を得た。
ワニス製造例
ロジン変性フェノール樹脂45部、大豆油40部、AFソルベント6号(新日本石油化学(株)製
溶剤)14部、ALCH(川研ファインケミカル(株)製ゲル化剤)1.0部を190℃で1時間
加熱撹拌して、ワニスを得た。
インキ実施例(黄インキ)
表1のような配合にてC.I.ピグメントイエロー12(東洋インキ製造(株)製LIONOL YELLOW 1235−P)をニーダー中で温度75℃の条件下、ワニスを徐々に添加して混練して一次脱水を行った。次にニーダー温度100℃〜120℃、減圧度76mmHgの条件下で1時間バキュームし、ベースインキ中の水分を0.5%以下になるように二次脱水を行った。脱水後、残りのワニス、石油系溶剤を添加して混練して希釈し、ニーダーより未分散ベースインキを取り出した。取り出したベースインキをロール温度60℃の3本ロールを用いて、分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで練肉し、黄のベースインキ1を得た。次いで、ベースインキ1に対して、表2の配合でワニス、植物油、石油系溶剤、コンパウンド、金属ドライヤー、乾燥抑制剤を添加し黄インキ1を得た。
インキ実施例(紅インキ)
黄インキと同様に、表1の配合にてC.I.ピグメントレッド81(不二化成(株)製ファナルローズRNN−P)を用い、紅のベースインキ2を得た。次いで、ベースインキ2に対して、表2の配合で植物油、石油系溶剤、コンパウンド、金属ドライヤー、乾燥抑制剤を添加し紅インキ2を得た。
インキ実施例(紅インキ)
表1の配合にてC.I.ピグメントレッド169(BASF製FanalPink D 4810)をワニス、石油系溶剤と混合し、分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで練肉、紅のベースインキ3を得た。次いで、このベースインキ3に対して、表2の配合で植物油、石油系溶剤、コンパウンド、金属ドライヤー、乾燥抑制剤を添加し紅インキ3を得た。
インキ実施例(紅インキ)
表1の配合にて作成したベースインキ2及びベースインキ3を表2の配合にて混合後、更に植物油、石油系溶剤、コンパウンド、金属ドライヤー、乾燥抑制剤を添加し紅インキ4を得た。
インキ実施例(藍インキ)
表1の配合にて、C.I.ピグメントブルー15:3(東洋インキ製造(株)製LIONOL BLUE GLA−SD)をワニス、石油系溶剤と混合し、分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで練肉、藍のベースインキ4を得た。また、別途表1の配合にてC.I.ピグメントグリーン7(東洋インキ製造(株)製LIONOL GREEN YS−2A)をワニス、石油系溶剤と混合し、分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで練肉したベースインキ5を用い、表2の配合にて上記藍ベースインキ4とベースインキ5とを混合後、更に植物油、石油系溶剤、コンパウンド、金属ドライヤー、乾燥抑制剤を添加し、藍インキ5を得た。
インキ比較例(黄インキ)
表1のような配合にてC.I.ピグメントイエロー12(東洋インキ製造(株)製LIONOL YELLOW 1229−P)をニーダー中で温度75℃の条件下、ワニスを徐々に添加して混練して一次脱水を行った。次にニーダー温度100℃〜120℃、減圧度76mmHgの条件下で1時間バキュームし、ベースインキ中の水分を0.5%以下になるように二次脱水を行った。脱水後、残りのワニス、石油系溶剤を添加して混練して希釈し、ニーダーより未分散ベースインキを取り出した。取り出したベースインキをロール温度60℃の3本ロールを用いて、分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで練肉し、黄のベースインキ6を得た。次いで、ベースインキ6に対して、表2の配合でワニス、植物油、石油系溶剤、コンパウンド、金属ドライヤー、乾燥抑制剤を添加し黄インキ6を得た。
インキ比較例(紅インキ)
黄インキと同様に、表1の配合にてC.I.ピグメントレッド57:1(東洋インキ製造(株)製LIONOL RED 6B 4240−P)を用い、紅のベースインキ7を得た。次いで、ベースインキ7に対して、表2の配合で植物油、石油系溶剤、コンパウンド、金属ドライヤー、乾燥抑制剤を添加し紅インキ7を得た。
黄インキの透明性の評価については、以下の試験法で評価した。
実施例の黄インキは、濃度値を2.20まで上げてもL*が17を越えず、下刷りの墨インキに影響を与え難く、透明性に優れているといえる(L*は値が小さいほど黒く、大きくなるほど白くなることを示している)。
一方、比較例はL*が高く、上刷りの黄インキが不透明であるために下刷りの墨インキの黒さを阻害してしまっていることがわかる。
印刷評価試験
上記実施例及び比較例のインキについて、下記印刷条件の下、黄、紅、藍の各ベタ濃度値を、黄:1.40〜1.44、紅:1.52〜1.56、藍:1.63〜1.67の範囲内で印刷し、印刷物の評価を実施した。尚、墨インキは、一般的な酸化重合型平版印刷インキを使用し、濃度値1.85〜1.90の範囲内で印刷した。
印刷機 :ハイデルベルグスピードマスター 菊全4色機(ハイデルベルグジャパン(株))
用紙 :特菱アート両面 110Kg(三菱製紙(株))
湿し水 :アストロマーク3((株)日研化学研究所)2.0%水道水溶液
印刷速度:10000枚/時
印刷物測定条件
濃度 :グレタグマクベスD196にて印刷物の単色(黄、紅、藍、墨)ベタ部の濃度値を測定
測色 :X−Rite938にて印刷物の単色ベタ部(黄、紅、藍)、及び、単色ベタ刷 り重ね部(黄×紅、紅×藍、藍×黄)のL*、a*、b*値を測定。
結果を表3に示す。比較例と比べて実施例1、2及び3ともC値が大きく、印刷物の彩度が高い。また、a*を横軸、b*縦軸とした2次元空間に、各a*、b*値をプロットし、2次元のガモットで比較した結果、実施例1、2及び3の色再現領域が広いことがわかる(表5)。
Claims (6)
- 黄インキ、紅インキ、及び藍インキのうちいずれか2つ又は3つ、ならびに墨インキを使用する平版印刷において、黄、紅、藍の3色がジスアゾイエロー系化合物を顔料成分とする黄インキと、顔料成分としてC.I.ピグメントレッド169を含有する紅インキと、フタロシアニン系化合物を顔料成分とする藍インキとの組み合わせからなる平版インキ組成物。
- ジスアゾイエロー系化合物として、C.I.ピグメントイエロー12またはC.Iピグメントイエロー13をインキの全重量に対して5〜15重量%含有し、濃度値1.85〜1.90の墨インキ上に濃度1.40〜2.10の範囲で刷り重ねた場合のL*値が17を超えない透明性を有する請求項1記載の黄インキ。
- 請求項1記載の紅インキにさらに、C.I.ピグメントレッド81またはC.Iピグメントバイオレット1をインキの全重量に対して15〜30重量%含有する請求項1記載の紅インキ。
- フタロシアニン系化合物として、C.I.ピグメントブルー15:3またはC.I.ピグメントブルー15:4をインキの全重量に対して10〜25重量%且つ、C.I.ピグメントグリーン7をインキの全重量に対して0.5〜2.0重量%含有する請求項1記載の藍インキ。
- C.I.ピグメントブルー15:3またはC.I.ピグメントブルー15:4の比表面積が74m2/g以上の請求項4記載の藍インキ。
- 黄インキ、紅インキ、及び藍インキのうちいずれか2つ又は3つ、ならびに墨インキを使用する平版印刷において、紅インキとしてC.I.ピグメントレッド169を含有することを特徴とし、(a)黄、(b)紅、(c)藍の反射率が、下記であることを特徴とする、請求項1の平版インキ組成物。
(a)400nm〜700nmの波長領域において、最大反射率を100%としたときに、400nm〜480nmの波長領域が1〜20%、530nm〜700nmの波長領域での反射率が90〜100%の反射スペクトルを有することを特徴とする黄色相化合物をインキの全重量に対して5〜15重量%含有する黄インキ。
(b)400nm〜700nmの波長領域において、最大反射率を100%としたときに、400nm〜500nmの波長領域での最大反射率が50%〜100%、500nm〜560nmの波長領域での反射率が1〜20%、630nm〜700nmの反射率が90%〜100%の反射スペクトルを有することを特徴とする紅色相化合物をインキの全重量に対して15〜30重量%含有する紅インキ。
(c)400nm〜700nmの波長領域において、最大反射率を100%としたときに、400nm〜530nmの波長領域の反射率が50〜100%、600nm〜700nmの反射率が1〜30%の反射スペクトルを有することを特徴とする藍色相化合物をインキの全重量に対して10〜25重量%含有する藍インキ。
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