JP2008081611A - オフセットインキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】黄、紅、藍、墨プロセス4色で表現するRGBの色再現領域が広い浸透乾燥型の印刷インキを提供する。
【解決手段】プロセス4色からなる、黄、紅、藍、墨のオフセットインキ組成物の(a)黄インキ、(b)紅インキ、(c)藍インキの3色が以下の分光反射率曲線を有する。400〜700nmの波長領域において最大反射率を100%とした場合、(a)波長領域400〜480nmの反射率が1〜20%であり、波長領域530〜700nmの反射率が90〜100%である黄インキ。(b)波長領域400〜500nmの最大反射率が50〜100%であり、波長領域500〜560nmの反射率が1〜20%であり、波長領域630〜700nmの反射率が90%〜100%である紅インキ。(c)波長領域400〜530nmの反射率が50〜100%であり、波長領域600〜700nmの反射率が1〜30%である藍インキ。
【選択図】なし

Description

本発明は、黄、紅、藍、墨のプロセス4色からなるオフセットインキ組成物であって、4色で高彩度の色再現性に優れたオフセットインキ組成物に関する。
90年代より始まったIT革命は、印刷現場を取り巻く環境を著しくデジタル化の方向へと導いてきており、このデジタル化によって、従来の印刷方式のワークフロー(撮影・ポジ・スキャン・データ・デザイン・EPS・面付け・フィルム・刷版・印刷)が多段階式過程であったのに対し、デジタルカメラによる撮影・DTP・CTP・印刷とその過程を飛躍的に短縮することに成功した。それによって、入稿データの「RGB」化が標準化しつつあり、取り扱われるデータがより色再現領域の広いものへとシフトしつつあるのが現状である。しかし、現在主流となっている黄、紅、藍、墨のプロセス4色(CMYK)からなる平版オフセット印刷では、減色混合による色相となるため、色を重ねるごとに色相に濁りが生じ、必然的に色再現領域がRGBのそれよりも狭いものとなりデジタルデータと印刷物との間の色再現性の差異が問題となっていった。
特に浸透乾燥型インキを用いる更紙用印刷(特に新聞印刷)においては、用紙の白色度、平滑性の問題があり、コート紙用印刷よりも、更に色再現領域が狭くなり、デジタルデータからの見本印刷物との色再現性の差異が非常に問題となってしまう。
また、印刷の最終色として印刷されることが一般的な黄インキが不透明であると黄かぶり現象を起こし、下刷りのインキ各色へ与える影響が大きい為、黄インキはできる限り透明であることが望ましく、他の色と刷り重ねた時に、濁りのない二次色、三次色が得られることが望ましい。
これを解決する手段として、特許文献1では高彩度の印刷システムとして5〜7色のインキセットを使用する印刷方法が確立され、それぞれの特定した色相を持つインキセットを用いる印刷方法として、プロセス4色に橙、緑を加えた6色(ヘキサクロム印刷)やプロセス4色に橙、緑、紫を加えた7色(ハイファイ印刷)等が確立されている。また、ヘキサクロムインキに代表されるように、色再現領域を広げる手段として一部の色に蛍光顔料を含有させる等の手法もとられるが、印刷適性の劣化(転移不良、光沢低下等)や耐光性不足による印刷物の褪色等のデメリットもある。更に、使用するインキの色数が6色、7色となり、印刷機の胴数が6胴以上の高価な多色印刷機を必要とする事に加え、それと同数の多色分解した版数が必須条件となり、新たに始めるには巨額な設備投資と、色調管理の複雑化などで本システムを用いるには限られた範囲に止まっている。
特開2001−260516号公報
本発明は、このような従来の技術における問題点を解決する為になされたものであり、その課題とするところは、従来多く普及している4色印刷機を用いて、RGBの色再現領域を限りなく表現することができる、黄、紅、藍、墨のプロセス4色からなるオフセットインキを提供する事である。
すなわち本発明は、黄、紅、藍、墨のプロセス4色からなるオフセット印刷用インキ組成物において、黄、紅、藍の3色がジスアゾイエロー系化合物を顔料成分とする黄インキと、ローダミン系染料の金属レーキ化合物を顔料成分とする紅インキと、フタロシアニン系化合物を顔料成分とする藍インキとの組み合わせからなるオフセットインキ組成物に関するものである。
一般的に、色再現領域を広げるためには、各色の理想的な分光反射率曲線に近づける必要がある。
すなわち、人が色を認識する波長領域は400nm〜700nmの光(この波長を可視光線という)において、黄インキでは、500nm〜700nmの波長領域での反射率が100%、400nm〜500nmの波長領域での反射率が0%であり、紅インキでは、400nm〜500nm、600nm〜700nmの波長領域での反射率が100%、500nm〜600nmの波長領域での反射率が0%であり、藍インキでは、400nm〜600nmの波長領域での反射率が100%、600nm〜700nmの波長領域での反射率が0%であることが理想であると言われている(理想のプロセスインキの分光反射率曲線を表4に示す)。
しかし、現状使用されているプロセス4色からなる、黄、紅、藍、墨のオフセット印刷用インキ組成物の反射スペクトルは理想の反射スペクトルとはかけ離れている。完全反射しなければならない部分での不必要吸収があるためにインキの濁り成分が存在し、色再現性を狭めている。
本発明のプロセス4色からなる、黄、紅、藍、墨のオフセット印刷用インキ組成物の(a)黄インキ、(b)紅、(c)藍の3色が以下の分光反射率曲線を有することで、理想のプロセスインキの分光反射曲線に近づけている。
(a)400nm〜700nmの波長領域において最大反射率を100%とした場合に、400nm〜480nmの波長領域の反射率が1〜20%であり、530nm〜700nmの波長領域の反射率が90〜100%である黄インキ。
(b)400nm〜700nmの波長領域において最大反射率を100%とした場合に、400nm〜500nmの波長領域の最大反射率が50%〜100%であり、500nm〜560nmの波長領域の反射率が1〜20%であり、630nm〜700nmの波長領域の反射率が90%〜100%である紅インキ。
(c)400nm〜700nmの波長領域において最大反射率を100%とし場合に、400nm〜530nmの波長領域の反射率が50〜100%であり、600nm〜700nmの波長領域の反射率が1〜30%である藍インキ。
これらの、黄、紅、藍の顔料としては、ジスアゾイエロー系化合物を顔料成分とする黄顔料と、ローダミン系染料の金属レーキ化合物を顔料成分とする紅顔料と、フタロシアニン系化合物を顔料成分とする藍顔料であって、ジスアゾイエロー系化合物として、C.I.ピグメントイエロー12またはC.Iピグメントイエロー13を5〜15%含有し、ISO規格の新聞ジャパンカラー標準用紙に印刷した濃度値1.10〜1.20の墨インキ上に0.85〜0.91の範囲で刷り重ねた場合のL*値が31を越えない透明性を有する上記記載の黄インキに関する。
また、本発明は、ローダミン系染料の金属レーキ化合物として、C.I.ピグメントレッド169を15〜40%含有する上記記載の紅インキに関する。
また、本発明は、フタロシアニン系化合物として、C.I.ピグメントブルー15:3またはC.I.ピグメントブルー15:4を10〜25%且つ、C.I.ピグメントグリーン7を0.5〜2.0%含有する上記記載の藍インキに関する。
更には、上記記載のC.I.ピグメントブルー15:3またはC.I.ピグメントブルー15:4の比表面積が74m2/g以上である藍インキに関するものである。
本発明が提供する平版インキ組成物を用いることにより、従来黄、紅、藍、墨プロセス4色に加えて、橙、緑、紫等を加えた6色、7色印刷で表現していたRGBの色再現領域を、黄、紅、藍、墨の4色で再現することが可能になる。また、本発明では、印刷物の色再現領域を向上させる手段として蛍光顔料を使用していないため、印刷適性、印刷物の経時での褪色等を劣化させることなく、高彩度の印刷物を得ることができる。
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
本発明は、顔料と、合成樹脂、植物油、石油系溶剤とを必要に応じてステアリン酸アルミニウム、アルミキレート等のゲル化剤と共に加熱溶解したビヒクル成分と、耐摩擦剤等の補助剤とからなる黄、紅、藍、墨の4色からなるオフセットインキであって、ISO規格の新聞用ジャパンカラー標準用紙、例えば日本製紙(株)製新聞用紙(JCNペーパー準拠、秤量43g/m2、L*:82、a*:−0.4、b*:4.6)に印刷し、黄、紅、藍の各色を Gretag Macbeth Spectro Eye(45/0、D50、2度視野:Status T) 濃度計にて測定した際の濃度値が、黄が0.85〜0.91、紅が0.88〜0.94、藍が0.84〜0.90の範囲内であるときに単色及び各単色の刷り重ねのL*a*b*表色系による色度(JIS Z 8729)が、黄インキで、L*:73〜85、好ましくは78〜83、a*:−1〜−9、好ましくは−2〜−8、b*:60〜70、好ましくは62〜68、紅インキで、L*:52〜62、好ましくは55〜58、a*:46〜56、好ましくは47〜50、b*:−5〜−15、好ましくは−7〜−10、藍インキで、L*:52〜62、好ましくは56〜60、a*:−20〜−30、好ましくは−24〜−27、b*:−24〜−34、好ましくは−27〜−30、更には、紅インキ×黄インキの刷り重ねで、L*:50〜60、a*:37〜50、b*:27〜37、藍インキ×黄インキの刷り重ねで、L*:50〜60、a*:−35〜−45、b*:16〜26、藍インキ×紅インキの刷り重ねで、L*:35〜45、a*:10〜20、b*:−30〜−40の範囲内になることを特徴とする。
色再現領域の表現方法としては、XYZ表色系(CIE1931表色系)、X1010Z10表色系(CIE1964表色系)、L*a*b*表色系(CIE1976)、ハンターLab表色系、マンセル表色系、L*u*v*表色系(CIE1976)等挙げられる。
L*a*b*表色系では、色相に関係なく比較できる明るさの度合いとして「明度」をL*で表現し、L*が大きくなるほど色が明るく、小さくなるほど暗くなることを示している。また、各色によって異なる「色相」をa*、b*の値で示し、a*は赤(+)から緑(−)方向、そしてb*は黄(+)から青(−)方向を示し、各方向とも絶対値が大きくなるに従って色鮮やかになり、0に近づくに従ってくすんだ色になることを示している。これによって一つの色を、L*、a*、b*を用いて数値化することが可能となる。また「明度」「色相」とは別に、鮮やかさの度合いを数値化する方法として「彩度(C)」があり、以下の計算式にて求めることができる。
Figure 2008081611
Cに関しても同様に、絶対値が大きくなるに従って色鮮やかになり、値が小さくなるにつれてくすんだ色になることを示している。
一つの印刷物(印刷物以外のカラースペースも含む)で表現できる全ての色再現領域を演色領域(ガモット)と呼ぶが、ガモットを表す最も簡便な方法として、a*を横軸、b*縦軸とした2次元空間に、単色ベタ部(黄、紅、藍)、及び、単色ベタ刷り重ね部(黄×紅、紅×藍、藍×黄)計6色のa*対b*の値を、プロットした六角形の面積で表現することが可能である。ガモットの面積が広い程、色再現領域が広いことを示している。
本発明に用いられる黄顔料としては、ジスアゾイエロー系化合物、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、等であって、ISO規格の新聞ジャパンカラー標準用紙に濃度値1.10〜1.20の範囲内で印刷した墨インキ上に、濃度0.80〜1.10の範囲で刷り重ねした場合のL*値が31を超えない透明性を有していれば、二次色、三次色の重ね刷りをした際の下刷りインキへの影響が少なく、良好な色再現領域を得ることができる。更には、補色としてC.I.ピグメントイエロー83を上記黄顔料の0.5〜10%、好ましくは2〜5%加えて使用することも可能である。
本発明で使用される紅顔料としては、ローダミンB、ローダミン3G、ローダミン6Gなどのローダミン系染料のモリブデン、タングステン金属レーキ化合物、又は、フェロシアン化胴レーキ化合物が挙げられるが、C.I.ピグメントレッド169は必ず含有し、その含有量は全インキに対し10〜30%、より好ましくは10〜20%含有することが好ましい。
本発明で使用される紅顔料としては、上記C.I.ピグメントレッド169を単独で使用しても良いし、さらにC.I.ピグメントレッド81またはC.I.ピグメントバイオレッド1を2種類以上組み合わせて使用することも可能である。
本発明で使用する藍顔料である銅フタロシアニン系化合物は、結晶多型(同質異晶)を示す物質であり、その結晶構造の違いによってα、β、γ、ε、π、τ、ρ、χ、R型などに分類されるが、結晶安定性、分散性が優れているβ型を使用することが好ましく、更には比表面積が74m2/g以上の微細なβ型銅フタロシアニンであることが好ましい。
本発明においては、上記銅フタロシアニン化合物に対し、フタロシアニン分子のベンゼン環上の水素原子をハロゲン化合物で置換したハロゲン化銅フタロシアニン化合物を5〜15%より好ましくは8〜11%加えて使用することにより、藍インキ単色の色再現領域を損なうことなく、黄及び紅インキと刷り重ねた際の緑及び紫の色再現領域を広げることが可能になる。
墨顔料としては、カーボンブラック、例えばC.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に用いられる合成樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、石油樹脂変性アルキッド樹脂、ロジンエステル等が考えられる。好ましくは、ロジン変性フェノール樹脂を使用する。ロジン変性フェノール樹脂は、特に限定されないが、重量平均分子量1万〜30万のものを使用するのが好ましい。分子量1万以下ではインキの粘弾性が低下し、40万以上ではインキとしての流動性が不十分となる。
植物油としては、たとえばパーム核油、ヤシ油、綿実油、落花生油、パーム油、コーン油、オリーブ油、亜麻仁油、コーン油、大豆油、サフラワー油、桐油等の植物油由来のものが例示できるとともに、それらの熱重合油および酸素吹き込み重合油なども使用できる。また、本発明ではこれら植物油を単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
また、インキに用いられる石油系溶剤は、芳香族炭化水素の含有率が1%以下でアニリン点が75〜95℃好ましくは80〜95℃及び、沸点が260℃〜350℃好ましくは280〜350℃の範囲にある石油系溶剤である。アニリン点が75%未満の場合には、樹脂を溶解させる能力が高すぎる為、インキのセット性が遅くなり好ましくなく、また95℃を超える場合には樹脂の溶解性が乏しい為、光沢、着肉等が悪くなり好ましくない。沸点が260℃未満に場合には、印刷機上でのインキ溶剤の蒸発が多くなり、インキの流動性の劣化により、インキがローラー、ブランケット、版等への転移性が悪くなり好ましくない。また、350℃を超える場合には、ヒートセット型のインキの乾燥が劣る為、好ましくない。
更に、本発明の平版インキ組成物には、必要に応じてゲル化剤、顔料分散剤、金属ドライヤー、乾燥抑制剤、酸化防止剤、耐摩擦向上剤、裏移り防止剤、非イオン系界面活性剤、多価アルコールなどの添加剤を適宜使用することができる。
次に具体例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら記載実施例に限定されるものではない。なお、以下の記述の部は重量部、%は重量%を表す。
(オフセット用ロジン変性フェノール樹脂ゲルワニスAの製造)
コンデンサー、温度計、及び攪拌機を装着した四つ口フラスコにロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業(株)製:重量平均分子量15万、酸価20、軟化点160℃)38.5部、大豆油30部、AFソルベント5号(新日本石油(株)製)30部を仕込み、180℃に昇温して、同温で30分間攪拌した後、放冷し、ゲル化剤としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド1.0部(川研ファインケミカル(株)製ALCH)を仕込み、180℃で30分間攪拌してオフセット用ロジン変性フェノール樹脂ゲルワニスA(以下ゲルワニスAと称す)を得た。
インキ実施例(黄インキ)
表1のような配合にてC.I.ピグメントイエロー12(東洋インキ製造(株)製LIONOL YELLOW 1245−P)をニーダー中で温度75℃の条件下、ゲルワニスAを徐々に添加して混練して一次脱水を行った。次にニーダー温度100℃〜120℃、減圧度76mmHgの条件下で1時間バキュームし、ベースインキ中の水分を0.5%以下になるように二次脱水を行った。脱水後、残りのゲルワニスA、AFソルベント5号、大豆油を添加して混練して希釈し、ニーダーより未分散ベースインキを取り出した。取り出したベースインキをロール温度60℃の3本ロールを用いて、分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで練肉し、黄のベースインキ1を得た。次いで、ベースインキ1に対して、表2の配合でゲルワニスA、大豆油、コンパウンド、
AFソルベント5号を添加し黄インキ1を得た。
インキ実施例(紅インキ)
黄インキと同様に、表1の配合にてC.I.ピグメントレッド169(BASF社製FanalPinkD4810)を用い、紅のベースインキ2を得た。次いで、ベースインキ2に対して、表2の配合でゲルワニスA、大豆油、コンパウンド、AFソルベント5号を添加し紅インキ2を得た。
インキ実施例(藍インキ)
表2の配合にて、C.I.ピグメントブルー15:3(東洋インキ製造(株)製LIONOL BLUE FG 7330)をワニスと混合し、分散粒子系測定機(グラインドメーター)で7.5ミクロン以下になるまで練肉後、更に大豆油、コンパウンド、AFソルベント5号を添加し藍インキ3を得た
尚、比較となるインキは一般的な新聞インキ(東洋インキ製造(株)社製「ヴァンテアンエコー黄H(C.I.ピグメントイエロー12)、紅H(カーミン6B)、藍H(C.I.ピグメントブルー15:3)、墨HS(C.I.ピグメントブラック7)」を使用した。

黄インキの透明性の評価については、以下の試験法で評価した。
ISO規格の新聞ジャパンカラー標準用紙に濃度値1.10〜1.20の範囲内で印刷した墨インキ上に、濃度0.80〜1.10の範囲で黄インキを刷り重ねし、L*を測定した。結果を表5に示す。
実施例の黄インキは、濃度値を1.10まで上げてもL*が31を越えず、下刷りの墨インキに影響を与え難く、透明性に優れているといえる(L*は値が小さいほど黒く、大きくなるほど白くなることを示している)。
一方、比較例はL*が高く、上刷りの黄インキが不透明であるために下刷りの墨インキの
黒さを阻害してしまっていることがわかる。
印刷評価試験
上記実施例及び比較例のインキについて、下記印刷条件の下、黄、紅、藍の各ベタ濃度値を、黄:0.85〜0.95、紅:0.88〜1.00、藍:0.84〜1.00の範囲内で印刷し、印刷物の評価を実施した。尚、墨インキは、一般的なオフセット用新聞印刷
インキを使用し、濃度値1.12〜1.20の範囲内で印刷した。

印刷条件
印刷機 :LITHOPIA BT2−800 NEO(三菱重工(株))
:刷り順:墨→藍→紅→黄
用紙 :新聞用更紙:超軽量紙(秤量43g/m2)(日本製紙(株))
(測色値:L*:82、a*:−0.4、b*:4.6)
湿し水 :NEWSKING ALKY(東洋インキ製造(株))0.5%水道水溶液 印刷速度:10万部/時

印刷物測定条件
濃度 :Gretag Macbeth Spectro Eye(45/0、D50、2度視野:Status T)にて印刷物の単色(黄、紅、藍、墨)ベタ部の濃度値を測定。
測色 :Gretag Macbeth Spectro Eye(45/0、D50、2度視野:Status T)にて印刷物の単色ベタ部(黄、紅、藍)、及び、単色ベタ刷り重ね部(黄×紅、紅×藍、藍×黄)の
L*、a*、b*値を測定。
C値はa*及びb*から下記の計算式にて求めた。
Figure 2008081611
結果を表7に示す。比較例と比べて実施例のC値が大きく、印刷物の彩度が高い。また、a*を横軸、b*縦軸とした2次元空間に、各a*、b*値をプロットし、2次元のガモットで比較した結果、実施例の色再現領域が広いことがわかる。

また、得られた分光反射率曲線を表6に示す。比較例の従来インキに比べ、実施例のインキの方が理想の分光反射率曲線に近くなっており、完全反射しなければならない部分の不必要吸収が少なくなっている。そのため、インキの濁り成分が減少し、色再現領域が広がっていることがわかる(図3)。



Figure 2008081611
Figure 2008081611
Figure 2008081611
Figure 2008081611
Figure 2008081611
Figure 2008081611
Figure 2008081611
本発明で得られるインキを用いることにより、従来多く普及している4色印刷機を用い
て、RGBの色再現領域を限りなく表現することができる。

Claims (4)

  1. 下記黄及び紅インキ、並びに藍インキ及び墨インキを備えるオフセットインキ組成物であって、紅インキとして、C.I.ピグメントレッド169を含有するインキを使用することを特徴とするオフセットインキ組成物。
    400nm〜700nmの波長領域における最大反射率を100%とした場合に、400nm〜480nmの波長領域の反射率が1〜20%であり、530nm〜700nmの波長領域の反射率が90〜100%である黄インキ。
    400nm〜700nmの波長領域における最大反射率を100%とした場合に、400nm〜500nmの波長領域の最大反射率が50%〜100%であり、500nm〜560nmの波長領域の反射率が1〜20%であり、630nm〜700nmの波長領域の反射率が90%〜100%である紅インキ。
  2. 下記の藍インキを供える請求項1記載のオフセット用インキ。
    400nm〜700nmの波長領域における最大反射率を100%とした場合に、400nm〜530nmの波長領域の反射率が50〜100%であり、600nm〜700nmの波長領域の反射率が1〜30%である藍インキ。
  3. オフセット用印刷インキが浸透乾燥型印刷インキである請求項1または2記載のオフセット用印刷インキ組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のオフセット用印刷インキ組成物を用いたインキを印刷してなる印刷物。
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