JP2008081560A - 含浸用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転電機等の絶縁層を構成する含浸用樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上するには分子構造あるいは架橋密度を変更する手法がとられていたが、硬化物の物性が大きく変化することがあるため、その影響を調べるために大規模な評価試験を実施しなければならなかった。このため、物性を大きく変化させることなく、耐熱性を向上させることが求められている。
【解決手段】脂環式エポキシ化合物および酸無水物を主として含むエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、少なくとも2−メルカプトメチルベンツイミダゾールを0.01重量部以上0.30重量部以下含有することを特徴とする含浸用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、車両用回転電機、一般産業用回転電機または変圧器等の静止誘導電気装置のコイル絶縁に用いられる耐熱性に優れた含浸用樹脂組成物に関する。
車両用回転電機、一般産業用回転電機等では、絶縁被覆された絶縁電線を複数束ねて導体とし、その周囲に補強材、マイカペーパーおよび両者を接着する少量の有機接着剤からなるマイカテープを巻回し、さらにこれにエポキシ化合物等からなる含浸用樹脂組成物を含浸・加熱硬化することによって絶縁層を形成している。
絶縁層を形成する含浸用樹脂組成物には、生産性向上の点から優れた含浸性および短時間硬化性が求められており、また繰り返し使うことができるように長期貯蔵安定性も求められている。さらにその硬化物には優れた電気的特性および機械杓特性も求められている。これらの特性を満足するものとして、例えば特定のエポキシ化合物、硬化剤等を用いた含浸用樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、車両用回転電機、一般産業用回転電機では小型・軽量化および低コスト化が求められているが、従来と同等の出力を確保したまま小型・軽量化を行うと、コイル導体の電流密度が増大し温度が上昇するため、絶縁層を構成する含浸用樹脂組成物の硬化物が劣化しやすくなり、回転電機の信頼性が低下する。
このため絶縁層を薄肉化して高熱伝導化することにより、発生したジュール熱を絶縁層から効率良く放熱し、その温度上昇を抑制することにより硬化物の劣化を抑制することが検討されている。例えば、絶縁層に用いられるマイカペーパーを熱伝導率に優れたものとしたり、このようなものに含浸させる含浸用樹脂組成物中に熱伝導率の優れた無機質粉末を配合することにより絶縁層を高熱伝導化することが検討されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
また、含浸用樹脂組成物の硬化物自体を劣化しにくいものとすることも検討されている。例えば、通常用いられる2官能基のエポキシ樹脂に代えて、3つ以上の官能基を有するエポキシ樹脂を用い、架橋密度を向上させて耐熱性を向上させる方法、エポキシ樹脂構造中に剛直な基を導入する方法、あるいは耐熱性の高いイミド系樹脂により変成する方法等が挙げられる(例えば、特許文献4、5参照。)。
上述したような方法は回転電機に適用され、回転電機の小型・軽量化に有効であることが認められている。特に、絶縁層を高熱伝導化する方法では、絶縁層の熱伝導率を従来の2倍程度にすることで、回転電機内の温度を10℃以上低減し、硬化物の劣化を抑制することが可能となっている。
しかしながら、上述したような劣化抑制方法、すなわち耐熱化方法はいずれも有効ではあるものの、硬化物の分子構造や架橋密度を大きく変更するものであるため、回転電機等に用いた場合の電気的特性や機械杓特性等の信頼性を改めて評価しなければならない。
このような信頼性の評価は長期に渡るため、多大なエネルギーを必要とする。近年、環境保護意識の高まりにより二酸化炭素排出量の削減が求められる中、評価にかけるエネルギーも低減することが求められている。このため、評価期間が短くて済み、エネルギー使用量の低減が可能なように、硬化物の分子構造や架橋密度を大きく変更せずに耐熱化する方法が求められている。
特開平10−251381号公報 特開昭55−53802号公報 特開昭63−110929号公報 特開昭60−92359号公報 特開昭62−157523号公報
上述したような課題を解決するため、イミド基や多官能基等を有する耐熱性の高い剛直な構造を有する有機高分子樹脂を少量用いて変成し耐熱性を向上することが考えられるが、添加量が少量であると耐熱性の大幅な向上は望めない。一方、多量に使用した場合には、例えば耐熱性や強度等は向上するものの靭性が低下するため、大型回転電機への適用が困難になるおそれがあり、評価試験の規模を大きくして改めて評価を行わなければならない。
また、含浸用樹脂組成物中の硬化触媒の量あるいは種類を変更し、硬化物の架橋密度を向上させることも考えられるが、同様に靭性が低下する可能性があるため、改めて評価を行わなければならない。
上述したように、従来の方法では硬化物の分子構造や架橋密度を変更することにより耐熱性を向上させているため、物性が大きく変化する可能性があり、その影響を調査するために改めて評価試験を行わなければならない。
本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであって、硬化物の分子構造や架橋密度を大きく変更せずに耐熱性を向上することで、評価試験を簡略化し、それにかかるエネルギー使用量を低減することが可能な含浸用樹脂組成物を提供することを目的としている。
本発明の含浸用樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物および酸無水物を主として含むエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、少なくとも2−メルカプトメチルベンツイミダゾールを0.01重量部以上0.30重量部以下含有することを特徴とする。
また本発明の他の含浸用樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物および酸無水物を主として含むエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、少なくとも2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を0.01重量部以上1.00重量部以下含有することを特徴とする。
本発明によれば、脂環式エポキシ化合物および酸無水物を主として含むエポキシ樹脂組成物に対し、少なくとも2−メルカプトメチルベンツイミダゾールまたは2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体の一方を所定量配合することで、硬化物中の過酸化物を不活性化あるいはラジカル連鎖反応を抑制し熱劣化を防ぎ、また分子構造や架橋密度を大きく変更しないため、従来のように大規模な評価試験を行う必要がなく、それにかかるエネルギー使用量も低減することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の含浸用樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂組成物は、少なくとも脂環式エポキシ化合物および酸無水物を含むものである。以下、エポキシ樹脂組成物の各成分について説明する。
エポキシ樹脂組成物における脂環式エポキシ化命物は、環が直接エポキシ化された脂環式化合物であり、例えば以下に示す一般式(1)または(2)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008081560
(上記一般式中、Rは、アルキル基、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、スピロ環などを有し、2つ以上のエポキシ化環を結合させる有機基であり、nは1以上の整数である。)
Figure 2008081560
(上記一般式中、Rは、アルキル基、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、スピロ環などを有し、2つ以上のエポキシ化環を結合させる有機基であり、nは1以上の整数である。)
具体的な脂環式エポキシ化合物としては、例えば以下の化学式(3)〜(6)で示される脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
Figure 2008081560
Figure 2008081560
Figure 2008081560
Figure 2008081560
上述した脂環式エポキシ化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。エポキシ樹脂組成物を低粘度化して含浸性をよくするためには、下記化学式(7)で表わされる化合物を用いることが好ましい。
Figure 2008081560
本発明に用いられる脂環式エポキシ化合物のエポキシ当量は特に限定されるものではないが、硬化速度の観点からエポキシ当量は200以下であることが好ましい。また、エポキシ樹脂組成物中における脂環式エポキシ化合物の配合量は粘度等に応じて適宜決定されるものであるが、通常エポキシ樹脂組成物の20重量%以上70重量%以下とすることが好ましい。
なお、エポキシ樹脂組成物の粘度、長期貯蔵安定性および反応性等の観点からは脂環式エポキシ化合物以外のエポキシ化合物を含有しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、ビスフェノール型エポキシ化合物等を併用してもよい。
また、貯蔵安定性の点から、本発明に用いられる脂環式エポキシ化合物は、ある程度の純度が要求され、例えば、脂環式エポキシ化合物中に含有されるイオン酸成分、特にNaイオンの濃度が30ppm以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物における酸無水物は硬化剤として作用するものであり、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物およびメチルナジック酸無水物が挙げられる。本発明では、これらの中でも無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−テトラヒドロ無水フタル酸およびメチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
上述したような酸無水物は、脂環式エポキシ化合物と適宜組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂組成物における酸無水物の当量比は、脂環式エポキシ化合物に対して0.2以上1.5以下、さらには0.3以上1.2以下とすることが好ましい。0.2未満の場合には硬化が不十分となり、一方1.5を超えると耐湿性が低下するおそれがある。
本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物には、硬化促進剤として有機基を有するアルミニウム化合物が含有されていてもよい。有機基を有するアルミニウム化合物としては、例えばアルミニウム原子にアルコキシ基、フェノキシ基、アシルオキシ基、β−ジケトナト基またはo−カルボニルフェノラト基などが結合した有機アルミニウムの錯体化合物が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、具体的にはメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシなどが挙げられ、フェノキシ基としてはフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、o−メトキシフェノキシ基、o−ニトロフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基などが挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセタト、プロピオナト、イソプロピオナト、ブチラト、ステアラト、エチルアセトアセタト、プロピルアセトアセタト、ブチルアセトアセタト、ジエチルマラト、ジピバロイルメタナトなどの配位子が挙げられ、β−ジケトナト基としては、例えば、トリフルオロアセチルアセトナト、ヘキサフルオロアセチルアセトナト、アセトナト等が挙げられる。o−カルボニルフェノラト基としては、例えば、サリチルアルデヒダトが挙げられる。
上述したような有機基が結合した具体的なアルミニウム化合物としては、例えば、トリスメトキシアルミニウム、トリスエトキシアルミニウム、トリスイソプロポキシアルミニウム、トリスフェノキシアルミニウム、トリスパラメチルフェノキシアルミニウム、イソプロポキシジエトキシアルミニウム、トリスブトキシアルミニウム、トリスアセトキシアルミニウム、トリスステアラトアルミニウム、トリスブチラトアルミニウム、トリスプロピオナトアルミニウム、トリスイソプロピオナトアルミニウム、トリストリフルオロアセチルアセトナトアルミニウム、トリスヘキサフルオロアセチルアセトナトアルミニウム、トリスエチルアセトアセタトアルミニウム、トリスサリチルアルデヒダトアルミニウム、トリスジエチルマロラトアルミニウム、トリスプロピルアセトアセタトアルミニウム、トリスブチルアセトアセタトアルミニウム、トリスジビバロイルメタナトアルミニウム、ジアセチルアセトナトビバロイルメタナトアルミニウム等が挙げられる。
また、本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物には、反応性の希釈剤として作用するブチルグリシジルエーテルが含有されていてもよい。
反応時間を短くするために、エポキシ樹脂組成物にはSi−H結合を含む化合物を含有させてもよい。Si−H結合を含む化合物としては、フェニルシラン、トリス(2−クロロエトキシ)シラン、ブチルジメチルシラン、メチルフェニルシラン、ジメチルフェニルシラン、オクチルシラン、メチルフェニルビニルシラン、トリプロピルシラン、ジフェニルシラン、ジフェニルメチルシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルシラン、トリヘキシルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシラン化合物が挙げられる。
前述のSi−H結合と同様の理由でエポキシ樹脂組成物にO−O結合を含む化合物を含有させてもよい。このようなものとしては、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート等の有機過酸化物などが挙げられる。
本発明の含浸用樹脂組成物は、上述したようなエポキシ樹脂組成物に少なくとも2−メルカプトメチルベンツイミダゾールまたは2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を配合してなるものである。
2−メルカプトメチルベンツイミダゾールは、以下の化学式(8)で表される化合物である。2−メルカプトメチルベンツイミダゾールは含浸用樹脂組成物の硬化物の熱劣化の主要因である過酸化物を不活性化し、硬化物の耐熱性を向上させることができる。例えば、熱的に弱いとされる酸無水物のエステル結合において発生する過酸化物を不活性化し、硬化物の耐熱性を向上させることができる。
Figure 2008081560
2−メルカプトメチルベンツイミダゾールの配合量はエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、0.01重量部以上0.30重量部以下とする。少なくとも0.01重量部添加することにより、含浸用樹脂組成物の硬化物における熱劣化の主要因の一つである過酸化物を不活性化することが可能となり、硬化物の耐熱性を向上させることができる。また、0.30重量部を超えて添加しても耐熱性向上の効果は見られず、かえって耐熱性が低下する。
回転電機のコイル絶縁製造および樹脂貯蔵安定性の観点からは、硬化反応時間やゲルタイムを大きく変更しないことが望ましく、このためには2−メルカプトメチルベンツイミダゾールの添加量を0.01重量部以上0.05重量部以下の範囲とすることが好ましい。
また、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体は以下の一般式(9)で表される化合物である。2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体は、含浸用樹脂組成物の硬化物の熱劣化の主要因であるラジカル連鎖反応を抑制し、硬化物の耐熱性を向上させることができる。
Figure 2008081560
(上記一般式中、nは1〜3の整数を示す。)
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体の添加量はエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、0.01重量部以上1.00重量部以下とする。少なくとも0.01重量部添加することにより、含浸用樹脂組成物の硬化物の熱劣化主要因の一つであるラジカル連鎖反応を抑制し熱劣化を抑制することができる。また、1.00重量部を超えて添加しても耐熱性向上の効果は見られず、かえって耐熱性が低下する。
回転電機のコイル絶縁製造および樹脂貯蔵安定性の観点からは、硬化反応時間やゲルタイムを大きく変更しないことが望ましく、このためには2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体の添加量を0.01重量部以上0.10重量部以下の範囲とすることが好ましい。
上述した2−メルカプトメチルベンツイミダゾールおよび2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体は少なくとも一方を用いれば耐熱性の向上に効果があるが、両者を併用してもよい。この場合には、それぞれの化合物を上述したような範囲内で配合する。
本発明の含浸用樹脂組成物では、エポキシ樹脂組成物に少なくとも2−メルカプトメチルベンツイミダゾールまたは2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を所定量配合することで、分子構造や架橋密度を大きく変更することなしに熱劣化を抑制、すなわち耐熱性を向上することができるため、大規模な評価試験を実施する必要がなく、評価試験にかかるエネルギー使用量を低減することが可能となる。
このような本発明の含浸用樹脂組成物は、例えば酸無水物に有機基を有するアルミニウム化合物などを60〜100℃で溶解させてから脂環式エポキシ化合物を配合するか、あるいはブチルグリシジルエーテルに有機基を有するアルミニウム化合物などを溶解させてから脂環式エポキシ化合物と酸無水物とを配合することによってエポキシ樹脂組成物を調製した後、これに所定量の2−メルカプトメチルベンツイミダゾールまたは2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を配合することにより調製することができる。
含浸用樹脂組成物の粘度は、0.02Pa・s以上0.5Pa・s以下(20cps以上500cps以下)とすることが好ましい。これは、0.02Pa・s未満の場合には硬化特性が低下し、一方、0.5Pa・sを超えると含浸性が低下するおそれがあるからである。
以上のようにして調製された本発明の含浸用樹脂組成物は、回転電機等における絶縁層を形成するために好適に用いられる。例えば、絶縁被覆された絶縁電線を複数束ねて導体とし、その周囲に補強材、マイカペーパーおよび両者を接着する少量の有機接着剤からなるマイカテープを巻回し、さらにこれに本発明の含浸用樹脂組成物を含浸・加熱硬化することによって絶縁層を形成することができる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明する。
(実施例1〜3、比較例1〜2)
エポキシ樹脂組成物として、上記化学式(3)で示される脂環式エポキシ化合物およびブチルグリシジルエーテルを50〜60wt%含み、メチル−テトラヒドロ無水フタル酸を40〜50wt%含むTVB2650(京セラケミカル社製、商品名)を用いた。このエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、2−メルカプトメチルベンツイミダゾールをそれぞれ0.01重量部、0.05重量部、0.10重量部添加し、常温において撹拌・混合し、含浸用樹脂組成物(実施例1〜3)を作製した。
また、比較のためにエポキシ樹脂組成物のみの含浸用樹脂組成物(比較例1)およびエポキシ樹脂組成物に2−メルカプトメチルベンツイミダゾールを0.50重量部添加し、常温において撹拌・混合した含浸用樹脂組成物(比較例2)を作製した。得られた含浸用樹脂組成物の組成を表1に示す。
次に、離型シートを貼付したガラス板2枚の間に、直径2mmのシリコーン製の紐をコ字形に配置して型を作製した。この型内に前記含浸用樹脂組成物を注入し、常温から150℃まで5時間で昇温し、この温度を10時間保持した後、5時間かけて常温まで下げる加熱硬化を施すことにより、100mm×150mm×2mmの寸法の樹脂板を作製した。
この樹脂板を40mm×40mmに切出し、220℃に保持した熱風循環式恒温槽において熱劣化させ、重量減少量(初期重量を100とした時の相対値)が10%となるまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、2−メルカプトメチルベンツイミダゾールを本発明の範囲内で添加した実施例1〜3の含浸用樹脂組成物では、2−メルカプトメチルベンツイミダゾールを添加しなかった比較例1の含浸用樹脂組成物に比較して重量減少量が10%に達するまでの時間が大幅に延長されており、耐熱性が向上していることが認められた。
2−メルカプトメチルベンツイミダゾールを0.50重量部と多く添加した比較例2についても、2−メルカプトメチルベンツイミダゾールを添加しなかった比較例1とほぼ同等の時間で重量減少量が10%に達してしまい、耐熱性の向上は認められなかった。
また、含浸用樹脂組成物の150℃におけるゲルタイムを試験管法にて測定した。結果を表1に示す。表1から明らかなように、2−メルカプトメチルベンツイミダゾールの添加量が0.05重量部を超えるあたりからゲルタイムが短くなりはじめ、本発明の範囲を超えて添加するとゲルタイムが極端に短くなることがわかる。
これらのことから、耐熱性およびゲルタイムを両立させるには2−メルカプトメチルベンツイミダゾールの添加量が0.01重量部以上0.05重量部以下であるのが好ましいことがわかる。
Figure 2008081560
(実施例4〜8、比較例3〜4)
エポキシ樹脂組成物として、上記化学式(3)で示される脂環式エポキシ化合物およびブチルグリシジルエーテルを45〜55wt%含み、メチル−テトラヒドロ無水フタル酸を40〜50wt%含むTVB2645(京セラケミカル社製、商品名)を用いた。このエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を0.01重量部、0.05重量部、0.10重量部、0.50重量部、1.00重量部の範囲で添加し、常温において撹拌・混合し、含浸用樹脂組成物(実施例4〜8)を作製した。
また、比較のためにエポキシ樹脂組成物のみの含浸用樹脂組成物(比較例3)およびエポキシ樹脂組成物に2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を5.00重量部添加し、常温において撹拌・混合した含浸用樹脂組成物(比較例4)を作製した。得られた含浸用樹脂組成物の組成を表2に示す。
次に、離型シートを貼付したガラス板2枚の間に、直径2mmのシリコーン製の紐をコ字形に配置して型を作製した。この型内に前記含浸用樹脂組成物を注入し、常温から150℃まで5時間で界温し、この温度を7時間保持した後、5時間かけて常温まで下げる加熱硬化を施すことにより、100mm×150mm×2mmの寸法の樹脂板を作製した。
この樹脂板を40mm×40mmに切出し、220℃に保持した熱風循環式恒温槽において熱劣化させ、重量減少量(初期重量を100とした時の相対値)が10%となるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を0.01〜1.0重量部の範囲で添加した実施例4〜8の含浸用樹脂組成物では、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を添加しなかった比較例3の含浸用樹脂組成物に比較して重量減少量が10%に達するまでの時間が大幅に延長されており、耐熱性が向上していることが認められた。
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を0.50重量部と多く添加した比較例4についても、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を添加しなかった比較例3とほぼ同等の時間で重量減少量が10%に達してしまい、耐熱性の向上は認められなかった。
また、含浸用樹脂組成物の150℃におけるゲルタイムを試験管法にて測定した。結果を表2に示す。表2から明らかなように、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体の添加量が0.1重量部を超えるあたりからゲルタイムが短くなりはじめることがわかる。
これらのことから、耐熱性およびゲルタイムを両立させるには2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体の添加量が0.01重量部以上0.10重量部以下であるのが好ましいことがわかる。
Figure 2008081560

Claims (2)

  1. 脂環式エポキシ化合物および酸無水物を主として含むエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、少なくとも2−メルカプトメチルベンツイミダゾールを0.01重量部以上0.30重量部以下含有することを特徴とする含浸用樹脂組成物。
  2. 脂環式エポキシ化合物および酸無水物を主として含むエポキシ樹脂組成物100重量部に対し、少なくとも2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を0.01重量部以上1.00重量部以下含有することを特徴とする含浸用樹脂組成物。
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