JP2021183687A - 回転電機用硬化性エポキシ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い温度環境下においても耐熱性に優れる硬化物を形成可能な硬化性エポキシ組成物を提供する。【解決手段】第一の硬化性エポキシ組成物は、分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、およびイミダゾール系硬化促進剤(C)を含み、25℃で液状であり、回転電機用である。第二の硬化性エポキシ組成物は、分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、イミダゾール系硬化促進剤(C)、およびポリエステルポリオール(D)を含み、回転電機用である。【選択図】なし

Description

本開示は、回転電機に用いられる硬化性エポキシ組成物に関する。より詳細には、本開示は、一実施形態において、回転電機における固定子または回転子に用いられる硬化物を形成するための硬化性エポキシ組成物に関する。
光半導体装置において光半導体素子を被覆する樹脂(封止材)、イグニッションコイル等のコイルが含浸・注型されたモールドコイル用途の樹脂、繊維強化用の樹脂、回転電機用の樹脂(例えば、絶縁材、永久磁石の固定用の接着樹脂、間隙への充填材等)などとして、エポキシ樹脂が用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
例えば、特許文献3には、回転シャフトに固設され、上記回転シャフトの周縁部に沿って配置されている複数の穴部が設けられている、ローターコアと、上記穴部に挿入された磁石と、上記穴部と上記磁石との離間部であって、上記磁石の側壁のうちの少なくとも上記ローターコアの内周縁側に位置する側壁上に設けられて上記磁石を固定する固定部材と、を備えるロータのうち上記固定部材の形成に用いる固定用樹脂組成物が開示されている。
特開2007−308683号公報 特開2010−100726号公報 特開2013−138611号公報 特開2019−199587号公報
近年、例えば自動車においては、EVモーターの小型化や高機能化により、EVモーターの作業環境温度が180℃以上となる場合がある。EVモーターに使用される樹脂の耐熱性が低い場合、このような高温環境下においては、EVモーターが適切に動作できなくなるおそれがある。このため、高い温度環境下においても耐熱性に優れる樹脂が求められている。しかしながら、特許文献1〜4に具体的に開示されている樹脂組成物から形成された樹脂は充分な耐熱性を備えるものではなかった。
従って、本開示の目的は、高い温度環境下においても耐熱性に優れる硬化物を形成可能な硬化性エポキシ組成物を提供することにある。
本開示の発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、酸無水物系硬化剤、およびイミダゾール系硬化促進剤を含む回転電機用硬化性エポキシ組成物によれば、高い温度環境下においても耐熱性に優れる硬化物を形成可能であることを見出した。本開示はこれらの知見に基づいて完成させたものに関する。
本開示は、分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、およびイミダゾール系硬化促進剤(C)を含む回転電機用硬化性エポキシ組成物を提供する。
また、本開示は、上記回転電機用硬化性エポキシ組成物の一実施形態として、分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、およびイミダゾール系硬化促進剤(C)を含み、25℃で液状である、回転電機用硬化性エポキシ組成物を提供する。
上記回転電機用硬化性エポキシ組成物は、ポリエステルポリオール(D)を含んでいてもよい。
また、本開示は、上記回転電機用硬化性エポキシ組成物の他の一実施形態として、分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、イミダゾール系硬化促進剤(C)、およびポリエステルポリオール(D)を含む、回転電機用硬化性エポキシ組成物を提供する。
ポリエステルポリオール(D)は分子量600以上且つ水酸基価200KOHmg/g以下であるポリエステルポリオールを含むことが好ましい。
上記硬化性エポキシ組成物に含まれるエポキシ化合物中の脂環式エポキシ化合物(A)の割合は70質量%超であることが好ましい。
上記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化剤中の酸無水物系硬化剤(B)の割合は80質量%超であることが好ましい。
上記硬化性エポキシ組成物は、無機充填剤(E)を含んでいてもよい。
上記無機充填剤(E)の含有量は、上記硬化性エポキシ組成物中の全硬化性化合物100質量部に対して0.5〜50質量部であってもよい。
上記無機充填剤(E)の含有量は、上記硬化性エポキシ組成物中の全硬化性化合物100質量部に対して100質量部以上であってもよい。
上記硬化性エポキシ組成物の25℃における粘度は330mPa・s以上であることが好ましい。
酸無水物系硬化剤(B)は無水メチルナジック酸を含むことが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤(C)は1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、これらのアミンアダクト、およびこれらのうちの1以上を含む潜在型硬化促進剤からなる群より選択される1以上を含むことが好ましい。
上記硬化性エポキシ組成物は、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、および硫黄系酸化防止剤からなる群より選択される1以上の酸化防止剤を含んでいてもよい。
上記硬化性エポキシ組成物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンからなる群より選択される1以上の多価アルコールを含んでいてもよい。
上記硬化性エポキシ組成物は、上記回転電機の固定子コイル含浸用、または、上記回転電機の回転子コアに設けられた穴部に挿入された磁石を前記穴部内壁に固定するための磁石固定用であることが好ましい。
また、本開示は、上記回転電機用硬化性エポキシ組成物の硬化物を提供する。
上記硬化物はガラス転移温度が180℃以上であることが好ましい。
上記硬化物は150℃における曲げひずみが4.4%以上であることが好ましい。
また、本開示は、固定子コイルを覆うように形成された上記硬化物を備える回転電機用固定子を提供する。
また、本開示は、回転子の巻線を被覆した上記硬化物を備える回転電機用回転子を提供する。
本開示の回転電機用硬化性エポキシ組成物によれば、高い温度環境下においても耐熱性に優れる硬化物を形成することができる。このため、回転電機用途(特に、自動車の回転電機用途)に用いた場合、高い作業環境温度においても回転電機は適切に動作することができる。
[硬化性エポキシ組成物]
本開示の一実施形態に係る回転電機用硬化性エポキシ組成物(硬化性エポキシ組成物)は、分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、およびイミダゾール系硬化促進剤(C)を少なくとも含む硬化性(熱硬化性)の組成物である。
上記硬化性エポキシ組成物は、ポリエステルポリオール(D)を含むことが好ましい。ポリエステルポリオール(D)の配合により、上記硬化性エポキシ組成物を硬化させて得られる硬化物は高いガラス転移温度を有しつつ、柔軟性に優れ、曲げひずみがより向上する。これにより、上記硬化性エポキシ組成物の硬化物はより耐熱性が向上する。また、上記硬化性エポキシ組成物は、無機充填剤(E)を含んでいてもよい。無機充填剤(E)の配合により、組成物にチクソ性を付与することで組成物に含まれ得る粉体の沈降を抑制することができ、また、硬化物に低線膨張性を付与することなどができる。
上記硬化性エポキシ組成物は、25℃において液状であることが好ましい。上記硬化性エポキシ組成物が25℃において液状であると含浸性や注型性など作業性に優れる。上記硬化性エポキシ組成物の25℃における粘度は、特に限定されないが、330mPa・s以上(例えば、330〜100000mPa・s)が好ましい。上記粘度が330mPa・s以上であると、含浸後において組成物が垂れ落ちず、含浸時や注型時の作業性が向上する傾向がある。上記粘度が100000mPa・s以下であると、含浸性や注型時の作業性が向上したり、注型不良に由来する不具合が硬化物に生じにくくなる傾向がある。なお、硬化性エポキシ組成物の25℃における粘度は、例えば、デジタル粘度計(型番「DVU−EII型」、株式会社トキメック製)を用いて、ローター:標準1°34′×R24、温度:25℃、回転数:0.5〜10rpmの条件で測定することができる。
上記硬化性エポキシ組成物の一態様(例えば無機充填剤(E)を含まない場合)では、上記硬化性エポキシ組成物の25℃における粘度は、より好ましくは400mPa・s以上(例えば、400〜10000mPa・s)、さらに好ましくは450mPa・s以上(例えば、450〜1000mPa・s)である。また、上記硬化性エポキシ組成物の他の一態様(例えば無機充填剤(E)を含む場合)では、上記硬化性エポキシ組成物の25℃における粘度は、より好ましくは2000mPa・s以上(例えば、2000〜100000)、8000mPa・s以上(例えば、8000〜80000mPa・s)、さらに好ましくは10000mPa・s以上(例えば、10000〜70000mPa・s)である。
上記硬化性エポキシ組成物の一実施形態としては、例えば、脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、およびイミダゾール系硬化促進剤(C)を含み、25℃で液状である、回転電機用硬化性エポキシ組成物が挙げられる。上記硬化性エポキシ組成物は、25℃で液状であることで含浸性や注型性に優れるため作業性に優れ、且つ、上記硬化性エポキシ組成物を硬化させて得られる硬化物は高いガラス転移温度を有し耐熱性に優れる。また、上記硬化性エポキシ組成物の他の一実施形態としては、例えば、脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、イミダゾール系硬化促進剤(C)、およびポリエステルポリオール(D)を含む、回転電機用硬化性エポキシ組成物が挙げられる。上記硬化性エポキシ組成物を硬化させて得られる硬化物は高いガラス転移温度を有しつつ、柔軟性に優れ、曲げひずみがより向上する。
(脂環式エポキシ化合物(A))
脂環式エポキシ化合物(A)は、分子内に1個以上の脂環(脂環構造)と1個以上のエポキシ基(オキシラン環)とを有する化合物である。脂環式エポキシ化合物(A)は分子内に2以上のエポキシ基を有することが好ましい。脂環式エポキシ化合物(A)は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
脂環式エポキシ化合物(A)としては、公知乃至慣用の脂環式エポキシ化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、(I)分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(「脂環エポキシ基」と称する)を有する化合物;(II)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物;(III)分子内に脂環およびグリシジルエーテル基を有する化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物)などが挙げられる。
上記(I)分子内に脂環エポキシ基を有する化合物としては、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物が挙げられ、例えば下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021183687
上記式(i)中、Yは単結合または連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部または全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基などが挙げられる。なお、式(i)におけるシクロヘキサン環(シクロヘキセンオキシド基)を構成する炭素原子の1以上には、アルキル基などの置換基が結合していてもよい。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基などが挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などが挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)などが挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部または全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルケニレン基などが挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、下記式(i−1)〜(i−10)で表される化合物などが挙げられる。なお、下記式(i−5)、(i−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(i−5)中のR’は炭素数1〜8のアルキレン基であり、中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基などの炭素数1〜3の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(i−9)、(i−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。また、上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物としては、その他、例えば、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテルなどが挙げられる。
Figure 2021183687
Figure 2021183687
上述の(II)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021183687
式(ii)中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)などが挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」(株式会社ダイセル製)等]などが挙げられる。
上述の(III)分子内に脂環およびグリシジルエーテル基を有する化合物としては、例えば、脂環式アルコール(特に、脂環式多価アルコール)のグリシジルエーテルが挙げられる。より詳しくは、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン等のビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン等のビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物の水素化エポキシ化合物;その他の芳香環を有するエポキシ化合物の水素化エポキシ化合物などが挙げられる。
上記硬化性エポキシ組成物中の脂環式エポキシ化合物(A)の含有割合は、硬化性エポキシ組成物の総量(100質量%)に対して、10質量%以上が好ましい。上記硬化性エポキシ組成物の一態様(例えば無機充填剤(E)を含まない場合)では、上記脂環式エポキシ化合物(A)の含有割合は、より好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは35〜60質量%である。上記硬化性エポキシ組成物の他の一態様(例えば無機充填剤(E)を含む場合)では、上記脂環式エポキシ化合物(A)の含有割合は、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは12〜55質量%、さらに好ましくは14〜50質量%である。
上記硬化性エポキシ組成物に含まれるエポキシ化合物中の脂環式エポキシ化合物(A)の割合は、エポキシ化合物の総量(100質量%)に対して、70質量%超であることが好ましく、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上であってもよい。
なお、本明細書において、上記硬化性エポキシ組成物に含まれる各成分(例えば、脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)など)の含有量は、それぞれ、合計が100質量%以下となるように、記載の範囲内から適宜選択することができる。
(酸無水物系硬化剤(B))
酸無髄物系硬化剤(B)は、脂環式エポキシ化合物(A)などのエポキシ基を有する化合物と反応することにより、硬化性エポキシ組成物を硬化させる働きを有する化合物である。酸無水物系硬化剤(B)は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
酸無水物系硬化剤(B)(酸無水物類)としては、公知乃至慣用の酸無水物系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
酸無水物系硬化剤(B)としては、中でも、取り扱い性の観点で、25℃で液状の酸無水物[例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等]が好ましい。一方、25℃で固体状の酸無水物については、例えば、25℃で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、上記硬化性エポキシ組成物における硬化剤としての取り扱い性が向上する傾向がある。
また、酸無水物系硬化剤(B)は、硬化物のガラス転移温度がより高くなり、硬化物の耐熱性がより向上する観点から、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物等の無水ナジック酸またはその誘導体を含むことが好ましく、無水メチルナジック酸を含むことがより好ましい。
上記硬化性エポキシ組成物における酸無水物系硬化剤(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物(例えば、脂環式エポキシ化合物(A))の総量100質量部に対して、50〜200質量部が好ましく、より好ましくは80〜150質量部である。より具体的には、上記硬化性エポキシ組成物に含まれる全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量(好ましくは0.8〜1.1当量、より好ましくは0.9当量以上1.0当量未満)となる割合で使用することが好ましい。酸無水物系硬化剤(B)の含有量が50質量部以上であると、硬化を充分に進行させることができ、硬化物の耐熱性および強靭性がより向上する傾向がある。酸無水物系硬化剤(B)の含有量が200質量部以下であると、着色が抑制され、色相に優れた硬化物が得られる傾向がある。また、上記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化剤中の酸無水物系硬化剤(B)の割合は、硬化剤の総量(100質量%)に対して、80質量%超であることが好ましく、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上であってもよい。
(イミダゾール系硬化促進剤(C))
イミダゾール系硬化促進剤(C)は、エポキシ基を有する化合物が酸無水物系硬化剤(B)と反応する際に、その反応速度を促進する機能を有する化合物である。硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤(C)を用いることにより、耐熱性に優れた硬化物を形成することができる。イミダゾール系硬化促進剤(C)は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
イミダゾール系硬化促進剤(C)としては、公知乃至慣用のイミダゾール系硬化促進剤を使用でき、特に限定されないが、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン等のイミダゾール化合物などが挙げられる。
また、イミダゾール系硬化促進剤(C)は、上記イミダゾール化合物のアミンアダクト(例えば、エポキシ化合物とのアミンアダクト)など、イミダゾール化合物の誘導体であってもよい。上記エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物(A)として例示および説明されたものや、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)などが挙げられる。上記エポキシ化合物は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等]と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物);これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類[例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]とアルデヒド[例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等]とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、かつこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接またはアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物などが挙げられる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、q価の環状構造を有しないアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸[例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等]のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物などが挙げられる。なお、上記q価の環状構造を有しないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等が挙げられる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールなどであってもよい。
イミダゾール系硬化促進剤(C)としては、中でも、硬化物のガラス転移温度がより高くなり、硬化物の耐熱性がより向上する観点から、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、またはこれらのアミンアダクト(特に、エポキシ化合物とのアミンアダクト、より好ましくはビスフェノール型エポキシ化合物とのアミンアダクト)を少なくとも含むことが好ましい。中でも、酸無水物系硬化剤(B)と混合した状態での保存安定性(シェルフライフ)により優れる観点から、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、アミンアダクト体(特に、エポキシ化合物とのアミンアダクト体)が好ましく、より好ましくはアミンアダクト体、さらに好ましくは2−メチルイミダゾールとエポキシ化合物とのアミンアダクト体、特に好ましくは2−メチルイミダゾールとビスフェノール型エポキシ化合物とのアミンアダクト体である。
イミダゾール系硬化促進剤(C)は、潜在型の硬化促進剤として配合されていてもよい。潜在型の硬化促進剤を用いることで、硬化性エポキシ組成物の保存安定性を向上させることができる。潜在型の硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤(C)をマイクロカプセル化したもの(マイクロカプセル型潜在性硬化剤)が挙げられる。
上記マイクロカプセル型潜在性硬化剤は、例えば、コアと、当該コアの表面を被覆するシェルとを含有し、コアがイミダゾール系硬化促進剤(C)を含み、シェルが有機高分子および/または無機化合物を含有する。なお、シェルが無機化合物である場合のマイクロカプセル型潜在性硬化剤は無機充填剤(E)には該当しない。
上記シェルの含有量は、上記コアの含有量100質量部に対して、0.01〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜80質量部、さらに好ましくは1〜60質量部、特に好ましくは5〜50質量部である。上記シェルの含有量が上記範囲内であると、優れた保存安定性と硬化性を両立させることができる。
上記有機高分子としてはセルロース等の天然高分子や合成樹脂などが挙げられる。中でも、保存安定性、硬化時のシェルの破壊しやすさ、硬化物の物性の均一性がより優れる観点から、合成樹脂が好ましい。
上記合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、これらの混合物や共重合体などが挙げられる。
上記無機化合物としては、酸化ホウ素、ホウ酸エステル等のホウ素化合物、二酸化珪素、酸化カルシウムなどが挙げられる。中でも、膜の安定性と加熱時の破壊しやすさにより優れる観点から、酸化ホウ素が好ましい。
上記硬化性エポキシ組成物におけるイミダゾール系硬化促進剤(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化性化合物(例えば、エポキシ基を有する化合物やポリオールなど、硬化剤により反応性を有する化合物)の総量100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。イミダゾール系硬化促進剤(C)の含有量が0.01質量部以上であると、耐熱性がより向上し、いっそう効率的な硬化促進効果が得られる傾向がある。また、ポリエステルポリオール(D)を含む場合、硬化物の耐熱性と曲げひずみが共に優れたものとなる。イミダゾール系硬化促進剤(C)の含有量が5質量部以下であると、着色が抑制され、色相に優れた硬化物が得られる傾向がある。また、イミダゾール系硬化促進剤(C)を潜在型の硬化促進剤として配合する場合、潜在型の硬化促進剤としての含有量(例えば、コアとシェルの合計含有量)は、硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化性化合物の総量100質量部に対して、例えば0.6〜10質量部であり、好ましく2〜8質量部である。また、上記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化促進剤中のイミダゾール系硬化促進剤(C)の割合は、硬化促進剤の総量(100質量%)に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上、75質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上であってもよい。
(ポリエステルポリオール(D))
ポリエステルポリオール(D)としては、分子内に2個以上のヒドロキシ基および2個以上のエステル結合を有する化合物が挙げられる。上記ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンポリオール等のポリラクトンポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、脂環式ポリエステルポリオールなどが挙げられる。ポリエステルポリオール(D)は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
ポリエステルポリオール(D)としては、中でも、硬化物の高いガラス転移温度を維持しつつ柔軟性がより優れる観点から、ポリラクトンポリオールおよび/または脂肪族ポリエステルポリオールを含むことが好ましい。また、ポリエステルポリオール(D)としては、同様の観点から、ポリエステルジオールおよび/またはポリエステルトリオールを含むことが好ましい。
ポリエステルポリオール(D)の分子量は、特に限定されないが、250以上が好ましく、より好ましくは600以上、さらに好ましくは1100以上、特に好ましくは1700以上である。上記分子量が250以上(特に、600以上)であると、硬化物の強靱性が向上しやすく、曲げひずみがより向上する。上記分子量は、例えば、100000以下であってもよく、50000以下、10000以下、4000以下であってもよい。上記ポリエステルポリオール(D)の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
ポリエステルポリオール(D)の水酸基価は、特に限定されないが、600KOHmg/g以下が好ましく、より好ましくは200KOHmg/g以下、さらに好ましくは100KOHmg/g以下、特に好ましくは80KOHmg/g以下である。上記水酸基価が600KOHmg/g以下(特に、200KOHmg/g以下)であると、脂環式エポキシ化合物(A)の重合の連鎖移動反応が抑制され、エポキシ主鎖の重合度が高くなりやすく、硬化物のガラス転移温度を高く維持することができる。上記水酸基価は、JIS K0070に準拠して電位差滴定法により測定することができる。
上記硬化性エポキシ組成物がポリエステルポリオール(D)を含有する場合、上記硬化性エポキシ組成物におけるポリエステルポリオール(D)の含有割合は、特に限定されないが、硬化性エポキシ組成物の総量(100質量%)に対して、1〜30質量%が好ましく、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、硬化物の耐熱性と曲げひずみがよりいっそう共に優れたものとなる。
(無機充填剤(E))
無機充填剤(E)としては、公知乃至慣用の無機充填剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、フォステライト、ステアタイト、スピネル、クレー、カオリン、ドロマイト、ヒドロキシアパタイト、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト、珪藻土、タルク等の粉体、またはこれらの成型体(例えば、球形化したビーズ等)などが挙げられる。また、無機充填剤(E)としては、上述の無機充填剤に公知乃至慣用の表面処理が施されたものなども挙げられる。無機充填剤(E)は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。中でも、無機充填剤(E)としては、硬化物の線膨張係数が低くなって、該硬化物の反りがより生じにくくなる観点から、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウムが好ましく、より好ましくはシリカ(シリカフィラー)である。
シリカとしては、特に限定されず、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、高純度合成シリカなどの公知乃至慣用のシリカを使用できる。なお、シリカとしては、公知乃至慣用の表面処理(例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の表面処理剤による表面処理など)が施されたものを使用することもできる。
シリカとしては、親水性シリカおよび疎水性シリカが挙げられるが、硬化性エポキシ組成物の粘度を上昇させやすく、マイクロカプセル型潜在性硬化剤などの固形成分の沈降を抑制して分散性を向上させ、さらに、硬化性エポキシ組成物にチクソ性を付与し含浸性や注型性などの作業性に優れる観点から、疎水性シリカが好ましい。
上記疎水性シリカは、親水性シリカに疎水化処理が施されたシリカである。疎水化処理に用いられる処理剤としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、長鎖アルキルトリクロロシラン、エチルトリアルコキシシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、長鎖アルキルトリアルコキシシラン、メタクリルシラン、フルオロアルキルシラン、ペルフルオロアルキルシランなどの有機シリル化合物;ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性シリコーン等のポリシロキサンなどのシリコーン化合物などが挙げられる。中でも、ポリシロキサンによる疎水化処理が好ましい。疎水化処理方法は、公知の方法を用いて疎水化処理を施すことができ、例えば、液相法、気相法、オートクレーブ法などが挙げられる。
シリカの形状は、特に限定されないが、例えば、粉体、球状、破砕状、繊維状、針状、鱗片状などが挙げられる。中でも、分散性の観点で、球状のシリカが好ましく、特に真球状のシリカ(例えば、アスペクト比が1.2以下の球状のシリカ)が好ましい。
シリカの比表面積は、特に限定されないが、硬化性エポキシ組成物にチクソ性を付与し含浸性や注型性などの作業性に優れる観点から、10m2/g以上が好ましく、より好ましくは40m2/g以上、さらに好ましくは70m2/g以上である。
シリカの中心粒径は、特に限定されないが、硬化性エポキシ組成物にチクソ性を付与し含浸性や注型性などの作業性に優れる観点からは、200nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。上記中心粒径は、例えば3nm以上である。また、硬化物の低線膨張性、強度、耐クラック性向上の観点からは、0.1〜50μmが好ましく、より好ましくは0.1〜30μmである。なお、上記中心粒径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%での粒径(メディアン径)を意味する。
上記硬化性エポキシ組成物が無機充填剤(E)を含有する場合、上記硬化性エポキシ組成物における無機充填剤(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化性化合物の総量100質量部に対して、0.5〜500質量部が好ましい。一態様では、上記含有量は、より好ましくは0.5〜50質量部、さらに好ましくは1〜10質量部である。この場合、容易に組成物にチクソ性を付与することができる。また、他の態様では、上記含有量は、より好ましくは100質量部以上(例えば、100〜500質量部)、さらに好ましくは250質量部以上(例えば、250〜400質量部)である。この場合、硬化物の線膨張性をより低下させやすい。
上記硬化性エポキシ組成物が無機充填剤(E)を含有する場合、上記硬化性エポキシ組成物における、無機充填剤(E)の含有割合は、特に限定されないが、硬化性エポキシ組成物の総量(100質量%)に対して、0.3〜90質量%が好ましい。一態様では、上記含有割合は、より好ましくは0.3〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。この場合、容易に組成物にチクソ性を付与することができる。また、他の態様では、上記含有割合は、より好ましくは50質量%以上(例えば、50〜90質量%)、さらに好ましくは55質量%以上(例えば、55〜80質量%)である。この場合、硬化物の線膨張性をより低下させやすい。
上記硬化性エポキシ組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)およびポリエステルポリオール(D)以外の硬化性化合物(酸無水物系硬化剤(B)などの硬化剤により反応し得る化合物)を含んでいてもよい。上記硬化性エポキシ組成物における上記硬化性化合物中の脂環式エポキシ化合物(A)およびポリエステルポリオール(D)の合計の含有割合は、上記硬化性エポキシ組成物中の全ての上記硬化性化合物の総量(100質量%)に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。なお、上記硬化性エポキシ組成物がポリエステルポリオール(D)を含まない場合、上記含有割合は、脂環式エポキシ化合物(A)の含有割合である。
上記硬化性エポキシ組成物における脂環式エポキシ化合物(A)の割合は、硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化性化合物の総量(100質量%)に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上、70質量%以上、75質量%以上であってもよい。また、上記硬化性エポキシ組成物におけるポリエステルポリオール(D)の割合は、硬化性エポキシ組成物に含まれる上記硬化性化合物の総量(100質量%)に対して、5〜45質量%が好ましく、より好ましくは10〜35質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。上記割合が上記範囲内であると、硬化物の耐熱性と曲げひずみがよりいっそう共に優れたものとなる。
上記硬化性エポキシ組成物は、上述の各成分以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのヒドロキシ基を有する化合物(特に、ポリエステルポリオール(D)以外の多価アルコール)を含有させると、反応を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、シリコーン系やフッ素系等の消泡剤、レベリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等のカップリング剤、界面活性剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、着色料、蛍光体(例えば、YAG系の蛍光体微粒子、シリケート系蛍光体微粒子等の無機蛍光体微粒子等)、離型剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、腐食防止剤、凝固点降下剤、耐摩耗添加剤などの慣用の添加剤を使用することができる。特に、イミダゾール系硬化促進剤(C)として1−メチルイミダゾールを用いる場合、粘度を低下させ、含浸性に優れるものとすることができる観点から、消泡剤やレベリング剤を使用することが好ましい。上記その他の成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記酸化防止剤を含むことで、よりいっそう耐熱性(特に、耐黄変性)に優れた硬化物を形成することができる。酸化防止剤としては、公知乃至慣用の酸化防止剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤(フェノール系化合物)、ヒンダードアミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン系化合物)、リン系酸化防止剤(リン系化合物)、硫黄系酸化防止剤(硫黄系化合物)などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類などが挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類(ホスファイト系酸化防止剤);9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ドデカンチオール、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
上記酸化防止剤は、中でも、硬化物の耐熱性をより向上させることができる観点から、リン系酸化防止剤を含むことが好ましく、ホスファイト系酸化防止剤を含むことがより好ましい。
上記硬化性エポキシ組成物が酸化防止剤を含有する場合、上記硬化性エポキシ組成物における酸化防止剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ組成物に含まれるエポキシ化合物の総量100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部である。酸化防止剤の含有量が0.1質量部以上であると、硬化物の酸化が効率的に防止され、耐熱性、耐黄変性がより向上する傾向がある。酸化防止剤の含有量が5質量部以下であると、着色が抑制され、色相がより良好な硬化物が得られやすい傾向がある。
上記硬化性エポキシ組成物は、特に限定されないが、上述の各成分を、必要に応じて加熱した状態で撹拌・混合することにより調製することができる。なお、上記硬化性エポキシ組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。上記撹拌・混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の撹拌・混合手段を使用できる。また、撹拌・混合後、真空下にて脱泡してもよい。
[硬化物]
上記硬化性エポキシ組成物を硬化させることにより、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。硬化の手段としては、加熱処理等の公知乃至慣用の手段を利用できる。加熱により硬化させる際の温度(硬化温度)は、特に限定されないが、45〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは55〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度と硬化時間が45℃以上であると硬化が充分となり、200℃以下であると樹脂成分の分解を抑制することができる。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。また、硬化は、一段階で行うこともできるし、二段階以上の多段階で行うこともできる。
上記硬化物のガラス転移温度(Tg)は、180℃以上が好ましく、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは200℃以上、特に好ましくは210℃以上である。ガラス転移温度が180℃以上であると、例えばEVモーターの作業環境温度など、温度環境が180℃以上となる場合であっても耐熱性に優れる。上記硬化物のガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)により測定される値である。
上記硬化物の23℃における曲げひずみは、2.0%以上が好ましく、より好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは4.0%以上、特に好ましくは4.3%以上である。上記曲げひずみが2.0%以上(特に、4.0%以上)であると、常温環境下における柔軟性が向上し、強靱性に優れる。上記23℃における曲げひずみは、JIS K7171(2008)に準拠して測定することができる。
上記硬化物の150℃における曲げひずみは、2.0%以上が好ましく、より好ましくは4.4%以上、さらに好ましくは5.0%以上、特に好ましくは5.4%以上である。上記曲げひずみが2.0%以上(特に、4.4%以上)であると、例えばEVモーターの作業環境温度など、温度環境が180℃以上となる場合であっても柔軟性に優れ、強靱性に優れる。上記150℃における曲げひずみは、JIS K7171(2008)に準拠して測定することができる。
上記硬化性エポキシ組成物および上記硬化物は、回転電機に含まれる部品(回転電機用途)に用いられる。上記硬化物は耐熱性に優れるため、高熱環境下にて使用される部品、特に自動車用部品(自動車のEVモーター用途など)に好ましく用いることができる。上記硬化物の具体的な使用態様としては、絶縁材、コーティング材、接着材などが挙げられる。また、酸無水物系硬化剤(B)およびイミダゾール系硬化促進剤(C)を含む硬化剤組成物は、シェルフライフが長く保存時の増粘が起こりにくいため、上記硬化剤組成物とエポキシ化合物(A)とを混合して得られる上記硬化性エポキシ組成物は、塗布対象物へのぬれ性や含浸性に優れる。このため、上記硬化性エポキシ組成物は、大気圧含侵、減圧含侵、加圧含侵、ディッピングなどのプロセスに好ましく用いることができる。
上記回転電機用途としては、例えば、回転子ワイヤの保護用途(巻線被覆用途、巻先端部被覆用途等)、固定子コイルの含浸・注型用途、固定子全体を覆うように含浸・注型する用途、回転子および/または固定子において、回転子コアまたは固定子コアに設けられた穴部に挿入された磁石を上記穴部内壁に固定する磁石固定用途、上記穴部と上記磁石との間隙を充填する用途などが挙げられる。
上記硬化性エポキシ組成物および上記硬化物の用途は、中でも、回転電機の固定子や回転子におけるコイル(ワイヤ、巻線)含浸・注型用途などのコイル含浸用途であることが好ましい。
上記硬化物を上記回転電機用途に用いることにより、例えば、回転子の巻線を被覆した上記硬化物を備える回転電機用回転子;固定子コイルを覆うように形成された上記硬化物を備える回転電機用固定子;固定子全体を被覆した上記硬化物を備える回転電機用固定子;穴部を有する回転子コアまたは固定子コアと、上記穴部に挿入された磁石と、上記磁石と上記穴部内壁とを接着する上記硬化物とを備える回転電機用回転子または固定子;穴部を有する回転子コアまたは固定子コアと、上記穴部に挿入された磁石と、上記磁石と上記穴部内壁との間隙を充填した上記硬化物とを備える回転電機用回転子または固定子などの、上記硬化物を備える回転電機が得られる。
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の趣旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本開示に係る各発明は、実施形態や以下の実施例によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に、実施例に基づいて本開示の一実施形態をより詳細に説明する。
実施例1
(硬化性エポキシ組成物の作製)
表1に示す配合割合(単位:質量部)で、硬化剤としての無水メチルナジック酸および硬化促進剤としての1−メチルイミダゾールを、自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎 AR−250」、株式会社シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡してエポキシ硬化剤を得た。
次に、表1に示す配合割合(単位:質量部)で、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、株式会社ダイセル製)および上記エポキシ硬化剤を、自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、株式会社シンキー製)を使用して均一に混合し、さらに脱泡して、硬化性エポキシ組成物を作製した。
(硬化物の作製)
上記で得られた硬化性エポキシ組成物を型に充填し、オーブンを用いて、80℃で1時間、130℃で1時間、および180℃1時間続けて加熱することで硬化させ、硬化物を作製した。
実施例2〜34、比較例1,2
硬化性エポキシ組成物の組成を表1に示す組成に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性エポキシ組成物および硬化物を作製した。なお、一部の実施例および比較例においては、硬化性エポキシ組成物の構成成分としてポリエステルポリオールを配合した。ポリエステルポリオールを配合する場合、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、株式会社ダイセル製)、ポリエステルポリオール、および上記エポキシ硬化剤を、自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、株式会社シンキー製)を使用して均一に混合し、さらに脱泡して、硬化性エポキシ組成物を作製した。
<評価>
実施例および比較例で得られた硬化性エポキシ組成物および硬化物について、下記の評価試験を実施した。
(25℃における粘度)
硬化性エポキシ組成物の25℃における粘度を、デジタル粘度計(型番「DVU−EII型」、株式会社トキメック製)を用いて、ローター:標準1°34′×R24、温度:25℃、回転数:0.5〜10rpmの条件で測定した。
(ガラス転移温度)
硬化物のガラス転移温度を、示差走査熱量測定装置(商品名「Q2000」、ティー・エー・インスツルメント社製)を用い、事前処理(30℃から250℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、続いて250℃から30℃まで降温速度−10℃/分で降温)を行った後に、窒素気流下、昇温速度10℃/分、測定温度範囲30〜250℃の条件で測定した。そして、得られた温度熱履歴変化曲線の変曲点をガラス転移温度とした。
(曲げひずみ)
硬化物の曲げひずみを、JIS K7171(2008)に準拠して測定した。
Figure 2021183687
Figure 2021183687
表1および表2から分かるように、脂環式エポキシ化合物、酸無水物系硬化剤、およびイミダゾール系硬化促進剤を含む硬化性エポキシ組成物の硬化物は、ガラス転移温度が180℃以上と高く(実施例1〜34)、高い温度環境下においても耐熱性に優れるものと推測される。一方、イミダゾール系硬化促進剤に代えて他の硬化促進剤を用いた場合(比較例1,2)、硬化物のガラス転移温度は180℃未満と低く、耐熱性に劣るものと推測される。さらに、ポリエステルポリオールを含む場合(実施例2〜8,10,12)、硬化物のガラス転移温度は180℃以上であり、且つ曲げひずみが高く、高い温度環境下においても耐熱性に優れ、且つ柔軟性および強靱性が優れるものと推測される。また、実施例の硬化性エポキシ組成物は、25℃において液状であり、含浸性にも優れる。
実施例35
表3に示す配合割合(単位:質量部)で、酸無水物系硬化剤(B)としての無水メチルナジック酸と、イミダゾール系硬化促進剤(C)と、必要に応じてその他の添加剤とを均一に混合し、エポキシ硬化剤組成物を作製した。得られたエポキシ硬化剤組成物を60℃で放置した際の粘度を測定し、初期粘度の2倍になる時間を計測しシェルフライフとした。その結果、LC−80を使用した場合(IIおよびIII)、HPI(I)、1−MI(IV)の順にシェルフライフが長い結果となった。
Figure 2021183687
なお、実施例および比較例で使用した成分は、以下の通りである。
(脂環式エポキシ化合物)
セロキサイド2021P:商品名「セロキサイド2021P」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート)、株式会社ダイセル製
(酸無水物型硬化剤)
NMA:商品名「NMA」、Dixie Chemical社製、無水メチルナジック酸
HHPA7030NC:商品名「HHPA 7030NC」、Dixie Chemical社製、ヘキサヒドロ無水フタル酸とメチルヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物
ECA100:商品名「ECA 100」、Dixie Chemical社製、メチルテトラヒドロ無水フタル酸とテトラヒドロ無水フタル酸の混合物
HN−5500N:商品名「HN−5500N」、日立化成株式会社製、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸
(ポリエステルポリオール)
PCL220EB:商品名「プラクセル 220EB」、株式会社ダイセル製、脂肪族ポリエステルジオール、分子量2000、水酸基価56.8KOHmg/g
PCL305:商品名「プラクセル 305」、株式会社ダイセル製、ポリカプロラクトントリオール、分子量550、水酸基価305.6KOHmg/g
PCL303:商品名「プラクセル 303」、株式会社ダイセル製、ポリカプロラクトントリオール、分子量310、水酸基価541.3KOHmg/g
PCL205U:商品名「プラクセル 205U」、株式会社ダイセル製、ポリカプロラクトンジオール、分子量530、水酸基価211.9KOHmg/g
L220AL:商品名「プラクセル L220AL」、株式会社ダイセル製、脂肪族ポリエステルジオール、分子量2000、水酸基価56.8KOHmg/g
L320AL:商品名「プラクセル L320AL」、株式会社ダイセル製、脂肪族ポリエステルトリオール、分子量200、水酸基価83.4KOHmg/g
クラポールP−2010:商品名「クラポール P−2010」、脂肪族ポリエステルジオール、株式会社クラレ製、分子量2000
(硬化促進剤)
1−MI:1−メチルイミダゾール
2−MI:2−メチルイミダゾール
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール
HPI:1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール
LC−80:商品名「Technicure LC−80」、A&C Catalysts社製、2−メチルイミダゾールとビスフェノールA型エポキシ化合物とのアミンアダクト体、潜在型硬化促進剤
PX−4ET:商品名「PX−4ET」、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート、日本化学工業株式会社製
(添加剤)
R202:商品名「AEROSIL R202」、エボニック社製、フュームドシリカ
TS−720:商品名「CAB−O−SIL TS−720」、キャボット社製、フュームドシリカ
BYK378:商品名「BYK−378」、ビックケミー・ジャパン社製
BYK506:商品名「BYK−A 506」、ビックケミー・ジャパン社製
BYK525:商品名「BYK−A 525」、ビックケミー・ジャパン社製
以下、本開示に係る発明のバリエーションを記載する。
[付記1]分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、およびイミダゾール系硬化促進剤(C)を含み、25℃で液状である、回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記2]ポリエステルポリオール(D)を含む付記1に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記3]分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、イミダゾール系硬化促進剤(C)、およびポリエステルポリオール(D)を含む、回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記4]ポリエステルポリオール(D)は分子量250以上(好ましくは600以上、より好ましくは1100以上、さらに好ましくは1700以上)であるポリエステルポリオールを含む、付記2または3に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記5]ポリエステルポリオール(D)は分子量100000以下(50000以下、10000以下、または4000以下)であるポリエステルポリオールを含む、付記2〜4のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記6]ポリエステルポリオール(D)は水酸基価600KOHmg/g以下(好ましくは200KOHmg/g以下、より好ましくは100KOHmg/g以下、さらに好ましくは80KOHmg/g以下)であるポリエステルポリオールを含む付記2〜5のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記7]ポリエステルポリオール(D)は分子量600以上且つ水酸基価200KOHmg/g以下であるポリエステルポリオールを含む、付記2〜6のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記8]ポリエステルポリオール(D)はポリラクトンポリオールおよび/または脂肪族ポリエステルポリオールを含む付記2〜7のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記9]前記硬化性エポキシ組成物におけるポリエステルポリオール(D)の含有割合が、硬化性エポキシ組成物の総量に対して1〜30質量%(好ましくは3〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%)である付記2〜8のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記10]前記硬化性エポキシ組成物におけるポリエステルポリオール(D)の割合が、前記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化性化合物の総量に対して5〜45質量%(好ましくは10〜35質量%、より好ましくは15〜30質量%)である付記2〜9のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記11]前記硬化性エポキシ組成物に含まれるエポキシ化合物中の脂環式エポキシ化合物(A)の割合が70質量%超(75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、または99質量%以上)である付記1〜10のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記12]前記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化剤中の酸無水物系硬化剤(B)の割合が80質量%超(85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、または99質量%以上)である付記1〜11のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記13]無機充填剤(E)を含む付記1〜12のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記14]無機充填剤(E)の含有量が、前記硬化性エポキシ組成物中の全硬化性化合物100質量部に対して0.5〜500質量部である、付記13に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記15]無機充填剤(E)の含有量が、前記硬化性エポキシ組成物中の全硬化性化合物100質量部に対して0.5〜50質量部(好ましくは1〜10質量部)である、付記13に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記16]無機充填剤(E)の含有量が、前記硬化性エポキシ組成物中の全硬化性化合物100質量部に対して100質量部以上(例えば、100〜500質量部)(より好ましくは250質量部以上(例えば、250〜400質量部))である、付記13に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記17]無機充填剤(E)の含有割合は、前記硬化性エポキシ組成物の総量に対して0.3〜90質量%である付記13に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記18]無機充填剤(E)の含有割合は、前記硬化性エポキシ組成物の総量に対して0.3〜8質量%(好ましくは0.5〜3質量%)である付記13に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記19]無機充填剤(E)の含有割合は、前記硬化性エポキシ組成物の総量に対して50質量%以上(例えば50〜90質量%)(好ましくは55質量%以上(例えば、55〜80質量%))である付記13に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記20]無機充填剤(E)はシリカ(好ましくは疎水性シリカ)を含む付記13〜19のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記21]シリカの比表面積は10m2/g以上(好ましくは40m2/g以上、より好ましくは70m2/g以上)である付記20に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記22]シリカの中心粒径は200nm以下(好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下)である付記20または21に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記23]シリカの中心粒径は0.1〜50μm(好ましくは0.1〜30μm)である付記20〜22のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記24]25℃における粘度が330mPa・s以上(例えば330〜100000mPa・s)である付記1〜23のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記25]25℃における粘度が400mPa・s以上(例えば400〜10000mPa・s)(好ましくは450mPa・s以上(例えば450〜1000mPa・s))である付記1〜23のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記26]25℃における粘度が8000mPa・s以上(例えば8000〜100000mPa・s)(好ましくは10000mPa・s以上(例えば10000〜70000mPa・s)である付記1〜23のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記27]酸無水物系硬化剤(B)は無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物等の無水ナジック酸またはその誘導体(好ましくは、無水メチルナジック酸)を含む付記1〜26のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記28]イミダゾール系硬化促進剤(C)は1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、これらのアミンアダクト(好ましくはエポキシ化合物とのアミンアダクト、より好ましくはビスフェノール型エポキシ化合物とのアミンアダクト、さらに好ましくはビスフェノールA型エポキシ化合物とのアミンアダクト)、およびこれらのうちの1以上を含む潜在型硬化促進剤からなる群より選択される1以上を含む付記1〜27のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記29]ポリエステルポリオール(D)以外の多価アルコール(好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンからなる群より選択される1以上の多価アルコール)を含む付記1〜28のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記30]前記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化性化合物中の脂環式エポキシ化合物(A)およびポリエステルポリオール(D)の合計の割合(ポリエステルポリオール(D)を含まない場合は脂環式エポキシ化合物(A)の割合)が50質量%以上(好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上)である付記1〜29のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記31]前記硬化性エポキシ組成物における酸無水物系硬化剤(B)の含有量が、硬化性エポキシ組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の総量100質量部に対して50〜200質量部(好ましくは80〜150質量部)である、付記1〜30のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記32]前記硬化性エポキシ組成物における酸無水物系硬化剤(B)の含有量が、前記硬化性エポキシ組成物に含まれる全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量(好ましくは0.8〜1.1当量、より好ましくは0.9当量以上1.0当量未満)となる割合である付記1〜31のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記33]前記硬化性エポキシ組成物におけるイミダゾール系硬化促進剤(C)の含有量が、前記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化性化合物の総量100質量部に対して0.01〜5質量部(好ましくは0.03〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部)である付記1〜32のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記34]前記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化促進剤中のイミダゾール系硬化促進剤(C)の割合が、硬化促進剤の総量に対して50質量%以上(60質量%以上、75質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、または99質量%以上)である付記1〜33のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記35]前記硬化性エポキシ組成物における脂環式エポキシ化合物(A)の割合が、前記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化性化合物の総量に対して50質量%以上(60質量%以上、70質量%以上、または75質量%以上)である付記1〜34のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記36]酸化防止剤(好ましくはフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、および硫黄系酸化防止剤からなる群より選択される1以上の酸化防止剤、より好ましくはリン系酸化防止剤、さらに好ましくはホスファイト系酸化防止剤)を含む付記1〜35のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記37]前記硬化性エポキシ組成物における酸化防止剤の含有量が、前記硬化性エポキシ組成物に含まれるエポキシ化合物の総量100質量部に対して0.1〜5質量部(好ましくは0.5〜3質量部)である付記36に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記38]前記回転電機の固定子コイル含浸用、または、前記回転電機の回転子コアに設けられた穴部に挿入された磁石を前記穴部内壁に固定するための磁石固定用である、付記1〜37のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
[付記39]付記1〜38のいずれか1つに記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物の硬化物。
[付記40]ガラス転移温度が180℃以上(好ましくは190℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは210℃以上)である付記39に記載の硬化物。
[付記41]150℃における曲げひずみが2.0%以上(好ましくは4.4%以上、より好ましくは5.0%以上、さらに好ましくは5.4%以上)である付記39または40に記載の硬化物。
[付記42]23℃における曲げひずみが2.0%以上(好ましくは3.0%以上、より好ましくは4.0%以上、さらに好ましくは4.3%以上)である付記39〜41のいずれか1つに記載の硬化物。
[付記43]固定子コイルを覆うように形成された付記39〜42のいずれか1つに記載の硬化物を備える回転電機用固定子。
[付記44]回転子の巻線を被覆した付記39〜42のいずれか1つに記載の硬化物を備える回転電機用回転子。

Claims (20)

  1. 分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、およびイミダゾール系硬化促進剤(C)を含み、25℃で液状である、回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  2. ポリエステルポリオール(D)を含む請求項1に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  3. 分子内に脂環構造およびエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)、酸無水物系硬化剤(B)、イミダゾール系硬化促進剤(C)、およびポリエステルポリオール(D)を含む、回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  4. ポリエステルポリオール(D)は分子量600以上且つ水酸基価200KOHmg/g以下であるポリエステルポリオールを含む、請求項2または3に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  5. 前記硬化性エポキシ組成物に含まれるエポキシ化合物中の脂環式エポキシ化合物(A)の割合が70質量%超である請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  6. 前記硬化性エポキシ組成物に含まれる硬化剤中の酸無水物系硬化剤(B)の割合が80質量%超である請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  7. 無機充填剤(E)を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  8. 無機充填剤(E)の含有量が、前記硬化性エポキシ組成物中の全硬化性化合物100質量部に対して0.5〜50質量部である、請求項7に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  9. 無機充填剤(E)の含有量が、前記硬化性エポキシ組成物中の全硬化性化合物100質量部に対して100質量部以上である、請求項7に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  10. 25℃における粘度が330mPa・s以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  11. 酸無水物系硬化剤(B)は無水メチルナジック酸を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  12. イミダゾール系硬化促進剤(C)は1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、これらのアミンアダクト、およびこれらのうちの1以上を含む潜在型硬化促進剤からなる群より選択される1以上を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  13. フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、および硫黄系酸化防止剤からなる群より選択される1以上の酸化防止剤を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  14. エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンからなる群より選択される1以上の多価アルコールを含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  15. 前記回転電機の固定子コイル含浸用、または、前記回転電機の回転子コアに設けられた穴部に挿入された磁石を前記穴部内壁に固定するための磁石固定用である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の回転電機用硬化性エポキシ組成物の硬化物。
  17. ガラス転移温度が180℃以上である請求項16に記載の硬化物。
  18. 150℃における曲げひずみが4.4%以上である請求項16または17に記載の硬化物。
  19. 固定子コイルを覆うように形成された請求項16〜18のいずれか1項に記載の硬化物を備える回転電機用固定子。
  20. 回転子の巻線を被覆した請求項16〜18のいずれか1項に記載の硬化物を備える回転電機用回転子。
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