JP2013139531A - 樹脂組成物およびそれを用いたワニス、エナメル線、回転機 - Google Patents

樹脂組成物およびそれを用いたワニス、エナメル線、回転機 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、絶縁性、接着性、可とう性に優れた樹脂組成物、ワニス、エナメル線、回転機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、硬化後のワニスが、耐熱性の高い材料とフィラーとの結合基を有する誘電率の低い材料の共重合体に絶縁性フィラーを化学的に結合した構造をとることを特徴とする。具体的には、高耐熱のマレイミドと、結合性ビニルを1つ以上有する低誘電率で高接着性のアルコキシシランとからなる樹脂組成物である。
【選択図】 図6

Description

本発明は、耐熱性等を求められる樹脂組成物およびそれを用いたワニス、エナメル線、回転機に関する。
従来、モーターや発電機等の回転機のエナメル線で、耐熱性の要求が高い用途については、ポリエステルイミド樹脂を主成分としたワニス、特に、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートを用いて、分子中にイミド結合およびイソシアヌレート環を導入したポリエステルイミド樹脂を焼付けたポリエステルイミド樹脂ワニスが用いられている。
回転機の小型化、高出力化に伴い、巻線はより狭いステータコア内部で巻線を巻回することになり、より高い温度、電圧、熱膨張・熱収縮に伴うひずみ下で使用される。そのため、エナメル線のワニス部分にも更なる耐熱性、絶縁性、接着性が求められている。さらに、エナメル線として用いる時には、ワニス層の厚みをできるだけ薄くし、占有率を少なくすることが求められている。
例えば、特許文献1には、ポリエステルイミド系樹脂、および2級炭素に結合したメルカプト基を2個以上有する多官能チオール化合物を含有したワニスが開示されている。このような樹脂組成物で耐熱性、接着性、可とう性に優れたワニスを達成する試みが行われている。
特許文献2には、扁平で微細な無機質充填材料をエナメル樹脂に充填してエナメル塗料材料とし、予備混合後、エナメル塗料材料を導線に付着させ、導線を所定寸法のダイスを通すことで、エナメル塗料材料にせん断力を与え、そのせん断力により物理的に無機質充填材料を配向させ、エナメル塗料材料を導線の表面に焼付ける、エナメル線の製造方法が開示されている。このようなエナメル塗料材料および製造方法により、無機質充填材料の重量部を低く抑えて、サージ電圧に対する耐電圧寿命および耐熱劣化寿命の向上を達成する試みが行われている。
特許文献3には、動機電動機のステータコアの内側表面部に絶縁用の樹脂モールドを施すことで、ステータコア内部で直接巻線を巻回できるモーターの固定子の構造が開示されている。このような固定子構造とすることで、同期電動機のステータへの巻線作業を容易にする試みが行われている。
特開2010−135178号公報 特開2008−270227号公報 特開平9−215248号公報
ワニスに用いられる樹脂組成物には、作業性の向上の観点から溶剤への溶解性が求められ、導線への焼付け後のエナメル線のワニス部分には、高温環境下で分解や軟化を起こさない耐熱性、巻線間のサージ電圧を抑制する低誘電性、サージ電圧によるトリーを抑制する耐放電劣化性、使用環境の温度変化による導線の熱膨張・熱収縮に耐える接着性、可とう性が必要とされる。また、エナメル線を回転機等に用いるときは、設計の自由度を向上させるために、ワニス部分には導線に対する接着性や可とう性が必要とされる。ワニスには、樹脂組成物としてポリエステルイミド樹脂にチオール化合物を含有したものを、ノルマルメチルピロリドン等の有機溶媒に溶解させて、使用させることが多い。ここで、ポリエステルイミドはエステル部分の耐熱性のため、ワニスとして用いた時の軟化温度が400℃程度であり、さらなる高耐熱化が求められる。また、ポリエステルイミドをワニスとして用いる場合、溶媒として、沸点200℃のN−メチル−2−ピロリドンや、沸点165℃のN、N−ジメチルアセトアミド等の高沸点溶媒を用いなければならず、さらなる焼付け温度の低温化が求められる。
特許文献1は耐摩耗性、可とう性に優れたワニスとして有効であるが、耐熱性の向上、硬化温度を低くするという観点では十分な検討はなされていない。特許文献2は扁平な無機充填物を樹脂内で物理的に配向させ、ワニス層の厚みを薄くしたワニスとして有効であるが、扁平な無機充填材料の層間に結合している金属イオンが焼付け後樹脂内に残存すると絶縁性が低下する等課題があり、耐熱性の向上、絶縁性の向上、硬化温度の低温化、金属に対する接着性向上という観点では十分な検討はなされていない。特許文献3は巻線を中継するための端子を固定する端子用ハウジングをステータコアの絶縁用樹脂モールドと一体成形することによって、ハウジング用の部品を新たに組み込む必要がなくなり、コストの低下やスペース上の効率的配置を行うことができるが、巻線形状や巻回設計の自由度という観点では十分な検討はなされていない。
本発明は、耐熱性、絶縁性、接着性、可とう性に優れた樹脂組成物およびそれを用いたワニス、エナメル線、回転機を提供することを目的とする。
本発明は、硬化後のワニスが、耐熱性の高い材料とフィラーとの結合基を有する誘電率の低い材料の共重合体に絶縁性フィラーを化学的に結合した構造をとることを特徴とする。
本発明のモーターは、本発明のエナメル線の良好な接着性、絶縁性のため、巻線端部との絶縁距離を確保するために、コイル成形をきつくすることが可能であり、従来の同期電動機のステータの構造を用いることができる。また、ステータのコイルエンド部に筒状の絶縁リングを挿入して軸受は維持リングの外周あるいはローター間を絶縁しても良い。
本発明により、耐熱性、絶縁性、接着性、可とう性に優れた樹脂組成物およびそれを用いたワニス、エナメル線、回転機を提供することができる。
樹脂組成物の構成図である。 樹脂組成物のDSC曲線である。 樹脂組成物のガラス転移温度である。 樹脂組成物の熱分解曲線である。 樹脂組成物の10%重量減少温度である。 エナメル線縦断面構成図である。 エナメル線の特性評価結果である。 本発明の回転機の固定子の縦断面図である。 比較例3の回転機の固定子の縦断面図である。
本発明は、硬化後のワニスが、耐熱性の高い材料とフィラーとの結合基を有する誘電率の低い材料の共重合体に絶縁性フィラーを化学的に結合した構造をとることを特徴とする。具体的には、図1に示すように高耐熱のマレイミドと、結合性ビニルを1つ以上有する低誘電率で高接着性のアルコキシシランとからなる樹脂組成物である。この樹脂組成物に、シリカ粒子、シランカップリング剤の一方あるいは双方を配合し、加熱することにより、簡便にマレイミドと結合性ビニルを1つ以上有するアルコキシシランの共重合体にフィラーが化学的に結合した構造とすることを特徴とする。
また、この時のマレイミドと結合性ビニルを1つ以上有するアルコキシシランからなる樹脂組成物は、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として、m−ジニトロベンゼンを停止剤として、ヘキサンおよびトルエンを溶媒として、ラジカル重合により共重合体としておくことが望ましい。
共重合体の形成前のマレイミドは、下記式(1)で表される。
(R1はマレイミド、アルキル基、フェニル基、ビニル基置換フェニル基、または水素原子であり、R2及びR3は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR2及びR3が互いに結合して炭素環を形成している。)
また、共重合体の形成前のアルコキシシランは、下記式(2)で表される芳香族ビニル化合物である。
(R4はアルコキシシラン基、ビニル基、または水素原子である。)
また、共重合体を形成後のマレイミドは、下記式(3)または式(4)で表される。
(R5はマレイミド、アルキル基、フェニル基、ビニル基置換フェニル基、または水素原子であり、R6及びR7は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR6及びR7が互いに結合して炭素環を形成している。)
(R8及びR9は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR8及びR9が互いに結合して炭素環を形成している。R10及びR11は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR10及びR11が互いに結合して炭素環を形成している。)
共重合体の形成後のアルコキシシランは、下記式(5)で表される芳香族ビニル化合物である。
(R12はアルコキシシラン基、ビニル基、または水素原子であり、R13およびR14は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR13及びR14が互いに結合して炭素環を形成している。)
また、この時のシリカ粒子、シランカップリング剤の一方あるいは双方の添加時にはアンモニア水およびアルコールを同時に添加しておくことが望ましい。なお、フィラーはシランカップリング剤からなるものとしても良い。
また、この時の樹脂組成物と、シリカ粒子、シランカップリング剤の一方あるいは双方を添加する溶媒はトルエン、テトラヒドロフランのどちらか一方あるいは双方であることが望ましい。
本発明のワニスは、前記樹脂組成物に、シランカップリング剤及びその他の添加剤を配合し、固形分含有率30〜60質量%程度となるように、有機溶剤で希釈することにより製造される。
また、この時のシランカップリング剤は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランのいずれかであることが望ましい。以降、本発明においてシランカップリング剤とはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランを意味することとする。
本発明のエナメル線は、ワニスを導体に直接塗布した後、焼付けて硬化することにより絶縁被膜を形成できる。焼付け温度としては、有機溶剤が揮発できる温度であることが望ましい。導体としては銅線、アルミニウム線などの金属導体が用いられる。
なお、このエナメル線はワニスのみを焼付けても良いが、耐摩耗性を向上させるために、ワニスを塗布焼付けした後、市販の樹脂ワニスを上塗り焼付けしても良い。市販の樹脂ワニスは特に限定せず、従来から絶縁被膜に用いられているポリエステルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ系樹脂などを用いることができる。
本発明の回転機は、本発明のエナメル線の良好な接着性、絶縁性のため、巻線端部との絶縁距離を確保するために、コイル成形をきつくすることが可能であり、従来の同期電動機のステータの構造を用いることができる。また、ステータのコイルエンド部に筒状の絶縁リングを挿入して軸受は維持リングの外周あるいはローター間を絶縁しても良い。
<実施例1>
実施例1に係る樹脂組成物の作製に関しては、例えばN−フェニルマレイミドと4−(トリメトキシシリル)スチレンの共重合に関して下記の操作を行った。50mlの二口ナスフラスコに再結晶精製した、N−フェニルマレイミド、アゾビスイソブチロニトリル、およびスターラーを投入し、玉入り冷却管を取り付け、セプタムで密栓した。玉入り冷却管には三方コックを取り付けた。ガラス器具系内の真空引きと窒素置換を3回行った後、シリンジを使って、4−(トリメトキシシリル)スチレンとして、所定量の信越化学工業株式会社製のKBM1403および溶媒を投入した。攪拌しながらオイルバスで60℃に加熱し、8時間ラジカル共重合を行った。8時間後ガラス器具をオイルバスより外し、m−ジニトロベンゼンを投入して重合反応を停止させた。重合溶液を脱水メタノール中に投入し、窒素置換した状態で一晩放冷した。重合物はグラスマイクロフィルターをセットしたガラスろ過器を用いて吸引ろ過し、室温で8時間真空乾燥した後、ガラスサンプル管で室温保管した。サンプル管への保管は窒素雰囲気のグローボックス中にて行った。
また、25%アンモニア水に共重合物、シリカフィラー、あるいはシランカップリング剤のどちらか一方あるいは双方を投入し、1時間ミックスローターにて攪拌した後、THFを投入し、さらに一晩攪拌した。撹拌後、溶液をPTFEシートを敷いたアルミカップに移し、80℃30分間、100℃30分間、160℃1時間加熱し、サンプルとした。
<比較例1>
比較例1に係る樹脂組成物の作製に関しては、例えばN−フェニルマレイミドとスチレンの共重合に関しては下記の操作を行った。50mlの二口ナスフラスコに再結晶精製した、N−フェニルマレイミド、アゾビスイソブチロニトリル、およびスターラーを投入し、玉入り冷却管を取り付け、セプタムで密栓した。玉入り冷却管には三方コックを取り付けた。ガラス器具系内の真空引きと窒素置換を3回行った後、シリンジを使って所定量の蒸留精製したスチレンモノマおよび溶媒を投入した。攪拌しながらオイルバスで60℃に加熱し、8時間ラジカル共重合を行った。8時間後ガラス器具をオイルバスより外し、m−ジニトロベンゼンを投入して重合反応を停止させた。重合溶液を脱水メタノール中に投入し、窒素置換した状態で一晩放冷した。重合物はグラスマイクロフィルターをセットしたガラスろ過器を用いて吸引ろ過し、室温で8時間真空乾燥した後、ガラスサンプル管で室温保管した。サンプル管への保管は窒素雰囲気のグローボックス中にて行った。
また、25%アンモニア水に共重合物、シリカフィラー、シランカップリング剤を投入し、1時間ミックスローターにて攪拌した後、THFを投入し、さらに一晩攪拌した。撹拌後、溶液をPTFEシートを敷いたアルミカップに移し、80℃30分間、100℃30分間、160℃1時間加熱し、サンプルとした。
<実施例1と比較例1の対比(1)>
図2に樹脂組成物のDSC曲線を示す。図2により、実施例1に係る樹脂組成物と、比較例1に係る樹脂組成物との耐熱性の違いが分かる。
本実施例において、樹脂組成物のガラス転移温度は以下の方法で測定した。N−フェニルマレイミド−スチレン共重合体、N−フェニルマレイミド−4−(トリメトキシシリル)スチレン共重合体、共重合体−シリカおよびシランカップリング剤添加材の示差熱熱量分析はティー・エイ・インスツルメンツ社製DSCQ2000にて行った。アルミパンを用いて、0℃−300℃−0℃のサイクルを昇温速度10℃/分にて測定を行った。
サンプルNo.1〜6の条件は以下の通りである。
[実施例1に係る樹脂組成物 サンプルNo.1〜3]
(サンプルNo.1)
N−フェニルマレイミド−KBM1403の重合体100質量部に対して、シリカフィラーが10質量部となるように樹脂組成物を作成した。
(サンプルNo.2)
N−フェニルマレイミド−KBM1403が重合体100質量部に対して、シリカフィラーが5質量部、シランカップリング剤からなるシリカ(シランカップリング剤が反応した後の生成されるシリカ)が5質量部となるように樹脂組成物を作成した。
(サンプルNo.3)
N−フェニルマレイミド−KBM1403が重合体100質量部に対して、シリカフィラーが15質量部、シランカップリング剤からなるシリカ(シランカップリング剤が反応した後の生成されるシリカ)が15質量部となるように樹脂組成物を作成した。
[比較例1に係る樹脂組成物 サンプルNo.4〜6]
(サンプルNo.4)
N−フェニルマレイミド−スチレンの重合体100質量部に対して、シリカフィラーが10質量部となるように樹脂組成物を作成した。
(サンプルNo.5)
N−フェニルマレイミド−スチレンの重合体100質量部に対して、シリカフィラーが5質量部、シランカップリング剤からなるシリカ(シランカップリング剤が反応した後の生成されるシリカ)が5質量部となるように樹脂組成物を作成した。
(サンプルNo.6)
N−フェニルマレイミド−スチレンの重合体100質量部に対して、シリカフィラーが15質量部、シランカップリング剤からなるシリカ(シランカップリング剤が反応した後の生成されるシリカ)が15質量部となるように樹脂組成物を作成した。
図3に実験の結果として得られた樹脂組成物のガラス転移温度を示す。実施例1に係る樹脂組成物であるサンプルNo.1〜3ではガラス転移温度を検出できなかったが、比較例に係る樹脂組成物であるサンプルNo.4〜6ではガラス転移温度を検出できた。この結果は、実施例1に係る樹脂組成物が、比較例1に係る樹脂組成物よりも高い耐熱性を有することを示す。
<実施例1と比較例1の対比(2)>
図4に樹脂組成物の熱分解曲線を示す。図4により、実施例1に係る樹脂組成物と、比較例1に係る樹脂組成物との耐熱性の違いが分かる。サンプルの条件は、実施例1と比較例1の対比(1)と同様である。
図5に実験の結果として得られた10%重量減少温度を示す。10%重量減少温度とは、熱分解により重量(質量)が熱分解前より10%重量減少したときの温度である。10%重量減少温度が、サンプルNo.1〜3では449℃以上となり、サンプルNo.4〜6では387℃以下となった。この結果は、実施例1に係る樹脂組成物が、比較例1に係る樹脂組成物よりも高い耐熱性を有することを示す。
上記実験において、樹脂組成物の熱重量測定は以下の方法で行った。ティー・エイ・インスツルメンツ社製のTGAQ500にて行った。アルミパンを用い、窒素気流下で、40℃から550℃まで昇温速度10℃/分にて測定を行った。
<実施例2>
図6(A)にエナメル線510の縦断面の構成図を示す。銅線513の外側に実施例1のワニス層511が形成されている。このワニスを用いた、エナメル線の作製に関しては、下記の操作を行った。
上述の樹脂組成物(実施例1のサンプルNo.1)100重量分に、シランカップリング剤を2重量分配合し、固形分含有率30〜60質量%程度となるように、トルエンで希釈しワニス層511とした。ワニスを直径1.008mmの銅線に塗布し、200℃で焼付けることにより、仕上げ径1.080mm(絶縁被膜厚み0.036mm)の絶縁電線を製造した。製造した絶縁電線について、上記評価方法に基づいて、耐摩耗性、絶縁破壊電圧、可とう性、ヒートショック試験、軟化温度を測定した。
<実施例3>
図6(B)にエナメル線520の縦断面の構成図を示す。銅線513の外側に実施例1のワニス層511が形成され、ワニス層511の外側にポリエステルイミド樹脂ワニス521が形成されている。このワニスを用いた、エナメル線の作製に関しては、下記の操作を行った。
上述の樹脂組成物(実施例1のサンプルNo.1)100重量分に、シランカップリング剤を2重量分配合し、固形分含有率30〜60質量%程度となるように、トルエンで希釈しワニス層511とした。ワニス層511を直径1.008mmの銅線に塗布し、200℃で焼付け、その後ポリエステルイミド樹脂ワニスを銅線に塗布し400℃で焼付けることにより、仕上げ径1.080mm(絶縁被膜厚み0.036mm)の絶縁電線を製造した。製造した絶縁電線について、上記評価方法に基づいて、耐摩耗性、絶縁破壊電圧、可とう性、ヒートショック試験、軟化温度を測定した。
<比較例2>
比較例2として、ポリエステルイミド樹脂ワニスを用いた、エナメル線の作製に関しては、下記の操作を行った。ポリエステルイミド樹脂組成物100重量分に、シリカフィラーを10重量分、あるいは30重量分配合し、固形分含有率30〜60質量%程度となるように、トルエンで希釈しワニスとした。ワニスを直径1.008mmの銅線に塗布し、400℃で焼付けることにより、仕上げ径1.080mm(絶縁被膜厚み0.036mm)の絶縁電線を製造した。製造した絶縁電線について、上記評価方法に基づいて、耐摩耗性、絶縁破壊電圧、可とう性、ヒートショック試験、軟化温度を測定した。
図7はエナメル線の特性評価結果である。上記測定において、エナメル線の耐摩耗性は以下の方法で評価した。JIS C3003−1999に記載の耐摩耗試験に準拠し、一方向摩耗値(g)を測定した。どの程度の力が加わったときに被膜が破損するかを調べるもので、捲線時のストレスに対する被膜強度の指標となる。なお、各絶縁電線について、5本ずつ測定した結果の平均値を示す。
上記測定において、エナメル線の絶縁破壊電圧は以下の方法で評価した。作製した絶縁電線2本を用いて撚り線を作成し、これをJIS C2002 10に準じて、絶縁破壊電圧(kV)を測定し、10個のサンプルの測定値を平均して平均絶縁破壊電圧を求めた。なお、各絶縁電線10本ずつ測定した結果の平均値を示す。
上記測定において、エナメル線の可とう性は以下の方法で評価した。絶縁電線を、初期長さに対して20%伸長し、伸長後、JIS C3003 7.1.1可とう性試験に準拠して試験した。具体的には、絶縁電線の自己径(1d)、2倍(2d)を有する丸棒に沿って電線を、電線と電線とが接触するように30回巻き付けた後、亀裂の有無を観察し、亀裂が発生しなかったときの丸棒の径(1d又は2d)を調べた。1dでも亀裂を生じない場合は、可とう性に優れているといえる。
上記測定において、エナメル線のヒートショック試験は以下の方法で行った。絶縁電線を、初期長さに対して20%伸長し、伸長後、JIS C3003 20の耐衝撃試験に準拠して試験した。具体的には、200℃で30分間加熱した後、絶縁電線の自己径(1d)、2倍(2d)、3倍(3d)を有する丸棒に沿って電線を、電線と電線とが接触するように30回巻き付けた後、亀裂の有無を観察し、亀裂が発生しなかったときの丸棒の径を調べた。丸棒の径が小さいほど、可とう性が高温処理によっても保持できていることを意味し、耐熱性に優れているといえる。同様のヒートショック試験を220℃、で30分間加熱処理した後についても行った。
上記測定において、エナメル線の軟化温度は以下の方法で評価した。JIS C3003「エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法」に準じて、軟化温度(℃)を測定した。JISに規定する荷重(700g)、2倍荷重(1400g)及び3倍荷重のそれぞれについて、電線が導通したときの温度(軟化温度)を測定した。なお、各絶縁電線について、5本ずつ測定した結果の最大値と最小値の平均値を示す。
図7によれば、耐磨耗性(gf)において、実施例2、3のエナメル線用ワニスは、比較例2(従来)のポリエステルイミド樹脂ワニスよりも400高い値を示す。従って、実施例2、3のエナメル線用ワニスの方が接着性に優れている。
絶縁破壊電圧(kV)において、実施例2、3のエナメル線用ワニスは、比較例2(従来)のポリエステルイミド樹脂ワニスよりも高い値を示す。従って、実施例2、3のエナメル線用ワニスの方が耐圧性に優れている。
可とう性試験において、実施例2、3のエナメル線用ワニスは、比較例2(従来)のポリエステルイミド樹脂ワニスと同じ1dを示す。従って、実施例2、3のエナメル線用ワニスは、比較例2(従来)のポリエステルイミド樹脂ワニスと同程度の可とう性を示す。
ヒートショック試験において、実施例2、3のエナメル線用ワニスは、比較例2(従来)のポリエステルイミド樹脂ワニスと同じ1dを示す。従って、実施例2、3のエナメル線用ワニスは、比較例2(従来)のポリエステルイミド樹脂ワニスと同程度の耐熱性を示す。
耐軟化温度(℃)において、実施例2、3のエナメル線用ワニスは、比較例2(従来)のポリエステルイミド樹脂ワニスよりも高い値を示す。従って、実施例2、3のエナメル線用ワニスの方が耐熱性に優れている。
以上のように、実施例2、3のエナメル線用ワニスは比較例2(従来)のポリエステルイミド樹脂ワニスと比較して耐圧、耐熱、導線への接着性に優れていることが明らかとなった。また、本発明のワニスと従来のエナメル線用ワニスを組み合わせても比較的良好な特性を得られることが分かった。
<実施例4>
図8に本発明に係る回転機(モーターまたは発電機)530の縦断面図を示す。回転機530は、固定子532、回転子533、エナメル線534、カバー535、軸受536、シャフト537を有する。エナメル線534として、耐圧性の高い実施例2のエナメル線510または実施例3のエナメル線520を採用することで、巻線端部に絶縁物等を設置することなく、回転機530を組むことができた。このため、直材費が安価となり、回転機が軽量化され、さらに組み付け工程を簡略化できた。
<比較例3>
図9に比較例として従来の回転機540の縦断面図を示す。回転機540は、回転機530と同様に固定子等の構成を有するが、エナメル線534は耐圧性の高いものではないため、巻線端部に絶縁物541を配置する必要があった。絶縁物541が必要な分だけ、製造コスト、製品重量、組立部品点数の面で本発明に劣るものである。
510、520、534 エナメル線
511 ワニス層
513 銅線
521 ポリエステルイミド樹脂ワニス
530、540 回転機
532 固定子
533 回転子
535 カバー
536 軸受
537 シャフト

Claims (12)

  1. マレイミドと、結合性ビニルを1つ以上有するアルコキシシランとの共重合体で構成する樹脂組成物。
  2. 前記共重合体にフィラーが結合した請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記フィラーはシランカップリング剤からなる請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記シランカップリング剤が、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシランまたはトリメトキシシランである請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記共重合体の形成前のマレイミドが、下記式(1)で表される請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂組成物。
    (R1はマレイミド、アルキル基、フェニル基、ビニル基置換フェニル基、または水素原子であり、R2及びR3は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR2及びR2が互いに結合して炭素環を形成している。)
  6. 前記共重合体の形成前のアルコキシシランが、下記式(2)で表される芳香族ビニル化合物である請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂組成物。
    (R4はアルコキシシラン基、ビニル基、または水素原子である。)
  7. 前記共重合体を形成後のマレイミドが、下記式(3)で表される請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂組成物。
    (R5はマレイミド、アルキル基、フェニル基、ビニル基置換フェニル基、または水素原子であり、R6及びR7は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR6及びR7が互いに結合して炭素環を形成している。)
  8. 前記共重合体を形成後のマレイミドが、下記式(4)で表される請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂組成物。
    (R8及びR9は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR8及びR9が互いに結合して炭素環を形成している。R10及びR11は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR10及びR11が互いに結合して炭素環を形成している。)
  9. 前記共重合体の形成後のアルコキシシランが、下記式(5)で表される芳香族ビニル化合物である請求項1乃至8のいずれかに記載の樹脂組成物。
    (R12はアルコキシシラン基、ビニル基、または水素原子であり、R13およびR14は、水素原子またはアルキル基のいずれかである、もしくはR13及びR14が互いに結合して炭素環を形成している。)
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の樹脂組成物を有するワニス。
  11. 請求項10に記載のワニスを銅線上に塗布し、焼き付けして成るエナメル線。
  12. 請求項11に記載のエナメル線を固定子コイルに用いた回転機。
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