JP2008081553A - 水性分散体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】平均粒子径が小さく、かつ、未乳化物量が少ない水性分散体を製造できる水性分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の水性分散体の製造方法は、バレル11内に2本のスクリュー12aが配備された二軸押出機10により熱可塑性樹脂を水性媒体に分散させて転相体を調製し、該転相体を冷却手段により冷却する水性分散体の製造方法であって、転相体を調製する際に、二軸押出機10のバレル11内の先端10a近傍の圧力P(MPa)を、式(1)に示す範囲内にすることを特徴とする。式(1) 0.50P≦P≦0.75P(式(1)におけるPは、二軸押出機10のバレル11内の先端10a近傍の温度T(℃)における純水の水蒸気圧(MPa)である。)
【選択図】図2

Description

本発明は、熱可塑性樹脂の水性分散体を連続的に製造するための水性分散体の製造方法に関する。
接着剤、塗料、樹脂改質剤等の原料として、水性媒体に熱可塑性樹脂が分散した水性分散体が使用されることがある。
水性分散体の製造方法としては、重合法および後乳化法が知られている。このうち、重合法は、水性分散体を得る方法として広く採用されているが、単量体の重合性により生成可能な熱可塑性樹脂の種類および単量体組成が限られ、また、重合反応のコントロールの繁雑さや装置上の複雑さなどの問題を有している。
一方、後乳化法は、乳化剤等の存在下、溶融した熱可塑性樹脂と水性媒体とを高剪断で混合して、水性媒体に熱可塑性樹脂を分散させて水性分散体を連続的に製造する方法である。
後乳化法による水性媒体の製造方法の具体例としては、例えば、特許文献1に、ポリオレフィンとカルボキシル基含有ポリオレフィンとを押出機により溶融混練後、水または塩基性物質の水溶液を供給し、これらを混合し、転相させて水性分散体を連続的に得る方法が開示されている。
また、特許文献2に、ポリエステルとスルホン酸基を含有するポリエステルあるいはポリビニルアルコールとを二軸押出機により溶融混練後、水性媒体を供給し、これらを混合し、転相させて転相体を調製した後、転相体を単軸押出機により冷却して、水性分散体を連続的に得る方法が開示されている。
特開昭63−46273号公報 特開2003−96281号公報
ところで、用途によっては、水性分散体として、熱可塑性樹脂の平均粒子径が小さいものが求められることがある。ところが、後乳化法では、平均粒子径の大きな水性分散体は容易に得られるものの、平均粒子径が小さなものを得ることは困難であった。
また、得られた水性分散体を自然濾過方式による濾過をすることがある。未乳化物量が多いと、その濾過の際に未乳化物だけでなく、未乳化物に付着した一部の水性分散体も除去されてしまい、水性分散体の最終的な収率が低下する。また、通常、後乳化法では押出機にて得た水性分散体を希釈槽中で希釈するが、未乳化物量が多いと、希釈の際に見かけ上の流動性が低くなったり、空気の巻き込みが増えたりする傾向にある。その結果、希釈が完了するまでの時間が長くなり、生産性が低下した。このことから、未乳化物量は少ないことが求められるが、特許文献1,2に記載の方法にて得た水性分散体は、未乳化物量が多かった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、平均粒子径が小さく、かつ、未乳化物量が少ない水性分散体を製造できる水性分散体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の水性分散体の製造方法は、バレル内に2本のスクリューが配備された二軸押出機により熱可塑性樹脂を水性媒体に分散させて転相体を調製し、該転相体を冷却手段により冷却する水性分散体の製造方法であって、
転相体を調製する際に、二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力P(MPa)を、式(1)に示す範囲内にすることを特徴とする。
式(1) 0.50P≦P≦0.75P
(式(1)におけるPは、二軸押出機のバレル内の先端近傍の温度T(℃)における純水の水蒸気圧(MPa)である。)
本発明の水性分散体の製造方法においては、冷却手段として押出機を用いることが好ましい。
本発明の水性分散体の製造方法によれば、平均粒子径が小さく、かつ、未乳化物量が少ない水性分散体を製造できる。
本発明の水性分散体の製造方法の一実施形態例について説明する。
図1には、本実施形態例の製造方法で使用される製造装置を示す。この製造装置1は、加熱可能なバレル11内に2本のスクリュー12a,12bが配備された二軸押出機10と、二軸押出機10の先端10a側に設けられ、冷却手段であるジャケット付きスタティックミキサー20と、二軸押出機10およびジャケット付きスタティックミキサー20を気密状態で接続する連結管30と、バレル11の末端11a側に熱可塑性樹脂、酸変性ポリオレフィンおよび乳化剤を供給する第1の供給手段40と、バレル11の中間部に水性媒体を供給する第2の供給手段50とを具備するものである。
該製造装置1を構成する二軸押出機10は、熱可塑性樹脂に水性媒体を添加した後、これらを転相させるために使用される。ここでいう転相とは、熱可塑性樹脂中に水性媒体が分散する状態から、水性媒体中に熱可塑性樹脂が分散する状態に転化することを意味する。また、本明細書では、二軸押出機10により転相させて得られたものを転相体という。
二軸押出機10の2本のスクリュー12a,12bの回転方向は互いに同方向であってもよいし、異方向であってもよい。
二軸押出機10の先端10a側には、図2に示すように、バレル11内の先端11b近傍の圧力Pを測定する圧力測定センサ13と、温度Tを測定する温度測定センサ14とが設置されている。
ジャケット付きスタティックミキサー20は、二軸押出機10で得られたものを冷却するために使用される。
連結管30は、二軸押出機10で得られた転相体をジャケット付きスタティックミキサー20に移送するためのものである。
連結管30には、外部ヒータ、温度調節器、必要に応じて、保温材、空冷または水冷の冷却機構が設けられて、管外壁の温度が制御可能になっていることが好ましい。管外壁の温度を制御すれば、平均粒子径がより小さく、かつ、未乳化物量がより少ない水性分散体を安定に製造できる。
第1の供給手段40としては、例えば、一般に押出機で使用される定量フィーダを用いることができる。定量フィーダを用いれば、所望の平均粒子径の水性分散体を容易に製造でき、また、水性分散体中の未乳化物量をより少なくできる。
第2の供給手段50としては、例えば、水性媒体を充填する容器51と、容器51内の水性媒体を二軸押出機10に送り出すポンプ52と、ポンプ52および二軸押出機10を接続した供給管53とを備える液体供給手段などが挙げられる。ポンプ52としては、例えば、ダイヤフラムポンプ、プランジャーポンプ等を使用できる。
上述した製造装置1を用いた水性分散体の製造方法(以下、製造方法と略す。)について説明する。
本実施形態例の製造方法では、まず、バレル11内を加熱した二軸押出機10の2本のスクリュー12a,12bを回転させながら、第1の供給手段40により、熱可塑性樹脂と酸変性ポリオレフィンと乳化剤をバレル11の末端11a側に連続的に供給し溶融混練する。
熱可塑性樹脂の供給量は二軸押出機10の規模(具体的には、スクリューの直径)に応じて適宜選択することが好ましい。
乳化剤の供給量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。乳化剤の供給量が、熱可塑性樹脂100質量部に対して1質量部以上であれば、水性媒体に熱可塑性樹脂を容易に分散させることができ、20質量部以下であれば、水性分散体の泡立ちを防止できる。
二軸押出機10のバレル11内温度は100〜250℃に調整することが好ましい。二軸押出機10のバレル11内温度を100℃以上かつ250℃以下とすれば、水性分散体を容易に製造できる。
次いで、第2の供給手段50により水性媒体をバレル11の中間部に連続的に供給し、さらに溶融混練して転相させて、転相体を調製する。
水性媒体の供給量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜35質量部であることが好ましい。水性媒体の供給量が、熱可塑性樹脂100質量部に対して1質量部以上であれば、水性分散体を容易に製造でき、35質量部以下であれば、熱可塑性樹脂を容易に微粒子化できる。
水性媒体は、所望の平均粒子径の水性分散体を容易に製造でき、また、未乳化物量をより少なくできることから、一定に供給することが好ましい。そのためには、第2の供給手段50のポンプ52として精度の高いものを用いることが好ましい。
その後、二軸押出機10により得た転相体を、連結管30を介してジャケット付きスタティックミキサー20に移送し、水性媒体の沸点以下まで冷却し、ジャケット付きスタティックミキサー20の先端から水性分散体を吐出させる。ジャケット付きスタティックミキサー20から吐出された水性分散体は、攪拌機を備えた槽内で希釈されてもよい。その際、槽を加熱してもよい。
本製造方法では、二軸押出機10のバレル11内の先端11b近傍の圧力P(MPa)を、式(1)に示す範囲内にする。ここで、圧力Pは、ゲージ圧力ではなく、絶対圧力である。
式(1) 0.50P≦P≦0.75P
式(1)におけるPは、二軸押出機10のバレル内の先端11b近傍の温度T(℃)における純水の水蒸気圧(MPa)である。
二軸押出機10のバレル11内の先端11b近傍の圧力Pを0.75Pより高くすると、得られる水性分散体の未乳化物量が多くなる。未乳化物量が多くなると、廃棄物が増えるため、環境への負荷が増大し、また、コストも高くなる。
二軸押出機10のバレル11内の先端11b近傍の圧力Pを0.50Pより低くすると、冷却過程で水分が蒸発しやすく、転相により生成した水の連続相が消失しやすくなるため、ジャケット付きスタティックミキサー20から吐出したものは水性媒体に分散困難なものとなる。なお、一般に、PがP未満になると水は沸騰するが、本製造方法により得られた転相体では、水は薄膜状態となって界面に束縛されているため、P未満であっても必ずしも沸騰せず、0.50Pより低くなると沸騰する。
本実施形態例において、二軸押出機10のバレル11内の先端11b近傍の圧力Pは、例えば、二軸押出機10への供給速度や、ジャケット付きスタティックミキサー20の温度設定により調整できる。例えば、二軸押出機10への供給速度を上げると先端11b近傍の圧力Pは上昇し、ジャケット付きスタティックミキサー20前後の圧力差が増大する。また、二軸押出機10への供給速度が一定であっても、ジャケット付きスタティックミキサー20の冷却を強く効かせると、先端11b近傍の圧力Pは上昇する。
よって、先端11b近傍の圧力Pの値が式(1)内に留まるよう、二軸押出機10への供給速度や冷却条件を設定することが必要である。
本製造方法で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどのα−オレフィンからなるホモポリマー、これらモノマーのコポリマー、これらモノマーと非共役ジエン、共役ジエン、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物等とを共重合したコポリマーなどが挙げられる。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体が好ましい。また、これらのホモポリマーまたはコポリマーにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸を導入した変性重合体も好ましい。
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレンとブタジエンあるいはイソプレンのランダム共重合体やブロック共重合体、それらの水素添加物、酢酸ビニルなどのビニルエステルの各種共重合体とその加水分解物などを用いることもできる。ビニルエステルの各種共重合体とその加水分解物の中では、エチレン―酢酸ビニルとその部分ケン化物または高ケン化物を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂には、例えば、酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤、無機充填剤などの添加剤があらかじめ添加されていても構わない。
酸変性ポリオレフィンとしては、α−オレフィンの単独重合体または共重合体にカルボン酸またはカルボン酸無水物を結合させた変性物が挙げられる。例えば、酸価が3〜200mg/gの無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などが挙げられる。酸変性ポリオレフィンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本製造方法で使用される乳化剤としては、各種のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、第1級高級脂肪酸塩、第2級高級脂肪酸塩、第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイルイミダゾールスルホン酸塩などが挙げられる。アニオン界面活性剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
なお、上記乳化剤を構成する高級脂肪酸としては、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
高級脂肪酸と塩を形成するための元素としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、HLB(親水親油バランス)値が10以上のものが使用され、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーなどが挙げられる。ノニオン界面活性剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
ノニオン界面活性剤を2種以上組合せて使用する場合には、その混合物のHLBが10以上になっていることが好ましい。
乳化剤は、粉体状または粒状の固体であってもよいし、液体であってもよい。
本製造方法で使用される水性媒体としては、例えば、水または塩基性物質の水溶液が使用される。
塩基性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミンやアルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩、水素化物ならびに、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩、水素化物等の水溶液が挙げられる。塩基性物質は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水性媒体の中でも、水性分散体を容易に製造できることから、塩基性物質の水溶液が好ましく、水酸化カリウムの5〜30質量%水溶液がより好ましい。
以上説明した製造方法では、二軸押出機10のバレル11内の先端11b近傍の圧力Pを特定の範囲内にする。本発明者らが調べた結果、二軸押出機10のバレル11内の先端11b近傍の圧力Pを特定範囲内にすることにより、未乳化物が少なく、かつ、平均粒子径が小さい水性分散体を安定に製造できることが判明した。
上記の製造方法により得られる水性分散体は、熱可塑性樹脂の種類に応じて、付着性、耐食性、ガスバリヤ性、耐チッピング性、耐ヒールマーク性などを発揮する。そして、発揮する効果によって、製品表面の防湿剤、撥水剤、皮膜形成剤、コーティング剤として使用されたり、繊維処理剤、ヒートシール剤、バインダー、プライマーなどとして他の材料と複合化されて使用されたりする。
また、水性分散体は、グラフト共重合体からなる樹脂改質剤の原料として使用することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態例に限定されない。例えば、本発明では、冷却手段はジャケット付きスタティックミキサーに限定されず各種の押出機などを使用することもできる。
[実施例1]
本例では、まず、二軸押出機のバレル内の先端近傍の温度を200℃に設定し、二軸押出機の2本のスクリューを同方向に回転させながら、熱可塑性樹脂であるEPDM(190℃でのMFRが7g/10分)と、酸変性ポリオレフィンである酸変性ポリエチレン(質量平均分子量;2700、酸価;30mg/g)と、オレイン酸カリウムとを二軸押出機のバレルの末端側に連続的に供給した。その際の酸変性ポリエチレンの供給量を、EPDM100質量部に対して15質量部とし、オレイン酸カリウムの供給量をEPDM100質量部に対して3質量部とし、かつ、EPDMと酸変性ポリエチレンとオレイン酸カリウムとの合計で3kg/時間とした。この供給量では、二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pが1.1MPaになった。
また、水性媒体である14質量%水酸化カリウム水溶液をバレルの中間部に供給した。そして、乳化剤存在下にて熱可塑性樹脂と水性媒体とを混合し、転相させて、転相体を調製した。
その後、二軸押出機10で得た転相体を、冷却手段であるジャケット付きスタティックミキサーに移送し、95℃まで冷却して取り出した。そして、取り出した水性分散体を攪拌機付きの分散槽に移し、水性媒体により固形分濃度50質量%付近まで希釈して、エマルション状の水性分散体を得た。この水性分散体の平均粒子径、未乳化物の質量割合を測定した。その結果を表1に示す。
なお、表1には、二軸押出機のバレル内の先端近傍の温度(本例では200℃)における水蒸気圧Pも示す。
<平均粒子径>
水性分散体における平均粒子径をMicrotrac UPA (Mountech Co.Ltd社製)により測定した。
<未乳化物の質量割合>
水性分散体を100メッシュのステンレス製金網で濾過し、メッシュ上の残留分を水洗、乾燥した後、濾過残留固形分の質量を測定した。そして、下記式(3)により水性分散体中の未乳化物の質量割合を求めた。
式(3) 未乳化物の質量割合(質量%)=[濾過残留固形分の質量(g)/全固形分の質量(g)]×100(質量%)
この未乳化物の質量割合が約50質量%以下であれば、水性分散体の収率低下および生産性低下を抑制できる。
Figure 2008081553
[実施例2]
冷却手段として単軸押出機を使用し、単軸押出機のスクリュー回転数を調節し、EPDMと酸変性ポリエチレンとオレイン酸カリウムとの合計の供給量を5kg/時間として、二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを0.8MPaとしたこと以外は実施例1と同様にして、エマルション状の水性分散体を得た。そして、この水性分散体を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
冷却手段として単軸押出機を使用し、単軸押出機のスクリュー回転数を調節し、EPDMと酸変性ポリエチレンとオレイン酸カリウムとの合計の供給量を8kg/時間として、二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを1.0MPaとしたこと以外は実施例2と同様にして、エマルション状の水性分散体を得た。そして、この水性分散体を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
冷却手段として単軸押出機を使用し、単軸押出機のスクリュー回転数を調節し、二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを1.1MPaとしたこと以外は実施例2と同様にして、エマルション状の水性分散体を得た。そして、この水性分散体を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
熱可塑性樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(190℃でのMFR;30g/10分、酢酸ビニル含量;33質量%)を用い、該エチレン−酢酸ビニル共重合体を13kg/時間、前記酸変性ポリエチレンを1.3kg/時間、オレイン酸カリウムを0.52kg/時間で二軸押出機に供給して、二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力を0.7MPaとした。また、二軸押出機のバレル内の先端近傍の温度を180℃に設定した。これらのこと以外は実施例2と同様にして、エマルション状の水性分散体を得た。そして、この水性分散体を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
EPDMと酸変性ポリエチレンとオレイン酸カリウムとの合計の供給量を4kg/時間とし、二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力を2.1MPaとしたこと以外は実施例1と同様にして、エマルション状の水性分散体を得た。そして、この水性分散体を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2008081553
[比較例2]
単軸押出機のスクリュー回転数を調整して二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを0.6MPaとしたこと以外は実施例2と同様にして、水性分散体の製造を試みたが、水性分散体は得られなかった。
[比較例3]
単軸押出機のスクリュー回転数を調整して二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを1.6MPaとしたこと以外は実施例2と同様にして、水性分散体を得た。そして、この水性分散体を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
単軸押出機のスクリュー回転数を調整して二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを2.0MPaとしたこと以外は実施例5と同様にして、水性分散体を得た。そして、この水性分散体を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを、式(1)の範囲内にした比較例1の製造方法では、圧力Pが異なる実施例1に比べて、得られた水性分散体の平均粒子径が大きく、未乳化物量が多かった。
二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを、式(1)の範囲内にした比較例3の製造方法では、圧力Pが異なる実施例2〜4に比べて、得られた水性分散体の平均粒子径が大きく、未乳化物量が多かった。
二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力Pを、式(1)の範囲内にした比較例4の製造方法では、圧力Pが異なる実施例5に比べて、得られた水性分散体の平均粒子径が大きく、未乳化物量が多かった。
本発明の水性分散体の製造方法の一実施形態例で使用される製造装置を示す模式図である。 図1の水性分散体の製造装置を構成する二軸押出機の先端を拡大した図である。
符号の説明
1 製造装置
10 二軸押出機
11 バレル
11b 先端
12a,12b スクリュー
13 圧力測定センサ
14 温度測定センサ
20 ジャケット付きスタティックミキサー(冷却手段)
30 連結管
40 第1の供給手段
50 第2の供給手段
51 容器
52 ポンプ
53 供給管

Claims (2)

  1. バレル内に2本のスクリューが配備された二軸押出機により熱可塑性樹脂を水性媒体に分散させて転相体を調製し、該転相体を冷却手段により冷却する水性分散体の製造方法であって、
    転相体を調製する際に、二軸押出機のバレル内の先端近傍の圧力P(MPa)を、式(1)に示す範囲内にすることを特徴とする水性分散体の製造方法。
    式(1) 0.50P≦P≦0.75P
    (式(1)におけるPは、二軸押出機のバレル内の先端近傍の温度T(℃)における純水の水蒸気圧(MPa)である。)
  2. 冷却手段として押出機を用いることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。
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