JP2008195833A - 水性分散体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶剤および塩素原子含有ポリマーを含まないにもかかわらず、充分な付着性、とりわけポリオレフィン成形体に対する付着性が高く、得られる被膜の耐水性に優れる水性分散体を提供する。
【解決手段】本発明の水性分散体は、特定のプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して、5〜20質量部の特定の酸変性ポリオレフィン(B)と、1〜10質量部のアニオン型界面活性剤(C)と、0.5〜20質量部の水(D)とを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、結晶化度が低いオレフィン共重合体を主成分とする水性分散体およびその製造方法に関する。
ポリオレフィン樹脂の成形体に対して塗装や接着を行う場合には、従来は、溶剤中に塩素化ポリオレフィンを含有するものが多く用いられてきた。しかしながら、近年の環境問題への配慮から、溶剤も塩素も含有しない塗料や接着剤、あるいは、プライマーの成分として使用できる水性の分散体が求められている。
そこで、特許文献1では、酸変性ポリオレフィンと変性澱粉と乳化剤とを含み、pHが6以上の水性分散体が提案されている。
特開2004−285227号公報
しかしながら、特許文献1に記載の水性分散体は、溶剤型の塗料や接着剤程の付着性を発揮しなかった。特に、基材がポリプロピレン成形体である場合には、付着性が低かった。また、特許文献1に記載の水性分散体は、得られる被膜の耐水性も不充分であった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、有機溶剤および塩素原子含有ポリマーを含まないにもかかわらず、充分な付着性、とりわけポリプロピレン成形体に対する付着性が高く、得られる被膜の耐水性に優れる水性分散体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して、5〜20質量部の酸変性ポリオレフィン(B)と、1〜10質量部のアニオン型界面活性剤(C)と、0.5〜20質量部の水(D)とを含有する水性分散体であって、
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)は、プロピレン単位を40〜70質量%、1−ブテン単位を20〜40質量%、エチレン単位を5〜25質量%含有し、かつ、重量平均分子量が120,000〜400,000、結晶化度が0.1〜16%であり、
酸変性ポリオレフィン(B)は、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたオレフィン系重合体であり、重量平均分子量が1,800〜35,000、酸価が3〜80mg/gであることを特徴とする水性分散体。
[2] プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して5〜20質量部の酸変性ポリオレフィン(B)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して1〜10質量部のアニオン型界面活性剤(C)とを溶融混練して混練物を得る工程と、
該混練物に、水(D)を、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して0.5〜20質量部添加した後、さらに溶融混練する工程とを有する水性分散体の製造方法であって、
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)として、プロピレン単位を40〜70質量%、1−ブテン単位を20〜40質量%、エチレン単位を5〜25質量%含有し、かつ、重量平均分子量が120,000〜400,000、結晶化度が0.1〜16%のものを用い、
酸変性ポリオレフィン(B)として、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたオレフィン系重合体であり、重量平均分子量が1,800〜35,000、酸価が3〜80mg/gのものを用いることを特徴とする水性分散体の製造方法。
本発明の水性分散体は、有機溶剤および塩素原子含有ポリマーを含まないにもかかわらず、充分な付着性、とりわけポリオレフィン成形体に対する付着性が高く、得られる被膜の耐水性に優れる。
本発明の水性分散体の製造方法によれば、有機溶剤および塩素原子含有ポリマーを含まないにもかかわらず、充分な付着性、とりわけポリオレフィン成形体に対する付着性が高く、得られる被膜の耐水性に優れる水性分散体を製造できる。
「水性分散体」
本発明の水性分散体は、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と酸変性ポリオレフィン(B)とアニオン型界面活性剤(C)と水(D)とを含有するものである。
(プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A))
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)は、プロピレン単位を40〜70質量%を有する。プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)におけるプロピレン単位含有量が40質量%未満であっても、70質量%を超えても、得られた水性分散体を、ポリプロピレンの成形体に塗布した場合の付着性が低くなり、また、得られる被膜の耐水性が低下する。
また、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)は、1−ブテン単位を20〜40質量%を含有する。プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)における1−ブテン単位含有量が20質量%未満であっても、40質量%を超えても、付着性、特にポリプロピレンの成形体に対する付着性が低くなり、また、得られる被膜の耐水性が低下する。
また、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)は、エチレン単位を5〜25質量%含有する。プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)におけるエチレン単位含有量が5質量%未満であっても、25質量%を超えても、付着性、特にポリプロピレンの成形体に対する付着性が低くなり、また、得られる被膜の耐水性が低下する。
プロピレン/1−ブテン/エチレンの三元共重合体(A)は、上記構成単位以外に、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の単量体単位を含有してもよい。
他の単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエン等の非共役ジエン;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、1−ウンデシレン酸、1−ウンデセノール、無水マレイン酸成分単位などの極性ビニル単量体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデンなどの芳香族性ビニル単量体などが挙げられる。他の単量体は1種が単独で含有されていてもよいし、2種以上が含有されていてもよい。
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)の結晶化度は0.1〜16%であり、好ましくは0.1〜8%である。プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)の結晶化度が16%を超えると、得られる水性分散体のポリオレフィン成形体、特にポリプロピレン成形体に対する付着性が低くなり、耐水性も低くなる。一方、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)の結晶化度が0.1%未満であっても、得られる水性分散体の付着性および耐水性が低くなる。
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)の重量平均分子量は、120,000〜400,000である。プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)の重量平均分子量が120,000未満であっても、400,000を超えても、付着性、特にポリプロピレンの成形体に対する付着性が低くなる。
プロピレン/1−ブテン/エチレンの三元共重合体(A)の製造方法は、特に制限されず、例えば、バナジウム系触媒、マグネシウム、チタン、ハロゲン等を成分とするチタン系触媒などを用いて、プロピレンと1−ブテンとエチレンと必要に応じて他の単量体とを共重合させる方法などが挙げられる。
結晶化度を制御したプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を製造する方法としては、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。メタロセン系触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期律表第4族〜第6族の遷移金属錯体を挙げることができる。例えば特開平9−151205号公報に記載されたメタロセン触媒を用いることができる。
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)の組成は、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)重合時のプロピレンと1−ブテンとエチレンとの供給組成を適宜変更することにより、調節できる。
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)の重量平均分子量は、重合時に水素ガスを供給し、その供給量を適宜変更することにより、調節できる。
(酸変性ポリオレフィン(B))
酸変性ポリオレフィン(B)は、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたオレフィン系重合体である。エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられ、エチレン性不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水マレイン酸等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン(B)としては、例えば、酸価が3〜80mg/gの酸変性ポリエチレン、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、酸変性ポリプロピレン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸変性ポリオレフィン(B)の重量平均分子量は1,800〜35,000であり、好ましくは1,800〜20,000である。酸変性ポリオレフィン(B)の重量平均分子量が1,800未満であると、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を分散させることができないため、水性分散体が得られず、35,000を超えると、付着性および耐水性が低下する。
酸変性ポリオレフィン(B)の酸価は3〜80mg/gであり、好ましくは10〜70mg/gである。ここでいう酸価は、変性ポリオレフィン1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数である。酸変性ポリオレフィン(B)の酸価が3mg/g未満であると、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を分散させることができないため、水性分散体が得られず、80mg/gを超えると、付着性および耐水性が低くなる。
酸変性ポリオレフィン(B)の量は、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して5〜20質量部であり、好ましくは5〜10質量部である。酸変性ポリオレフィン(B)の量が5質量部未満であると、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を分散させることができないため、水性分散体が得られず、20質量部を超えると、得られる水性分散体は粒子径の大きなものとなり、付着性および耐水性が低下する。
(アニオン型界面活性剤(C))
アニオン型界面活性剤(C)としては、例えば、第1級高級脂肪酸塩、第2級高級脂肪酸塩、第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイルイミダゾールスルホン酸塩などが挙げられる。
上記のアニオン型界面活性剤を構成する高級脂肪酸としては、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸と、これらの混合物が挙げられる。
高級脂肪酸と塩を形成するための元素としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。
アニオン型界面活性剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらのアニオン型界面活性剤の中でも牛脂脂肪酸カリウムや、オレイン酸カリウムが、耐水性の面からより好ましい。
アニオン型界面活性剤(C)の量は、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して1〜10質量部であり、好ましくは2〜5質量部である。アニオン型界面活性剤(C)の量が1質量部未満であると、水性分散体の分散安定性が低くなり、10質量部を超えると、付着性および耐水性が低くなる。
(水(D))
水性分散体中の水(D)は転相時に必要な水であり、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部である。
なお、水(D)の量が前記範囲である水性分散体の固形分濃度は84質量%以上であり、実質的に固体である。そのため、この水性分散体を既存の塗工方法を適用するため、あるいは、他の薬剤を混合しやすくするためには、粘度を適切な範囲にする目的で、水性分散体に50質量部以上の希釈水を添加し、希釈して、固形分濃度が10〜60質量%の水性分散液とすることが好ましい。
(副資材)
水性分散体には、必要に応じて、各種副資材が含まれてもよい。副資材としては、例えば、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤等の分散剤、乳化剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤、造膜助剤、レベリング剤等が挙げられる。
以上説明した水性分散体では、酸変性ポリオレフィン(B)を含有しており、これが転相前の段階で界面活性剤を均一分散させる効果があるものと推定される。界面活性剤が均一分散した結果、アニオン型界面活性剤(C)の含有量が1〜10質量部と比較的に少ない量でも、1μ未満の平均粒子径で、エチレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を水に分散させることができる。その結果、基材に対する水性分散体の付着性を向上させることができ、また、得られる被膜の耐水性を向上させることができる。
また、水性分散体は、分散媒として水を使用しているので、環境上の問題が少なく、取り扱い性に優れる。
(使用方法)
水性分散体は各種基材に塗布されて使用される。基材としては、例えば、紙、繊維織物、プラスチック成形品、木材、金属などが挙げられる。これらの中でも、プラスチック成形品、とりわけポリエチレン成形品やポリプロピレン成形品に対しては、水性分散体の高い付着性が顕著に発揮される。該ポリエチレン成形品やポリプロピレン成形品に、他のポリオレフィン(例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム等)、無機フィラー(例えば、タルク、ガラス繊維、炭酸カルシウム等)、安定剤、着色剤などの各種添加剤が含まれている場合も、発揮される効果は同等である。
水性分散体の塗布方法としては、例えば、各種塗工機を用いる方法、スプレーを用いる方法、刷毛塗りなどを採ることができる。
「水性分散体の製造方法」
本発明の水性分散体の製造方法は、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と酸変性ポリオレフィン(B)とアニオン型界面活性剤(C)とを含む混合物を溶融混練して混練物を得る工程(以下、第1の工程という。)と、該混練物に水(D)を添加した後、さらに溶融混練する工程(以下、第2の工程という。)とを有する。
(第1の工程)
第1の工程における酸変性ポリオレフィン(B)の配合量は、水性分散体における酸変性ポリオレフィン(B)の含有量と同様に、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して5〜20質量部であり、好ましくは5〜10質量部である。
アニオン型界面活性剤(C)の配合量は、水性分散体におけるアニオン型界面活性剤(C)の含有量と同様に、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して1〜10質量部であり、好ましくは2〜5質量部である。
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と酸変性ポリオレフィン(B)とアニオン型界面活性剤(C)とを溶融混練する際には、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機を適用することができる。
溶融混練条件は、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)の物性により適宜選択されるが、溶融混練温度は160℃〜250℃とすることが好ましい。溶融混練温度が160℃以上であれば、溶融粘度が充分に低くなるため容易に混練でき、250℃以下であれば、必要以上に加熱しないから、三元共重合体(A)の劣化や熱分解を抑制し、且つ、エネルギー使用量を削減できる。
(第2の工程)
第1の工程に引続く第2の工程では、第1の工程で得た混練物に水(D)を注入して、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)および酸変性ポリオレフィン(B)を含む樹脂固形分に水を含有させる。その水(D)の添加では、水のみを添加してもよいし、他の添加成分を溶解した水溶液の形態で添加してもよい。他の添加成分としては、酸変性ポリオレフィン(B)由来の酸を中和して、水性分散体をより容易に製造できることから、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムや有機アミン等のアルカリ成分が好ましい。
水(D)の添加量は、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがより好ましい。水(D)の添加量が0.5質量部未満であると、水性分散体は得られず、20質量部を超えると、水性分散体の樹脂固形分の平均粒子径が大きくなって、付着性および耐水性が低くなる。
第2の工程における溶融混練では、樹脂固形分に水が含まれる状態から、水に樹脂固形分が分散する状態に転相させる。
第2の工程における溶融混練においても、第1の工程と同様に、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機を適用することができる。
第2の工程における溶融混練温度は、第1の工程と同様に160〜250℃とすることが好ましい。溶融混練温度が160℃以上であれば、容易に転相させることができ、250℃以下であれば、必要以上に加熱しないから、樹脂の劣化や熱分解を抑制し、且つ、エネルギー使用量を削減できる。
第2の工程終了後、得られた水性分散体にさらに水を添加し、希釈した水性分散液とすることが好ましい。水をさらに添加すれば、水性分散体の粘度が下がり、流動性が高くなる。さらに添加する水の量は水性分散体の使用目的および使用方法により適宜選択されるが、水性分散体の固形分濃度が10〜60質量%の範囲になる量が好ましい。
本発明以外の他の製造方法では、界面活性剤量を1〜10質量部という少ない量とすると、0.1〜1μm程度の小さな平均粒子径の水性分散体を得ることは困難である。しかし、上記水性分散体の製造方法によれば、1〜10質量部という少ない界面活性剤量であっても0.1〜1μm程度の小さな平均粒子径の水性分散体を得ることができる。これは、本製造方法で使用する酸変性ポリオレフィン(B)が、転相前のプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)が連続相である段階で、界面活性剤をミクロ分散させる効果を発揮するためであると推定される。したがって、酸変性ポリオレフィン(B)は本製造方法における必須の成分である。これに対し、他の分散方法では僅かな粘度の低減効果しか見られず、必須ではない。
また、上記製造方法により得られた水性分散体から形成される塗膜は、付着性、耐水性が優れたものとなる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」のことを意味する。
また、以下の例におけるプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体および酸変性ポリオレフィンの特性は、下記のようにして測定した。
・ポリオレフィン単位の定量:日本電子(株)製、高分解能フーリエ変換核磁気共鳴装置JNM−AL400型によりモル比を測定して求めた。
・ポリオレフィンおよび酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量:ウォーターズ社製、アライアンスGPC V2000型により測定した。
・ポリオレフィンの結晶化度:理学電機(株)製、広角X線回折装置RAD−RX型により求めた。
・平均粒子径:マウンテック(Mountech)社製のマイクロトラックUPAにて測定した。
以下の実施例、比較例において、(A)成分として、下記の(A−1)〜(A−17)を用いた。
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)
攪拌機を備えた100Lのステンレス製重合槽を減圧乾燥し、分子量調節用として水素を供給し、以下の方法で連続的に重合させてプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)を得た。
重合槽の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを10.5kg/時間の供給速度で, 1−ブテンを9.5kg/時間の供給速度で、エチレンを5kg/時間の供給速度で、水素ガスを90g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
また、重合槽の上部から、重合槽中の反応混合物の容積が100Lを保持するように反応混合物を連続的に抜き出した。
それと同時に、重合槽の下部から、重合用触媒の成分として、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.30g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.3g/10時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
それと同時に、重合槽の上部から、重合槽中の反応混合物の容積が100Lを保持するように反応混合物を連続的に抜き出した。
重合反応は、重合槽の外部に有するジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合槽の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマーおよび水洗浄した。次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去し、80℃で1昼夜減圧乾燥することによって、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)を得た。
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の各単量体単位の組成、結晶化度、重量平均分子量を以下のようにして測定した。その結果を表1に示す。
また、単量体単位の組成が表1または表2のようになるように、プロピレン、1−ブテン、エチレンの供給速度を変更したこと以外は、上述したプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の製造方法と同様にして、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−2)〜(A−17)を得た。
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−2)〜(A−17)における各単量体単位の組成、結晶化度、重量平均分子量を表1または表2に示す。
Figure 2008195833
Figure 2008195833
(B)成分としては、下記(B−1)〜(B−8)を用いた。
酸変性ポリオレフィン(B−1):酸価40mg/g、重量平均分子量3,000の酸変性ポリプロピレンワックスであるクラリアント社製の「TP Licocene PPMA 6252」。
酸変性ポリオレフィン(B−2):酸価3.5mg/g、重量平均分子量10,000の酸変性ポリプロピレンである三洋化成工業製「ユーメックス100TS」。
酸変性ポリオレフィン(B−3):酸価30mg/g、重量平均分子量2,000の酸変性ポリエチレンワックスである三井化学製「ハイワックス 2203A」。
酸変性ポリオレフィン(B−4):酸価52mg/g、重量平均分子量30,000の酸変性ポリプロピレンである三洋化成工業製「ユーメックス1010」。
酸変性ポリオレフィン(B−5):酸価26mg/g、重量平均分子量40,000の酸変性ポリプロピレンである三洋化成工業製「ユーメックス1001」。
酸変性ポリオレフィン(B−6):酸価60mg/g、重量平均分子量1,100の酸変性ポリエチレンである三井化学製「ハイワックス1105A」。
ポリプロピレンワックス(B−7):酸変性されておらず、重量平均分子量7,000のポリプロピレンワックスである三井化学製「ハイワックスNP055」。
酸変性ポリオレフィン(B−8):酸価110mg/g、重量平均分子量10,000のα−オレフィン/無水マレイン酸共重合物である三菱化学製「ダイヤカルナ30」。
(実施例1)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体100部に対して12部の酸変性ポリオレフィン(B−1)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体100部に対して3部のオレイン酸カリウムを、二軸押出機(スクリュー径;30mm、L/D;40、バレル温度;200℃)にその投入口から供給して溶融混練した。なお、上記3つの原料の合計の供給速度を3,450g/時間とした。
また、該二軸押出機のベント部に設けた供給口より14%の水酸化カリウム水溶液を、ポリオレフィン100部に対する水の量が4部になるように、1.8MPaで圧入した。
そして、二軸押出機先端より押し出された固形状の乳化物を、温水中で分散させて、平均粒子径0.21μmの水性分散体を得た。
得られた水性分散体の付着性および水性分散体より得た被膜の耐水性を、以下のように評価した。その結果を表3に示す。なお、他の実施例、比較例についてもこの評価方法を適用した。
[試験片の作製]
ホモPPであるプライムポリマー社製の「J106G」と、ブロックPPの「J715M」について、それぞれ、100×100mm、厚さ2mmの平板を射出成形により得た。
この平板の表面を脱脂処理した後、No.13のコーティングバーを使用して、厚さ10μmになるように水性分散体を塗布した。そして、70℃で20分間乾燥し、室温で24時間静置して被膜を形成し、被膜を形成した平板を試験片として用いた。
[付着性試験]
カッターにより被膜にPP製平板に達する切れ目を、1mm間隔で100個のマス目が形成されるように形成した。それらのマス目にセロハンテープ(登録商標、ニチバン社製)を密着させた後、引き剥がし、残存したマス目の数を記録した。残存したマス目の数が多い程、付着性に優れる。
[耐水性試験]
金属製のカゴの中に入れた試験片を、40℃の温水中に完全に浸漬させ、10日間放置した。その後、温水中から取出し、外観に異常が認められなければ、引き続き、上記付着性試験と同様の試験を行った。残存したマス目の数が多い程、耐水性に優れる。
Figure 2008195833
(実施例2)
酸変性ポリプロピレンワックス(B−1)を、ポリオレフィン100部に対して6部添加した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.25μmの水性分散体を得た。そして、実施例1と同様にして付着性および耐水性を評価した。その結果を表3に示す。
(実施例3)
酸変性ポリプロピレンワックス(B−1)を、ポリオレフィン100部に対して18部添加した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.27μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表3に示す。
(実施例4)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−2)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.22μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表3に示す。
(実施例5)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−3)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.20μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表3に示す。
(実施例6)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−4)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.30μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表3に示す。
(実施例7)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−5)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.23μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表3に示す。
(実施例8)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−6)を使用した以外は実施例7と同様にして、平均粒子径0.21μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表3に示す。
(実施例9)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−7)を使用した以外は実施例7と同様にして、平均粒子径0.32μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表3に示す。
(実施例10)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の代わりに酸変性ポリオレフィン(B−2)を使用した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.22μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表4に示す。
Figure 2008195833
(実施例11)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の代わりに酸変性ポリオレフィン(B−3)を使用した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.26μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表4に示す。
(実施例12)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の代わりに酸変性ポリオレフィン(B−4)を使用した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.23μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表4に示す。
(実施例13)
アニオン型界面活性剤としてオレイン酸カリウムの代わりにドデシルベンゼンスルフォン酸(表中では、DBSと表記する。)を使用した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.25μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表4に示す。
(実施例14)
水酸化カリウム水溶液を、ポリオレフィン100部に対する水の量が1.0部になるように添加した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.38μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表4に示す。
(実施例15)
水酸化カリウム水溶液を、ポリオレフィン100部に対する水の量が15部になるように添加した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.33μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表4に示す。
(比較例1)
攪拌機を備えた内容積2リットルのオートクレーブ内に、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)100部とトルエン500部を仕込み、125℃で1時間攪拌して溶解した後、90℃に冷却した。
また、これとは別に、攪拌機を備えた内容積2リットルのオートクレーブ内で、オレイン酸カリウム3部と水600部を含む水溶液を90℃に加熱し、その中に、前記ポリオレフィンのトルエン溶液を攪拌継続下で添加した。2時間攪拌して分散した後、エスエムテー社製(HG−92型)高速ホモジナイザーで、10,000rpmで10分間、分散した。
次いで、攪拌翼による攪拌を継続したまま、凝縮水を還流させながら、2時間水蒸気蒸留してトルエンを留去したが、トルエンを留去するにつれて凝集物が発生し、トルエンの全量を留去する前に凝集物が99部に達し、水性分散体を得ることができなかった。
Figure 2008195833
(比較例2)
オレイン酸カリウムの量を10部に変更した以外は比較例1と同様にして水性分散体を得ようとしたが、水性分散体を得ることができなかった。
(比較例3)
オレイン酸カリウムの量を20部に変更した以外は比較例1と同様にしたところ、12部の凝集物を副生したが、濃度14%で平均粒子径7.8μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表5に示す。
(比較例4)
比較例3の水性分散体の調製方法において、酸変性ポリオレフィン(B−1)12部をプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)と同様にトルエンに溶解し、オレイン酸カリウム20部を添加した以外は比較例1と同様にしたところ、凝集物が18部副生したが、濃度16%で平均粒子径8.1μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表5に示す。
(比較例5)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の全量に替えて、酸変性ポリオレフィン(B−1)100部をトルエンに溶解した以外は比較例1と同様にしたところ、凝集物が1部副生したが、平均粒子径0.3μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表5に示す。
(比較例6)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−8)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.22μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
Figure 2008195833
(比較例7)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−9)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.22μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例8)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−10)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.23μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例9)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−11)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.21μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例10)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−12)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.25μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例11)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−13)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.26μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例12)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−14)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.21μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例13)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−15)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.22μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例14)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−16)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.21μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例15)
プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−1)の代わりにプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A−17)を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径0.28μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表6に示す。
(比較例16)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の代わりに酸変性ポリオレフィン(B−5)を使用した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.24μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表7に示す。
Figure 2008195833
(比較例17)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の代わりに酸変性ポリオレフィン(B−6)を使用した以外は実施例5と同様にして水性分散体を得ようとしたが、温水に希釈されず、凝集物ばかり生成して、水性分散体は得られなかった。
(比較例18)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の代わりに酸変性ポリオレフィン(B−7)を使用した以外は実施例5と同様にして水性分散体を得ようとしたが、温水に希釈されず、凝集物ばかり生成して、水性分散体は得られなかった。
(比較例19)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の代わりに酸変性ポリオレフィン(B−8)を使用した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.30μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表7に示す。
(比較例20)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の量を4部に変更した以外は実施例5と同様にして水性分散体を得ようとしたが、温水に希釈されず、凝集物ばかり生成して、水性分散体は得られなかった。
(比較例21)
酸変性ポリオレフィン(B−1)の量を25部に変更した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.29μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表7に示す。
(比較例22)
オレイン酸カリウムの量を0.4部に変更した以外は実施例5と同様にして水性分散体を得ようとしたが、温水に希釈されず、凝集物ばかり生成して、水性分散体は得られなかった。
(比較例23)
オレイン酸カリウムの量を12部に変更した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.31μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表7に示す。
(比較例24)
水酸化カリウム水溶液を、ポリオレフィン100部に対する水の量が0.3部になるように添加した以外は実施例5と同様にして水性分散体を得ようとしたが、温水に希釈されず、凝集物ばかり生成して、水性分散体は得られなかった。
(比較例25)
水酸化カリウム水溶液を、ポリオレフィン100部に対する水の量が22部になるように添加した以外は実施例5と同様にして、平均粒子径0.38μmの水性分散体を得た。その付着性および耐水性の結果を表7に示す。
特定のプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と酸変性ポリオレフィン(B)とアニオン型界面活性剤(C)とを溶融混練して混練物を得る工程と、該混練物に水(D)を注入した後、さらに溶融混練する工程とを有する実施例1〜15の製造方法で得た水性分散体は、ポリプロピレンに対する付着性に優れていた。また、水性分散体より得られる被膜の耐水性に優れていた。
これに対し、溶剤の存在下、オレイン酸カリウム量が10質量部以下の条件で高速攪拌によりポリオレフィン(A)を分散させた比較例1,2の製造方法では、水性分散体が得られなかった。
オレイン酸カリウムの添加量を増量した比較例3の製造方法では、水性分散体は得られたが、付着性および耐水性が低かった。
また、比較例3の製造方法に酸変性ポリオレフィン(B)を加えた比較例4でも、付着性、耐水性は低かった。
酸変性ポリオレフィン(B)を含むが、ポリオレフィン(A)を含まない比較例5の製造方法では、平均粒子径0.4μmのものが得られたが、付着性、耐水性は発現しなかった。
プロピレン単位が40%未満のプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例6の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
プロピレン単位が70%を超えるプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例7の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
1−ブテン単位が20%未満のプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例8の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
1−ブテン単位が40%を超えるプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例9の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
エチレン単位が5%未満のプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例10の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
エチレン単位が25%を超えるプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例11の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
結晶化度が0.1%未満のプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例12の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
結晶化度が16%を超えるプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例13の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
重量平均分子量が120,000未満のプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例14の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
重量平均分子量が400,000を超えるプロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)を用いた比較例15の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
重量平均分子量が35,000を超える酸変性ポリオレフィン(B)を用いた比較例16の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
重量平均分子量が1,800未満の酸変性ポリオレフィン(B)を用いた比較例17の製造方法では、水性分散体が得られなかった。
酸価が3mg/g未満の酸変性ポリオレフィン(B)を用いた比較例18の製造方法では、水性分散体が得られなかった。
酸価が80mg/gを超える酸変性ポリオレフィン(B)を用いた比較例19の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
酸変性ポリオレフィン(B)の添加量を5部未満とした比較例20の製造方法では、水性分散体が得られなかった。
酸変性ポリオレフィン(B)の添加量を20部より多くした比較例21の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
オレイン酸カリウムの添加量が1部未満であった比較例22の製造方法では、水性分散体が得られなかった。
オレイン酸カリウムの添加量が10部を超えていた比較例23の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。
水の添加量が0.5部未満であった比較例24の製造方法では、水性分散体が得られなかった。
水の添加量が20部を超えていた比較例25の製造方法では、付着性および耐水性が低かった。

Claims (2)

  1. プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して、5〜20質量部の酸変性ポリオレフィン(B)と、1〜10質量部のアニオン型界面活性剤(C)と、0.5〜20質量部の水(D)とを含有する水性分散体であって、
    プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)は、プロピレン単位を40〜70質量%、1−ブテン単位を20〜40質量%、エチレン単位を5〜25質量%含有し、かつ、重量平均分子量が120,000〜400,000、結晶化度が0.1〜16%であり、
    酸変性ポリオレフィン(B)は、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたオレフィン系重合体であり、重量平均分子量が1,800〜35,000、酸価が3〜80mg/gであることを特徴とする水性分散体。
  2. プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して5〜20質量部の酸変性ポリオレフィン(B)と、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して1〜10質量部のアニオン型界面活性剤(C)とを溶融混練して混練物を得る工程と、
    該混練物に、水(D)を、プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)100質量部に対して0.5〜20質量部添加した後、さらに溶融混練する工程とを有する水性分散体の製造方法であって、
    プロピレン/1−ブテン/エチレン三元共重合体(A)として、プロピレン単位を40〜70質量%、1−ブテン単位を20〜40質量%、エチレン単位を5〜25質量%含有し、かつ、重量平均分子量が120,000〜400,000、結晶化度が0.1〜16%のものを用い、
    酸変性ポリオレフィン(B)として、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたオレフィン系重合体であり、重量平均分子量が1,800〜35,000、酸価が3〜80mg/gのものを用いることを特徴とする水性分散体の製造方法。
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