JP2012149199A - 水性塗料組成物およびその製造方法 - Google Patents

水性塗料組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温乾燥条件での成膜性に優れる上に、耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性に優れた塗膜を形成でき、極性樹脂との相溶性および貯蔵安定性にも優れる水性塗料組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の水性塗料組成物は、酸基を有する酸変性ポリマー材料(P)と、アニオン型界面活性剤(D1)と、塩基性物質(E1)と、塩素化ポリプロピレン材料(Q)と、水とを含有する水性塗料組成物であって、酸変性ポリマー材料(P)が第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を含有し、塩素化ポリプロピレン材料(Q)が、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)とは異なる塩素化プロピレン系重合体(B)を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸変性プロピレン系重合体を含有する水性塗料組成物およびその製造方法に関する。
ポリオレフィン系樹脂は軽量かつ安価である上、成形性および耐溶剤性に優れるため、近年、自動車用途に多く採用されている。しかし、アクリル系樹脂やポリウレタン系樹脂などの極性樹脂とは異なり、低極性であるポリオレフィン系樹脂は塗装や接着が困難であった。そのため、ポリオレフィンの成形体に対して塗装や接着を行う場合には、トルエンやキシレンなどの芳香族系有機溶剤に塩素化ポリオレフィンを溶解させた塗料や接着剤が広く使用されていた。しかしながら、近年、環境への配慮から、有機溶剤を含有しない、または有機溶剤の使用量を軽減した塗料や接着剤あるいはプライマーが求められている。
また、環境への負荷や省エネルギーの問題から、塗膜の乾燥温度、焼付け温度の低温化が求められている。低温乾燥条件において成膜する方法としては、乾燥温度よりも低い融点を有する樹脂を用いる方法、成膜助剤を添加する方法などが挙げられるが、いずれも、耐溶剤性、耐湿性、環境汚染、作業環境悪化の面で問題があった。
特許文献1では、100℃以下の低温乾燥条件で、非極性基材に対する付着性を有する変性ポリオレフィン分散樹脂組成物が提案されている。特許文献1では、低温乾燥条件でも付着性を発揮するために融点が低いポリオレフィンを用いているが、融点の低いポリオレフィンは耐溶剤性が不充分であった。
ところで、ポリオレフィン樹脂は極性樹脂との相溶性が低いため、塗料中にて樹脂同士が均一に混ざりにくく、塗膜外観や付着性、耐溶剤性を低下させる場合があった。
特許文献2では、ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の相溶化樹脂として塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂を含む組成物が提案されている。しかしながら、密着性および耐牛脂性向上のために用いられるポリプロピレン樹脂は分子量および結晶化度が高いため、低温乾燥条件では十分な成膜性が得られていなかった。さらに塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂はポリオレフィン系樹脂への付着性が低いため、相溶性と付着性の両立が困難であった。
特開2008−214414号公報 特開2008−56913号公報
本発明は、低温乾燥条件での成膜性に優れる上に、耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性に優れた塗膜を形成でき、極性樹脂との相溶性および貯蔵安定性にも優れる水性塗料組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 酸基を有する酸変性ポリマー材料(P)と、アニオン型界面活性剤(D1)と、塩基性物質(E1)と、塩素化ポリプロピレン材料(Q)と、水とを含有する水性塗料組成物であって、酸変性ポリマー材料(P)が、プロピレン単位と不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位とを有し且つ酸価が10〜65mgKOH/g、融点が120〜150℃、結晶化度が30〜60%、質量平均分子量が2,000〜30,000の第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を含有し、塩素化ポリプロピレン材料(Q)が、プロピレン単位を有し且つ塩素含有率が1〜50質量%の塩素化プロピレン系重合体(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
[2] 酸基を有する酸変性ポリマー材料(P)と、アニオン型界面活性剤(D1)と、塩基性物質(E1)と、水の一部とを含む酸変性プロピレン系水性分散体(AW)と、塩素化ポリプロピレン材料(Q)と、残りの水とを含むプロピレン系水性分散体(BW)とを含有する[1]に記載の水性塗料組成物。
[3] 酸変性ポリマー材料(P)が、プロピレン単位と不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位とを有し且つ質量平均分子量が31,000〜50,000の第2の酸変性プロピレン系重合体(C)を、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)100質量部に対して1〜50質量部含有する[1]または[2]に記載の水性塗料組成物。
[4] 塩素化プロピレン系重合体(B)が、炭素数2〜4のα−オレフィン単位を有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
[5] 塩素化プロピレン系重合体(B)が、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物、ラジカル重合性モノマー、またはこれらを組み合わせて変性された重合体であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
[6] 酸基を有する酸変性ポリマー材料(P)とアニオン型界面活性剤(D1)とを溶融混練して混練物を得る第1の混練工程、前記混練物に、塩基性物質(E1)と水(F1)とを添加し、溶融混練して酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を得る第2の混練工程、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)と、塩素化ポリプロピレン材料(Q)および水(F2)を含むプロピレン系水性分散体(BW)とを混合する混合工程を有する水性塗料組成物の製造方法であって、酸変性ポリマー材料(P)が、プロピレン単位と不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位とを有し且つ酸価が10〜65mgKOH/g、融点が120〜150℃、結晶化度が30〜60%、質量平均分子量が2,000〜30,000の第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を含有し、塩素化ポリプロピレン材料(Q)が、プロピレン単位を有し且つ塩素含有率が1〜50質量%の塩素化プロピレン系重合体(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物の製造方法。
[7] 混合工程における酸変性プロピレン系水性分散体(AW)とプロピレン系水性分散体(BW)との混合比[(AW)/(BW)]を、固形分の質量基準で90/10〜10/90にする[6]に記載の水性塗料組成物の製造方法。
本発明の水性塗料組成物は、低温乾燥条件での成膜性に優れる上に、耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性に優れた塗膜を形成でき、極性樹脂との相溶性および貯蔵安定性にも優れる。
本発明の水性塗料組成物の製造方法によれば、上記の水性塗料組成物を容易に製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
「水性塗料組成物」
本発明の水性塗料組成物(ABW)は、酸変性ポリマー材料(P)と、アニオン型界面活性剤(D1)と、塩基性物質(E1)と、塩素化ポリプロピレン材料(Q)と、水とを必須成分として含有する。好ましくは、酸変性ポリマー材料(P)と、アニオン型界面活性剤(D1)と、塩基性物質(E1)と、水(F1)とを含む酸変性プロピレン系水性分散体(AW)と、塩素化ポリプロピレン材料(Q)と、水(F2)とを含むプロピレン系水性分散体(BW)とを含有するのがよい。
<酸変性プロピレン系水性分散体(AW)>
酸変性プロピレン系水性分散体(AW)は、酸変性ポリマー材料(P)、アニオン型界面活性剤(D1)、塩基性物質(E1)、および水(F1)を含む水性分散体である。
(酸変性ポリマー材料(P))
酸変性ポリマー材料(P)は、酸基を有するものであり、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を必須成分として含有し、第2の酸変性プロピレン系重合体(C)を任意成分として含有する。
[第1の酸変性プロピレン系重合体(A)]
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)は、プロピレン単位と、不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位とを有するプロピレン系重合体である。また、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)は、α−オレフィン単位を有してもよい。
ここで、α−オレフィン成分は、ポリオレフィン成形体に対する付着性の点から、炭素数2〜4のα−オレフィン、すなわちエチレン、1−ブテンが好ましい。
不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、またはこれらの無水物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)としては、プロピレン単位90〜100質量%とα−オレフィン単位0〜10質量%を有する共重合体に、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物を結合させたものが好ましく用いられる。
プロピレン単位の含有率が90質量%以上であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性の面から好ましく、100質量%以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜のポリオレフィン成形体に対する付着性がより向上する。
また、α−オレフィン単位の含有率が10質量%以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性がより向上する。
また、不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位は、前記共重合体100質量部に対して1.0〜7.5質量部であることが好ましい。
不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位の含有量が1.0質量部以上であれば、水性塗料組成物(ABW)の極性樹脂との相溶性と、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性(低温乾燥条件での成膜性を含む)、耐溶剤性がより向上し、7.5質量部以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより向上する。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の融点は120〜150℃、好ましくは125〜145℃である。第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の融点が120℃未満であると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性が低く、150℃を超えると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性、耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性が低くなる。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の結晶化度は30〜60%、好ましくは35〜55%である。第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の結晶化度が30%未満であると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性が低く、60%を超えると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性、耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性が低くなる。
結晶化度は、X線回折を測定し、結晶のピーク面積の割合から求められる。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の酸価は10〜65mgKOH/g、好ましくは20〜55mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/g未満であると、水性塗料組成物(ABW)の極性樹脂との相溶性と、水性分散体分散体(ABW)から形成した塗膜の成膜性、耐溶剤性が低くなり、65mgKOH/gを超えると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性が低くなる。
ここでいう、酸価は、酸変性プロピレン系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数である。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の質量平均分子量は2,000〜30,000、好ましくは5,000〜28,000、より好ましくは10,000〜26,000である。第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の質量平均分子量が2,000未満であると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性が低くなり、30,000を超えると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性、耐溶剤性、ポリオレフィン成形体に対する付着性が低くなる。
本発明における質量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて測定し、標準ポリスチレンで換算した値である。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を製造する方法としては、特開2004−115712号公報に記載されているようなメタロセン系触媒を用いて前駆体ポリプロピレンを重合する重合工程と、該前駆体ポリプロピレンに不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物をグラフトする変性工程とを有する方法が好ましい。
メタロセン系触媒はマルチサイト触媒であるチーグラー・ナッタ触媒とは異なり、触媒活性が均一であるために、結晶化度、組成分布、分子量を任意に制御することが可能である。そのため、メタロセン系触媒を用いて製造した第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を用いると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性、耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。
重合工程にて使用するメタロセン系触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期表第4族〜第6族の遷移金属の錯体を挙げることができる。例えば、特開平9−151205号公報に記載されたメタロセン系触媒を用いることができる。
前駆体プロピレン系重合体の組成は、重合工程時のプロピレンモノマーとα−オレフィンモノマーの供給量を適宜変更することにより調節できる。また、質量平均分子量と結晶化度の調整方法としては、重合時に水素ガスを使用して制御する方法、モノマー濃度を制御する方法、重合温度を制御する方法等が挙げられる。
変性工程では、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾニトリルから適宜選択して使用できる。
有機過酸化物としては、ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキシケタール類、クメンヒドロキシパーオキシドなどのハイドロパーオキシド類、ジ(t−ブチル)パーオキシドなどのジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類が挙げられる。
アゾニトリルとしては、アゾイソブチロニトリル、アゾイソプロピロニトリル等が挙げられる。
これらラジカル重合開始剤は1種を単独で用いても構わないし、2種以上を組み合わせてもよい。
ラジカル重合開始剤の添加量は、前駆体のポリプロピレン系重合体100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
グラフト反応させる方法は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を製造できれば、いかなる方法であってもよい。例えば、無溶媒で溶融加熱攪拌して反応させる方法、押出機で加熱混練して反応させる方法等が挙げられる。それらの中でも押出機を用いてグラフト重合する方法は溶媒を使用する必要がなく、溶媒留去工程が不要であり、さらにグラフト重合工程に時間を有しないためエネルギー的に有利な点で好適である。
[第2の酸変性プロピレン系重合体(C)]
第2の酸変性プロピレン系重合体(C)は、プロピレン単位と、不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位とを必須成分とし、α−オレフィン単位を任意成分として有する重合体である。
ここで、α−オレフィン単位、不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位としては、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)と同じものを使用できる。
第2の酸変性プロピレン系重合体(C)としては、プロピレン単位と必要に応じてα−オレフィン単位を有する重合体に、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物を結合させたものが好ましく用いられる。
プロピレン単位を有する重合体おいて、α−オレフィン単位は10質量%以下であることが好ましい。
α−オレフィン単位の含有率が10質量%以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性がより向上する。
また、不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位は、前記重合体100質量部に対して1.5〜7.5質量部であることが好ましい。
不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位の含有量が1.5質量部以上であれば、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性が向上し、7.5質量部以下であれば水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより向上する。
第2の酸変性プロピレン系重合体(C)の質量平均分子量は、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性がより高くなることから、31,000〜50,000であり、35,000〜45,000であることがより好ましい。
第2の酸変性プロピレン系重合体(C)の酸価は、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性が向上し、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなることから、20〜60mgKOH/gであることが好ましく、30〜50mgKOH/gであることがより好ましい。
第2の酸変性プロピレン系重合体(C)の含有量は、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性がより高くなることから、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。
(アニオン型界面活性剤(D1))
アニオン型界面活性剤(D1)としては、例えば、第1級高級脂肪酸、第2級高級脂肪酸、第1級高級アルコール硫酸エステル、第2級高級アルコール硫酸エステル、第1級高級アルキルスルホン酸、第2級高級アルキルスルホン酸、高級アルキルジスルホン酸、スルホン化高級脂肪酸、高級脂肪酸硫酸エステル、高級脂肪酸エステルスルホン酸、高級アルコールエーテルの硫酸エステル、高級アルコールエーテルのスルホン酸、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルベンゾイルイミダゾールスルホン酸などの酸およびその塩が挙げられる。
上記のアニオン型界面活性剤を構成する高級脂肪酸としては、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸と、これらの混合物が挙げられる。
酸と塩を形成するための元素としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。中でもオレイン酸カリウムが、得られる水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性の面から好ましい。
アニオン型界面活性剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
アニオン型界面活性剤(D1)の量は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。アニオン型界面活性剤(D1)の量が1質量部以上であれば、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性が向上し、40質量部以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の、ポリオレフィン成形体に対する付着性、耐溶剤性、耐湿性がより高くなる。
(塩基性物質(E1))
塩基性物質(E1)は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)と第2の酸変性プロピレン系重合体(C)や、未中和のアニオン型界面活性剤を中和するために必要とされる。
塩基性物質(E1)としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、およびアミン等の水中で塩基として作用する物質、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱塩基、水素化物、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、弱塩基、水素化物等の水中で塩基として作用する物質、これらの金属のアルコキシド等を挙げることができる。中でも、貯蔵安定性の点から、水酸化カリウムが好ましい。
塩基性物質(E1)の量は、得られる水性分散体の貯蔵安定性の点から、酸変性ポリマー材料(P)およびアニオン型界面活性剤(D1)に由来する酸を中和するのに必要な量に対して1〜2倍量であることが好ましく、1.2〜1.8倍量であることがより好ましい。
(水(F1))
酸変性プロピレン系水性分散体(AW)における水(F1)の量は、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性の点から、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)100質量部に対して5〜25質量部であることが好ましく、10〜22質量部であることがより好ましい。
(粒子径)
酸変性プロピレン系水性分散体(AW)の体積平均粒子径は、0.01〜0.55μmであることが好ましく、0.05〜0.30μmであることがより好ましい。酸変性プロピレン系水性分散体(AW)の体積平均粒子径が0.01μm以上であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなり、0.55μm以下であれば、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性と、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性、耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。
なお、本明細書において、体積平均粒子径は、レーザ回折・光散乱法により測定した値である。
<プロピレン系水性分散体(BW)>
プロピレン系水性分散体(BW)は、塩素化ポリプロピレン材料(Q)および水(F2)を含む水性分散体である。
(塩素化ポリプロピレン材料(Q))
塩素化ポリプロピレン材料(Q)は、プロピレン単位を有する塩素化プロピレン系重合体(B)を含有する。
また、塩素化プロピレン系重合体(B)を含有する塩素化ポリプロピレン材料(Q)は、上記第2の酸変性プロピレン系重合体(C)と同様のものを含んでもよい。その含有量は、プロピレン系水性分散体(BW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性の点から、塩素化プロピレン系重合体(B)100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましい。
[塩素化プロピレン系重合体(B)]
塩素化プロピレン系重合体(B)は、プロピレン単位60〜100質量%とα−オレフィン単位0〜40質量%とからなるものが好ましい。
ここで、α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン成形体に対する付着性の点から、炭素数2〜4のα−オレフィン、すなわちエチレン、1−ブテンが好ましい。
塩素化プロピレン系重合体(B)の塩素含有率は、1〜50質量%、好ましくは10〜30質量%である。塩素含有率が1質量%未満であると、極性樹脂との相溶性が低く、50質量%を超えると、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性が低くなる。
塩素化プロピレン系重合体(B)は、プロピレン単位と、好ましくはα−オレフィン単位を有するプロピレン系重合体の塩素化反応物である。
塩素化反応は公知の方法で行うことができる。例えば、塩素化溶媒中にプロピレン系重合体を溶解した後に紫外線の照射下、または触媒の存在下、または不存在下において、常温または加圧下で50〜140℃の温度で塩素ガスを吹き込んで反応させる方法が挙げられる。
塩素化プロピレン系重合体(B)の融点は60〜120℃であることが好ましく、70〜105℃であることがより好ましい。塩素化プロピレン系重合体(B)の融点が60℃以上であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。一方120℃以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性、ポリオレフィンに対する付着性がより高くなる。
塩素化プロピレン系重合体(B)の結晶化度は0〜30%であることが好ましく、5〜25%であることがより好ましい。塩素化プロピレン系重合体(B)の結晶化度が30%以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。
塩素化プロピレン系重合体(B)の質量平均分子量は30,000〜300,000であることが好ましく、70,000〜250,000であることがより好ましい。塩素化プロピレン系重合体(B)の質量平均分子量が30,000以上であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。一方、塩素化プロピレン系重合体(B)の質量平均分子量が300,000以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。
塩素化プロピレン系重合体(B)は、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性により優れる点で、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物、ラジカル重合性モノマー、またはこれらを組み合わせて変性された重合体であることが好ましい。
塩素化プロピレン系重合体(B)が、不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位を有する重合体の場合、塩素化プロピレン系重合体(B)の酸価は、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性の点から、0.1〜60mgKOH/gであることが好ましく、10〜40mgKOH/gであることがより好ましい。
なお、不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)で使用するものと同様である。
塩素化プロピレン系重合体(B)が、ラジカル重合性モノマーが付加された重合体の場合、塩素化プロピレン系重合体(B)中のラジカル重合性モノマー単位は、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィンに対する付着性の点から、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましい。
ここで、ラジカル重合性モノマーとは、(メタ)アクリル化合物、ビニル化合物を意味する。(メタ)アクリル化合物は、分子中に(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基を意味する。)を少なくとも1個含む化合物である。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、n−ブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましく、さらには、これらのメタクリレートが好ましい。これらは単独、或いは2種以上を混合して使用することができ、その混合割合を自由に設定することができる。
(アニオン型界面活性剤(D2))
プロピレン系水性分散体(BW)は、アニオン型界面活性剤(D2)を含んでもよい。
アニオン型界面活性剤(D2)としては、アニオン型界面活性剤(D1)の説明において先に例示したアニオン型界面活性剤などが挙げられる。
アニオン型界面活性剤(D2)とアニオン型界面活性剤(D1)は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
アニオン型界面活性剤(D2)の量は、塩素化プロピレン系重合体(B)100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、3〜25質量部であることがより好ましい。この範囲であれば、プロピレン系水性分散体(BW)と水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性により優れ、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。
(塩基性物質(E2))
プロピレン系水性分散体(BW)は、塩基性物質(E2)を含んでもよい。
塩基性物質(E2)としては、塩基性物質(E1)の説明において先に例示したものが挙げられる。
塩基性物質(E2)と塩基性物質(E1)は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
塩基性物質(E2)の量は、プロピレン系水性分散体(BW)と水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性の点から、塩素化ポリプロピレン材料(Q)および未中和のアニオン型界面活性剤(D2)に由来する酸を中和するのに必要な量に対して1〜2倍量であることが好ましく、1.2〜1.8倍量であることがより好ましい。
(水(F2))
プロピレン系水性分散体(BW)における水(F2)の量は、特に制限されず、例えば、固形分濃度が10〜60質量%になる量が好ましい。
(粒子径)
プロピレン系水性分散体(BW)の体積平均粒子径は、0.01〜0.55μmであることが好ましく、0.05〜0.45μmであることがより好ましい。プロピレン系水性分散体(BW)の体積平均粒子径が0.01μm以上であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。一方、プロピレン系水性分散体(BW)の体積平均粒子径が0.55μm以下であれば、プロピレン系水性分散体(BW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性と、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の成膜性、耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。
<酸変性プロピレン系水性分散体(AW)とプロピレン系水性分散体(BW)との割合>
水性塗料組成物(ABW)における酸変性プロピレン系水性分散体(AW)とプロピレン系水性分散体(BW)との割合[(AW)/(BW)]は、固形分の質量基準で、90/10〜10/90であることが好ましく、80/20〜20/80であることがより好ましくは、70/30〜30/70であることが特に好ましい。このような範囲であれば、水性塗料組成物(ABW)の極性樹脂との相溶性と、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。
<他の成分>
水性塗料組成物(ABW)は、必要に応じて、副資材を含んでもよい。
副資材としては、例えば、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の分散剤、乳化剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤、造膜助剤、レベリング剤等が挙げられる。
また、水性塗料組成物(ABW)は、そのまま水性塗料として用いることができるが、必要に応じて、他の水性樹脂、例えば、ポリオレフィン樹脂エマルション、水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アルキッド樹脂、水性フェノール樹脂、水性アミノ樹脂、水性ポリブタジエン樹脂、水性シリコン樹脂等を配合し、これを水性塗料として用いてもよい。他の水性樹脂としては、水性アクリル樹脂が好ましい。
水性アクリル樹脂は、アクリル系単量体を重合することによって得られたものである。アクリル系単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性塗料組成物(ABW)は、極性樹脂との相溶性に優れるので、上述した他の水性樹脂、特に水性アクリル樹脂を配合しても均一に混ざり合う。従って、水性塗料組成物(ABW)に他の水性樹脂を配合した塗料から形成された塗膜は優れた外観(透明性など)を有する。
<使用方法>
水性塗料組成物(ABW)は各種基材に塗布して使用することができる。基材としては、例えば、紙、繊維織物、プラスチック成形品、とりわけポリプロピレン成形品やポリエチレン成形品等の非極性基材に対しては、水性塗料組成物(ABW)の高い耐溶剤性が顕著に発揮される。該非極性基材に、他のポリオレフィン(例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム等)、無機フィラー(例えば、タルク、ガラス繊維、炭酸カルシウム等)、安定剤、着色剤などの各種添加剤が含まれている場合も同様である。
水性塗料組成物(ABW)の塗布方法としては、例えば、各種塗工機を用いる方法、スプレーを用いる方法、刷毛塗りなどを採ることができる。
<作用効果>
上記水性塗料組成物は、低温乾燥条件での成膜性に優れるとともに、極性樹脂との相溶性、貯蔵安定性にも優れる。また、ポリオレフィン成形体に対する付着性、耐溶剤性、および耐湿性に優れた塗膜を形成できる。
なお、水性塗料組成物は、有機溶剤を含有してもよいし、含有しなくてもよい。環境への配慮から、有機溶剤を含有しない方が好ましい。本発明の水性塗料組成物であれば、有機溶剤を含有しなくても、低温乾燥条件での成膜性に優れ、かつポリオレフィン成形体に対する付着性に優れた塗膜を形成できる。
「水性塗料組成物の製造方法」
本発明の水性塗料組成物の製造方法は、酸変性ポリマー材料(P)とアニオン型界面活性剤(D1)とを溶融混練して混練物を得る第1の混練工程と、前記混練物に塩基性物質(E1)と水(F1)とを添加し、溶融混練して酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を得る第2の混練工程と、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)とプロピレン系水性分散体(BW)とを混合する混合工程とを有する。
第1の混練工程では、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機などを用いて溶融混練する。
第1の混練工程でのアニオン型界面活性剤(D1)の添加量は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。アニオン型界面活性剤(D1)の添加量が1質量部以上であれば、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性がより向上し、40質量部以下であれば、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜のポリオレフィン成形体に対する付着性、耐溶剤性、耐湿性がより高くなる。
第2の混練工程でも、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機などを用いて溶融混練する。
第2の混練工程での塩基性物質(E1)の添加量は、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性の点から、酸変性ポリマー材料(P)およびアニオン型界面活性剤(D1)に由来する酸を中和するのに必要な量に対して1〜2倍量であることが好ましく、1.2〜1.8倍量であることがより好ましい。
塩基性物質(E1)は混練物に直接添加してもよいが、5〜40質量%程度の水溶液の形態で添加するのが好ましい。
第2の混練工程で添加する水(F1)は、転相に必要な水である。
第2の混練工程での水(F1)の添加量は、転相の容易性、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)および水性塗料組成物(ABW)の貯蔵安定性の点から、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)100質量部に対して5〜25質量部であることが好ましく、10〜22質量部であることがより好ましい。
水(F1)の添加量が前記範囲である酸変性プロピレン系水性分散体(AW)の固形分濃度は80質量%以上であり、実質的に固体である。そのため、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を既存の塗工方法で塗工するため、あるいは、他の薬剤を混合しやすくするためには、粘度を適切な範囲にする目的で、第2の混練工程の後に、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)に34質量部以上の希釈水を添加して希釈する希釈工程を有することが好ましい。希釈工程では、固形分濃度が10〜60質量%にすることが好ましい。
混合工程での酸変性プロピレン系水性分散体(AW)とプロピレン系水性分散体(BW)との混合方法は特に制限されず、例えば、容器内で攪拌混合する方法が挙げられる。
酸変性プロピレン系水性分散体(AW)とプロピレン系水性分散体(BW)との混合割合[(AW)/(BW)]は、固形分の質量基準で、90/10〜10/90にすることが好ましく、80/20〜20/80にすることがより好ましく、70/30〜30/70にすることが特に好ましい。このような範囲にすれば、水性塗料組成物(ABW)の極性樹脂との相溶性と、水性塗料組成物(ABW)から形成した塗膜の耐溶剤性、耐湿性、およびポリオレフィン成形体に対する付着性がより高くなる。
プロピレン系水性分散体(BW)の製造方法は特に制限されないが、貯蔵安定性の高いプロピレン系水性分散体(BW)が得られることから、酸変性プロピレン系水性分散体(AW)と同様の方法が好ましい。
すなわち、塩素化ポリプロピレン材料(Q)とアニオン型界面活性剤(D2)とを溶融混練して混練物を得た後、該混練物に塩基性物質(E2)と水(F2)とを添加し、溶融混練し、必要に応じて希釈する方法が好ましい。
上記プロピレン系水性分散体(BW)の製造方法において、アニオン型界面活性剤(D2)の添加量は、塩素化プロピレン系重合体(B)100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、3〜25質量部であることがより好ましい。
塩基性物質(E2)の添加量は、塩素化ポリプロピレン材料(Q)およびアニオン型界面活性剤(D2)に由来する酸を中和するのに必要な量に対して1〜2倍量であることが好ましく、1.2〜1.8倍量であることがより好ましい。
また、水(F2)の添加量は、塩素化プロピレン系重合体(B)100質量部に対して0.5〜25質量部であることが好ましく、3〜20質量部であることがより好ましい。
上記の製造方法によれば、ポリオレフィン成形体に対する付着性、低温成膜性、耐湿性、耐溶剤性に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物(ABW)を容易に製造できる。しかも、貯蔵安定性が高く、極性樹脂との相溶性に優れた水性塗料組成物(ABW)を容易に得ることができる。
また、上記製造方法であれば、有機溶剤を使用する必要がないから、製造時のVOCの排出を抑制でき、また、得られる水性塗料組成物(ABW)に有機溶剤は含まれない。
以下、本発明を製造例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」のことを意味する。
各重合体の特性(質量平均分子量、結晶化度、融点、酸価、平均粒子径)は、下記のようにして測定した。
[質量平均分子量]
ウォーターズ社製、アライアンスGPC V2000型(標準物質;ポリスチレン, 溶媒;オルトジクロロベンゼン, 測定温度;140℃, 溶媒流速;1mL/分)により測定した。
[結晶化度]
理学電機社製、広角X線回折装置RAD−RX型を用いて測定したX線回折スペクトルより求めた。
[融点]
セイコーインスツルメンツ社製、DSC200、示差走査熱量計(DSC)を使用して、以下の方法で求めた。
試料(約5〜10mg)を160℃で3分間融解後、10℃/分の速度で−20℃まで降温し、−20℃で2分間保持した後、10℃/分で160℃まで昇温することにより融解曲線を得、最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点として求めた。
[酸価の測定]
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)、第2の酸変性プロピレン系重合体(C)、または塩素化プロピレン系重合体(B)200mgとクロロホルム4800mgを10mlのサンプル瓶に入れて50℃で30分加熱し完全に溶解させた。NaCl、光路長0.5mmの液体セルにクロロホルムを入れ、バックグラウンドとした。次に溶解した酸変性プロピレン系重合体溶液をセルに入れ、FT−IR(日本分光社製)を用いて、積算回数32回にて赤外吸収スペクトルを測定した。無水マレイン酸のグラフト率は、無水マレイン酸をクロロホルムに溶解した溶液を測定し、検量線を作成したものを用いて計算した。カルボニル基の吸収ピーク(1780cm−1付近の極大ピーク、1750〜1813cm−1)の面積から、別途作成した検量線に基づき、重合体中の酸成分含有量を算出した。算出した酸成分含有量/(100−酸成分含有量)×1/97(グラフトされた無水マレイン酸1分子当りの分子量)×2当量(グラフトされた1分子の無水マレイン酸が中和された時のカルボン酸基数)×57(KOH分子量)×1000から酸価を算出した。
[平均粒子径]
日機装社製のマイクロトラック(ナノトラック150)(測定溶媒;純水)を用いて体積基準の平均粒子径を測定した。
[塩素含有率の測定]
JIS−K7229に準じて測定した。すなわち、塩素含有樹脂を酸素雰囲気下で燃焼させ、発生した気体塩素を水で吸収し、滴定により定量する「酸素フラスコ燃焼法」により測定した。
[有機溶剤残存量測定]
ガスクロマトグラフ計を用い、トルエンの検量線を使用して、水性分散体中の有機溶剤含有量を測定した。
[第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の前駆体の製造]
プロピレン系重合体(AP−1):
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の前駆体として使用するプロピレン系重合体(AP−1)を以下の方法により得た。
1000mL丸底フラスコに、脱イオン水110mL、硫酸マグネシウム・7水和物22.2gおよび硫酸18.2gを採取し、攪拌して溶解させた。これにより得た溶液に、市販の造粒モンモリロナイト16.7gを分散させ、100℃まで昇温し、2時間攪拌を行った。その後、室温まで冷却し、得られたスラリーを濾過してウェットケーキを回収した。回収したウェットケーキを1000mL丸底フラスコにて、脱塩水500mLにて再度スラリー化し、濾過を行った。この操作を2回繰り返した。最終的に得られたケーキを、窒素雰囲気下110℃で一晩乾燥して、化学処理モンモリロナイト13.3gを得た。
得られた化学処理モンモリロナイト4.4gに、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.4mmol/mL)20mLを加え、室温で1時間攪拌した。この懸濁液にトルエン80mLを加え、攪拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返した後、トルエンを加えて、粘土スラリー(スラリー濃度=99mg粘土/mL)を得た。別のフラスコに、トリイソブチルアルミニウム0.2mmolを採取し、ここで得られた粘土スラリー19mLおよびジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)ハフニウム]131mg(57μmol)のトルエン希釈液を加え、室温で10分間攪拌し、触媒スラリーを得た。
次いで、内容積24リットルの誘導攪拌式オートクレーブ内に液体プロピレン2.48Lおよび液体エチレン0.05Lを導入した。室温で、上記触媒スラリーを全量導入し、85℃まで昇温し重合時全圧を0.60MPa、水素濃度400ppmで一定に保持しながら、同温度で2時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンを放出して重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量回収し、溶媒並びに粘土残渣を除去して、プロピレン−エチレン共重合体トルエン溶液を得た。得られたプロピレン−エチレン共重合体をプロピレン系重合体(AP−1)とした。
プロピレン系重合体(AP−1)のエチレン単位量は2%、質量平均分子量Mwは70,000(ポリスチレン換算)、融点は135℃、結晶化度は50%であった。
プロピレン系重合体(AP−2)〜(AP−9):
エチレンおよび/または1−ブテンのガス供給量を調整した以外は(AP−1)の製法と同様にしてプロピレン系重合体(AP−2)〜(AP−9)を調製した。エチレンおよび/または1−ブテンのガス供給量を調整することで、プロピレン系重合体の融点を調整した。表1に、得られたプロピレン系重合体の質量平均分子量(換算Mw)、融点、結晶化度を示す。
プロピレン系重合体(AP−10)〜(AP−13):
エチレンおよび/または1−ブテンのガス供給量を調整した以外は(AP−1)の製法と同様にしてプロピレン系重合体(AP−10)〜(AP−13)を調製した。エチレンおよび/または1−ブテンのガス供給量を調整することで、プロピレン系重合体の結晶化度を調整した。表1に、得られたプロピレン系重合体の質量平均分子量(換算Mw)、融点、結晶化度を示す。
Figure 2012149199
[第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の製造]
第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1):
上記プロピレン系重合体(AP−1)に無水マレイン酸をグラフトさせる変性処理を施して、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)を得た。
具体的には、上記プロピレン系重合体(AP−1)100部に、無水マレイン酸5部、ジ−t−ブチルパーオキシド1.8部を、170℃に設定した二軸押出機を用いて反応させて、酸変性ポリプロピレン系重合体を得た。その際、押出機内を脱気して、残留する未反応物を除去した。
この反応により得られた第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)は、質量平均分子量Mw25,000(ポリスチレン換算)、酸価40mgKOH/gであった。融点および結晶化度はプロピレン系重合体(AP−1)と同じである。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A−2)〜(A−5),(A−18)〜(A−21):
無水マレイン酸の変性条件を表2に示すように変更した以外は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)の製造と同様にして、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−2)〜(A−5),(A−18)〜(A−21)を得た。表2に、得られた第1の酸変性プロピレン系重合体の質量平均分子量(換算Mw)、酸価、融点、結晶化度を示す。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A−6)〜(A−17):
プロピレン系重合体(AP−1)を表2に示すプロピレン系重合体に変更したこと以外は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)の製造と同様にして、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−6)〜(A−17)を得た。表2に、得られた第1の酸変性プロピレン系重合体の質量平均分子量(換算Mw)、酸価、融点、結晶化度を示す。
Figure 2012149199
[第2の酸変性プロピレン系重合体(C)]
第2の酸変性プロピレン系重合体(C)としては、下記(C−1)〜(C−3)を用いた。
・(C−1):無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製「三井ハイワックス 0555A」、質量平均分子量Mw:37,000(ポリスチレン換算)、酸価:45mgKOH/g、融点140℃)。
・(C−2):第2の酸変性プロピレン系重合体(C−2)は、プロピレン系重合体(AP−6)を前駆体として用い、変性条件を表2に示すように変更した以外は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)の製造と同様にして得た。第2の酸変性プロピレン系重合体(C−2)の質量平均分子量Mwは37,000(ポリスチレン換算)、酸価は21mgKOH/g、融点は144℃、結晶化度は50%であった。
・(C−3):第2の酸変性プロピレン系重合体(C−3)は、プロピレン系重合体(AP−8)を前駆体として用い、変性条件を表2に示すように変更した以外は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)の製造と同様にして得た。第2の酸変性プロピレン系重合体(C−3)の質量平均分子量Mwは55,000(ポリスチレン換算)、酸価は45mgKOH/g、融点は149℃、結晶化度は59%であった。
[アニオン型界面活性剤(D1)および塩基性物質(E1)]
アニオン型界面活性剤(D1)としては、脂肪酸カリウム(花王製「KSソープ」)(D1)を用いた。
塩基性物質(E1)としては、水酸化カリウム(E1)を用いた。
[酸変性プロピレン系水性分散体(AW)の製造]
(製造例1)
第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)と、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)100部に対して10部の脂肪酸カリウム(D1)を、二軸押出機(スクリュー径;30mm、L/D;40、バレル温度;210℃)にその投入口から供給して溶融混練した。
また、該二軸押出機のベント部に設けた供給口より、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)と脂肪酸カリウム(D1)の総質量に対して、水酸化カリウム水溶液の形態で、3.4部(酸を中和するのに必要な量に対して1.5倍)の水酸化カリウム(E1)と17部の水(F1)を1.8MPaで連続的に圧入し、二軸押出機内で溶融混練した。
そして、二軸押出機先端より吐出させた固形状の水性分散体を、150部の温水中で分散させ、希釈して、固形分濃度が30%で、平均粒子径0.23μm、有機溶剤残存量0ppmの酸変性プロピレン系水性分散体(AW−1)を得た(表3参照)。
(製造例2)
第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)と、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)100部に対して1.5部の第2の酸変性プロピレン系重合体(C−1)と、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)100部に対して10部の脂肪酸カリウム(D1)とを、二軸押出機(スクリュー径;30mm、L/D;40、バレル温度;210℃)にその投入口から供給し、溶融混練した。
また、該二軸押出機のベント部に設けた供給口より、第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)と第2の酸変性プロピレン系重合体(C−1)と脂肪酸カリウム(D1)の総質量に対して、水酸化カリウム水溶液の形態で、3.4部(酸を中和するのに必要な量に対して1.5倍)の水酸化カリウム(E1)と17部の水(F1)を1.8MPaで連続的に圧入した。そして、二軸押出機内で溶融混練して水性分散体を得た。
そして、二軸押出機先端より吐出させた固形状の水性分散体を、150部の温水中で分散させ、希釈して、固形分濃度が30%で、平均粒子径0.22μm、有機溶剤残存量0ppmの酸変性プロピレン系水性分散体(AW−2)を得た(表3参照)。
(製造例3〜5)
第2の酸変性プロピレン系重合体(C−1)の添加量を表3に示すように変更した以外は製造例2と同様にして、酸変性プロピレン系水性分散体(AW−3)〜(AW−5)を得た(表3参照)。
(製造例6〜9)
脂肪酸カリウム(D1)の添加量、および(A)、(C)、(D1)成分の酸に対する塩基当量を表3に示すように変更した以外は製造例3と同様にして、酸変性プロピレン系水性分散体(AW−6)〜(AW−9)を得た(表3参照)。
(製造例10〜13)
水(F1)の添加量、および(A)、(C)、(D1)成分の酸に対する塩基当量を表3、4に示すように変更した以外は製造例3と同様にして、酸変性プロピレン系水性分散体(AW−10)〜(AW−13)を得た(表3、4参照)。
(製造例14)
第2の酸変性プロピレン系重合体(C−1)を第2の酸変性プロピレン系重合体(C−2)に変更した以外は製造例3と同様にして、平均粒子径0.29μmの酸変性プロピレン系水性分散体(AW−14)を得た(表4参照)。
(製造例15)
第2の酸変性プロピレン系重合体(C−1)を第2の酸変性プロピレン系重合体(C−3)に変更した以外は製造例3と同様にして、平均粒子径0.32μmの酸変性プロピレン系水性分散体(AW−15)を得た(表4参照)。
(製造例16〜35)
第1の酸変性プロピレン系重合体(A−1)を表4、5に示すように変更した以外は製造例3と同様にして、酸変性プロピレン系水性分散体(AW−16)〜(AW−35)を得た(表4、5参照)。
Figure 2012149199
Figure 2012149199
Figure 2012149199
[塩素化プロピレン系重合体(B)の前駆体の製造]
プロピレン系重合体(BP−1)〜(BP−20):
塩素化プロピレン系重合体(B)の前駆体として使用するプロピレン系重合体(BP−1)〜(BP−20)を以下の方法により得た。
エチレンおよび/または1−ブテンのガス供給量を調整した以外は、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の前駆体であるプロピレン系重合体(AP−1)の製法と同様にしてプロピレン系重合体(BP−1)〜(BP−20)を調製した。その際、エチレンおよび/または1−ブテンのガス供給量を調整することで、プロピレン系重合体の融点を調整した。得られたプロピレン系重合体(BP)の質量平均分子量(換算Mw)、融点、エチレン付加量、ブテン付加量を表6に示す。
Figure 2012149199
[塩素化プロピレン系重合体(B)の製造]
塩素化プロピレン系重合体(B−1):
プロピレン系重合体(BP−1)100部に、無水マレイン酸3.3部、ジ−t−ブチルパーオキシド1.0部を、170℃に設定した二軸押出機を用いて反応させた。その際、押出機内を脱気して、残留する未反応物を除去して酸変性物を得た。この酸変性物2kgを、グラスライニングされた50L反応釜に投入し、20Lのクロロホルムを加え、0.2MPaの圧力下、紫外線を照射しながらガス状の塩素を反応釜底部より吹き込み塩素化して、塩素含有率20%の塩素化ポリオレフィンを得た。次いで、溶媒であるクロロホルムをエバポレーターで留去し、固形分濃度30質量%に調整した。このクロロホルム溶液に安定剤(t−ブチルフェニルグリシジルエーテル)を対樹脂1.5質量%添加した後、バレル温度90℃に設定した二軸押出機にて固形化して、塩素化プロピレン系重合体(B−1)を得た(表7参照)。
塩素化プロピレン系重合体(B−2)〜(B−9)、(B−18)〜(B−25)、(B−43)、(B−44):
プロピレン系重合体(BP)を表7、8に示すように変更した以外は、塩素化プロピレン系重合体(B−1)と同様にして塩素化プロピレン系重合体(B−2)〜(B−9)、(B−18)〜(B−25)、(B−43)、(B−44)を得た(表7、8参照)。
塩素化プロピレン系重合体(B−10)〜(B−17):
プロピレン系重合体(BP)を表7、8に示すように変更し、塩素ガスの吹き込み量を調整した以外は、塩素化プロピレン系重合体(B−1)と同様にして塩素化プロピレン系重合体(B−10)〜(B−17)を得た(表7、8参照)。
塩素化プロピレン系重合体(B−26)〜(B−33):
無水マレイン酸の添加量を表7、8に示すように変更した以外は、塩素化プロピレン系重合体(B−5)と同様にして塩素化プロピレン系重合体(B−26)〜(B−33)を得た(表7、8参照)。
塩素化プロピレン系重合体(B−34)〜(B−41):
エチルメタクリレートを無水マレインおよびジ−t−ブチルパーオキシドと共に、表7、8に示すように添加した以外は、塩素化プロピレン系重合体(B−5)と同様にして塩素化プロピレン系重合体(B−34)〜(B−41)を得た(表7、8参照)。
塩素化プロピレン系重合体(B−42):
無水マレイン酸を添加しなかったこと以外は、塩素化プロピレン系重合体(B−37)と同様にして塩素化プロピレン系重合体(B−42)を得た(表7、8参照)。
Figure 2012149199
Figure 2012149199
[アニオン型界面活性剤(D2)および塩基性物質(E2)]
アニオン型界面活性剤(D2)としては、脂肪酸カリウム(花王製「KSソープ」)(D2)を用いた。
塩基性物質(E2)としては、水酸化カリウム(E2)を用いた。
[プロピレン系水性分散体(BW)の製造]
(製造例36)
攪拌機、冷却管、温度計、ロートを取り付けた4つ口フラスコ中に、塩素化プロピレン系重合体(B−1)100部と、塩素化プロピレン系重合体(B−1)100部に対して20部の脂肪酸カリウム(D2)、塩素化プロピレン系重合体(B−1)と脂肪酸カリウム(D2)の総質量に対して、水酸化カリウム水溶液の形態で0.5部(酸を中和するのに必要な量に対して1.5倍)の水酸化カリウム(E2)、20部のトルエンを添加し、120℃で30分混練した。その後、90℃の脱イオン水290gを90分かけて添加した。次いで、トルエンを減圧下にて除去後、室温まで攪拌しながら冷却した。これにより得られたプロピレン系水性分散体(BW−1)は、平均粒子径0.22μmであった(表9参照)。
(製造例37〜79)
塩素化プロピレン系重合体(B−1)を塩素化プロピレン系重合体(B−2)〜(B−44)に変更した以外は製造例36と同様にして、プロピレン系水性分散体(BW−2)〜(BW−44)を得た(表9〜11参照)。
(製造例80)
プロピレン系重合体(BP−20)と、プロピレン系重合体(BP−20)100部に対して10部の第2の酸変性プロピレン系重合体(C−1)と、プロピレン系重合体(BP−20)100部に対して20部の脂肪酸カリウム(D2)を、二軸押出機(スクリュー径;30mm、L/D;40、バレル温度;210℃)にその投入口から供給して溶融混練した。
また、該二軸押出機のベント部に設けた供給口より、プロピレン系重合体(BP−20)と第2の酸変性プロピレン系重合体(C−1)と脂肪酸カリウム(D2)の総質量に対して、水酸化カリウム水溶液の形態で、0.5部(酸を中和するのに必要な量に対して1.5倍)の水酸化カリウム(E2)と5.0部の水(F2)を1.8MPaで連続的に圧入した。
そして、二軸押出機先端より吐出させた固形状の水性分散体を、150部の温水中で分散させ、希釈して、固形分濃度が30%で、平均粒子径0.26μmのプロピレン系水性分散体(BW−45)を得た(表11参照)。
Figure 2012149199
Figure 2012149199
Figure 2012149199
(実施例1)
酸変性プロピレン系水性分散体(AW−3)95部とプロピレン系水性分散体(BW−5)5部を固形分の質量基準で混合して、水性塗料組成物(ABW−1)を得た。得られた水性塗料組成物(ABW−1)を、表面を脱脂処理した試験片(プライムポリマー社製の「J715M」を射出成形して得た100×100mmで厚さ2mmの平板)に乾燥膜厚で15μmになるようにスプレー塗装した。その後、75℃で15分間乾燥し、室温で24時間静置して塗膜を形成して試験片を得た。
得られた水性塗料組成物(ABW−1)の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性、低温成膜性を以下のように評価した。その結果を表12に示す。
[耐溶剤性試験]
試験片の塗膜上に内径30mmの金属製円筒を置き、円筒内にヘキサン5mlを入れ、円筒上部に蓋をして密閉状態にした。この状態のまま、80℃の雰囲気下で4時間放置した後、同一試験片の未試験品と比較し、以下の判定基準に従い評価した。なお、変色退色および/または剥離している面積が50%未満の場合、耐溶剤性を有すると判断した。
◎:外観変化が見られない。
○:全塗膜面積に対し、変色退色および/または剥離している面積が1%以上25%未満。
△:全塗膜面積に対し、変色退色および/または剥離している面積が25%以上50%未満。
×全塗膜面積に対し、変色退色および/または剥離している面積が50%以上。
[耐湿性試験]
ステンレス製のカゴの中に入れた試験片を、40℃の温水中に完全に浸漬し、10日間放置した。その後、温水中から取出した後、同一試験片の未試験品と比較し、以下の判定基準に従い評価した。なお、ブリスターが発生している面積が50%未満の場合、耐湿性を有すると判断した。
◎:外観変化が見られない。
○:全塗膜面積に対し、ブリスターが発生している面積が1%以上25%未満。
△:全塗膜面積に対し、ブリスターが発生している面積が25%以上50%未満。
×:全塗膜面積に対し、ブリスターが発生している面積が50%以上。
[付着性試験]
ポリオレフィン成形体に対する付着性評価として、JIS K5400に準拠して、セロハンテープを用いて剥離試験を行った。試験片の塗膜に2mm間隔で25個のマス目を形成させた後、それらのマス目にセロハンテープを密着させた後、引き剥がし、以下の判定基準に従い評価した。なお、残存したマス目が5以上のとき実用的な付着性を有すると判断した。
◎:残存したマス目の数が25。
○:残存したマス目の数が20〜24。
△:残存したマス目の数が5〜19。
×:残存したマス目の数が0〜4。
[低温成膜性試験]
試験片の塗装外観の目視観察により、以下の判定基準に従い評価した。なお、全塗膜面積に対し、クラックおよび/または白化が見られる面積が50%未満の場合、低温成膜性を有するとすると判断した。
◎:クラックおよび/または白化がない。
○:全塗膜面積に対し、クラックおよび/または白化が見られる面積が1%以上25%未満。
△:全塗膜面積に対し、クラックおよび/または白化が見られる面積が25%以上50%未満。
×:全塗膜面積に対し、クラックおよび/または白化が見られる面積が50%以上。
[貯蔵安定性試験]
水性塗料組成物を1Lの密封できる容器に入れ、40℃で1ヶ月間静置した後の水性分散体の状態を、以下の判定基準に従い評価した。なお、分離および/または沈殿が確認されるが、攪拌にて容易に分散できる場合は、貯蔵安定性を有すると判断した。
◎:分離および沈殿せず、粘度に変化がない。
○:分離および沈殿は確認されないが、増粘している。
△:分離および/または沈殿が確認されたが、攪拌にて容易に分散できる。
×:分離および/または沈殿が確認され、攪拌にて容易に分散できない。
[極性樹脂との相溶性]
水性塗料組成物50部とアクリルエマルジョン(旭化成ケミカルズ社製「ポリトロンE390M」)50部を固形分の質量基準で混合し、ガラス板に塗装して得られた塗膜の透明度をHaze測定により求め、以下の判定基準に従い評価した。なお、Haze値が40%未満の場合、極性樹脂との相溶性を有すると判断した。
◎:Haze値が0%以上20%未満。
○:Haze値が20%以上30%未満。
△:Haze値が30%以上〜40%未満。
×:Haze値が40%以上。
(実施例2〜7)
実施例1と同様にして、酸変性プロピレン系水性分散体(AW−3)とプロピレン系水性分散体(BW−5)を表12に示すように混合して、水性塗料組成物(ABW−2)〜(ABW−7)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表12に示す。
(実施例8〜10)
実施例1と同様にして、酸変性プロピレン系水性分散体(AW−3)とプロピレン系水性分散体(BW−26)を表13に示すように混合して、水性塗料組成物(ABW−8)〜(ABW−10)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表13に示す。
(実施例11〜13)
プロピレン系水性分散体を(BW−37)に変更した以外は、実施例8〜10と同様にして、水性塗料組成物(ABW−11)〜(ABW−13)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表13に示す。
(実施例14〜16)
プロピレン系水性分散体を(BW−42)に変更した以外は、実施例8〜10と同様にして、水性塗料組成物(ABW−14)〜(ABW−16)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表13に示す。
(実施例17〜42)
酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を表14〜16に示すように変更した以外は、実施例4と同様にして、水性塗料組成物(ABW−17)〜(ABW−42)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表14〜16に示す。
(実施例43〜80)
プロピレン系水性分散体(BW)を表16〜19に示すように変更した以外は、実施例4と同様にして、水性塗料組成物(ABW−43)〜(ABW−80)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表16〜19に示す。
Figure 2012149199
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(比較例1)
酸変性プロピレン系水性分散体(AW−3)を実施例1と同様に、水性分散体の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表20に示す。
(比較例2〜5)
酸変性プロピレン系水性分散体(AW−3)をプロピレン系水性分散体(BW−5)、(BW−24)、(BW−35)、(BW−40)に変更した以外は、比較例1と同様にして、水性分散体の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表20に示す。
(比較例6)
実施例1と同様にして、酸変性プロピレン系水性分散体(AW−16)50部とプロピレン系水性分散体(BW−5)50部とを固形分の質量基準で混合して、水性塗料組成物(ABW−81)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表21に示す。
(比較例7〜13)
酸変性プロピレン系水性分散体(AW−16)を表18に示すように変更した以外は、比較例6と同様にして水性塗料組成物(ABW−82)〜(ABW−88)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表21に示す。
(比較例14)
実施例1と同様にして、酸変性プロピレン系水性分散体(AW−3)50部とプロピレン系水性分散体(BW−10)50部とを混合して、水性塗料組成物(ABW−89)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表21に示す。
(比較例15、16)
プロピレン系水性分散体(BW−10)を表21に示すように変更した以外は、比較例14と同様にして水性塗料組成物(ABW−90)、(ABW−91)を得た。得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性と、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、付着性、低温成膜性を評価した。その結果を表21に示す。
Figure 2012149199
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本願請求項1に係る発明の範囲にある実施例1〜80の水性塗料組成物では、低温乾燥条件において得られた塗膜の成膜性、耐溶剤性、ポリオレフィン成形体に対する付着性に優れていた。また、水性塗料組成物は貯蔵安定性および極性樹脂との相溶性にも優れていた。
プロピレン系水性分散体(BW)を含まない比較例1の水性塗料組成物では、ポリオレフィン成形体に対する付着性が不充分であった。
酸変性プロピレン体系水性分散体(AW)を含まない比較例2〜5の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性、耐湿性が低かった。
第1の酸変性プロピレン系重合体(A)の質量平均分子量が2,000未満の酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を用いて得た比較例6の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性、耐湿性が低かった。
酸変性プロピレン系重合体(A)の質量平均分子量が30,000を超える酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を用いて得た比較例7の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性が低かった。
酸変性プロピレン系重合体(A)の融点が120℃未満の酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を用いて得た比較例8の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性が低かった。
酸変性プロピレン系重合体(A)の融点が150℃を超える酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を用いて得た比較例9の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性、耐湿性が低かった。
酸変性プロピレン系重合体(A)の結晶化度が30%未満の酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を用いて得た比較例10の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性が低かった。
酸変性プロピレン系重合体(A)の結晶化度が60%を超える酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を用いて得た比較例11の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性、耐湿性が低かった。
酸変性プロピレン系重合体(A)の酸価が10mgKOH/g未満の酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を用いて得た比較例12の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性が低かった。
酸変性プロピレン系重合体(A)の酸価が65mgKOH/gを超える酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を用いて得た比較例13の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性、耐湿性が低かった。
塩素化プロピレン系重合体(B)の塩素含有率が1.0質量%未満のプロピレン系水性分散体(BW)を用いて得た比較例14の水性塗料組成物は、極性樹脂との相溶性が低かった。
塩素化プロピレン系重合体(B)の塩素含有率が50%を超えるプロピレン系水性分散体(BW)を用いて得た比較例15の水性塗料組成物では、塗膜の耐溶剤性、耐湿性、ポリオレフィン成形体に対する付着性が低かった。
プロピレン系重合体(BP)の塩素含有率が0%であるプロピレン系水性分散体(BW)を用いて得た比較例16の水性塗料組成物は、極性樹脂との相溶性が低かった。

Claims (7)

  1. 酸基を有する酸変性ポリマー材料(P)と、アニオン型界面活性剤(D1)と、塩基性物質(E1)と、塩素化ポリプロピレン材料(Q)と、水とを含有する水性塗料組成物であって、
    酸変性ポリマー材料(P)が、プロピレン単位と不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位とを有し且つ酸価が10〜65mgKOH/g、融点が120〜150℃、結晶化度が30〜60%、質量平均分子量が2,000〜30,000の第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を含有し、
    塩素化ポリプロピレン材料(Q)が、プロピレン単位を有し且つ塩素含有率が1〜50質量%の塩素化プロピレン系重合体(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 酸基を有する酸変性ポリマー材料(P)と、アニオン型界面活性剤(D1)と、塩基性物質(E1)と、水の一部とを含む酸変性プロピレン系水性分散体(AW)と、
    塩素化ポリプロピレン材料(Q)と、残りの水とを含むプロピレン系水性分散体(BW)とを含有する請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 酸変性ポリマー材料(P)が、プロピレン単位と不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位とを有し且つ質量平均分子量が31,000〜50,000の第2の酸変性プロピレン系重合体(C)を、第1の酸変性プロピレン系重合体(A)100質量部に対して1〜50質量部含有する請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
  4. 塩素化プロピレン系重合体(B)が、炭素数2〜4のα−オレフィン単位を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
  5. 塩素化プロピレン系重合体(B)が、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物、ラジカル重合性モノマー、またはこれらを組み合わせて変性された重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
  6. 酸基を有する酸変性ポリマー材料(P)とアニオン型界面活性剤(D1)とを溶融混練して混練物を得る第1の混練工程、
    前記混練物に、塩基性物質(E1)と水(F1)とを添加し、溶融混練して酸変性プロピレン系水性分散体(AW)を得る第2の混練工程、
    酸変性プロピレン系水性分散体(AW)と、塩素化ポリプロピレン材料(Q)および水(F2)を含むプロピレン系水性分散体(BW)とを混合する混合工程を有する水性塗料組成物の製造方法であって、
    酸変性ポリマー材料(P)が、プロピレン単位と不飽和カルボン酸単位または不飽和カルボン酸無水物単位とを有し且つ酸価が10〜65mgKOH/g、融点が120〜150℃、結晶化度が30〜60%、質量平均分子量が2,000〜30,000の第1の酸変性プロピレン系重合体(A)を含有し、
    塩素化ポリプロピレン材料(Q)が、プロピレン単位を有し且つ塩素含有率が1〜50質量%の塩素化プロピレン系重合体(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物の製造方法。
  7. 混合工程における酸変性プロピレン系水性分散体(AW)とプロピレン系水性分散体(BW)との混合比[(AW)/(BW)]を、固形分の質量基準で90/10〜10/90にする請求項6に記載の水性塗料組成物の製造方法。
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