JP5031254B2 - 水性分散体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂の水性分散体の製造方法に関し、特に、水性分散体を連続的に安定して製造できる製造方法に関する。
従来から、熱可塑性樹脂の水性分散体や、水性分散体を水などで希釈してなる水性分散液として、種々のタイプのものが知られており、接着剤や塗料の分野を典型として、あらゆる分野において使用されている。
熱可塑性樹脂の水性分散体は、用途と分散されるポリマーの種類に応じて、付着性、耐食性、ガスバリヤー性、耐チッピング性、耐ヒールマーク性など、広範な機能が注目されている。また、熱可塑性樹脂の水性分散体や水性分散液を含有する配合物は、使用される分野や注目される機能に応じて多様な用語で呼ばれ、製品表面の防湿剤、撥水剤、皮膜形成剤、コーティング剤として使用されたり、繊維処理剤、ヒートシール剤、バインダー、プライマーなどとして他の材料と複合して使用されたりしている。
また、従来から、熱可塑性樹脂の水性分散体や水性分散液を含有する配合物を使用した製品の形態としては、塗装部品、被覆部品、積層体、改質剤、インク、化粧品、粘着製品、ラベル、テープなどの多様な形態がある。さらに、熱可塑性樹脂の水性分散液に架橋操作やグラフト重合を行って得られる改質された水性分散液も上記の分野に活用されている。また、改質された水性分散液は、凝固/乾燥させて固形分を再び取出して、粉体の状態とし、樹脂改質剤として活用されたり、他の樹脂と溶融混練して成形材料として活用されたりしており、産業の広範な分野において使用され、その有用性は著しく高い。
このような熱可塑性樹脂の水性分散体の製造方法としては、重合法と後乳化法が挙げられる。
重合法は、水性媒体中でラジカル重合性の単量体を乳化重合して水性分散体を得る方法であり、ゴムラテックスやアクリル系エマルション、酢酸ビニル系エマルションなどを代表に大きな産業上の一分野を形成している。しかし、重合法は、単量体の重合性により生成可能な熱可塑性樹脂の種類および単量体組成が限られることや、重合反応のコントロールが繁雑であること、重合装置が複雑であることなどの問題がある。
また、後乳化法としては、溶融する熱可塑性樹脂および水性媒体を、各種の乳化剤や水溶性高分子の存在下で高剪断を与えて製造する方法が知られている。後乳化法は、重合法と比較して、装置や運転技術が比較的簡単ですむという利点がある。また、後乳化法については、有機溶剤を使用する場合や使用しない場合を合わせて数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1および特許文献2には、押出機内での転相を伴う方法として、ポリオレフィンとカルボキシル基含有ポリオレフィンとを溶融混練後、水または塩基性物質含有水溶液を供給し、さらに、溶融混練して転相させて水性分散体を得る方法が開示されている。特許文献1および特許文献2に記載の方法は、連続的に水性分散体および水性分散液を得ることが可能であり、産業上の有用性は高い。
特開昭61−34064号公報 特開昭63−46273号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の方法では、連続的に製造する場合に使用可能な熱可塑性樹脂が、一部のペレット状原料に限られていることが問題となっていた。具体的には、例えば、特許文献1および特許文献2に記載の方法において、熱可塑性樹脂として、「ベール」と呼ばれる塊状物で市販されているゴムや「ランプ」と呼ばれるこぶし大の塊状物で市販されている低分子量熱可塑性樹脂、ペレット状であっても粘着または固着により大きな塊となる熱可塑性樹脂などを使用した場合、連続的に製造すると水性分散体の品質が一定とならず、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりする。このため、特許文献1および特許文献2に記載の方法では、良好な水性分散体が得られなかったり、全く水性分散体が得られなかったりし、連続的に安定して製造できない場合があることが問題となっていた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、連続的に安定して製造でき、平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好な熱可塑性樹脂の水性分散体を得ることができる水性分散体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の水性分散体の製造方法を用いて得られた平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好な水性分散体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明者は、鋭意研究を重ね、熱可塑性樹脂の形状に関わらず、平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好な熱可塑性樹脂の水性分散体を連続的に安定して製造するためには、押出機に供給される全ての供給原料を押出機に安定して供給すればよいことを見出し、本発明を想到した。
すなわち、本発明の水性分散体の製造方法は、押出機を用いて水性分散体を製造する方法であって、熱可塑性樹脂としてEPDMまたはαオレフィン共重合体と、酸変性ポリオレフィンと、乳化剤と、塩基性物質の水溶液とを含む全ての供給原料を変動率5%以下で前記押出機に供給する供給工程を備えることを特徴とする。
また、上記の水性分散体の製造方法においては、前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を水性の液体を用いて湿式破砕し、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下であり、かつ、付着水分率が0.2〜2.0%である破砕物とする前処理工程を備える方法とすることができる。この場合、前記湿式破砕で使用する水性の液体が水であることが望ましい。
また、上記の水性分散体の製造方法においては、前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を乾式破砕して、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下である破砕物とし、前記破砕物に、再付着防止剤を付着させる前処理工程を備える方法としてもよい。
この場合、前記再付着防止剤が水であることが望ましい。また、前記再付着防止剤は、中位粒度が50μ以下のポリオレフィン微粉であってもよい。
また、上記の水性分散体の製造方法においては、前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を溶融する前処理工程を備えることを特徴とする方法としてもよい。
また、上記の水性分散体の製造方法においては、前記熱可塑性樹脂の1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下である方法としてもよい
本発明の水性分散体の製造方法は、変動率5%以下で全ての供給原料を前記押出機に供給する供給工程を備えるので、熱可塑性樹脂の形状に関わらず、平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好な熱可塑性樹脂の水性分散体を連続的に安定して製造できる。
また、本発明の水性分散体は、平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好なものとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性分散体の製造方法は、押出機を用いて水性分散体を製造する方法であって、全ての供給原料を変動率5%以下、好ましくは2%以下で前記押出機に供給する供給工程を備える方法である。
ここでの「変動率」とは、押出機に供給される供給原料の流量の変動率のことであり、押出機への供給原料の安定性を示す指標である。本実施形態における「変動率」とは、平均流量に対する1分間毎の平均流量の変動幅(最大値と最小値との差)を%で表わしたものであり、下記の式で表わされる。
Figure 0005031254
変動率が5%を超えると、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりし、良好な熱可塑性樹脂の水性分散体を連続的に安定して製造できない。また、変動率を2%以下とすることで、熱可塑性樹脂の水性分散体を連続的により一層安定して製造でき、より一層良好な水性分散体が得られる。
本発明において用いられる水性分散体製造装置としては、例えば、供給原料が供給される二軸押出機と、二軸押出機に供給原料を供給する供給装置と、二軸押出機に連結され、水分が蒸気となって逃げないように機密性を保った一軸押出機とから構成されるものなどを用いることができる。また、本発明において、供給原料を押出機に供給する際に用いられる供給装置としては、重量式定量フィーダーなどを用いることができる。
また、本発明において用いられる供給原料としては、例えば、各種の熱可塑性樹脂、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、および水または塩基性物質の水溶液からなるものを用いることができる。
本発明で使用できる熱可塑性樹脂としては、目的に応じて下記のポリマーを単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
本発明で使用できる熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどのα-オレフィンからなるホモポリマー、およびこれらモノマーのコポリマーとさらに追加成分として非共役ジエン、共役ジエン、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物など共重合可能なモノマーを含有した重合体などを挙げることができる。上記の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPラバー、EPDMや、エチレン−ブテン、エチレン−ブテン−プロピレン、エチレン−オクテンなどのコポリマーと、これらのポリマーまたはコポリマーにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸を導入した変性ポリマーが好ましい。
また、本発明で使用できる熱可塑性樹脂としては、上記のものの他、例えば、スチレンとブタジエンやイソプレンのランダム共重合体やブロック共重合体とその水素添加物、酢酸ビニルなどのビニルエステルの各種共重合体とその加水分解物などを用いることもできる。ビニルエステルの各種共重合体とその加水分解物の中では、エチレン―酢酸ビニルとその部分ケン化物および、高ケン化物を用いることが好ましい。
さらに、本発明で使用できる熱可塑性樹脂には、その他の成分として一般的に使用される酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤、無機充填剤などが含有されていても良い。
これらの熱可塑性樹脂は、軟化点などの樹脂特性や製造プロセスの特性などにより、粉体状、ペレット状、ランプ状、ベール状、液状などの様々な形態で市販されている。
ペレット状の熱可塑性樹脂の中には、通常起こりうる温度や加重の条件下では融着などを起さずに良好な粒子流動性を保つもの(以下「通常ペレット」と記す)と、生産工程などにおいて一旦ペレット状にはなるが粘着や融着を起こしやすく通常ペレットよりも粒子流動性の劣るもの(以下「固結性ペレット」と記す)とが存在する。本発明では、後述するペレットの固結性試験において、特定の温度と加重下で生成した塊が特定の篩いを通過できるか否かによって、通常ペレットと固結性ペレットとを区別しており、本発明において、固結性ペレットは、塊状の熱可塑性樹脂に相当する。
「ペレットの固結性試験」
縦60mm×横60mm×高さ35mmの金属枠に、予め、目開き8mmの篩いを通過した試料ペレット約80gを詰め、5kgの加重下に50℃、6時間保管し、室温まで放冷して固結させる。その後、固結した試料ペレットを篩振盪機(タナカテック製、ロータッップ型)に5分間かけ、目開き8mmの篩い上に残る固結物の重量%が1%以上ある場合を固結性ペレットとし、1%未満のペレットを通常ペレットとした。
塊状の熱可塑性樹脂としては、「ベール状」のゴムや、「ランプ状」の低分子量熱可塑性樹脂、「固結性ペレット」などが挙げられる。
ベール状のゴムの出荷形態は、一般的に25〜30kgの一袋が一個となっており、輸送状態などによって変形していることもあるが、サイズとしては縦10〜20cm×横30〜50cm×高さ50〜70cm程度のものである。
ランプ状の低分子量熱可塑性樹脂は、一個が数十g程度の餅型ないしはその変形した形状とされており、数個が互いに粘着して一体化されている場合もある。
また、固結性ペレットの熱可塑性樹脂の中には、粘着や融着が著しく、全体が固結して一体化し、上記のベール状の状態と実質的に変わらない状態となっている場合もある。
また、本発明で使用できる酸変性ポリオレフィンとしては、α―オレフィンの単独重合体または共重合体にカルボン酸またはカルボン酸無水物を結合させた変性物であり、酸価が10〜200mg/gである熱可塑性樹脂であり、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性エチレンープロピレン共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体などから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。具体的には、例えば、三井化学株式会社製の「三井ハイワックス2203A」(質量平均分子量2400、無水マレイン酸変性、酸価30mg/g)などを好適に使用できる。
また、本発明で使用できる乳化剤としては、各種のアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤が使用でき、例えば、アニオン界面活性剤では、第1級高級脂肪酸塩、第2級高級脂肪酸塩、第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイルイミダゾールスルホン酸塩、および、これらの酸で塩基性物質と反応してアニオン界面活性剤となるものなら如何なるものでもよい。より具体的な化合物名は、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、あるいはこれらの混合物などのアルカリ金属塩が挙げられる。
また、ノニオン界面活性剤としては、HLB(親水油バランス)値が10以上のノニオン界面活性剤が使用される。ノニオン界面活性剤は単独でも、2種以上の組合せでも使用することができ、2種以上の組合せの場合は、混合物のHLBが上記範囲内となっていればよい。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーなどから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。具体的には、例えば、牛脂脂肪酸カリウム(花王株式会社製、「KSソープ」)などを好適に使用できる。また、本発明で使用できる乳化剤は、粉体または粒状とされた固体のものであってもよいし、液体であってもよい。
また、本発明で使用できる塩基性物質の水溶液としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミンやアルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩、水素化物並びに、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩、水素化物等の水溶液が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。具体的には、例えば、水酸化カリウムの5〜30%溶液を好適に使用できる。
本発明においては、粉体状、ペレット状、ランプ状、ベール状、液状などいずれの形態の熱可塑性樹脂であっても使用できるが、供給原料が塊状の熱可塑性樹脂を含む場合、供給工程の前に以下に示す前処理工程を備えることが望ましい。前処理工程を行なうことにより、そのままの形状では供給単位が大きくなり過ぎて、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れのある塊状の熱可塑性樹脂を含む供給原料を、容易に変動率5%以下で安定供給することができる。
前処理工程としては、例えば(1)塊状の熱可塑性樹脂を破砕機によって湿式破砕し、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下であり、かつ、付着水分率が0.2〜2.0%である破砕物とする方法や、(2)塊状の熱可塑性樹脂を破砕機によって乾式破砕して、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下である破砕物とし、前記破砕物に、再付着防止剤を付着させる方法を挙げることができる。
なお、本発明において「1粒子の平均重量」とは、被測定物である粒子を100粒採取して計量し、算出された平均値のことを意味する。なお、被測定物が微粉である場合には、被測定物を1g採取し、1g中の粒子の個数が100個以上であることを確認し、1粒子あたり「0.01g以下」であるとする。
また、本発明において「付着水分率」とは、定量フィーダーのホッパーへ供給された時点で測定された付着水分量から算出した値を意味し、付着水分量の測定装置として、メトラ・トレド社製ハロゲン水分計HG53型を用いて得られた値を意味する。
まず、上述した前処理工程(1)について説明する。
上述した前処理工程(1)では、塊状の熱可塑性樹脂を破砕機によって、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下である破砕物となるまで湿式破砕する。なお、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000を超えると、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがあり、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりするため好ましくない。
ここで、平均粒子径は、水性分散体の主要な特性である。後分散法では、平均粒子径の大きな水性分散体を得ることは、分散条件の変更により比較的に容易に達成されるが、より小さな水性分散体を安定して得ることには、達成可能な分散条件の限界に応じた限度がある。よって、平均粒子径の意図しない上昇は好ましくない。
また、未乳化物は、通常、微粉または繊維状で水性分散液中に浮遊しており、自然濾過方式では、未乳化物自身とその2,3倍量の水性分散液が付着しているため、未乳化物比率が高くなると実質的な水性分散体の収量が激減することになる。また、未乳化物が多いと水性分散体を温水中に分散させて水性分散液を製造する分散工程において、見かけ上の流動性悪化やエアーの巻き込み増大を招く。このため、水性分散体の温水中への分散を完了させるまでに必要な時間が長くなり、作業性が悪化する。このように、未乳化物比率は、収量の観点だけでなく作業性を含めた広い意味での経済性の観点からできる限り少ないことが望ましい。
また、塊状の熱可塑性樹脂として、ベールや固結性ペレットを用いた場合など、塊状の熱可塑性樹脂の大きさが非常に大きい場合には、前処理工程(1)の前に、前処理工程において使用する破砕機の投入口サイズや破砕機の破砕動力に適した大きさとなるように、シャーなどの切断機を使用して予備的に塊状の熱可塑性樹脂を切断しておいても良い。予備的に塊状の熱可塑性樹脂を切断しておくことで、前処理工程(1)において塊状の熱可塑性樹脂を効率よく湿式破砕できる。
また、上述した前処理工程(1)では、塊状の熱可塑性樹脂を湿式破砕する。塊状の熱可塑性樹脂の破砕に際しては、破砕による温度上昇や自重などにより、破砕物同士が再び粘着や融着を起こして大きな塊になる(再固結)場合がある。塊状の熱可塑性樹脂を湿式破砕する場合、破砕中の破砕機内に水性の液体を送り、砕刃と破砕物とを湿潤状態にするので、破砕物同士が再び粘着や融着を起こすことを効果的に防止できる。
また、湿式破砕する場合に使用される水性の液体としては、水または、各種のアニオン乳化剤やノニオン乳化剤などの乳化剤の水溶液、またはタルクやステアリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどの微粒子粉体の懸濁液などが使用可能であるが、生成物である水性分散体の収率や平均粒子径への影響を考慮すると、水が好適である。
また、湿式破砕によって水性の液体で濡れた破砕物は、付着水分率が0.2〜2.0%、好ましくは0.7〜1.5%となるように脱水される。ここでの脱水は、破砕機と一体化または別個に設けられた遠心脱水機などによって行なうことができる。破砕物の付着水分率の調整は、遠心脱水機の回転数および回転時間や、脱水してから定量フィーダーのホッパーに供給されるまでの間に一時的に破砕物を収納しておく中間ホッパー内での滞留時間などを調整することにより制御される。
中間ホッパーとしては、押出機への熱可塑性樹脂の供給を行う定量フィーダーに、所定の供給量で破砕物を供給可能な定量フィーダーなどを用いることが好ましい。
また、中間ホッパー内で破砕物が粘着や融着を起こして大きな塊になることを防止するため、中間ホッパー内に冷気を吹き込むことにより、破砕によって上昇した破砕物の温度を低下させる場合がある。この場合、破砕物の付着水分率の調整を、遠心脱水機の回転数および回転時間、中間ホッパー内での滞留時間、中間ホッパー内に吹き込む冷気の量のいずれか1つまたは2つ以上を調整することによって制御することができる。
破砕物の付着水分率が0.2%未満であると、再固結が発生し易くなり、供給安定性が損なわれ、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがある。
また、破砕物の付着水分率が2.0%を超えると、押出機の投入口周辺に次第に水滴が蓄積し、この蓄積した水分によって20〜30分の間に供給原料の供給不安定が低下し、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがある。
したがって、破砕物の付着水分率が0.2%未満であっても2.0%を超えても、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがあり、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりする場合があり好ましくない。
次に、上述した前処理工程(2)について説明する。なお、ここでは、上述した前処理工程(1)と重複する説明を省略し、前処理工程(1)と異なる部分のみ説明する。
上述した前処理工程(1)では、塊状の熱可塑性樹脂を湿式破砕したが、前処理工程(2)では、湿式破砕に代えて、乾式破砕を行ない、得られた破砕物に再付着防止剤を付着させる。前処理工程(2)の場合でも、塊状の熱可塑性樹脂の破砕に際しては、1粒子当りの平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下となるようにされる。1粒子あたりの平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000を超えると、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがあり、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりするため好ましくない。
また、上述した前処理工程(2)においても、塊状の熱可塑性樹脂の破砕に際して、破砕による温度上昇や自重などにより、破砕物同士が再び粘着や融着を起こして大きな塊になる(再固結)場合がある。前処理工程(2)では、得られた破砕物に再付着防止剤を付着させるので、破砕物同士が再び粘着や融着を起こすことを効果的に防止できる。
再付着防止剤としては、水などの水性の液体やポリオレフィン微粉を用いることが望ましい。
ポリオレフィンの微粉としては中位粒度が50μ以下の微粉が好適であり、粒子度は小さいほど少量で再固結防止の効果が高い。再付着防止剤の使用量は、再付着防止剤として中位粒度が5μ〜50μのポリオレフィンを用いた場合、塊状の熱可塑性樹脂の質量に対して0.1%〜5%使用することが好ましい。さらに、ポリオレフィンの微粉の粒子サイズをD(μ)、ポリオレフィンの微粉の塊状の熱可塑性樹脂の質量当りの添加量をW(%)とした場合に、D/Wが10〜40の範囲内となるようにすることがより好ましい。
D/Wが40を超える場合、ポリオレフィンの微粉が不足して、再固結が十分に防止できない恐れがある。また、D/Wが10未満である場合、余剰のポリオレフィンの微粉が分級を起し、全ての供給原料を変動率5%以下で安定して押出機に供給できなくなる恐れがあり、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりするため好ましくない。
再付着防止剤として使用される水性の液体としては、水または、各種のアニオン乳化剤やノニオン乳化剤などの乳化剤の水溶液、またはタルクやステアリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどの微粒子粉体の懸濁液などが使用可能であるが、生成物である水性分散体の収率や平均粒子径への影響を考慮すると、水が好適である。
また、前処理工程(1)または前処理工程(2)における塊状の熱可塑性樹脂の破砕に際しては、破砕後に得られた破砕物が破砕による温度上昇や自重などにより再び塊状とならないように、破砕機内への塊状の熱可塑性樹脂の供給速度(流量)を、押出機に供給される熱可塑性樹脂の供給速度(流量)と同じとし、得られた破砕物の定量フィーダーへの供給を、定量フィーダーから押出機に供給原料の供給を行なっている間中連続的に行ない、破砕後に得られた破砕物が押出機に供給されるまでの時間を短くすることが望ましい。
なお、破砕機内への塊状の熱可塑性樹脂の供給速度(流量)や、破砕後に得られた破砕物が押出機に供給されるまでの時間は、供給原料を変動率5%以下で押出機に供給することが可能な範囲内で変動可能である。したがって、例えば、定量フィーダーに設けられ破砕後に得られた破砕物が供給されるホッパーが大きく、定量フィーダーが保持できる最大量が多い場合には、定量フィーダーから押出機に供給原料の供給を行なっている間中、連続的に塊状の熱可塑性樹脂の破砕を行なわず、許容時間内で断続的に行なってもよい。
前処理工程(1)または前処理工程(2)のいずれかを行なうことによって得られた破砕物は、中間ホッパーに収納され、定量フィーダーのホッパー内へ供給される。
破砕物の中間ホッパーから定量フィーダーのホッパー内への供給は、例えば、定量フィーダーのホッパー内の供給原料の量が所定の量未満になったことに応じて、定量フィーダーから中間ホッパーの破砕物供給装置に破砕物の受入れ要求信号が送信され、この破砕物を供給する要求信号に応じて、破砕物供給装置に中間ホッパーから定量フィーダーのホッパー内へ破砕物を供給させる方法などによって、断続的に供給されるようにすることができる。
定量フィーダーから供給された破砕物は、例えば、個別に定量フィーダーから供給された酸変性ポリオレフィンおよび乳化剤とともに、二軸押出機の投入口から供給され、二軸押出機内において溶融混練される。その後、二軸押出機に設けられたベント口を介して、水または塩基性物質の水溶液が注入される。
なお、二軸押出機への水または塩基性物質の水溶液の供給は、二軸押出機の注入箇所の樹脂温度に対応する水蒸気圧に抗して注入する必要があるため、二軸押出機で発生する圧力に耐える金属配管とポンプ形式が選定されて使用される。ここで使用されるポンプとしては、具体的には、ダイアフラムポンプやプランジャーポンプが例示できる。
また、二軸押出機内への水または塩基性物質の水溶液の供給における供給精度は、ポンプモーターの回転数やストロークにて調整することができ、変動率5%以下となるように供給できる。また、水または塩基性物質の水溶液の変動率は、例えば、水または塩基性物質の水溶液を収容しているタンク内の減量を30分間以上にわたって1分間毎に測定することにより求めることができる。
本実施形態においては、破砕物、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、水または塩基性物質の水溶液からなる全ての供給原料が、変動率5%以下で押出機に供給される(供給工程)。また、水または塩基性物質の水溶液を注入した以降の溶融混練により、熱可塑性樹脂が連続相である状態から注入した水相が連続相となる転相を起させることにより、本発明の水性分散体が得られる。
転相により生成した水性分散体は、機密性を保ったまま、二軸押出機から一軸押出機へ供給され、水の沸点以下まで冷却される。このことにより、一軸押出機から吐出される水性分散体を沸騰させることなく、水性分散体を大気中で取出すことができる。
室温の大気中では、一軸押出機から取出した水性分散体は、水の沸点以下であっても、ゆるやかに水性分散体の乾燥が進み、乾燥によって水分を失った水性分散体の表面部分では、熱可塑性樹脂が水中に分散しなくなる。このため、一軸押出機から取出した水性分散体は、ただちに密閉容器に保管するか、ただちに水の入った分散槽中に供給して攪拌し、希望の濃度に希釈された水性分散液とされる。
水性分散体を希釈して水性分散液とする場合には、水性分散体製造装置として、一軸押出機の吐出口と攪拌機を備える分散槽の下部とが配管により接続されているものを用い、一軸押出機から吐出された水性分散体が、空気に触れることなく、直接、分散槽内の水中に供給されて攪拌されることが、水性分散体の乾燥を効果的に避けることができ好ましい。
水性分散体の希釈に用いる水は、カルシュウムやマグネシウムなどの、二価以上の金属イオンを除去したものが好ましく、少量の乳化剤を、予め添加しておいても良い。また、分散槽内の温度は、水性分散体の水中への分散時間を短縮するために、乳化剤が機能する範囲で高温とすることが好ましく、水の沸点直下であっても良い。例えば、大気圧下では98℃程度とすることができる。また、分散槽が耐圧1Mpa程度の圧力容器である場合には、180℃程度とすることができる。
また、水性分散体を希釈する際に用いられる攪拌機としては、水溶性物質の水溶解に使用されるものを用いることができ、具体的には、汎用のプロペラ型の攪拌機などが挙げられる。また、水性分散体を希釈する際における攪拌機の回転数は、水性分散液中に気泡を咬み込まない範囲で高速攪拌することが、希釈分散時間の短縮に効果的である。しかし、一旦、水性分散液中に気泡を咬み込むと、水性分散液の見かけの粘度が上昇し、分散が遅くなり、長時間にわたって分散が未完の水性分散体が残ってしまうので好ましくない。
水性分散体を希釈することによって得られる水性分散液の濃度は、希釈に使用する水と水性分散体の量比によって決定され、60%以下の濃度であれば、任意に調整可能である。60%以上の高濃度を目標とするほど、分散を完了するまでの時間が長くなり、水性分散液の粘度が高くなり、未乳化物の濾別に長時間を要する。
このようにして得られた水性分散液は、室温に冷えるまで緩やかな攪拌を継続し、液面での乾燥膜の形成を防止することが好ましい。また、室温に達した水性分散液は、静置可能であるが、適切な蓋を使用するなど、乾燥防止には留意することが好ましい。
また、得られた水性分散液は、希望の目開きのステンレス金網や濾布を用いて濾過することにより、未乳化物を濾別することができる。未乳化物の濾別は、水性分散液が室温に達してから濾過することが、濾過中の水性分散液の乾燥低減の点から好ましい。なお、水性分散液の乾燥防止策が不十分である場合には、乾燥した水性分散体や水性分散液が濾別され、見かけ上、未乳化物量が多く検出されることになる。
本実施形態の水性分散体の製造方法によれば、熱可塑性樹脂を含む全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給する供給工程を備えるので、熱可塑性樹脂の水性分散体を連続的に安定して製造でき、平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好な水性分散体が得られる。
また、本実施形態の水性分散体の製造方法において、供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、供給工程の前に、前処理工程(1)または前処理工程(2)を備える方法とすることで、供給原料が塊状の熱可塑性樹脂を含む場合であっても、容易に変動率5%以下で安定供給することができる。
また、本実施形態の水性分散体の製造方法においては、熱可塑性樹脂の1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下であるので、容易に変動率5%以下で安定供給することができる。
なお、上述した実施形態においては、供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、前処理工程(1)または前処理工程(2)のいずれかを行なうことによって得られた破砕物を定量フィーダーのホッパー内へ供給したが、供給原料を構成する熱可塑性樹脂として、流動の良好な通常ペレットや粉体状の熱可塑性樹脂を用いた場合、前処理工程を行なう必要はなく、前処理工程を行なわずに、熱可塑性樹脂を定量フィーダーのホッパー内へ供給することができる。この場合においても、例えば、全ての供給原料を押出機に変動率5%以下で安定供給できる。なお、供給原料を構成する熱可塑性樹脂として、流動の良好な通常ペレットや粉体状の熱可塑性樹脂を用いた場合であっても、より一層容易に変動率5%以下で安定供給することができるように、熱可塑性樹脂の1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下となるようにすることが望ましい。
また、本発明においては、供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含む場合に、前処理工程(1)または前処理工程(2)に代えて、供給工程の前に、塊状の熱可塑性樹脂を溶融する前処理工程(3)を行なってもよい。上述した前処理工程(3)の方法は、塊状の熱可塑性樹脂の溶融粘度が低い場合に、好ましく使用される。また、前処理工程(3)の方法では、分解や酸化が進行しない温度範囲内で塊状の熱可塑性樹脂を溶融することが望ましい。より具体的には、対象となる熱可塑性樹脂として、溶融時に酸化や分解などの熱履歴による変化を生じない温度範囲内で、JIS K 7210 で規定されるシリンダー、ピストン、ダイを用いて、2.16kg荷重の時の時間当たりの溶出量が3g/10min以上であるものが挙げられる。
前処理工程(3)において、塊状の熱可塑性樹脂を溶融する装置としては、例えば、図1に示す溶融装置を用いることができる。図1に示す溶融装置は、2つの溶融タンク1、2と、溶融された熱可塑性樹脂を二軸押出機に送り出すギアポンプ3と、溶融タンク1、2とギアポンプ3とを接続する配管6と、溶融タンク1、2、ギアポンプ3、配管6の周囲に配置されたヒーター4と、溶融タンク1、2とギアポンプ3との間に配置され、溶融タンク1、2のいずれかとギアポンプ3とを選択的に接続する三方弁5と、溶融タンク1、2内を加圧する加圧機構10とを備えている。
図1に示す溶融装置では、三方弁5による接続の切り替え時に、溶融タンク1、2の内部および配管6の内部に収容されている溶融された熱可塑性樹脂の温度が同一となるように、ヒーター4によって加熱制御されるようになっている。また、図1に示す溶融装置では、例えば、ギアポンプ3から溶融タンク1、2への循環ラインを設けて、溶融タンク1と溶融タンク2の内部に収容されている熱可塑性樹脂の混合を計ることにより、塊状の熱可塑性樹脂をより一層均一に加熱するようにしてもよい
また、加圧機構10は、溶融タンク1、2の上面を密閉する蓋部8と、蓋部8上面に配置された圧力開放弁8aと、蓋部8を溶融タンク1、2内における溶融した樹脂の液面に従って上下させるエアーシリンダー7と、溶融タンク1、2の上面を密閉していない状態のときに蓋部8およびエアーシリンダー7を水平方向に移動させるための水平移動手段9とを備えている。
なお、図1に示す溶融装置は、必要に応じて溶融タンク1、2内に窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込むことが可能であるようにされていてもよい。
前処理工程(3)においては、塊状の熱可塑性樹脂の大きさは、溶融タンク1、2内に投入可能な大きさであればよく、特に限定されない。また、塊状の熱可塑性樹脂を、迅速に溶解するには、例えば、図2に示す加熱手段を溶融タンク1、2内に設置して、溶融タンク1、2内に投入された塊状の熱可塑性樹脂を均一に加熱することが望ましい。図2に示す加熱手段は、15cm程度の間隔で等間隔に配置された複数の棒状ヒーター11と、複数の棒状ヒーター11を複数の棒状ヒーター11の上端部で一体化させる本体部14と、本体部から外方に向かって延出し、棒状ヒーター11に電気的に接続された配線13と、溶融タンク1、2上の適切な位置に加熱手段を設置するためのフック12とを備えている。
図2に示す加熱手段においては、複数の棒状ヒーター11は、円柱状の棒状部11bと、棒状部11bの下端部に設けられた尖鋭部11aとを供えている。尖鋭部11aは、図2に示すように、下端に向かって尖っており、棒状ヒーター11を塊状の熱可塑性樹脂に突き刺す場合に、突き刺しやすいようにされている。また、図2に示す加熱手段においては、複数の棒状ヒーター11は、棒状部11bの中心を軸としてそれぞれ回転可能とされている。複数の棒状ヒーター11をそれぞれ棒状部11bの中心を軸として回転させながら加熱することで、溶融タンク1、2内に投入された塊状の熱可塑性樹脂をより迅速に溶解することができる。
また、前処理工程(3)において、溶融された熱可塑性樹脂を二軸押出機に送り出す量の調整は、ギアポンプ3の回転数を制御することによって行なうことができる。また、溶融された熱可塑性樹脂の粘度が高く、例えば、設定した温度での粘度が、2.16kg荷重の時間当たりの溶出量が3〜4g/10minの範囲の原料の場合には、加圧機構10により溶融タンク1、2内を加圧しながら、ギアポンプ3によって溶融された熱可塑性樹脂を送り出すことが好ましい。なお、加圧機構10を使用する場合において、溶融タンク1からの供給と溶融タンク2からの供給とを切り替える際には、予め溶融タンク2内を同等な圧力で加圧をしておくことが望ましい。
前処理工程(3)において、溶融された熱可塑性樹脂は、二軸押出機の投入口の隣または近傍に設置したベント型バレルより、二軸押出機へ供給される。また、酸変性ポリオレフィンおよび乳化剤が、個別に定量フィーダーから二軸押出機の投入口に供給され、二軸押出機内において溶融混練される。その後、二軸押出機に設けられたベント口を介して、注入箇所の樹脂温度に対応する水蒸気圧に抗して水または塩基性物質の水溶液が注入される。
上述した実施形態と同様に、供給工程の前に、塊状の熱可塑性樹脂を溶融する前処理工程(3)を行なった場合においても、破砕物、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、水または塩基性物質の水溶液からなる全ての供給原料が、変動率5%以下で押出機に供給される(供給工程)。また、水または塩基性物質の水溶液を注入した以降の溶融混練により、熱可塑性樹脂が連続相である状態から注入した水相が連続相となる転相を起させることにより、本発明の水性分散体が得られる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、切りくずや異形のペレットの混入が多い場合には、定量フィーダーの排出部の詰まりやペレットの融着の原因となるので、供給工程の前に篩い分けなどの適切な処置を行なってもよい。
また、本発明において熱可塑性樹脂として2種以上のポリマーを用いる場合、例えば全てが通常ペレットであるときは、タンブラーなどでペレット単位で混合してもよいし、バンバリーや押出機を用いて予め溶融混練した上で、再ペレット化しておいてもよい。
また、熱可塑性樹脂として形態の異なる2種以上の熱可塑性樹脂を用いる場合、例えば、全ての熱可塑性樹脂を上述した前処理工程(1)(2)を行なうことにより破砕物とした状態でタンブラーなどで混合してもよいし、破砕物とされた状態の熱可塑性樹脂と通常ペレットの熱可塑性樹脂とをタンブラーなどで混合してもよい。
また、本発明において用いる酸変性ポリオレフィンや乳化剤が、吸湿性が高く上記精度の維持が困難な場合には、予備乾燥したり、酸変性ポリオレフィンや乳化剤の定量フィーダーのホッパー内に、シリカゲルなどの乾燥剤や除湿乾燥装置などを配置しても良い。
また、本発明において用いる塊状の熱可塑性樹脂の製品袋内に、部分的に大きな塊などが有る場合には、予めほぐしたり、篩分けするなど、供給原料の供給安定性の向上に資する通常の工夫は、適宜、実施することができる。
「実施例」
表1または表2、以下に示す供給原料、以下に示す押出機を用い、以下に示す方法によって、実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例4の水性分散体および水性分散液を得た。
Figure 0005031254
[実施例1]
供給原料
「熱可塑性樹脂」
熱可塑性樹脂として、通常ペレットであり、デュポンダウエラストマー社製のEPDMである「ノーデル NDR4820P」を使用した。熱可塑性樹脂の1粒子当りの平均重量は0.30gであった。そして、通常ペレットである購入したままの熱可塑性樹脂を定量フィーダーであるクボタ株式会社製のカセットウェイングフィーダー「KF-C88型」のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量8000g/hr、最大流量8077g/hr、最小流量7923g/hrで、熱可塑性樹脂を二軸押出機の投入口へ連続供給した。熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「酸変性ポリオレフィン」
酸変性ポリオレフィンとして、三井化学株式会社製の「三井ハイワックス2203A」(質量平均分子量2400、無水マレイン酸変性、酸価30mg/g)を使用した。「三井ハイワックス2203A」は、微粉であり、その大きさに分布はあるが大きな粒子でも0.01g/個未満であった。そして、酸変性ポリオレフィンを定量フィーダーであるクボタ株式会社製のカセットウェイングフィーダー「KF-C1000型」のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量1210g/hr、最大流量1231g/hr、最小流量1187g/hrで、酸変性ポリオレフィンを二軸押出機の投入口へ連続供給した。酸変性ポリオレフィンの二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「乳化剤」
乳化剤として、牛脂脂肪酸カリウム(花王株式会社製、「KSソープ」)を使用した。「KSソープ」は、微粉であり、その大きさに分布はあるが大きな粒子でも0.01g/個未満であった。そして、乳化剤を定量フィーダーであるクボタ株式会社製のカセットウェイングフィーダー「KF-C1000型」のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量240g/hr、最大流量245g/hr、最小流量238g/hrで、乳化剤を二軸押出機の投入口へ連続供給した。乳化剤の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「水または塩基性物質の水溶液」
水または塩基性物質の水溶液として、14%KOH水溶液を使用した。そして、14%KOH水溶液を、ダイアフラムポンプを用いて平均流量350g/hr、最大流量356g/hr、最小流量343g/hr、1.5〜1.7Mpaの圧力で二軸押出機のベント口へ連続供給した。14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「押出機」
押出機として、2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼株式会社製 「PCM−30型」 L/D=40)と単軸押出機(池貝鉄鋼株式会社製 「FS‐40型」 L/D=25)とを連結して使用した。
そして、2軸スクリュー押出機を200℃、250rpmで運転して溶融混練し、単軸押出機に導いて単軸押出機内で出口の温度が95℃となるまで冷却し、一軸押出機から吐出された水性分散体を分散槽の水中にL字パイプを用いて供給することで、空気に触れることなく水性分散体を一軸押出機から直接分散槽の水中に供給し、分散槽中で攪拌機により攪拌して実施例1の水性分散体を得た。また、このL字パイプは保温のためにヒーターにて95℃に保温した。
このようにして得られる水性分散体を、1時間にわたって、90℃の温水の入った分散槽中に攪拌しながら供給した後、0.5時間攪拌することにより分散させて実施例1の水性分散液を得た。
そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例1の水性分散液の平均粒子径は0.60μ、pHは12.5、固形分濃度は40.0%、未乳化物は0.1%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
なお、表1に示す熱可塑性樹脂の変動率、14%KOH水溶液の変動率、平均粒子径および未乳化物量比は、以下に示す方法によって求めた。
「熱可塑性樹脂の変動率」
30分間の平均流量と、1分間毎の平均流量とを測定し、30分間の平均流量に対する1分間毎の平均流量の変動幅(最大値と最小値との差)を%で表わした。
「14%KOH水溶液の変動率」
14%KOH水溶液のタンク内の減量を1分毎に30分間にわたって測定して算出した。
「平均粒子径」
Microtrac UPA (Mountech Co.Ltd社製)を用いて測定した。
「未乳化物量比」
水性分散液を#100メッシュのステンレス製金網で濾過し、メッシュ上の残留分を水洗、乾燥して濾過残留固形分重量を求め、以下の式を用いて全固形分重量に対する濾過残留固形分重量の割合を%で示した未乳化物量比を求めた。
未乳化物量比[%]=(濾過残留固形分重量/全固形分重量)×100
[実施例2]
供給原料
「熱可塑性樹脂」
熱可塑性樹脂として、ベール状であり、Bayer Buna社製のEPDMである「EP G2470‐LM」を使用した。熱可塑性樹脂の大きさは縦54cm×横36cm×高さ20cm程度であった。このような形状の熱可塑性樹脂を、54cmであった縦の長さが5cm程度となるように、株式会社タナカ製油圧切断機BK型で予備的に切断し、洗浄脱水機を備える湿式粉砕機である株式会社タナカ製湿式破砕洗浄脱水機PR‐30‐360S‐800型を用い、破砕中の破砕機内に水を送りながら湿式粉砕し、1粒子当りの乾燥時の平均重量が1.7gの破砕物を得た。また、湿式破砕後、脱水機を回転数900rpmで運転し、このときの脱水時間は、15秒間であった。脱水済みの破砕物を、スポットクーラーからの冷気が吹き込まれることによって40℃以下に保たれた中間ホッパーとして機能するタイセイMFG社製のスムーズオートフィーダーのホッパーに入れ、スムーズオートフィーダーによって、Kトロン社製重量式定量フィーダーLWFD型の定量フィーダーに供給した。
なお、スムーズオートフィーダーから吐出される破砕物の付着水分率は0.7%であった。また、スムーズオートフィーダーによる定量フィーダーへの破砕物の供給は、定量フィーダーからの破砕物の受入れ要求信号に応じて制御手段から送信された破砕物の供給要求信号に応じて、平均流量163kg/hrで断続的に供給した。そして、Kトロン社製重量式定量フィーダーLWFD型の定量フィーダーによって、平均流量163kg/hr、最大流量166kg/hr、最流量161kg/hrで、破砕物を二軸押出機の投入口へ連続的に供給した。熱可塑性樹脂(破砕物)の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「酸変性ポリオレフィン」
実施例1と同様の酸変性ポリオレフィンを用い、定量フィーダーであるKトロン社製重量式定量フィーダーLWFD型のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量25.0kg/hr、最大流量25.5kg/hr、最小流量24.6kg/hrで、酸変性ポリオレフィンを二軸押出機の投入口へ連続供給した。酸変性ポリオレフィンの二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「乳化剤」
実施例1と同様の乳化剤を使用し、定量フィーダーであるKトロン社製重量式定量フィーダーLWFD型のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量4.90kg/hr、最大流量4.99kg/hr、最小流量4.83kg/hrで、乳化剤を二軸押出機の投入口へ連続供給した。乳化剤の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「水または塩基性物質の水溶液」
実施例1と同様に、水または塩基性物質の水溶液として、14%KOH水溶液を使用した。そして、14%KOH水溶液を、ダイアフラムポンプを用いて平均流量6.50kg/hr、最大流量6.62kg/hr、最小流量6.40kg/hr、1.5〜1.6Mpaの圧力で二軸押出機のベント口へ連続供給した。14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。なお、二軸押出機のベント口位置のスクリューエレメントは単純な送り機能のものが配置されている。
「押出機」
押出機として、2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼株式会社製「PCM−87型」 L/D=41)と単軸押出機(池貝鉄鋼株式会社製「GS‐115型」 L/D=25)とを連結して使用した。
そして、2軸スクリュー押出機を200℃、250rpmで運転して溶融混練し、単軸押出機に導いて単軸押出機内で出口の温度が95℃となるまで冷却して、実施例1の水性分散体を得た。
このようにして得られた水性分散体を2時間にわたって、90℃の温水の入った分散槽中に攪拌しながら供給した後、1時間攪拌することにより分散させて実施例2の水性分散液を得た。
そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例2の水性分散液の平均粒子径は0.5μ、pHは12.2、固形分濃度は38.4%、未乳化物は0.4%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
[実施例3]
破砕中の破砕機内に水に替えて、ヒドロキシアパタイト(平均粒子径5μ)の3%懸濁液を送りながら湿式粉砕し、付着水分率0.6%、0.018%のヒドロキシアパタイトが付着した破砕物を得たことの他は、実施例2と同様にして水性分散体を得た。
そして、定量フィーダーによって、平均流量163kg/hr、最大流量166kg/hr、最流量161kg/hrで、破砕物を二軸押出機の投入口へ連続的に供給した。
熱可塑性樹脂(破砕物)、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。また、実施例3の水性分散体を用いて実施例3の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例3の水性分散液の平均粒子径は0.59μ、pHは12.2、固形分濃度は38.0%、未乳化物は1.4%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
[実施例4]
供給原料
「熱可塑性樹脂」
熱可塑性樹脂として、ランプ状の非晶性αオレフィン共重合体であるHuntsman Polymers社製の「REXTAC RT2585」を使用した。熱可塑性樹脂の大きさは長径約8cmの卵型または餅型であった。このような形状の熱可塑性樹脂を、粉砕機であるダイコー精機株式会社製の乾式粉砕機DAS‐14型を用いて破砕し、1粒子当りの乾燥時の平均重量が0.1gの破砕物を得た。また、破砕後に得られた破砕物を再付着防止剤である水を入れたバット中に受けることにより破砕物に水を付着させた後、脱水機である遠心機(国産株式会社製のH‐130E型)に入れ、回転数200rpmで1分間回転させて脱水し、付着水分率が0.9%である破砕物を得た。このようにして得られた脱水済みの破砕物を、中間ホッパーとして機能するポリ袋中に一次保管し、平均流量5000g/hrの割合で、クボタ株式会社製カセットウェイングフィーダーKF‐C88型の定量フィーダーに断続的に供給した。
そして、カセットウェイングフィーダーKF‐C88型の定量フィーダーによって、平均流量5000g/hr、最大流量5078g/hr、最流量4922g/hrで、破砕物を二軸押出機の投入口へ連続的に供給した。熱可塑性樹脂(破砕物)の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「酸変性ポリオレフィン」
実施例1と同様の酸変性ポリオレフィンを用い、定量フィーダーであるクボタ株式会社製カセットウェイングフィーダーKF‐C1000型のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量500g/hr、最大流量509g/hr、最小流量491g/hrで、酸変性ポリオレフィンを二軸押出機の投入口へ連続供給した。酸変性ポリオレフィンの二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「乳化剤」
実施例1と同様の乳化剤を使用し、定量フィーダーであるクボタ株式会社製カセットウェイングフィーダーKF‐C1000型のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量200g/hr、最大流量203g/hr、最小流量197g/hrで、乳化剤を二軸押出機の投入口へ連続供給した。乳化剤の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
「水または塩基性物質の水溶液」
実施例1と同様に、水または塩基性物質の水溶液として、14%KOH水溶液を使用した。そして、14%KOH水溶液を、ダイアフラムポンプを用いて平均流量300g/hr、最大流量305g/hr、最小流量293g/hr、0.7〜0.8Mpaの圧力で二軸押出機のベント口へ連続供給した。14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。なお、二軸押出機のベント口位置のスクリューエレメントは単純な送り機能のものが配置されている。
「押出機」
押出機として、2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼株式会社製「PCM−30型」L/D=40)と単軸押出機(池貝鉄鋼株式会社製「FS‐40型」L/D=25)とを連結して使用した。
そして、2軸スクリュー押出機を170℃、250rpmで運転して溶融混練し、単軸押出機に導いて単軸押出単軸押出機内で出口の温度が95℃となるまで冷却して、実施例1の水性分散体を得た。
その後、このようにして得られた水性分散体を1時間にわたって、90℃の温水の入った分散槽中に攪拌しながら供給しした後、0.5時間攪拌することにより分散させて実施例4の水性分散液を得た。
そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例4の水性分散液の平均粒子径は0.31μ、pHは12.9、固形分濃度は45.7%、未乳化物は0.3%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
〔実施例5〕
脱水機である遠心機(国産株式会社製のH‐130E型)の回転数を900rpmとし、このときの脱水時間は1分間であった。付着水分率が0.3%である破砕物を得たことの他は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。なお、実施例5においては、定量フィーダーによって、平均流量5000g/hr、最大流量5190g/hr、最流量4800g/hrで、破砕物を二軸押出機の投入口へ連続的に供給した。熱可塑性樹脂(破砕物)、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
また、実施例5の水性分散体を用いて実施例5の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例5の水性分散液の平均粒子径は0.56μ、pHは12.8、固形分濃度は45.0%、未乳化物は0.9%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
〔実施例6〕
破砕直後の破砕品を、水でなく、ヒドロキシアパタイト(平均粒子径5μ)の3%懸濁液を入れたバットに受け、付着水分率が0.7%、0.021%のヒドロキシアパタイトが付着した破砕物を得たことの他は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。乳化剤の二軸押出機への供給における熱可塑性樹脂、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、14%KOH水溶液の変動率を表1に示す。なお、KOH水溶液の注入圧力は0.7〜0.8Mpaであった。
また、実施例6の水性分散体を用いて実施例6の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例6の水性分散液の平均粒子径は0.39μ、pHは12.9、固形分濃度は44.4%、未乳化物は1.2%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
〔実施例7〕
熱可塑性樹脂として、実施例4と同じものを使用し、粉砕機であるダイコー精機株式会社製の粉砕機DAS‐14型を用いて粉砕し、1粒子当りの乾燥時の平均重量が0.1gの破砕物とし、破砕後に得られた破砕物を水を入れたバットを使用せずにタンブラーに入れ、再付着防止剤である住友精化株式会社製の微粉末ポリエチレンUF‐80(中位粒度25μ、メーカー値)を破砕物に対して1質量%添加し、5分間混合してまぶすことによって破砕物に再付着防止剤を付着させたことの他は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。なお、ポリオレフィンの微粉の粒子サイズをD(μ)、ポリオレフィンの微粉の塊状の熱可塑性樹脂の質量当りの添加量をW(%)とした場合のD/Wは、25であった。
また、UF‐80をまぶした後に固結性試験を行った。その結果、篩いの上に残る熱可塑性樹脂は0.1wt%以下となり、通常ペレットと同等であった。
また、実施例7の水性分散体を用いて実施例7の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例7の水性分散液の平均粒子径は0.32μ、pHは12.7、固形分濃度は46.1%、未乳化物は0.4%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
〔実施例8〕
熱可塑性樹脂として、実施例4と同じものを使用し、図1に示す溶融装置を使用して、熱可塑性樹脂を押出機に供給する供給工程の前に、熱可塑性樹脂を溶融する前処理工程を備えることの他は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。なお、実施例8においては、図1に示す溶融装置の溶融タンクとして容量30Lのものを使用し、溶融タンク内に15Kgの実施例4と同じ熱可塑性樹脂を入れ、ヒーターおよび図2に示す加熱手段を用いて170℃で1時間加熱して熱可塑性樹脂を溶融させた。その後、さらに溶融タンク内に熱可塑性樹脂を7kg追加して1時間加熱して溶融させた。
なお、加熱開始後30分目以降は、15分毎に図2に示す加熱手段の複数の棒状ヒーター11を棒状部11bの中心を軸としてそれぞれ15度回転させた。そして、加熱開始後120分目に溶融タンク内の温度が170℃で安定していることを確認し、図2に示す加熱手段を抜取った。そして、加熱開始後150分目より押出機の運転を開始した。加熱開始後150分目以降は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。
また、実施例8の水性分散体を用いて実施例8の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例8の水性分散液の平均粒子径は0.30μ、pHは12.8、固形分濃度は45.8%、未乳化物は0.3%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
〔比較例1〕
熱可塑性樹脂の定量フィーダーとして、実施例1のカセットウェイングフィーダー「KF-C88型」に代えて、容積式単軸スクリューフィーダーである池貝鉄鋼株式会社製「U字フィーダー」に変更したことの他は、実施例1と同様にして水性分散体を得た。その結果、定量フィーダーによる熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給は、平均流量8000g/hr、最大流量8478g/hr、最小流量7521g/hrとなった。熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
また、比較例1の水性分散体を希釈して水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、比較例1の水性分散液の平均粒子径は1.21μ、pHは12.6、固形分濃度は35%、未乳化物は12.5%であった。水性分散液の特性を表2に示す。
Figure 0005031254
〔比較例2〕
実施例2と同様にして得られた熱可塑性樹脂の粉砕物を用いて、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給行った。破砕物の付着水分率は0.6%であった。熱可塑性樹脂は、定量フィーダーによって、平均流量4900g/hr、最大流量5750g/hr、最小流量4300g/hrで、二軸押出機の投入口へ連続供給した。熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
また、「酸変性ポリオレフィン」「乳化剤」「水または塩基性物質の水溶液」については、実施例1と同様のものを用いた。
そして、酸変性ポリオレフィンは、定量フィーダーによって、平均流量750g/hr、最大流量763g/hr、最小流量735g/hrで、二軸押出機の投入口へ連続供給した。酸変性ポリオレフィンの二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
また、乳化剤は、定量フィーダーによって、平均流量147g/hr、最大流量149g/hr、最小流量144g/hrで、二軸押出機の投入口へ連続供給した。乳化剤の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
水または塩基性物質の水溶液は、ダイアフラムポンプを用いて平均流量195g/hr、最大流量198g/hr、最小流量191g/hr、1.5〜1.6Mpaの圧力で二軸押出機のベント口へ連続供給した。14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
このようにして得られた比較例2の水性分散体を用いて比較例2の水性分散液を得た。
そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、比較例2の水性分散液の平均粒子径は1.09μ、pHは12.3、固形分濃度は36.7%、未乳化物は4.8%であった。水性分散液の特性を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例4で用いた熱可塑性樹脂を実施例4
と同様の粉砕機で破砕し、破砕後に得られた破砕物を、水を入れたバット中ではなく、空のバット中に直接入れた。この破砕物を固結性試験した結果、目開き8mmの篩い上に残る固結物の重量%が13%である固結性ペレットであった。この固結性ペレットを、実施例4と同様の定量フィーダーに供給し、定量フィーダーによって、平均流量4900g/hrで二軸押出機の投入口へ連続的に供給しようとしたが、定量フィーダーからの供給が安定せず、1分間での最大流量は14400g/hr、最小流量は289g/hrとなり、熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給における変動率は144%となった。熱可塑性樹脂(破砕物)の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
なお、「酸変性ポリオレフィン」「乳化剤」「水または塩基性物質の水溶液」については、表2に示すように、二軸押出機への供給における変動率は5%以下であったが、一軸押出機からの吐出が断続的となり、押出機からの吐出物を温水中で攪拌しても分散しないままであった。
〔比較例4〕
脱水機である遠心機(国産株式会社製のH‐130E型)の回転数を50rpm、1分間とし、付着水分率が2.4%である破砕物を得たことの他は、実施例4と同様にして水性分散体の調製を試みた。その結果、熱可塑性樹脂(破砕物)の二軸押出機への供給を開始してから30分経過する前に、二軸押出機の投入口から破砕物がこぼれ始め、実質的には、二軸押出機に破砕物が十分に供給されていない状態となった。このため、熱可塑性樹脂の30分間における平均流量を求めることができず、供給原料の変動率は計測できなかった。また、破砕物の二軸押出機への平均流量を確認できないまま、さらに15分間運転を継続したが、一軸押出機からの吐出物は、水に分散できないものであった。
表1および表2より、本発明の水性分散体の製造方法によって製造した実施例1〜実施例8の水性分散体から製造した水性分散液では、比較例1〜比較例4の水性分散液と比較して、平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好なものとなった。また、本発明の水性分散体の製造方法では、熱可塑性樹脂として、ベール状やランプ状の塊状の熱可塑性樹脂を用いた場合であっても、変動率5%以下で安定供給することができることが確認できた。
図1は、本発明の水性分散体の製造方法において、塊状の熱可塑性樹脂を溶融する溶融装置の一例を説明するための模式図である。 図2は、図1に示す溶融装置の溶融タンク内に設置される加熱手段の一例を説明するための模式図である。
符号の説明
1、2 溶融タンク、3 ギアポンプ、4 ヒーター、5 三方弁、6 配管、7 エアーシリンダー、8 蓋部、8a 圧力開放弁、9 水平移動手段、10 加圧機構、11 棒状ヒーター、11a 尖鋭部、11b 棒状部、12 フック、13 配線、14 本体部、

Claims (8)

  1. 押出機を用いて水性分散体を製造する方法であって、
    熱可塑性樹脂としてEPDMまたはαオレフィン共重合体と、酸変性ポリオレフィンと、乳化剤と、塩基性物質の水溶液とを含む全ての供給原料を変動率5%以下で前記押出機に供給する供給工程を備えることを特徴とする水性分散体の製造方法。
  2. 前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、
    前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を水性の液体を用いて湿式破砕し、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下であり、かつ、付着水分率が0.2〜2.0%である破砕物とする前処理工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。
  3. 前記水性の液体が水であることを特徴とする請求項2に記載の水性分散体の製造方法。
  4. 前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、
    前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を乾式破砕して、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下である破砕物とし、前記破砕物に、再付着防止剤を付着させる前処理工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。
  5. 前記再付着防止剤が水であることを特徴とする請求項4に記載の水性分散体の製造方法。
  6. 前記再付着防止剤が、中位粒度が50μm以下のポリオレフィン微粉であることを特徴とする請求項4に記載の水性分散体の製造方法。
  7. 前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、
    前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を溶融する前処理工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。
  8. 前記熱可塑性樹脂の1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。
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