JP5031254B2 - 水性分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
熱可塑性樹脂の水性分散体は、用途と分散されるポリマーの種類に応じて、付着性、耐食性、ガスバリヤー性、耐チッピング性、耐ヒールマーク性など、広範な機能が注目されている。また、熱可塑性樹脂の水性分散体や水性分散液を含有する配合物は、使用される分野や注目される機能に応じて多様な用語で呼ばれ、製品表面の防湿剤、撥水剤、皮膜形成剤、コーティング剤として使用されたり、繊維処理剤、ヒートシール剤、バインダー、プライマーなどとして他の材料と複合して使用されたりしている。
重合法は、水性媒体中でラジカル重合性の単量体を乳化重合して水性分散体を得る方法であり、ゴムラテックスやアクリル系エマルション、酢酸ビニル系エマルションなどを代表に大きな産業上の一分野を形成している。しかし、重合法は、単量体の重合性により生成可能な熱可塑性樹脂の種類および単量体組成が限られることや、重合反応のコントロールが繁雑であること、重合装置が複雑であることなどの問題がある。
また、本発明の水性分散体の製造方法を用いて得られた平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好な水性分散体を提供することを目的とする。
また、上記の水性分散体の製造方法においては、前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を水性の液体を用いて湿式破砕し、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下であり、かつ、付着水分率が0.2〜2.0%である破砕物とする前処理工程を備える方法とすることができる。この場合、前記湿式破砕で使用する水性の液体が水であることが望ましい。
この場合、前記再付着防止剤が水であることが望ましい。また、前記再付着防止剤は、中位粒度が50μm以下のポリオレフィン微粉であってもよい。
また、上記の水性分散体の製造方法においては、前記熱可塑性樹脂の1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下である方法としてもよい。
また、本発明の水性分散体は、平均粒子径が小さく、未乳化物比率が低い良好なものとなる。
本発明の水性分散体の製造方法は、押出機を用いて水性分散体を製造する方法であって、全ての供給原料を変動率5%以下、好ましくは2%以下で前記押出機に供給する供給工程を備える方法である。
ここでの「変動率」とは、押出機に供給される供給原料の流量の変動率のことであり、押出機への供給原料の安定性を示す指標である。本実施形態における「変動率」とは、平均流量に対する1分間毎の平均流量の変動幅(最大値と最小値との差)を%で表わしたものであり、下記の式で表わされる。
また、本発明において用いられる供給原料としては、例えば、各種の熱可塑性樹脂、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、および水または塩基性物質の水溶液からなるものを用いることができる。
本発明で使用できる熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどのα-オレフィンからなるホモポリマー、およびこれらモノマーのコポリマーとさらに追加成分として非共役ジエン、共役ジエン、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物など共重合可能なモノマーを含有した重合体などを挙げることができる。上記の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPラバー、EPDMや、エチレン−ブテン、エチレン−ブテン−プロピレン、エチレン−オクテンなどのコポリマーと、これらのポリマーまたはコポリマーにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸を導入した変性ポリマーが好ましい。
さらに、本発明で使用できる熱可塑性樹脂には、その他の成分として一般的に使用される酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤、無機充填剤などが含有されていても良い。
ペレット状の熱可塑性樹脂の中には、通常起こりうる温度や加重の条件下では融着などを起さずに良好な粒子流動性を保つもの(以下「通常ペレット」と記す)と、生産工程などにおいて一旦ペレット状にはなるが粘着や融着を起こしやすく通常ペレットよりも粒子流動性の劣るもの(以下「固結性ペレット」と記す)とが存在する。本発明では、後述するペレットの固結性試験において、特定の温度と加重下で生成した塊が特定の篩いを通過できるか否かによって、通常ペレットと固結性ペレットとを区別しており、本発明において、固結性ペレットは、塊状の熱可塑性樹脂に相当する。
縦60mm×横60mm×高さ35mmの金属枠に、予め、目開き8mmの篩いを通過した試料ペレット約80gを詰め、5kgの加重下に50℃、6時間保管し、室温まで放冷して固結させる。その後、固結した試料ペレットを篩振盪機(タナカテック製、ロータッップ型)に5分間かけ、目開き8mmの篩い上に残る固結物の重量%が1%以上ある場合を固結性ペレットとし、1%未満のペレットを通常ペレットとした。
ベール状のゴムの出荷形態は、一般的に25〜30kgの一袋が一個となっており、輸送状態などによって変形していることもあるが、サイズとしては縦10〜20cm×横30〜50cm×高さ50〜70cm程度のものである。
ランプ状の低分子量熱可塑性樹脂は、一個が数十g程度の餅型ないしはその変形した形状とされており、数個が互いに粘着して一体化されている場合もある。
また、固結性ペレットの熱可塑性樹脂の中には、粘着や融着が著しく、全体が固結して一体化し、上記のベール状の状態と実質的に変わらない状態となっている場合もある。
また、本発明において「付着水分率」とは、定量フィーダーのホッパーへ供給された時点で測定された付着水分量から算出した値を意味し、付着水分量の測定装置として、メトラ・トレド社製ハロゲン水分計HG53型を用いて得られた値を意味する。
上述した前処理工程(1)では、塊状の熱可塑性樹脂を破砕機によって、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下である破砕物となるまで湿式破砕する。なお、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000を超えると、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがあり、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりするため好ましくない。
また、湿式破砕する場合に使用される水性の液体としては、水または、各種のアニオン乳化剤やノニオン乳化剤などの乳化剤の水溶液、またはタルクやステアリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどの微粒子粉体の懸濁液などが使用可能であるが、生成物である水性分散体の収率や平均粒子径への影響を考慮すると、水が好適である。
中間ホッパーとしては、押出機への熱可塑性樹脂の供給を行う定量フィーダーに、所定の供給量で破砕物を供給可能な定量フィーダーなどを用いることが好ましい。
また、中間ホッパー内で破砕物が粘着や融着を起こして大きな塊になることを防止するため、中間ホッパー内に冷気を吹き込むことにより、破砕によって上昇した破砕物の温度を低下させる場合がある。この場合、破砕物の付着水分率の調整を、遠心脱水機の回転数および回転時間、中間ホッパー内での滞留時間、中間ホッパー内に吹き込む冷気の量のいずれか1つまたは2つ以上を調整することによって制御することができる。
また、破砕物の付着水分率が2.0%を超えると、押出機の投入口周辺に次第に水滴が蓄積し、この蓄積した水分によって20〜30分の間に供給原料の供給不安定が低下し、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがある。
したがって、破砕物の付着水分率が0.2%未満であっても2.0%を超えても、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがあり、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりする場合があり好ましくない。
上述した前処理工程(1)では、塊状の熱可塑性樹脂を湿式破砕したが、前処理工程(2)では、湿式破砕に代えて、乾式破砕を行ない、得られた破砕物に再付着防止剤を付着させる。前処理工程(2)の場合でも、塊状の熱可塑性樹脂の破砕に際しては、1粒子当りの平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下となるようにされる。1粒子あたりの平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000を超えると、全ての供給原料を変動率5%以下で押出機に供給できなくなる恐れがあり、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりするため好ましくない。
再付着防止剤としては、水などの水性の液体やポリオレフィン微粉を用いることが望ましい。
D/Wが40を超える場合、ポリオレフィンの微粉が不足して、再固結が十分に防止できない恐れがある。また、D/Wが10未満である場合、余剰のポリオレフィンの微粉が分級を起し、全ての供給原料を変動率5%以下で安定して押出機に供給できなくなる恐れがあり、平均粒子径が大きくなったり、未乳化物比率が高くなったりするため好ましくない。
再付着防止剤として使用される水性の液体としては、水または、各種のアニオン乳化剤やノニオン乳化剤などの乳化剤の水溶液、またはタルクやステアリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどの微粒子粉体の懸濁液などが使用可能であるが、生成物である水性分散体の収率や平均粒子径への影響を考慮すると、水が好適である。
なお、破砕機内への塊状の熱可塑性樹脂の供給速度(流量)や、破砕後に得られた破砕物が押出機に供給されるまでの時間は、供給原料を変動率5%以下で押出機に供給することが可能な範囲内で変動可能である。したがって、例えば、定量フィーダーに設けられ破砕後に得られた破砕物が供給されるホッパーが大きく、定量フィーダーが保持できる最大量が多い場合には、定量フィーダーから押出機に供給原料の供給を行なっている間中、連続的に塊状の熱可塑性樹脂の破砕を行なわず、許容時間内で断続的に行なってもよい。
破砕物の中間ホッパーから定量フィーダーのホッパー内への供給は、例えば、定量フィーダーのホッパー内の供給原料の量が所定の量未満になったことに応じて、定量フィーダーから中間ホッパーの破砕物供給装置に破砕物の受入れ要求信号が送信され、この破砕物を供給する要求信号に応じて、破砕物供給装置に中間ホッパーから定量フィーダーのホッパー内へ破砕物を供給させる方法などによって、断続的に供給されるようにすることができる。
なお、二軸押出機への水または塩基性物質の水溶液の供給は、二軸押出機の注入箇所の樹脂温度に対応する水蒸気圧に抗して注入する必要があるため、二軸押出機で発生する圧力に耐える金属配管とポンプ形式が選定されて使用される。ここで使用されるポンプとしては、具体的には、ダイアフラムポンプやプランジャーポンプが例示できる。
また、二軸押出機内への水または塩基性物質の水溶液の供給における供給精度は、ポンプモーターの回転数やストロークにて調整することができ、変動率5%以下となるように供給できる。また、水または塩基性物質の水溶液の変動率は、例えば、水または塩基性物質の水溶液を収容しているタンク内の減量を30分間以上にわたって1分間毎に測定することにより求めることができる。
転相により生成した水性分散体は、機密性を保ったまま、二軸押出機から一軸押出機へ供給され、水の沸点以下まで冷却される。このことにより、一軸押出機から吐出される水性分散体を沸騰させることなく、水性分散体を大気中で取出すことができる。
また、水性分散体を希釈する際に用いられる攪拌機としては、水溶性物質の水溶解に使用されるものを用いることができ、具体的には、汎用のプロペラ型の攪拌機などが挙げられる。また、水性分散体を希釈する際における攪拌機の回転数は、水性分散液中に気泡を咬み込まない範囲で高速攪拌することが、希釈分散時間の短縮に効果的である。しかし、一旦、水性分散液中に気泡を咬み込むと、水性分散液の見かけの粘度が上昇し、分散が遅くなり、長時間にわたって分散が未完の水性分散体が残ってしまうので好ましくない。
このようにして得られた水性分散液は、室温に冷えるまで緩やかな攪拌を継続し、液面での乾燥膜の形成を防止することが好ましい。また、室温に達した水性分散液は、静置可能であるが、適切な蓋を使用するなど、乾燥防止には留意することが好ましい。
また、本実施形態の水性分散体の製造方法において、供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、供給工程の前に、前処理工程(1)または前処理工程(2)を備える方法とすることで、供給原料が塊状の熱可塑性樹脂を含む場合であっても、容易に変動率5%以下で安定供給することができる。
なお、図1に示す溶融装置は、必要に応じて溶融タンク1、2内に窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込むことが可能であるようにされていてもよい。
また、熱可塑性樹脂として形態の異なる2種以上の熱可塑性樹脂を用いる場合、例えば、全ての熱可塑性樹脂を上述した前処理工程(1)(2)を行なうことにより破砕物とした状態でタンブラーなどで混合してもよいし、破砕物とされた状態の熱可塑性樹脂と通常ペレットの熱可塑性樹脂とをタンブラーなどで混合してもよい。
また、本発明において用いる塊状の熱可塑性樹脂の製品袋内に、部分的に大きな塊などが有る場合には、予めほぐしたり、篩分けするなど、供給原料の供給安定性の向上に資する通常の工夫は、適宜、実施することができる。
表1または表2、以下に示す供給原料、以下に示す押出機を用い、以下に示す方法によって、実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例4の水性分散体および水性分散液を得た。
供給原料
「熱可塑性樹脂」
熱可塑性樹脂として、通常ペレットであり、デュポンダウエラストマー社製のEPDMである「ノーデル NDR4820P」を使用した。熱可塑性樹脂の1粒子当りの平均重量は0.30gであった。そして、通常ペレットである購入したままの熱可塑性樹脂を定量フィーダーであるクボタ株式会社製のカセットウェイングフィーダー「KF-C88型」のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量8000g/hr、最大流量8077g/hr、最小流量7923g/hrで、熱可塑性樹脂を二軸押出機の投入口へ連続供給した。熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
酸変性ポリオレフィンとして、三井化学株式会社製の「三井ハイワックス2203A」(質量平均分子量2400、無水マレイン酸変性、酸価30mg/g)を使用した。「三井ハイワックス2203A」は、微粉であり、その大きさに分布はあるが大きな粒子でも0.01g/個未満であった。そして、酸変性ポリオレフィンを定量フィーダーであるクボタ株式会社製のカセットウェイングフィーダー「KF-C1000型」のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量1210g/hr、最大流量1231g/hr、最小流量1187g/hrで、酸変性ポリオレフィンを二軸押出機の投入口へ連続供給した。酸変性ポリオレフィンの二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
乳化剤として、牛脂脂肪酸カリウム(花王株式会社製、「KSソープ」)を使用した。「KSソープ」は、微粉であり、その大きさに分布はあるが大きな粒子でも0.01g/個未満であった。そして、乳化剤を定量フィーダーであるクボタ株式会社製のカセットウェイングフィーダー「KF-C1000型」のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量240g/hr、最大流量245g/hr、最小流量238g/hrで、乳化剤を二軸押出機の投入口へ連続供給した。乳化剤の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
水または塩基性物質の水溶液として、14%KOH水溶液を使用した。そして、14%KOH水溶液を、ダイアフラムポンプを用いて平均流量350g/hr、最大流量356g/hr、最小流量343g/hr、1.5〜1.7Mpaの圧力で二軸押出機のベント口へ連続供給した。14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
押出機として、2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼株式会社製 「PCM−30型」 L/D=40)と単軸押出機(池貝鉄鋼株式会社製 「FS‐40型」 L/D=25)とを連結して使用した。
このようにして得られる水性分散体を、1時間にわたって、90℃の温水の入った分散槽中に攪拌しながら供給した後、0.5時間攪拌することにより分散させて実施例1の水性分散液を得た。
そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例1の水性分散液の平均粒子径は0.60μm、pHは12.5、固形分濃度は40.0%、未乳化物は0.1%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
「熱可塑性樹脂の変動率」
30分間の平均流量と、1分間毎の平均流量とを測定し、30分間の平均流量に対する1分間毎の平均流量の変動幅(最大値と最小値との差)を%で表わした。
「14%KOH水溶液の変動率」
14%KOH水溶液のタンク内の減量を1分毎に30分間にわたって測定して算出した。
「平均粒子径」
Microtrac UPA (Mountech Co.Ltd社製)を用いて測定した。
「未乳化物量比」
水性分散液を#100メッシュのステンレス製金網で濾過し、メッシュ上の残留分を水洗、乾燥して濾過残留固形分重量を求め、以下の式を用いて全固形分重量に対する濾過残留固形分重量の割合を%で示した未乳化物量比を求めた。
未乳化物量比[%]=(濾過残留固形分重量/全固形分重量)×100
供給原料
「熱可塑性樹脂」
熱可塑性樹脂として、ベール状であり、Bayer Buna社製のEPDMである「EP G2470‐LM」を使用した。熱可塑性樹脂の大きさは縦54cm×横36cm×高さ20cm程度であった。このような形状の熱可塑性樹脂を、54cmであった縦の長さが5cm程度となるように、株式会社タナカ製油圧切断機BK型で予備的に切断し、洗浄脱水機を備える湿式粉砕機である株式会社タナカ製湿式破砕洗浄脱水機PR‐30‐360S‐800型を用い、破砕中の破砕機内に水を送りながら湿式粉砕し、1粒子当りの乾燥時の平均重量が1.7gの破砕物を得た。また、湿式破砕後、脱水機を回転数900rpmで運転し、このときの脱水時間は、15秒間であった。脱水済みの破砕物を、スポットクーラーからの冷気が吹き込まれることによって40℃以下に保たれた中間ホッパーとして機能するタイセイMFG社製のスムーズオートフィーダーのホッパーに入れ、スムーズオートフィーダーによって、Kトロン社製重量式定量フィーダーLWFD型の定量フィーダーに供給した。
実施例1と同様の酸変性ポリオレフィンを用い、定量フィーダーであるKトロン社製重量式定量フィーダーLWFD型のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量25.0kg/hr、最大流量25.5kg/hr、最小流量24.6kg/hrで、酸変性ポリオレフィンを二軸押出機の投入口へ連続供給した。酸変性ポリオレフィンの二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
実施例1と同様の乳化剤を使用し、定量フィーダーであるKトロン社製重量式定量フィーダーLWFD型のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量4.90kg/hr、最大流量4.99kg/hr、最小流量4.83kg/hrで、乳化剤を二軸押出機の投入口へ連続供給した。乳化剤の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
実施例1と同様に、水または塩基性物質の水溶液として、14%KOH水溶液を使用した。そして、14%KOH水溶液を、ダイアフラムポンプを用いて平均流量6.50kg/hr、最大流量6.62kg/hr、最小流量6.40kg/hr、1.5〜1.6Mpaの圧力で二軸押出機のベント口へ連続供給した。14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。なお、二軸押出機のベント口位置のスクリューエレメントは単純な送り機能のものが配置されている。
押出機として、2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼株式会社製「PCM−87型」 L/D=41)と単軸押出機(池貝鉄鋼株式会社製「GS‐115型」 L/D=25)とを連結して使用した。
このようにして得られた水性分散体を2時間にわたって、90℃の温水の入った分散槽中に攪拌しながら供給した後、1時間攪拌することにより分散させて実施例2の水性分散液を得た。
そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例2の水性分散液の平均粒子径は0.5μm、pHは12.2、固形分濃度は38.4%、未乳化物は0.4%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
破砕中の破砕機内に水に替えて、ヒドロキシアパタイト(平均粒子径5μm)の3%懸濁液を送りながら湿式粉砕し、付着水分率0.6%、0.018%のヒドロキシアパタイトが付着した破砕物を得たことの他は、実施例2と同様にして水性分散体を得た。
そして、定量フィーダーによって、平均流量163kg/hr、最大流量166kg/hr、最小流量161kg/hrで、破砕物を二軸押出機の投入口へ連続的に供給した。
熱可塑性樹脂(破砕物)、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。また、実施例3の水性分散体を用いて実施例3の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例3の水性分散液の平均粒子径は0.59μm、pHは12.2、固形分濃度は38.0%、未乳化物は1.4%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
供給原料
「熱可塑性樹脂」
熱可塑性樹脂として、ランプ状の非晶性αオレフィン共重合体であるHuntsman Polymers社製の「REXTAC RT2585」を使用した。熱可塑性樹脂の大きさは長径約8cmの卵型または餅型であった。このような形状の熱可塑性樹脂を、粉砕機であるダイコー精機株式会社製の乾式粉砕機DAS‐14型を用いて破砕し、1粒子当りの乾燥時の平均重量が0.1gの破砕物を得た。また、破砕後に得られた破砕物を再付着防止剤である水を入れたバット中に受けることにより破砕物に水を付着させた後、脱水機である遠心機(国産株式会社製のH‐130E型)に入れ、回転数200rpmで1分間回転させて脱水し、付着水分率が0.9%である破砕物を得た。このようにして得られた脱水済みの破砕物を、中間ホッパーとして機能するポリ袋中に一次保管し、平均流量5000g/hrの割合で、クボタ株式会社製カセットウェイングフィーダーKF‐C88型の定量フィーダーに断続的に供給した。
実施例1と同様の酸変性ポリオレフィンを用い、定量フィーダーであるクボタ株式会社製カセットウェイングフィーダーKF‐C1000型のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量500g/hr、最大流量509g/hr、最小流量491g/hrで、酸変性ポリオレフィンを二軸押出機の投入口へ連続供給した。酸変性ポリオレフィンの二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
実施例1と同様の乳化剤を使用し、定量フィーダーであるクボタ株式会社製カセットウェイングフィーダーKF‐C1000型のホッパーへ投入し、定量フィーダーによって、平均流量200g/hr、最大流量203g/hr、最小流量197g/hrで、乳化剤を二軸押出機の投入口へ連続供給した。乳化剤の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
実施例1と同様に、水または塩基性物質の水溶液として、14%KOH水溶液を使用した。そして、14%KOH水溶液を、ダイアフラムポンプを用いて平均流量300g/hr、最大流量305g/hr、最小流量293g/hr、0.7〜0.8Mpaの圧力で二軸押出機のベント口へ連続供給した。14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。なお、二軸押出機のベント口位置のスクリューエレメントは単純な送り機能のものが配置されている。
押出機として、2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼株式会社製「PCM−30型」L/D=40)と単軸押出機(池貝鉄鋼株式会社製「FS‐40型」L/D=25)とを連結して使用した。
そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例4の水性分散液の平均粒子径は0.31μm、pHは12.9、固形分濃度は45.7%、未乳化物は0.3%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
脱水機である遠心機(国産株式会社製のH‐130E型)の回転数を900rpmとし、このときの脱水時間は1分間であった。付着水分率が0.3%である破砕物を得たことの他は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。なお、実施例5においては、定量フィーダーによって、平均流量5000g/hr、最大流量5190g/hr、最小流量4800g/hrで、破砕物を二軸押出機の投入口へ連続的に供給した。熱可塑性樹脂(破砕物)、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表1に示す。
また、実施例5の水性分散体を用いて実施例5の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例5の水性分散液の平均粒子径は0.56μm、pHは12.8、固形分濃度は45.0%、未乳化物は0.9%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
破砕直後の破砕品を、水でなく、ヒドロキシアパタイト(平均粒子径5μm)の3%懸濁液を入れたバットに受け、付着水分率が0.7%、0.021%のヒドロキシアパタイトが付着した破砕物を得たことの他は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。乳化剤の二軸押出機への供給における熱可塑性樹脂、酸変性ポリオレフィン、乳化剤、14%KOH水溶液の変動率を表1に示す。なお、KOH水溶液の注入圧力は0.7〜0.8Mpaであった。
また、実施例6の水性分散体を用いて実施例6の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例6の水性分散液の平均粒子径は0.39μm、pHは12.9、固形分濃度は44.4%、未乳化物は1.2%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
熱可塑性樹脂として、実施例4と同じものを使用し、粉砕機であるダイコー精機株式会社製の粉砕機DAS‐14型を用いて粉砕し、1粒子当りの乾燥時の平均重量が0.1gの破砕物とし、破砕後に得られた破砕物を水を入れたバットを使用せずにタンブラーに入れ、再付着防止剤である住友精化株式会社製の微粉末ポリエチレンUF‐80(中位粒度25μm、メーカー値)を破砕物に対して1質量%添加し、5分間混合してまぶすことによって破砕物に再付着防止剤を付着させたことの他は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。なお、ポリオレフィンの微粉の粒子サイズをD(μm)、ポリオレフィンの微粉の塊状の熱可塑性樹脂の質量当りの添加量をW(%)とした場合のD/Wは、25であった。
また、UF‐80をまぶした後に固結性試験を行った。その結果、篩いの上に残る熱可塑性樹脂は0.1wt%以下となり、通常ペレットと同等であった。
熱可塑性樹脂として、実施例4と同じものを使用し、図1に示す溶融装置を使用して、熱可塑性樹脂を押出機に供給する供給工程の前に、熱可塑性樹脂を溶融する前処理工程を備えることの他は、実施例4と同様にして水性分散体を得た。なお、実施例8においては、図1に示す溶融装置の溶融タンクとして容量30Lのものを使用し、溶融タンク内に15Kgの実施例4と同じ熱可塑性樹脂を入れ、ヒーターおよび図2に示す加熱手段を用いて170℃で1時間加熱して熱可塑性樹脂を溶融させた。その後、さらに溶融タンク内に熱可塑性樹脂を7kg追加して1時間加熱して溶融させた。
また、実施例8の水性分散体を用いて実施例8の水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、実施例8の水性分散液の平均粒子径は0.30μm、pHは12.8、固形分濃度は45.8%、未乳化物は0.3%であった。水性分散液の特性を表1に示す。
熱可塑性樹脂の定量フィーダーとして、実施例1のカセットウェイングフィーダー「KF-C88型」に代えて、容積式単軸スクリューフィーダーである池貝鉄鋼株式会社製「U字フィーダー」に変更したことの他は、実施例1と同様にして水性分散体を得た。その結果、定量フィーダーによる熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給は、平均流量8000g/hr、最大流量8478g/hr、最小流量7521g/hrとなった。熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
また、比較例1の水性分散体を希釈して水性分散液を得た。そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、比較例1の水性分散液の平均粒子径は1.21μm、pHは12.6、固形分濃度は35%、未乳化物は12.5%であった。水性分散液の特性を表2に示す。
実施例2と同様にして得られた熱可塑性樹脂の粉砕物を用いて、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給行った。破砕物の付着水分率は0.6%であった。熱可塑性樹脂は、定量フィーダーによって、平均流量4900g/hr、最大流量5750g/hr、最小流量4300g/hrで、二軸押出機の投入口へ連続供給した。熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
そして、酸変性ポリオレフィンは、定量フィーダーによって、平均流量750g/hr、最大流量763g/hr、最小流量735g/hrで、二軸押出機の投入口へ連続供給した。酸変性ポリオレフィンの二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
また、乳化剤は、定量フィーダーによって、平均流量147g/hr、最大流量149g/hr、最小流量144g/hrで、二軸押出機の投入口へ連続供給した。乳化剤の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
水または塩基性物質の水溶液は、ダイアフラムポンプを用いて平均流量195g/hr、最大流量198g/hr、最小流量191g/hr、1.5〜1.6Mpaの圧力で二軸押出機のベント口へ連続供給した。14%KOH水溶液の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
そして得られた水性分散液の特性を求めた。その結果、比較例2の水性分散液の平均粒子径は1.09μm、pHは12.3、固形分濃度は36.7%、未乳化物は4.8%であった。水性分散液の特性を表2に示す。
実施例4で用いた熱可塑性樹脂を実施例4
と同様の粉砕機で破砕し、破砕後に得られた破砕物を、水を入れたバット中ではなく、空のバット中に直接入れた。この破砕物を固結性試験した結果、目開き8mmの篩い上に残る固結物の重量%が13%である固結性ペレットであった。この固結性ペレットを、実施例4と同様の定量フィーダーに供給し、定量フィーダーによって、平均流量4900g/hrで二軸押出機の投入口へ連続的に供給しようとしたが、定量フィーダーからの供給が安定せず、1分間での最大流量は14400g/hr、最小流量は289g/hrとなり、熱可塑性樹脂の二軸押出機への供給における変動率は144%となった。熱可塑性樹脂(破砕物)の二軸押出機への供給における変動率を表2に示す。
なお、「酸変性ポリオレフィン」「乳化剤」「水または塩基性物質の水溶液」については、表2に示すように、二軸押出機への供給における変動率は5%以下であったが、一軸押出機からの吐出が断続的となり、押出機からの吐出物を温水中で攪拌しても分散しないままであった。
脱水機である遠心機(国産株式会社製のH‐130E型)の回転数を50rpm、1分間とし、付着水分率が2.4%である破砕物を得たことの他は、実施例4と同様にして水性分散体の調製を試みた。その結果、熱可塑性樹脂(破砕物)の二軸押出機への供給を開始してから30分経過する前に、二軸押出機の投入口から破砕物がこぼれ始め、実質的には、二軸押出機に破砕物が十分に供給されていない状態となった。このため、熱可塑性樹脂の30分間における平均流量を求めることができず、供給原料の変動率は計測できなかった。また、破砕物の二軸押出機への平均流量を確認できないまま、さらに15分間運転を継続したが、一軸押出機からの吐出物は、水に分散できないものであった。
Claims (8)
- 押出機を用いて水性分散体を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂としてEPDMまたはαオレフィン共重合体と、酸変性ポリオレフィンと、乳化剤と、塩基性物質の水溶液とを含む全ての供給原料を変動率5%以下で前記押出機に供給する供給工程を備えることを特徴とする水性分散体の製造方法。 - 前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、
前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を水性の液体を用いて湿式破砕し、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下であり、かつ、付着水分率が0.2〜2.0%である破砕物とする前処理工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。 - 前記水性の液体が水であることを特徴とする請求項2に記載の水性分散体の製造方法。
- 前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、
前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を乾式破砕して、1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下である破砕物とし、前記破砕物に、再付着防止剤を付着させる前処理工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。 - 前記再付着防止剤が水であることを特徴とする請求項4に記載の水性分散体の製造方法。
- 前記再付着防止剤が、中位粒度が50μm以下のポリオレフィン微粉であることを特徴とする請求項4に記載の水性分散体の製造方法。
- 前記供給原料が、塊状の熱可塑性樹脂を含み、
前記供給工程の前に、前記塊状の熱可塑性樹脂を溶融する前処理工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂の1粒子の平均重量が押出機への1時間当りの供給量の1/10,000以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体の製造方法。
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