JP2008080814A - 一つの原駆動信号に基づいて行う複数の解像度モードによる印刷 - Google Patents

一つの原駆動信号に基づいて行う複数の解像度モードによる印刷 Download PDF

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Abstract

【課題】重量が異なる複数種類のインク滴を吐出することができるプリンタにおいて、解像度の異なる印刷を行う技術を提供する。
【解決手段】このプリンタは、原駆動信号に基づいて3種類の駆動信号を生成することができる。そして、その3種類の駆動信号に基づいて重量の異なる3種類のインク滴を吐出して、印刷用紙上に大ドット、中ドット、小ドットを形成する。低解像度モードにおいては、中ドット、大ドットのみで印刷を行う。そして、印刷用紙上の各主走査ラインを2回の主走査で記録する。これに対して、高解像度モードにおいては、小ドット、中ドットのみで印刷を行う。そして、印刷用紙上の各主走査ラインを4回の主走査で記録する。このような態様とすれば、一つの原駆動波形に基づいて解像度の異なる2種類の印刷を行うことができる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、主走査を行いつつ印刷媒体上にドットを形成することによって画像を印刷する技術に関し、特に、解像度の異なる印刷を行う技術に関する。
従来より、順次行路の位置を変えながら印刷ヘッドを往復動させつつ、印刷ヘッドからインクを吐出させてドットを形成して、画像を印刷するプリンタがある。そのようなプリンタの中には、一つの原駆動信号に基づいて複数種類の駆動信号を生成し、その駆動信号に基づいて異なる重量のインク滴を吐出して、異なる大きさのドットを印刷用紙上に形成するものがあった。
特開2001−129980号公報
上記のようなプリンタにおいて、記録密度(印刷解像度)の異なる印刷を行う場合には、それぞれの記録密度に応じた複数種類の原駆動信号をあらかじめ用意しておき、それぞれの原駆動信号に基づいて記録密度の異なる印刷のための駆動信号を生成し、インク滴を吐出していた。このため、解像度の異なる印刷を行う際には、駆動信号の生成が煩雑であった。
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、簡便に駆動信号を生成して解像度の異なる印刷を行う技術を提供することを目的とする。
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、ノズルからインク滴を吐出させ、印刷媒体上に着弾させてドットを形成することにより印刷を行う印刷装置を対象として、所定の処理を行う。この印刷装置は、ノズルを備えた印刷ヘッドと、原駆動信号に基づいてノズルから重量が異なる複数種類のインク滴を吐出させることができるヘッド駆動部と、印刷ヘッドと、印刷媒体と、の少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査駆動部と、各部を制御する制御部と、を備える。
そのような印刷装置において、主走査の方向について第1のドット記録密度で印刷媒体上にドットを記録する第1のドット記録モードと、第1のドット記録モードと共通の原駆動信号に基づいて吐出されるインク滴を使用して、主走査の方向について第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で印刷媒体上にドットを記録する第2のドット記録モードと、による印刷を行う。このような態様とすれば、同一の原駆動信号に基づいて、簡便に駆動信号を生成して主走査方向の解像度の異なる印刷を行うことができる。
また、そのような印刷装置において、重量が異なる複数種類のインク滴のうち最も重量の小さいインク滴を使用せずに、最も重量の小さいインク滴以外のインク滴を使用して、主走査の方向について第1のドット記録密度で印刷媒体上にドットを記録する第1のドット記録モードと、第1のドット記録モードと共通の原駆動信号に基づいて吐出される最も重量の小さいインク滴を少なくとも使用して、主走査の方向について第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で印刷媒体上にドットを記録する第2のドット記録モードと、による印刷を行う。このような態様とすれば、同一の原駆動信号に基づいて、簡便に駆動信号を生成して主走査方向の解像度の異なる印刷を行うことができる。
なお、第1のドット記録モードにおいて、n回(nは1以上の整数)の主走査で一つの主走査ライン内のすべての画素にドットを記録し、第2のドット記録モードにおいて、m回(mはnより大きい整数)の主走査で一つの主走査ライン内のすべての画素にドットを記録する態様とすることができる。このような態様とすれば、同一の原駆動信号に基づいて、主走査方向の解像度の異なる印刷を行うことができる。
なお、第1のドット記録モードにおいては、第1の調整値に基づいて主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行い、第2のドット記録モードにおいては、第2の調整値に基づいて主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行うことが好ましい。このような態様とすれば、それぞれのドット記録モードに応じた調整値に基づいて、主走査方向のドット形成位置ずれを調整することができる。
また、以下のようにして調整値を定めることができる。第1のドット記録モードにおいて使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴を使用して第1の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する。また、少なくとも最も重量の小さいインク滴を使用して第2の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する。そして、印刷された第1および第2の位置ずれ検査用パターンに基づいて、ユーザが、第1の調整値および第2の調整値を決定する。そして、第1の調整値および第2の調整値に基づいて、ドット形成位置ずれの調整が行われる。このような態様とすれば、実際に印刷媒体上に印刷した結果に基づいて、調整値を定めることができる。なお、第2の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する際には、第2のドット記録モードにおいて使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴であって、第1の位置ずれ検査用パターンを印刷したインク滴以外のインク滴を使用して第2の位置ずれ検査用パターンを印刷する態様としてもよい。
なお、第2の位置ずれ検査用パターンを印刷する際には、第1の位置ずれ検査用パターンを印刷する際に最も多く使用する第1の種類のインク滴とは異なる第2の種類のインク滴を最も多く使用して、第2の位置ずれ検査用パターンを印刷することが好ましい。第1の位置ずれ検査用パターンと第2の位置ずれ検査用パターンとで、最も多く使用するインク滴の種類を変えれば、それぞれ異なる種類のインク滴の特質を反映した検査用パターンを印刷することができる。その結果、第1の調整値と第2の調整値とを、互いに異なる種類のインク滴についてのドット形成位置ずれを少なくするように、定めることができる。
なお、印刷装置は、第1の調整値および第2の調整値を記憶する不揮発性メモリを備える態様とすることができる。このような態様とすれば、一度調整値を定めてそれを不揮発性メモリに記憶させれば、その後、その調整値を使用して繰り返し印刷を行うことができる。また、必要に応じて、調整値を設定し直して、不揮発性メモリに記憶させることもできる。
なお、印刷データを生成する際には、第1のドット記録モードと、第2のドット記録モードと、のいずれで印刷を実行すべきかを示すコマンドを、その印刷データ中に含ませることが好ましい。このような態様とすれば、印だつデータのみに基づいて、いずれのドット記録モードで印刷を行うべきかを決定することができる。
また、前述の印刷装置に供給する印刷データを生成する印刷制御装置は、印刷装置に印刷させる画像を表す画像データであって、印刷データに含まれる画像データを生成する画像データ生成部と、印刷データに含まれるモード識別コマンドを生成するモード識別コマンド生成部と、を備えることが好ましい。このモード識別コマンドは、第1のドット記録モードと第2のドット記録モードとを含む複数のドット記録モードのうちのいずれのドット記録モードで画像データを印刷すべきかを示すコマンドである。このような態様とすれば、印刷装置は、印刷データに基づいて、その中に含まれる画像データを印刷するドット記録モードを特定することができる。
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)調整値決定方法、印刷方法、印刷制御方法。
(2)印刷装置、印刷制御装置。
(3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施形態の概要:
B.第1実施例:
B1.装置の構成:
B2.ヘッド駆動回路の構成及び処理:
B3.低解像度モードと高解像度モード:
B4.ノズル列間の記録位置ずれの発生:
B5.調整値の決定:
B6.調整値によるドット形成位置ずれの調整:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.変形例:
A.実施形態の概要:
図1は、本発明の印刷の流れを示すフローチャートである。このプリンタは、複数のパルスを含む原駆動信号に基づいて3種類の駆動信号を生成することができる。そして、その3種類の駆動信号に基づいて重量の異なる3種類のインク滴を吐出して、印刷用紙上に大きさの異なる大ドット、中ドット、小ドットを形成することができる。
このプリンタは、印刷について、低解像度モードと高解像度モードとを有する。ステップS4に示す低解像度モードにおいては、比較的重量の大きい大インク滴および中インク滴を印刷用紙に向けて吐出して、大ドット、中ドットのみで印刷を行う。そして、印刷用紙上の各主走査ラインを、互いのインク滴の着弾位置をずらした2回の主走査で記録する。これに対して、ステップS6に示す高解像度モードにおいては、比較的重量の小さい小インク滴および中インク滴を印刷用紙に向けて吐出して、小ドット、中ドットのみで印刷を行う。そして、印刷用紙上の各主走査ラインを、それぞれインク滴の着弾位置をずらした4回の主走査で記録する。その結果、高解像度モードにおける主走査方向の画素の大きさは、低解像度モードにおける主走査方向の画素の大きさの1/2となる。このような態様とすれば、一つの原駆動波形に基づいて解像度の異なる2種類の印刷を行うことができる。
低解像度モードにおいては、第1の調整値を用いて主走査方向のドット形成位置ずれを調整する。高解像度モードにおいては、第2の調整値を用いて主走査方向のドット形成位置ずれを調整する。このような態様とすれば、それぞれの解像度に応じて適切な調整値を使用して、高品質な印刷を行うことができる。
B.第1実施例:
B1.装置の構成:
図2は、プリンタ20を含むコンピュータシステムの全体構成を示す説明図である。このコンピュータシステムは、プリンタ20と、プリンタ20が接続されているホストコンピュータ100と、ホストコンピュータ100に接続されている液晶ディスプレイ110と、同じくホストコンピュータ100に接続されているキーボード120と、マウス130を備えている。ユーザは、液晶ディスプレイ110に出力された表示を見て、キーボード120、マウス130を操作して、自らの意志決定の結果をコンピュータ100に入力する。なお、このコンピュータシステム全体が、特許請求の範囲にいう「印刷装置」に相当する。そして、コンピュータ100のCPU102が所定のプログラムを実行することによって、印刷データが生成される。すなわち、CPU102が所定のプログラムを実行することで、コンピュータ100が「印刷制御装置」として機能する。
図3は、インクジェットプリンタ20の概略構成図である。このプリンタ20は、紙送りモータ22によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によって印刷用紙Pの搬送方向に垂直な方向(主走査方向)にキャリッジ30を往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ100に接続されている。なお、図3では、コンピュータ100およびディスプレイ110は、簡略化した表示とし、キーボード120、マウス130などの入力装置は図示を省略している。
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転を用紙搬送ローラ(図示せず)に伝達するギヤトレインを備える(図示せず)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、主走査方向に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
図4は、制御回路40を中心としたプリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ22およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54と、を備えている。PROM43は、EEPROMである。I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ100から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。なお、図4においても、図3と同様、コンピュータ100等については簡略化した表示を行っている。
図5は、印刷ヘッド28に設けられた複数列のノズルを示す説明図である。このプリンタ20は、ブラック(K)、濃シアン(C)、淡シアン(LC)、濃マゼンタ(M)、淡マゼンタ(LC)、イエロ(Y)の6色のインクを用いて印刷を行う印刷装置であり、各インク用のノズル列をそれぞれ備えている。なお、濃シアンと淡シアンとは、ほぼ同じ色相を有し、濃度が異なるシアンインクである。濃マゼンタインクと淡マゼンタインクも同様である。これらの各ノズル列を、「単一色ノズル群」と表記する場合がある。
B2.ヘッド駆動回路の構成及び処理:
図6は、ヘッド駆動回路52の構成を示すブロック図である。このヘッド駆動回路52は、複数のマスク回路204と、原駆動信号発生部206と、駆動信号補正部230とを備えている。マスク回路204は、印刷ヘッドユニット60のノズルn1〜n48をそれぞれ駆動するための48個のピエゾ素子(図示せず)に対応して設けられている。なお、図6において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
原駆動信号発生部206は、ノズルn1〜n48に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内に、小ドットパルスW1と中ドットパルスW2と大ドットパルスW3の3つのパルスを含む信号である。
I/F専用回路50を通じて入力されたシリアル印刷信号PRT(i)は、図6に示すように、原駆動信号発生部206から出力される原駆動信号ODRVとともにマスク回路204に入力される。マスク回路204は、シリアル印刷信号PRT(i)のレベルに応じて原駆動信号ODRVをマスクするためのゲートである。すなわち、マスク回路204は、シリアル印刷信号PRT(i)が1レベルにある時間区間については原駆動信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとしてピエゾ素子に供給し、一方、シリアル印刷信号PRT(i)が0レベルにある時間区間については、原駆動信号ODRVの対応するパルスを遮断する。
駆動信号補正部230は、マスク回路204が整形した駆動信号波形のタイミングを復路全体で前後にずらし、補正を行う。この駆動信号波形のタイミングの補正によって、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のズレが補正される。
図7は、1画素区間分の原駆動信号および駆動信号を示す説明図である。図7(a)は、1画素区間分の原駆動信号を示している。印刷の際には、図7(a)に示すように、原駆動信号ODRVのパルスとして、各画素区間において小ドットパルスW1、中ドットパルスW2、大ドットパルスW3がこの順に発生する。なお、「画素区間」は、一画素分の主走査期間と同じ意味である。前述したように、マスク回路204(図6参照)は、シリアル印刷信号PRT(i)が1レベルのときには原駆動信号ODRVのパルスをそのまま通過させ、シリアル印刷信号PRT(i)が0レベルのときには原駆動信号ODRVのパルスを遮断する。
小インク滴Ipsを吐出する駆動波形を生成する際には、図7(b)に示すように、原駆動波形ODRVのW2の両側のパルスをマスクして駆動波形を形成する。なお、図7(b)のW4の部分は、マスク回路がハイインピーダンス状態になると、ピエゾ素子がほぼ一定の電圧に保たれることを示している。このようになる理由は、ピエゾ素子がコンデンサとして機能するからである。また、中インク滴Ipmを吐出する駆動波形を生成する際には、図7(c)に示すように、原駆動波形ODRVのW1の両側のパルスをマスクして駆動波形を形成する。大インク滴Ipbを吐出する駆動波形を生成する際には、図7(d)に示すように、W3に先立つパルスをマスクして駆動波形ODRVを形成する。本実施例においては、大中小の各ドットは、大中小の各インク滴によってそれぞれ形成される。大中小の各インク滴の吐出タイミングは、中インク滴Ipm、小インク滴Ips、大インク滴Ipbの順に早いので、一画素内での着弾位置は、図7(b)〜(d)の右側に示すように、ヘッドの移動方向の後方から前方に向けて中インク滴Ipm、小インク滴Ips、大インク滴Ipbの順になる。なお、図7(b)〜(d)の右側に記されている四角は、低解像度モードにおける画素である。また、画素の下には、ヘッドの移動方向を矢印で示している。
これらの各ドットに対応した各駆動信号波形は、主走査の往路であっても復路であっても同じものが用いられる。すなわち、一画素区間内に1ノズルから吐出される小インク滴Ips、中インク滴Ipm、大インク滴Ipbは、往路と復路で同じ順序で吐出される。ただし、各主走査において駆動信号波形を生成するタイミングは、復路全体で駆動信号補正部230(図6参照)によって前後にずらされ、補正される。このタイミングの補正によって、復路全体でインク滴の着弾位置が意図的にずらされて、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のズレが補正される。タイミングをどの程度ずらすかを定める補正値の決定の方法については後述する。
B3.低解像度モードと高解像度モード:
図1を用いて、本発明の印刷の流れを説明する。プリンタ32は、印刷について、低解像度モードと高解像度モードとを有する。プリンタ20のCPU41は、ステップS2で、印刷データ中のコマンドに基づいて、低解像度モードで印刷を行うか高解像度モードで印刷を行うかを選択する。なお、コンピュータ100のCPU102が、プリンタドライバ102aを実行することによって印刷データを生成する。その際、CPU102は、画像データ生成部と102bして機能して、アプリケーションソフトから受け取った画像データをプリンタ20が印刷できる形式に変換する。また、CPU102は、モード識別コマンド生成部102cとして機能し、画像データを低解像度モードで印刷するか高解像度モードで印刷するかを示すコマンドを生成して印刷データ中に組み込む。これらCPU102の機能部を図2に示す。
ステップS4の低解像度モードにおいては、所定の速さで印刷ヘッドの往復動を行いつつ、比較的重量の大きい大インク滴Ipbと中インク滴Ipmを印刷用紙に向けて吐出して、中ドット、大ドットのみで印刷を行う。これに対して、ステップS6の高解像度モードにおいては、低解像度モードと同じ速さで印刷ヘッドの往復動を行いつつ、比較的重量の小さい中インク滴Ipmと小インク滴Ipsを印刷用紙に向けて吐出して、小ドット、中ドットのみで印刷を行う。
図8は、低解像度モードにおける主走査ラインの記録のし方を示す説明図である。図8において左右方向に並ぶ桝目は、低解像度モードにおける画素を表している。これら左右に並ぶ画素によって1本の主走査ラインが構成される。図8においては、各画素には左端から順に番号が振られている。低解像度モードにおいては、1本の主走査ラインは往路と復路の2度の主走査で記録される。例えば、図8(a)に示すように、主走査の往路においては、奇数番号の画素にドットの記録が行われる。そして、主走査の復路においては、図8(b)に示すように、偶数番号の画素にドットの記録が行われる。なお、各画素の下に示す数字は、その主走査ラインにドットを記録する主走査の番号を示す。そして、右向きの矢印が、その主走査が往路であることを示し、左向きの矢印が、その主走査が復路であることを示す。
図9は、高解像度モードにおける主走査ラインの記録のし方を示す説明図である。図9において、実線で表された桝目は高解像度モードにおける画素を表している。そして、破線で表された桝目は、低解像度モードにおける画素を表している。高解像度モードにおける画素の主走査方向についての大きさは、低解像度モードにおける画素の主走査方向についての大きさの1/2である。高解像度モードにおいては、1本の主走査ラインは往路2回、復路2回の4回の主走査で記録される。最初の主走査においては、図9(a)に示すように、1、5など、4で割って1余る番号の画素にドットの記録が行われる。そして、次の主走査においては、図9(b)に示すように、2、6など、4で割って2余る番号の画素にドットの記録が行われる。3回目の主走査においては、図9(c)に示すように、3、7など、4で割って3余る番号の画素にドットの記録が行われる。4回目の主走査においては、図9(d)に示すように、4、8など、4で割り切れる番号の画素にドットの記録が行われる。なお、各画素の下に矢印で示すように、1回目と3回目の主走査は往路であり、2回目と4回目の主走査は復路である。
低解像度モードと高解像度モードとにおいては、同じ原駆動信号が使用される。このため、主走査において各画素に対応するインク滴が吐出される時間間隔は同じである。すなわち、1度の主走査で記録できるドットの最短の間隔は、低解像度モードと高解像度モードとにおいて等しい。低解像度モードでは、往路でドットを記録したあと(図8(a)参照)、「一度の主走査で各ドットを記録することができるドット間隔」の半分だけ着弾位置がずれるように駆動信号をずらして、復路において各ドットを記録する(図8(b)参照)。これに対して、高解像度モードでは、最初の主走査を行ったあとの各主走査において、それぞれ「一度の主走査で各ドットを記録することができるドット間隔」の1/4、2/4、3/4だけ着弾位置がずれるように駆動信号をずらして、ドットを記録する(図9(b)〜(d)参照)。このようにして、低解像度モードでは、「一度の主走査で記録できるドットの最短の間隔」の1/2の間隔でドットを記録し、高解像度モードでは、「一度の主走査で記録できるドットの最短の間隔」の1/4の間隔でドットを記録する。こうして、同じ原駆動信号を使用して解像度の異なる印刷が実現される。
なお、第1実施例において、低解像度モードでは2回の主走査で1本の主走査ラインを記録し、高解像度モードでは、4回の主走査で1本の主走査ラインを記録した。しかし、低解像度モードでは1回の主走査で1本の主走査ラインを記録し、高解像度モードでは、6回の主走査で1本の主走査ラインを記録する態様とすることもできる。すなわち、低解像度モードにおいて、n回(nは1以上の整数)の主走査で一つの主走査ライン内のすべての画素にドットを記録し、高解像度モードにおいて、m回(mはnより大きい整数)の主走査で一つの主走査ライン内のすべての画素にドットを記録することができる態様とすることができる。なお、第1実施例では、低解像度モード一つと高解像度モード一つの合計二つの解像度モードを有する態様としたが、3以上の解像度モードを有する態様とすることもできる。
B4.ノズル列間の記録位置ずれの発生:
プリンタ20は、調整値を用いて双方向印刷時の記録位置ずれを調整する。そこで、調整値の決定について説明する前に、以下ではまず、双方向印刷時の記録位置ずれの発生について説明する。なお、「双方向印刷」とは、主走査を双方向に行いつつ、主走査の往路と復路の両方において印刷媒体上にドットを形成し、画像を印刷する印刷方式である。これに対して、主走査の往路と復路のうちの一方においてのみ印刷媒体上にドットを形成し、画像を印刷する印刷方式を「単方向印刷」という。
図10は、双方向印刷時の位置ずれを示す説明図である。図10(a)は、往路の印刷時のドットの着弾位置を示す説明図であり、図10(b)は、復路の印刷時のドットの着弾位置を示す説明図である。ノズルnは、印刷用紙Pの上方において双方向に水平に移動しており、往路と復路においてそれぞれインクを吐出することによって印刷用紙P上にドットを形成する。インクは、鉛直下方に向けて吐出速度Vkで吐出されるものと仮定している。各インクの合成速度ベクトルCVkは、下方への吐出速度ベクトルと、ノズルnの主走査速度ベクトルVsとを合成したものとなる。したがって、主走査の往路と復路において、印刷用紙Pと印刷ヘッド28(ノズルn)とが同じ位置関係にあるときにインク滴を吐出したのでは、インク滴の印刷媒体上への着弾位置がずれてしまう。そこで、インク滴の印刷媒体上への着弾位置が一致するように、主走査の往路と復路でインク滴の吐出タイミングが調整される。
図10においては、往路と復路とで、インク滴吐出時のノズルの位置に対してドット形成位置ずれがほぼ対称となっている。しかし、主走査方向の駆動機構のバックラッシュや、印刷媒体を下で支えているプラテンの反りなど、往路と復路とでずれが対称とはならないような要素も存在する。そのような要素に起因するドット形成位置ずれを吸収するためにも、主走査の往路と復路でインク滴の吐出タイミングを調整することが好ましい。
B5.調整値の決定:
(1)低解像度モード用の調整値の決定:
図11は、低解像度モード用の位置ずれ検査用罫線パターンの例を示す説明図である。低解像度モード用の調整値を決定する際には、位置ずれ検査用罫線パターンT10を印刷する。この位置ずれ検査用罫線パターンT10は、ブラックノズル列K(図5参照)を用いて往路と復路でそれぞれ印刷された複数の縦罫線で構成されている。各罫線を印刷する際には、中ドットのみが使用される。往路では一定の間隔で縦罫線T11を記録しているが、復路では、縦罫線T12の主走査方向の位置を1/1440インチ単位で順次ずらしている。この結果、印刷用紙P上には、往路の縦罫線T11と復路の縦罫線T12との相対位置が1/1440インチずつずれていくような複数組の縦罫線対T1が印刷される。各縦罫線対のずらし量は、低解像度モード用の調整値の候補、すなわち「調整候補値」に相当する。複数組の縦罫線対T1の下には、ズレ調整番号の数字が印刷される。ズレ調整番号は、好ましい補正状態を示す補正情報としての機能を有する。ここで、「好ましい補正状態」とは、往路または復路における記録位置(または記録タイミング)を適切な調整値で補正したときに、往路と復路でそれぞれ形成されたドットの主走査方向の位置がほぼ一致するような状態をいう。なお、図11の例では、ズレ調整番号が4である縦罫線対が、好ましい補正状態を示している。
これらの位置ずれ検査用罫線パターンT10は、コンピュータ100から送られてくる印刷データに基づいて、CPU41が各部を制御して印刷する。そして、その印刷データは、印刷モード(低解像度モード、高解像度モード)に応じて、コンピュータ100のCPU102が選択する。後述する高解像度モード用の位置ずれ検査用パターンの印刷についても同様である。CPU102の機能部としてのパターン形成部102dを図2に示し、CPU41の機能部としてのパターン形成部41aを図4に示す。
図12は、コンピュータに調整値を入力する際のユ−ザインターフェイス画面を示す説明図である。ユーザは、この位置ずれ検査用罫線パターンT10を観察して、最もずれの少ない縦罫線対を選択する。そして、そのズレ調整番号を、プリンタドライバ102aが表示するユーザーインターフェイス画面を通じて、キーボード120、マウス130で入力する。図12の例では、マウス130を使用してカーソルCSでズレ調整番号4を選択する。このズレ調整番号は、プリンタ20内のPROM43(図4参照)に格納される。ただし、ズレ調整番号は、操作パネル32(図2、図4参照)を通じて入力される態様とすることもできる。
なお、ズレ調整番号を入力する際のユーザーインターフェースは、ここで示したような態様に限られるものではない。すなわち、印刷された位置ずれ検査用パターンに応じてユーザによって決定された、主走査方向のドット位置ズレに関する好ましい補正状態を示す調整値を受け取ることができるものであれば、他の態様であってもよい。なお、プリンタドライバ102の機能部としてのユーザーインターフェイス部102eを図2に示す。
上記のように決定した調整値を使用して文章や表を印刷すれば、中ドットおよび大ドットを使用する低解像度モードにおいて、主走査方向のがたつきの少ない高品質な文字や線を印刷できる。なお、上記の検査用パターンは、中ドットのみを使用して印刷されるため、選択された調整値は大ドットのドット形成位置ずれを考慮して定められてはいない。しかし、大ドットは所定の領域を塗りつぶす場合などに使用されるため、多少ドット形成位置がずれても印刷の品質に大きく影響することはない。一方、低解像度モードにおいては、文字、表、グラフなどを印刷する際には、中ドットが使用される。このため、中ドットのドット形成位置が好ましい位置からずれた場合には、印刷結果の品質への影響が大きい。
なお、ここでは、ブラックインクを使用して罫線を印刷したが、他の色で文字や図形を印刷する場合には、マウス、キーボードなどの入力機器を通じてユーザからそのインクを指定されて、そのインクを使用して罫線を印刷して調整値を定めることができる。また、副走査方向上流側の罫線と下流側の罫線と異なるインクで形成すれば、それら2色のインクについてドット形成位置ずれを小さくする調整値を、短時間で定めることができる。
(2)高解像度モード用の調整値の決定:
図13は、高解像度モード用の位置ずれ検査用パターンT20の一例を示す模式図である。高解像度モード用の調整値を決定する際には、プリンタ20を用いて高解像度モード用の位置ずれ検査用パターンが印刷される。この位置ずれ検査用パターンT20は、淡シアン、淡マゼンタ、イエロの各ノズル列を用いて往路と復路の両方を使ってそれぞれ印刷された複数のグレーパッチT21〜T25で構成されている。各パッチを印刷する際には、各色について、中ドットと小ドットが使用される。各グレーパッチは等しい色を再現するものである。なお、図13においては、各パッチは比較的大きなドットの集合として描かれているが、実際には、目にははっきりと見えない程度の大きさのドットで形成される。また、「グレーパッチ」という用語は、このパッチが人の目に常に「グレー」の色に見えることを意味するものではな。すなわち、ドットの位置ずれ状態によっては他の色に見えることもある。このグレーパッチT21〜T25が、特許請求の範囲にいう「カラーパッチ」に相当する。
各パッチを構成する各色のドットは、往路では各パッチについて主走査方向の一定の位置に記録されるが、復路では、各パッチごとに主走査方向の位置を1/2880インチ単位で順次ずらした位置に記録される。なお、各パッチを構成する各色のドットは、復路において共通のずらし量でずらされる。この結果、印刷用紙P上には、往路で形成されるドットと復路で形成されるドットとの相対位置が1/2880インチずつずれていくような複数のグレーパッチT21〜T25が印刷される。各グレーパッチの往路と復路のドットのずらし量が、高解像度モードにおける調整値の候補である「調整候補値」である。グレーパッチT21〜T25の左側には、図13に示すように、ズレ調整番号の数字が印刷される。ズレ調整番号は、好ましい補正状態を示す補正情報としての機能を有する。ここで、「好ましい補正状態」とは、往路または復路における記録位置(または記録タイミング)を適切な調整値で補正したときに、グレーパッチのざらつきがもっとも少なくなる状態をいう。したがって、好ましい補正状態は、適切な調整値によって実現される。
図13の例では、「3」の数字が付されたグレーパッチT23を中心としてズレ調整番号が1から5までの5個のグレーパッチT21〜T25が示されている。そして、図13では、ズレ調整番号が4であるグレーパッチT24が、最もざらつきが少なく好ましい補正状態を示している。したがって、ユーザは、1から5までのズレ調整番号の中からズレ調整番号「4」をコンピュータ100に入力する。その際のユーザーインターフェイス画面は、ズレ調整番号の選択肢が異なる以外は、図12と同様である。そして、「低解像度モード」の場合と同様に、ズレ調整番号「4」がプリンタ20内のPROM43(図4参照)に格納される。
なお、これらのグレーパッチT21〜T25は、互いに等しい色を再現するものであり、同一の印刷データに基づいて形成される。グレーパッチT21〜T25のもととなる印刷データは、一様な濃度の画素の集合を表すカラー画像データを、複数のインク色のドットの記録状態を表すデータに変換したものである。この印刷データは、コンピュータ100内のハードディスク(記憶部)に格納されている。また、各グレーパッチT21〜T25は、実際の印刷で行われる副走査送りパターンで印刷される。
上記のようにグレーパッチを使用して調整値を決定すれば、その調整値は、淡シアン、淡マゼンタ、イエロについて好ましい調整値となる。そして、上記グレーパッチは小ドットおよび中ドットを使用して印刷されるので、決定された調整値は、小ドットおよび中ドットを使用する高解像度モードに関して最適な値となる。その結果、この調整値を使用して印刷を行えば、人間の肌などの中間色を印刷する際に粒状感(ざらつき)の少ない高品質な印刷を行うことができる。また、淡シアン、淡マゼンタ、イエロは特に粒状感が目立ちやすいので、これらの色について粒状感の少ない調整値を決定することができる結果、画像全体について比較的高品質な印刷を行うことができる。
なお、この実施例においては、グレーパッチの印刷は、淡シアンと淡マゼンタとイエロのインクで行ったが、使用するインクはこの組み合わせに限られるものではない。すなわち、カラー印刷において使用する有彩色インクが、マゼンタ、シアン、イエロの3色である場合は、その3色のインクを使用してグレーパッチの印刷を行うことができる。さらに、カラー印刷において使用する有彩色インクが、濃マゼンタ、濃シアン、イエロ、淡マゼンタ、淡シアンの5色である場合にも、イエロ、淡マゼンタ、淡シアンの3色に限らず、他の組み合わせのインクを使用してパッチを印刷してもよい。すなわち、印刷するカラーパッチは、それぞれ2種類以上のインクのドットを用いて形成された、互いに等しい色を再現するカラーパッチであれば、どのような色の組み合わせのものでもよい。
B6.調整値によるドット形成位置ずれの調整:
図14は、印刷時のずれ補正に関連する主要な構成を示すブロック図である。プリンタ20内のPROM43には、調整番号格納領域202と、調整値テーブル205とが設けられている。
調整番号格納領域202には、好ましい調整値を示すズレ調整番号が格納されている。調整値テーブル205は、図11および図13に示した位置ずれ検査用パターンにおける復路のドット記録位置のずれ量(すなわち調整値)とズレ調整番号との関係を格納したテーブルである。位置ずれ補正実行部210は、調整値テーブル205から調整値を読み出して、その調整値で復路におけるドット形成位置を補正する。具体的には、位置ずれ補正実行部210は、位置センサ39からキャリッジの原点位置の情報を受け取り、それに基づいてキャリッジの位置を計算する。そして、適切なキャリッジ位置(タイミング)でアクチュエータチップ91〜93がインク滴を吐出するよう、ヘッド駆動回路52の駆動信号補正部230を制御する。
前述したように、高解像度モードにおいては、調整値は、主走査方向の1/2880インチの整数倍に設定されているので、この記録位置(すなわち記録タイミング)も主走査方向の1/2880インチの単位で調整される。また、低解像度モードにおいては、調整値は、主走査方向の1/1440インチの整数倍に設定されているので、記録位置も主走査方向の1/1440インチの単位で調整される。また、ここでは復路で印刷されるドットを最小で1/2880インチずつずらして形成したが、各罫線、パッチ(図11および図13参照)を構成するドットをより細かい単位でずらしていくこととすれば、補正値もその単位の整数倍で設定することができる。すなわち、復路で印刷するドット位置のずらしの刻みを細かく設定すれば、より微妙な範囲で補正値を定めることができる。この刻みの最小値は、プリンタの制御上の制約によって決まる。
以上に説明したように、本実施例によれば、実際にプリンタで印刷する印刷モードに対応する位置ずれ検査用パターンを実際に印刷し、その印刷結果に基づいて、適切な調整値を決定することができる。そして、その調整値に基づいて、各印刷モードにおいて、主走査方向におけるドット形成位置ずれを補正することができる。
C.第2実施例:
図15は、他の態様における印刷時のずれ補正に関連する主要な構成を示すブロック図である。このブロック図の構成は、ヘッド駆動回路およびアクチュエータチップの構成以外は、図14のブロック図と同じである。この印刷装置は、淡マゼンタとイエロのノズル列を駆動するアクチュエータチップ93用に、他のアクチュエータチップとは別の独立のヘッド駆動回路52cを有している。このため、淡マゼンタLMとイエロYのインクの吐出タイミングを、他の色のインクに対してずらすことができる。他の点は、図14の印刷装置と同じである。
図14の印刷装置では、往路と復路におけるドット形成位置ずれの補正のみを行ったが、図15に示すような印刷装置においては、単方向印刷時の淡シアンLCと濃マゼンタMのドットの形成位置を、他のインクのドットの形成位置に対して調整することができる。そのような調整を行うための調整値を定めるには、次のようにする。すなわち、図13に示す位置ずれ検査用パターンの形成の際に、各パッチを主走査の往路または復路のみで形成する。そして、各パッチや画像片ごとに淡シアンLCと濃マゼンタMのドットの形成位置を少しずつ変えながら、パターンを形成する。その結果、最も印刷結果の品質のよいパッチや画像片を選択する。このような態様とすれば、単方向印刷時の各色のドットの形成位置ずれを調整することができるため、より印刷結果の品質を高めることができる。
D.第3実施例:
第1実施例では、低解像度モードでは2パスで主走査ライン1本を記録し、高い解像度モードでは4パスで主走査ライン1本を記録していた。しかし、1本の主走査ラインを記録する際のパス数を、低解像度モードと高解像度モードとで等しくすることもできる。第3実施例では、低解像度モード、高解像度モードともに2パスで1本の主走査ラインを記録する態様について説明する。第3実施例のプリンタは、原駆動信号の周期を変えられるようなヘッド駆動回路を備える。それ以外のハードウェア構成については、第1実施例と同様である。
図16は、各印刷モードにおける画素と原駆動信号ODRVの関係を示した説明図である。図16(a)〜(c)において左右方向に並んでいる四角は、画素を表している。図16(a)は、高解像度モードにおける画素と原駆動信号ODRVの関係を示した説明図である。第3実施例においては、高解像度モードにおけるキャリッジの搬送速度は、低解像度モードにおけるキャリッジの移動速度の1/2である。高解像度モードにおける原駆動信号ODRVの1周期の長さをTpとする。時間Tpの間にキャリッジが移動する距離をVshとする。主走査においては、時間Tpの間に大中小いずれかのインク滴を1個吐出することができるので、ドットの最短の間隔は、図16(a)下段に示すように、Vshである。なお、ここでは、大中小の各ドットの着弾位置のずれ(図7(b)〜(d))は無視するものとする。
復路においては、往路で記録されたドットの間にそれぞれドットが記録される。そして、往路と復路の2回の主走査によって、主走査ラインの全ての画素にドットを記録することができる。よって、高解像度モードにおいては、画素ピッチはVsh/2である。往路においては、図16(a)に示すように、主走査ライン中の一つおきの画素にドットを記録することになる。
図16(b)は、第1の低解像度モードにおける画素と原駆動信号ODRVの関係を示した説明図である。前述の通り、低解像度モードにおけるキャリッジの搬送速度は、高解像度モードにおけるキャリッジの移動速度の2倍である。このため、時間Tpの間にキャリッジが移動する距離をVslとすると、VslはVshの2倍である。駆動回路52は、時間Tpの間に大中小いずれかのインク滴を1個吐出することができるので、駆動回路52は、区間Vsl内に1個のドットを記録することができる。このため、第1の低解像度モードにおいて記録できるドットの最短の間隔は、図16(b)下段に示すように、Vslとなる。
なお、復路においては、往路で記録されたドットの間にそれぞれドットが記録される。そして、往路と復路の2回の主走査によって、主走査ラインの全ての画素にドットを記録することができる。よって、第1の低解像度モードにおいては、画素ピッチはVsl/2、すなわちVshである。高解像度モードにおける画素ピッチはVsh/2であったので、第1の低解像度モードにおける画素ピッチは、高解像度モードにおける画素ピッチの2倍である。すなわち、第1の低解像度モードの記録密度は高解像度モードの1/2である。このような態様としても、同一の原駆動信号ODRVに基づいて解像度の異なる印刷を実現することができる。
図16(c)は、第2の低解像度モードにおける画素と原駆動信号ODRVの関係を示した説明図である。第2の低解像度モードにおいては、第1の低解像度モードと同様、キャリッジの搬送速度は、高解像度モードにおけるキャリッジの移動速度の2倍である。一方、第2の低解像度モードにおいては、原駆動信号ODRV2の周期をTpの1/2倍のTp2としている。このため、駆動回路52は、区間Vsl内に2個のドットを記録することができる。しかし、第2の低解像度モードにおいては、図16(c)に示すように、原駆動信号ODRV2は1周期おきに0となる。このため、第2の低解像度モードにおいて記録できるドットの最短の間隔は、第1の低解像度モードと同様、Vslとなる。よって、第2の低解像度モードの記録密度は、第1の低解像度モードと同様、高解像度モードの1/2である。このような態様としても、同一の原駆動信号に基づいて解像度の異なる印刷を実現することができる。このように、同一の波形を有する原駆動信号であって、周期を変えて生成した原駆動信号も「同一の原駆動信号」であるものとする。なお、原駆動信号の周期を変えるのにともなって、原駆動信号の駆動電圧を変更する態様とすることもできる。すなわち、原駆動信号ODRVに対して、時間軸方向、および電圧について、所定の係数をかけて変形させた場合についても、「同一の(共通の)原駆動信号に基づく」に該当するものとする。
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施例では、高解像度モードでは、中ドットと小ドットのみが使用され、大ドットは使用されなかった。しかし、高解像度モードにおいて、大ドットを使用する態様とすることもできる。また、重量が異なる4種類以上のインク滴を使用して、4種類以上の大きさの異なるドットを、印刷モードに応じて使い分ける態様とすることもできる。すなわち、高解像度モードは、低解像度モードと共通の原駆動信号に基づいて、少なくとも最も重量の小さいインク滴を使用して、主走査の方向について低解像度モードのドット記録密度よりも高密度のドット記録密度で印刷媒体上にドットを記録するモードであればよい。これに対して、低解像度モードは、最も重量の小さいインク滴を使用せずに、それ以外のインク滴を使用して、主走査の方向について所定のドット記録密度で印刷媒体上にドットを記録するモードであればよい。
上記のように、高解像度モードにおいても、形成可能なドットのうち最も大きなドットを使用する態様とすれば、高解像度モードにおいて所定の領域を効率的に塗りつぶすことができる。また、4種類以上の大きさの異なるドットを、印刷モードに応じて使い分ける態様とすれば、各モードにおいてより多段階の大きさのドットを使用することができ、より印刷の品質を高めることができる。
さらに、低解像度モードにおいても、最も重量の小さいインク滴を使用する態様とすることもできる。すなわち、本発明は、以下のような第1のドット記録モードと第2のドット記録モードとによる印刷を行う態様とすることができる。第1のドット記録モードにおいては、主走査の方向について第1のドット記録密度で印刷媒体上にドットを記録する。そして、第2のドット記録モードにおいては、第1のドット記録モードと共通の原駆動信号に基づいて吐出されるインク滴を使用して、主走査の方向について第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で印刷媒体上にドットを記録する。
(2)上記実施例では、主走査の往路と復路におけるドット形成位置ずれの調整をするに当たって、復路の記録位置(または記録タイミング)を調整することによって位置ずれを補正していたが、往路の記録位置を調整することによって位置ずれを補正するようにしてもよい。また、往路と復路の記録位置の両方を調整することによって位置ずれを補正するようにしてもよい。すなわち、一般には、往路と復路の記録位置の少なくとも一方を調整することによって位置ずれを補正するようにすればよい。
(3)上記実施例では、低解像度モード用の検査用パターンとして、罫線パターンを使用し(図12参照)、高解像度モード用の検査用パターンとして、パッチパターンを使用していた(図13参照)。しかし、低解像度モード用の検査用パターンと高解像度モード用の検査用パターンの両方において、罫線パターンを使用することもでき、低解像度モード用の検査用パターンと高解像度モード用の検査用パターンの両方において、パッチパターンを使用することもできる。
ただし、低解像度モード用の検査用パターンとして罫線パターンを使用すれば、文字や線などの品質を十分高められるような調整値を、パッチパターンを使用する場合に比べて短時間で定めることができる。そして、高解像度モード用の検査用パターンとしてパッチパターンを使用すれば、罫線パターンを使用する場合に比べて、中間調などの印刷の品質をより高めることができる調整値を定められる。
(4)上記実施例においては、高解像度モード用の位置ずれ検査用パターンT20は、高解像度モードで使用される中ドットと小ドットで形成されていた。この検査用パターンT20を形成する際に使用される各種のドットの記録割合は、そのモードにおける実際の印刷において各ドットが使用される割合に基づいて定めることができる。例えば、第1実施例の高解像度モードによる実際の印刷において中ドットと小ドットの使用割合が平均で2:1である場合には、検査用パターンT20も中ドットと小ドットの使用割合が2:1となるようにして形成することが好ましい。
また、上記実施例においては、低解像度モード用の位置ずれ検査用パターンT10は中ドットのみで形成されていた。しかし、低解像度モード用の位置ずれ検査用パターンを中ドットと大ドットで形成してもよい。すなわち、低解像度モード用の位置ずれ検査用パターンは、低解像度モードにおいて使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴を使用して形成されればよい。また、低解像度モードと高解像度モードのそれぞれの検査用パターンを形成する際には、それぞれのモードで最もよく使用されるドットを最もよく使用して、検査用パターンを形成することが好ましい。低解像度モードと高解像度モードとにおいては、それぞれの最もよく使用されるインク滴の種類は異なる場合が多い。そのような場合には、それぞれの検査用パターンを形成する際にもっともよく使用されるインク滴の種類も異なることになる。
このようにして形成された検査用パターンT20に基づいて調整値を定めれば、実際の印刷結果の品質をより高めることができる。なお、ある画像を印刷する際の各種ドットの使用頻度は、各種ドットを記録するための駆動信号(図7(b)〜(d)参照)が何回使用されたか、で計量することができる。そして、中ドット、小ドットなどの各種ドットの使用割合は、各種ドットの使用頻度の比で計算することができる。
なお、同一の原駆動信号を使用して解像度の異なるモードで印刷を行う場合には、各モードにおいて最も多く使用されるドットの種類が異なることが多い。したがって、各モード用の検査用パターンを印刷する際に、それぞれ最も多く使用するドットを使用して検査用パターンを印刷する態様とすることも好ましい。
(5)上記実施例では、印刷モードと印刷用紙の関係については特に言及しなかった。各印刷モードは、印刷媒体単位で切り換えられるものとしてもよいし、印刷媒体の途中で切り換えられるものとしてもよい。例えば、写真と文章とがともに掲載されている書面を印刷する際には、文章部分を低解像度モードで印刷し、画像部分を高解像度モードで印刷する態様とすることができる。このような態様とすれば、文章部分については高速に印刷することができ、画像部分については高品質に印刷することができる。
(6)図17は、パッチの色を選択する際にコンピュータ100のディスプレイに表示されるユーザーインターフェイス画面である。図17には、8色のサンプル用カラーパッチSPが画面上に表されている。上記実施例では、高解像度モード用の調整値を定めるための各パッチは、あらかじめ定められた1色を再現するものであった。しかし、各パッチが再現する色は、図17のようなユーザーインターフェイス画面を通じて、ユーザが選択する態様とすることもできる。このような態様においては、特定の色を多用しているイラストを印刷する場合などに、その色に類似した色を選択して調整値を定めれば、そのイラストについて高品質な印刷を行うことができる。
(7)図18は、高解像度モード用の位置ずれ検査用パターンT30の一例を示す模式図である。この位置ずれ検査用パターンT30を構成する各画像片T31〜T35は、グレーパッチT21〜T25のように単一色を再現するものではなく、あらかじめ用意された写真画像データを再現するものである。位置ずれ検査用パターンは、あらかじめ定められた1色を再現するパッチではなく、図18に示すように、あらかじめ用意された写真画像データを再現するものとすることもできる。このような態様とすれば、ユ−ザは、粒状感の少ない写真画像を印刷できる調整値を決定しやすい。そして、各画像片を実際の印刷の際と同様に各ドットに分解して印刷することで、各モードにおける中ドット、小ドットなどの各種ドットの使用割合を反映して、検査用パターンT30を印刷することができる。
(8)図19は、高解像度モード用の検査用パターンとして使用される画像を選択する際に、コンピュータ100のディスプレイに表示されるユーザーインターフェイス画面である。検査用パターンを印刷する際に、実際に印刷したい画像の一部をユーザが指定して、その画像片を検査用パターンとして印刷する態様とすることもできる。ユーザは、図19(a)に示すように、破線で示す領域を検査用パターンとして指定する。すると、図19(b)に示す画面が表示される。図19(b)に示す画面で「スタート」アイコンをクリックすると、領域が確定され、確定された画像片が検査用パターンとして印刷される。このような態様とすれば、ユーザが実際に印刷したい画像のうちで、もっとも品質を高めたい部分やもっとも粒状感が目立つ部分について、特に印刷品質を高められるように調整値を決定することができる。よって、高品質でユーザの満足感の高い印刷結果を得ることができる。
(9)上記各実施例では、インクジェットプリンタについて説明したが、本発明はインクジェットプリンタに限らず、一般に、印刷ヘッドを用いて印刷を行う種々の印刷装置に適用可能である。また、本発明は、インク滴を吐出する方法や装置に限らず、他の手段でドットを記録する方法や装置にも適用可能である。
(10)上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図14および図15に示したヘッド駆動回路52,52a〜52cの一部の機能をソフトウェアによって実現することも可能である。
本発明の一実施形態の手続きの流れを示すフローチャート。 プリンタ20を備えた印刷システムの概略構成図。 インクジェットプリンタ20の概略構成図。 制御回路40を中心としたプリンタ20の構成を示すブロック図。 印刷ヘッド28に設けられた複数列のノズルを示す説明図。 ヘッド駆動回路52(図4)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図。 1画素区間分の原駆動信号および駆動信号を示す説明図。 低解像度モードにおける主走査ラインの記録のし方を示す説明図。 高解像度モードにおける主走査ラインの記録のし方を示す説明図。 双方向印刷時の位置ずれを示す説明図。 低解像度モード用の位置ずれ検査用罫線パターンの例を示す説明図。 コンピュータに調整値を入力する際のユ−ザインターフェイス画面を示す説明図。 高解像度モード用の位置ずれ検査用パターンT20の一例を示す模式図。 印刷時のずれ補正に関連する主要な構成を示すブロック図。 他の態様における印刷時のずれ補正に関連する主要な構成を示すブロック図。 各印刷モードにおける画素と原駆動信号の関係を示した説明図。 パッチの色を選択する際にコンピュータ100のディスプレイに表示されるユーザーインターフェイス画面。 高解像度モード用の位置ずれ検査用パターンT30の一例を示す模式図。 高解像度モード用の検査用パターンとして使用される画像を選択する際に、コンピュータ100のディスプレイに表示されるユーザーインターフェイス画面。
符号の説明
20...インクジェットプリンタ
22...紙送りモータ
24...キャリッジモータ
28...印刷ヘッド
30...キャリッジ
32...プリンタ
32...操作パネル
34...摺動軸
36...駆動ベルト
38...プーリ
39...位置センサ
40...制御回路
41...CPU
41a...パターン形成部
43...PROM
44...RAM
50...I/F専用回路
52,52a〜52c...ヘッド駆動回路
54...モータ駆動回路
56...コネクタ
60...印刷ヘッドユニット
91〜93...アクチュエータチップ
100...ホストコンピュータ
102...CPU
102a...プリンタドライバ
102b...画像データ生成部
102c...モード識別コマンド生成部
102d...パターン形成部
102e...ユーザーインターフェイス部
110...液晶ディスプレイ
120...キーボード
130...マウス
202...調整番号格納領域
204...マスク回路
205...調整値テーブル
206...原駆動信号発生部
210...補正実行部
230...駆動信号補正部
CS...カーソル
CVk...合成速度ベクトル
DRV...駆動信号
Ipb...大インク滴
Ipm...中インク滴
Ips...小インク滴
K...ブラック小インク滴
LC...淡シアン小インク滴
LM...淡マゼンタ小インク滴
M...濃マゼンタ小インク滴
ODRV...原駆動信号
P...印刷用紙
PRT...シリアル印刷信号
PS...印刷信号
SP...サンプル用カラーパッチ
T1...縦罫線対
T10...検査用罫線パターン
T11,T12...縦罫線
T20...検査用パターン
T21〜T25...グレーパッチ
T30...検査用パターン
T31〜T35...画像片
Tp...1画素分の原駆動信号の時間区間
Vk...吐出速度
Vs...主走査速度ベクトル
Vsh...高解像度モードにおける印刷ヘッドの時間Tpでの移動距離
Vsl...低解像度モードにおける印刷ヘッドの時間Tpでの移動距離
W1...小ドットパルス
W2...中ドットパルス
W3...大ドットパルス
Y...イエロノズル列
n...ノズル
n1〜n48...ノズル

Claims (21)

  1. ノズルからインク滴を吐出させ、印刷媒体上に着弾させてドットを形成することにより印刷を行う印刷装置であって、
    ノズルを備えた印刷ヘッドと、
    原駆動信号に基づいて前記ノズルから重量が異なる複数種類のインク滴を吐出させることができるヘッド駆動部と、
    前記印刷ヘッドと、前記印刷媒体と、の少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査駆動部と、
    前記各部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記主走査の方向について第1のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第1のドット記録モードと、
    前記第1のドット記録モードと共通の前記原駆動信号に基づいて吐出される前記インク滴を使用して、前記主走査の方向について前記第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第2のドット記録モードと、を備える印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記制御部は、
    前記第1のドット記録モードにおいて、第1の調整値に基づいて前記主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行い、
    前記第2のドット記録モードにおいて、第2の調整値に基づいて前記主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行う、印刷装置。
  3. 請求項2記載の印刷装置であって、
    前記制御部は、さらに、
    前記第1のドット記録モードにおいて使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴を使用して第1の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷し、前記第2のドット記録モードにおいて使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴であって、前記第1の位置ずれ検査用パターンを印刷したインク滴以外のインク滴を使用して第2の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する検査用パターン形成部と、
    前記印刷された第1および第2の位置ずれ検査用パターンに基づいてユーザによってそれぞれ決定された、前記第1の調整値および前記第2の調整値を受け取ることができるユーザーインターフェイス部と、を備える印刷装置。
  4. 請求項2記載の印刷装置であって、さらに、
    前記第1の調整値および前記第2の調整値を記憶する不揮発性メモリを備える、印刷装置。
  5. ノズルからインク滴を吐出させ、印刷媒体上に着弾させてドットを形成することにより印刷を行う印刷装置であって、
    ノズルを備えた印刷ヘッドと、
    原駆動信号に基づいて前記ノズルから重量が異なる複数種類のインク滴を吐出させることができるヘッド駆動部と、
    前記印刷ヘッドと、前記印刷媒体と、の少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査駆動部と、
    前記各部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記重量が異なる複数種類のインク滴のうち最も重量の小さいインク滴を使用せずに、前記最も重量の小さいインク滴以外のインク滴を使用して、前記主走査の方向について第1のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第1のドット記録モードと、
    前記第1のドット記録モードと共通の前記原駆動信号に基づいて吐出される前記最も重量の小さいインク滴を少なくとも使用して、前記主走査の方向について前記第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第2のドット記録モードと、を備える印刷装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記制御部は、
    前記第1のドット記録モードにおいて、n回(nは1以上の整数)の前記主走査で一つの主走査ライン内のすべての画素にドットを記録することができ、
    前記第2のドット記録モードにおいて、m回(mはnより大きい整数)の前記主走査で一つの主走査ライン内のすべての画素にドットを記録することができる、印刷装置。
  7. 請求項5記載の印刷装置であって、
    前記制御部は、
    前記第1のドット記録モードにおいて、第1の調整値に基づいて前記主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行い、
    前記第2のドット記録モードにおいて、第2の調整値に基づいて前記主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行う、印刷装置。
  8. 請求項7記載の印刷装置であって、
    前記制御部は、さらに、
    前記第1のドット記録モードにおいて使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴を使用して第1の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷し、少なくとも前記最も重量の小さいインク滴を使用して第2の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する検査用パターン形成部と、
    前記印刷された第1および第2の位置ずれ検査用パターンに基づいてユーザによってそれぞれ決定された、前記第1の調整値および前記第2の調整値を受け取ることができるユーザーインターフェイス部と、を備える印刷装置。
  9. 請求項7記載の印刷装置であって、
    前記検査用パターン形成部は、前記第2の位置ずれ検査用パターンを印刷する際には、前記第1の位置ずれ検査用パターンを印刷する際に最も多く使用する第1の種類のインク滴とは異なる第2の種類のインク滴を最も多く使用して、前記第2の位置ずれ検査用パターンを印刷する印刷装置。
  10. 請求項7記載の印刷装置であって、さらに、
    前記第1の調整値および前記第2の調整値を記憶する不揮発性メモリを備える、印刷装置。
  11. 印刷媒体上にインク滴を着弾させてドットを形成することにより印刷を行う方法であって、
    (a)一つの原駆動信号に基づいて吐出させることができ互いに重量が異なる複数種類のインク滴の少なくとも一部のインク滴を使用して、前記主走査の方向について第1のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する工程と、
    (b)前記工程(a)における前記原駆動信号と共通の原駆動信号に基づいて吐出される前記複数種類のインク滴の少なくとも一部を使用して、前記主走査の方向について前記第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する工程と、を備える印刷方法。
  12. 請求項11記載の印刷方法であって、
    前記工程(a)は、第1の調整値に基づいて前記主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行う工程を含み、
    前記工程(b)は、第2の調整値に基づいて前記主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行う工程を含む、印刷方法。
  13. 請求項12記載の印刷方法であって、さらに、
    (c)前記工程(a)において使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴を使用して第1の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する工程と、
    (d)前記第1の位置ずれ検査用パターンに基づいてユーザによってそれぞれ決定された、前記第1の調整値を記憶する工程と、
    (e)前記工程(b)において使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴であって、前記第1の位置ずれ検査用パターンを印刷したインク滴以外のインク滴を使用して第2の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する工程と、
    (f)前記第2の位置ずれ検査用パターンに基づいてユーザによってそれぞれ決定された、前記第2の調整値を記憶する工程と、を含む、印刷方法。
  14. 印刷媒体上にインク滴を着弾させてドットを形成することにより印刷を行う方法であって、
    (a)一つの原駆動信号に基づいて吐出させることができ互いに重量が異なる複数種類のインク滴のうち最も重量の小さいインク滴を使用せずに、前記最も重量の小さいインク滴以外のインク滴を使用して、前記主走査の方向について第1のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する工程と、
    (b)少なくとも前記最も重量の小さいインク滴を使用して、前記主走査の方向について前記第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する工程と、を備える印刷方法。
  15. 請求項11ないし14のいずれかに記載の印刷方法であって、
    前記工程(a)は、n回(nは1以上の整数)の前記主走査で一つの主走査ライン内のすべての画素へのドットの記録を完了する工程を含み、
    前記工程(b)は、m回(mはnより大きい整数)の前記主走査で一つの主走査ライン内のすべての画素へのドットの記録を完了する工程を含む、印刷方法。
  16. 請求項14記載の印刷方法であって、
    前記工程(a)は、第1の調整値に基づいて前記主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行う工程を含み、
    前記工程(b)は、第2の調整値に基づいて前記主走査の方向のドット形成位置ずれを調整して印刷を行う工程を含む、印刷方法。
  17. 請求項16記載の印刷方法であって、さらに、
    (c)前記工程(a)において使用するインク滴のうち少なくとも一種類のインク滴を使用して第1の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する工程と、
    (d)前記第1の位置ずれ検査用パターンに基づいてユーザによってそれぞれ決定された、前記第1の調整値を記憶する工程と、
    (e)少なくとも前記最も重量の小さいインク滴を使用して第2の位置ずれ検査用パターンを印刷媒体上に印刷する工程と、
    (f)前記第2の位置ずれ検査用パターンに基づいてユーザによってそれぞれ決定された、前記第2の調整値を記憶する工程と、を含む、印刷方法。
  18. 請求項16記載の印刷方法であって、
    前記工程(e)は、前記第1の位置ずれ検査用パターンを印刷する際に最も多く使用する第1の種類のインク滴とは異なる第2の種類のインク滴を最も多く使用して、前記第2の位置ずれ検査用パターンを印刷する工程を含む、印刷方法。
  19. ノズルからインク滴を吐出させ、印刷媒体上に着弾させてドットを形成することにより印刷を行う印刷装置に供給する印刷データを生成する印刷制御装置であって、
    前記印刷装置は、
    ノズルを備えた印刷ヘッドと、
    原駆動信号に基づいて前記ノズルからインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、
    前記印刷ヘッドと、前記印刷媒体と、の少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査駆動部と、を備え、
    前記印刷制御装置は、
    前記印刷装置に印刷させる画像を表す画像データであって、前記印刷データに含まれる画像データを生成する画像データ生成部と、
    前記印刷データに含まれるモード識別コマンドを生成するモード識別コマンド生成部と、を備え、
    前記モード識別コマンドは、
    前記主走査の方向について第1のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第1のドット記録モードと、
    前記第1のドット記録モードと共通の前記原駆動信号に基づいて、前記インク滴を使用して、前記主走査の方向について前記第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第2のドット記録モードと、を含む複数のドット記録モードのうちのいずれのドット記録モードで前記画像データを印刷すべきかを示すコマンドである、印刷制御装置。
  20. ノズルからインク滴を吐出させ、印刷媒体上に着弾させてドットを形成することにより印刷を行う印刷部を備えたコンピュ−タに印刷を行わせるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    前記印刷部は、
    ノズルを備えた印刷ヘッドと、
    原駆動信号に基づいて前記ノズルから重量が異なる複数種類のインク滴を吐出させることができるヘッド駆動部と、
    前記印刷ヘッドと、前記印刷媒体と、の少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査駆動部と、を備え、
    前記記録媒体は、
    前記主走査の方向について第1のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第1のドット記録モードで印刷を実行する機能と、
    前記第1のドット記録モードと共通の前記原駆動信号に基づいて吐出される前記インク滴を使用して、前記主走査の方向について前記第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第2のドット記録モードで印刷を実行する機能と、を前記コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録している、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  21. ノズルからインク滴を吐出させ、印刷媒体上に着弾させてドットを形成することにより印刷を行う印刷部を備えたコンピュ−タに、印刷を行わせるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    前記印刷部は、
    ノズルを備えた印刷ヘッドと、
    原駆動信号に基づいて前記ノズルからインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、
    前記印刷ヘッドと、前記印刷媒体と、の少なくとも一方を移動させる主走査を行う主走査駆動部と、を備え、
    前記記録媒体は、
    前記印刷部に印刷させる画像を表す画像データであって、前記印刷データに含まれる画像データを生成する機能と、
    前記印刷データに含まれるモード識別コマンドを生成する機能と、を前記コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録しており、
    前記モード識別コマンドは、
    前記主走査の方向について第1のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第1のドット記録モードと、
    前記第1のドット記録モードと共通の前記原駆動信号に基づいて、前記インク滴を使用して、前記主走査の方向について前記第1のドット記録密度よりも高密度の第2のドット記録密度で前記印刷媒体上にドットを記録する第2のドット記録モードと、を含む複数のドット記録モードのうちのいずれのドット記録モードで前記画像データを印刷すべきかを示すコマンドである、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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