JP2008080725A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度なセンサを用いなくとも、記録ヘッドのノズルに供給する電気エネルギの閾値を高精度に測定することが可能なパッチを形成できるようにする。
【解決手段】記録ヘッドH1001のノズルに供給する電気エネルギを段階的に変化させ、各段階毎にノズルのインク滴の吐出状態を測定するためのパッチの記録を行う。パッチの記録は、記録ヘッドのノズル列を複数のノズル群Ngに分割し、記録媒体に設定される複数のパッチ形成領域それぞれに対し、複数のノズル群Ngの中の少なくとも1つのノズル群Ngを複数回走査させてパッチTの記録を行う。
【選択図】図18

Description

本発明は、インクを吐出させることによって記録媒体に記録を行なうインクジェット記録装置に関するものである。
記録ヘッドからインク滴を吐出して、記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置は、記録の高速化、高密度記録およびカラー画像の記録が容易であり、記録動作時の静粛性に優れるという利点を有している。
インクジェット記録ヘッドは、複数のインク吐出口と、各インク吐出口に連通する液路などが設けられ、さらに各液路には、液路内に存在するインクをインク吐出口から吐出させるための記録素子が設けられている。この記録素子は、電気エネルギをインクを吐出するための吐出エネルギに変換するエネルギ変換素子によって構成される。現在、主に用いられている記録素子としては、例えば、電気エネルギをインクを吐出するための熱エネルギに変換する電気熱変換素子(ヒータ)や、電気エネルギーをインクを吐出するための機械的エネルギに変換する電気機械変換素子(ピエゾ)などがある。
電気熱変換体の発熱を利用してインク吐出口からインクを吐出させる方式の記録ヘッドは、ヒータに電圧を印加して発熱させ、その熱エネルギによってインク流路内のインクを発泡させ、その発泡エネルギを利用してインク吐出口からインクを吐出させる。以下、インク吐出口、インク吐出口に連通するインク流路、およびインク流路内に配置された記録素子などを含む部分を、本明細書においてはノズルと称す。
このような記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置では、ヒータやピエゾなどの記録素子にバラツキが生じ易く、そのバラツキを考慮せずに全ての記録素子に一定のエネルギを投入すると、吐出されるインク滴のインク量に大小のバラツキが生じる。また、各記録素子の寿命に差が生じる虞もある。このため、従来は記録ヘッドを工場から出荷する際に、最適な吐出エネルギの閾値を測定し、その閾値に基づいて最適な吐出エネルギの値を、記録ヘッド内に格納されたメモリに書き込むことが行われている。これにより、ユーザの使用時には記録素子に最適な駆動エネルギを与えて、インク吐出を行うことが可能となる。
しかし、一般に、ユーザに供給される各インクジェット記録装置の電源にはバラツキが存在し、記録ヘッドに供給する駆動電圧にもバラツキがある。このため、記録ヘッドの製造時に書き込まれた最適な駆動エネルギの値が、駆動電圧のバラツキによってずれる虞れがある。そこで、インクジェット記録装置の本体側でのバラツキを解消するための技術として、特許文献1,2に開示されたものがある。
この特許文献1,2には、次のような技術が開示されている。すなわち、各特許文献1,2では、ヒータの駆動エネルギを段階的に変化させながら、各段階毎に測定用のパッチを形成する。形成されたパッチはセンサによって濃度が読み取られ、かすれの生じたパッチを形成する際に供給された駆動エネルギを閾値エネルギとして設定する。その後、閾値エネルギに基づきヒータに供給すべき最適な駆動エネルギを設定する。
特開2001−239658号公報 特開2000−225698号公報
しかしながら、特許文献1,2に開示の技術には、次のような課題がある。
すなわち、ノズルの高密度化、多ノズル化が進む現在のインクジェット記録ヘッドでは、測定パターンの形成時に同時に駆動されるノズル数が増大する傾向にある。その結果、ヒータへの電流供給線路に大きな電圧降下が発生し、ヒータの駆動電圧に変動を来たすことがある。その場合、ヒータに供給すべき駆動エネルギの最適値を正確に判定することは困難になる。
これに対し、同時に駆動するノズル数を減らし、電圧降下が起きにくい状態で測定パターンを形成すると、使用するノズル数が少ないため、測定パターンを形成するドット数が減少し、パッチの濃度が低下する。パッチの濃度が低下すると、パッチがかすれて行くまでの濃度変化が緩慢になるため、検出精度の低い通常のセンサでかすれの判定を行うと、判定結果に大きな誤差を生じる虞がある。すなわち、パッチにかすれが生じた時の駆動エネルギに近い駆動エネルギで記録された適正なパターンと、かすれが生じたパターンとの間に濃度差が殆どなくなる。このため、適正なパターンをかすれが生じたパターンとして誤判定してしまう虞がある。このような問題を回避すべく高精度なセンサを用いることも考えられるが、センサが高価なものとなるため、記録装置のコスト上昇を招くこととなる。
本発明は、上記課題に鑑み、特に高精度なセンサを用いなくとも、記録ヘッドのノズルに供給する電気エネルギの閾値を高精度に測定することが可能なインクジェット記録装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、記録ヘッドの記録素子を駆動して記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置であって、複数の駆動条件に基づいて前記記録素子を駆動することで、前記複数の駆動条件に対応した複数のパッチを前記記録媒体に記録するパッチ記録手段と、前記複数のパッチに基づいて、前記複数の駆動条件の中から使用すべき駆動条件を決定する手段とを備え、前記パッチ記録手段は、前記複数のパッチ夫々を前記記録ヘッドの複数回の走査で記録することを特徴とする。
また、本発明は、記録ヘッドの記録素子に電気エネルギを供給してインクを吐出させることにより、記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録素子に供給する電気エネルギを段階的に変化させて、各段階に対応するパッチを前記記録媒体上に記録するパッチ記録手段と、前記パターン記録手段により記録された前記各段階に対応するパッチを読取るためのセンサと、前記センサによる読取り結果に基づいて、前記記録素子に供給すべき電気エネルギを決定する手段とを備え、前記パッチ記録手段は、前記各段階に対応するパッチ夫々を、前記記録ヘッドの複数回の走査で記録することを特徴とする。
本発明は、記録ヘッドを複数回の走査させることによって駆動条件(電気エネルギ、駆動電圧、駆動パルス幅等)決定用のパッチを形成するため、電源電圧の変動などを抑えつつ高濃度のパッチを形成することができる。このため、装置固有のバラツキを考慮した駆動条件(電気エネルギ、駆動電圧、駆動パルス幅等)の決定を高い精度で行うことが可能となる
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
1.基本構成
1.1 記録システムの概要
図1は、本発明の実施形態で適用する記録システムにおける画像データ処理の流れを説明するための図である。この記録システムJ0011は、記録すべき画像を示す画像データの生成やそのデータ生成のためのUI(ユーザインタフェース)の設定等を行うホスト装置J0012を具える。またこのホスト装置J0012で生成された画像データに基づいて記録媒体に記録を行う記録装置J0013を具える。記録装置J0013は、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、レッド(R)、グリーン(G)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、グレー(Gray)の10色インクによって記録を行う。そのために、これら10色のインクを吐出する記録ヘッドH1001が用いられる。これら10色のインクは、色材として顔料を含む顔料インクである。
ホスト装置J0012のオペレーティングシステムで動作するプログラムとしてアプリケーションやプリンタドライバがある。アプリケーションJ0001は記録装置で記録するための画像データを作成する処理を実行する。この画像データもしくはその編集等がなされる前のデータは種々の媒体を介してPCに取り込むことができる。本実施形態のホスト装置は、まずデジタルカメラで撮像した例えばJPEG形式の画像データをCFカードによって取り込むことができる。また、スキャナで読み取った例えばTIFF形式の画像データやCD−ROMに格納される画像データをも取り込むことができる。さらには、インターネットを介してウェブ上のデータを取り込むことができる。これらの取り込まれたデータは、ホスト装置のモニタに表示されてアプリケーションJ0001を介した編集、加工等がなされ、例えばsRGB規格の画像データR、G、Bが作成される。ホスト装置J0012のモニタに表示されるUI画面において、ユーザは、記録に使用する記録媒体の種類や記録の品位等の設定を行うと共に記録指示を出す。この記録指示に応じて画像データR、G、Bがプリンタドライバに渡される。
プリンタドライバはその処理として、前段処理J0002、後段処理J0003、γ補正J0004、ハーフトーニングJ0005および記録データ作成J0006を有している。以下、プリンタドライバで行われる各処理J0002〜J0006について簡単に説明する。
(A)前段処理
前段処理J0002は色域(Gamut)のマッピングを行う。本実施形態では、sRGB規格の画像データR、G、Bによって再現される色域を、記録装置J0013によって再現される色域内に写像するためのデータ変換を行う。具体的には、R、G、Bのそれぞれが8ビットで表現された256階調の画像データR、G、Bを、3次元LUTを用いることにより、記録装置J0013の色域内の8ビットデータR、G、Bに変換する。
(B)後段処理
後段処理J0003では、上記色域のマッピングがなされた8ビットデータR、G、Bに基づき、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせに対応した8ビット・10色の色分解データY、M、Lm、C、Lc、K1、K2、R、G、Grayを求める。本実施形態では、この処理は前段処理と同様3次元LUTに補間演算を併用して行う。
(C)γ処理
γ補正J0004は、後段処理J0003によって求められた色分解データの各色のデータごとにその濃度値(階調値)変換を行う。具体的には、記録装置J0013の各色インクの階調特性に応じた1次元LUTを用いることにより、上記色分解データがプリンタの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
(D)ハーフトーニング
ハーフトーニングJ0005は、γ補正がなされた8ビットの色分解データY、M、Lm、C、Lc、K1、K2、R、G、Grayそれぞれについて4ビットのデータに変換する量子化を行う。本実施形態では、誤差拡散法を用いて256階調の8ビットデータを9階調の4ビットデータに変換する。この4ビットデータは、記録装置におけるドット配置のパターン化処理における配置パターンを示すためのインデックスとなるデータである。
(E)記録データの作成処理
プリンタドライバで行う処理の最後には、記録データ作成処理J0006によって、上記4ビットのインデックスデータを内容とする記録画像データに記録制御情報を加えた記録データを作成する。
図2はかかる記録データの構成例を示した図である。記録データは、記録の制御を司る記録制御情報および記録すべき画像を示す記録画像データ(上述の4ビットのインデックスデータ)で構成されている。記録制御情報は、「記録媒体情報」、「記録品位情報」、および給紙方法等のような「その他制御情報」から構成されている。記録媒体情報には、記録の対象となる記録媒体の種類が記述されており、普通紙、光沢紙、はがき、プリンタブルディスクなどのうち、いずれか1種類の記録媒体が規定されている。記録品位情報には、記録の品位が記述されており、「きれい」、「標準」、「はやい」等のうち、いずれか1種の品位が規定されている。なお、これらの記録制御情報は、ホスト装置J0012のモニタおけるUI画面にてユーザが指定した内容に基づいて形成されるものである。また、記録画像データは、前述のハーフトーン処理J0005によって生成された画像データが記述さているものとする。以上のようにして生成された記録データは、記録装置J0013へ供給される。
記録装置J0013は、ホスト装置J0012から供給された当該記録データに対して、次に述べるドット配置パターン化処理J0007およびマスクデータ変換処理J0008を行う。
(F)ドット配置パターン化処理
上述したハーフトーン処理J0005では、256値の多値濃度情報(8ビットデータ)を9値の階調値情報(4ビットデータ)まで階調レベル数を下げている。しかし、実際に記録装置J0013が記録できるデータは、インクドットを記録するか否かの2値データ(1ビットデータ)である。そこで、ドット配置パターン化処理J0007では、ハーフトーン処理J0005からの出力値である階調レベル0〜8の4ビットデータで表現される各画素ごとに、その画素の階調値(レベル0〜8)に対応したドット配置パターンを割当てる。これにより1画素内の複数のエリア各々にインクドットの記録の有無(ドットのオン・オフ)を定義し、1画素内の各エリアごとに「1」または「0」の1ビットの2値データを配置する。ここで、「1」はドットの記録を示す2値データであり、「0」は非記録を示す2値データである。
図3は、本実施形態のドット配置パターン化処理で変換する、入力レベル0〜8に対する出力パターンを示している。図の左に示した各レベル値は、ホスト装置側のハーフトーン処理部からの出力値であるレベル0〜レベル8に相当している。右側に配列した縦2エリア×横4エリアで構成される領域は、ハーフトーン処理で出力される1画素の領域に対応するものである。また、1画素内の各エリアは、ドットのオン・オフが定義される最小単位に相当するものである。なお、本明細書において「画素」とは、階調表現可能な最小単位のことであり、複数ビットの多値データの画像処理(上記前段、後段、γ補正、ハーフトーニング等の処理)の対象となる最小単位である。
図において、丸印を記入したエリアがドットの記録を行うエリアを示しており、レベル数が上がるに従って、記録するドット数も1つずつ増加している。本実施形態においては、最終的にこのような形でオリジナル画像の濃度情報が反映されていることになる。
(4n)〜(4n+3)は、nに1以上の整数を代入することにより、記録すべき画像データの左端からの横方向の画素位置を示している。その下に示した各パターンは、同一の入力レベルにおいても画素位置に応じて互いに異なる複数のパターンが用意されていることを示している。すなわち、同一のレベルが入力された場合にも、記録媒体上では(4n)〜(4n+3)に示した4種類のドット配置パターンが巡回されて割当てられる構成となっているのである。
図3においては、縦方向を記録ヘッドの吐出口が配列する方向、横方向を記録ヘッドの走査方向としている。このように同一レベルに対して複数の異なるドット配置で記録できる構成にしておくことは、ドット配置パターンの上段に位置するノズルと下段に位置するノズルとで吐出回数を分散させたり、記録装置特有の様々なノイズを分散させるという効果がある。
以上説明したドット配置パターン化処理を終了した段階で、記録媒体に対するドットの配置パターンが全て決定される。
(G)マスクデータ変換処理
上述したドット配置パターン化処理J0007により、記録媒体上の各エリアに対するドットの有無は決定されたので、このドット配置を示す2値データを記録ヘッドH1001の駆動回路J0009に入力すれば、所望の画像を記録することが可能である。この場合、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を1回の走査によって完成させる、いわゆる1パス記録が実行される。しかし、ここでは、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を複数回の走査によって完成させる、いわゆるマルチパス記録の例をとって説明する。
図4は、マルチパス記録方法を説明するために、記録ヘッドおよび記録パターンを模式的に示したものである。本実施形態に適用される記録ヘッドH1001は実際には768個のノズルを有するが、ここでは簡単のため16個のノズルを有するものとして説明する。ノズルは、図のように第1〜第4の4つのノズル群に分割され、各ノズル群には4つずつのノズルが含まれている。マスクパターンP0002は、第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)で構成される。第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)は、それぞれ、第1〜第4のノズル群が記録可能なエリアを定義している。マスクパターンにおける黒塗りエリアは記録許容エリアを示し、白塗りエリアは非記録エリアを示している。第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)は互いに補完の関係にあり、これら4つのマスクパターンを重ね合わせると4×4のエリアに対応した領域の記録が完成される構成となっている。
P0003〜P0006で示した各パターンは、記録走査を重ねていくことによって画像が完成されていく様子を示したものである。各記録走査が終了するたびに、記録媒体は図の矢印の方向にノズル群の幅分(この図では4ノズル分)ずつ搬送される。よって、記録媒体の同一領域(各ノズル群の幅に対応する領域)は4回の記録走査によって初めて画像が完成される構成となっている。以上のように、記録媒体の各同一領域が複数回の走査で複数のノズル群によって形成されることは、ノズル特有のばらつきや記録媒体の搬送精度のばらつき等を低減させる効果がある。
図5は、本実施形態で実際に適用可能なマスクパターンの一例を示したものである。本実施形態で適用する記録ヘッドH1001は768個のノズルを有しており、4つのノズル群にはそれぞれ192個ずつのノズルが属している。マスクパターン大きさは、縦方向がノズル数と同等の768エリア、横方向は256エリアとなっており、4つのノズル群それぞれに対応する4つのマスクパターンで互いに補完の関係を保つような構成となっている。
ところで、本実施形態で適用するような、多数の小液滴を高周波数で吐出するようなインクジェット記録ヘッドにおいては、記録動作時に記録部近傍に気流が生じることが知られている。そして、この気流が特に記録ヘッドの端部に位置するノズルの吐出方向に影響を与えることが確認されている。よって、本実施形態のマスクパターンにおいては、図5からも判るように、各ノズル群また同一のノズル群の中でも、領域によって記録許容率の分布に偏りを持たせている。図5で示すように、端部のノズルの記録許容率を中央部の記録許容率よりも小さくした構成のマスクパターンを適用することにより、端部のノズルにより吐出されるインク滴の着弾位置ずれによる弊害を目立たなくすることが可能となるのである。
なお、マスクパターンで定められる記録許容率とは、次のような割合である。すなわちそれは、マスクパターンを構成する記録許容エリア(図4のマスクパターンP0002の黒塗りエリア)と非記録許容エリア(図4のマスクパターンP0002の白塗りエリア)の合計数に対する記録許容エリアの数の割合を百分率で表したものである。マスクパターンの記録許容エリアをM個、非記録許容エリアをN個とすると、そのマスクパターンの記録許容率(%)は、M÷(M+N)×100となる。
本実施形態においては、図5で示したマスクデータが記録装置本体内のメモリに格納してある。マスクデータ変換処理J0008において、当該マスクデータと上述したドット配置パターン化処理で得られた2値データとの間でAND処理をかけることにより、各記録走査での記録対象となる2値データが決定され、その2値データを駆動回路J0009へ送る。これにより、記録ヘッドH1001が駆動されて2値データに従ってインクが吐出される。
図1においては、前段処理J0002、後段処理J0003、γ処理J0004、ハーフトーニングJ0005および記録データ作成処理J0006がホスト装置J0012で実行される。また、ドット配置パターン化処理J0007およびマスクデータ変換処理J0008が記録装置J0013で実行される。しかし本発明は、この形態に限られるものではない。例えば、ホスト装置J0012で実行している処理J0002〜J0005の一部を記録装置J0013にて実行する形態であってもよいし、すべてをホスト装置J0012にて実行する形態であってもよい。あるいは、処理J0002〜J0008を記録装置J0013にて実行する形態であってもよい。
1.2 機構部の構成
本実施形態で適用する記録装置における各機構部の構成を説明する。本実施形態における記録装置本体は、各機構部の役割から、概して、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、フラットパス記録部、およびクリーニング部等に分類することができ、これらは外装部に収納されている。クリーニング部は、記録ヘッドのノズル面をクリーニングするものである。
図5は、本実施形態で適用する記録装置の外観を示す斜視図であり、記録装置の使用時の状態を右斜め上方から観た斜視図である。また、図5〜図7は、記録装置本体の内部機構を説明するための図である。ここで、図6は右斜め上方から観た斜視図、図7は記録装置本体の側断面図である。
以下、これらの図面を適宜参照しながら、各部を順次説明する。
(A)外装部(図5)
外装部は、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、クリーニング部、フラットパス部およびウエット液転写部の回りを覆うように取り付けられている。外装部は主に、下ケースM7080、上ケースM7040、アクセスカバーM7030、コネクタカバーおよびフロントカバーM7010から構成されている。
下ケースM7080の下部には、不図示の排紙トレイレールが設けられており、分割された排紙トレイM3160が収納可能に構成されている。また、フロントカバーM7010は、非使用時に排紙口を塞ぐ構成になっている。
上ケースM7040には、アクセスカバーM7030が取り付けられており、回動可能に構成されている。上ケースの上面の一部は開口部を有しており、この位置で、インクタンクH1900および記録ヘッドH1001(図13)が交換可能となるように構成されている。なお、本実施形態の記録装置においては、記録ヘッドH1001は、1色のインクを吐出可能な吐出部を複数色分、一体的に構成したユニットの形態である。そして、インクタンクH1900が色毎に独立に着脱可能な記録ヘッドカートリッジH1000として構成されている。上ケースM7040には、アクセスカバーM7030の開閉を検知する不図示のドアスイッチレバー、LEDの光を伝達・表示するLEDガイドM7060、電源キーE0018、リジュームキーE0019、フラットパスキーE3004等が設けられている。また、多段式の給紙トレイM2060が回動可能に取り付けられており、給紙部が使われない時は、給紙トレイM2060を収納することにより、給紙部のカバーにもなるように構成されている。
上ケースM7040と下ケースM7080は、弾性を持った勘合爪で取り付けられており、その間のコネクタ部分が設けられている部分を、不図示のコネクタカバーが覆っている。
(B)給紙部(図7)
図7を参照するに、給紙部は次のように構成されている。すなわち、記録媒体を積載する圧板M2010、記録媒体を1枚ずつ給紙する給紙ローラM2080、記録媒体を分離する分離ローラM2041、記録媒体を積載位置に戻すための戻しレバーM2020等がベースM2000に取り付けられることで構成されている。
(C)用紙搬送部(図6、図7)
曲げ起こした板金からなるシャーシM1010には、記録媒体を搬送する搬送ローラM3060とペーパエンドセンサ(以下PEセンサと称す)E0007が回動可能に取り付けられている。搬送ローラM3060は、金属軸の表面にセラミックの微小粒がコーティングされた構成となっており、両軸の金属部分を不図示の軸受けが受ける状態で、シャーシM1010に取り付けられている。搬送ローラM3060にはローラテンションバネ(不図示)が設けられており、搬送ローラM3060を付勢することにより、回転時に適量の負荷を与えて安定した搬送が行えるようになっている。
搬送ローラM3060には、従動する複数のピンチローラM3070が当接して設けられている。ピンチローラM3070は、ピンチローラホルダM3000に保持されているが、不図示のピンチローラバネによって付勢されることで、搬送ローラM3060に圧接し、ここで記録媒体の搬送力を生み出している。この時、ピンチローラホルダM3000の回転軸は、シャーシM1010の軸受けに取り付けられ、この位置を中心に回転する。
記録媒体が搬送されてくる入口には、記録媒体をガイドするためのペーパガイドフラッパM3030およびプラテンM3040が配設されている。また、ピンチローラホルダM3000には、PEセンサレバーM3021が設けられている。PEセンサレバーM3021は、記録媒体の先端および後端の検出をシャーシM1010に固定されたペーパーエンドセンサ(以下、PEセンサと称す)E0007に伝える役割を果たす。プラテンM3040は、シャーシM1010に取り付けられ、位置決めされている。ペーパガイドフラッパM3030は、不図示の軸受け部を中心に回転可能で、シャーシM1010に当接することで位置決めされる。
搬送ローラM3060の記録媒体搬送方向における下流側には、記録ヘッドH1001が設けられている。
上記構成における搬送の過程を説明する。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラーホルダM3000およびペーパガイドフラッパM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。この時、PEセンサレバ−M3021が、記録媒体の先端を検知して、これにより記録媒体に対する記録位置が求められている。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。プラテンM3040には、搬送基準面となるリブが形成されており、このリブにより、記録ヘッドH1001と記録媒体表面との間のギャップが管理されている。また同時に、当該リブが、後述する排紙部と合わせて、記録媒体の波打ちを抑制する役割も果たしている。
搬送ローラM3060が回転するための駆動力は、例えばDCモータからなるLFモータE0002の回転力が、不図示のタイミングベルトを介して、搬送ローラM3060の軸上に配設されたプーリM3061に伝達されることによって得られている。また、搬送ローラM3060の軸上には、搬送ローラM3060による搬送量を検出するためのコードホイールM3062が設けられている。そして、隣接するシャーシM1010には、コードホイールM3062に形成されたマーキングを読み取るためのエンコードセンサM3090が配設されている。なお、コードホイールM3062に形成されたマーキングは、150〜300lpi(ライン/インチ;参考値)のピッチで形成されているものとする。
(D)排紙部(図6、図7)
排紙部は、第1の排紙ローラM3100および第2の排紙ローラM3110、複数の拍車M3120およびギア列などから構成されている。
第1の排紙ローラM3100は、金属軸に複数のゴム部を設けて構成されている。第1の排紙ローラM3100の駆動は、搬送ローラM3060の駆動が、アイドラギアを介して第1の排紙ローラM3100まで伝達されることによって行われている。
第2の排紙ローラM3110は、樹脂の軸にエラストマの弾性体M3111を複数取り付けた構成になっている。第2の排紙ローラM3110の駆動は、第1の排紙ローラM3100の駆動が、アイドラギアを介して伝達すること行われる。
拍車M3120は、周囲に凸形状を複数設けた例えばSUSでなる円形の薄板を樹脂部と一体としたもので、拍車ホルダM3130に複数取り付けられている。この取り付けは、コイルバネを棒状に設けた拍車バネによって行われているが、同時に拍車バネのばね力は、拍車M3120を排紙ローラM3100およびM3110に対し所定圧で当接させている。この構成によって拍車M3120は、2つの排紙ローラM3100およびM3110に従動して回転可能となっている。拍車M3120のいくつかは、第1の排紙ローラM3100のゴム部、あるいは第2の排紙ローラM3110の弾性体M3111の位置に設けられており、主に記録媒体の搬送力を生み出す役割を果たしている。また、その他のいくつかは、ゴム部あるいは弾性体M3111が無い位置に設けられ、主に記録時の記録媒体の浮き上がりを抑える役割を果たしている。
また、ギア列は、搬送ローラM3060の駆動を排紙ローラM3100およびM3110に伝達する役割を果たしている。
以上の構成によって、画像形成された記録媒体は、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイM3160に排出される。排紙トレイM3160は、複数に分割され、後述する下ケースM7080の下部に収納できる構成になっている。使用時は、引出して使用する。また、排紙トレイM3160は、先端に向けて高さが上がり、更にその両端は高い位置に保持されるよう設計されており、排出された記録媒体の積載性を向上し、記録面の擦れなどを防止している。
(E)キャリッジ部(図6、図7)
キャリッジ部は、記録ヘッドH1001を取り付けるためのキャリッジM4000を有しており、キャリッジM4000は、ガイドシャフトM4020およびガイドレールM1011によって支持されている。ガイドシャフトM4020は、シャーシM1010に取り付けられており、記録媒体の搬送方向に対して直角方向にキャリッジM4000を往復走査させるように案内支持している。ガイドレールM1011は、シャーシM1010に一体に形成されており、キャリッジM4000の後端を保持して記録ヘッドH1001と記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。また、ガイドレールM1011のキャリッジM4000との摺動側には、ステンレス等の薄板からなる摺動シートM4030が張設され、記録装置の摺動音の低減化を図っている。
キャリッジM4000は、シャーシM1010に取り付けられたキャリッジモータE0001によりタイミングベルトM4041を介して駆動される。また、タイミングベルトM4041は、アイドルプーリM4042によって張設、支持されている。さらに、タイミングベルトM4041は、キャリッジM4000とゴム等からなるキャリッジダンパを介して結合されており、キャリッジモータE0001等の振動を減衰することで、記録される画像のむら等を低減している。
キャリッジM4000の位置を検出するためのエンコーダスケールE0005(図8において後述)が、タイミングベルトM4041と平行に設けられている。エンコーダスケールE0005上には、150lpi〜300lpiのピッチでマーキングが形成されている。そして、当該マーキングを読み取るためのエンコーダセンサE0004(図8において後述)が、キャリッジM4000に搭載されたキャリッジ基板E0013(図8において後述)に設けられている。キャリッジ基板E0013には、記録ヘッドH1001と電気的な接続を行うためのヘッドコンタクトE0101も設けられている。また、キャリッジM4000には、電気基板E0014から記録ヘッドH1001へ、駆動信号を伝えるための不図示のフレキシブルケーブルE0012(図8において後述)が接続されている。
記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に固定するための構成として次の者が設けられている。すなわち、記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に押し付けながら位置決めするための不図示の突き当て部と、所定の位置に固定するための不図示の押圧手段が、キャリッジM4000上に設けられている。押圧手段は、ヘッドセットレバーM4010に搭載され、記録ヘッドH1001をセットする際に、ヘッドセットレバーM4010を回転支点を中心に回して、記録ヘッドH1001に作用する構成になっている。
さらに、キャリッジM4000には、CD−R等の特殊メディアへ記録を行う際や、記録結果や用紙端部等の位置検出用として、反射型の光センサからなる位置検出センサM4090が取り付けられている。位置検出センサM4090は、発光素子より発光し、その反射光を受光することで、キャリッジM4000の現在位置を検出することができる。
上記構成において記録媒体に画像形成する場合、行位置に対しては、搬送ローラM3060およびピンチローラM3070からなるローラ対が、記録媒体を搬送して位置決めする。また、列位置に対しては、キャリッジモータE0001によりキャリッジM4000を上記搬送方向と垂直な方向に移動させて、記録ヘッドH1001を目的の画像形成位置に配置させる。位置決めされた記録ヘッドH1001は、電気基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対しインクを吐出する。記録ヘッドH1001についての詳細な構成および記録システムは後述する。本実施形態の記録装置においては、記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成していく構成となっている。記録主走査においては、記録ヘッドH1001により記録を行いながら、キャリッジM4000が列方向に走査する。副走査においては、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される。
1.3 電気回路構成
次に本実施形態における電気的回路の構成を説明する。
図8は、記録装置J0013における電気的回路の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。本実施形態で適用する記録装置では、主にキャリッジ基板E0013、メイン基板E0014、電源ユニットE0015およびフロントパネルE0106等によって構成されている。
ここで、電源ユニットE0015は、メイン基板E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4000に搭載されたプリント基板ユニットであり、ヘッドコネクタE0101を通じて記録ヘッドH1001との信号の授受、ヘッド駆動電源の供給を行うインターフェースとして機能する。ヘッド駆動電源の制御に供する部分として、記録ヘッドH1001の各色吐出部に対する複数チャネルのヘッド駆動電圧変調回路E3001を有する。そして、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014から指定された条件に従ってヘッド駆動電源電圧を発生する。また、キャリッジM4000の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出する。更にその出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力する。
キャリッジ基板E0013には、2つの発光素子(LED)E3011および受光素子E3013でなる光学センサE3010および周囲温度を検出するためのサーミスタE3020が接続されている(以下、これらのセンサをマルチセンサE3000ともいう)。マルチセンサE3000により得られる情報は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力される。
メイン基板E0014は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットであり、その基板上にホストインタフェース(ホストI/F)E0017を有している。メイン基板E0014は、不図示のホストコンピュータからの受信データをもとに記録動作の制御を行う。またメイン基板E0014は、各種モータと接続されて各機能の駆動を制御し、その各種モータとしては、キャリッジモータE0001、LFモータE0002、APモータE3005、PRモータE3006などが含まれる。キャリッジモータE0001は、キャリッジM4000を主走査させるための駆動源であり、LFモータE0002は記録媒体を搬送するための駆動源である。またAPモータE3005は、記録ヘッドH1001の回復動作および記録媒体の給紙動作の駆動源であり、PRモータE3006はフラットパス記録動作の駆動源である。さらに、PEセンサ、CRリフトセンサ、LFエンコーダセンサ、PGセンサのような、プリンタ各部の動作状態を検出する様々なセンサに対して、制御信号および検出信号の送受信を行うためのセンサ信号E0104に接続される。また、メイン基板E0014は、CRFFC E0012および電源ユニットE0015にそれぞれ接続されるとともに、さらにパネル信号E0107を介してフロントパネルE0106と情報の授受を行うためのインターフェースを有している。
フロントパネルE0106は、ユーザ操作の利便性のために、記録装置本体の正面に設けたユニットである。これは、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018およびフラットパスキーE3004を有するほか(図5)、さらにデジタルカメラ等の周辺デバイスとの接続に用いるデバイスI/F E0100を有している。
図9は、メイン基板E1004の内部構成を示すブロック図である。
図において、E1102はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であり、制御バスE1014を通じてROM E1004に接続される。このASIC E1102は、ROM E1004に格納されたプログラムに従って、各種制御を行っている。例えば、各種センサに関連するセンサ信号E0104や、マルチセンサE3000に関連するマルチセンサ信号E4003の送受信を行う。そのほか、エンコーダ信号E1020、フロントパネルE0106上の電源キーE0018、リジュームキーE0019およびフラットパスキーE3004からの出力の状態を検出している。また、ホストI/F E0017、フロントパネル上のデバイスI/F E0100の接続およびデータ入力状態に応じて、各種論理演算や条件判断等を行い、各構成要素を制御し、インクジェット記録装置の駆動制御を司っている。
E1103はドライバ・リセット回路である。これは、ASIC E1102からのモータ制御信号E1106に従って、CRモータ駆動信号E1037、LFモータ駆動信号E1035、APモータ駆動信号E4001およびPRモータ駆動信号E4002を生成し、各モータを駆動する。ドライバ・リセット回路E1103は電源回路を有しており、メイン基板E0014、キャリッジ基板E0013、フロントパネルE0106など各部に必要な電源を供給し、さらには電源電圧の低下を検出して、リセット信号E1015を発生および初期化を行う。
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1102からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。
ホストI/F E0017は、ASIC E1102からのホストI/F信号E1028を、外部に接続されるホストI/FケーブルE1029に伝達し、またこのケーブルE1029からの信号をASIC E1102に伝達する。
一方、電源ユニットE0015からは電力が供給される。供給された電力は、メイン基板E0014内外の各部へ、必要に応じて電圧変換された上で供給される。また、ASIC E1102からの電源ユニット制御信号E4000が電源ユニットE0015に接続され、記録装置本体の低消費電力モード等を制御する。
ASIC E1102は1チップの演算処理装置内蔵半導体集積回路であり、前述したモータ制御信号E1106、電源制御信号E1024および電源ユニット制御信号E4000等を出力する。そして、ホストI/F E0017との信号の授受を行うとともに、パネル信号E0107を通じて、フロントパネル上のデバイスI/F E0100との信号の授受を行う。さらに、センサ信号E0104を通じてPEセンサ、ASFセンサ等各部センサ類により状態を検知する。さらに、マルチセンサ信号E4003を通じてマルチセンサE3000を制御するとともに状態を検知する。またパネル信号E0107の状態を検知して、パネル信号E0107の駆動を制御してフロントパネル上のLED E0020の点滅を行う。
さらにASIC E1102は、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドH1001とのインターフェースをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はCRFFC E0012を通じて入力されるエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012を通じてキャリッジ基板E0013に接続される。そして、前述のヘッド駆動電圧変調回路E3001およびヘッドコネクタE0101を経て記録ヘッドH1001に供給されるとともに、記録ヘッドH1001からの各種情報をASIC E1102に伝達する。このうち吐出部毎のヘッド温度情報については、メイン基板上のヘッド温度検出回路E3002で信号増幅された後、ASIC E1102に入力され、各種制御判断に用いられる。
図中、E3007はDRAMであり、記録用のデータバッファ、ホストコンピュータからの受信データバッファ等として、また各種制御動作に必要なワーク領域しても使用されている。
1.4 記録ヘッド構成
次に、本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。
本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001とインクタンクH1900を搭載する手段、およびインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有している。そしてヘッドカートリッジH1000は、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
図10は、本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900を装着する様子を示した図である。本例の場合は、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、レッド(R)、グリーン(G)およびグレー(Gray)の10色の顔料インクで画像を形成する。従って、インクタンクT0001も10色分が独立に用意されている。そして、図に示すように、インクタンクそれぞれがヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。なお、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
記録ヘッドH1001は、インク吐出口に連通するインク流路内に記録素子であるヒータ(電気熱変換素子)を備えており、そのヒータの発熱エネルギを利用してインクを吐出する。すなわち、ヒータに電気エネルギを与えて(詳しくは、駆動電圧を印加して)ヒータを発熱させることにより、インク流路内のインクを発泡させ、その発泡に伴ってインク吐出口からインクを吐出する。
なお、ここでは、記録素子としてヒータ(電気熱変換素子)を用いているが、適用可能な記録素子は電気熱変換素子に限られるものではない。例えば、記録素子としてピエゾ素子を用いてもよい。この場合、ピエゾ素子に電気エネルギを与えて(詳しくは、駆動電圧を印加して)ピエゾ素子を機械的に変位させ、この変位に伴う圧力変化によってインク吐出口からインクを吐出する。
2.特徴的構成
次に、本発明の特徴的構成を、第1ないし第9の実施形態に基づき説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の各実施形態において使用するヘッド駆動電圧変調回路E3001の構成例を説明する。
図11は、キャリッジ基板E0013上におけるヘッド駆動電圧変調回路E3001の具体的な構成の一例を説明するための回路図である。
ヘッド駆動電圧変調回路E3001は、電源ユニットE0015から入力電圧VHinを入力して、後述する記録ヘッドのヒータ(電気熱変換素子)に印加する出力電圧VHを出力する。このヘッド駆動電圧変調回路E3001には、出力電圧VHを制御するためのDC/DCコンバータが備えられている。このDC/DCコンバータは次のように動作する。まず、出力電圧VHの分圧値と基準電圧Vrefとを誤差増幅器(Error Amp)11によって比較し、それらの間の誤差を無くすように出力電圧VHを制御する。すなわち、誤差増幅器11の一方の入力端子(反転端子)には基準電圧Vrefが入力され、他方の入力端子(非反転端子)には、抵抗R1、R3によって下式のように分圧された出力電圧VHの分圧値VH1が入力される。
次に、基準電圧Vrefと分圧値VH1は誤差増幅器11によって比較され、それらの差分に対応する誤差増幅器11の出力がコンパレータ12に入力される。コンパレータ12は、基準電圧Vrefと分圧値VH1の差分に対応したパルス幅の信号をMOSドライバ13に出力し、その信号に基づいてドライバ13がスイッチ素子Q101を作動させる。なお、L102とC101は、平滑回路を構成するインダクタンスとリアクタンスである。
このように基準電圧Vrefと分圧値VH1の差分に応じて、スイッチ素子Q101をPWM制御することにより、出力電圧VHが基準電圧Vrefに対応する一定電圧に維持される。
本例においては、出力電圧VHを変更するために、出力電圧VHの分圧点にD/Aコンバータ16によって電流を加算する。D/Aコンバータ16は、基準電圧回路15によって生成された基準電圧Vccを入力し、後述する制御信号(デジタル信号)Cに応じた出力電圧VAを出力する。これにより、その出力電圧VAに対応する電流I2が抵抗R2を通して抵抗R1,R2の分圧点に加算される。例えば、制御信号Cが8ビットのデジタル信号の場合には、D/Aコンバータ16の出力を256段階に調整することができる。この場合、D/Aコンバータ16の入力電圧をVcc、8ビットの制御信号Cの値をXbitとすると、D/Aコンバータ16の出力電圧VAは下式によって表される。
Figure 2008080725
この出力電圧VAに応じた電流I2が抵抗R1,R2の分圧点に加算されることにより、出力電圧VHは以下のように変更される。
誤差増幅器11の非反転端子に入力される電圧VH1は、反転端子に入力される基準電圧Vrefと間の誤差を無くすように制御されるため、抵抗R1、R2、R3に流れる電流I1,I2,I3は下式によって表される。
Figure 2008080725
キルヒホッフの電流則により、
Figure 2008080725
Figure 2008080725
となり、出力電圧VHは下式によって表されることになる。
Figure 2008080725
このように、D/Aコンバータ16の出力電圧値VAを制御することよって、出力電圧VHを調整することができる。
図12は、8ビットの制御信号Cの選択値と出力電圧VHとの相関図である。本例の場合は、制御信号Cの選択値が大きくなるにしたがって基準電圧Vrefが減少し、それに応じて出力電圧VHが減少する。
次に、本発明の第1の実施形態の作用を説明する。
この第1の実施形態では、インクジェット記録装置の記録モードとして、通常の記録モードとは別に、インクジェット記録装置に装着された記録ヘッドに適する駆動エネルギ(電気エネルギ)を設定するための駆動条件設定モードを有している。各モードの設定は、インクジェット記録装置自身に設けられたスイッチあるいは、インクジェット記録装置にインターフェースを介して接続されるホスト装置から行うことができる。
この駆動条件設定モードでは、記録ヘッドに供給する駆動エネルギを段階的に低下させながら、駆動エネルギ測定用のパッチを記録媒体上に記録し、そのパッチの濃度に基づいてインクを吐出できなくなる駆動エネルギを境界値(閾値)として設定する。この後、設定された閾値に所定の係数(k)を乗じた値を最適な駆動エネルギとして設定する。本実施形態の最も重要な特徴は、この駆動エネルギの閾値設定動作において用いられるパッチの記録方式にある。
ここで、この本実施形態特有のパターン記録方式を説明するに先立ち、その背景となる駆動エネルギの閾値設定動作を図13のフローチャートに従って説明する。
まず、記録媒体が給紙部に存在するか否かを判断し(ステップ1)、記録媒体が存在すれば、測定用パッチを記録するための駆動パルスの電圧(以下、駆動電圧と称す)を設定する(ステップ2)。この駆動電圧は、予め設定されている通常の記録動作に用いる駆動電圧VHをk値(例えば、2>k>1)で割った閾値電圧Vthに設定する。ここでは、k値=1.15を用いたが、この数値に限定されるものではない。
次に、記録ヘッドのヒータに印加する駆動パルスのパルス幅を最大パルス幅に設定する(ステップ3)。一般に、記録ヘッドのヒータには製造段階において表面性などのバラツキが生じる。このバラツキにより、記録ヘッドからインクを吐出させるために必要とされる最低の駆動パルス幅(以下、この駆動パルス幅を閾値駆動パルス幅Pthと称す)にもバラツキが生じる。そこで、このステップ3では、この閾値駆動パルス幅のバラツキの最大値から最小値に至る範囲のうち、最大値を記録ヘッドのヒータに印加する駆動パルス幅として設定している。
ところで、インクジェット記録装置のメモリには、閾値駆動パルス幅Pthのバラツキの最大値から最小値に至る範囲を一定のパルス幅毎に段階的に分割し、各段階にヘッドランクと称する値を付したテーブルが格納されている。図14はこのテーブルの一例を示しており、ここでは0.01μsec毎に複数段階の閾値駆動パルス幅(0.59μsec〜1.21μsec)が設定され、それぞれにヘッドランク値(1〜63)が付されている。インクジェット記録装置では、記録ヘッドのヒータに印加する駆動パルス幅を、各ヘッドランクに応じて設定することができる。従って、ステップ3では、これらのヘッドランク値の中の最大ヘッドランク値(63)に対応する閾値駆動パルス幅Pth(1.21μsec)が設定されることとなる。
また、通常は、記録ヘッドのメーカ側でも同様のテーブルを有している。そして、メーカ側は、製造された各記録ヘッドに適する駆動パルス幅を測定した後、前記テーブルを参照して各記録ヘッドにヘッドランクを設定し、そのヘッドランクを記録ヘッドのメモリに格納して記録ヘッドを出荷している。この記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置は、記録ヘッドのメモリを読み出し、メーカ側で設定した閾値駆動パルス幅Pthを認識することができる。但し、このメーカ側で設定したヘッドランクに対応する閾値駆動パルス幅は、インクジェット記録装置においてそのまま適用できる値ではなく、言わば、目安として使用されるべき値となっている。これは、メーカ側で閾値駆動パルス幅Pthを測定する際に使用される電源に対し、インクジェット記録装置に設けられている電源にバラツキが存在するためである。つまり、この電源のバラツキは、ヒータのバラツキと共に、記録ヘッドのヒータに供給される駆動エネルギに誤差を生じさせる要因となっている。従って、メーカ側で設定された各記録ヘッドの閾値駆動パルスを記録装置側で認識し得るようなシステムにおいても、以下のステップ4以降の測定動作によって、各記録装置に応じた閾値駆動パルスPthを新たに設定することが必要となる。
再び、図13を参照するに、ステップ4では、ステップ2で設定された駆動閾値電圧と、ステップ3で設定された駆動パルス幅とを有する駆動パルスを記録ヘッドのヒータに供給して、記録媒体上に閾値駆動パルス幅設定用のパッチを形成する。図15および図16は、本実施形態で形成されるパッチの一例を示す図であり、図15は異なる記録ヘッドによってそれぞれ異なる色のインクで形成された複数のパッチからなる測定パターンを示し、図16は図15に示したパッチの一つを拡大して示している。図15において、TPCはシアンインクで形成された複数のパッチTからなる測定パターン、TPMはマゼンタインクで形成された複数のパッチTからなる測定パターンである。また、TPYはイエローインクによって形成された測定パターン、TPBはブラックインクによって形成されたパッチTからなる測定パターンである。各パッチTは、図16に示すように、キャリッジM4000に設けられた光学センサの検出範囲SA内に含まれる幅(図16中、X方向(主走査方向)と直交する方向における幅)に形成される。
また、各測定パターンにおける各パッチTは、図示の行番号(1〜17)の中でより高い行番号に属するものほど、より広いパルス幅の駆動パルスをヒータに印加して記録したものとなっている。従って、最大の駆動パルス幅が設定されている現時点では、第1行に属するパッチのみが記録されることとなる。なお、ここでは、4色のインクによって記録されたパッチのみを示したが、実際の測定動作では、本実施形態で使用する全てのインク(10色のインク)についてパッチが形成される。
図15に示す第1行にパッチTが形成されると、光学センサがキャリッジM4000と共に、主走査方向(図16のX方向)に走査を行い、パッチTの濃度を読み取る(ステップ5)。次いで、ステップ7では読み取られたパッチTの濃度が、予め設定した閾値(図17参照)を下廻ったか否かを判断する。ここで、読み取った濃度値が予め設定した閾値濃度以上であった場合には、ステップ6において駆動パルス幅を1ヘッドランク分だけ狭める。すなわち、図14のヘッドランク62に相当するパルス幅1.2μsecに設定し、ステップ4へ移行する。
そして、ステップ4では、先に記録したパッチTとは異なる位置(ここでは、図15の第2行の位置)に各色の記録ヘッドによってパッチTを記録し、そのパッチTを、再び光学センサで読み取る(ステップ5)。ここで、読み取った濃度が依然として閾値濃度を下廻っていた場合には、ステップ6においてさらに駆動パルス幅を1ヘッドランク分狭め(駆動パルス幅を1.19μsecに設定し)、再度、ステップ4,5においてパッチの記録、濃度の読み取りを行う。以下、ステップ4〜7の動作を、光学センサによって読み取った濃度値が閾値を下廻るまで繰り返す。
光学センサによって読み取った濃度値が閾値濃度を下廻る値に切換わった場合には、そのとき設定されているパルス幅に対応したヘッドランクより1ランク上の駆動パルス幅を閾値駆動パルス幅(Pth)として設定する(ステップ8)。例えば、図15のシアンインクの測定パターンでは、第14行に記録されたパッチTを形成した駆動パルス幅、すなわち、ヘッドランク50の駆動パルス幅で記録されたパッチTの濃度が閾値を下回る。従って、図15の第13行にパッチTを形成するときのパルス幅、すなわちヘッドランク51に対応する駆動パルス幅(1.09μsec)を閾値駆動パルス幅Pthとして設定する。なお、図15に示すように、この閾値駆動パルス幅Pthは、インク色によって、閾値駆動パルスが異なる。従って、上記の閾値駆動パルスの設定動作は、全色の記録ヘッドに対して行われる。この後、設定した閾値駆動パルスのパルス幅に対応するヘッドランク値を、インクジェット記録装置のメモリに書き込み(ステップ9)、以上により、閾値パルス幅Pthの測定動作は完了する。
このようにして、測定した閾値パルス幅Pthと閾値電圧Vthとを乗じた駆動エネルギが、記録ヘッドからインクを吐出できなくなる駆動エネルギの境界値、つまり閾値駆動エネルギとなる。この測定動作の後、駆動電圧は閾値電圧Vthから通常の記録動作時の駆動電圧Vopに復帰する。この駆動電圧Vopは、閾値駆動電圧Vthをk倍した電圧であるため、この通常の駆動電圧Vopと、測定した閾値パルス幅Pthとを乗じて得られる駆動エネルギは、閾値駆動エネルギにk値を乗じた最適な駆動エネルギとなる。
次に、本実施形態の特徴の一つであるパッチの記録方式について説明する。
図18は、本実施形態で行われるパッチ記録時の記録ヘッドの走査方式を模式的に示す図であり、ここでは、1つの記録ヘッドで1つのパッチを形成する場合を示している。
記録ヘッドの1回の走査で画像を完成させる、いわゆる1パス記録方式によってパッチTを形成するようにした場合には、短時間でパッチを形成することができる。しかし、1回の走査では同時に使えるノズル数に制限があるため、濃度の高いパッチTを形成することが難しい。パッチの濃度が低い場合には、パッチの濃度が高いときに比べ、パッチがかすれていく際の濃度変化が緩慢になるため、通常の光学センサで濃度の変化を精度よく読み取ることは困難になる。またこの駆動エネルギの閾値の測定では、記録ヘッドに設けられているノズル列の中で、可能な限り多くのノズルを用いて1つのパッチTを形成することが望ましい。しかし、1パス記録では、使用するノズル数が増えるほど1走査で打たれるパッチが大きくなることから、光学センサによって測定すべき領域が広がり、測定時間が増大すると共に、測定結果に基づく判定処理が複雑になるという問題が生じる。すなわち、光学センサはキャリッジと共に主走査方向へと移動して、パッチTの濃度測定を行う。この際、ノズル配列方向におけるパッチの幅が、光学センサによる測定範囲SA(図16参照)の幅を超える場合には、光学センサが1回の走査でパッチの全領域を検出することができない。従って、光学センサを走査させた後、記録媒体を移動させ、再び光学センサを走査させるという、動作を繰り返す必要があり、1つのパッチの濃度測定を行うために多くの時間を要する。また、各走査において読み取られた濃度毎に判定を行う必要があるため、判定処理が複雑化すると共に多くの処理時間を要する。
そこで本実施形態では、図18(a)に示すように、1つの記録領域に対して複数回の走査を行うマルチパス記録によって各パッチTの記録を行う。本例の記録ヘッドH1001は、複数のノズル(ここでは、768ノズル)をキャリッジH1000の主走査方向(X方向)と直交する記録媒体搬送方向(Y方向)に沿って配列したノズル列を有している。このノズル列には、複数のノズル群Ngが設定されており、各ノズル群Ngは、ノズル列に含まれるノズル数の1/4の数のノズルからなる。つまり、記録ヘッドH1001には、4つのノズル群Ngが設定されている。各ノズル群Ngの幅は、光学センサの検出幅以下に設定されている。
本実施形態におけるパッチTの形成は、記録媒体上の同一のパッチ形成領域を各ノズル群Ngで1回ずつ合計4回の走査を行うことによって形成する。なお、各走査で使用するノズル群のノズル番号を図20に示す。
ここで、記録動作をより具体的に説明する。まず、第1走査では、各ノズル群を構成する576番〜767番の192ノズル(図20参照)からなるノズル群を用いて、パッチ形成領域に記録を行う。次に、ノズル列の1/4の長さだけ記録媒体を搬送し、ノズル番号387〜575のノズルからなるノズル群を用いて先に記録されたパッチ形成領域と同一の領域に記録を行う。この後、再び上記と同様に記録媒体の搬送を行い、ノズル番号192から383のノズルを用いて記録を行う。さらに、記録媒体の搬送を行った後、ノズル番号0〜192のノズルを用いて記録を行う。以上により、ノズル列の長さの1/4の幅を持つパッチTが記録ヘッドH1001の全てのノズルを用いて記録される。
上記記録動作によって記録媒体上に記録されるドットの状態を図19(a)の模式図に示す。同図中、dは記録媒体上に形成されるドットを示し、ドットd内に記載された数字は、各ドットを形成した走査の順番を示している(ドットd内の数字1は第1走査を、数字4は第4走査を示している)。図示のように、各ドットdは、第1〜第4走査によって吐出されたインク滴を同一位置に順次重ねて着弾させることによって形成される。これにより、1つのドット形成位置に1つのインク滴のみが着弾する1パス記録で形成されるドッドの濃度に比べ、本実施形態で形成される各ドットdの濃度は増大し、パッチTの全体の濃度もこれに伴って上昇する。なお、このパッチ記録動作は、各インク色の記録ヘッドにおいても実行される。
このようにして記録されたパッチTの幅は、前述のように光学センサの検出範囲内の幅となっているため、光学センサの1回の主走査によって各パッチTの濃度を読み取ることができる。また、読み取ったパッチTの濃度は閾値と比較され、閾値を下廻ったか否かが判定される。この閾値は、白紙部やベタ記録部の濃度を元に算出している。白紙部のセンサ読み値を0%、ベタ記録部のセンサ読み取り値を100%と定義したとき、閾値濃度はn%と定義される。この閾値はインク色毎に設定される。
以上の判定を行った結果、測定したパッチTの濃度が閾値を下廻っていない場合には、図13のフローチャートにて説明したように、駆動パルス幅を1ランク短くして再び測定用のパッチTを記録する。この記録動作と濃度の読み取り動作とを繰り返し、パッチTの濃度が閾値を下廻った時点で、そのパッチTの直前に記録されたパッチTの形成に用いられた駆動パルス幅を閾値駆動パルス幅として設定する。
このように、本実施形態では、記録ヘッドのノズル列の長さの1/4の幅を有するパッチ形成領域に対し、ノズル列を形成する全てのノズル群(4個のノズル群)を走査させて記録を行うようにしたため、各パッチTには1パス記録時よりも高い濃度が得られる。従って、図15に示すような複数のパッチTを形成した場合、パッチTがかすれていく際の各パッチTの濃度の変化は、1パス記録時に比べて大きくなる。このため、閾値濃度を下廻る直前のパッチTの濃度と、閾値濃度を下廻った直後のパッチTの濃度との濃度差を光学センサによって確実に読み取ることが可能となる。
本実施形態では、インク滴が全く吐出されなくなった際のパッチ形成領域の濃度(濃度の最小値)と、インク滴が全く吐出されなくなる直前におけるパッチ濃度との間に閾値濃度を設定している(図17参照)。従って、パッチ形成領域におけるごく僅かなインク滴の着弾によって生じた濃度差を光学センサで読み取る必要がある。しかし、本実施形態では、各ドットの濃度が1パス時に比べて増大しているため、僅かなインク滴が着弾したパッチ形成領域の濃度も、通常の精度を有する光学センサで確実に読み取ることができる。このため、閾値駆動パルス幅を確実に判定することが可能となり、この閾値駆動パルス幅に基づき、最適な吐出エネルギを設定することが可能となる。
さらに、1回の走査において使用されるノズル数は、ノズル列における全ノズル数の1/4に制限されているため、記録ヘッドの駆動回路に生じる電圧降下を低く抑えることができ、ヒータに供給される電圧の変動を抑えることができる。その結果、閾値電圧Vthを変動なく維持しつつ、駆動パルス幅のみを変更させてパッチの記録動作を行うことが可能となる。これにより、閾値駆動パルス幅の正確な測定、延いては正確な駆動エネルギルギの設定が可能となる。
以上のように、この第1の実施形態によれば、記録ヘッドのヒータのバラツキおよびインクジェット記録装置の電源部のバラツキなどを総合的に加味した最適な駆動エネルギの設定を、通常の光センサを用いて正確に行うことが可能になる。その結果、記録ヘッドから吐出されるインク滴の吐出量不足やヨレなどが軽減され、高品質な画像が形成される。また、記録ヘッドのヒータに過剰な電力が供給されることもなくなり、記録ヘッドの寿命は向上する。
なお、図19(a)では、4回の走査において吐出されるインク滴を、記録媒体上の同一位置に着弾させることによってドットdを形成する場合を例に採り説明したが、各走査で吐出されるインク滴を若干ずらした位置に着弾させるようにすることも可能である。図19(b)にその一例を示す。同図中、(1),(2),(3),(4)は、各ドットdを形成する走査の順番を示している。このようなドットを形成した場合にも、図19(a)に示した場合と同様に高濃度のパッチを形成することが可能となり、上記同様の効果が期待できる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
上記第1の実施形態では、駆動パルスの電圧値を設定した後、各ヘッドランクの中の最大ヘッドランク(63)に対応する閾値駆動パルス幅(1.21μsec)を設定するようにした(図13のステップ3参照)。しかし、メーカによって記録ヘッドH1001のメモリに格納されたヘッドランクが比較的低いランクであった場合、最大ヘッドランクに対応する閾値駆動パルス幅から測定を開始すると、多くの測定時間がかかる可能性がある。そこで、この第2の実施形態では、図21のフローチャートに示すような測定動作を行う。
すなわち、ステップ0では、記録ヘッドH1001のメモリに格納されているヘッドランクを読み取り、読み取ったヘッドランク値を目安としてそのランクよりもNランク上のヘッドランクに対応する閾値駆動パルス幅を設定する。例えば、読み取ったヘッドランクが32ランクであった場合、そのランクよりも例えば7ランク上のヘッドランク、つまり39ランクに対応する閾値駆動パルス幅(0.97μsec)を測定開始時の駆動パルス幅として設定する。これによれば、最大ランク63に対応する閾値駆動パルスを設定した場合に比べ、短時間で測定を終えることができる。なお、この際のNの値は、電源電圧のばらつきや、配線抵抗のばらつき等のインクジェット記録装置におけるばらつきなどから想定した値を設定すればよい。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
この第3の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、記録ヘッドに設けられているノズル列を4等分して4個のノズル群Ngを設定し、各ノズル群を同一のパッチ形成領域に対して4回走査させるマルチパス記録を行う。本実施形態においてもノズル列には767ノズル(0番〜766番のノズル)が設けられており、各ノズル群を構成するノズルの設定も同様である。
但し、この第3の実施形態は、各ノズル群Ngを構成する複数のノズルの中から、所定数のノズルを選定してマルチパス記録を行うことにより、各パッチTを形成するようになっており、この点が上記第1の実施形態と相違する。すなわち、上記第1の実施形態では、、図18(b)に示すように記録ヘッドの各ノズル群Ngにおける全てのノズル(図では192ノズル)を用いている。
図23はこの第3の実施形態の各走査(第1走査〜第4走査)で使用するノズルの一例を示している。図23に示す例では、各ノズル群Ngを構成するノズル(192ノズル)の中から、11ノズルおきに選定された19個のノズルを用いて各走査の記録が行われる。
すなわち、第1走査では、1つのノズル群を構成する576〜767番の192個のノズルの中から、図23に示す19個のノズルが選定され、これらのノズルによって、1つのパッチ形成領域にインク滴を吐出して記録を行う。次いで、第2走査では、384〜575番のノズルの中から、図23に示す19個のノズルが選定され、これらのノズルによって記録を行う。以下、第3走査、第4走査も同様に、各ノズル群の中から選定した19個のノズルを用いて記録動作を行う。この記録動作によってパッチ形成領域には、図22に示すようなドットdが形成される。図中、ドットd内に記載された数字は、各ドットを形成した走査の順番を示している。
第1〜第4走査によって吐出されたインク滴は、記録媒体上の同一位置に重なった状態で着弾し、ドットdを形成する。これにより、各ドットdの濃度は、1つのドット形成位置に1つのインク滴のみが着弾する1パス記録で形成されるドッドの濃度より増大する。その結果、パッチがかすれていく際の濃度の変化は、1パス記録時に比べて大きくなる。このため、閾値濃度を下廻る直前のパッチの濃度と、閾値濃度を下廻った直後のパッチの濃度との濃度差を光学センサによって確実に読み取ることが可能となる。
また、この第3の実施形態では、同時に使用される数が上記第1の実施形態よりも少ないため、記録時の電圧降下をさらに低減することが可能となる。このため、電源電圧の変動をより確実に回避することが可能となり、適正な閾値駆動エネルギの測定が可能となる。
[第4の実施形態]
次に本発明の第4の実施形態を説明する。
この第4の実施形態においても、記録ヘッドH1001のノズル列を4つのノズル群に分け、各ノズル群を用いて、上記各実施形態と同様にマルチパス記録を行う。但し、この第4の実施形態では、第1走査で吐出されたインク滴より形成されたドットの上に、第3走査によって吐出されたインク滴を重ね、第2走査によって形成されたドットの上に第4走査によって吐出されたインク滴を重ねてパッチの記録を行う。
具体的には、第1走査において、ラスタ方向である主走査方向(X方向)に沿って1ドットおきにドットを形成して行き、その後、第2走査において第1走査で形成されたドットの間にドットを形成する。さらに、第3走査では、第1走査で形成されたドットに重なるように1ドットおきにインク滴を着弾させ、第4走査では、第2走査によって形成されたドットに重なるように1ドットおきにインク滴を着弾させる。
このように、記録媒体上の同一位置に2つのインク滴を重ねてドットを形成するため、各ドットの濃度は高まる。従って、上記第1、第2の実施形態と同様に、閾値濃度を下廻る直前のパッチの濃度と、閾値濃度を下廻った直後のパッチの濃度との濃度差を光学センサによって確実に読み取ることが可能となる。また、各走査では、1つのノズル群のみを用いて記録を行うため、記録時の電圧降下を減少させることができ、電源電圧の変動を抑えつつ記録動作を行うことができる。また、各走査では、上記第1の実施形態と同様に各ノズル群の全てのノズルを使用しても良いし、第2の実施形態と同様に各ノズル群の中から選定した一部のノズルを使用しても良い。
また、往走査と復走査の双方においてインク滴を吐出させながら記録を行う、いわゆる双方向記録を実施した場合にも、全てのドット形成位置において、先行するインク滴が着弾してから後続のインク滴が重ねて着弾するまでには一往復走査分の時間が存在する。この一往復走査の間に先行するインク滴はある程度定着し、その上に後続のインク滴が着弾するため、記録媒体の表層には、より多くの色材が定着し、高濃度のドットを形成することができる。また、この第4の実施形態では、第1走査と第3走査とによって形成されたドットと、第2走査と第4走査とによって形成されたドットとが、カラム方向である副走査方向(Y方向)において交互に配置される。このため、同一走査で隣接位置に着弾するインク滴の中心間距離を大きくとることができ、同一走査で着弾した未定着なインク滴同士の重なり及び結合を抑えることができる。すなわち、各インク滴をそれぞれ独立した状態で定着させることが可能となり、これもドットを高濃度に形成する上で有効に作用する。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
この第5の実施形態では、上記第2の実施形態と同様に、記録ヘッドH1001のノズル列を構成する各ノズル群の中から、所定数のノズルのみを用いて第1走査〜第4走査を行い、図25に示すようにドットを形成する。但し、図25では、各ノズル群の中から1ノズルおきにノズルを選定している。なお、図23において、各ドットを指す数字(1),(2),(3),(4)は、そのドットが形成される走査の順番を示している。
パッチの記録において、第1走査では、ラスタ方向である主走査方向(X方向)に沿って1ドットおきにインク滴を着弾させてドットd(1)を形成し、第2走査では第1走査で形成されたドットd(1)の間にインク滴を着弾させてドットd(2)を形成する。さらに、第3走査においても1ドットおきにインク滴を着弾させてドットd(3)を形成する。この際、第1走査および第2走査で形成されたドットの双方に重なる位置にインク滴を着弾させる。この後、第4走査では、第3走査で形成されたドットの間にインク滴を着弾させてドットd(4)を形成する。従って、ここで形成されるドットも、第1走査および第2走査で形成されたドットd(1),d(2)の上に重なる。
このように、この第5の実施形態では、第3走査および第4の走査で形成されるドットd(3),d(4)が、第1走査および第2走査で形成されたドットd(1),d(2)の上に重なるため、ドットの形成領域における濃度を高めることが可能となる。これにより、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。
この第6の実施形態では、第1〜第4の走査によって形成される各ドットdを、直前の走査によって形成されたドットに一部重ねて記録する。以下では、1/2ドット分だけ重ねて記録する例について説明するが、重なり量は1/2に限られるものではなく、隣接ドットが部分的に重なればよい。
第1走査では、1ドットおきにインク滴を着弾させてドットd(1)を形成し、第2走査では、第1走査において形成されたドットd(1)に1/2ドット分だけ重なるような位置にインク滴を着弾させてドットd(2)を形成する。さらに、第3走査では、第2走査で形成されたドットに1/2ドット分だけ重なるような位置にインク滴を着弾させてドットd(3)を形成する。第4走査では、第3走査で形成されたドットd(3)に1/2ドット分だけ重なるような位置にインク滴を着弾させてドットd(4)を形成する。このようにして、隣接するドットが順次1/2ドットずつ重なるようにドットを形成することにより、ドット形成位置における濃度は高濃度となり、光学センサによる測定精度を高めることが可能となる。また、各走査において使用されるノズル数は、全ノズル数の1/4となるため、電圧降下を低減させることができ、電源電圧の変動を抑えつつ記録動作を行うことができる。
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態を説明する。
上記各実施形態では、マルチパス記録により、複数のインク滴を重ねて着弾させることによって各ドットの濃度を1パス記録時よりも高めるようにした。これに対し、この第7の実施形態では、マルチパス記録によって1パス記録時と同一の着弾位置にインク滴を着弾させてパッチを記録する。すなわち、複数回の走査によって、各ドット形成位置に1つのインク滴を着弾させて記録を行う。これによっても、1パス記録時より高濃度のパッチを形成することが可能になる。
以下、この理由を図27および図28を用いて説明する。
1パス記録によってパッチを記録する場合、記録ヘッドの各ノズルからは、図27(a)に示すように同時にインク滴が吐出され、それらは同時に記録媒体P上に着弾する。記録媒体上に同時に着弾したインクは、図27(b)に示すように互いに結合し、その色材が記録媒体Pの内部に深く浸透する。その結果、記録媒体上の表面に残存するる色材量は少なくなり、形成されたパッチは比較的低い濃度となる。
これに対し、マルチパス記録が行われた場合には、図28(a)〜(e)に示すように、隣接位置に形成されるドットが、異なる走査で形成される。つまり、隣接するドットは大きな時間差をもって形成される。このため、先の走査で着弾したインク滴が定着した後に次の走査のインク滴が着弾することとなり、隣接するインク滴は、それぞれ独立した状態で記録媒体に定着する。その結果、記録媒体の内方に浸透する色材は少なくなり、記録媒体Pの表面近くに多くの色材が定着する。このため、マルチパス記録されたパッチは、1パスで記録されたパッチより高濃度となり、光学センサによる濃度測定を正確に行うことが可能となる。さらに、マルチパス記録では、1回の走査において駆動されるノズル数が減少するため、1パス記録よりも電圧降下による電源電圧の変動を低減することができる。
[第8の実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態を説明する。
上記各実施形態では、1つのパッチ形成領域に対し異なるノズル群を走査させるマルチパス記録を行う場合を示した。これに対しこの第8の実施形態では、図29に示すように、一つのパッチ形成領域に対して同一のノズル群を複数回走査させるマルチパス記録によってパッチTの記録を行う。すなわち、上記各実施形態では、各走査毎にノズル群の幅に応じた距離だけ記録媒体を搬送するが、この第8の実施形態では、パッチを記録する複数回の走査中には記録媒体の搬送を実行しない。これによっても、上記実施形態と同様に、電圧降下を押さえつつ高濃度のパッチを記録することが可能となり、正確な閾値エネルギの測定が可能となる。
[第9の実施形態]
次に、本発明の第9の実施形態を説明する。
上記の各実施形態では、駆動電圧を一定値に固定し、駆動パルス幅を段階的に変化させつつ閾値駆動エネルギの測定を行ったが、駆動パルス幅を一定値に固定し、駆動電圧を段階的に変化させつつ閾値駆動エネルギの測定を行うことも可能である。この第9の実施形態は、後者の測定方式を採用する。
すなわち、この第9の実施形態では、まず、駆動パルス幅を通常の記録動作に用いるパルス幅の1/kのパルス幅に固定する。次に、図11に示す電源回路により、駆動電圧を最大値に設定し、マルチパス記録によってパッチTを記録する。
次に、前記パッチの濃度を光学センサで読み取り、その濃度が閾値を下廻るか否かを判断する。駆動電圧が下廻らなければ、駆動電圧を電源回路を用いて一定電圧値だけ低下させ、再びパッチの記録動作を行う。この動作を、光学センサで読み取った濃度が閾値濃度を下廻るまで繰り返す。そして、パッチの濃度が閾値濃度を下廻った時点で、そのパッチを形成した電圧の直前に設定された電圧を閾値駆動電圧Vthとして設定する。この後、駆動パルス幅を通常の記録に使用するパルス幅に戻し、そのパルス幅と測定した閾値駆動電圧Vthとにより、最適な吐出エネルギを設定する。これによっても、駆動パルス幅を段階的に変更する場合と同様に閾値駆動エネルギを設定することができる。
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、パッチを記録する際の駆動電圧または駆動パルス幅を、インク滴が吐出されなくなるまで徐々に下げて行くことにより、閾値駆動エネルギを測定するようにした。しかし、最初にパッチの記録動作を行う際の駆動パルスの電圧または駆動パルス幅を低い電圧またはパルス幅に設定し、記録ヘッドからインク滴が吐出され始めるまで、徐々に駆動電圧または駆動パルス幅を上げて行く方式を採ることも可能である。すなわち、インク滴が吐出され始めたときの駆動パルス幅または駆動電圧を閾値として設定することも可能である。
なお、閾値濃度は、完全にインクが吐出されなくなるときだけでなく、パッチがかすれ始めるとき、あるいは両者の中間等に設定しても良い。
また、上記実施形態により設定された駆動パルスの値を記録装置本体、あるいは記録ヘッドの記憶手段に記憶し、次に駆動条件設定モードが起動されるまでの間は、記憶手段に記憶されている値を用いるようにすることも可能である。
また、ユーザによる指示がない場合にも、インク滴の吐出回数や記録枚数などのように記録ヘッドの吐出性能に変化を来たすような条件が成立した段階で、自動的に上記の測定動作が実行されるようにすることも可能である。例えば、吐出回数のカウント値が所定数(例えば10の8乗回)に達したとき、または標準的なサイズの記録用紙に換算した記録枚数が所定枚数(例えばA4で1000枚)に達したときに、ユーザに駆動条件設定モードへの移行を促す構成とすることも可能である。
上記各実施形態では、インク滴の吐出エネルギ発生素子として電気熱変換素子(ヒータ)を備える記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置を示した。しかし、本発明は、ピエゾなどの電気機械変換素子を備えた記録ヘッドを使用するインクジェット記録装置、あるいはその他のサーマル方式を採るインクジェット記録装置などにも適用可能である。さらに、本発明は、記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有する記録ヘッドを備えた、いわゆるフルライン型のインクジェット記録装置にも適用可能である。すなわち、フルライン型のインクジェット記録装置であっても、同一色のインクを吐出するノズル列を記録媒体の搬送方向に複数列備えたものであれば、本発明は適用可能である。この場合、各ノズル列によって記録媒体を順次走査するため、シリアル型と同様に同一のパッチ形成領域を複数回の走査することとなる。
また、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インターフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムあるいは、1つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)のいずれにも適用可能である。
さらに、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給するようにしても良い。この場合、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても本発明の所期の目的は達成される。従って、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステムなどが実際の処理の一部または全部を行うことで、前述した実施形態の機能を実現させるようにすることも可能である。
以上、本発明によれば、記録ヘッドのばらつき(ヒータ抵抗、ヒータ駆動素子の抵抗、ヘッド配線抵抗、ヒータ熱効率など)、プリンタ本体側のバラツキ(電源容量、電源ライン抵抗)などを考慮して記録ヘッドの駆動条件を正確に設定することが可能になる。これにより、記録ヘッドの吐出の安定化および耐久性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態で適用する記録システムにおける画像データ処理の流れを説明するための図である。 図1の記録システムにおいて、ホスト装置のプリンタドライバが記録装置に渡す記録データの構成例を示す説明図である。 実施形態で用いられる記録装置がドット配列パターン化処理で変換する入力レベルに対する出力パターンを示した図である。 実施形態で用いられる記録装置が実行するマルチパス記録方法を説明するための模式図である。 実施形態で用いられる記録装置の斜視図であり、使用時において左斜め上方から見た状態を示している。 実施形態で用いられる記録装置本体の内部機構を説明するための斜視図であり、左斜め上方から見た状態を示している。 実施形態で用いられる記録装置本体の内部機構を説明するための側断面図である。 本発明の実施形態における電気的回路の全体構成を概略的に示すブロック図である。 図11におけるメイン基板の内部構成例を示すブロック図である。 実施形態で適用したヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態示した斜視図である。 図11におけるヘッド駆動電圧変調回路に備わるDC/DCコンバータの他の例を説明するための回路図である。 図16のDC/DCコンバータの出力電圧の説明図である。 本発明の第1の実施形態において実施されるPth測定の動作手順を示すフローチャートである。 記録ヘッドに設定されるヘッドランクと、そのヘッドランクに対応して設定される閾値駆動パルス幅との関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態によって形成されるPth測定用のテストパターンを示す図である。 図15に示したパッチと光センサによる測定範囲との関係を示す拡大図である。 本発明の第1の実施形態において測定された濃度とヒータランクとの関係を示す図である。 (a)は本発明の第1〜第8の実施形態においてPth測定用パッチを記録する際に行われるマルチパス記録の一例を示す模式図、(b),(c)はPth測定用パッチの記録時におけるノズルの使用形態を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態においてPth測定用パッチを形成した際のドットの形成状態を示す図であり、(a)は複数のドットを同一位置に重ねて形成した状態を、(b)は複数のドットを僅かにずらした位置に形成した状態を、それぞれ示している。 本発明の第1の実施形態においてPth測定用パッチを形成する際の各走査に使用するノズルの具体例を示す図である。 本発明の第2の実施形態において実施されるPth測定の動作手順を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態においてPth測定用パッチを形成した際のドットの形成状態を示す図である。 本発明の第3の実施形態においてPth測定用パッチを形成する際の各走査に使用するノズルの具体例を示す図である。 本発明の第4の実施形態においてPth測定用パッチを形成した際のドットの形成状態を示す図である。 本発明の第5の実施形態においてPth測定用パッチを形成した際のドットの形成状態を示す図である。 本発明の第6の実施形態においてPth測定用パッチを形成した際のドットの形成状態を示す図である。 1パス記録時において記録媒体に着弾したインク滴の浸透状態を模式的に示す図である。 本発明の第7の実施形態におけるマルチパス記録時により記録媒体に着弾したインク滴の浸透状態を模式的に示す図である。 本発明の第8の実施形態においてPth測定用パッチを記録する際に行われるマルチパス記録を示す模式図である。
符号の説明
H1001 記録ヘッド
J0013 記録装置
M4000 キャリッジ
E3001 ヘッド駆動電圧変調回路
11 誤差増幅器
12 コンパレータ
13 MOSドライバ
14 D/Aコンバータ
15 基準電圧回路
16 D/Aコンバータ
Q101 スイッチ素子
VH 駆動電圧
C 制御信号
Ng ノズル群
SA 光学センサの測定範囲
d ドット

Claims (9)

  1. 記録ヘッドの記録素子を駆動してインクを吐出させることで記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置であって、
    異なる駆動条件に基づいて前記記録素子を駆動することで、前記異なる駆動条件に対応した複数のパッチを前記記録媒体に記録するパッチ記録手段と、
    前記複数のパッチに基づいて、前記複数の駆動条件の中から使用すべき駆動条件を決定する手段とを備え、
    前記パッチ記録手段は、前記複数のパッチ夫々を前記記録ヘッドの複数回の走査で記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 記録ヘッドの記録素子に電気エネルギを供給してインクを吐出させることにより、記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前記記録素子に供給する電気エネルギを段階的に変化させて、各段階に対応するパッチを前記記録媒体上に記録するパッチ記録手段と、
    前記パッチ記録手段により記録された前記各段階に対応するパッチを読取るためのセンサと、
    前記センサによる読取り結果に基づいて、前記記録素子に供給すべき電気エネルギを決定する決定手段とを備え、
    前記パッチ記録手段は、前記各段階に対応するパッチ夫々を、前記記録ヘッドの複数回の走査で記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 前記パッチ記録手段は、前記記録ヘッドの複数の記録素子全てを用いて前記複数のパッチ夫々の記録を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記パッチ記録手段は、前記記録ヘッドの複数の記録素子の一部を用いて前記複数のパッチ夫々の記録を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記センサは、前記パッチの濃度を読み取るものであり、
    前記決定手段は、前記センサによって読み取った濃度が予め設定した濃度を下廻ったか否かに応じて、前記記録素子に供給する電気エネルギを決定するものであり、
    前記パターン記録手段は、予め定めた段階に対応する電気エネルギを前記記録素子に供給して前記パッチを記録した後、当該記録されたパッチの、前記センサによって読み取られた濃度が予め定めた濃度以上である場合には、前記記録素子に供給する電気エネルギを一段階低下させて再度パッチの記録を行い、
    前記決定手段は、前記パッチの濃度が予め定めた濃度を下廻る直前の段階の電気エネルギを閾値として定めると共に、予め定めた係数を前記閾値に乗じて求めた電気エネルギを前記記録素子に供給すべき電気エネルギとして決定することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記センサは、前記パッチの濃度を読み取るものであり、
    前記決定手段は、前記センサによって読み取った濃度が予め設定した濃度を上廻ったか否かに応じて、前記記録素子に供給すべき電気エネルギを決定するものであり、
    前記パターン記録手段は、予め定めた段階に対応する電気エネルギを前記記録素子に供給して前記パッチを記録した後、当該記録されたパッチの、前記センサによって読み取られた濃度が予め定めた濃度以下である場合には、前記記録素子に供給する電気エネルギを一段階上昇させて再度パッチの記録を行い、
    前記決定手段は、前記パッチの濃度が予め定めた濃度を上廻った段階に対応する電気エネルギを閾値として定めると共に、予め定めた係数を前記閾値に乗じて求めた電気エネルギを前記記録素子に供給すべき電気エネルギとして決定することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記パッチ記録手段は、前記記録素子の配列方向における前記パッチの幅が、前記センサの読み取り領域の前記記録素子の配列方向における幅以下となるように、前記パッチの記録を行うことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記パッチ記録手段は、前記電気エネルギを段階的に変化させるために、前記記録素子に印加する駆動電圧を一定に保ちながら、前記駆動電圧の印加時間を段階的に変化させることを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記パッチ記録手段は、前記電気エネルギを段階的に変化させるために、前記記録素子に印加する駆動電圧の印加時間を一定に保ちながら、前記駆動電圧を段階的に変化させることを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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