JP2008229864A - インクジェット記録方法および画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送量ばらつきによって起こる低周波の濃度むらと、クラスタサイズを大きくすることによって招致される粒状性の双方を、状況に応じてバランスよく抑制することが可能なインクジェット記録方法を提供することである。
【解決手段】モノクロモードのような低周波な濃度むらが懸念されやすい記録モードでは、比較的大きなクラスタから構成されるマスクパターンを使用し、それ以外の記録モードでは、比較的小さなクラスタから構成されるマスクパターンを使用する。これにより、搬送ローラの形状変異などによって起こる低周波の濃度むらと、クラスタサイズを大きくすることによって招致される粒状性の双方を、記録モードに応じて適切に抑制することが可能になる。
【選択図】図10
【解決手段】モノクロモードのような低周波な濃度むらが懸念されやすい記録モードでは、比較的大きなクラスタから構成されるマスクパターンを使用し、それ以外の記録モードでは、比較的小さなクラスタから構成されるマスクパターンを使用する。これにより、搬送ローラの形状変異などによって起こる低周波の濃度むらと、クラスタサイズを大きくすることによって招致される粒状性の双方を、記録モードに応じて適切に抑制することが可能になる。
【選択図】図10
Description
本発明は、搬送される記録媒体に対し、インクを吐出する複数の吐出口を備えた記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録に関する。特に、記録媒体の搬送量のばらつきに起因する画像品位の劣化を抑制するための制御方法に関する。
近年市場が拡大しているインクジェット記録装置では、普通紙を主体としたオフィス文書の出力だけでなく、専用紙を用いて銀塩写真に迫る高画質な画像を出力することも可能になっている。これは、インクジェット記録ヘッドから吐出するインク滴の高密度化や小量化を促進する技術、また通常よりもインク中の色材濃度を抑えたライト系のインクを併用する技術のように、画像の粒状性を低減する技術に因るところが大きい。インク滴の少量化について言えば、従来の数十pl程度から約1pl程度にまで抑えられてきており、この程度の量であればライト系のインクを併用せずとも粒状感が目立たず、銀塩写真に相当する画像を出力することが出来る。
銀塩写真のような高品位画像へのニーズは、モノクロ写真の分野でも高まってきており、近年のインクジェット記録装置では、モノクロ写真を出力するための専用モード(以下モノクロモードと称す)を備えたものも提供されている。
図1は、モノクロモードにおける従来の一般的な色変換処理を説明するための図である。色変換処理とは、256階調で表される濃度データを記録装置で使用するインク色の出力データに変換する処理であり、ここではホワイト(濃度データ0)からブラック(濃度データ255)に信号値が徐々に上がっていくグレーラインについて示している。
図において、低濃度領域では、ライトシアン(LC)やライトマゼンタ(LM)のようなライト系のインクを積極的に用い、イエローを加えた3色で明度の高いグレーを表現している。濃度値が中間値に達した辺りから、濃度の高いシアン(C)やマゼンタ(M)を徐々に使用し、更に高濃度領域に至ってからブラックインク(Bk)の使用を開始する。そして、濃度の高いインクの増加と共にライト系のインクの出力値は低下させていく。このように、濃度レベルの変化に応じてインクの使用量を各色で徐々に増減させることにより、ハイライト部の粒状感を抑制しつつも、広い階調領域を表現することが可能となる。このような色変換間処理は予め用意された3次元のLUTを用いることによって行われ、後に図17を用いて説明する一連の画像処理の一部となっている。
しかしながら、図1のようにカラーインクのコンポジットブラックによってグレーの階調を表現する方法では、実際に記録された色が、理想的な無彩色軸(クレーライン)からある階調で部分的にずれる(色転び)現象がしばしば確認されている。これは、記録ヘッドから吐出されるインク滴の量(吐出量)が、記録ヘッドや記録装置によってばらつくことに起因している。記録ヘッドの吐出量が各色でばらついていると、各色の吐出量のバランスも記録ヘッドや記録装置によってまちまちとなり、予め用意された色変換処理テーブルでは、理想的なグレーラインを表現出来なくなってしまうからである。
よって近年では、粒状感が気にならない程度まで吐出量を抑える技術の推進とも相俟って、グレーラインの全階調でブラックインクを使用しつつ、銀塩写真に匹敵する高品位なブラック画像を出力する記録方法が提案されている。(例えば特許文献1参照。)
図2は、特許文献2で採用されているモノクロモードにおける色変換処理を説明するための図である。この色変換処理では、ブラックインクが階調のハイライト部から使用されているとともに、他のカラーインクの出力値がブラックインクに比べて抑えられていることが特徴となっている。このように全階調で、ブラックインクが主として使用されつつ、各色の出力値が単調増加になっているような信号値変換であれば、特定の階調で無彩色軸(グレーライン)から色がずれる(色転び)ことはない。よって、グレーバランスに優れたモノクロ写真を出力することが可能となる。
図2は、特許文献2で採用されているモノクロモードにおける色変換処理を説明するための図である。この色変換処理では、ブラックインクが階調のハイライト部から使用されているとともに、他のカラーインクの出力値がブラックインクに比べて抑えられていることが特徴となっている。このように全階調で、ブラックインクが主として使用されつつ、各色の出力値が単調増加になっているような信号値変換であれば、特定の階調で無彩色軸(グレーライン)から色がずれる(色転び)ことはない。よって、グレーバランスに優れたモノクロ写真を出力することが可能となる。
しかしながら、以前では然程問題となっていなかった記録装置本体の僅かな誤差であっても、小液滴のブラックインクを用いる近年のモノクロモードでは、画像弊害を招致してしまう場合がある。記録装置本体に含まれる機構的な誤差は、記録ヘッドから吐出されるインクが形成するドットの配列に粗密を生じさせるが、このような粗密は、使用するインク滴が小液滴かつ色材濃度が高いほど、濃度むらとして認識されやすいからである。
但し、このような記録装置本体の機構的誤差に起因する濃度むらについては、マルチパス記録方法を採用することによりある程度低減することが出来る。
図3は、マルチパス記録方法を簡単に説明するための模式図である。ここでは簡単のため、記録ヘッド3000に8つのノズル3006が用意されている例で説明する。記録ヘッド3000は、図の主走査方向に移動する際に個々のノズル3006よりインクを吐出し、記録媒体3004に複数のドット3005を形成する。マルチパス記録では、1回の記録主走査で記録可能な全てのドットの記録は行わず、記録可能なドットのうちの一部を記録する。2パスのマルチパス記録の場合、ドットの記録率は通常約50%である。第1記録走査における記録ヘッド3000の記録媒体3004に対する位置を、ここでは3001とする。
第1記録走査が終了すると、記録媒体が記録ヘッドの記録幅よりも少ない量(ここでは4ノズル分)だけ副走査方向に搬送され、記録ヘッド3000は記録媒体3004に対し3002の位置に配置される。この位置で記録ヘッド3000は、第2記録走査を実行する。このとき、既に前回の記録走査でドットが記録された位置には記録せず、前回の記録走査でドットが記録されなかった位置について記録を行う。更なる副走査の後、記録ヘッド3000は、図の3003の位置で第3記録走査を実行する。
以上説明したような記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体には段階的に画像が形成されていく。このようなマルチパス記録において、主走査方向に配列する同一ライン上のドットは、記録ヘッドの異なる2つのノズルによる2回の記録走査で記録される。よって、先述した機械的誤差によって個々のノズルの記録位置にばらつきが含まれていても、個々のノズルの特性は同一ラインに集中せず分散され、画像全体が滑らかになる。
ここでは、2パスのマルチパス記録方法について説明したが、マルチパス記録では3パス以上のマルチパス数を採用することも可能である。この場合、各記録走査におけるドットの記録率と各記録主走査間に行われる副走査量とが、マルチパス数にあわせて調整されればよい。一般に、各記録走査時の記録位置(ドット記録の許容/非許容)は、装置本体などに予め用意されたマスクパターンによって定められることが多い。
図4(a)および(b)は、2パスのマルチパス記録に採用可能なマスクパターンの一例を示した図である。図4(a)は、奇数走査で使用するマスクパターン、同図(b)は偶数走査で使用するマスクパターンをそれぞれ示している。図において、黒く塗りつぶした領域はドットの記録を許容する画素、白く示した領域はドットの記録を許容しない画素を示しており、2つのマスクパターンは互いに補完の関係を有している。
図5は、上記マスクパターンを使用したマルチパス記録の記録状態を、図3で示した記録ヘッド3000を用いて示した図である。まず、記録ヘッド3000は、図4(a)で示したマスクパターンを用い、下半分のノズルによって第1記録走査を実行する。その後4ノズル分の副走査が行われた後、図4(b)で示したマスクパターンを用い、全8ノズルによる第2の記録走査を行う。更に、4ノズル分の副走査が行われた後、再び図4(a)で示したマスクパターンを用いて、全8ノズルによる第3の記録走査を行う。図では、以上3回の記録主走査によって記録された画像を5004として示している。
マルチパス記録におけるマスクパターンは、そのパターン内容を工夫することにより、上述したような一様性の向上のほか、様々な画像弊害を抑制することが出来る。例えば特許文献2には、M画素×N画素を1つの記録単位(以下クラスタと称す)とし、これらを互いに隣接しないように配置したマスクパターンを用いることにより、双方向記録時の色むらを抑制する技術が開示されている。
また、特許文献3には、M画素×N画素をクラスタとしながらも、互いのクラスタをランダムに配置させた構成のマスクパターンが開示されている。マルチパス記録における一様性向上効果を十分に発揮するためには、各記録走査で使用されるマスクパターンが2値化処理後のドット配列や、周期性を有する装置本体のノイズと同調しないことが望まれる。このような状況において、図4に示したマスクパターンや特許文献2に開示されたマスクパターンのように比較的短い周期を有するマスクパターンでは、2値化処理後のドット配列や装置本体のノイズと同調してしまう恐れがある。しかし、記録許容画素の配置分布が周期性を有さないランダムマスクでは、2値化処理後のドット配列や装置本体のノイズとの同調が回避されるので、一様性に優れた画像出力を期待することが出来る。
更に、特許文献5では、顔料インクを用いたインクジェット記録装置において、記録媒体の光沢度に応じて、マルチパスの記録走査数やマスクパターンのクラスタサイズを変更する技術が開示されている。
しかしながら、以上説明したいずれのマスクパターンを使用した場合であっても、小液滴のブラックインクを用いる近年のモノクロモードでは、記録媒体を搬送する搬送回転体の誤差に起因する濃度むらについては、十分に抑制することは出来なかった。以下に、上記搬送誤差について具体的に説明する。
図6は、一般的なシリアル型のインクジェット記録装置の各機構を説明するための概略構成図である。キャリッジモータ2の駆動力によって、装置内に張架されたキャリッジベルト4が回転し、これに連結されたキャリッジ1は図の主走査方向に移動する。キャリッジベルトと平行に延在するリニアエンコーダ3のパターンを、キャリッジ1に備えられた不図示のエンコーダセンサが読み取ることにより、キャリッジ1の現在位置や速度を計測することが出来る。キャリッジ1には、インクを吐出する記録ヘッドが搭載されており、記録ヘッドは主走査方向の移動中に、画像データとエンコーダセンサから得られた位置情報に基づいてインクを吐出する。
記録ヘッドによる1回の記録走査が完了すると、搬送モータ6の回転によって搬送ローラ5が回転し、これに接触する記録媒体10を副走査方向に所定量搬送する。搬送モータ6から搬送ローラ5への駆動力の伝達は、搬送ベルト8によって行われる。搬送ローラ5には、同じ回転軸を有するロータリエンコーダ7が取り付けられており、ロータリエンコーダ7の回転量すなわち搬送ローラ5による記録媒体の搬送量は、装置に固定されているエンコーダ受光部11によって計測される。但し、このような1つのエンコーダ受光部11では搬送量の検出精度にも限界がある。よって、例えば特許文献4には、ロータリエンコーダ7に対し複数のエンコーダ受光部を用意し、複数の搬送量情報に基づいて搬送量に補正を加える技術が開示されている。近年のモノクロモードでは、このような搬送量検出の高精度化のほか、図6に示す各機構部品の高精度化も要求される。
しかしながら、搬送ローラ5の回転量が比較的精度の高い状態で検出できた場合であっても、搬送ローラ5に偏芯、外形変動、たわみ等が存在すると、回転量と搬送量の間にずれが生じる。そして、検出した回転量に対する実質的な搬送量の変動が、搬送ローラの一回転を周期とする濃度むらとして現れ、モノクロ写真を出力するような場合には無視できない状況となっている。
図7(a)および(b)は、搬送ローラ5の変形に起因する回転量に対する搬送量のずれを説明するための搬送ローラ断面図である。図7(a)は搬送ローラ5の断面が真円である場合を、同図(b)は楕円である場合をそれぞれ示している。搬送ローラ5の断面が真円である場合、搬送ローラ5の回転量Rに対する搬送量L0は一定である。すなわち、搬送ローラ5のどの位置の側面であっても回転量Rに対する搬送量はL0となる。これに対し、搬送ローラ5の断面が楕円の場合、搬送ローラ5の回転量Rに対する搬送量は側面の位置によって変動する。図では、同じ回転量Rに対し最も搬送量の多いL1の位置と、最も搬送量の少ないL2の位置をそれぞれ示している。この場合、L1>L0>L2の関係が成り立つ。このような搬送量のばらつきは、1パス記録を行った場合には記録走査毎のつなぎすじとなって現れる。また、マルチパス記録を行った場合には濃度むらとなって現れる。
図8は、上記搬送量の変位がマルチパス記録において濃度むらを招致する様子を説明するための図である。図の左側は搬送ローラによる位相、中央はそれぞれの位相によってドットの着弾位置がずれる方向、右側は記録媒体に実際に記録されるドットの粗密状態を示している。
搬送ローラ5の位相がL1である場合、搬送量は通常より大きくなるため、ドットは理想的な位置よりも搬送方向に進んだ位置に記録される。一方、搬送ローラ5の搬送量がL2である場合、搬送量は通常よりも小さくなるため、ドットは理想的な位置よりも搬送方向に遅れた位置に記録される。そのため、均一な画像を記録した場合であっても、右図に示すように、搬送ローラの一回転を周期としたドットの粗密すなわち濃度むらが縞状に現れる。このようなドットの粗密および濃度むらは、図7に示した搬送ローラの変形のみならず、偏心やたわみなどによっても引き起こされる。以下、このように発生する濃度むらを本明細書では搬送むらと称する。
比較的低周波の搬送むらは、高濃度で小液滴のブラックインクを用いて記録するモノクロ風景写真の背景などで顕著に現れる。また、A3ノビサイズのような比較的大判の記録媒体の場合には、出力後の画像を観察する際の画角が広くなるので、一層目立ちやすくなる。
但し、上記搬送むらに対しても、既に説明した特許文献2や特許文献3の技術を採用することである程度改善することが出来る。以下に、その原理を簡単に説明する。上記特許文献に開示されているようにM×N画素を一塊にしたクラスタを用いてマスクパターンを構成した場合、1つのクラスタ内にある複数のドットは、同じ位相条件のもと同じ記録走査で記録されるので、これらの間に搬送むらによるドットの粗密は起こらない。搬送むらの影響を受ける箇所は、異なる記録走査で記録された隣接するクラスタの境界部分のみとなる。これに対し、クラスタを用いないマスクパターンでは、隣接するすべてのドット間で搬送むらの影響を受け、これが広い画角で観察した場合の濃淡むらを招致している。すなわち、より大きなクラスタを用いた場合、搬送むらの影響を受ける箇所を少なくすることが出来るので、結果として画像上の弊害を目立たなくすることが出来る。
しかしながら、クラスタのサイズをあまり大きくしてしまうと、個々のクラスタが1つの単位として視覚的に認識されるようになり、画像の粒状性を悪化させる場合がある。このような粒状性は、主にカラー画像を双方向のマルチパス記録で出力した場合に目立ちやすい。例えば、本発明者らが行った以下の条件で出力された画像においては、明らかに粒状性の悪化が確認された。特に、光沢紙のように、インクのにじみ率すなわちドット径が小さく、真円に近いドットが形成されるような場合には、より大きな問題となる。
(記録条件)
マスクパターン:4×4のクラスタを有するランダムマスク
記録解像度:1200×1200dpi(ドット/インチ;参考値)
吐出量:4pl/dot
使用インク:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ
このように、近年の小液滴なインクで記録するインクジェット記録装置では、搬送むらを抑える程度までクラスタサイズを大きくすると粒状感が目立ち、粒状感が目立たない程度にクラスタサイズを抑えると上記搬送むらが目立ってしまうと言う、状況が発生する。すなわち、搬送むらと粒状感のどちらともを好適に抑制することが出来なかった。
(記録条件)
マスクパターン:4×4のクラスタを有するランダムマスク
記録解像度:1200×1200dpi(ドット/インチ;参考値)
吐出量:4pl/dot
使用インク:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ
このように、近年の小液滴なインクで記録するインクジェット記録装置では、搬送むらを抑える程度までクラスタサイズを大きくすると粒状感が目立ち、粒状感が目立たない程度にクラスタサイズを抑えると上記搬送むらが目立ってしまうと言う、状況が発生する。すなわち、搬送むらと粒状感のどちらともを好適に抑制することが出来なかった。
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものである。よって、その目的とするところは、搬送量ばらつきによって起こる低周波の濃度むらと、クラスタサイズを大きくすることによって招致される粒状性の双方を、状況に応じてバランスよく抑制することが可能なインクジェット記録方法を提供することである。
そのために本発明では、記録データに基づいて記録媒体にドットを記録する記録素子の複数を副走査方向に配列させてなる記録ヘッドを前記副走査方向とは交差する主走査方向に移動させる主走査と、該主走査のたびに前記副走査方向に前記記録媒体を前記記録ヘッドに対して相対的に所定量ずつ搬送する搬送動作と、を間欠的に繰り返すことにより前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記搬送動作における誤差によって招致される濃度むらの抑制を重視する第1の記録モードと画像の粒状感を抑制することを重視する第2の記録モードを少なくとも含む複数の記録モードの中から、一つの記録モードを選択する工程と、個々のエリアに対するドット記録の許容あるいは非許容が定められたマスクパターンの複数の中から、一つのマスクパターンを、選択された前記記録モードに応じて設定する工程と、設定された前記マスクパターンを使用することにより、前記主走査のそれぞれで前記記録ヘッドが記録するデータを定める工程と、を有し、前記マスクパターンは、前記副走査方向に連続するNエリア(N≧1)と前記主走査方向に連続するMエリア(M≧1)を1つのクラスタとし、該クラスタの単位でドット記録の許容あるいは非許容が定められており、前記第1の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのNの値は、前記第2の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのNの値よりも大きいことを特徴とする。
また、記録データに基づいて記録媒体にドットを記録する記録素子の複数を副走査方向に配列させてなる記録ヘッドを前記副走査方向とは交差する主走査方向に移動させる主走査と、該主走査のたびに前記副走査方向に前記記録媒体を前記記録ヘッドに対して相対的に所定量ずつ搬送する搬送動作と、を間欠的に繰り返すことにより前記記録媒体に画像を記録するための画像処理装置であって、前記搬送動作における誤差によって招致される濃度むらの抑制を重視する第1の記録モードと画像の粒状感を抑制することを重視する第2の記録モードを少なくとも含む複数の記録モードの中から、一つの記録モードを選択する手段と、個々のエリアに対するドット記録の許容あるいは非許容が定められたマスクパターンの複数の中から、一つのマスクパターンを、選択された前記記録モードに応じて設定する手段と、設定された前記マスクパターンを使用することにより、前記主走査のそれぞれで前記記録ヘッドが記録するデータを定める手段と、を有し、前記マスクパターンは、前記副走査方向に連続するNエリア(N≧1)と前記主走査方向に連続するMエリア(M≧1)を1つのクラスタとし、該クラスタの単位でドット記録の許容あるいは非許容が定められており、前記第1の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのNの値は、前記第2の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのNの値よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、搬送ローラの形状変異などによって起こる低周波の濃度むらと、クラスタサイズを大きくすることによって招致される粒状性の双方を、記録モードなどの状況に応じてバランスよく抑制することが可能になる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
1.基本構成
1.1 記録システムの概要
図17は、本発明の一実施形態で適用する記録システムにおける画像データ処理の流れを説明するための図である。この記録システムJ0011は、記録すべき画像を示す画像データの生成やそのデータ生成のためのUI(ユーザインタフェース)の設定等を行うホスト装置J0012を具える。またこのホスト装置J0012で生成された画像データに基づいて記録媒体に記録を行う記録装置J0013を具える。記録装置J0013は、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、レッド(R)、グリーン(G)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、グレー(Gray)の10色インクによって記録を行う。そのために、これら10色のインクを吐出する記録ヘッドH1001が用いられる。これら10色のインクは、色材として顔料を含む顔料インクである。
1.基本構成
1.1 記録システムの概要
図17は、本発明の一実施形態で適用する記録システムにおける画像データ処理の流れを説明するための図である。この記録システムJ0011は、記録すべき画像を示す画像データの生成やそのデータ生成のためのUI(ユーザインタフェース)の設定等を行うホスト装置J0012を具える。またこのホスト装置J0012で生成された画像データに基づいて記録媒体に記録を行う記録装置J0013を具える。記録装置J0013は、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、レッド(R)、グリーン(G)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、グレー(Gray)の10色インクによって記録を行う。そのために、これら10色のインクを吐出する記録ヘッドH1001が用いられる。これら10色のインクは、色材として顔料を含む顔料インクである。
ホスト装置J0012のオペレーティングシステムで動作するプログラムとしてアプリケーションやプリンタドライバがある。アプリケーションJ0001は記録装置で記録するための画像データを作成する処理を実行する。この画像データもしくはその編集等がなされる前のデータは種々の媒体を介してPCに取り込むことができる。本実施形態のホスト装置は、まずデジタルカメラで撮像した例えばJPEG形式の画像データをCFカードによって取り込むことができる。また、スキャナで読み取った例えばTIFF形式の画像データやCD−ROMに格納される画像データをも取り込むことができる。さらには、インターネットを介してウェブ上のデータを取り込むことができる。これらの取り込まれたデータは、ホスト装置のモニタに表示されてアプリケーションJ0001を介した編集、加工等がなされ、例えばsRGB規格の画像データR、G、Bが作成される。ホスト装置J0012のモニタに表示されるUI画面において、ユーザは、記録に使用する記録媒体の種類や記録の品位等の設定を行うと共に記録指示を出す。この記録指示に応じて画像データR、G、Bがプリンタドライバに渡される。
プリンタドライバはその処理として、前段処理J0002、後段処理J0003、γ補正J0004、ハーフトーニングJ0005および記録データ作成J0006を有している。以下、プリンタドライバで行われる各処理J0002〜J0006について簡単に説明する。
(A)前段処理
前段処理J0002は色域(Gamut)のマッピングを行う。本実施形態では、sRGB規格の画像データR、G、Bによって再現される色域を、記録装置J0013によって再現される色域内に写像するためのデータ変換を行う。具体的には、R、G、Bのそれぞれが8ビットで表現された256階調の画像データR、G、Bを、3次元LUTを用いることにより、記録装置J0013の色域内の8ビットデータR、G、Bに変換する。
前段処理J0002は色域(Gamut)のマッピングを行う。本実施形態では、sRGB規格の画像データR、G、Bによって再現される色域を、記録装置J0013によって再現される色域内に写像するためのデータ変換を行う。具体的には、R、G、Bのそれぞれが8ビットで表現された256階調の画像データR、G、Bを、3次元LUTを用いることにより、記録装置J0013の色域内の8ビットデータR、G、Bに変換する。
(B)後段処理
後段処理J0003では、上記色域のマッピングがなされた8ビットデータR、G、Bに基づき、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせに対応した8ビット・10色の色分解データを求める。すなわち、Y、M、Lm、C、Lc、K1、K2、R、G、Grayの色分解データを求める。本実施形態では、この処理は前段処理と同様3次元LUTに補間演算を併用して行う。
後段処理J0003では、上記色域のマッピングがなされた8ビットデータR、G、Bに基づき、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせに対応した8ビット・10色の色分解データを求める。すなわち、Y、M、Lm、C、Lc、K1、K2、R、G、Grayの色分解データを求める。本実施形態では、この処理は前段処理と同様3次元LUTに補間演算を併用して行う。
(C)γ処理
γ補正J0004は、後段処理J0003によって求められた色分解データの各色のデータごとにその濃度値(階調値)変換を行う。具体的には、記録装置J0013の各色インクの階調特性に応じた1次元LUTを用いることにより、上記色分解データがプリンタの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
γ補正J0004は、後段処理J0003によって求められた色分解データの各色のデータごとにその濃度値(階調値)変換を行う。具体的には、記録装置J0013の各色インクの階調特性に応じた1次元LUTを用いることにより、上記色分解データがプリンタの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
(D)ハーフトーニング
ハーフトーニングJ0005は、γ補正がなされた8ビットの色分解データY、M、Lm、C、Lc、K1、K2、R、G、Grayそれぞれについて4ビットのデータに変換する量子化を行う。本実施形態では、誤差拡散法を用いて256階調の8ビットデータを9階調の4ビットデータに変換する。この4ビットデータは、記録装置におけるドット配置のパターン化処理における配置パターンを示すためのインデックスとなるデータである。
ハーフトーニングJ0005は、γ補正がなされた8ビットの色分解データY、M、Lm、C、Lc、K1、K2、R、G、Grayそれぞれについて4ビットのデータに変換する量子化を行う。本実施形態では、誤差拡散法を用いて256階調の8ビットデータを9階調の4ビットデータに変換する。この4ビットデータは、記録装置におけるドット配置のパターン化処理における配置パターンを示すためのインデックスとなるデータである。
(E)印刷データの作成処理
プリンタドライバで行う処理の最後には、印刷データ作成処理J0006によって、上記4ビットのインデックスデータを内容とする記録画像データに記録制御情報を加えた記録データを作成する。
プリンタドライバで行う処理の最後には、印刷データ作成処理J0006によって、上記4ビットのインデックスデータを内容とする記録画像データに記録制御情報を加えた記録データを作成する。
図18はかかる記録データの構成例を示した図である。記録データは、記録の制御を司る記録制御情報および記録すべき画像を示す記録イメージ情報(上述の4ビットのインデックスデータ)で構成されている。記録制御情報は、「記録媒体情報」、「記録品位情報」、および給紙方法等のような「その他制御情報」から構成されている。記録媒体情報には、記録の対象となる記録媒体の種類が記述されており、普通紙、光沢紙、はがき、プリンタブルディスクなどのうち、いずれか1種類の記録媒体が規定されている。記録品位情報には、記録の品位が記述されており、「きれい(高品位記録)」、「標準」、「はやい(高速記録)」等のうち、いずれか1種の品位が規定されている。なお、これらの記録制御情報は、ホスト装置J0012のモニタおけるUI画面にてユーザが指定した内容に基づいて形成されるものである。また、記録イメージデータは、前述のハーフトーン処理J0005によって生成された画像データが記述さているものとする。以上のようにして生成された記録データは、記録装置J0013へ供給される。
記録装置J0013は、ホスト装置J0012から供給された当該記録データに対して、次に述べるドット配置パターン化処理J0007およびマスクデータ変換処理J0008を行う。
(F)ドット配置パターン化処理
上述したハーフトーン処理J0005では、256値の多値濃度情報(8ビットデータ)を9値の階調値情報(4ビットデータ)まで階調レベル数を下げている。しかし、実際に記録装置J0013が記録できるデータは、インクドットを記録するか否かの2値データ(1ビットデータ)である。そこで、ドット配置パターン化処理J0007では、ハーフトーン処理J0005からの出力値である階調レベル0〜8の4ビットデータで表現される画素ごとに、その画素の階調値(レベル0〜8)に対応したドット配置パターンを割当てる。これにより1画素内の複数のエリア各々にインクドットの記録の有無(ドットのオン・オフ)を定義し、1画素内のエリアごとに「1」または「0」の1ビットの2値データを配置する。ここで、「1」はドットの記録を示す2値データであり、「0」は非記録を示す2値データである。
上述したハーフトーン処理J0005では、256値の多値濃度情報(8ビットデータ)を9値の階調値情報(4ビットデータ)まで階調レベル数を下げている。しかし、実際に記録装置J0013が記録できるデータは、インクドットを記録するか否かの2値データ(1ビットデータ)である。そこで、ドット配置パターン化処理J0007では、ハーフトーン処理J0005からの出力値である階調レベル0〜8の4ビットデータで表現される画素ごとに、その画素の階調値(レベル0〜8)に対応したドット配置パターンを割当てる。これにより1画素内の複数のエリア各々にインクドットの記録の有無(ドットのオン・オフ)を定義し、1画素内のエリアごとに「1」または「0」の1ビットの2値データを配置する。ここで、「1」はドットの記録を示す2値データであり、「0」は非記録を示す2値データである。
図19は、本実施形態のドット配置パターン化処理で変換する、入力レベル0〜8に対する出力パターンを示している。図の左に示した各レベル値は、ホスト装置側のハーフトーン処理部からの出力値であるレベル0〜レベル8に相当している。右側に配列した縦2エリア×横4エリアで構成される領域は、ハーフトーン処理で出力される1画素の領域に対応するものである。また、1画素内の各エリアは、ドットのオン・オフが定義される最小単位に相当するものである。なお、本明細書において「画素」とは、階調表現可能な最小単位のことであり、複数ビットの多値データの画像処理(上記前段、後段、γ補正、ハーフトーニング等の処理)の対象となる最小単位である。
図において、丸印を記入したエリアがドットの記録を行うエリアを示しており、レベル数が上がるに従って、記録するドット数も1つずつ増加している。本実施形態においては、最終的にこのような形でオリジナル画像の濃度情報が反映されていることになる。
(4n)〜(4n+3)は、nに1以上の整数を代入することにより、記録すべき画像データの左端からの横方向の画素位置を示している。その下に示した各パターンは、同一の入力レベルにおいても画素位置に応じて互いに異なる複数のパターンが用意されていることを示している。すなわち、同一のレベルが入力された場合にも、記録媒体上では(4n)〜(4n+3)に示した4種類のドット配置パターンが巡回されて割当てられる構成となっているのである。
図19においては、縦方向を記録ヘッドの吐出口が配列する方向、横方向を記録ヘッドの走査方向としている。このように同一レベルに対して複数の異なるドット配置で記録できる構成にしておくことは、ドット配置パターンの上段に位置するノズルと下段に位置するノズルとで吐出回数を分散させたり、記録装置特有の様々なノイズを分散させるという効果がある。
以上説明したドット配置パターン化処理を終了した段階で、記録媒体に対するドットの配置パターンが全て決定される。
(G)マスクデータ変換処理
上述したドット配置パターン化処理J0007により、記録媒体上の各エリアに対するドットの有無は決定されたので、このドット配置を示す2値データを記録ヘッドH1001の駆動回路J0009に入力すれば、所望の画像を記録することが可能である。この場合、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を1回の走査によって完成させる、いわゆる1パス記録が実行される。しかし、ここでは、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を複数回の走査によって完成させる、いわゆるマルチパス記録の例をとって説明する。
上述したドット配置パターン化処理J0007により、記録媒体上の各エリアに対するドットの有無は決定されたので、このドット配置を示す2値データを記録ヘッドH1001の駆動回路J0009に入力すれば、所望の画像を記録することが可能である。この場合、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を1回の走査によって完成させる、いわゆる1パス記録が実行される。しかし、ここでは、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を複数回の走査によって完成させる、いわゆるマルチパス記録の例をとって説明する。
図20は、マルチパス記録方法を説明するために、記録ヘッドおよび記録パターンを模式的に示したものである。本実施形態に適用される記録ヘッドH1001は実際には768個のノズル(記録素子)を有するが、ここでは簡単のため16個のノズルを有するものとして説明する。ノズルは、図のように第1〜第4の4つのノズル群(グループ)に分割され、各ノズル群には4つずつのノズルが含まれている。マスクパターンP0002は、第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)で構成される。第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)は、それぞれ、第1〜第4のノズルグループが記録可能なエリアを定義している。マスクパターンにおける黒塗りエリアは記録許容エリアを示し、白塗りエリアは非許容エリアを示している。第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)は互いに補完の関係にあり、これら4つのマスクパターンを重ね合わせると4×4のエリアに対応した領域の記録が完成される構成となっている。
P0003〜P0006で示した各パターンは、記録走査を重ねていくことによって画像が完成されていく様子を示したものである。各記録走査が終了するたびに、記録媒体は図の矢印の方向にノズルグループの幅分(この図では4ノズル分)ずつ搬送される。よって、記録媒体の同一領域(各ノズル群の幅に対応する領域)は4回の記録走査によって初めて画像が完成される構成となっている。以上のように、記録媒体の各同一領域が複数回の走査で複数のノズル群によって形成されることは、ノズル特有のばらつきや記録媒体の搬送精度のばらつき等を低減させる効果がある。
図21は、本実施形態の記録装置で使用可能なマスクパターンの一例を示したものである。本実施形態で適用する記録ヘッドH1001は768個のノズルを有しており、4つのノズル群にはそれぞれ192個ずつのノズルが属している。マスクパターン大きさは、縦方向がノズル数と同等の768エリア、横方向は256エリアとなっており、4つのノズル群それぞれに対応する4つのマスクパターンで互いに補完の関係を保つような構成となっている。
ところで、本実施形態で適用するような、多数の小液滴を高周波数で吐出するようなインクジェット記録ヘッドにおいては、記録動作時に記録部近傍に気流が生じる場合があることが知られている。そして、この気流が特に記録ヘッドの端部に位置するノズルの吐出方向に影響を与えることが確認されている。よって、本例のマスクパターンにおいては、図21からも判るように、各ノズル群また同一のノズル群の中でも、領域によって記録許容率の分布に偏りを持たせている。図21で示すように、端部のノズルの記録許容率を中央部の記録許容率よりも小さくした構成のマスクパターンを適用することにより、端部のノズルにより吐出されるインク滴の着弾位置ずれによる弊害を目立たなくすることが可能となるのである。
なお、マスクパターンで定められる記録許容率とは、つぎのようなものである。つまりマスクパターンを構成する記録許容エリア(図20のマスクパターンP0002の黒塗りエリア)と非記録許容エリア(図20のマスクパターンP0002の白塗りエリア)の合計数に対する記録許容エリアの数の割合を百分率で表したものである。すなわち、マスクパターンの記録許容エリアをM個、非記録許容エリアをN個とすると、そのマスクパターンの記録許容率(%)は、M÷(M+N)×100となる。
但し、ここで説明したマスクパターンは、本実施形態の記録装置の一般的な動作を実現するための一例を示したものであり、本発明を特徴付けるマスクパターンとは異なる。本発明を特徴付けるようなマスクパターンについては、後に詳しく説明する。
このような一般的なマスクパターンにせよ、後に説明する本発明の特徴的なマスクパターンにせよ、本実施形態においては、このようなマスクデータが記録モードや記録媒体の種類に対応して複数用意され、記録装置本体内のメモリに格納されている。そして、マスクデータ変換処理J0008においては、当該マスクデータと上述したドット配置パターン化処理で得られた2値データとの間でAND処理をかけることにより、各記録走査での記録対象となる2値データが決定される。そして、その2値データを駆動回路J0009へ送る。これにより、記録ヘッドH1001が駆動されて2値データに従ってインクが吐出される。
なお、図17では、前段処理J0002、後段処理J0003、γ処理J0004、ハーフトーニングJ0005および記録データ作成処理J0006がホスト装置J0012で実行されるものとした。また、ドット配置パターン化処理J0007およびマスクデータ変換処理J0008が記録装置J0013で実行されるものとした。しかし本発明は、この形態に限られるものではない。例えば、ホスト装置J0012で実行している処理J0002〜J0005の一部を記録装置J0013にて実行する形態であってもよいし、すべてをホスト装置J0012にて実行する形態であってもよい。あるいは、処理J0002〜J0008を記録装置J0013にて実行する形態であってもよい。
1.2 機構部の構成
本実施形態で適用する記録装置における各機構部の構成を説明する。本実施形態における記録装置本体は、各機構部の役割から、概して、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、フラットパス記録部、およびクリーニング部等に分類することができ、これらは外装部に収納されている。
本実施形態で適用する記録装置における各機構部の構成を説明する。本実施形態における記録装置本体は、各機構部の役割から、概して、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、フラットパス記録部、およびクリーニング部等に分類することができ、これらは外装部に収納されている。
図22、図23、図24、図28および図29は、本実施形態で適用する記録装置の外観を示す斜視図である。ここで、図22は記録装置の非使用時における前面から見た状態、図23は記録装置の非使用時における背面から見た状態、図24は記録装置の使用時における前面から見た状態をそれぞれ示している。また、図28はフラットパス記録時における前面から見た状態、図29はフラットパス記録時における背面から見た状態をそれぞれ示している。また、図25〜図27および図30〜図32は、記録装置本体の内部機構を説明するための図である。ここで、図25は右上部からの斜視図、図26は左上部からの斜視図、図27は記録装置本体の側断面図である。図30はフラットパス記録時の断面図である。さらに、図31はクリーニング部の斜視図、図32はクリーニング部におけるワイピング機構の構成および動作を説明するための断面図、図33はクリーニング部におけるウエット液転写部の断面図をそれぞれ示したものである。
以下、これらの図面を適宜参照しながら、各部を順次説明する。
(A)外装部(図22、図23)
外装部は、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、クリーニング部、フラットパス部およびウエット液転写部の回りを覆うように取り付けられている。外装部は主に、下ケースM7080、上ケースM7040、アクセスカバーM7030、コネクタカバーおよびフロントカバーM7010から構成されている。
(A)外装部(図22、図23)
外装部は、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、クリーニング部、フラットパス部およびウエット液転写部の回りを覆うように取り付けられている。外装部は主に、下ケースM7080、上ケースM7040、アクセスカバーM7030、コネクタカバーおよびフロントカバーM7010から構成されている。
下ケースM7080の下部には、不図示の排紙トレイレールが設けられており、分割された排紙トレイM3160が収納可能に構成されている。また、フロントカバーM7010は、非使用時に排紙口を塞ぐ構成になっている。
上ケースM7040には、アクセスカバーM7030が取り付けられており、回動可能に構成されている。上ケースの上面の一部は開口部を有しており、この位置で、インクタンクH1900および記録ヘッドH1001(図37)が交換可能となるように構成されている。なお、本実施形態の記録装置においては、記録ヘッドH1001は、1色のインクを吐出可能な吐出部を複数色分、一体的に構成したユニットの形態である。そして、インクタンクH1900が色毎に独立に着脱可能な記録ヘッドカートリッジH1000として構成されている。上ケースM7040には、アクセスカバーM7030の開閉を検知用の不図示のドアスイッチレバー、LEDの光を伝達・表示するLEDガイドM7060、電源キーE0018、リジュームキーE0019およびフラットパスキーE3004等が設けられている。また、多段式の給紙トレイM2060が回動可能に取り付けられており、給紙部が使われない時は、給紙トレイM2060を収納することにより、給紙部のカバーにもなるように構成されている。
上ケースM7040と下ケースM7080は、弾性を持った勘合爪で取り付けられており、その間のコネクタ部分が設けられている部分を、不図示のコネクタカバーが覆っている。
(B)給紙部(図24、図27)
図24および図27を参照するに、給紙部は次のように構成されている。すなわち、記録媒体を積載する圧板M2010、記録媒体を1枚ずつ給紙する給紙ローラM2080、記録媒体を分離する分離ローラM2041、記録媒体を積載位置に戻すための戻しレバーM2020等がベースM2000に取り付けられることで構成されている。
図24および図27を参照するに、給紙部は次のように構成されている。すなわち、記録媒体を積載する圧板M2010、記録媒体を1枚ずつ給紙する給紙ローラM2080、記録媒体を分離する分離ローラM2041、記録媒体を積載位置に戻すための戻しレバーM2020等がベースM2000に取り付けられることで構成されている。
(C)用紙搬送部(図24〜図27)
曲げ起こした板金からなるシャーシM1010には、記録媒体を搬送する搬送ローラM3060が回動可能に取り付けられている。搬送ローラM3060は、金属軸の表面にセラミックの微小粒がコーティングされた構成となっており、両軸の金属部分を不図示の軸受けが受ける状態で、シャーシM1010に取り付けられている。搬送ローラM3060にはローラテンションバネ(不図示)が設けられており、搬送ローラM3060を付勢することにより、回転時に適量の負荷を与えて安定した搬送が行えるようになっている。
曲げ起こした板金からなるシャーシM1010には、記録媒体を搬送する搬送ローラM3060が回動可能に取り付けられている。搬送ローラM3060は、金属軸の表面にセラミックの微小粒がコーティングされた構成となっており、両軸の金属部分を不図示の軸受けが受ける状態で、シャーシM1010に取り付けられている。搬送ローラM3060にはローラテンションバネ(不図示)が設けられており、搬送ローラM3060を付勢することにより、回転時に適量の負荷を与えて安定した搬送が行えるようになっている。
搬送ローラM3060には、従動する複数のピンチローラM3070が当接して設けられている。ピンチローラM3070は、ピンチローラホルダM3000に保持されているが、不図示のピンチローラバネによって付勢されることで、搬送ローラM3060に圧接し、ここで記録媒体の搬送力を生み出している。この時、ピンチローラホルダM3000の回転軸は、シャーシM1010の軸受けに取り付けられ、この位置を中心に回転する。
記録媒体が搬送されてくる入口には、記録媒体をガイドするためのペーパガイドフラッパM3030およびプラテンM3040が配設されている。また、ピンチローラホルダM3000には、PEセンサレバーM3021が設けられている。PEセンサレバーM3021は、記録媒体の先端および後端の検出をシャーシM1010に固定されたペーパエンドセンサ(以下PEセンサと称す)E0007に伝える役割を果たす。プラテンM3040は、シャーシM1010に取り付けられ、位置決めされている。ペーパガイドフラッパM3030は、不図示の軸受け部を中心に回転可能で、シャーシM1010に当接することで位置決めされる。
搬送ローラM3060の記録媒体搬送方向における下流側には、記録ヘッドH1001(図37)が設けられている。
上記構成における搬送の過程を説明する。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラーホルダM3000およびペーパガイドフラッパM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。この時、PEセンサレバ−M3021が、記録媒体の先端を検知して、これにより記録媒体に対する記録位置が求められている。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。プラテンM3040には、搬送基準面となるリブが形成されており、このリブにより、記録ヘッドH1001と記録媒体表面との間のギャップが管理されている。また同時に、当該リブが、後述する排紙部と合わせて、記録媒体の波打ちを抑制する役割も果たしている。
搬送ローラM3060が回転するための駆動力は、例えばDCモータからなるLFモータE0002の回転力が、不図示のタイミングベルトを介して、搬送ローラM3060の軸上に配設されたプーリM3061に伝達されることによって得られている。また、搬送ローラM3060の軸上には、搬送ローラM3060による搬送量を検出するためのコードホイールM3062が設けられている。そして、隣接するシャーシM1010には、コードホイールM3062に形成されたマーキングを読み取るためのエンコードセンサM3090が配設されている。なお、コードホイールM3062に形成されたマーキングは、150〜300lpi(ライン/インチ;参考値)のピッチで形成されているものとする。
(D)排紙部(図24〜図27)
排紙部は、第1の排紙ローラM3100および第2の排紙ローラM3110、複数の拍車M3120およびギア列などから構成されている。
排紙部は、第1の排紙ローラM3100および第2の排紙ローラM3110、複数の拍車M3120およびギア列などから構成されている。
第1の排紙ローラM3100は、金属軸に複数のゴム部を設けて構成されている。第1の排紙ローラM3100の駆動は、搬送ローラM3060の駆動が、アイドラギアを介して第1の排紙ローラM3100まで伝達されることによって行われている。
第2の排紙ローラM3110は、樹脂の軸にエラストマの弾性体M3111を複数取り付けた構成になっている。第2の排紙ローラM3110の駆動は、第1の排紙ローラM3100の駆動が、アイドラギアを介して伝達すること行われる。
拍車M3120は、周囲に凸形状を複数設けた例えばSUSでなる円形の薄板を樹脂部と一体としたもので、拍車ホルダM3130に複数取り付けられている。この取り付けは、コイルバネを棒状に設けた拍車バネによって行われているが、同時に拍車バネのばね力は、拍車M3120を排紙ローラM3100およびM3110に対し所定圧で当接させている。この構成によって拍車M3120は、2つの排紙ローラM3100およびM3110に従動して回転可能となっている。拍車M3120のいくつかは、第1の排紙ローラM3100のゴム部、あるいは第2の排紙ローラM3110の弾性体M3111の位置に設けられており、主に記録媒体の搬送力を生み出す役割を果たしている。また、その他のいくつかは、ゴム部あるいは弾性体M3111が無い位置に設けられ、主に記録時の記録媒体の浮き上がりを抑える役割を果たしている。
また、ギア列は、搬送ローラM3060の駆動を排紙ローラM3100およびM3110に伝達する役割を果たしている。
以上の構成によって、画像形成された記録媒体は、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイM3160に排出される。排紙トレイM3160は、複数に分割され、後述する下ケースM7080の下部に収納できる構成になっている。使用時は、引出して使用する。また、排紙トレイM3160は、先端に向けて高さが上がり、更にその両端は高い位置に保持されるよう設計されており、排出された記録媒体の積載性を向上し、記録面の擦れなどを防止している。
(E)キャリッジ部(図25〜図27)
キャリッジ部は、記録ヘッドH1001を取り付けるためのキャリッジM4000を有しており、キャリッジM4000は、ガイドシャフトM4020およびガイドレールM1011によって支持されている。ガイドシャフトM4020は、シャーシM1010に取り付けられており、記録媒体の搬送方向に対して交差する方向にキャリッジM4000を往復走査させるように案内支持している。ガイドレールM1011は、シャーシM1010に一体に形成されており、キャリッジM4000の後端を保持して記録ヘッドH1001と記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。また、ガイドレールM1011のキャリッジM4000との摺動側には、ステンレス等の薄板からなる摺動シートM4030が張設され、記録装置の摺動音の低減化を図っている。
キャリッジ部は、記録ヘッドH1001を取り付けるためのキャリッジM4000を有しており、キャリッジM4000は、ガイドシャフトM4020およびガイドレールM1011によって支持されている。ガイドシャフトM4020は、シャーシM1010に取り付けられており、記録媒体の搬送方向に対して交差する方向にキャリッジM4000を往復走査させるように案内支持している。ガイドレールM1011は、シャーシM1010に一体に形成されており、キャリッジM4000の後端を保持して記録ヘッドH1001と記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。また、ガイドレールM1011のキャリッジM4000との摺動側には、ステンレス等の薄板からなる摺動シートM4030が張設され、記録装置の摺動音の低減化を図っている。
キャリッジM4000は、シャーシM1010に取り付けられたキャリッジモータE0001によりタイミングベルトM4041を介して駆動される。また、タイミングベルトM4041は、アイドルプーリM4042によって張設、支持されている。さらに、タイミングベルトM4041は、キャリッジM4000とゴム等からなるキャリッジダンパを介して結合されており、キャリッジモータE0001等の振動を減衰することで、記録される画像のむら等を低減している。
キャリッジM4000の位置を検出するためのエンコーダスケールE0005(図34について後述)が、タイミングベルトM4041と平行に設けられている。エンコーダスケールE0005上には、150lpi〜300lpiのピッチでマーキングが形成されてている。そして、当該マーキングを読み取るためのエンコーダセンサE0004(図34について後述)が、キャリッジM4000に搭載されたキャリッジ基板E0013(図18について後述)に設けられている。キャリッジ基板E0013には、記録ヘッドH1001と電気的な接続を行うためのヘッドコンタクトE0101も設けられている。また、キャリッジM4000には、電気基板E0014から記録ヘッドH1001へ、駆動信号を伝えるための不図示のフレキシブルケーブルE0012(図34について後述)が接続されている。
記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に固定するための構成として次のものが設けられている。すなわち、記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に押し付けながら位置決めするための不図示の突き当て部と、所定の位置に固定するための不図示の押圧手段が、キャリッジM4000上に設けられている。押圧手段は、ヘッドセットレバーM4010に搭載され、記録ヘッドH1001をセットする際に、ヘッドセットレバーM4010を回転支点を中心に回して、記録ヘッドH1001に作用する構成になっている。
さらに、キャリッジM4000には、CD−R等の特殊メディアへ記録を行う際や、記録結果や用紙端部等の位置検出用として、反射型の光センサからなる位置検出センサM4090が取り付けられている。位置検出センサM4090は、発光素子より発光し、その反射光を受光することで、キャリッジM4000の現在位置を検出することができる。
上記構成において記録媒体に画像形成する場合、行位置に対しては、搬送ローラM3060およびピンチローラM3070からなるローラ対が、記録媒体を搬送して位置決めする。また、列位置に対しては、キャリッジモータE0001によりキャリッジM4000を上記搬送方向と垂直な方向に移動させて、記録ヘッドH1001を目的の画像形成位置に配置させる。位置決めされた記録ヘッドH1001は、電気基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対しインクを吐出する。記録ヘッドH1001についての詳細な構成および記録システムは後述する。本実施形態の記録装置においては、記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する記録主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを間欠的に繰り返す。これにより、記録媒体上に画像を形成していく構成となっている。
(F)フラットパス記録部(図28〜図30)
給紙部からの給紙は、図27に示したように記録媒体が通る経路がピンチローラに達するまで曲がっているため、記録媒体を曲げた状態で行われることになる。従って、例えば0.5mm程度以上の厚い記録媒体等を給紙部から給紙しようとすると、曲げられた記録媒体の反力が発生し、給紙抵抗が増えて給紙が行えない場合がある。また、給紙が可能であっても、排紙後の記録媒体が曲がったままとなったり、折れたりすることもある。
給紙部からの給紙は、図27に示したように記録媒体が通る経路がピンチローラに達するまで曲がっているため、記録媒体を曲げた状態で行われることになる。従って、例えば0.5mm程度以上の厚い記録媒体等を給紙部から給紙しようとすると、曲げられた記録媒体の反力が発生し、給紙抵抗が増えて給紙が行えない場合がある。また、給紙が可能であっても、排紙後の記録媒体が曲がったままとなったり、折れたりすることもある。
厚い記録媒体等、曲げたくない記録媒体や、CD−R等、曲げることのできない記録媒体に対して記録を行うのがフラットパス記録である。
ここで、フラットパス記録には本体背面のスリット上の開口部から(給紙装置の下)、手差し給紙の態様で記録媒体を本体のピンチローラにニップさせ、記録を行うタイプがある。しかし本実施形態のフラットパス記録は、記録媒体を本体手前の排紙口から記録位置まで給紙し、スイッチバックしてから記録を行う形態のものである。
フロントカバーM7010は、通常記録した記録媒体を数十枚程度積載しておくためのトレイを兼ねるために排紙部より下方にある(図24)。フラットパス記録時には、記録媒体を排紙口から水平に、通常の搬送方向とは反対方向に給紙するために、フロントトレイM7010を排紙口の位置まで上げる(図28)。フロントカバーM7010には不図示のフック等が設けられており、フラットパス給紙位置にフロントカバーM7010を固定可能である。フロントカバーM7010がフラットパス給紙位置にあることはセンサで検知可能であり、当該検知に応じてフラットパス記録モードと判断することができる。
フラットパス記録モードでは、記録媒体をフロントトレイM7010に載せて排紙口から記録媒体を挿入するために、まずフラットパスキーE3004を操作する。これによって、想定している記録媒体の厚みより高い位置まで、拍車ホルダM3130とピンチローラホルダM3000とを不図示の機構により持ち上げる。また通紙領域内にキャリッジM4000が存在するような場合などは、キャリッジM4000を不図示のリフト機構により持ち上げることにより、記録媒体を挿入し易くすることができる。またリアトレイボタンM7110を押すことによってリアトレイM7090を開き、さらにリアサブトレイM7091をV字に開くことも可能である(図29)。リアトレイM7090およびリアサブトレイM7091は、長い記録媒体を本体前面から挿入した場合は本体背面から突出するので、長い記録媒体を本体背面でも支えるためのトレイである。厚い記録媒体は記録中にフラットな姿勢を保たないとヘッドフェイス面と擦れたり、搬送負荷が変化したりすることから記録品位に影響を及ぼすおそれがあるので、これらのトレイの配設は有効である。しかし本体背面からはみ出ない程度の長さの記録媒体であれば、リアトレイM7090等を開く必要はない。
以上によって、記録媒体を排紙口から本体内に挿入可能となる。記録媒体の後端部(ユーザに最も近く位置する手前側の端部)と右端部とをフロントトレイM7010のマーカ位置に揃えて、フロントトレイM7010に載せる。
ここで再度フラットパスキーE3004を操作すると、拍車ホルダ3130が降りて排紙ローラM3100およびM3110と拍車3120とで記録媒体をニップする。その後、排紙ローラM3100,M3110で記録媒体を所定量本体内に引き込む(通常記録時の搬送方向とは逆方向)。最初に記録媒体をセットした際に記録媒体の手前側の端部(後端部)を揃えているので、短い記録媒体の前端部(ユーザから見て最も奥側の端部)は搬送ローラM3060まで届いていないことがある。従って所定量とは、想定している一番短い記録媒体の後端が搬送ローラM3060に届くまでの距離とする。所定量送られた記録媒体は搬送ローラM3060に届いているので、その位置でピンチローラホルダM3000を降ろして、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とで記録媒体をニップさせる。そして記録媒体をさらに送り、その後端部が搬送ローラM3060とピンチローラM3070とでニップされるようにする。これで記録媒体のフラットパス記録のための給紙が終了したことになる(記録待機位置)。
排紙ローラM3100およびM3110と拍車M3120とのニップ力は、通常記録時の排紙時に形成画像に影響を与えないよう、比較的低く設定されている。従って、フラットパス記録時には記録を行うまでに記録媒体の位置がずれてしまうおそれがある。しかし本実施形態では、ニップ力が比較的高い搬送ローラM3060とピンチローラM3070とによって記録媒体をニップさせるので、記録媒体のセット位置が確保されたことになる。また、記録媒体を上記所定量だけ本体内に送るとき、フラットパス紙検知センサレバー(以下FPPEセンサレバーと称す)M3170が、ここでは図示しない赤外線センサであるFPPEセンサE9001の光路を遮蔽または形成する。これにより、記録媒体の後端位置(記録時の前端位置となる)を検知することができる。なお、FPPEセンサレバーはプラテンM3040と拍車ホルダM3130の間に回動可能に設けられたものとすることができる。
記録媒体が上記記録待機位置に設定されると、記録コマンドを実行する。すなわち、記録ヘッドH1001による記録位置まで搬送ローラM3060で記録媒体を搬送し、後は通常の記録動作と同じように記録を行い、記録後フロントトレイM7010に排紙することになる。
フラットパス記録をさらに行いたい場合は、記録した記録媒体をフロントトレイM7010から取り出し、次の記録媒体をセットして、後は前述した処理を繰り返せばよい。具体的には、フラットパスキーE3004を押すことによって、拍車ホルダM3130とピンチローラホルダM3000とを持ち上げて、記録媒体をセットすることから始まる。
一方、フラットパス記録を終了する場合は、フロントトレイM7010を通常記録位置に戻すことによって通常記録モードに戻すことができる。
(G)クリーニング部(図31、図32)
クリーニング部は記録ヘッドH1001のクリーニングを行うための機構である。これは、ポンプM5000、記録ヘッドH1001の乾燥を抑えるためのキャップM5010、記録ヘッドH1001の吐出口形成面をクリーニングするためのブレードM5020などから構成されている。
クリーニング部は記録ヘッドH1001のクリーニングを行うための機構である。これは、ポンプM5000、記録ヘッドH1001の乾燥を抑えるためのキャップM5010、記録ヘッドH1001の吐出口形成面をクリーニングするためのブレードM5020などから構成されている。
本実施形態では、クリーニング部の主な駆動力は、不図示のAPモータE3005から伝達される。そして不図示のワンウェイクラッチにより、一方向の回転でポンプM5000を作動させ、もう一方向の回転ではブレードM5020の移動およびキャップM5010の昇降を行わせるようになっている。なお、APモータE3005は記録媒体の給紙動作の駆動源にも用いられるものであるが、クリーニング部の動作を行うための専用のモータが設けられていてもよい。
キャップM5010はモータE0003から不図示の昇降機構を介して昇降可能に駆動される。そして、上昇位置では、記録ヘッドH1500に設けた数個の吐出部のフェイス面毎にキャッピングを施し、非記録動作時等においてその保護を行ったり、あるいは吸引回復を行うことが可能である。また、記録動作時には記録ヘッド9との干渉を避ける下降位置に設定され、またフェイス面との対向によって予備吐出を受けることが可能である。例えば記録ヘッドH1001に10個の吐出部が設けられ、5個の吐出部のフェイス面毎に一括してキャッピングを施すことが可能となるよう、図示の例ではキャップM5010は2つ設けられている。
ゴム等の弾性部材でなるワイパ部M5020は不図示のワイパホルダに固定されている。ワイパホルダは図32の+Yおよび−Y方向(吐出部における吐出口の配列方向)に移動可能である。そして、記録ヘッドH1001がホームポジションに到達したときに、矢印−Y方向にワイパホルダが移動することによって、ワイピングが可能である。ワイピング動作が終了すると、キャリッジをワイピング領域の外に退避させてから、ワイパがフェイス面等と干渉しない位置に戻す。なお、本例のワイパ部M5020には、全吐出部のフェイス面を含む記録ヘッドH1001の面全体をワイピングするワイパブレードM5020Aが設けられている。また、5つの吐出部のフェイス面毎に、ノズル近傍をするワイピングする2つのワイパブレードM5020B,M5020Cが設けられている。
そして、ワイピング後には、ワイパ部M5020がブレードクリーナM5060に当接することにより、ワイパブレードM5020A〜M5020C自身へ付着したインクなども除去することができる構成になっている。また、ワイピングに先立ってワイパブレードM5020A〜M5020Cにウエット液を転写させておくことによりワイピングによるクリーニング性を向上する構成(ウエット液転写部)が設けられている。このウエット液転写部の構成およびワイピング動作については後述する。
吸引ポンプM5000は、キャップM5010をフェイス面に接合させてその内部に密閉空間を形成した状態で負圧を発生させることが可能である。これにより、インクタンクH1900から吐出部内にインクを充填させたり、吐出口もしくはその内方のインク路に存在する塵埃、固着物、気泡等を吸引除去したりすることができる。
吸引ポンプM5000としては、例えばチューブポンプ形態のものが用いられる。これは、可撓性を有するものとしたチューブの少なくとも一部を沿わせて保持する曲面が形成された部材と、これに向けて可撓性チューブを押圧可能なローラと、このローラを支持して回転可能なローラ支持部とを有するものとすることができる。すなわち、ローラ支持部を所定方向に回転させることで、ローラは曲面形成部材上で可撓性チューブを押しつぶしながら転動する。これに伴い、キャップM5010が形成する密閉空間に負圧が生じてインクが吐出口より吸引され、キャップM5010からチューブないし吸引ポンプに引き込まれる。そして、引き込まれているインクはさらに下ケースM7080に設けた適宜の部材(廃インク吸収体)に向けて移送される。
なお、キャップM5010の内側部分には、吸引後の記録ヘッドH1001のフェイス面に残るインクを削減するために、吸収体M5011が設けられている。また、キャップM5010を開放した状態で、キャップM5010ないし吸収体M5011に残っているインクを吸引することにより、残インクによる固着およびその後の弊害が起こらないように配慮されている。ここで、インク吸引経路の途中に大気開放弁(不図示)を設け、キャップM5010をフェイス面から離脱させる際に予めこれを開放しておくことで、フェイス面に急激な負圧が作用しないようにしておくことが好ましい。
また、吸引ポンプM5000は、吸引回復だけでなく、キャップM5010がフェイス面に対向した状態で行われる予備吐出動作によってキャップM5010に受容されたインクを排出するためにも作動させることができる。すなわち、予備吐出されてキャップM5010に保持されたインクが所定量に達したときに吸引ポンプM5000を作動させることで、キャップM5010内に保持されていたインクをチューブを介して廃インク吸収体に移送することができる。
以上のワイパ部M5020の動作、キャップM5010の昇降および弁の開閉など、連続して行われる一連の動作は、モータE0003の出力軸上に設けた不図示のメインカムおよびこれに従動する複数のカム,アーム等によって制御可能である。すなわち、モータE0003の回転方向に応じたメインカムの回動によってそれぞれの部位のカム部,アーム等が作動することで、所定の動作を行うことが可能である。メインカムの位置はフォトインタラプタ等の位置検出センサで検出することができる。
(H)ウエット液転写部(図33、図32)
最近では、記録物の記録濃度、耐水性および耐光性等を向上する目的で、色材として顔料成分を含有するインク(以下、顔料インクという)が使用されることが多くなってきている。顔料インクは、元来固体である色材を、分散剤や、顔料表面に官能基を導入するなどして水中に分散させてなるものである。従って、フェイス面上でインク中の水分が蒸発し乾燥した顔料インクの乾燥物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料系インクの乾燥固着物と比べ、フェイス面に与えるダメージが大きい。また、また顔料を溶剤中に分散させるために用いている高分子化合物がフェイス面に対して吸着されやすいという性質が見られる。これは、インクの粘度調整や、耐光性向上その他の目的でインクに反応液を添加する結果インク中に高分子化合物が存在する場合には、顔料インク以外でも生じる問題である。
最近では、記録物の記録濃度、耐水性および耐光性等を向上する目的で、色材として顔料成分を含有するインク(以下、顔料インクという)が使用されることが多くなってきている。顔料インクは、元来固体である色材を、分散剤や、顔料表面に官能基を導入するなどして水中に分散させてなるものである。従って、フェイス面上でインク中の水分が蒸発し乾燥した顔料インクの乾燥物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料系インクの乾燥固着物と比べ、フェイス面に与えるダメージが大きい。また、また顔料を溶剤中に分散させるために用いている高分子化合物がフェイス面に対して吸着されやすいという性質が見られる。これは、インクの粘度調整や、耐光性向上その他の目的でインクに反応液を添加する結果インク中に高分子化合物が存在する場合には、顔料インク以外でも生じる問題である。
この課題に対し、本実施形態では、ブレードM5020に液体を転写・付着させ、これによって濡れたブレードM5020でワイピングを行う。これにより、顔料インクによるフェイス面の劣化を防ぎ、かつワイパの磨耗を軽減し、さらにはフェイス面に蓄積したインク残渣を溶解させることによって蓄積物を除去するようにしている。かかる液体をその機能から本明細書ではウエット液と称し、これを用いるワイピングをウエットワイピングと称する。
本実施形態では、ウエット液を記録装置本体内部に貯蔵する構成がとられている。M5090はウエット液タンクであり、ウエット液としてグリセリン溶液等を収納している。M5100はウエット液保持部材で、ウエット液がウエット液タンクM5090から漏れないように適度な表面張力を有する繊維質部材等であり、ウエット液を含浸保持している。M5080はウエット液転写部材であり、例えば、多孔質であって適度な毛管力を備えた材質でなり、ワイパブレードと接触するウエット液転写部分M5081を有している。ウエット液転写部材M5080はウエット液が染み込んだウエット液保持部材M5100とも接しており、従ってウエット液転写部材M5080もウエット液が染み込むことになる。ウエット液転写部材M5080は、ウエット液が残り少なくなってもウエット液転写部分M5081へウエット液を供給できるだけの毛管力を有した材質である。
かかるウエット液転写部およびワイパ部の動作を説明する。
まず、キャップM5010を下降位置に設定し、キャリッジM4000がブレードM5020A〜M5020Cに触れない位置に退避させる。この状態で、ワイパ部M5020を−Y方向に移動させ、ブレードクリーナM5060の部位を通過させて、ウエット液転写部分M5081に接触させる(図33)。適切な時間だけ接触状態を維持することで、ブレードM5020にウエット液が適量転写される。
まず、キャップM5010を下降位置に設定し、キャリッジM4000がブレードM5020A〜M5020Cに触れない位置に退避させる。この状態で、ワイパ部M5020を−Y方向に移動させ、ブレードクリーナM5060の部位を通過させて、ウエット液転写部分M5081に接触させる(図33)。適切な時間だけ接触状態を維持することで、ブレードM5020にウエット液が適量転写される。
次にワイパ部M5020を+Y方向に移動させるが、ブレードがブレードクリーナM5060に触れるのはウエット液が付着していない面であるので、ウエット液はブレードに保持されたままになる。
ブレードをワイピング開始位置まで戻した後、キャリッジM4000をワイピング位置まで移動させる。再度、ワイパ部M5020を−Y方向に移動させることによって、ウエット液が付いた面で記録ヘッドH1001のフェイス面をワイピングすることが可能となる。
1.3 電気回路構成
次に本実施形態における電気的回路の構成を説明する。
図34は、記録装置J0013における電気的回路の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。本実施形態で適用する記録装置では、主にキャリッジ基板E0013、メイン基板E0014、電源ユニットE0015およびフロントパネルE0106等によって構成されている。
次に本実施形態における電気的回路の構成を説明する。
図34は、記録装置J0013における電気的回路の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。本実施形態で適用する記録装置では、主にキャリッジ基板E0013、メイン基板E0014、電源ユニットE0015およびフロントパネルE0106等によって構成されている。
ここで、電源ユニットE0015は、メイン基板E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4000に搭載されたプリント基板ユニットであり、ヘッドコネクタE0101を通じて記録ヘッドH1001との信号の授受、ヘッド駆動電源の供給を行うインターフェースとして機能する。ヘッド駆動電源の制御に供する部分として、記録ヘッドH1001の各色吐出部に対する複数チャネルのヘッド駆動電圧変調回路E3001を有しする。そして、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014から指定された条件に従ってヘッド駆動電源電圧を発生する。また、キャリッジM4000の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出する。更にその出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力する。
キャリッジ基板E0013には、図34に示すように、2つの発光素子(LED)E3011および受光素子E3013でなる光学センサE3010および周囲温度を検出するためのサーミスタE3020が接続されている。以下、これらのセンサをマルチセンサE3000として参照する。マルチセンサE3000により得られる情報は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力される。
メイン基板E0014は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットである。その基板上にホストインタフェース(ホストI/F)E0017を有しており、不図示のホストコンピュータからの受信データをもとに記録動作の制御を行う。また、キャリッジモータE0001、LFモータE0002、APモータE3005、PRモータE3006など、各種モータと接続されて各機能の駆動を制御している。キャリッジモータE0001は、キャリッジM4000を主走査させるための駆動源となるモータである。LFモータE0002、記録媒体を搬送するための駆動源となるモータである。APモータE3005は、記録ヘッドH1001の回復動作および記録媒体の給紙動作の駆動源となるモータである。PRモータE3006は、フラットパス記録動作の駆動源となるモータである。さらに、PEセンサ、CRリフトセンサ、LFエンコーダセンサ、PGセンサのような、プリンタ各部の動作状態を検出する様々なセンサに対して、制御信号および検出信号の送受信を行うためのセンサ信号E0104に接続される。また、メイン基板E0014は、CRFFC E0012および電源ユニットE0015にそれぞれ接続されるとともに、さらにパネル信号E0107を介してフロントパネルE0106と情報の授受を行うためのインターフェースを有している。
フロントパネルE0106は、ユーザ操作の利便性のために、記録装置本体の正面に設けたユニットである。これは、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018およびフラットパスキーE3004を有するほか(図22)、さらにデジタルカメラ等の周辺デバイスとの接続に用いるデバイスI/F E0100を有している。
図35は、メイン基板E1004の内部構成を示すブロック図である。
図において、E1102はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。これは、制御バスE1014を通じてROM E1004に接続され、ROM E1004に格納されたプログラムに従って、各種制御を行っている。例えば、各種センサに関連するセンサ信号E0104や、マルチセンサE3000に関連するマルチセンサ信号E4003の送受信を行う。そのほか、エンコーダ信号E1020、フロントパネルE0106上の電源キーE0018、リジュームキーE0019およびフラットパスキーE3004からの出力の状態を検出している。また、ホストI/F E0017、フロントパネル上のデバイスI/F E0100の接続およびデータ入力状態に応じて、各種論理演算や条件判断等を行い、各構成要素を制御し、インクジェット記録装置の駆動制御を司っている。
E1103はドライバ・リセット回路である。これは、ASIC E1102からのモータ制御信号E1106に従って、CRモータ駆動信号E1037、LFモータ駆動信号E1035、APモータ駆動信号E4001およびPRモータ駆動信号E4002を生成し、各モータを駆動する。さらに、ドライバ・リセット回路E1103は、電源回路を有しており、メイン基板E0014、キャリッジ基板E0013、フロントパネルE0106など各部に必要な電源を供給する。さらには電源電圧の低下を検出して、リセット信号E1015を発生および初期化を行う。
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1102からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。
ホストI/F E0017は、ASIC E1102からのホストI/F信号E1028を、外部に接続されるホストI/FケーブルE1029に伝達し、またこのケーブルE1029からの信号をASIC E1102に伝達する。
一方、電源ユニットE0015からは電力が供給される。供給された電力は、メイン基板E0014内外の各部へ、必要に応じて電圧変換された上で供給される。また、ASIC E1102からの電源ユニット制御信号E4000が電源ユニットE0015に接続され、記録装置本体の低消費電力モード等を制御する。
ASIC E1102は1チップの演算処理装置内蔵半導体集積回路であり、前述したモータ制御信号E1106、電源制御信号E1024および電源ユニット制御信号E4000等を出力する。そして、ホストI/F E0017との信号の授受を行うとともに、パネル信号E0107を通じて、フロントパネル上のデバイスI/F E0100との信号の授受を行う。さらに、センサ信号E0104を通じてPEセンサ、ASFセンサ等各部センサ類により状態を検知する。さらに、マルチセンサ信号E4003を通じてマルチセンサE3000を制御するとともに状態を検知する。またパネル信号E0107の状態を検知して、パネル信号E0107の駆動を制御してフロントパネル上のLED E0020の点滅を行う。
さらにASIC E1102は、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドH1001とのインターフェースをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はCRFFC E0012を通じて入力されるエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012を通じてキャリッジ基板E0013に接続される。そして、前述のヘッド駆動電圧変調回路E3001およびヘッドコネクタE0101を経て記録ヘッドH1001に供給されるとともに、記録ヘッドH1001からの各種情報をASIC E1102に伝達する。このうち吐出部毎のヘッド温度情報については、メイン基板上のヘッド温度検出回路E3002で信号増幅された後、ASIC E1102に入力され、各種制御判断に用いられる。
図中、E3007はDRAMであり、記録用のデータバッファ、ホストコンピュータからの受信データバッファ等として、また各種制御動作に必要なワーク領域しても使用されている。
1.4 記録ヘッド構成
以下に本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。 本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段およびインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有している。そして、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
以下に本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。 本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段およびインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有している。そして、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
図37は、本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900を装着する様子を示した図である。本実施形態の記録装置は、10色の顔料インクによって画像を形成する。10色とはシアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、レッド(R)、グリーン(G)およびグレー(Gray)である。従ってインクタンクT0001もこれら10色分のものが独立に用意されている。そして、図に示すように、インクタンクそれぞれがヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。なお、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
1.5 インク構成
以下に本発明で使用する10色のインクについて説明する。
本発明に用いられる10色とは、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、グレー(Gray)、レッド(R)およびグリーン(G)である。各色に用いられる着色剤は全てが顔料であることが好ましい。ここで、顔料の分散を行うためには、公知一般の分散剤を用いてもよいし、また公知一般の方法で顔料表面を改質し、自己分散性を付与してもよい。本発明の主旨にあえば、少なくとも一部の色に用いられる着色剤が染料であってもよい。また、少なくとも一部の色に用いられる着色剤が顔料と染料を調色した形でもよく、顔料を複数種ふくんでもよい。また本発明に用いられる10色インクには、本発明の主旨にある範疇で、水溶性有機溶剤・添加剤・界面活性剤・バインダー・防腐剤から選ばれる少なくとも1種以上が含まれてもよい。
以下に本発明で使用する10色のインクについて説明する。
本発明に用いられる10色とは、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、グレー(Gray)、レッド(R)およびグリーン(G)である。各色に用いられる着色剤は全てが顔料であることが好ましい。ここで、顔料の分散を行うためには、公知一般の分散剤を用いてもよいし、また公知一般の方法で顔料表面を改質し、自己分散性を付与してもよい。本発明の主旨にあえば、少なくとも一部の色に用いられる着色剤が染料であってもよい。また、少なくとも一部の色に用いられる着色剤が顔料と染料を調色した形でもよく、顔料を複数種ふくんでもよい。また本発明に用いられる10色インクには、本発明の主旨にある範疇で、水溶性有機溶剤・添加剤・界面活性剤・バインダー・防腐剤から選ばれる少なくとも1種以上が含まれてもよい。
(特徴事項)
以下に本発明の特徴的な構成を2つの実施例を挙げて詳細に説明する。
以下に本発明の特徴的な構成を2つの実施例を挙げて詳細に説明する。
実施例1のインクジェット記録装置は、普通紙のほか、コート紙や光沢紙等各種の記録媒体に対応する。更に、それぞれの記録媒体において、カラー印刷を主体としたカラーモードと、モノクロ印刷を主体としたモノクロモードが、ユーザによって選択可能に用意されている。ユーザは、プリンタドライバのUI画面上で、記録媒体の種類や、カラーモードかモノクロモードか、など様々な印刷条件を設定する。ここで設定された内容は、プリンタドライバにおける印刷データの作成処理J0006において、画像データと結合され記録装置J0013に転送される。
図9は、記録装置のASIC E1102が記録モードに応じてマスクパターンの設定を行う工程を説明するためのフローチャートである。まず、記録開始コマンドとともに、印刷データが記録装置J0012に入力されると(S1101)、ASIC E1102は今回の印刷について、カラーモードが設定されているか、モノクロモードが設定されているかを判断する(S1102)。
ステップS1102で、モノクロモードが設定されていると判断された場合は、ステップS1103に進み、クラスタサイズの大きいマスクパターン1が設定される。一方、カラーモードが設定されていると判断された場合は、ステップS1104へ進み、クラスタサイズの小さいマスクパターン2が設定される。以上で、本処理が終了する。
その後、記録装置は設定されたマスクパターンに従って、マスクデータ変換処理J0008を実行し、処理後の2値データを用いて記録を実行する。
図10(a)および(b)は、本実施例のカラーモードで使用するマスクパターン2(a)とモノクロモードで使用するマスクパターン1(b)の例をそれぞれ示した図である。ここでは、簡単のため、副走査方向に256個のノズルを備えた記録ヘッドが4パスのマルチパス記録を行う際のマスクパターンが示されている。
カラーモードの際に設定されるマスクパターン2は、クラスタサイズが1エリア×1エリアであり、黒く示した記録許容エリアが1エリア単位で分散して配置されている。一方、モノクロモードの際に設定されるマスクパターン1は、クラスタサイズが4エリア×4エリアであり、黒く示した記録許容エリアが比較的大きい16エリア単位で分散して配置されている。
図11(a)および(b)は、それぞれのマスクパターンを用いてマルチパス記録を行う際の、記録媒体に対する記録状態を説明するための模式図である。記録媒体に対する記録ヘッドによる記録位置は、記録走査の度に256/4=64エリア分ずつ副走査方向にシフトしていく。そのため、副走査方向に64エリアの幅を有する斜線で示した記録領域は、記録ヘッドの異なる4つの領域に対応する、互いに補完関係にある4種類のマスクパターンを用いた4回の記録走査によって、画像が完成される。
図12(a)〜(c)は、上記マスクパターン1および2における、搬送むら弊害の現れ方の差を調べるために、本発明者らが行った検証の結果を説明するための模式図である。ここでは、24μmの径を有するインクドットを、1200×1200dpiの記録密度で記録したときのドット配列状態を、条件を振って観察した。
図12(a)は、搬送量に全く誤差が発生していない場合の理想的なドット配列を示した図である。上記のようなドット径と記録密度の関係では、記録率が100%であっても、エリアファクタ、すなわち記録媒体がドットによって被覆される面積の割合は、100%に満たない。よって、ドットによって被覆されない白紙領域も、ドットと共に規則正しく配列している。
これに対し、図12(b)は、同図(a)と同じパターンを、マスクパターン2を用いつつ、+7.5μmの搬送量誤差を加えて記録した場合のドット配列を示している。更に、図12(c)は、同図(a)と同じパターンを、マスクパターン1を用いつつ、やはり+7.5μmの搬送量誤差を加えて記録した場合のドット配列を示している。
図12(b)および(c)共に、同図(a)に比べてドットの配置が乱れ、エリアファクタが低下している、すなわち白紙領域が多くなっていることが判る。また、図12(b)と(c)を比較した場合では、同図(b)の方が、エリアファクタが低いことも分かる。これは、クラスタサイズ1エリア×1エリアのマスクパターンでは、搬送量誤差による各記録走査間のずれは隣接する略全てのドット間で生じるが、4エリア×4エリアのマスクパターンでは、このような箇所を4ドットおきに減らすことが出来るからである。
図13は、上記搬送量誤差とエリアファクタの変動率の関係を、クラスタサイズの異なる2種類のマスクパターンで比較して説明するための図である。図において、横軸は搬送量誤差を示し、ここでは−7.5、−5.0、−2.5、0、+2.5、+5.0、+7.5μmの、7段階のデータが用意されている。また、縦軸は、それぞれの搬送量誤差に対応するエリアファクタの変動率を示している。エリアファクタ変動率とは、搬送量に誤差がなかった場合すなわち搬送量誤差が0の時のエリアファクタに対する、それぞれの搬送量誤差が含まれた場合のエリアファクタの比を表したものである。すなわち、
エリアファクタ変動率(x)=搬送量誤差(xμm)のときのエリアファクタ/搬送量誤差(0μm)のときのエリアファクタ
となる。そして、エリアファクタ変動率(x)=1の場合が最も理想的な画像が得られ、この価が1から離れるほど、上記理想的な画像との濃度差が大きくなる。
エリアファクタ変動率(x)=搬送量誤差(xμm)のときのエリアファクタ/搬送量誤差(0μm)のときのエリアファクタ
となる。そして、エリアファクタ変動率(x)=1の場合が最も理想的な画像が得られ、この価が1から離れるほど、上記理想的な画像との濃度差が大きくなる。
既に図7を用いて説明したような搬送ローラの変形が存在する場合、搬送量誤差は搬送動作の度に且つ周期的に+方向および−方向に変化する。すなわち、エリアファクタ変動率も1を中心に周期的に変化し、これが低周波の濃度むらを引き起こす。但し、エリアファクタ変動率を2つのマスクパターンで比較した場合、同程度の搬送量誤差が存在しても、4エリア×4エリアのクラスタを用いたマスクパターンの方が、エリアファクタ変動率が1に近い状態を保っている。すなわち、同じような搬送ローラの変形が存在し、同じように搬送量誤差が変化しても、大きなクラスタサイズを有するマスクパターンの方が、1周期内における濃度変動が少なく低周波の濃度むらが確認され難いと言える。
このようなクラスタサイズを大きく設定することの濃度むら低減への効果は、図12で示したように個々のドットが小さく、且つドットの濃度が高い場合に現れやすい。よって、近年のように、小液滴のブラックインクをハイライト領域から記録するようなモノクロモードでは、特に有効に用いることが出来る。このような理由から、本実施例では、再度図9を参照するに、モノクロモードが選択された場合において、クラスタサイズ4エリア×4エリアのマスクパターン1が設定される。
一方、カラーモードにおいても、上記搬送量誤差によるエリアファクタの変動は発生している。しかし、個々のインク色の濃度はブラックよりは低く、且つ複数インクのドットが混在し、ドット間のずれが発生する箇所も更に広い範囲に分散する。よって、クラスタサイズ1エリア×1エリアのマスクパターン2を用いても、ブラックモードの場合ほど搬送むらによる低周波の濃度むらは問題にならない。むしろ、クラスタサイズをモノクロモードと同様に拡大した場合には、既に説明したように画像の粒状性が悪化する懸念が強くなる。よって、本実施例においては、カラーモードが選択された場合において、クラスタサイズ1エリア×1エリアのマスクパターン2が設定される。
以上説明したように、本実施例においては、搬送ローラの形状の不均一性に起因する低周波の濃度むらが目立ちやすいモノクロモードでは、カラーモードに比べてマスクパターンのクラスタサイズを大きくする。これにより各記録モードに最適な画質を得られると共に、記録装置本体の機構的な誤差に起因する画像弊害も最小限に抑えることが可能となる。
以下に本発明の第2の実施例を説明する。本実施例は、人間の視覚特性を考慮し、出力する画像のサイズに応じてマスクパターンのクラスタサイズを変更することを特徴とする。
人間の視覚特性VTF(Visual Transfer Function)は、非特許文献1によって評価関数が提案されている。本文献によれば、この評価関数は下記式によって定義されている。
VTF=5.05×exp(−0.138×u)×(1−exp(−0.1×u))
u=f×R×π/180(cycles/degree)
f:空間周波数(cycles/mm)
R:観察距離(mm)
上式より、VTFは観察距離によってその特性が異なることがわかる。
VTF=5.05×exp(−0.138×u)×(1−exp(−0.1×u))
u=f×R×π/180(cycles/degree)
f:空間周波数(cycles/mm)
R:観察距離(mm)
上式より、VTFは観察距離によってその特性が異なることがわかる。
図15は、空間周波数に対する視覚特性を、観察距離Rを100、200、300mmと振ったそれぞれの場合を説明するための図である。図によれば、視覚特性上最も感度の高い空間周波数(ピーク位置)が、観察距離Rによって異なっているのがわかる。例えば、観察距離R=100mmでは、VTFのピークは約3cycle/mmであるのに対して、観察距離R=300mmでは、VTFのピークは約1cycle/mm、すなわち低周波側にシフトしていることがわかる。実際の観察においても、印刷サンプルと目の間隔を100mm程度に近づけた場合では、インクジェット記録特有のドットによる粒状感は見えやすくなるが、30mm〜40mm程度の周期で発生する搬送ローラの不均一によって生じる低周波のムラは見えにくくなる。一方、観察距離を300mm程度に離すと、ドットの粒状感はほとんど見えなくなるのに対して、低周波ムラは逆に目立ってくる。
近年のインクジェット記録装置では、写真サイズのL版や4×6等のような比較的小サイズから、A3やA3ノビ等のような大サイズまでが、同じ記録装置で出力できるものも増えてきている。この場合、L版程度の小サイズのプリント物を観察する際の観察距離と、A3ノビ程度の大サイズのプリント物を観察する際の観察距離を比較すると、一般的には画角の関係から、前者の観察距離は近くなり、後者の観察距離は相対的に遠くなる。
このような性格を踏まえ、本実施例では、画像の出力サイズを判定し、そのサイズに応じてクラスタサイズの異なるマスクパターンを使用する。
図16は、本実施例における、記録装置のASIC E1102が出力画像サイズに応じてマスクパターンの設定を行う工程を説明するためのフローチャートである。まず、記録開始コマンドとともに、印刷データが記録装置J0012に入力されると(S1701)、ASIC E1102は今回の出力画像サイズを判断する(S1702)。この出力画像サイズとは、用紙サイズではなく出力画像そのもののサイズである。例えば、用紙サイズがA4でも、出力画像サイズはL版程度の大きさとなることもあり得る。また、A4の用紙に数センチ角のサイズのインデックスプリントをするような場合には、インデックスプリント全体の画像サイズを出力サイズとするのではなく、個々のインデックス画像のサイズを画像サイズとする。何故なら、インデックスプリントを観察する場合には、全体画像で観察するのではなく、個々のインデックス画像の個別に、ユーザが目を近づけて観察するのが一般的だからである。いずれにしても、ステップS1702で行う出力画像サイズの判定は、一般的に考えられる観察距離に準じて行われる。
ステップS1702で、L版あるいは4×6が設定されていると判断された場合は、ステップS1703に進み、クラスタサイズの小さいマスクパターン3が設定される。また、A4あるいはLetterが設定されていると判断された場合は、ステップS1704へ進み、中程度のクラスタサイズで構成されるマスクパターン4が設定される。更に、A3あるいはA3ノビが設定されていると判断された場合は、ステップS1705へ進み、クラスタサイズの大きなマスクパターン5が設定される。以上で、本処理が終了する。
本実施例において、マスクパターン3のクラスタサイズは1エリア×1エリア、マスクパターン4のクラスタサイズは2エリア×2エリア、マスクパターン5のクラスタサイズは4エリア×4エリアのクラスタサイズとする。このように、出力画像サイズによって使用するクラスタサイズを変更することは、搬送むらとも併せて人間の視覚特性を考慮した最適なマスク設計を行うこととなる。
クラスタサイズによる画像の粒状性は、出力画像のサイズが小さい、すなわち観察距離が一般的に近い場合に目立ちやすい。一方この場合、搬送ローラの不均一によって生じる低周波な濃度むらは目立ちにくくなる。よって、出力画像のサイズが小さい場合には、搬送むらの低減よりも粒状性の低減を優先させるため、マスクパターンのクラスタサイズを小さく設定する。
これに対し、搬送ローラの不均一によって生じる低周波ムラは、出力画像のサイズが大きい、すなわち観察距離が一般的に遠い場合に目立ちやすい。そして、クラスタサイズによる画像の粒状性は、逆に目立ち難くなる。よって、出力画像のサイズが大きい場合には、搬送むらの低減を粒状性の低減よりも優先させるため、マスクパターンのクラスタサイズを大きく設定する。
すなわち、本実施例によれば、実施例1で説明した、粒状性、搬送むら、主走査方向の濃度むらの程度を、観察距離の見地から考慮することにより、より適切なクラスタサイズを設定することが可能となる。
(その他の実施例)
なお、本発明が課題とする搬送むらとは、基本的には搬送方向すなわち副走査方向の記録位置ずれが原因で現れる弊害であり、上記2つの実施例においても、その副走査方向の記録位置ずれが現れる箇所を少なくするためにクラスタサイズを大きくしている。すなわち、原理的には、副走査方向のクラスタサイズのみを大きくすれば、搬送むらに起因する濃度むら自体は上記実施例と同じ効果で抑制することが出来る。
なお、本発明が課題とする搬送むらとは、基本的には搬送方向すなわち副走査方向の記録位置ずれが原因で現れる弊害であり、上記2つの実施例においても、その副走査方向の記録位置ずれが現れる箇所を少なくするためにクラスタサイズを大きくしている。すなわち、原理的には、副走査方向のクラスタサイズのみを大きくすれば、搬送むらに起因する濃度むら自体は上記実施例と同じ効果で抑制することが出来る。
図14は、副走査方向に4エリア、主走査方向には1エリアのクラスタを用いて作成したランダムマスクの一例である。本マスクパターンを使用した場合でも、記録位置ずれの発生箇所は、上記実施例と略同等に、1×1のクラスタを使用した場合の1/4程度に削減することができる。更に、この場合、記録位置ずれによって発生する白紙部分が、図12(c)に示すように主走査方向に連続せず、ランダムに分散して現れるので、より一様な画像が期待できる場合もある。また、主走査方向への幅を持たない分、粒状感の懸念が少なくなるので、粒状感の許容できる範囲で更に副走査方向にクラスタ数を伸ばすことも出来る。
但し、実際の記録動作においては、搬送量の誤差のような副走査方向の記録位置ずれのみが発生するわけではない。例えば、キャリッジの走査むら、記録媒体の浮き、双方向記録時の吐出タイミングのずれなど、主走査方向の記録位置ずれを招致する要因も様々存在する。このような主走査方向の記録位置ずれに対しては、上記搬送むらと同じ原理で、主走査方向にクラスタサイズを大きくしたマスクパターンが効果を発揮する。
すなわち、実施例1のモノクロモード用や実施例2の大きな出力画像サイズ用のマスクパターンにおいては、主走査方向、および副走査方向共に4エリア(記録画素)の大きさを有するクラスタサイズとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。粒状性、搬送むら、あるいは主走査方向の濃度むらなど、様々な画像弊害のバランスの点から、より適切なクラスタサイズのマスクパターンがモノクロモード用や大判プリントのために用意されれば本発明を実現することが出来る。
この際、記録モードに対するマスクパターンの変更は、インク色に応じて異ならせても良い。例えばモノクロモードでは、支配的に使用され、かつ搬送誤差の影響を受けやすいブラックインクのみが、大きなクラスタサイズのマスクパターンを使用してもよい。カラーインクに関しては、カラーモードと同様の1×1クラスタのマスクパターンのままであってもよいし、また、例えば2×2のような粒状性と搬送むらのバランスを考えた適切なクラスタサイズを有するマスクパターンを使用してもよい。
また、インクジェット記録装置においては、1つのインク色で複数の吐出量のドットを用いて画像を形成するシステムも存在するが、このような場合には、同じインク色であっても吐出量(ドットの大きさ)に応じて、クラスタサイズを異ならせてもよい。例えば、ブラックインクにおいて、小ドット(1pl)と大ドット(5pl)の2種類のドットが用意されている場合、エリアファクタ変動の影響を受けやすい小ドットのクラスタサイズを大ドットよりも大きくしてよい。
更にまた、上記2つの実施例では、説明を簡単にするため、図10および図14に示すように、全ノズルに対し一様な記録許容率を有するマスクパターンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図21を用いて説明したように、端部のノズルの記録許容率を中央部の記録許容率よりも小さくした構成にすることも出来る。このようにすれば、既に説明したような端部のノズルにより吐出されるインク滴の着弾位置ずれによる弊害を目立たなくする効果と、本発明の効果とを、互いに損なうことなく両立させることが出来る。
更に、記録モードや出力画像サイズ以外にも、搬送むらの目立ち方を左右する別の条件がある場合には、当該条件に基づいてクラスタサイズを設定しても良い。例えば、フラットパスによる搬送であるのか、給紙トレイ経由の搬送であるのかのように、搬送経路に応じてマスクパターンのクラスタサイズが定められる形態であっても構わない。
いずれにせよ、低周波な搬送むらを抑制することを重視する記録モードを用意し、当該記録モードで使用するマスクパターンでは、これを構成するクラスタの少なくとも副走査方向のサイズが他の記録モードよりも大きくなっていれば、本発明の範疇である。
1 キャリッジ
2 キャリッジモータ
3 リニアエンコーダ
4 ベルト
5 搬送ローラ
6 搬送モータ
7 ロータリエンコーダ
8 ベルト
9 シャーシ
10 記録媒体
11 エンコーダ受光部
3000 記録ヘッド
3006 ノズル
3004 記録媒体
3005 ドット
2 キャリッジモータ
3 リニアエンコーダ
4 ベルト
5 搬送ローラ
6 搬送モータ
7 ロータリエンコーダ
8 ベルト
9 シャーシ
10 記録媒体
11 エンコーダ受光部
3000 記録ヘッド
3006 ノズル
3004 記録媒体
3005 ドット
Claims (10)
- 記録データに基づいて記録媒体にドットを記録する記録素子の複数を副走査方向に配列させてなる記録ヘッドを前記副走査方向とは交差する主走査方向に移動させる主走査と、該主走査のたびに前記副走査方向に前記記録媒体を前記記録ヘッドに対して相対的に所定量ずつ搬送する搬送動作と、を間欠的に繰り返すことにより前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記搬送動作における誤差によって招致される濃度むらの抑制を重視する第1の記録モードと画像の粒状感を抑制することを重視する第2の記録モードを少なくとも含む複数の記録モードの中から、一つの記録モードを選択する工程と、
個々のエリアに対するドット記録の許容あるいは非許容が定められたマスクパターンの複数の中から、一つのマスクパターンを、選択された前記記録モードに応じて設定する工程と、
設定された前記マスクパターンを使用することにより、前記主走査のそれぞれで前記記録ヘッドが記録するデータを定める工程と、を有し、
前記マスクパターンは、前記副走査方向に連続するN個のエリア(N≧1)と前記主走査方向に連続するM個のエリア(M≧1)を1つのクラスタとし、該クラスタの単位でドット記録の許容あるいは非許容が定められており、前記第1の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのNの値は、前記第2の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのNの値よりも大きいことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記第1の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのMの値は、前記第2の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのMの値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第1の記録モードはブラックインクを主体として用いるモノクロモードであり、前記第2の記録モードはカラーインクを主体として用いるカラーモードであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第1の記録モードは相対的に大きな画像を出力する記録モードであり、前記第2の記録モードは相対的に小さな画像を出力する記録モードであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記設定工程では、インクの種類ごとに前記マスクパターンを設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクは色材として顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 記録データに基づいて記録媒体にドットを記録する記録素子の複数を副走査方向に配列させてなる記録ヘッドを前記副走査方向とは交差する主走査方向に移動させる主走査と、該主走査のたびに前記副走査方向に前記記録媒体を前記記録ヘッドに対して相対的に所定量ずつ搬送する搬送動作と、を間欠的に繰り返すことにより前記記録媒体に画像を記録するための画像処理装置であって、
前記搬送動作における誤差によって招致される濃度むらの抑制を重視する第1の記録モードと画像の粒状感を抑制することを重視する第2の記録モードを少なくとも含む複数の記録モードの中から、一つの記録モードを選択する手段と、
個々のエリアに対するドット記録の許容あるいは非許容が定められたマスクパターンの複数の中から、一つのマスクパターンを、選択された前記記録モードに応じて設定する手段と、
設定された前記マスクパターンを使用することにより、前記主走査のそれぞれで前記記録ヘッドが記録するデータを定める手段と、を有し、
前記マスクパターンは、前記副走査方向に連続するN個のエリア(N≧1)と前記主走査方向に連続するM個のエリア(M≧1)を1つのクラスタとし、該クラスタの単位でドット記録の許容あるいは非許容が定められており、前記第1の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのNの値は、前記第2の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのNの値よりも大きいことを特徴とする画像処理装置。 - 前記第1の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのMの値は、前記第2の記録モードが選択された場合に設定される前記マスクパターンのMの値よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
- 前記第1の記録モードはブラックインクを主体として用いるモノクロモードであり、前記第2の記録モードはカラーインクを主体として用いるカラーモードであることを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。
- 前記第1の記録モードは相対的に大きな画像を出力する記録モードであり、前記第2の記録モードは相対的に小さな画像を出力する記録モードであることを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。
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JP2007068170A JP2008229864A (ja) | 2007-03-16 | 2007-03-16 | インクジェット記録方法および画像処理装置 |
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