JP2008078127A - 高分子電解質膜、その積層体、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】膜表面の水に対する接触角の小さい側を第一面、該接触角の大きい側を第二面としたときに、第一面と第二面の表面の接触角の差が30°より大きいイオン伝導性高分子電解質膜を製造する。当該製造方法は、主鎖及び/又は側鎖に芳香族基を有し、且つ該芳香族基にイオン交換基を有するイオン伝導性高分子を含む高分子電解質を溶媒に溶解した高分子電解質溶液を調製する工程;及び、該高分子電解質溶液を、支持基材上に流延塗布し、該支持基材上に高分子電解質膜が積層した積層体を形成する工程;を含む。得られた積層体から支持基材を除去することにより、高分子電解質膜が得られる。
【選択図】なし
Description
以下の各工程:
主鎖及び/又は側鎖に芳香族基を有し、且つ該芳香族基に直接結合又は他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有するイオン伝導性高分子を含む高分子電解質を溶媒に溶解した高分子電解質溶液を調製する工程;及び、
該高分子電解質溶液を、支持基材上に流延塗布し、該支持基材上に高分子電解質膜を積層する工程;
を含むことを特徴とする積層体の製造方法
[2]前記支持基材の流延塗布される表面が樹脂により形成されていることを特徴とする[1]に記載の積層体の製造方法
[4]前記イオン伝導性高分子が、主鎖に芳香族環を有し、且つ、該芳香族環に直接結合又は他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体の製造方法
[6]前記イオン伝導性高分子が、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよく、主鎖の芳香環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体の製造方法
[7]前記イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする[4]〜[6]のいずれかに記載の積層体の製造方法
[8] 前記イオン伝導性高分子が、下記一般式(1a)〜(4a)
Z、Z’は互いに独立にCO、SO2のいずれかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sのいずれかを表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(10)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rは互いに独立に1、2又は3を表す。)から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体の製造方法
(式中、R1及びR2は互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、R1とR2が連結して環を形成していてもよい。)
[10]前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)、及びイオン交換基を実質的に有さないブロック(B)からなる、ブロック共重合体であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体の製造方法
[12]前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)及び、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)からなる、ブロック共重合体であり、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)の密度が高い相と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)の密度が高い相とを含むミクロ相分離構造を有する高分子電解質膜が得られることを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載の積層体の製造方法
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar9は2価の芳香族基を表し、ここで2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Ar9は主鎖を構成する芳香環に直接又は側鎖を介してイオン交換基を有する。)
で表される繰返し構造を有し、且つ、
イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)が下記一般式(1b’)、(2b’)、(3b’)
(式中、nは5以上の整数を表す。Ar11〜Ar18は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。その他の符号は、前記一般式(1b)〜(3b)のものと同じである。)
で表される繰返し構造から選ばれる1種以上を有することを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の積層体の製造方法
[15]前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)とをそれぞれ一つ以上有し、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)及びイオン交換基を実質的に有さないブロック(B)がいずれも、ハロゲン原子を含む置換基を実質的に有さないことを特徴とする[1]〜[14]のいずれかに記載の積層体の製造方法
[16]前記[1]〜[15]のいずれかに記載された製造方法により得られた積層体から前記支持基材を除去する工程を含むことを特徴とする高分子電解質膜の製造方法
[17]前記支持基材の除去後に、高分子電解質膜の前記支持基材と接合していた側の表面を表面処理する工程を含まないことを特徴とする[16]に記載の高分子電解質膜の製造方法
[20]少なくとも1種のイオン伝導性高分子を含む高分子電解質膜であって、該膜表面の水に対する接触角の小さい側を第一面、該接触角の大きい側を第二面としたときに、第二面に表面処理が行われておらず、且つ、第一面と第二面の表面の水に対する接触角の差が30°より大きいことを特徴とするイオン伝導性高分子電解質膜
[21]前記第一面及び前記第二面の両方とも表面処理が行われていないことを特徴とする[20]に記載のイオン伝導性高分子電解質膜
[23]該膜の第二面の表面の水に対する接触角が110°以下であることを特徴とする[20]〜[22]のいずれかに記載の高分子電解質膜
[25]前記イオン伝導性高分子が、側鎖を有することを特徴とする[24]に記載の高分子電解質膜
[26]前記イオン伝導性高分子が、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよく、主鎖の芳香環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合又は他の原子を介して間接的に結合したイオン交換基を有することを特徴とする[20]〜[23]のいずれかに記載の高分子電解質膜
[27]前記イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする[24]〜[26]のいずれかに記載の高分子電解質膜
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよい2価の芳香族基を表す。該主鎖の芳香族環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有する。
Z、Z’は互いに独立にCO、SO2のいずれかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sのいずれかを表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(10)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rは互いに独立に1、2又は3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族炭素基を表す。Z、Z’は互いに独立にCO、SO2のいずれかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sのいずれかを表す。Yは直接もしくは下記一般式(10)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2又は3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを有することを特徴とする[20]〜[27]のいずれかに記載の高分子電解質膜
(式中、R1及びR2は互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、R1とR2が連結して環を形成していてもよい。)
[30]前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)及び、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)からなる、ブロック共重合体であることを特徴とする[20]〜[28]のいずれかに記載の高分子電解質膜
[32]前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)及び、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)からなる、ブロック共重合体であり、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)の密度が高い相と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)の密度が高い相を含むミクロ相分離構造を有することを特徴とする[20]〜[31]のいずれかに記載の高分子電解質膜
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar9は2価の芳香族基を表し、ここで2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Ar9は主鎖を構成する芳香環に直接又は側鎖を介してイオン交換基を有する。)
で表される繰返し構造を有し、且つ、
イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)が下記一般式(1b’)、(2b’)、(3b’)
(式中、nは5以上の整数を表す。Ar11〜Ar18は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。その他の符号は、前記一般式(1b)〜(3b)のものと同じである。)
で表される繰返し構造から選ばれる1種以上とを有することを特徴とする[20]〜[32]のいずれかに記載の高分子電解質膜
[35]前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)とをそれぞれ一つ以上有し、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)及びイオン交換基を実質的に有さないブロック(B)が共に、ハロゲン原子を含む置換基を実質的に有さないことを特徴とする[20]〜[34]のいずれかに記載の高分子電解質膜
[37]前記支持基材の高分子電解質膜と接合した表面が樹脂により形成されていることを特徴とする[36]に記載の積層体
[38]前記支持基材が樹脂フィルムである[36]又は[37]に記載の積層体
更に本発明により得られる高分子電解質膜の他方の表面、すなわち支持基材面側とは反対側の表面が、燃料電池用電極とのなじみが良いので、燃料電池用電解質膜としての特性に優れており、利用価値が高い。
本発明によって得られる高分子電解質膜が燃料電池用電解質膜として使用される場合は、製膜時に支持基材と接していた水に対する濡れ性の低い第二面を空気極側に使用し、反対側の水に対する濡れ性の高い第一面を燃料極側に使用することにより、空気極側から燃料極側への水分移動を促進することが可能となるので、空気極、電解質膜及び燃料極の水分布を適正化する効果も期待できる。
従って本発明の製造方法により製造された高分子電解質膜は、高機能型の固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜として、工業的に有利な膜となる。
イオン伝導性高分子とは、イオン交換基を実質的に有する高分子であって、固体高分子型燃料電池の電解質膜として用いたときに、イオン伝導、特にプロトン伝導に係る基を有する高分子であることを意味する。
更に、第一面の表面の水に対する接触角は、好ましくは10°以上60°以下であって、より好ましくは20°以上50°以下である。
第一面の表面の水に対する接触角が10°以上であれば、高分子電解質膜表面の吸水時の形態安定性がより優れるので好ましい。
第一面の表面の水に対する接触角が60°以下であれば、製造した高分子電解質膜と、燃料電池用電極との密着性がより強くなるので好ましい。
また、第二面の表面の水に対する接触角は、好ましくは60°以上であって、より好ましくは70°以上である。第二面の表面の水に対する接触角が60°以上であれば、製造中及び製造後において支持基材との密着性がより優れ、膜を巻物状に巻き取っていく時に膜同士が密着するブロッキングが膜間で生じるおそれが少なくなるので好ましい。
表面処理等の後加工処理を施さない膜は、製膜工程の工程数を減らすことができて、工業的に非常に有用である。また、表面処理等を行うと、膜表面が化学的又は物理的な劣化を起こす場合もあり、表面処理等を施さない方が好ましい。
本発明によれば、溶液キャスト法により高分子電解質膜を製膜する際に、高分子電解質溶液を適切な支持基材の表面に流延することによって、製膜後に表面処理等の後加工を行わなくても、高分子電解質膜の両面に30°より大きい接触角差をもたせることができる。すなわち、溶液キャスト法による製膜後に、流延の際に支持基材との接合面となる第二面、及び、流延の際に空気との接触面となる第一面に特別な表面処理を行わなくても、膜の両面に充分な親水性の差をもたせることができる。
表面処理とは、例えばコロナ処理やプラズマ処理等の親水化処理や、フッ素処理等の撥水化処理等が挙げられる。親水化処理が行われた表面は、通常、親水基が付与されていたり、或いは、微細な凹凸を有する粗面となっている。また、撥水化処理が行われた表面は、通常、撥水基が付与されている。
従って、表面処理が行われていない高分子電解質膜の状態の具体例としては、当該高分子電解質膜が本来有している官能基以外の官能基が表面に付与されていない、或いは、当該高分子電解質膜が本来有している官能基であるが、その存在量が変化していない(官能基の量が増えていない又は減っていない)、あるいは、製膜工程後に意図的に粗面化されていないといった状態が挙げられる。このように表面処理とは、高分子電解質膜に対して不可逆的な変化を生じさせる処理を表す。従って、高分子電解質膜を構成する高分子電解質において、イオン交換反応に係る処理は、イオン交換自体が可逆反応であることから、前記表面処理の範疇には含まれない。
具体的には、少なくとも一種のイオン伝導性高分子を、必要に応じてイオン伝導性高分子以外の高分子、添加剤等の他の成分と共に適当な溶媒に溶解し、その高分子電解質溶液を、ある特定の基材上に流延塗布(キャスト製膜)し、溶媒を除去することにより製膜されることが好ましい。
高分子電解質溶液を調製する際は、2種以上のイオン伝導性高分子を別々に溶媒に添加したり、或いは、イオン伝導性高分子と他の成分を別々に溶媒に添加するなど、高分子電解質を構成する2種以上の成分を別々に溶媒に添加し、溶解することで、高分子電解質溶液を調製してもよい。
(r=1〜2.5、s=0〜0.5、繰り返し単位の添え字数字は、繰り返し単位のモル分率を示す。)
(r=1〜2.5、s=0〜0.5、繰り返し単位の添え字数字は、繰り返し単位のモル分率を示す。)
で示されるホスホン酸基含有ポリマーを化学的安定化剤として含有することができる。なお、上式において「−(P(O)(OH)2)r」及び「−(Br)s」の表記は、ビフェニリレンオキシ単位当たりに、ホスホン酸基が平均r個あり、ブロモ基が平均s個あることを意味する。
添加する化学的安定剤含有量は全体の20wt%以内が好ましく、それを超えて含有すると、高分子電解質膜の特性が低下する可能性がある。
樹脂フィルムからなる支持基材としては、オレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム、フッ素系フィルム等が挙げられる。中でもポリエステル系フィルムやポリイミド系フィルムは、耐熱性、耐寸法安定性、耐溶剤性等に優れるため好ましい。ポリエステル系フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、芳香族ポリエステル等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレートは上記諸特性に留まらず、汎用性やコスト面からも、工業的に好ましい。
積層体は、そのまま保管、流通させてもよい。支持基材が可撓性基材である場合には、積層体を巻物状の形態で取り扱うこともできる。
本発明における高分子電解質膜の厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましい。膜厚が10μm以上の膜では実用的な強度がより優れるため好ましく、300μm以下の膜では膜抵抗が小さくなり、電気化学デバイスの特性がより向上する傾向にあるので好ましい。膜厚は、溶液の濃度及び基板上への塗布厚により制御できる。
この高分子電解質膜は、巻物の形態にしたり、或いは、第一面と第二面を向き合わせて重ね合わせた場合でも、ブロッキングを生じ難いという特性を有しているので、合紙を使用せずに膜単身で巻き取ること或いは積み重ねることができ、工業的に有利である。
本発明におけるイオン伝導性高分子は、側鎖を有していてもよい。
本発明におけるイオン伝導性高分子は、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよく、主鎖の芳香環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有することが好ましい。
前記イオン交換基は、カチオン交換基であることが好ましい。
炭化水素系高分子電解質は、炭化水素系イオン伝導性高分子を50重量%以上含有していることが好ましく、80重量%以上含有していることがさらに好ましい。ただし、本発明の効果を妨げない範囲で、別の高分子、炭化水素系ではないイオン伝導性高分子及び添加剤等が含まれていてもよい。
イオン交換基としては、スルホン酸基(−SO3H)、カルボン酸基(−COOH)、リン酸基(−OP(O)(OH)2)、ホスホン酸基(−P(O)(OH)2)、スルホニルイミド基(−SO2−NH−SO2−)等のカチオン交換基が好ましく、中でもスルホン酸基が好ましい。
また、炭化水素系高分子電解質は、フッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有する。
一方、これらが「イオン交換基を実質的に有しない」とは、イオン交換基が、繰り返し単位1個あたりで平均0.5個未満であるセグメント又はブロックであることを意味し、繰り返し単位1個あたりで平均0.1個以下であるとより好ましく、平均0.05個以下であるとさらに好ましい。
<イ>.(1a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<ウ>.(2a)の繰り返し単位からなるブロックと、(1b)の繰り返し単位からなるブロック、
<エ>.(2a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<カ>.(3a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<キ>.(4a)の繰り返し単位からなるブロックと、(1b)の繰り返し単位からなるブロック、
<ク>.(4a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロックなど
式(1b’)〜(3b’)におけるAr11〜Ar18は、互いに独立な2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル等のヘテロ芳香族基等が挙げられる。好ましくは2価の単環性芳香族基である。
また、Ar11〜Ar18は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。
ここで「ハロゲン原子を含む置換基を実質的に有していない」とは、イオン伝導性高分子の繰り返し単位あたりハロゲン原子を0.05個以上有していないことを意味する。
一方で、置換基として有していてもよい例としては、以下のものが挙げられる。例えばアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基が挙げられる。これらの置換基は炭素数1〜20が好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、等炭素数が少ない置換基が挙げられる。
ブロック共重合体がハロゲン原子を含む場合、例えば燃料電池作動中にフッ化水素や塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等が発生し、燃料電池部材を腐食する可能性があり、好ましくない。
例えば、本発明の高分子電解質は、燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜として使用することができる。この高分子電解質膜は、支持基材面側とは反対側の表面が燃料電池用電極とのなじみが良いので、燃料電池用電解質膜としての特性に優れており、利用価値が高い。
燃料電池用電解質膜として使用される場合、製膜時に支持基材と接していた水に対する濡れ性の低い第二面を空気極側に使用し、反対側の水に対する濡れ性の高い第一面を燃料極側に使用することにより、空気極側から燃料極側への水分移動を促進することが可能となるので、空気極、電解質膜及び燃料極の水分布を適正化する効果も期待できる。
従って本発明の製造方法により製造された高分子電解質膜は、高機能型の固体高分子型燃料電池用高分子電解質として、工業的に有利な膜となる。
測定に供する高分子電解質膜を、加熱温度105℃に設定されたハロゲン水分率計を用いて、乾燥重量を求めた。次いで、この高分子電解質膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、この高分子電解質膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定を行い、中和点を求めた。そして、高分子電解質膜の乾燥重量と上記の中和に要した塩酸の量から、高分子電解質膜のイオン交換容量(単位:meq/g)を算出した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件でポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を測定した。なお、移動相(溶離液)としては以下のいずれかを用いて測定した。
[移動相1]DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
[移動相2]DMF(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
各実施例又は比較例の高分子電解質膜について、支持基材から剥離した状態で、23℃50%RH雰囲気下で24時間静置させた後、接触角計(CA−A型 協和界面科学株式会社製)を用いて膜表面の水滴に対する接触角を液滴法により求めた。直径2.0mmの水滴を高分子電解質膜に滴下後、5秒後の接触角を値として用いた。
各実施例又は比較例の高分子電解質膜について、巾10mm×長さ60mmで支持基材とともに短冊状に切り出した。このサンプルについて、80℃のイオン交換水に2時間浸漬させ、表面付着水を拭き取り、23℃50%RH雰囲気下で引張試験機(インストロン社製)を用いて、10mm/minの剥離速度で高分子電解質膜を支持基材から剥離させる所謂180°ピール試験を行った。剥離強度が0.1(N/cm)以上の場合、密着保持性「○」とし、0.1(N/cm)未満の場合、密着保持性「×」とした。
各実施例又は比較例の高分子電解質膜について、染色用水溶液(濃度 ヨウ化カリウム 15%, ヨウ素 5%)に室温で30分浸し、あらかじめ予備硬化を進めておいたエポキシ樹脂により包埋した。更にミクロトームにより室温・乾式の条件下で厚さ60nmの切片を切り出した。得られた切片をCuメッシュ上に採取し、透過型電子顕微鏡(日立製作所製 H9000NAR)で加速電圧300kVで観察した。
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO142.2重量部、トルエン55.6重量部、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム5.7重量部、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
キャスト製膜について、連続乾燥炉を用いて行った。すなわち、高分子電解質溶液を、膜厚可変型ドクターブレードを用いて所望の膜厚へと調整し、支持基材上に連続的に流延塗布して、連続的に乾燥炉へと入れていき、大部分の溶媒を除去した。乾燥条件を下記に記す。
乾燥条件:温度80℃、時間66分
(なお、温度は乾燥炉の設定温度を指し、時間はキャスト製膜された
高分子電解質膜は乾燥炉に入炉してから出炉するまでの時間を指す。)
乾燥後の高分子電解質膜をイオン交換水で水洗を行って溶媒を完全に除去した。この膜を2N塩酸に2時間浸漬後、再度イオン交換水で水洗せしめて、更に風乾することで、高分子電解質膜を作製した。
合成例1で得られた、ポリアリーレン系ブロック共重合体(IEC=2.2meq/g、Mn=103000、Mw=257000[移動相2]、なおIECはイオン交換容量、Mnはポリスチレン換算の数平均分子量、Mwはポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。以下の実施例においても同様である。)をBCP−1とする。BCP−1をDMSOに溶解して、濃度が10wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材として巾300mm、長さ30mのポリイミドフィルム(デュポン帝人社製、商品名カプトン)を用いて、製膜条件1の方法で膜厚約30μmの高分子電解質膜を作製した。TEM観察の結果、ミクロ相分離構造をとっており、親水相と疎水相が共に連続相を形成していることが分かった。
合成例1で得られたブロック共重合体(BCP−1)と特開2005−38834号公報参考例3に記載の方法を参考にして合成した、下図に示すようなホスホン酸基含有ポリマー(AD−1とする)との混合物(重量比90対10)をDMSOに溶解して、濃度が10wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材として巾300mm、長さ500mのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード)を用いて、製膜例1の方法で膜厚約30μmの高分子電解質膜を作製した。TEM観察の結果、ミクロ相分離構造をとっており、親水相と疎水相が共に連続相を形成していることが分かった。
特開2005−206807号公報(実施例2〔0059〕)に記載の方法を参考にして合成した、下図に示すようなスルホン酸基含有ブロック共重合体(IEC=1.8meq/g、Mn=60000、Mw=420000[移動相1])を合成し(BCP−3とする)、NMPに溶解して、濃度が13.5wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材として巾300mm、長さ500mのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード)を用いて、製膜条件1の方法で膜厚約30μmの高分子電解質膜を作製した。TEM観察の結果、ミクロ相分離構造をとっており、親水相と疎水相が共に連続相を形成していることが分かった。
BCP−1をDMSOに溶解して、濃度が10wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材として巾300mm、長さ30mのPETフィルム(東洋紡績社製、E5000グレード)を用いて、製膜条件1の方法で膜厚約10μmの高分子電解質膜を作製した。TEM観察の結果、ミクロ相分離構造をとっており、親水相と疎水相が共に連続相を形成していることが分かった。
BCP−1をDMSOに溶解して、濃度が10wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材に巾300mm、長さ1000mのシリカ蒸着PET(尾池工業社製、膜厚12μm)を用いて、製膜条件1の方法で膜厚約30μmの高分子電解質膜を作製した。TEM観察の結果、ミクロ相分離構造をとっており、親水相と疎水相が共に連続相を形成していることが分かった。
BCP−1とホスホン酸基含有ポリマー(AD−1)との混合物(重量比90対10)をDMSOに溶解して、濃度が10wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材に巾300mm、長さ1000mのアルミシート(膜厚200μm)を用いて、製膜例1の方法で膜厚約30μmの高分子電解質膜を作製した。TEM観察の結果、ミクロ相分離構造をとっており、親水相と疎水相が共に連続相を形成していることが分かった。
合成例1の重合方法に準拠して合成した、BCP−1と合成ロットが異なるポリアリーレン系ブロック共重合体(IEC=2.2meq/g、Mn=116000、Mw=228000[移動相2]:BCP−2)と特開2006−66391号公報(〔0059〕)に記載の方法を参考にして合成したホスホン酸基含有ポリマー(AD−2とする)との混合物(重量比90対10)をDMSOに溶解して、濃度が10wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材に巾300mm、長さ1000mのアルミナ蒸着PET(膜厚100μm)を用いて、製膜例1の方法で膜厚約30μmの高分子電解質膜を作製した。TEM観察の結果、ミクロ相分離構造をとっており、親水相と疎水相が共に連続相を形成していることが分かった。
BCP−3をN−メチル−2−ピロリドンに溶解して、濃度が13.5wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材に巾300mm、長さ1000mのアルミナ蒸着PET(膜厚100μm)を用いて、製膜条件1の方法で膜厚約30μmの高分子電解質膜を作製した。TEM観察の結果、ミクロ相分離構造をとっており、親水相と疎水相が共に連続相を形成していることが分かった。
実施例1〜4、比較例1〜4で用いた高分子電解質組成物と、製膜時の支持基材種類を表1に記す。
Claims (38)
- 膜表面の水に対する接触角の小さい側を第一面、該接触角の大きい側を第二面としたときに、第一面と第二面の表面の水に対する接触角の差が30°より大きいイオン伝導性高分子電解質膜が、該高分子電解質膜の何れかの面が支持基材と接合した状態で、該支持基材上に積層された積層体を製造する方法であって、
以下の各工程:
主鎖及び/又は側鎖に芳香族基を有し、且つ該芳香族基に直接結合又は他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有するイオン伝導性高分子を含む高分子電解質を溶媒に溶解した高分子電解質溶液を調製する工程;及び、
該高分子電解質溶液を、支持基材上に流延塗布し、該支持基材上に高分子電解質膜を積層する工程;
を含むことを特徴とする積層体の製造方法。 - 前記支持基材の流延塗布される表面が樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記支持基材が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン伝導性高分子が、主鎖に芳香族環を有し、且つ、該芳香族環に直接結合又は他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン伝導性高分子が、側鎖を有することを特徴とする請求項4に記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン伝導性高分子が、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよく、主鎖の芳香環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン伝導性高分子が、下記一般式(1a)〜(4a)
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよい2価の芳香族基を表す。該主鎖の芳香族環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有する。
Z、Z’は互いに独立にCO、SO2のいずれかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sのいずれかを表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(10)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rは互いに独立に1、2又は3を表す。)から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。Z、Z’は互いに独立にCO、SO2のいずれかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sのいずれかを表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(10)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2又は3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(式中、R1及びR2は互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、R1とR2が連結して環を形成していてもよい。) - 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するポリマーセグメント(A)を一つ以上、及びイオン交換基を実質的に有さないポリマーセグメント(B)を一つ以上有する共重合体である請求項1〜8のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)、及びイオン交換基を実質的に有さないブロック(B)からなる、ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 少なくとも2つ以上の相にミクロ相分離した構造を有する高分子電解質膜が得られることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)及び、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)からなる、ブロック共重合体であり、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)の密度が高い相と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)の密度が高い相とを含むミクロ相分離構造を有する高分子電解質膜が得られることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)とをそれぞれ一つ以上有し、イオン交換基を有するブロック(A)が、下記一般式(4a’)
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar9は2価の芳香族基を表し、ここで2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Ar9は主鎖を構成する芳香環に直接又は側鎖を介してイオン交換基を有する。)
で表される繰返し構造を有し、且つ、
イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)が下記一般式(1b’)、(2b’)、(3b’)
(式中、nは5以上の整数を表す。Ar11〜Ar18は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。その他の符号は、前記一般式(1b)〜(3b)のものと同じである。)
で表される繰返し構造から選ばれる1種以上を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の積層体の製造方法。 - 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)とをそれぞれ一つ以上有し、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)において、イオン交換基が主鎖芳香族環に直接結合していることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)とをそれぞれ一つ以上有し、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)及びイオン交換基を実質的に有さないブロック(B)がいずれも、ハロゲン原子を含む置換基を実質的に有さないことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記請求項1〜15のいずれかに記載された製造方法により得られた積層体から前記支持基材を除去する工程を含むことを特徴とする高分子電解質膜の製造方法。
- 前記支持基材の除去後に、高分子電解質膜の前記支持基材と接合していた側の表面を表面処理する工程を含まないことを特徴とする請求項16に記載の高分子電解質膜の製造方法。
- 前記請求項1〜15のいずれかに記載された製造方法により得られた積層体。
- 前記請求項16又は17に記載された製造方法により得られた高分子電解質膜。
- 少なくとも1種のイオン伝導性高分子を含む高分子電解質膜であって、該膜表面の水に対する接触角の小さい側を第一面、該接触角の大きい側を第二面としたときに、第二面に表面処理が行われておらず、且つ、第一面と第二面の表面の水に対する接触角の差が30°より大きいことを特徴とする高分子電解質膜。
- 前記第一面及び前記第二面の両方とも表面処理が行われていないことを特徴とする請求項20に記載の高分子電解質膜。
- 該膜の第一面の表面の水に対する接触角が10°以上60°以下であって、第二面の表面の水に対する接触角が60°以上であることを特徴とする請求項20又は21に記載の高分子電解質膜。
- 該膜の第二面の表面の水に対する接触角が110°以下であることを特徴とする請求項20〜22のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性高分子が、主鎖に芳香族環を有し、且つ、該芳香族環に直接結合又は他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有することを特徴とする請求項20〜23のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性高分子が、側鎖を有することを特徴とする請求項24に記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性高分子が、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよく、主鎖の芳香環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合又は他の原子を介して間接的に結合したイオン交換基を有することを特徴とする請求項20〜23のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項24〜26のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性高分子が、
下記一般式(1a)〜(4a)
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよい2価の芳香族基を表す。該主鎖の芳香族環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有する。
Z、Z’は互いに独立にCO、SO2のいずれかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sのいずれかを表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(10)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rは互いに独立に1、2又は3を表す。)から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族炭素基を表す。Z、Z’は互いに独立にCO、SO2のいずれかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sのいずれかを表す。Yは直接もしくは下記一般式(10)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2又は3を表す。)から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを有することを特徴とする請求項20〜27のいずれかに記載の高分子電解質膜。
(式中、R1及びR2は互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、R1とR2が連結して環を形成していてもよい。) - 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するポリマーセグメント(A)及び、イオン交換基を実質的に有さないポリマーセグメント(B)からなる、共重合体であることを特徴とする請求項20〜28のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)及び、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)からなる、ブロック共重合体であることを特徴とする請求項20〜29のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 該膜が少なくとも2つ以上の相にミクロ相分離した構造を有することを特徴とする請求項20〜30のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)及び、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)からなる、ブロック共重合体であり、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)の密度が高い相と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)の密度が高い相とを含むミクロ相分離構造を有することを特徴とする請求項20〜31のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)とをそれぞれ一つ以上有し、イオン交換基を有するブロック(A)が、下記一般式(4a’)。
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar9は2価の芳香族基を表し、ここで2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Ar9は主鎖を構成する芳香環に直接又は側鎖を介してイオン交換基を有する。)
で表される繰返し構造を有し、且つ、
イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)が下記一般式(1b’)、(2b’)、(3b’)
(式中、nは5以上の整数を表す。Ar11〜Ar18は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。その他の符号は、前記一般式(1b)〜(3b)のものと同じである。)
で表される繰返し構造から選ばれる1種以上を有することを特徴とする請求項20〜32のいずれかに記載の高分子電解質膜。 - 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)とをそれぞれ一つ以上有し、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)において、イオン交換基が主鎖芳香族環に直接結合していることを特徴とする請求項20〜33のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性高分子が、イオン交換基を有するブロック(A)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(B)とをそれぞれ一つ以上有し、且つ、イオン交換基を有するブロック(A)及びイオン交換基を実質的に有さないブロック(B)が共に、ハロゲン原子を含む置換基を実質的に有さないことを特徴とする請求項20〜34のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記請求項20〜35のいずれかに記載されたイオン伝導性高分子電解質膜が、該高分子電解質膜の第二面が支持基材と接合した状態で、該支持基材上に積層された積層体。
- 前記支持基材の高分子電解質膜と接合した表面が樹脂により形成されていることを特徴とする請求項36に記載の積層体。
- 前記支持基材が樹脂フィルムである請求項36又は37に記載の積層体。
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