JP2008243778A - 高分子電解質膜,電極および燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜,電極および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】種々の電気化学デバイスに好適に用いられる高分子電解質膜において,安価で化学的安定性に優れ,機械的強度が高く,さらにハロゲン元素を含まず廃棄時における環境負荷の低い高分子電解質膜を提供する。
【解決手段】水溶性高分子電解質と非水溶性高分子の少なくとも二成分を含有する組成物により構成される高分子電解質膜であって,該非水溶性高分子の主鎖および/または側鎖中の一部に、親水性の官能基を有することを特徴とする高分子電解質膜を用いる。前記非水溶性高分子中における親水性官能基は、カルボキシ基,スルホ基,ホスホリル基,アミン,ヒドロキシ基,−B(OH)およびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記水溶性高分子電解質は、スルホ基またはホスホリル基を電解質として有することを特徴とする、上記の高分子電解質膜である。
【選択図】 図8

Description

本発明は,水溶性高分子電解質を非水溶性の高分子と混合することにより得られる高分子電解質膜に関する。また本発明は,該高分子電解質膜と導電体とを複合した電極およびそれらを用いた燃料電池に関する。
燃料電池,二次電池,電気脱塩式純水製造装置,海水からの製塩装置,海水や廃液からの金属の回収装置,電解合成,イオンセンサー,ガスセンサー等の電気化学デバイスにおいては,高分子電解質(イオン吸着剤,イオン交換体,イオン伝導体あるいはプロトン伝導体)が種々の形状で用いられる。そして、高分子電解質は、これらのデバイスにおいて最も重要な構成要素であり,デバイスの性能に最も大きな影響を及ぼす。
従来,これらの部材にはダイヤイオン(三菱化学,登録商標)等のポリスチレンスルホン酸系の高分子電解質が用いられてきた。ポリスチレンスルホン酸系高分子電解質はスチレンスルホン酸のラジカル重合やポリスチレンのスルホン化により安価に合成することができる。しかしながら,この高分子電解質は親水性が高いため,水に溶ける、あるいは水中で膨潤して機械的強度が低下するという問題がある。この問題を克服するために,一般的にはジビニルベンゼンのような二官能性のコモノマーを用いて化学的に架橋して三次元網目構造を導入することが行われている。
また,芳香族スルホン酸を酸性溶液中で100℃以上に加熱すると,脱スルホン酸が起こる。これは、この条件下ではスルホン化反応の化学平衡が逆方向(すなわち脱スルホン化の方向)に移動するためである。従って,これらの部材が使用される酸性環境下においては,芳香族スルホン酸は化学的な安定性が低く,短時間で材料が劣化するという問題がある。
ポリスチレンスルホン酸系以外の材料としては,ナフィオン(DuPont社,登録商標)に代表されるフッ素系樹脂が用いられる(特許文献1参照)。この材料は全フッ素化高分子の側鎖にスルホン酸が導入された構造をもち,化学的安定性が極めて高いという特徴がある。またこのポリマーは,疎水性の全フッ素化高分子と親水性の側鎖スルホン酸が相分離構造を示し,親水性部分が膨潤しても疎水部は膨潤しないため、水中で十分な機械的強度を保持できる。このような特徴があるため,フッ素系樹脂は耐腐食性を要求される食塩電解用隔膜や燃料電池用プロトン伝導体として応用されている。しかしながら,これらのフッ素系樹脂は非常に高価であるとともに、分子中にフッ素を含むため、廃棄過程における燃焼処理によりフッ化水素,フッ素およびフルオロカーボン等の有害ガスを発生する可能性がある。このため廃棄に際しては,これらの有害ガスを大気中に放出しないように、特別な配慮を行う必要がある。このため,ハロゲンフリーで同様な化学的安定性を示す材料が求められている。
その他の高分子電解質としては,二次電池のイオン伝導体においてはポリエチレンオキシドに代表されるポリエーテル系高分子電解質が用いられている。これらの材料に各種金属塩をドープすることにより発現するイオン伝導性を応用して,高分子電池,各種センサーに利用されている。しかし,これらの材料はゲル状であり,自立膜として機械的強度が求められる分野で使用することはできない。
特開平3−15175号公報
本発明の課題は,種々の電気化学デバイスに好適に用いられる高分子電解質膜において,安価で化学的安定性に優れ,機械的強度が高く,さらにハロゲン元素を含まず廃棄時における環境負荷の低い高分子電解質膜を提供することにある。さらに、この高分子電解質膜を用いた電極、および高分子電解質膜および電極を用いた燃料電池を提供する。
本発明者らは,上記の諸問題を解決すべく鋭意検討した結果,水溶性の高分子電解質と非水溶性高分子からなる電解質膜が上記諸特性を満足することを見いだした。本発明はこれらの知見をもとに完成されたものである。
すなわち,本発明は、水溶性高分子電解質と非水溶性高分子の少なくとも二成分を含有する組成物により構成される高分子電解質膜であって,該非水溶性高分子の主鎖および/または側鎖中の一部に、親水性の官能基を有することを特徴とする高分子電解質膜である。
また、本発明は、前記非水溶性高分子中における親水性官能基が、カルボキシ基,スルホ基,ホスホリル基,アミン,ヒドロキシ基,−B(OH)およびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、上記の高分子電解質膜である。
また、本発明は、前記水溶性高分子電解質が、スルホ基またはホスホリル基を電解質として有することを特徴とする、上記の高分子電解質膜である。
また、本発明は、全イオン交換容量が、0.90meq/g〜3.0meq/gの範囲であることを特徴とする、上記の高分子電解質膜である。
また、本発明は、非水溶性高分子の主鎖がポリアミド構造であることを特徴とする、上記の高分子電解質膜である。
また、本発明は、前記高分子電解質膜中に1nm〜1μmのサイズのミクロ相分離構造を有することを特徴とする、上記の高分子電解質膜である。
また、本発明は、上記の高分子電解質膜に放射線処理を行うことにより得られる高分子電解質膜である。
また、本発明は、前記放射線処理において照射する放射線が電子線、γ線、紫外線からなる群より選択されることを特徴とする、上記の高分子電解質膜である。
また、本発明は、上記の高分子電解質膜と導電体とを複合した電極である。
また、本発明は、上記の高分子電解質膜あるいは上記の電極を用いた燃料電池である。
本発明によれば,種々の電気化学デバイスに好適に用いられる高分子電解質膜および電極において,安価で化学的安定性に優れ,機械的強度が高く,さらにハロゲン元素を含まず廃棄時における環境負荷の低い高分子電解質膜、電極を提供できる。さらに、このような高分子電解質膜および電極を用いた燃料電池を提供できる。
以下に本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に用いられる水溶性高分子電解質は、溶液中でイオンに解離する官能基を有する有機高分子化合物である。そしてこの水溶性高分子電解質は、水溶性高分子電解質全体に対してモノマー単位当たり10mol%以上,好ましくは20mol%以上のイオン解離性官能基を含有する。イオン解離性官能基としては,例えばスルホ基,ホスホリル基,カルボキシ基を用いることができるが,プロトン伝導性という観点からはスルホ基またはホスホリル基であることが好ましい。イオン解離性官能基は高分子主鎖に導入されていてもよく,また側鎖に導入されていてもよい。なお,本発明の趣旨からは、水溶性高分子電解質は分子中にハロゲンを含まない高分子化合物であるという特徴をもつ。
また、本発明に用いられる水溶性高分子電解質の分子量としては、特に制限はないが、数平均分子量が好ましくは5,000以上,さらに好ましくは10,000以上である。また,分子量分布についてもその広狭には特に制限はなく,様々なものを充当することが可能である。
本発明に用いられる非水溶性高分子としては、化学構造には特に制限はなく,例えば、燃料電池の運転温度以上(>80℃)でも化学的・機械的安定性,耐酸性を有する種々の高分子化合物を選択することが可能である。例えば,種々のポリオレフィン,ポリアミド,ポリエステル,ポリイミド,ポリウレタン,ポリカーボナート,ポリベンズイミダゾール,ポリエーテルエーテルケトン等を用いることができる。なかでも、ポリアミドを好ましい例として挙げることができる。しかしながら,非水溶性高分子は、本発明の趣旨からは,分子中にハロゲンを含まない高分子化合物であるという特徴をもつ。
また、本発明に用いられる非水溶性高分子の分子量については、特に制限はないが,数平均分子量が好ましくは5,000以上,さらに好ましくは10,000以上である。また,分子量分布についてもその広狭には特に制限はなく,様々なものを充当することが可能である。
また、本発明に用いられる非水溶性高分子は、水溶性高分子電解質との混和性を向上させるために,主鎖あるいは側鎖中の一部に親水性の官能基を有する。親水性の官能基としては,カルボキシ基,スルホ基,ホスホリル基,アミン,ヒドロキシ基,−B(OH)およびこれらの官能基群の誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であり、水溶性高分子電解質の分子構造に応じてこれらの官能基を適宜選択できる。これらの官能基は非水溶性高分子の主鎖構造の一部として組み込まれていてもよく、あるいは側鎖の一部として導入されていてもよい。さらに非水溶性高分子は、親水性官能基を一個ないし複数個有するモノマーの単独重合体でもよく,親水性官能基を一個ないし複数個有するモノマーと親水性官能基をもたないモノマーとの共重合体でもよい。該共重合体はランダム共重合体,交互共重合体,ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体のいずれを用いてもよい。
非水溶性高分子中における親水性官能基の物質量は、非水溶性高分子に対して親水性官能基がヒドロキシ基またはアミン,−B(OH)である場合は0.3〜6mmol/g,スルホ基またはホスホリル基,カルボキシ基の場合は0.01〜0.8mmol/gであることが好ましい。非水溶性高分子中におけるこれら親水性官能基の物質量は、官能基の親水性と目的とする高分子電解質膜の含水率や膨潤度に応じて適宜調整することができる。
本発明において、一般的に、上記の水溶性高分子電解質は、上記の非水溶性高分子に混合して用いられる。高分子電解質は最終的に得られる膜全体の重量に対して5〜99重量%,好ましくは15〜70重量%,より好ましくは30〜50重量%となるように組成を調整することが好適である。混合の方法としては特に制限はなく公知の方法により混合,撹拌したものを用いることができる。
高分子電解質膜を製造する方法としては、製膜ができるものであればいずれの方法を用いることができるが、例えば、溶媒に溶解した水溶性高分子電解質と非水溶性高分子とを混合した組成物を型枠に流し込んで、乾燥させることが挙げられる。
本発明の高分子電解質膜の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜厚さを選択することができるが、一般的には、10〜200μm程度である。
本発明の高分子電解質膜は、膜厚方向に1nm〜1μmのサイズ,好ましくは10nm〜100nmサイズのミクロ相分離構造示すことが好ましい。
本発明において,高分子電解質膜は放射線照射により架橋構造を導入することで機械的強度や耐熱性を向上させることができる。放射線としては、高分子電解質膜中にラジカル種を発生させて架橋構造を生成させる作用を示す電磁波および粒子線を利用できる。照射処理の簡便さからは,電子線,γ線および紫外線が好適である。また,放射線処理を効率よく行うために,必要に応じて高分子電解質膜中にラジカル発生剤,光重合開始剤,ビニル化合物等の添加物を適宜添加してもよい。
本発明において,高分子電解質膜と導電体を複合した電極は、種々の公知の方法で作製できる。たとえば,バインダーとなる高分子電解質を含む遷移金属触媒のペーストを、カーボンペーパなどのガス拡散層へ塗布・乾燥させたガス拡散電極をあらかじめ作製しておき,二枚のガス拡散電極の触媒層側を内側として電解質膜を挟み込み、ホットプレスにより電解質膜両面に接合させることで該電極を得ることができる。または,バインダーを含む触媒ペーストを印刷法あるいはスプレー法、キャスト法により直接電解質膜へ塗布・乾燥した後,ガス拡散層をホットプレスにより電解質膜両面に接合させてもよい。さらに,バインダーを含む触媒ペーストを印刷法あるいはスプレー法,キャスト法によりあらかじめ塗布・乾燥させた樹脂製のシート二枚で電解質膜を挟み込み、ホットプレスにより電解質膜両面に触媒層を形成させた後,ガス拡散層をそれぞれの触媒層上へ再度ホットプレスを行って接合することでも該電極を得られる。
このようにして得られた本発明の高分子電解質膜および電極は,プロトン伝導性,化学的安定性,などの各種特性を有し,通常の電解質が溶解・膨潤するような条件下においても不溶でありかつ高い機械的強度と寸法安定性を保持することが可能となり,各種電気化学デバイスや燃料電池に応用できる。
本発明の燃料電池は、従来用いられている燃料電池の電解質膜に代えて、本発明の高分子電解質膜を用いることにより製造することができる。また、本発明の燃料電池は、従来用いられている燃料電池の電極に代えて、本発明の電極を用いることにより製造することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが,本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1:親水性官能基を有する非水溶性高分子の合成]
親水性官能基を有するポリアミドは種々の公知の方法で合成できる。以下に合成例を示す。
ポリアミド(PA1〜PA4)の合成
Ar導入管の付いた50mlのナス型二口フラスコで所定量のジカルボン酸とジアミンをN−メチルピロリドン(NMP)に溶解しトリエチルアミン(TEA)を加え、0℃で1時間を撹拌した。これに縮合剤のNMP溶液を加えてさらに1時間撹拌した後、約1時間をかけて温度を80℃まで上げ3時間反応させた。適量のNMPで希釈した溶液を500mlのメタノール中に注いで生成したポリマーを沈殿させた。これをグラスフィルター上に集め、メタノールで数回洗浄し、60℃で減圧乾燥した。得られたポリアミドの構造はH NMRスペクトルにより確認した。
各試薬の使用量とポリマーへの転化率を表1に示す。
ポリアミド(PA5の)合成
Ar導入管の付いた50mlのナス型二口フラスコで5−ヒドロキシイソフタル酸(2mmol)とTEA(4mmol)をNMP(4mL)に溶解し,0℃で1時間撹拌した。これに(2,3-ジヒドロ-2-チオキソ−3−ベンゾキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル(4.4mmol)のNMP溶液を加え、0℃でさらに30分間撹拌した。2mmolの2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンのNMP溶液を0℃で反応液に加えた後,室温に戻し24時間撹拌した。適量のNMPで希釈した溶液を500mlのメタノール中に注いで生成ポリマーを沈殿させた。これをろ過により回収し,メタノールで3回洗浄した。60℃で12時間減圧乾燥し,転化率>99%で目的物を得た。得られたポリマーはNMP/メタノールから3回再沈殿することで精製した。
H NMR,δ(ppm,DMSO,400MHz)1.62(6H,s,Me),6.90(4H,d,CH),7.02(4H,d,CH),7.22(4H,d,CH),7.50(2H,s,CH),7.78(4H,d,CH),7.95(1H,s,CH),10.13(1H,s,OH),10.48(2H,s,NH).
ポリアミド(PA6)の合成
Ar導入管の付いた50mlのナス型二口フラスコで、イソフタル酸(2mmol)とTEA(4nmmol)をNMP(4mL)に溶解し,0℃で1時間撹拌した。これに(2,3-ジヒドロ-2-チオキソ−3−ベンゾキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル(4.4mmol)のNMP溶液を加え、0℃でさらに30分間撹拌した。3,5−ジアミノ安息香酸(2mmol) のNMP溶液を0℃で反応液に加えた後,室温に戻し24時間撹拌した。適量のNMPで希釈した溶液を500mlのメタノール中に注いで生成ポリマーを沈殿させた。これをろ過により回収し,メタノールで3回洗浄した。60℃で12時間減圧乾燥し,転化率78%で目的物を得た。得られたポリマーはNMP/メタノールから3回再沈殿することで精製した。
H NMR,δ(ppm,DMSO,400MHz),7.73(1H,m,CH),8.14−8.20(4H,m,CH),8.59(1H,s,CH),8.71 (1H,s,CH),10.69(2H,s,NH).
ポリアミド(PA7,PA8)の合成
Ar導入管の付いた50mlのナス型二口フラスコで所定量のジカルボン酸とジアミンをNMPに溶解しTEAを加えて0℃で1時間撹拌した。これに縮合剤のNMP溶液を加えた。さらに1時間撹拌した後、約1時間かけて温度を80℃まで上げ3時間反応させた。適量のNMPで希釈した反応溶液を500mlのメタノール中に注いで生成ポリマーを沈殿させた。これをろ過により回収し,メタノールで3回洗浄した。60℃で12時間減圧乾燥した。得られたポリマーはNMP/メタノールから3回再沈殿することで精製した。
各試薬の使用量とポリマーへの転化率を表2に示す。
[実施例2:高分子電解質膜の製膜と膜の物性]
水溶性高分子電解質のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中(10wt%)に、種々のポリアミドのDMF溶液(10wt%)を所定量加え,室温で24時間撹拌し均一溶液とした。この溶液を5cmx5cmx1cmのフッ素樹脂製の型枠を備えたガラス基板に流し込み,水平を厳密に保持しながら減圧下(18mmHg)室温にて24時間乾燥した。さらに60℃で12時間減圧乾燥し(1mmHg)、溶媒を完全に留去した後,120℃で12時間アニーリングを行った。この試料を室温まで徐冷し,純水中に浸漬することで容器より剥離し透明で均一な高分子電解質膜を得た。得られた膜は1mol/Lの硫酸水溶液に投入して酸型とし,さらに純水で1日間洗浄した。高分子電解質膜のイオン交換容量は、以下に述べる方法により評価した。膜の物性を表3に示す。
<イオン交換容量(IEC)>
膜を1mol/L硫酸中で緩やかに12時間撹拌してプロトン型とし,再び純水中でゆっくりと撹拌しながら1日間洗浄した。この高分子電解質膜を0.1mol/Lの塩化ナトリウム水溶液に1日間浸漬して膜中のプロトンを完全に抽出し,これを0.02mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定を行い膜中の荷電基量を求めた。
得られた膜はいずれも水には溶解しない透明な自立膜であった。また,得られた電解質膜はマトリックスポリマー構造によらず,いずれも2meq/g以上の良好なイオン交換容量を示した。
[実施例3:高分子電解質膜の電子顕微鏡観察]
実施例2で得られた高分子電解質膜の表面形状と相分離構造を走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。電子顕微鏡観察は以下に述べる方法で行った。
<表面観察>
実施例2で得られた高分子電解質膜を1mmHg,60℃で24時間減圧乾燥した。約5mm角に切り出した高分子電解質膜をSEM用試料台に導電性テープで固定しカーボン蒸着を施した後,SEM観察を行った。結果を、図1〜3に示す。
<相分離構造観察>
高分子電解質膜の高分子埋包試料をクライオミクロトームで切り出し,タングストリン酸を用いてポリアミド領域を染色したのちTEM観察を行った。結果を、図4に示す。
SEMによる表面観察の結果,得られた膜はなめらかな表面形状をもつ緻密膜であることが分かった。また,TEM観察の結果から,タングストリン酸で染色された領域(ポリアミド領域)と染色されない領域(高電解質領域)が明暗のコントラストとして明瞭に観察され,膜中でポリアミド相と高分子電解質相の二相に分離することが明らかになった。TEMで観察された相分離構造のサイズは20〜50nmであった。
[実施例4:プロトン伝導性測定]
実施例2で作製した高分子電解質膜のプロトン伝導性は、交流インピーダンス法により測定した。結果を図5〜7に示す。ここで、プロトン伝導度は種々の温度,相対湿度(RH)で膜面内方向のインピーダンスを測定することで算出した。測定の結果,いずれの高分子電解質膜も10−2S/cm以上のプロトン導電性を示すことが分かった。
[実施例5:種々の割合で高分子電解質を含有する高分子電解質膜の物性]
高分子電解質の含有量を変えて膜の物性を観察した。結果を表4および図8〜11に示す。
なお、含水率および膨潤度は、以下の方法により測定した。
<含水率>
純水中で1日間撹拌して洗浄した高分子電解質膜を1mol/L硫酸中で緩やかに12時間撹拌してプロトン型とし,再び純水中でゆっくりと撹拌しながら12時間洗浄した後の重量を,膜の湿潤重量(wwet)とした。この膜を減圧下60℃で2日間乾燥したものの重量を秤量し乾燥重量(wdry)とした。含水率は式1により算出した。
含水率(%)=(wwet-wdry)/wdryx100 (式1)
<膨潤度>
高分子電解質膜を純水中で1日間撹拌して洗浄した。この膜を1mol/L硫酸に入れ1日間ゆっくりと撹拌して酸型とした。酸型になった膜を再び純水中でゆっくりと撹拌しながら1日間洗浄した。湿潤条件下で膜を一定な寸法で切り取り,ノギスとマイクロメータを用いて膜の湿潤寸法を測定することで湿潤体積を求めた。この膜を減圧下60℃で2日間乾燥し同様に乾燥体積を求め式2より膨潤度を求めた。
膨潤度(%)=(湿潤体積/乾燥体積)X100 (式2)
検討の結果,イオン交換容量は高分子電解質の含有量が30wt%以上になってもあまり変化しないが,含水率と膨潤度は電解質の含有量が高くなればなるほど大きくなることが分かった(図8,9)。特に,膨潤度は電解質の含有量が50wt%を超えると急激に上昇した(図8)。また,プロトン伝導性は高分子電解質含有量の増加すなわちイオン交換容量の増加に伴い単調に増大することが分かった(図10,11)。従って,以上の結果から,この高分子電解質膜においては高分子電解質の含有量が30wt%〜50wt%のときに膨潤度を低く抑えつつ高いプロトン伝導性を発現させることが可能であると結論づけられる。
[実施例6:膜の電子線処理]
電子線処理を施した高分子電解質膜を作製し評価した。なお、高分子電解質膜において、高分子電解質の含有量を50wt%とした。電子線処理は、8.0Torrで加速電圧60kVで300μAの電子線を所定時間照射することで行った。結果を表5および図12に示す。図12から,電子線照射を420sまで行ってもイオン交換容量は低下せず,高分子電解質膜の物性を低下させること無しに架橋構造を導入できることが明らかになった。
[実施例7:電子線照射高分子電解質膜のプロトン伝導性]
実施例6で述べた方法で作製した電子線照射高分子電解質膜のプロトン伝導性を評価した。結果を表6および図13,14に示す。この高分子電解質膜は電子線により架橋を行っても良好なプロトン伝導性を示した。
[比較例1:親水性官能基を有しないポリアミドとの高分子電解質膜との比較]
親水性官能基を有しないポリアミドをマトリクスポリマーとして用いて高分子電解質膜を作製し,本発明の高分子電解質膜と比較した。用いたポリアミドと高分子電解質の分子構造を以下に示す。
このポリマーを用いて本発明と同様の方法で高分子電解質膜を作製した。なお、高分子電解質膜において、高分子電解質の含有量を50wt%とした。作製した膜の表面形状の観察をSEMにより行った結果を、図15に示す。親水性官能基をもたないポリアミドから得られた高分子電解質膜は,多孔膜であり製膜時の溶液濃度,溶媒蒸発温度などの条件を変えても本発明で得られたような緻密膜(本発明で対応する膜の表面形状は図3を参照)は得られなかった。また,親水性官能基を有しないポリアミドから作製した高分子電解質膜のプロトン伝導性を評価した結果を図16に示す。プロトン伝導度として本発明で得られた膜(図7)の1/10程度の低い値しか得られなかった。この結果から,高分子電解質膜においては,マトリクスポリマーに親水性官能基を導入することが、膜の緻密化やプロトン伝導性の向上に非常に有効であると判断できる。
図1は、M1のSEM像(10,000倍)である。 図2は、M2のSEM像(10,000倍)である。 図3は、M3のSEM像(3,000倍)である。 図4は、M2のTEM像である。:(a)100,00倍,(b)200,000倍。 図5は、M1のプロトン伝導性を示す図である。相対湿度90%(●)と70%(◆),50%(▲)において測定。 図6は、M2のプロトン伝導性を示す図である。相対湿度70%(◆)と50%(▲)において測定。 図7は、M3のプロトン伝導性を示す図である。相対湿度90%(●)と70%(◆)において測定。 図8は、高分子電解質膜の膨潤度およびイオン交換容量に及ぼす高分子電解質含有量の効果を示す図である。 図9は、高分子電解質膜の含水率に及ぼす高分子電解質含有量の効果を示す図である。 図10は、高分子電解質膜のプロトン伝導度に及ぼす高分子電解質含有量の効果を示す図である。プロトン伝導度は温度90℃,相対湿度90%で測定。 図11は、高分子電解質膜のプロトン伝導度に及ぼすイオン交換容量の効果を示す図である。プロトン伝導度は温度90℃,相対湿度90%で測定。 図12は、高分子電解質膜のイオン交換容量に及ぼす電子線照射の影響を示す図である。 図13は、M7のプロトン伝導性を示す図である。相対湿度90%(●)と70%(◆),50%(▲)において測定。 図14は、M8のプロトン伝導性を示す図である。相対湿度90%(●)と70%(◆),50%(▲)において測定。 図15は、親水性官能基を有しないポリアミドを用いた高分子電解質膜のSEM像である。 図16は、親水性官能基を有しないポリアミドを用いた高分子電解質膜のプロトン伝導性を示す図である。相対湿度90%(●)と70%(◆),50%(▲)において測定。

Claims (10)

  1. 水溶性高分子電解質と非水溶性高分子の少なくとも二成分を含有する組成物により構成される高分子電解質膜であって,該非水溶性高分子の主鎖および/または側鎖中の一部に、親水性の官能基を有することを特徴とする高分子電解質膜。
  2. 前記非水溶性高分子中における親水性官能基が、カルボキシ基,スルホ基,ホスホリル基,アミン,ヒドロキシ基,−B(OH)およびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の高分子電解質膜。
  3. 前記水溶性高分子電解質が、スルホ基またはホスホリル基を電解質として有することを特徴とする、請求項1または2に記載の高分子電解質膜。
  4. 全イオン交換容量が、0.90meq/g〜3.0meq/gの範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質膜。
  5. 前記非水溶性高分子の主鎖がポリアミド構造であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質膜。
  6. 前記高分子電解質膜中に1nm〜1μmのサイズのミクロ相分離構造を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質膜。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質膜に放射線処理を行うことにより得られる高分子電解質膜。
  8. 前記放射線処理において照射する放射線が電子線、γ線、紫外線からなる群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の高分子電解質膜。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子電解質膜と導電体とを複合した電極。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の高分子電解質膜あるいは請求項9に記載の電極を用いた燃料電池。
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US9366657B2 (en) 2011-09-28 2016-06-14 Kabushiki Kaisha Equos Research Method for examining reaction layer for fuel cell

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