JP2008075743A - 防振構造体及び防振構造体の製造方法 - Google Patents

防振構造体及び防振構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】剪断方向に沿って振幅が大きい振動が入力すると共にこじり変形が生じても、破損が生じるのを効果的に防止できる防振構造体を得る。
【解決手段】実質的に剛体とみなせる複数の硬質板12と、粘弾性的性質を有する複数のゴム板14とが、交互に積層された積層ゴム16を備える。積層ゴム16の積層方向外側に、それぞれ矩形状に形成されたフランジ18及びフランジ20が配設される。積層ゴム16を構成するゴム板14が13層積層されるが、ゴム板14の厚さがフランジ18側である固定端側からフランジ20側である自由端側に向かって徐々に薄くなるように、複数のゴム板14を13層積層して、固定端近傍部分のゴム板14の厚さを他の部分のゴム板14より厚く形成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の硬質板と粘弾性的性質を有する複数の軟質材とを交互に積層した複合積層材を有し、例えば、オフロード用車両の荷台を支えるリンク等の振動発生部から車軸等の振動受部へ伝達される振動を低減するための防振構造体及びこのような防振構造体を製造するための防振構造体の製造方法に関する。
従来より、荷台を支えるリンク等の振動発生部から車軸等の振動受部へ伝達される振動を減衰吸収するために、複数の鋼板等の剛性を有した硬質板と、粘弾性的性質を有したゴム材等の軟質材とを交互に積層した複合積層材を有した防振構造体が、振動発生部と振動受部との間に配置されることがあった。つまり、この複合積層材を有した防振構造体を振動発生部と振動受部との間に介在させた場合、振動発生部に発生する衝撃や振動を複合積層材により減衰・防振されることで、振動受部へ伝達される振動レベルの低減が可能になる。
そして、このような複合積層体は、振動発生部の重量を支えた状態で水平方向へ比較的大きな変形ができるように作られている。従って、振動発生部の荷重を支持した状態、即ち複合積層材に正圧が加わった状態で振動を受けた場合、複合積層材は主として水平方向に沿って剪断変形するが、防振構造体の下端側が振動受部側により拘束されていることから、振幅が大きい振動入力時には複合積層材にこじり変形が生じる。また、このこじり変形の発生に伴って複合積層材には、振幅方向に沿った一端部に圧縮変形が作用すると共に、他端部に引張変形が作用するようになる。
すなわち入力振動の振幅増加に従って複合積層材に生じるこじり変形が増加し、この複合積層材に作用する引張変形が増加することになる。このとき、複合積層材は軟質材が非圧縮性であり、拘束面が比較的大きいのに対し自由表面積が小さいことから、引張変形時に拘束面の中央部で静水圧応力の集中が発生し、比較的小さい引張変形でも早期に破損(破断)に至るという問題がある。
特許文献1には、複数の剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有する軟質材とを交互に貼り合わせた複合積層材に一対のフランジ部材を設けただけでなく、これら一対のフランジ部材間に引張力を生じさせつつ連結するチェーンをこの複合積層材に内蔵することで、静水圧応力を低減した構造が開示されている。
つまり、このチェーンにより静水圧応力を低減している特許文献1の構造では、複合積層材に内蔵されるチェーンにより、製造時において各軟質材を予め圧縮することで、引張荷重の入力の低減を図っている。この結果、チェーンがない場合と比較して、一定量の大きさのこじり変形では静水圧応力を半減まで達成できるという効果を奏し、防振構造体の寿命も飛躍的に向上した。
この一方、意図的に積層される複数のゴム板の厚みを変化させた構造の積層型防振ゴムが、特許文献2、3に開示されている。但し、これら特許文献2、3は、強度を高める為に、いずれも中央から端部へ向かってゴム板の厚みが順次狭まっていく構造となっている。また、座屈防止のため、径を積層方向に沿って変化させた構造の積層ゴムも、特許文献4に開示されている。
特開2006−57833号公報 特開昭54−30371号公報 特開平8−60746号公報 特開昭64−35134号公報
しかしながら、上記の特許文献1のようなチェーンのみに頼った構造の防振構造体では、使用に伴ってチェーンのリンク部分が擦れて磨耗する結果、チェーンが次第に長くなって静水圧応力の低減効果が薄れ、長期間にわたって十分な効果が得られないという欠点が存在していた。
本発明は上記事実を考慮し、剪断方向に沿って振幅が大きい振動が入力すると共にこじり変形が生じても、破損が生じるのを効果的に防止し得る防振構造体及びこのような防振構造体を製造するための防振構造体の製造方法を提供することが目的である。
請求項1に係る防振構造体は、剛性を有する複数の硬質板と粘弾性的性質を有する複数の軟質材とが交互に積層された複合積層材を備え、
複合積層材の積層方向に沿った一端が振動発生部或いは振動受部の一方に連結され、積層方向に沿った他端が振動発生部或いは振動受部の他方に連結された防振構造体であって、
複数の軟質材の内の静水圧応力が高くなる部分の軟質材を厚く形成したことを特徴とする。
請求項1に係る防振構造体の作用を以下に説明する。
本請求項の防振構造体では、複合積層材が積層方向に沿った一端が振動発生部或いは振動受部の一方に連結されると共に、積層方向に沿った他端が振動発生部或いは振動受部の他方に連結されているが、この複合積層材は、剛性を有する複数の硬質板と粘弾性的性質を有する複数の軟質材とが交互に積層された構成とされている。そして、これら複数の軟質材の内の静水圧応力が高くなる部分の軟質材を厚く形成した構成ともされている。
従って、本請求項に係る防振構造体によれば、振動発生部に振動が生じた場合、複合積層材を構成する複数の軟質材の変形による作用で振動を減衰して低減し、振動受部側に振動が伝達され難くなる。つまり、本請求項では、振動が生じて振動による繰り返し変位が防振構造体に入力されるのに伴い、例えばゴム材により形成される各軟質材が、この変位の入力に合わせてそれぞれ変形することで、振動を低減できる。
但し、複数の硬質板と複数の軟質材とが交互に積層された複合積層材を備えた本請求項の防振構造体は、圧縮に対しては耐久性が高いものの、引張加重に対しては硬質板間の軟質材の非圧縮性により体積変化しないため、変形できない内部での静水圧応力が高まる結果として、この軟質材が破壊する虞があった。
さらに、この静水圧応力による破壊モードである静水圧破壊は、引張入力がない場合でも、剪断方向に沿って振幅が大きい振動が入力すると共に、複合積層材の端部が回転するようなこじり変形が生じた場合にも、発生する。つまり、硬質板間に拘束されるために軟質材の動きが少なくなるのに伴い、剪断方向に沿って振幅が大きい振動が入力すると共にこじり変形すると、一端は圧縮変形となるが、他端は引張変形となるため、内部で変形できない軟質材に応力集中し、この軟質材が破断に至ることがある。
従って、本請求項では、静水圧応力が高くなる部分の軟質材を相対的に厚くすること、すなわちこの軟質材の自由表面積を大きくすることにより、各層の軟質材における体積バランスの最適化を図り、軟質材の内部に溜まる応力を低減するようにした。このことから、剪断方向に沿って振幅が大きい振動が入力すると共にこじり変形が発生した場合にも、引張変形側での軟質材の静水圧応力低減が図れ、複合積層材を構成している軟質材に生じる虞のあるクラックの発生を抑制し、複合積層材の破損を効果的に防止して防振構造体の寿命を延ばすことができた。また、硬質材の応力集中低減も達成できることも解析により確認した。
請求項2に係る防振構造体の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項1と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、複合積層材の積層方向に沿った一端が、固定的に振動発生部或いは振動受部の一方に連結される固定端とされ、複合積層材の積層方向に沿った他端が、変位可能としつつ振動発生部或いは振動受部の他方に連結される自由端とされ、固定端近傍部分の軟質材の厚さを他の部分の軟質材より厚くしたという構成を有している。
つまり、こじり変形が発生した時には、静水圧応力が高くなる箇所である複合積層材の固定端に近い部分に折れ曲がり点が発生し、その近傍で故障が発生する。この為、本請求項では、その付近の軟質材を厚く形成することで故障の発生を抑制した。
請求項3に係る防振構造体の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項2と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、軟質材の厚さが固定端側から自由端側に向かって徐々に薄くなるように、複数の軟質材を積層したという構成を有している。つまり、本請求項では、自由端側でのこじり変形の発生に伴い静水圧作用する応力が高まる固定端側を厚くし、静水圧作用する応力がそれ程大きくない自由端側に向かって軟質材の厚さを徐々に薄くすることにより、効率的に故障の発生を抑制可能とした。
請求項4に係る防振構造体の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項2及び請求項3と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、複数の軟質材の内の最も自由端側に位置する軟質材の厚さに対する最も固定端側に位置する軟質材の厚さの比率が、1.3以上1.7以下の値とされるという構成を有している。つまり、本請求項では、複合積層材の両端側間の軟質材の厚さの比率を上記の範囲の値としたことで、支持剛性を有しつつ効率的に防振構造体の故障の発生を抑制できるようになった。
請求項5に係る防振構造体の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項1から請求項4と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、複数の軟質材をゴム材によりそれぞれ形成したという構成を有している。つまり、本請求項では、防振効果の高いゴム材を軟質材に適用したことにより、振動をより一層良好に低減できようになった。
請求項6に係る防振構造体の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項1から請求項5と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、振動発生部及び振動受部にそれぞれ連結される一対のフランジ部材を、複合積層材の積層方向両端部が挟持されるように設け、積層方向に沿って複合積層材を貫通する空洞部を設け、積層方向に沿つた引張荷重に対して複合積層材よりも高い剛性を有すると共に、積層方向と直交する剪断方向に変形可能とされる変位制限部材が、一対のフランジ部材にそれぞれ両端部を連結固定されつつ、空洞部内に配置されたという構成を有している。
つまり、本請求項の防振構造体では、複合積層材から受ける復元力によって変位制限部材を一対のフランジ部材間で常に張った状態(張力状態)とすることができる。この場合、入力振動に起因して複合積層材に引張荷重が作用すると、この引張荷重の一部が変位制限部材により支持されることになり、複合積層材に生じる積層方向に沿った引張応力をこの変位制限部材により低減できる。
また、変位制限部材が引張方向の荷重に対して複合積層材よりも高い剛性を有しているので、複合積層材に剪断方向に沿った外力と共に引張荷重が作用した場合にも、複合積層材の剪断方向に沿った変形量が過大になることを防止できると共に、複合積層材の引張方向への変形を減少できる。
この結果、本請求項の防振構造体によれば、複合積層材に引張荷重が作用するような場合にも、複合積層材に生じる引張応力を低減でき、かつ複合積層材の剪断方向に沿った変形量の増加に伴う応力集中も緩和できるので、複合積層材の破損をより効果的に防止できるようになる。
請求項7に係る防振構造体の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項6と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、変位制限部材が、複数個のリンク片を線状に連結したリンクチェーンとされるという構成を有している。つまり、本請求項では、変位制限部材をリンクチェーンとしたことで、請求項6に係る防振構造体の作用をより確実に奏するようになる。
請求項8に係る防振構造体の製造方法は、剛性を有する複数の硬質板と粘弾性的性質を有する複数の軟質材とが交互に積層された複合積層材を備えた防振構造体に適用され、
軟質材を形成する材料を注入口から金型内に注入して各軟質材を硬質板間にそれぞれ形成する防振構造体の製造方法であって、
まず、複数の軟質材の厚さが相互に異なるように金型を形成し、これに合わせて、軟質材の厚さが薄くなるに従って開口面積を小さくしつつ注入口を各軟質材に対応してそれぞれこの金型に設けた後に、
この注入口から各軟質材を形成する材料を金型内に注入して、複合積層材を完成させることを特徴とする。
請求項8に係る防振構造体の製造方法の作用を以下に説明する。
本請求項の防振構造体の製造方法によれば、剛性を有する複数の硬質板と粘弾性的性質を有する複数の軟質材とが交互に積層された形の複合積層材を備えた防振構造体が製造されるが、この際に、軟質材を形成する材料を注入口から金型内に注入して各軟質材が硬質板間にそれぞれ形成される。
また、本請求項により製造された防振構造体は複合積層材を上記のように備えているが、この複合積層材の積層方向に沿った一端を例えば振動発生部或いは振動受部の一方に連結し、この複合積層材の積層方向に沿った他端を同様に振動発生部或いは振動受部の他方に連結することが考えられる。そして、この状態で振動発生部に振動が生じた場合には、複合積層材を構成する複数の軟質材の変形による作用で振動を減衰して低減し、請求項1と同様に振動受部側に振動が伝達され難くなるのに伴い、振動を低減できるようになる。
他方、この防振構造体を製造する際には、まず、複数の軟質材の厚さを相互に異ならせるように金型を形成するが、この際、軟質材の厚さが薄くなるのに従って開口面積を小さくしつつ注入口を各軟質材に対応してそれぞれこの金型に設けることとする。そしてこの後に、この注入口から各軟質材を形成する材料を金型内に注入することで、複合積層材を完成させるという手順が採用されている。
従って、各軟質材に対応してそれぞれ設けられた注入口の開口面積を、軟質材の厚さが薄くなるのに合わせて小さくしたことで、注入口から注入される材料の注入圧がほぼ一定となり、各軟質材間に挟まれて位置することになる硬質板がこの注入圧の相違によって曲がる等の硬質板の変形を防止可能となる。
以上より、本請求項によれば、請求項1のように静水圧応力が高くなる部分の軟質材を相対的に厚くした構造の複合積層材を備えた防振構造体の製造が容易となった。つまり、本請求項の防振構造体の製造方法を採用することで、複合積層材を構成している軟質材に生じる虞のあるクラックの発生を抑制し、複合積層材の破損を効果的に防止して防振構造体の寿命を延ばすという作用効果を一層確実に達成できるようになった。
請求項9に係る防振構造体の製造方法の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項8と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、開口面積を軟質材の厚さに比例した大きさとする形で、注入口を各軟質材に対応してそれぞれ形成するという構成を有している。
つまり、本請求項によれば、注入口の開口面積を軟質材の厚さに比例した大きさとしたことで、請求項8の作用を一層確実に奏するようになる。
以上説明したように本発明の上記構成によれば、剪断方向に沿って振幅が大きい振動が入力すると共にこじり変形が生じても、破損が生じるのを効果的に防止し得る防振構造体及びこのような防振構造体を製造するための防振構造体の製造方法を提供できるという優れた効果を有する。
本発明に係る防振構造体の第1の実施の形態を図1に基づき説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る防振構造体10が示されている。この防振構造体10は、実質的に剛体とみなせる複数の硬質板12と、粘弾性的性質を有する複数(本実施形態では13層)の軟質材であるゴム板14とが、交互に積層された複合積層材である積層ゴム16を備えている。
この積層ゴム16は略肉厚円筒状に形成されており、その中央部には積層ゴム16の積層方向(矢印L方向)へ貫通する円柱状の空洞部17が穿設されている。つまり、積層ゴム16は、例えばそれぞれリング状に形成された硬質板12とゴム板14とを加硫接着により貼り合わせることにより、構成されている。
ここで、積層ゴム16を構成する硬質板12の材質としては、例えば、鉄、アルミ等の金属材料により形成されている。但し、硬質板12を金属材料以外にもナイロン等の樹脂材料により形成し、金属材料同様に接着するようにしても良い。また、ゴム板14は、一般的には各種の加硫ゴムを素材としてモールド成形される。ゴム材としては、エチレンプロピレンゴム(EPR、EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等、及びこれらをブレンドしたものが挙げられる。また、ゴム材以外のエラストマーでも代替可能である。
この積層ゴム16の積層方向外側には、それぞれ矩形状の金属板により形成された一対のフランジ部材であるフランジ18及びフランジ20がそれぞれ配設されている。つまり、積層ゴム16の下端面及び上端面にそれぞれ加硫等により固着されたこれら一対のフランジ18,20が、積層ゴム16を積層方向に沿って挟持している。
さらに、下端側のフランジ18の中央部には、積層ゴム16の空洞部17に面した円形の開口部22が形成されており、このフランジ18の下面には開口部22の周縁部に沿って凹状の嵌挿部24が形成されている。また、上端側のフランジ20の中心部には、積層ゴム16の空洞部17よりも小径の挿通穴26が穿設されている。但し、本実施の形態においては、開口部22や挿通穴26をフランジ18,20に設けずに、フランジ18,20を穴の存在しない単なる金属プレートとしも良く。更に、硬質板12及びゴム板14をリング状にせずにそれぞれ円板状に形成して、積層ゴム16を空洞部17の無い構造としても良い。
本実施の形態では、積層ゴム16の積層方向に沿った一端である下端が、フランジ18を介して車軸等の振動受部に固定的に連結される固定端とされ、積層ゴム16の積層方向に沿った他端が、フランジ20を介して荷台を支えるリンク等の振動発生部に変位可能とされつつ連結されて自由端とされている。そして、積層ゴム16を構成するゴム板14が例えば13層積層されているが、これら13層の各ゴム板14の厚みが本実施の形態では相互に異なっている。
具体的には、ゴム板14の厚さがフランジ18側である固定端側からフランジ20側である自由端側に向かって徐々に薄くなるように、複数のゴム板14を13層積層して、固定端近傍部分のゴム板14の厚さを他の部分のゴム板14より厚く形成する形とした。さらに、本実施の形態では、複数のゴム板14の内の最も自由端側に位置するゴム板14の厚さに対する最も固定端側に位置するゴム板14の厚さの比率が、具体的な厚みについては、製品形状(総高さ、外径等)、使用条件により異なるが、今回の実施例においては、1.3以上1.7以下が応力値低減、支持剛性確保の点で有効であり、FEM解析により1.5が最適な比率と判断した。
つまり、引張加重が加わった場合だけでなく、剪断方向(矢印S方向)に沿って振幅が大きい振動が入力すると共に、積層ゴム16の上端側に配置されたフランジ20が矢印R方向に回転するようなこじり変形が生じた場合にも、ゴム板14に静水圧応力が発生するが、本実施の形態では、複数のゴム板14の内の静水圧応力が特に高くなる部分のゴム板14を相対的に厚く形成するようにした。また、ゴム板14の厚さ寸法を、上端側の自由端側から下端側の固定端側に向かって、L1、L2・・・L12、L13と表していて、厚さ寸法L13が、厚さ寸法L1に対して1.3〜1.7倍の値とされている。尚この際、防振構造体10の全体の高さ寸法をHとし、直径Dをとする。
他方、図1に示すように、各ゴム板14の外周部分における上下の硬質板12間の断面形状であるフイレット形状Fは丸形とされている。つまり、ゴム板14内の歪み分布から丸形が最も応力を低減できるので、このフイレット形状Fを丸形とした。
次に、本実施の形態に係る防振構造体10の作用について説明する。
本実施の形態に係る防振構造体10では、剛性を有する複数の硬質板12と粘弾性的性質を有してゴム材により形成された複数のゴム板14とが交互に積層されて積層ゴム16が構成されている。そして、この積層ゴム16の積層方向に沿った一端である下端がフランジ18を介して、例えば、車軸等の振動受部に連結されると共に、この積層ゴム16の積層方向に沿った他端である上端がフランジ20を介して、例えば、荷台を支えるリンク等の振動発生部に連結されている。つまり、本実施の形態の防振構造体10が、振動発生部と振動受部との間に介在するように配設され、この防振構造体10によって振動発生部を振動受部上に支持した構造とされている。
この際、積層ゴム16の積層方向に沿った下端が、固定的に振動受部に連結される固定端とされ、積層ゴム16の積層方向に沿った上端が、変位可能としつつ振動発生部に連結される自由端とされているが、複数のゴム板14の内の静水圧応力が高くなる部分のゴム板14が相対的に厚く形成されるように、図1に示すように、ゴム板14の厚さが固定端側から自由端側に向かって徐々に薄くしつつ、複数のゴム板14を積層して、固定端近傍部分のゴム板14の厚さを他の部分のゴム板14より厚くしている。
つまり、こじり変形が発生した時には、静水圧応力が高くなる箇所である積層ゴム16の固定端に近い部分に折れ曲がり点が発生し、その近傍で故障が発生する。この為、本実施の形態では、固定端近傍部分のゴム板14の厚さを他の部分のゴム板14より厚くしたので、故障の発生を抑制できるようになった。そして、本実施の形態では、複数のゴム板14の内の最も自由端側に位置するゴム板14の厚さに対する最も固定端側に位置するゴム板14の厚さの比率を、具体的に1.3以上1.7以下の値としている。
また、上記のように、本実施の形態に係る防振構造体10によれば、振動発生部が積層ゴム16により水平方向へは弾性的に支持された状態となるので、振動発生部に振動が生じた場合、積層ゴム16の複数のゴム板14の変形による内部摩擦等の作用により振動を減衰して低減する。
さらに、本実施の形態では、静水圧応力が高くなる部分のゴム板14を相対的に厚くすること、すなわちこのゴム板14の自由表面積を大きくすることにより、各層のゴム板14における体積バランスの最適化を図り、ゴム板14の内部に溜まる応力を開放するようにした。このことから、剪断方向に沿って振幅が大きい振動が入力すると共に、こじり変形が発生した場合に、引張変形側でのゴム板14の静水圧応力低減が図れ、積層ゴム16を構成しているゴム板14に生じる虞のあるクラックの発生を抑制し、積層ゴム16の破損を効果的に防止して防振構造体10の寿命を延ばすことができた。
一方、本実施の形態では、積層ゴム16の自由端側でのこじり変形の発生に伴い作用する応力が高まる固定端側を厚くし、作用する応力がそれ程大きくない自由端側に向かって、ゴム板14の厚さを固定端側から自由端側に向かって徐々に薄くなるように、複数のゴム板14を積層するようしたことで、効率的に故障の発生を抑制可能とした。
さらに、本実施の形態では、複数のゴム板14の内の最も自由端側に位置するゴム板14の厚さに対する最も固定端側に位置するゴム板14の厚さの比率を、1.3以上1.7以下の値としたことで、最も効率的に防振構造体10の故障の発生を抑制できるようになった。
また、積層ゴム16を構成する複数のゴム板14の厚みを不均等としたことで、硬質板12の応力を低減する効果も見られた。つまり、従来の防振構造体10では、強度不足の為に、硬質板12を形成する鉄板に割れの問題などがあって高張力鋼板を使用しているが、本実施の形態では強度的に余裕ができたのに伴い、一般のプレス加工用の板材などに変更することで、防振構造体10の製造コストの低減も可能となった。
次に、本発明に係る防振構造体の第2の実施の形態を図2及び図3に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1の実施の形態において説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
第1の実施の形態では、積層ゴム16の空洞部17内に何も存在しない構造とされていたが、本実施の形態に係る防振構造体10では、図2及び図3に示すように、積層ゴム16の空洞部17内に変位制限部材である金属製のリンクチェーン28が配設された構造とされている。
このリンクチェーン28は、その長手方向が積層ゴム16の積層方向と一致するように配置されており、積層方向に沿った引張荷重に対しては積層ゴム16よりも十分に高い剛性及び強度を有している。そして、このリンクチェーン28は、複数個(本実施の形態では3個)のリンク片30,31,32が線状に連結されて構成されている。このリンクチェーン28は、リンク片30,31,32間でそれぞれ屈曲することにより、全体として積層方向と直交する剪断方向(矢印S方向)へは容易に変形可能とされている。
図2に示されるリンクチェーン28について説明する。最下部に位置するリンク片30には、その下端部に円形板状の蓋部材34を構成する。また、一方、リンクチェーン28の最上部に位置するリンク片32には、その上端部にボルト軸36が上方へ突出するように構成されている。リンク片30及び32については、鋳造・鍛造等により製造し、それらをリンク片31よって結合することでリンクチェーン28となる。
防振構造体10の組立時に、リンクチェーン28は下端側のフランジ18の開口部22を通して積層ゴム16の空洞部17内へ挿入される。このとき、ボルト軸36は、フランジ20の挿通穴26を挿通してフランジ20外部へ先端側を突出させ、また蓋部材34はフランジ18の開口部22を閉止すると共に、その外周縁部をフランジ18の嵌挿部24に嵌挿させる。
フランジ20から突出したボルト軸36の先端部にはワッシャ38が嵌め込まれ、更にナット40がねじ込まれる。これにより、空洞部17内に配設されたリンクチェーン28は、その下端部が蓋部材34を介してフランジ18に連結固定されると共に、上端部がボルト軸36を介してフランジ20に連結固定される。
次いで、積層ゴム16は、プレス装置等により積層方向に沿って加圧されて所定の圧縮率で圧縮された状態とされる。この状態で、フランジ20から突出したボルト軸36にねじ込まれたナット40がフランジ20との間に遊びが無くなり、所定の締結トルクが発生するまで締め込まれる。これにより、積層ゴム16が、フランジ18,20により積層方向に沿って所定の圧縮率で圧縮した圧縮状態に保持され、フランジ18,20が圧縮状態とされた積層ゴム16から受ける弾性的な復元力がリンクチェーン28により支持され、この復元力によりリンクチェーン28が張った状態(張力状態)となる。
次に、本実施の形態に係る防振構造体10の作用について説明する。
本実施の形態でも、防振構造体10が振動発生部と振動受部との間に介在するように配設され、この防振構造体10を介して振動発生部を振動受部上に支持しているのに伴い、第1の実施の形態と同様の構造とされている。
以上より、本実施の形態も第1の実施の形態と同様に作用して、剪断方向に沿って振幅が大きい振動が入力すると共に、こじり変形が発生した場合に、硬質板12への応力集中の低減が図れるのに合わせて、ゴム板14の静水圧応力を低減できる。この結果、積層ゴム16を構成しているゴム板14に生じる虞のあるクラックの発生を抑制し、積層ゴム16の破壊を効果的に防止して、防振構造体10の寿命を延ばすことができた。
さらに、本実施の形態の防振構造体10では、上記のように、積層ゴム16から受ける復元力によってリンクチェーン28を一対のフランジ18,20間で常に張った状態(張力状態)としている。この場合、入力振動に起因して積層ゴム16に引張荷重が作用すると、この引張荷重の一部がリンクチェーン28により支持されることになり、積層ゴム16に生じる積層方向に沿った引張応力をこのリンクチェーン28により低減できるようになる。
また、リンクチェーン28が引張方向の荷重に対して積層ゴム16よりも高い剛性を有しているので、積層ゴム16に剪断方向に沿った外力と共に引張荷重が作用した場合にも、積層ゴム16の剪断方向に沿った変形量が過大になることを防止できると共に、積層ゴム16の引張方向への変形を減少できる。
この結果、本実施の形態の防振構造体10によれば、積層ゴム16に引張荷重が作用するような場合にも、積層ゴム16に生じる引張応力を低減でき、かつ積層ゴム16の剪断方向に沿った変形量の増加に伴う応力集中も緩和できるので、積層ゴム16の破損をより効果的に防止できるようになる。
次に、本実施の形態のように積層ゴム16の下端側の固定端側から上端側の自由端側に向かってゴム板14を順次薄くした場合における各サンプル、一部のゴム板14の厚さを均等としたサンプル及び、複数のゴム板14の厚さを全て均等としたサンプルを、比較した結果を以下に説明する。ここで、各ゴム板14の厚さ寸法は、前述のように上端側の自由端側から下端側の固定端側に向かって、L1、L2・・・L12、L13と表し、下記の表1に詳細に示す。但し、防振構造体10の全体の高さ寸法Hは280mmとされ、直径Dは260mmとされている。
Figure 2008075743
つまり、上記のように、ゴム板14を順次薄くしたサンプルとしては、総ゴム高さ189mmとし、厚さ寸法L13を厚さ寸法L1に対して1.3倍としたものをサンプルBとし、同じく1.5倍としたものをサンプルCとし、同じく1.7倍としたものをサンプルDとした3種類とする。これに対して、同じくゴム板14を13層とし、各ゴム板14の厚さ寸法を一定の14.5mmとしたサンプルA及び、同じくゴム板14を13層とし、厚さ寸法L1〜L4までのゴム板14の厚さ寸法を一定の12mmとし、残りのゴム板14の厚さ寸法を順次変化させたサンプルEを比較例とした。尚、防振構造体10の全体の高さH及び直径Dは全てのサンプル共に同一とした。
そして、剪断方向の所定の荷重及びこじり変形を全てのサンプルに加えて、各ゴム板14において生じる静水圧応力を図4のグラフに表した。つまり、この試験結果のグラフより、全てのサンプルともに自由端側から固定端側に向かって静水圧応力が高くなる傾向を示し、厚さ寸法L11〜L13の部分に対応したゴム板14において各サンプル共に最大値が生じている。
但し、厚さ寸法L13を厚さ寸法L1に対して1.3〜1.7倍としたサンプルB、C、Dが、厚さ寸法を一定としたサンプルAや一部の厚さ寸法を均等にしたサンプルEに対して、静水圧応力の値が低く、これらのサンプルB、C、Dが最適であると判断された。また、このグラフから厚さ寸法L1に対する厚さ寸法L13の比率を高くする程、静水圧応力が全体的に低くなる傾向を有するものの、あまりにこの比率を高くすると、積層ゴム16の全体のバネ定数が低くなるので、この比率を1.5倍とするのが最適と考えられる。
尚、上記各実施の形態では、各ゴム板14の厚さ寸法を固定端側から自由端側に向かって、徐々に変化させたが、2層或いは3層以上毎にゴム板14の厚さ寸法を変更しても良いことは言うまでもなく、例えば厚さ寸法L1、L2・・・L12、L13を例えば17.5mm、17.5mm、17.0mm、17.0mm・・・という形に変化させたり、17.5mm、17.5mm、17.5mm、17.0mm、17.0mm、17.0mm・・・という形に変化させても良い。
さらに、上記各実施の形態では、各ゴム板14の厚さを相互に異ならせたことから、積層ゴム16の製造過程において、ゴム材の注入ボリュームが異なることになる。この為、通常通りゴム材を加硫すると注入バランスの差から硬質板12に曲がりが発生することが考えられるので、注入口の大きさを変化させる対策を実施することが考えられる。具体的には以下に説明する。
つまり、本発明に係る防振構造体の製造方法の一実施の形態を図5から図8に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、防振構造体の第1の実施の形態において説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
防振構造体に関する第1の実施の形態では、図1に示すように、それぞれ矩形状の金属板により形成されたフランジ18及びフランジ20が積層ゴム16のそれぞれ上下に配設されているだけでなく、それぞれリング状に形成された硬質板12とゴム板14とからこの積層ゴム16が構成されていたが、この積層ゴム16を成形する為の本実施の形態に係る製造用金型50を図5から図7に示す。
これらの図に示すように製造用金型50は、半円筒形状の中央凹部52をそれぞれ有した上型50Aと下型50Bとからなり、これら上型50Aと下型50Bとを合わせることで、内部に円筒形状の空間が形成される構造となっている。また、これら上型50A及び下型50Bの半円筒形状の中央凹部52には、リング状の硬質板12がそれぞれ挿入され得る円弧状の溝部52Bが複数並んで形成されている。この為、上型50A及び下型50Bのこれら溝部52B間の部分がそれぞれ円弧状のゴム板形成部52Aとされることで、このゴム板形成部52Aも複数並んで形成された形とされている。
但し、図1に示す第1の実施の形態の防振構造体10では、積層方向の一端側であるフランジ18側から他端側であるフランジ20側に向かってゴム板14が徐々に薄くなるように、複数のゴム板14の厚さが相互に異なっていることから、上型50A及び下型50Bの複数のゴム板形成部52Aを順次薄くする形で、製造用金型50が形成されている。さらに、この製造用金型50の上型50A及び下型50Bにおける中央凹部52の両端部には、フランジ18及びフランジ20を入れるためのフランジ用凹部54がそれぞれ設けられている。
そして、この上型50Aの各ゴム板形成部52Aに対応する部分には、図5に示すように、ゴム板14を形成するゴム材等の材料を製造用金型50内に注入する為の注入口56が、円弧の延びる方向に沿って4つ並んだ形で、それぞれ設けられている。この際、各注入口56は、ゴム板14の厚さとなるゴム板形成部52Aの厚さに比例して開口面積を小さくしていくように、各ゴム板14に対応してそれぞれ製造用金型50に形成されている。尚、これら各ゴム板形成部52Aにおける注入口56の直径は、例えば3.9mmから4.4mmまでの大きさとされるような相違を有している。
さらに、上型50Aには、図7に示すように各注入口56に繋がる材料貯留部58が形成されていて、この材料貯留部58にゴム板14を形成するゴム材等の材料Mが貯留される構造とされている。また、この材料貯留部58と対向した位置には、製造用金型50内の中央凹部52により形成された空間内にこの材料を材料貯留部58から押し出すための押圧型60が配置されている。この為、積層ゴム16の製造時には、材料貯留部58側に向かってこの押圧型60を移動することで、製造用金型50内の空間に材料貯留部58内の材料Mが各注入口56を介して注入されるようになっている。
次に、本実施の形態に係る防振構造体の製造方法の具体的な手順を以下に説明する。
防振構造体10を製造する際には、まず、上記のように複数のゴム板14の厚さが相互に異なる形で、製造用金型50にゴム板形成部52Aを形成するが、この際に、ゴム板14の厚さが薄くなるに従って開口面積を小さくしつつ注入口56を各ゴム板14に対応してそれぞれ4つずつ、この製造用金型50の内の上型50Aに設けておくことにする。
この後、積層ゴム16の中央部に図1に示す空洞部17を穿設する為に予め形成しておいた空洞部形成用軸材62に、図6に示すようにリング状に形成された硬質板12を必要枚数通すだけでなく、フランジ18及びフランジ20をこの空洞部形成用軸材62の上下部分にそれぞれ配置する。
この状態で、これらの部材を中央凹部52内に挟み込む形で上型50Aと下型50Bとを合わせることで型を閉めし、押圧型60を材料貯留部58側に向かって矢印Aで示すように移動することで、各注入口56から各ゴム板14を形成するゴム材等の材料Mを製造用金型50内に注入して、各ゴム板14を硬質板12間にそれぞれ形成する。この結果として、フランジ18,20が接着された形の積層ゴム16である図8に示す防振構造体10が完成する。尚この際、積層ゴム16の各ゴム板14には、注入口56の位置に合わせて図8に示すような注入跡57が4つずつ残るようになる。
以上のような本実施の形態の防振構造体の製造方法によれば、剛性を有する複数の硬質板12と粘弾性的性質を有する複数のゴム板14とが交互に積層された形の複合積層材である積層ゴム16を備えた防振構造体10が製造される。そしてこの際に、ゴム板14を形成する材料を各注入口56から製造用金型50内に一斉に注入することで、各ゴム板14が硬質板12間にそれぞれ形成されるが、各ゴム板14に対応してそれぞれ設けられた注入口56の開口面積を、ゴム板14の厚さが薄くなるのに合わせて比例して小さく形成した構造にした。
このように、ゴム板14の厚さが薄くなるのに合わせて注入口56の開口面積を比例して小さく形成したことで、注入口56から注入される材料Mの注入圧が各ゴム板形成部52A間でほぼ一定となり、各ゴム板14間に挟まれて位置することになる硬質板12が、この注入圧の相違によって曲がる等の硬質板12の変形を防止可能となった。
以上より、本実施の形態によれば、第1の実施の形態のように静水圧応力が高くなる部分のゴム板14を相対的に厚くした構造の積層ゴム16を備えた防振構造体10の製造が容易となった。つまり、本実施の形態に係る防振構造体の製造方法を採用することで、積層ゴム16を構成しているゴム板14に生じる虞のあるクラックの発生を抑制し、積層ゴム16の破損を効果的に防止して防振構造体10の寿命を延ばすという作用効果を一層確実に達成できるようになった。
尚、防振構造体の製造方法に関する一実施の形態では、各ゴム板14に対応して上型50Aに4つずつの注入口56を設けたが、注入口の数は4つに限定されず3つ以下の数或いは5以上の数であっても良い。また、各注入口56の直径も実施の形態の数値に限定されず、他の寸法としても良い。他方、防振構造体の製造方法に関する一実施の形態により製造された防振構造体10における積層ゴム16の空洞部17内には、リンクチェーン28が配設されていない構造としたが、空洞部17内にリンクチェーン28が配設された構造としても良い。
本発明の第1の実施の形態に係る防振構造体を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る防振構造体を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る防振構造体を示す平面図である。 各サンプルにおけるゴム板の厚さ寸法と静水圧応力値の関係を表すグラフを示す図である。 本発明の一実施の形態に係る防振構造体の製造方法に適用される製造用金型の上型を示す正面図である。 本発明の一実施の形態に係る防振構造体の製造方法に適用される製造用金型の上型を示す正面図であって、空洞部形成用軸材、硬質板及びフランジを設置した状態を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る防振構造体の製造方法に適用される製造用金型を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る防振構造体の製造方法により製造された防振構造体を示す正面図である。
符号の説明
10 防振構造体
12 硬質板
14 ゴム板(軟質材)
16 積層ゴム(複合積層材)
17 空洞部
18 フランジ(フランジ部材)
20 フランジ(フランジ部材)
28 リンクチェーン(変位制限部材)
50 製造用金型(金型)
50A 上型
50B 下型
56 注入口
M 材料

Claims (9)

  1. 剛性を有する複数の硬質板と粘弾性的性質を有する複数の軟質材とが交互に積層された複合積層材を備え、
    複合積層材の積層方向に沿った一端が振動発生部或いは振動受部の一方に連結され、積層方向に沿った他端が振動発生部或いは振動受部の他方に連結された防振構造体であって、
    複数の軟質材の内の静水圧応力が高くなる部分の軟質材を厚く形成したことを特徴とする防振構造体。
  2. 複合積層材の積層方向に沿った一端が、固定的に振動発生部或いは振動受部の一方に連結される固定端とされ、
    複合積層材の積層方向に沿った他端が、変位可能としつつ振動発生部或いは振動受部の他方に連結される自由端とされ、
    固定端近傍部分の軟質材の厚さを他の部分の軟質材より厚くしたことを特徴とする請求項1記載の防振構造体。
  3. 軟質材の厚さが固定端側から自由端側に向かって徐々に薄くなるように、複数の軟質材を積層したことを特徴とする請求項2記載の防振構造体。
  4. 複数の軟質材の内の最も自由端側に位置する軟質材の厚さに対する最も固定端側に位置する軟質材の厚さの比率が、1.3以上1.7以下の値とされることを特徴とする請求項2もしくは請求項3に記載の防振構造体。
  5. 複数の軟質材をゴム材によりそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防振構造体。
  6. 振動発生部及び振動受部にそれぞれ連結される一対のフランジ部材を、複合積層材の積層方向両端部が挟持されるように設け、
    積層方向に沿って複合積層材を貫通する空洞部を設け、
    積層方向に沿つた引張荷重に対して複合積層材よりも高い剛性を有すると共に、積層方向と直交する剪断方向に変形可能とされる変位制限部材が、一対のフランジ部材にそれぞれ両端部を連結固定されつつ、空洞部内に配置された、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防振構造体。
  7. 変位制限部材が、複数個のリンク片を線状に連結したリンクチェーンとされることを特徴とする請求項6項記載の防振構造体。
  8. 剛性を有する複数の硬質板と粘弾性的性質を有する複数の軟質材とが交互に積層された複合積層材を備えた防振構造体に適用され、
    軟質材を形成する材料を注入口から金型内に注入して各軟質材を硬質板間にそれぞれ形成する防振構造体の製造方法であって、
    まず、複数の軟質材の厚さが相互に異なるように金型を形成し、これに合わせて、軟質材の厚さが薄くなるに従って開口面積を小さくしつつ注入口を各軟質材に対応してそれぞれこの金型に設けた後に、
    この注入口から各軟質材を形成する材料を金型内に注入して、複合積層材を完成させることを特徴とする防振構造体の製造方法。
  9. 開口面積を軟質材の厚さに比例した大きさとする形で、注入口を各軟質材に対応してそれぞれ形成することを特徴とする請求項8記載の防振構造体の製造方法。
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