JP2008075029A - インクジェット記録用インクセット - Google Patents

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龍二 加藤
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Abstract

【課題】インクジェット記録用インクセットに対し、黒顔料を着色剤とした黒インクを使用しながらも普通紙紙面耐擦過性に優れ、記録画像の印字色において退色後にも黒インクの印字部分が不自然に目立たないようにし、しかも、インク自体が良好な保存安定性を保持し、更に記録画像が良好な耐水性を保持する。
【解決手段】イエロー染料を含有するイエロー染料インク、マゼンタ染料を含有するマゼンタ染料インク、シアン染料を含有するシアン染料インク及び黒インクからなるインクジェット記録用インクセットにおいて、黒インクが黒顔料、当該インクセットに用いられている該イエロー染料、該マゼンタ染料及び該シアン染料を含有する。黒インク中における黒顔料の含有量と、黒インク中におけるイエロー染料、マゼンタ染料及びシアン染料の合計含有量との重量比は、95:5〜70:30である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インクセットに関する。
インクジェット記録方法を用いて鮮明なフルカラー画像を形成するために、イエロー染料インク、マゼンタ染料インク及びシアン染料インクからなるインクセットが用いられている。
ところで、このようなインクセットで黒色情報を印字する場合、三原色カラーインクの混色により行うことができるが、印字コストが高くなるため、通常、比較的低コストで入手可能な黒染料インクをインクセットに加え、それを用いて黒色情報を印字していた。
しかし、黒染料インクは、耐光性、耐水性及び耐オゾン性が充分とは言えなかった。このため、最近のインクジェット記録用インクセットには、黒インクとして、黒染料インクに比べて耐光性、耐水性及び耐オゾン性に優れているカーボンブラックを着色剤とする黒顔料インクが用いられている。
しかしながら、黒顔料インクは、その印字物の耐擦過性が黒染料インクに比べ充分でなく、印字物を指で触ると黒インクが指に付着したり、指や紙同士で擦れて画像品質が低下するという問題があった。
また、有機系の顔料や染料を使用している限り、カラー画像が退色することは避けられないが、それぞれのインクが同じように退色すれば記録画像の品位の低下を少しでも抑制することができる。しかし、黒顔料インクはカラー染料インクに比べて退色し難いため、カラー染料インクの退色に伴って、黒顔料インクの印字部分が、退色したカラー画像領域から不自然に目立つようになるという問題があった。そこで、黒顔料と黒染料とを併用することが提案されている(特許文献1)が、黒染料とカラー染料とが同じように退色しないので、やはり、黒顔料インクの印字部分が、退色したカラー画像領域から不自然に目立つという問題は解決できなかった。なお、インクジェット記録用インクに対しては、記録画像の良好な保存安定性や耐水性も当然に求められている。
特開平11−349876号公報
本発明は、インクジェット記録用インクセットに対し、黒顔料を着色剤とした黒インクを使用しながらも普通紙紙面耐擦過性に優れ、記録画像の印字色において退色後にも黒インクの印字部分が不自然に目立たないようにし、しかも、インク自体が良好な保存安定性を保持し、更に記録画像が良好な耐水性を保持できるようにすることを目的とする。
本発明者等は、カラー染料インクと黒インクとを用いたインクジェット記録用インクセットの当該黒インクに、黒顔料に加えて、黒顔料よりも普通紙紙面耐擦過性に優れた染料を所定量範囲で含有させ、しかも黒インクに含有させる染料として、インクジェット記録用インクセットのカラー染料インクのカラー染料と同一のものを使用することにより上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、イエロー染料を含有するイエロー染料インク、マゼンタ染料を含有するマゼンタ染料インク、シアン染料を含有するシアン染料インク及び黒インクからなるインクジェット記録用インクセットにおいて、黒インクが、黒顔料、該イエロー染料、該マゼンタ染料及び該シアン染料を含有しており、黒インク中における黒顔料の含有量と、黒インク中における該イエロー染料、該マゼンタ染料及び該シアン染料の合計含有量との重量比が95:5〜70:30であることを特徴とするインクジェット記録用インクセットを提供する。
カラー染料を含有するカラー染料インク及び黒インクからなる本発明のインクジェット記録用インクセットにおいては、インクジェット記録用インクセットの当該黒インクに、黒顔料に加えて、黒顔料よりも普通紙紙面耐擦過性に優れたカラー染料を所定量範囲で含有させるので、記録画像の保存安定性(耐光性や耐オゾン性)や耐水性を損なわずに、黒インクの普通紙紙面耐擦過性を改善できる。また、黒インクに含有させるカラー染料として、インクジェット記録用インクセットのカラー染料インクのカラー染料と同一の染料を使用するので、カラー染料インク記録部分の退色に伴い、黒インク記録部分のカラー染料も同じように退色するので、黒インク記録部分が退色したカラー記録部分から不自然に目立たない。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、イエロー染料を含有するイエロー染料インク、マゼンタ染料を含有するマゼンタ染料インク、シアン染料を含有するシアン染料インク及び黒インクを有する。ここで、黒インクは、黒顔料に加えて、インクジェット記録用インクセットを構成するカラーインクに用いられているものと同一のカラー染料を含有する。しかも、黒インク中における黒顔料の含有量と、黒インク中におけるイエロー染料、マゼンタ染料及びシアン染料の合計含有量との重量比は、95:5〜70:30、好ましくは90:10〜80:20である。
また、黒インク中に含有されているイエロー染料(Y)、マゼンタ染料(M)及びシアン染料(C)の重量比(Y:M:C)は、これら3種のカラー染料で黒様色を表現できるような重量比とすることが好ましい。具体的には、使用する染料の種類などにより変動するが、好ましくは1:(0.5〜2):(0.5〜2)、より好ましくは1:(0.8〜1.2):(0.8〜1.2)である。
黒インクに含まれる黒顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄系等の無機顔料が使用できる。さらに、顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理した自己分散型顔料、例えば、グラフトカーボン等も使用することができる。自己分散型顔料としては市販品を使用することができ、例えば、カーボンブラック、キャボット社製CAB−O−JET(登録商標)200及び300等、オリエント化学工業(株)製BONJET(登録商標)BLACK CW−1及びCW−2等が挙げられる。また、発明の効果を損なわない範囲で、C.I.フードブラック2等の黒染料を併用してもよい。
また、イエロー染料インクの着色剤であるイエロー染料としては、インクジェット記録用インクに一般的に使用される直接染料及び酸性染料等を使用できる。イエロー染料インクには、本発明の効果を損なわない範囲でイエロー顔料を含有させてもよい。
また、マゼンタ染料インクの着色剤であるマゼンタ染料としては、インクジェット記録用インクに一般的に使用される直接染料及び酸性染料等を使用できるが、良好な耐光性及び耐オゾン性が得られる点から以下の一般式(1)で表される染料(1)を使用することが好ましい。マゼンタ染料インクには、本発明の効果を損なわない範囲でマゼンタ顔料を含有させてもよい。
Figure 2008075029
一般式(1)中、Rは、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Rは、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロ環基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロ環基、置換されてもよいスルホニル基又は置換されてもよいアシル基を表す。ただし、RとRが共に水素原子であることはなく、RとRが共に水素原子であることはない。A及びAは、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。
次に、一般式(1)中の置換基R〜R、A〜Aについて説明する。
一般式(1)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアルキル基におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、また、置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、イオン性親水性基(カルボン酸塩、スルホン酸塩等)が挙げられる。置換されてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基及び4−スルホブチル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアリール基におけるアリール基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基等)、アルコキシ基(前述参照)、ハロゲン原子(前述参照)、アルキルアミノ基(メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホアミド基、水酸基、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)及びイオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいアリール基の具体例には、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−オクチルフェニル基、メシチル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいヘテロ環基におけるヘテロ環基としては、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基の例としては、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホアミド基、水酸基、エステル基(前述参照)、イオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいへテロ環基の具体例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−フリル基、6−スルホベンゾチアゾリル基及び6−スルホン酸塩ベンゾチアゾリル基等)が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいスルホニル基の置換基としては、アルキル基(前述参照)及びアリール基(前述参照)等が挙げられる。置換されてもよいスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基及びフェニルスルホニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアシル基のアシル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましく挙げられる。置換基の例としては、イオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいアシル基の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基、クロロアセチル基が挙げられる。
一般式(1)において、A及びAは、既に述べたように、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。AとAが共に炭素原子である場合がより優れた性能を発揮できる点で好ましい。AとAの炭素原子に結合する置換基としては、炭素原子数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、カルバモイル基及びシアノ基等が挙げられる。
なお、一般式(1)において、RとRとは共に水素原子となることはなく、またRとRも共に水素原子となることはない。また、スルホン酸基もしくはカルボキシル基の置換数が多くなると水溶性が向上する傾向があるので、必要に応じてそれらの置換数を調整することが好ましい。
染料(1)の好ましい態様としては、一般式(1)において、Rがアルキル基、Rがシアノ基、Rが水素原子又は置換されてもよいヘテロ環基、Rが水素原子、置換されてもよいヘテロ環基又は置換されているアリール基、R及びRが置換されているヘテロ環基又は置換されているアリール基、Rが水素原子であり、Aが置換されている炭素原子、Aが置換されてもよい炭素原子である態様が挙げられる。
染料(1)のより好ましい態様としては、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、Rが水素原子又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)、Rが水素原子、スルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているトリアルキルフェニル基(好ましくはメシチル基)、R及びRはそれぞれ独立的にスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいモノもしくはトリアルキルフェニル基(好ましくはp−オクチルフェニル基もしくはメシチル基)又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)、Rが水素原子であり、Aがアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されている炭素原子、Aがシアノ基で置換されてもよい炭素原子である態様である。
染料(1)の好ましい具体例としては以下の化学式(1−A)〜(1−E)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008075029
化学式(1−A)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、Rがベンゾチアゾール−2−イル基、Rが水素原子、R及びRがp−オクチルフェニル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aがシアノ基で置換されている炭素原子である態様である。
Figure 2008075029
化学式(1−B)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、R及びRがベンゾチアゾール−2−イル基、R及びRがメシチル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aが炭素原子である態様である。



Figure 2008075029
化学式(1−C)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、R及びRが6−スルホナトリウム塩ベンゾチアゾール−2−イル基、R及びRが3−スルホナトリウム塩−メシチル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aが炭素原子である態様である。
Figure 2008075029
化学式(1−D)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、R及びRが水素原子、R及びRがメシチル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aが炭素原子である態様である。

Figure 2008075029
化学式(1−E)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、R及びRが6−スルホカリウム塩ベンゾチアゾール−2−イル基、R及びRが3−スルホカリウム塩−メシチル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aが炭素原子である態様である。
一般式(1)で表される染料(1)は、以下に説明する工程(a)〜(c)に従って製造できる。
工程(a)
化学式(1a)で表されるアミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する。ジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウムの希塩酸水溶液を好ましく使用することができる。亜硝酸イソペンチルやニトロシル硫酸等も使用できる。
Figure 2008075029
化学式(1a)における置換基RとRとは、染料(1)で説明したとおりである。なお、化学式(1a)アミノピラゾールは、米国特許第3,336,285号明細書、ヘテロサイクルズ(Heterocycles),20,519(1983)、特公平6−19036号公報等に記載されている方法によって合成できる。
工程(b)
次に、工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を化学式(1b)で表されるカップリング剤と反応させ、化学式(1c)で表される化合物を形成する。
Figure 2008075029
Figure 2008075029
化学式(1b)及び(1c)における置換基R〜Rは、染料(1)で説明したとおりである。なお、化学式(1c)のピリジン系のカップリング剤は、特開昭51−83631号公報、特開昭49−74718号公報、特公昭52−46230号公報等に記載されている方法で合成できる。
工程(c)
次に、塩基の存在下で、工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させることにより、一般式(1)で表される染料(1)が得られる。この工程で使用する塩基としては、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の無機塩基等を使用することができる。アルキル化剤は“R−X”で表される化合物である。ここで、Rは置換されていてもよいアルキル基である。Xはハロゲン原子又はOSOR’であり、R’はアルキル基又はフェニル基等のアリール基である。また、アリール化剤は“Ar−X”で表される化合物である。ここで、Arは、電子吸引性基が置換されたフェニル基(ハメットのσp値の合計が0.2以上の置換基で置換されていることが好ましい)である。ヘテリル化剤は“Het−X”で表される化合物である。ここで、Hetは、ヘテロ環、例えば、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、トリアジル基及び2−フリル基等が好ましく挙げられる。
また、シアン染料インクの着色剤であるシアン染料としては、インクジェット記録用インクに一般的に使用される直接染料及び酸性染料等を使用できるが、良好な耐光性及び耐オゾン性が得られる点から以下の一般式(2)で表される染料(2)を使用することが好ましい。シアン染料インクには、本発明の効果を損なわない範囲でシアン顔料を含有させてもよい。

Figure 2008075029

(一般式(3))
Figure 2008075029
一般式(2)において、Pc(Cu)は一般式(3)で表される銅フタロシアニン核を表す。一般式(2)中、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立的に−SO−R、−SONR又は−CO−Rから選ばれる置換基を表し、R11、R12、R13及びR14はすべてが同一であることはない。但し、R11、R12、R13及びR14の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R11、R12、R13及びR14の少なくとも1つ以上は、一般式(3)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Rは置換もしくは無置換のアルキル基、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、Rは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、mは0≦m<8を満たす数、nは0≦n<8を満たす数であり、且つk、l、m及びnは4≦k+l+m+n≦8を満たす数である。
次に、一般式(2)中の置換基R11〜R14、Pc(Cu)、並びにk、l、m及びnについて説明する。
一般式(2)において、R、R又はRの置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素数が1〜12の直鎖、分岐及び脂環式アルキル基が好ましく挙げられる。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
、R又はRの置換アルキル基における置換基の例としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる点から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−tert−ブチルフェニル、2,4−ジ−tert−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−tert−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−tert−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。これらの中でもヒドロキシル基、エーテル結合又はエステル結合を有する基、シアノ基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
このようなR、R又はRの置換又は無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基及び4−スルホブチル基等が挙げられる。
染料(2)の好ましい態様としては、一般式(2)において、R11、R12、R13及びR14が−SO−Rで示される置換基であり、ここで、R11、R12、R13及びR14がそれぞれ有するRは置換もしくは無置換のアルキル基であるが、但し、これら4つのRの置換もしくは無置換のアルキル基のすべてが完全に同一ではない態様が挙げられる。ここで、完全に同一ではないということは、4つのRの少なくとも一つがイオン性親水性基を有する置換アルキル基であることを前提に、少なくとも2種類のRが存在することを意味する。
染料(2)のより好ましい態様としては、一般式(2)におけるkは0<k<4を満たす数、lは0<l<4を満たす数、mは0≦m<4を満たす数、nは0≦n<4を満たす数であり、且つk、l、m及びnはk+l+m+n=4を満たす数である態様が挙げられる。
染料(2)の好ましい具体例としては、以下の化学式(2−A)〜(2−E)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008075029
化学式(2−A)の化合物は、一般式(2)において、R11がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R12がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、m及びnが共に0である態様である。
Figure 2008075029
化学式(2−B)の化合物は、一般式(2)において、R11がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R12がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、m及びnが共に0である態様である。




Figure 2008075029
化学式(2−C)の化合物は、一般式(2)において、R11がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R12がN,N−(ジ(2−ヒドロキシエチル))スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、m及びnが共に0である態様である。
Figure 2008075029
化学式(2−D)の化合物は、一般式(2)において、R11がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R12がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基、R13がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが2、lが1、mが1、nが0である態様である。
Figure 2008075029
化学式(2−E)の化合物は、一般式(2)において、R11がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R12がリチウムカルボキシラトプロピルスルホニル基、R13がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基、R14がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、k、l、m及びnが共に1である態様である。
以下に一般式(2)で表される染料(2)の製造方法について説明するが、一般に、無置換のフタロシアニン化合物は、特表2002−526589(WO00/17275)号公報等に記載されているようにスルホン化すると、比較的容易にフタロシアニン核にスルホ基を導入することができる。スルホン化したフタロシアニン化合物を水溶性染料として使用する場合には、スルホ基をアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムで造塩し、スルホン酸塩としてそのまま染料として使用することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核の任意の位置でも起こり得る上に、導入されるスルホ基の個数の制御も困難である。従って、スルホ基の導入位置、導入個数を考慮することなく、主としてスルホン化の容易さのみを考慮した反応条件でスルホン化した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数の特定は困難であり、置換基の個数や置換位置の異なる混合物が得られてしまう。そこで、染料(2)の耐オゾン性を向上させるためには、耐オゾン性が劣った生成物の混入を防止する必要があるため、あらかじめフタル酸誘導体に常法に従って特定の置換基を導入し、この置換フタル酸誘導体とCuCl等の銅誘導体とを、特開2000−303009号公報等に記載されている方法に従って反応させれば、一般式(2)の銅フタロシアニンを製造することができる。
次に、本発明のインクジェット記録用インクセットの各インクを構成する水及び水溶性有機溶剤について説明する。
本発明で使用する水としては、塩類の少ないイオン交換水が好ましい。インクジェット記録用インクセットの各色インク中における水の含有量は、他の成分の残部という位置づけであるから、他の成分の含有量に依存するが、通常、10〜90重量%、好ましくは40〜80重量%である。
本発明で使用する水溶性有機溶剤には、主としてインクジェットヘッドのノズル先端部におけるインクの乾燥を防止するための湿潤剤と、主として紙面上での乾燥速度を速くするための浸透剤とが含まれる。
湿潤剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等;1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;等が挙げられる。中でも、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。
インクジェット記録用インクセットの各インク中における湿潤剤の含有量は、一般には0〜95重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは10〜50重量%である。これら湿潤剤は、単独又は2種類以上を混合して用いることも可能である。
一方、浸透剤としては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
インクジェット記録用インクセットの各色インク中における浸透剤の含有量は、一般には0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%である。なお、含有量が過剰であると、インクの紙への浸透性が高くなりすぎて滲みの原因となってしまうことがある点に留意が必要である。これら浸透剤は、単独又は2種類以上を混合して用いることも可能である。
本発明のインクジェット記録用インクセットの各色インクは、更に必要に応じて、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及び水溶性樹脂等の粘度調整剤;表面張力調整剤;防黴剤;pH調整剤等の従来公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、上述した着色剤に、必要に応じて、水、水溶性有機溶剤、その他の各種添加剤を、常法に従って均一に混合することにより各色インクを調製し、それらをセットとすることにより製造することでができる。
実施例1〜6及び比較例1〜5
表1及び表2に示すインク組成を、均一に混合することによりインクジェット記録用インクを調製した。ここで、染料(1−A)〜(1−E)はそれぞれ化学式(1−A)〜(1−E)の化合物に、染料(2−A)〜(2−E)はそれぞれ化学式(2−A)〜(2−E)の化合物に該当する。
得られたインクジェット記録用インクセットについて、(1)普通紙紙面耐擦過性評価、(2)保存安定性評価、(3)耐水性評価、(4)退色後の印字物評価及び(5)総合評価を次のように行った。評価結果を表3に示す。
(1)普通紙紙面耐擦過性評価
黒インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、m−real製DATA COPY紙にテキスト印字し、印字後30秒経過した後に、指で擦り、インクの擦れを目視により観察し、画像に与える影響を以下の基準に基づき評価した。
AA: インクの擦れが全く認められない
A: インクの擦れがほとんど目立たない
B: インクの擦れが若干あるが、実用上問題ない
C: インクの擦れが目立ち、実用には向かない
(2)保存安定性評価
黒インクをガラス容器内に密閉し、60℃の恒温槽に14日間放置した。その後、ガラス容器の底部からインクを採取し、凝集物の有無を顕微鏡観察によって以下の基準に基づき評価した。
A: 凝集物がほとんどない
B: 凝集物が若干あるが、実用上問題ない
C: 凝集物が多くあり、実用には向かない
(3)耐水性評価
黒インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、評価サンプルを作成した。評価サンプルとしては、m−real製DATA COPY紙に黒インクのグラデーションサンプルをプリントし、初期OD値1.0の5cm四方のプリントパッチを得た。このプリントパッチを10分間自然放置した後に、5分間水道水に浸漬した。浸漬後、プリントパッチを24時間自然乾燥し、非記録部のインク移りの濃度及び記録部のインク残りを目視により以下の基準に基づき評価した。
AA: インクのにじみが全く認められない
A: インクのにじみがほとんど目立たない
B: インクのにじみが若干あるが、実用上問題ない
C: インクのにじみが目立ち、実用には向かない
(4)退色後の印字物評価
(4−1)印字
表1、2に示した黒インク及びカラーインクセットを組み合わせて、表3に示した各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクセットを構成した。各インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、評価サンプルを作成した。評価サンプルとしては、光沢紙(ブラザー工業(株)製;写真光沢紙(型番;BP60GLA))に、4色の各インクについてグラデーションサンプルをプリントし、初期OD値1.0のプリントパッチを得た。
(4−2)耐光性試験
上述の評価サンプルを用いて、耐光性試験を行った。耐光性試験はスガ試験機(株)製強エネルギーキセノンウェザーメーターSC750−WNを用い、光源にキセノンランプ光、室温25℃、湿度50%RH、照度93000Luxで100時間照射させた。試験前にOD値1.0を示す4色のプリントパッチについて、耐光性試験後におけるOD値を測定した。OD値はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;status A)により測定した。次式により、試験前のOD値1.0のプリントパッチについて、OD値減少率を求めた。


Figure 2008075029
(4−3)耐オゾン性試験
上述の評価サンプルを用いて、耐オゾン性試験を行った。耐オゾン性試験はスガ試験機(株)製オゾンウェザーメーターOMS−Hを用い、オゾン濃度1ppm、槽内温度24℃、湿度60%RHで40時間放置して行った。試験前にOD値1.0を示す4色のプリントパッチについて、耐オゾン試験後におけるOD値を測定した。OD値はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;status A)により測定した。上述の数式により、試験前のOD値1.0のプリントパッチについて、OD値減少率を求めた。
(4−4)評価
耐光性試験及び耐オゾン性試験で得られたOD値減少率を以下の評価基準に基づき評価した。
A: 耐光性試験及び耐オゾン性試験がともに、3色のカラーインクのOD値減少率の順序と黒インク中のイエロー、マゼンタ及びシアン成分のOD値減少率の順序が同一であり、かつ黒のOD値減少率が、耐光性試験及び耐オゾン性試験ともに10%以内である
B: 耐光性試験及び耐オゾン性試験がともに、3色のカラーインクのOD値減少率の順序と黒インク中のイエロー、マゼンタ及びシアン成分のOD値減少率の順序は同一であるが、黒のOD値減少率が、耐光性試験及び耐オゾン性試験のいずれか又は両方で10%を超える
C: 耐光性試験及び耐オゾン性試験の少なくともどちらかの試験において、3色のカラーインクのOD値減少率の順序と黒インク中のイエロー、マゼンタ及びシアン成分のOD値減少率の順序が異なる
(5)総合評価
実施例及び比較例のインクセットについて、以下の基準にて総合評価を行った。
Excellent (非常に良好): 全ての評価結果がAA、又はAである
Good (良好): 評価結果のいずれかにBはあるがCはない
Poor(不良): 評価結果のいずれかにCがある















Figure 2008075029






Figure 2008075029



Figure 2008075029
表3の結果から、実施例1〜6のインクジェット記録用インクセットは、いずれの評価項目についても実用上問題のないレベル以上の好ましい結果を示していることがわかる。
一方、黒インクの着色剤における黒顔料の割合が高い比較例1のインクセットは、普通紙紙面耐擦過性が充分なものではなかった。逆に、染料の割合が高い比較例2のインクセットは、印字物の耐水性が不充分であった。また、黒インク中にカラー染料を含有している比較例3及び4のインクジェット記録用インクセットの場合、黒インクが含有しているカラー染料と、インクセットを構成するカラー染料インク中のカラー染料とが相違しているため、カラー染料インクのイエロー染料、マゼンタ染料及びシアン染料の耐光性及び耐オゾン性の順序と、黒インク中のイエロー、マゼンタ及びシアン成分の耐光性及び耐オゾン性の順序が異なり、退色後の印字物の評価結果が好ましいものではなかった。さらに、黒インク中に黒染料を含有するがカラー染料を含有しない比較例5のインクジェット記録用インクセットの場合、退色後の印字物の評価結果が好ましいものではなかった。その結果、比較例1〜5のインクセットの総合評価は芳しいものではなかった。
カラー染料インクと黒インクとを用いた本発明のインクジェット記録用インクセットは、黒インクに、黒顔料よりも普通紙紙面耐擦過性に優れたカラー染料を所定量範囲で含有させ、しかも、黒インクに含有させるカラー染料として、インクジェット記録用インクセットのカラー染料インクのカラー染料と同一のカラー染料を使用する。この結果、本発明のインクジェット記録用インクセットは、黒顔料を含有する黒インクを使用しながらも普通紙紙面耐擦過性に優れ、記録画像の印字色において退色後にも黒インクの印字部分が不自然に目立たないものである。しかも、インク自体が良好な保存安定性を有し、記録画像も良好な耐水性を示す。

Claims (3)

  1. イエロー染料を含有するイエロー染料インク、マゼンタ染料を含有するマゼンタ染料インク、シアン染料を含有するシアン染料インク及び黒インクからなるインクジェット記録用インクセットにおいて、黒インクが、黒顔料、該イエロー染料、該マゼンタ染料及び該シアン染料を含有しており、黒インク中における黒顔料の含有量と、黒インク中における該イエロー染料、該マゼンタ染料及び該シアン染料の合計含有量との重量比が95:5〜70:30であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
  2. 該黒インク中における黒顔料の含有量と、該黒インク中における該イエロー染料、該マゼンタ染料及び該シアン染料の合計含有量との重量比が、90:10〜80:20である請求項1記載のインクジェット記録用インクセット。
  3. 該黒インク中に含有されている該イエロー染料、該マゼンタ染料及び該シアン染料の重量比が、1:(0.5〜2):(0.5〜2)である請求項1又は2記載のインクジェット記録用インクセット。
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