JP2008069875A - 円錐ころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】鍔の案内面と保持器の被案内面との間を良好に潤滑した上で、内輪の大鍔の内側に潤滑剤を溜め、円錐ころ大端面の大鍔との摺動部に十分な潤滑剤を供給できるようにすることである。
【解決手段】内輪の大鍔の案内面で案内されるもみ抜き保持器４の大鍔被案内面６ａに、周方向に延びる周方向油溝７ａと、この周方向油溝７ａと交叉して軸方向に延び、大鍔の軸受内側に貫通して軸受外側には貫通しない軸方向油溝８ａを設けることにより、大鍔の案内面と保持器４の大鍔被案内面６ａとの間を良好に潤滑可能とするとともに、保持器４の内径側に流入した潤滑剤が油溝７ａ、８ａから大鍔の外側へ逃げないようにし、内輪の大鍔の内側に潤滑剤を溜めて、円錐ころ大端面の大鍔との摺動部に十分な潤滑剤を供給できるようにした。
【選択図】図２

Description

本発明は、高速回転部位の支持に好適な円錐ころ軸受に関する。
減速機の入力軸等の高速回転軸を支持し、ｄｎ値が１０×１０４以上となるようなころ軸受には、内輪や外輪の鍔の案内面で案内される被案内面を機械加工で精度よく形成できる金属製のもみ抜き保持器を用い、高速で摺接する鍔の案内面と保持器の被案内面との間を良好に潤滑するために、保持器の被案内面に潤滑剤を導く多条ねじ状の油溝を設けたものがある（例えば、特許文献１参照）。特許文献１では、円筒ころ軸受の実施形態を記載しているが、円錐ころ軸受にも適用できるとしている。
円錐ころ軸受は、外輪と内輪の軌道面間に複数の円錐ころが保持器に保持されて配列され、これらの円錐ころの大端面が、内輪の軌道面の大径側に設けられた大鍔で案内されるようになっており、内輪の軌道面の小径側に小鍔が設けられることが多い。もみ抜き保持器をこのような円錐ころ軸受に用いる場合は、大鍔と小鍔の一方または両方に案内面が設けられ、これらの案内面と摺接する被案内面がもみ抜き保持器に設けられる。
高速回転で使用される円錐ころ軸受は、外部から潤滑剤が供給されるものが多い。このように外部から潤滑剤が供給される円錐ころ軸受では、潤滑剤が円錐ころの小径側から軸受内部へ流入して、円錐ころの大径側から流出する。また、保持器の外径側に流入した潤滑剤は、円錐ころの外輪軌道面との転動部を潤滑し、保持器の内径側に流入した潤滑剤は、円錐ころの内輪軌道面との転動部のほかに、円錐ころ大端面の大鍔との摺動部も潤滑する。この円錐ころ大端面は大鍔と大きな接触圧力で摺動するので、摺動抵抗によるトルクロスの増大や焼付きの発生を防止するために、十分な潤滑剤を供給する必要がある。
特開平９−１５１９４６号公報
特許文献１に記載されたような被案内面に多条ねじ状の油溝を設けたもみ抜き保持器を円錐ころ軸受に適用したものは、大鍔や小鍔の案内面と保持器の被案内面との間は良好に潤滑できるが、例えば、大鍔被案内面にこのような油溝を設けたものは、保持器の内径側に流入した潤滑剤が、この油溝を通って大鍔の内側から外側へ流出するので、大鍔の内側にあまり潤滑剤を溜めることができず、円錐ころ大端面の大鍔との摺動部での潤滑剤が不足して、摺動抵抗によるトルクロスが増大したり、さらには摺動部に焼付きが発生したりする問題がある。また、大鍔被案内面を設けず、小鍔被案内面に油溝を設けたものは、保持器の内径側に流入した潤滑剤がそのまま外部に流出するので、大鍔の内側に全く潤滑剤を溜めることができず、さらに、円錐ころ大端面の大鍔との摺動部での潤滑剤が不足しやすい。
そこで、本発明の課題は、鍔の案内面と保持器の被案内面との間を良好に潤滑した上で、内輪の大鍔の内側に潤滑剤を溜め、円錐ころ大端面の大鍔との摺動部に十分な潤滑剤を供給できるようにすることである。
上記の課題を解決するために、本発明は、外輪と内輪の軌道面間に複数の円錐ころが保持器に保持されて配列され、これらの円錐ころの大端面が、前記内輪の軌道面の大径側に設けられた大鍔で案内される円錐ころ軸受において、前記保持器を前記内輪の大鍔の案内面で案内される大鍔被案内面を有するもみ抜き保持器とし、このもみ抜き保持器の前記大鍔被案内面に、周方向に延びる周方向油溝と、この周方向油溝と交叉して軸方向に延び、前記大鍔の軸受内側に貫通して軸受外側には貫通しない軸方向油溝とを設けた構成を採用した。
すなわち、保持器を内輪の大鍔の案内面で案内される大鍔被案内面を有するもみ抜き保持器とし、このもみ抜き保持器の大鍔被案内面に、周方向に延びる周方向油溝と、この周方向油溝と交叉して軸方向に延び、大鍔の軸受内側に貫通して軸受外側には貫通しない軸方向油溝とを設けることにより、大鍔の案内面と保持器の大鍔被案内面との間を良好に潤滑可能とするとともに、保持器の内径側に流入した潤滑剤が油溝から大鍔の外側へ逃げないようにし、内輪の大鍔の内側に潤滑剤を溜めて、円錐ころ大端面の大鍔との摺動部に十分な潤滑剤を供給できるようにした。
前記内輪の軌道面の小径側に小鍔が設けられ、前記もみ抜き保持器がこの小鍔の案内面で案内される小鍔被案内面を有する場合は、この小鍔被案内面に、周方向に延びる周方向油溝と、この周方向油溝と交叉し、軸方向に貫通して延びる軸方向油溝とを設けることにより、小鍔の案内面と保持器の小鍔被案内面との間を良好に潤滑できるとともに、円錐ころの小径側から保持器内径側の軸受内部へ潤滑剤を流入させることができる。
上述した各円錐ころ軸受は、ｄｎ値１０×１０４以上の高速回転で使用されるものに好適である。
本発明の円錐ころ軸受は、保持器を内輪の大鍔の案内面で案内される大鍔被案内面を有するもみ抜き保持器とし、このもみ抜き保持器の大鍔被案内面に、周方向に延びる周方向油溝と、この周方向油溝と交叉して軸方向に延び、大鍔の軸受内側に貫通して軸受外側には貫通しない軸方向油溝とを設けたので、大鍔の案内面と保持器の大鍔被案内面との間を良好に潤滑できるとともに、内輪の大鍔の内側に潤滑剤を溜めて、円錐ころ大端面の大鍔との摺動部に十分な潤滑剤を供給でき、この摺動部でのトルクロスの増大や、焼付きの発生を防止することができる。
前記内輪の軌道面の小径側に小鍔が設けられ、もみ抜き保持器がこの小鍔の案内面で案内される小鍔被案内面を有する場合は、この小鍔被案内面に、周方向に延びる周方向油溝と、この周方向油溝と交叉し、軸方向に貫通して延びる軸方向油溝とを設けることにより、小鍔の案内面と保持器の小鍔被案内面との間を良好に潤滑できるとともに、円錐ころの小径側から保持器内径側の軸受内部へ潤滑剤を流入させることができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この円錐ころ軸受はｄｎ値１０×１０４以上の高速回転で使用され、潤滑剤が外部から供給されるものであり、図１に示すように、凹円錐面の軌道面１ａを有する外輪１と、凸円錐面の軌道面２ａを有し、その大径側に大鍔２ｂ、小径側に小鍔２ｃが設けられた内輪２と、外輪１と内輪２の軌道面１ａ、２ａ間に配列された複数の円錐ころ３と、これらの円錐ころ３を保持する金属製のもみ抜き保持器４とからなり、円錐ころ３の大端面３ａが内輪２の大鍔２ｂで案内され、保持器４は大鍔２ｂと小鍔２ｃの外径面に設けられた各案内面５ａ、５ｂで案内されるようになっている。
図２に示すように、前記もみ抜き保持器４は、円錐筒部に円錐ころ３を保持するポケット４ａが設けられ、円錐筒部の大径側と小径側の両端部に、内向きの環状リブ４ｂ、４ｃが設けられており、これらの環状リブ４ｂ、４ｃの内径面に、それぞれ大鍔２ｂの案内面５ａで案内される大鍔被案内面６ａと、小鍔２ｃの案内面５ｂで案内される小鍔被案内面６ｂとが設けられている。
前記大鍔被案内面６ａには、周方向に延びて環状に連なる２本の周方向油溝７ａと、これらの周方向油溝７ａと交叉して軸方向に延び、大鍔２ｂの軸受内側に貫通して軸受外側には貫通しない複数の軸方向油溝８ａとが設けられている。したがって、前記大鍔２ｂの案内面５ａと保持器４の大鍔被案内面６ａとの間が良好に潤滑されるとともに、大鍔２ｂの内側に潤滑剤を溜めて、円錐ころ３の大端面３ａの大鍔２ｂとの摺動部に十分な潤滑剤を供給することができる。
また、前記小鍔被案内面６ｂには、周方向に延びて環状に連なる２本の周方向油溝７ｂと、これらの周方向油溝７ｂと交叉し、軸方向に貫通して延びる複数の軸方向油溝８ｂとが設けられている。したがって、前記小鍔２ｃの案内面５ｂと保持器４の小鍔被案内面６ｂとの間が良好に潤滑されるとともに、円錐ころ３の小径側から保持器４内径側の軸受内部へ潤滑剤が流入する。
図３（ａ）、（ｂ）、（ｃ）は、それぞれ図２に示したもみ抜き保持器４の大鍔被案内面６ａと小鍔被案内面６ｂの変形例を示す。図３（ａ）の変形例は、大鍔被案内面６ａと小鍔被案内面６ｂの各周方向油溝７ａ、７ｂを１本ずつとし、これらを幅広に形成したもの、図３（ｂ）の変形例は、大鍔被案内面６ａと小鍔被案内面６ｂの２本ずつの各周方向油溝７ａ、７ｂを周方向で分断したもの、図３（ｃ）の変形例は、これらの２本ずつの各周方向油溝７ａ、７ｂの分断位置を、周方向で互いにずらしたものである。なお、これらの変形例は、大鍔被案内面６ａと小鍔被案内面６ｂの各周方向油溝７ａ、７ｂを、互いに同様の形態のものとしたが、例えば、大鍔被案内面６ａの周方向油溝７ａは図３（ａ）の変形例、小鍔被案内面６ｂの周方向油溝７ｂは図３（ｂ）の変形例とするように、互いに異なる形態のものとしてもよい。
上述した実施形態では、もみ抜き保持器を大鍔被案内面と小鍔被案内面で案内されるものとしたが、もみ抜き保持器は大鍔被案内面のみで案内されるものとしてもよい。
円錐ころ軸受の実施形態を示す縦断面図 図１のもみ抜き保持器を示す縦断面図 ａ、ｂ、ｃは、それぞれ図２の保持器の大鍔被案内面と小鍔被案内面の変形例を示す一部省略縦断面図
符号の説明
１ 外輪
１ａ 軌道面
２ 内輪
２ａ 軌道面
２ｂ 大鍔
２ｃ 小鍔
３ 円錐ころ
３ａ 大端面
４ 保持器
４ａ ポケット
４ｂ、４ｃ 環状リブ
５ａ、５ｂ 案内面
６ａ、６ｂ 被案内面
７ａ、７ｂ 周方向油溝
８ａ、８ｂ 軸方向油溝

Claims (3)

  1. 外輪と内輪の軌道面間に複数の円錐ころが保持器に保持されて配列され、これらの円錐ころの大端面が、前記内輪の軌道面の大径側に設けられた大鍔で案内される円錐ころ軸受において、前記保持器を前記内輪の大鍔の案内面で案内される大鍔被案内面を有するもみ抜き保持器とし、このもみ抜き保持器の前記大鍔被案内面に、周方向に延びる周方向油溝と、この周方向油溝と交叉して軸方向に延び、前記大鍔の軸受内側に貫通して軸受外側には貫通しない軸方向油溝とを設けたことを特徴とする円錐ころ軸受。
  2. 前記内輪の軌道面の小径側に小鍔が設けられ、前記もみ抜き保持器がこの小鍔の案内面で案内される小鍔被案内面を有するものとし、この小鍔被案内面に、周方向に延びる周方向油溝と、この周方向油溝と交叉し、軸方向に貫通して延びる軸方向油溝とを設けた請求項１に記載の円錐ころ軸受。
  3. 前記円錐ころ軸受がｄｎ値１０×１０４以上の高速回転で使用されるものである請求項１または２に記載の円錐ころ軸受。
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