JP2008069445A - 化成処理性に優れた高張力鋼板 - Google Patents

化成処理性に優れた高張力鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】P値を高いレベルに維持することにより耐食性を向上させるとともに、これを低コストで製造可能な高張力鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%、Al:0.01〜2.0%を含有し、引張強度が500MPa以上の高張力鋼板において、該鋼板表面の結晶粒の平均粒径が0.5μm以下であり、かつ該鋼板表面の幅10μm以上の観察領域を断面TEM観察用に薄片加工し、該薄片試料を10nm以下の酸化物が観察できる条件でTEM観察により測定した、酸化シリコンおよびマンガンシリケートの1種または2種をこれらの合計量で70質量%以上含有する酸化物種が、上記断面からみた粒界領域表面に対して30%以下存在し、該鋼板表面からの深さで0.1〜1.0μmの範囲内に存在する上記酸化物種の粒径が0.1μm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、高張力鋼板に関し、特に高強度でかつ良好なプレス成形性と耐食性を有する高張力鋼板に関する。
近年の地球温暖化防止等、環境問題の意識向上に伴い、自動車業界では、燃費向上のため、鋼板の薄肉化による車体軽量化が積極的に行われている。一方、自動車の衝突時において安全性を確保する観点から、車体を軽量化しつつ、高い車体強度を維持する必要性も出てきている。この車体軽量化と車体の安全性向上を両立するため、強度の高い高強度鋼板が適用されるケースが増加している。
また、このような鋼板は複雑な形状にプレス成形して使用されるため、強度や衝突安全性とともにプレス成形性も良好であることが要求される。
近年、引張強さ500MPa以上の高強度鋼板としては、C、Si、Mnなどの強化元素を添加し、加工性に優れたフェライトと、ベイナイトやマルテンサイトなどの硬質相の複合組織を用いた鋼板や、加工時の残留オーステナイトの歪誘起変態による伸び向上を活用した、フェライト、ベイナイトおよび残留オーステナイトからなる鋼板が提案され、適用されつつある。
一方、自動車用鋼板においては、防食性向上の点から塗装後の塗膜との密着性を高め、塗膜に疵が付いても錆びが広がらないようにするために、塗装前に高強度鋼板表面の下地処理として化成処理が広く採用されている。一般に、フルディップ方式、スプレー方式などで鋼板のリン酸亜鉛処理を行うことにより、鋼板表面に2〜3g/m程度の薄膜を塗装下地層として形成させた後、この下地層にカチオン電着塗装が施される場合が多い。このカチオン電着塗装の際に化成処理層は強アルカリ性になるため、塗装後の塗膜との密着性を高め、耐食性を向上させるためには、化成処理層が十分な耐アルカリ性を有する必要があった。
また、塗装後の鋼板の腐食は、塗装欠落部の金属露出部がアノードとしてFe2+イオンを溶出し、金属露出部周辺の塗膜下部がカソードとしてOHイオンを生成する局部電池を形成することにより進行する。この際、塗膜下部はOHイオンによりpHが上昇するため、塗膜と鉄界面に存在する化成皮膜が溶解し、塗膜との密着性低下による腐食が進行しないように化成皮膜は十分な耐アルカリ性を有する必要がある。
鋼板の化成処理性および化成処理層の耐アルカリ性の指標として、従来よりP値と呼ばれるパラメータが利用されてきている。
鋼板の化成処理性は、燐酸亜鉛処理溶液中に鋼板を浸漬し、水洗、乾燥後、付着量や以下に定義されるP値を測定することにより評価することができる。ここで、P値とは、燐酸亜鉛処理により鋼板表面に形成されるリン酸亜鉛結晶(Zn−P−O:ホパイト(以下、Hという))とリン酸鉄結晶(Zn−Fe−P−O:フォスフォフィライト(以下、Pという))からなる燐酸皮膜(P+H)に対するリン酸鉄結晶(P)の組成比(P/(P+H))で定義される。通常、フォスフォフィライト(P)の方がホパイト(H)よりも耐アルカリ性に優れるため、化成処理層の耐アルカリ性を向上させるためには、P値が0.8以上、さらには0.9以上に高くするのが好ましいと考えられている。なお、P値は、X線回折により、フォスフォフィライトの(110)面とホパイトの(020)面からの回折線の強度P、Hをそれぞれ測定し、P/(P+H)のピーク強度比によって表すことができる。
従来、化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法として、Zn系金属間化合物からなるめっきが施されている鋼板上に、Fe系電気めっきを施し、その上に燐酸塩処理により施した燐酸塩皮膜のフォスフォフィライト比率(P値)を0.9以上とした、耐衝撃密着性に
優れたZn系めっき鋼板が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法は、Zn系金属間化合物からなるめっき処理と、さらにFe系電気めっきを施す処理が必要であり、これらの処理を施すためには、コストの向上が避けられないという問題点がある。
一方、C:0.16〜0.19%、Si:1.10〜1.30%、Mn:1.50〜1.60%で、引張強度が780MPa級のTRIP鋼板を対象とし、熱延工程における加熱温度、デスケーリング条件、鋼板表面の研削、酸洗方法等により、鋼板表面のSi濃化量の平均値を鋼中Si濃度の20倍以下(通常は鋼中Si濃度の40〜50倍)に低減するとともに、表面Si濃度分布に占める鋼中Si濃度に対する濃度比が10以上である部位の面積率が95%以下とした鋼板が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この冷延鋼板は、鋼板表面のSi酸化物量を低下するとともに、鋼板表面のSi酸化物分布のばらつきを減少させることで、Si酸化物の低濃度部位への腐食電流の局部集中を緩和させ、この局部的なpH上昇(OHイオン生成)による化成処理層の溶解、塗膜との密着性低下を抑制でき、この結果、塗装後の鋼板の耐食性を向上させることができる。しかし、発明者らの検討結果によれば、この鋼板の化成処理層のP値は0.7〜0.8程度であり、鋼板の塗装後の耐食性を十分に向上できるだけの十分な化成処理性は得られなかった。
また、C:0.1%超、Si:0.4%以上、Si含有量/ Mn含有量 が0.4以上の引張強度が700Mpa以上の高強度鋼板を対象とし、冷延工程における燃鈍処理後の酸洗処理により、鋼板表面のSi基酸化物(SiO)の被覆率が20%以下(通常は80%程度)で、該被覆領域の大きさ(内接される最大円の直径)が5μm以下とする鋼板が提案されている(例えば特許文献3参照)。この冷延鋼板は、燃鈍処理後に、温度50℃以上、濃度10mass%以上の塩酸あるいは硫酸に7秒以上浸漬する酸洗処理を行うこと、また、燃鈍処理を温度200〜400℃で雰囲気の露点を−20℃〜室温の比較的酸素ポテンシャルが高い条件で行い、酸洗処理で除去されやすい比較的粗密な酸化物を生成させるものである。
しかし、発明者らの検討結果によれば、このような酸洗処理および燃鈍処理により得られた上記鋼板の化成処理層のP値は0.9以下であり、鋼板の塗装後の耐食性を十分に向上できるだけの十分な化成処理性は得られなかった。
また、C:0.005%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.5%以下で、引張強度が300MPa程度の冷延鋼板を対象とし、鋼板表面から板厚10%以内のフェライトの平均結晶粒径を、板厚中心部分のフェライトの平均結晶粒径の90%以下とし、かつ前記板厚中心部分のフェライトの平均結晶粒径を10〜30μmとした、耐肌荒れ性とプレス成形性、さらに化成処理性が優れた極低炭鋼板が提案されている(例えば特許文献4、参照)。
この鋼板は、熱間粗圧延における加熱温度、圧延温度及び圧延率、並びに冷間圧延における再結晶焼鈍条件により、鋼板表面の結晶粒を微細にすることによって、耐肌荒れ性およびプレス成形性とともに、鋼板表面のFeの溶出反応を促進させ、鋼板の化成処理におけるP値が0.9以上の化成処理性に優れた鋼板を実現している。
しかし、この鋼板は、Cが0.005%以下で、引張強度が300MPa程度と低い極低炭鋼板であり、引張強さが500MPa以上で、SiおよびMn含有量が比較的高い、高強度鋼板を対称とする場合には、上記の方法により同様な化成性向上効果は望めない。なお、本発明者らの検討結果によれば、この鋼板の化成処理におけるP値は0.75程度であり、通常のP値レベルであり、塗装後の十分な耐食性向上のための化成処理性は得られなかった。
したがって、めっき等の特殊な工程を用いずに、通常の冷延工程における製造条件によって、化成処理におけるP値が0.9以上の高い化成処理性を達成できる塗装の耐食性に優れた引張強さ500MPa以上の高強度鋼板を安定して安価に製造できる技術が望まれている。
特開平7−62563号公報 特開2004−204350号公報 特開2004−323969号公報 特開平10−158783公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、めっき等の特殊な工程を用いずに、通常の冷延工程における製造条件によって、化成処理におけるP値が0.9以上の高い化成処理性を達成できる塗装の耐食性に優れた引張強さ500MPa以上の高強度鋼板およびその製造方法を提供することにある。
(1)化成処理時に鋼板のFeとリン酸塩溶液とが反応する際に、鋼板表面のFeがリン酸塩溶液中に溶出して、フォスフォフィライトを形成する。
(2)上記リン酸塩溶液中に溶出するFeが溶出するサイトは、鋼板表面に露出する結晶粒界である、換言すれば、リン酸塩溶液は、鋼板表面の粒界を優先的に溶解して反応する。
(3)併せて、鋼板表面に露出している結晶粒界密度が大きいほど、換言すれば表面に露出している結晶粒径が小さいほどフォスフォフィライトの形成量が多い。
(4)焼鈍後の鋼板においても、その表面に結晶粒界が露出している場合には、鋼板表面の単位面積当りに露出している結晶粒界密度が高いほど、換言すれば表面に露出している結晶粒径が小さいほど、フォスフォフィライトの形成量が多くなる。
(5)フォスフォフィライトの形成状態は、微視的な観察を介して識別することができるものであり、定量化は困難であるが、微視的には粒界のSi、Mn等の濃化元素が少なくなることが推測されることを見出した。
(6)加えて、結晶粒界においてFeよりもイオン化傾向の高いSiやMn、Alを濃化すると、Feの溶出が妨げられることも見出した。
本発明者は、上述した課題を解決するために、上記の従来知見(1)〜(3)並びに新たに案出した知見(4)〜(6)に基づいて、鋼板表面における結晶粒界の密度を高くし(結晶粒径を小さくし)、かつ粒界にFeよりもイオン化傾向の高いSiやMn、Alを濃化させないことがより好ましい条件であるという知見を得た。そして、下記の構成からなる高張力鋼板及びその製造方法を発明することにより、上述した課題の解決を図ることとした。
本願請求項1に係る高張力鋼板は、質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%、Al:0.01〜2.0%を含有し、引張強度が500MPa以上の高張力鋼板において、該鋼板表面の結晶粒の平均粒径が0.5μm以下であり、かつ該鋼板表面の幅10μm以上の観察領域を断面TEM観察用に薄片加工し、該薄片試料を10nm以下の酸化物が観察できる条件でTEM観察により測定した、酸化シリコンおよびマンガンシリケートの1種または2種をこれらの合計量で70質量%以上含有する酸化物種が、上記断面からみた粒界領域表面に対して30%以下存在し、該鋼板表面からの深さで0.1〜1.0μmの範囲内に存在する上記酸化物種の粒径が0.1μm以下であることを特徴とする。
本願請求項2に係る高張力鋼板は、請求項1に記載の発明において、上記鋼板表面からの深さで0〜0.01μmの範囲内に、Si:2〜15未満%、Mn:10〜40未満%、O:20〜35未満%を上記酸化物種として含有し、また、鋼板表面からの深さで0.01〜0.1μmの範囲内に、Si:0.5〜3.0%、Mn:1.0〜3.0%、O:0.1〜1.0%を上記酸化物種として含有し、かつ鋼板表面からの深さで0.1〜0.2μmの範囲内に、Si:2〜8%、Mn:2〜10%、O:0.5〜3%を上記酸化物種として含有することを特徴とする。
本願請求項3に係る高張力鋼板は、請求項1又は2に記載の発明において、上記酸化物種は、酸化シリコン、酸化マンガン、マンガンシリケート、マンガンアルミニウム酸化物、および、マンガンアルミニウムシリケートから選ばれる1種または2種以上からなることを特徴とする。
本願請求項4に係る高張力鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%、Al:0.01〜2.0%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる引張強度が500MPa以上の高張力鋼板の製造方法において、冷延鋼板を室温から予熱温度Tpまで昇温する予熱工程と、さらに該予熱温度Tpから再結晶化温度Trまで昇温する昇温工程と、該再結晶化温度Trで一定に保持する再結晶化工程とからなる焼鈍処理を施し、前記予熱工程における予熱温度Tpを300〜500℃とし、かつ焼鈍雰囲気中の水素分圧に対する水蒸気分圧比(PHO/PH)が予熱温度Tpとの関係から下記(1)式の条件を満足するように制御し、前記昇温工程における再結晶化温度Trを650℃〜900℃とし、焼鈍雰囲気中の水素分圧に対する水蒸気分圧比(PHO/PH)が再結晶化温度Trとの関係から下記(2)式の条件を満足し、かつ昇温速度が1〜20℃/秒となるように制御し、前記再結晶化工程における焼鈍雰囲気の水素分圧に対する水蒸気分圧比(PHO/PH)が再結晶化温度Trとの関係から下記(3)式の条件を満足し、かつ保持時間を40〜600秒とするように制御することを特徴とする高張力鋼板の製造方法。
log(PHO/PH)≦−2.8×10−6Tp+6.8×10−3Tp−4.8・・(1)
5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01≦PHO/PH≦6.4×10−7Tr+1.7×10−4Tr−0.1・・・(2)
PHO/PH<5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01・・・(3)
上述した各工程に基づいて製造された本発明に係る高張力鋼板においては、鋼板表面の単位面積当りに露出している結晶粒界密度を高くすることができるとともに、鋼板表面に露出した粒界上に形成される酸化物の厚さを10nm以下とすることが可能となる。
即ち、この高張力鋼板においては、予熱工程において、鋼板表面から深さ0.1〜0.2μmの領域に内部酸化物を生成させる。引き続いて行う再結晶化工程において、鋼板組織が再結晶化する際に、上記内部酸化物は、粒界のピン止め作用を発揮し、鋼板表面から1μmまでの深さ領域の再結晶組織の結晶粒を微細化する。そのため、鋼板表面の結晶粒界密度が高くなる。換言すれば、表面に露出している結晶粒径が小さくなる。さらに、再結晶温度以上において一定時間温度を保持することにより鋼中に固溶したSiやMnを予熱工程で形成した上記内部酸化物中に吸収させることができるので、鋼中の固溶Si、Mn濃度を減少させることができる。その結果、酸化物が殆んど形成されていない結晶粒界が露出した鋼板表面を得ることが可能となる。
即ち、本発明を適用した高張力鋼板は、鋼板表面の単位面積当りに露出している結晶粒径を小さくするとともに鋼板表面に露出した粒界上の酸化層形成を抑制させることができるために、化成処理時に鋼板のFeとリン酸塩溶液とが反応する際に、この結晶粒界を介してFeがリン酸塩溶液中に溶出して、フォスフォフィライトの形成量を増大させることが可能となり、ひいては耐食性をも向上させることが可能となる。
以下、本発明を適用した高張力鋼板の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明をする。
本発明が対象とする高張力鋼板は、引張強度が500MPa以上の高張力鋼板であり、プレス加工などの加工性を良好に維持できる鋼板である。その鋼板組織については特に限定する必要はないが、室温での加工誘起変態による優れた加工性と強度を付与できる鋼板組織として、フェライト相、ベイナイト相、オーステナイト相を含有する複相組織であることがこのましい。
また、本発明が対象とする高張力鋼板は、上記引張強度および成形性を満足させる点から鋼板中C、Si、Mn、Alの基本成分の含有量を以下のように限定する。
なお、以下の説明において、「%」は、特に説明がない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.01〜0.3%
Cは、鋼の焼き入れ性と強度を制御する最も基本的な元素であり、且つ残留オーステナイトを確保するために必須の元素である。詳細には、オーステナイト相中に十分なCを固溶させ、室温でも所望のオーステナイト相を残留させる為に重要な元素であり、強度−伸びフランジ性のバランスを高めるのに有用である。このCが0.01%未満では、組織強化鋼板として必要となる残留オーステナイト組織を確保することが困難となる。これに対してCが0.3%を超えると、その効果が飽和するのみならず、溶接性も低下してしまう。このため、Cの含有量は、0.01〜0.3%とすることが望ましい。
Si:0.2〜3.0%
Siは、脱酸あるいは強度向上に有効であるとともに、安定な残留オーステナイトの生成に有効な元素である。このSiが0.2%未満では必要とする引張強さの確保が困難になる。またこのSiが3.0%を超えると強度上昇の効果が飽和するとともに、パーライト中のフェライト延性が劣化し、加工性を悪化させる要因ともなる。このため、Siの含有量を0.2〜3.0%とした。
Mn:0.1〜3.0%
Mnは、母材の強度上昇の役割を有し、また安価であることからCに次いで活用される元素である。このMnが0.1%未満では、強度上昇の効果を得ることができない。これに対してMnが3.0%を超えると、スラブに割れが生じやすくなり、またスポット溶接性も劣化してしまう。このため、Mnの含有量を0.1〜3.0%とした。
Al:0.01〜2.0%
Alは、脱酸元素として有効であり、また鋼の靱性向上のためにも有効な元素である。Al含有量が0.01%未満ではこれらの十分な効果が得られず、逆にAl含有量が2.0% を越えると、溶接性を劣化させたり、アルミナ系介在物の増加により鋼の靱性を劣
化させる。したがって、Al含有量は0.01 〜2.0% の範囲とすることが望ましい。
本発明は、引張強度が500MPa以上の高張力鋼板の強度を満足し、プレス加工などの加工性を良好に維持できる限り、鋼板の諸特性を改善するために、その効果を有するその他の成分を上記基本成分に加え適宜含有されていてもよい。
例えば、上述した主成分の元素に加え、焼入れ向上効果のあるB、Ti、V、Cr、Nbのうち1種または2種以上を、Bを0.0005%以上0.01%未満、Tiを0.01%以上0.1%未満、Vを0.01%以上0.3%未満、Crを0.01%以上1%未満、Nbを0.01%以上0.1%未満添加してもよい。これらの元素を添加する場合は、鋼板の焼入れ性の向上効果を十分に得るためにそれぞれ元素の上記添加量の下限値以上の添加が好ましく、また、上記添加量の上限値を超えた量を添加しても、効果が飽和し、コストに見合うだけの焼入れ性改善効果は期待できなくなるため好ましくない。
また、例えば、強度改善効果のあるNi、Cu、Co、および、Moの1種または2種以上をそれぞれ0.01%以上2.0%未満の添加量の範囲で添加しても良い。これらの元素を添加する場合は、強度改善効果を十分に得るためにそれぞれ元素の上記添加量の下限値以上の添加が好ましく、また、上記添加量の上限値を超えた量を添加しても、強度の過剰や合金コストの上昇につながるため好ましくない。
また、強度改善効果のあるP、S、Nなどの、一般的な不可避元素を含有していてもよい。
本発明は以下を骨子とする。本発明を適用した高張力鋼板は、鋼板表面から深さ0.2μまでの領域において、酸化シリコン、酸化マンガン、マンガンシリケート、マンガンアルミニウム酸化物、マンガンアルミニウムシリケートから選ばれる1種以上の酸化物粒子を含有している。
これらの内部酸化物は、再結晶化工程において、鋼板組織を再結晶化する際に、上記内部酸化物による粒界ピン止め効果により鋼板表面から1μmまでの深さ領域の再結晶組織の結晶粒をサイズが0.5μm以下となるように微細化する。この結晶粒の微細化によって、鋼板表面の結晶粒界密度を高め、鋼板表面の単位面積当りに露出している結晶粒界密度を高くする。さらに、再結晶化工程において、上記内部酸化物による鋼中固溶Si、Mnの吸収により、鋼中の固溶Si、Mn濃度を減少させ、鋼板表面に露出した粒界上に形成される酸化物が10nm以下であるような鋼板表面を得る。
次に、化成処理で鋼板表面とリン酸塩溶液を反応させ、上記の結晶粒界を介してFeをリン酸塩溶液中に溶出させることによりフォスフォフィライトの形成量を増大させ、化成処理被膜中のP値を増大させ、ひいては耐食性を向上させる。
鋼板表面から深さ0〜0.01μmの範囲内において、Si:2〜<15%、Mn:10〜<40%、O:20〜<35%が、上記内部酸化物粒子を構成する。Si、Mn、Oのいずれかが上記の範囲を超えると、鋼板表面に露出した粒界が、厚さが10nmを超える酸化物で被覆され、化成処理性が劣化する。上記深さ領域でのSi、Mn、Oの濃度の下限は、可能な限り低く抑制するのが望ましい。
また、鋼板表面からの深さで0.01〜0.1μmの範囲内において、Si、Mn、Oは、Si:0.5〜3.0%、Mn:1.0〜3.0%、O:0.1〜1.0%が上記内部酸化物を構成する。
また、鋼板表面から深さ0.1〜0.2μmの範囲内においては、Si、Mn、Oは、Si:2〜8%、Mn:2〜10%、O:0.5〜3%が上記内部酸化物粒子を構成する。Si、MnおよびOの濃度が上記の下限未満であると、鋼中のSi、Mnの固溶濃度が高いために、後述する再結晶化工程において、Si、Mnが鋼板表面に酸化物を形成し、鋼板表面に露出した粒界が、厚さが10nmを超える酸化物で被覆され、化成処理性が劣化する。Si、MnおよびOの濃度が上記の上限を超えると、内部酸化物粒子が粗大化し、再結晶化工程において粒界のピン止め効果が弱くなるため、結晶粒が微細化せず、鋼板表面に高密度の結晶粒界を得ることができなくなる。
また、本発明では、鋼板表面に露出している結晶粒の平均粒径を0.5μm以下とする。結晶粒サイズが小さいほど、鋼板表面における粒界密度が大きく、化成処理において、鋼板表面からFeがリン酸塩溶液に溶出するサイトの密度が増加し、フォスフォフィライトの形成量が多くなる。したがって、結晶粒サイズが0.5μm以下であれば化成処理によるフォスフォフィライトが十分形成され、化成処理被膜のP値が0.9以上となる。一方、上記平均粒径が0.5μmをこえると、鋼板表面における粒界密度が少なくなり、化成処理によるフォスフォフィライト形成量が少なく、化成被膜のP値は0.9未満となる。そのため鋼板表面に露出している結晶粒の平均粒径を0.5μm以下とする。
次に、本発明を適用した高張力鋼板の製造方法について説明する。上述した成分からなる鋼板を成形後、残留応力の除去や切削性の向上を図るべく焼鈍を行う。この焼鈍では、鋼板の成形後、再結晶温度まで加熱してこれを一定温度で保定した後、普通炉冷により緩やかに冷却させる。
図1は、本発明を適用した高張力鋼板の製造方法における焼鈍温度履歴の一例を示している。この焼鈍においては、予熱工程S11と、昇温工程S12と、再結晶化工程S13と、降温工程S14とからなる。
先ず、予熱工程S11においては、鋼板を室温から予熱温度Tpまで昇温させる。Tpは300〜500℃とする。予熱温度Tpが300℃未満の場合には鋼板内の残留応力の除去が不十分となり好ましくない。また、予熱温度Tpが500℃を超える場合にはコスト面で好ましくない。
また、この予熱工程S11におけるNとHの混合ガスからなる焼鈍雰囲気のPHO/PHがlog(PHO/PH)≦−2.8×10−6Tp+6.8×10−3Tp−4.8を満たすように制御する。log(PHO/PH)が−2.8×10−6Tp+6.8×10−3Tp−4.8を超えると、鋼板表面にFe酸化物が生成し、鋼板表面に疵を作る原因となるので望ましくない。
図2は、焼鈍が施される鋼板5の断面模式図を示している。この予熱工程S11においては、図2(a)に示すように鋼板5中に何ら内部酸化物が生成されていない状態にある。
この予熱工程S11において焼鈍温度を予熱温度Tpまで昇温させた後、次の昇温工程S12へ移行する。
昇温工程S12においては、鋼板5を予熱温度Tpから再結晶化温度Tr(650℃〜900℃)まで昇温させる。この昇温工程S12においては、雰囲気のPHO/PHが5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01≦(PHO/PH)≦6.4×10−7Tr+1.7×10−4Tr−0.1であり、図2(b)に示すように鋼板5表面から深さ1μmまでの領域において微細な内部酸化物11が生成される。この内部酸化物とは、上述した酸化シリコン、酸化マンガン、マンガンシリケート、マンガンアルミニウム酸化物、マンガンアルミニウムシリケートから選ばれる1種以上の酸化物粒子である。
この昇温工程S12において内部酸化物11を生成させるためには、PHO/PHを、5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01≦PHO/PH)≦6.4×10−7Tr+1.7×10−4Tr−0.1を満たすように制御する。その理由は、PHO/PHが6.4×10−7Tr+1.7×10−4Tr−0.1を超えると内部酸化物11が粗大化し、後述する再結晶工程で、鋼板表面の結晶粒を微細化するための内部酸化物11による粒界ピン止め効果が減少し、さらにPHO/PHを上昇させると表面にFe酸化物が生成するので好ましくない。また、PHO/PHが5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01を下回ると、鋼板表層からの酸素の供給がこの温度域において不十分となり、微細な内部酸化物11を充分に生成させることができなくなるためである。
なお、昇温工程S12では、昇温速度を1〜20℃/秒とする。ここでいう昇温速度とは、予熱温度Tpから再結晶化温度に至るまでの加熱速度の平均であり、加熱途中の加熱条件を規定するものではない。このため、加熱速度の平均が上述した範囲内にあれば、ある期間において昇温速度が上述した範囲を逸脱するものであってもよい。
昇温速度を1〜20℃/秒とした理由は、昇温速度が1℃/秒以下である場合には、酸化物粒子が粗大化してしまい、鋼板中において微細分散させることが不可能となり、昇温速度が20℃/秒以上である場合には、酸化物粒子の形成密度が不十分となるためである。ちなみに、この昇温速度は、酸化物粒子の十分な形成量を得る観点から1℃/秒〜2℃/秒の範囲とすることが望ましい。この昇温工程S12において焼鈍温度を再結晶化温度まで昇温させた後、次の再結晶化工程S13へ移行する。
再結晶化工程S13においては、再結晶化温度Tr(650〜900℃)で一定に保持する。再結晶化温度Trが650℃未満の場合には再結晶が不十分であり、鋼板に必要なプレス加工性を具備することはできない。また、再結晶化温度Trが900℃を超えるような温度で焼鈍することはコストの上昇を招くため好ましくない。
この再結晶化工程における焼鈍雰囲気のPHO/PHが(PHO/PH)≦5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01を満たすように制御する。その結果、昇温工程S12において生成させた内部酸化物11を、この再結晶化工程S13において図2(c)に示すように結晶粒界12において成長させ、内部酸化物15とすることが可能となる。この再結晶化工程S13において成長した内部酸化物15は、鋼板表面近傍等から元素を多く吸収していることから、内部酸化物11と比較してその成分比率が異なる。また、この内部酸化物15は、内部酸化物11と比較してそのサイズが大きくなっている。
なお、この水素分圧比PHO/PHが5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01を超える場合には、内部酸化物の粒子が粗大化し、粒界ピン止め効果が減少して鋼板組織の結晶粒が粗大化してしまうため、(PHO/PH)は上述した範囲内とする。再結晶化温度における保持時間は、40〜600秒とする。再結晶化温度での保持時間が40秒以下では、鋼板組織の再結晶化が十分でなく、所望の特性が得られない。また、保持時間が600秒以上では、内部酸化物の粒子が粗大化し、粒界ピン止め効果が減少して鋼板表面組織の結晶粒が粗大化してしまう。
昇温工程S12における昇温速度を上述した範囲内に設定して、微細な内部酸化物の単位体積当たりの数を増加させ、かかる内部酸化物が十分に形成されている状態下において、再結晶化温度における保持時間を、40秒〜600秒の範囲内とすることにより当該内部酸化物を成長させる。
また、この再結晶化工程S13においては、鋼板表面に酸化物13が形成される。しかし当該酸化物13は、鋼板表面に露出した結晶粒界12を覆う場合もある。仮に、この結晶粒界12に酸化物が付着するとしても、これは、厚さ10nmにも満たないいわゆる自然酸化膜である。以下では、このような自然酸化膜としての酸化物13が鋼板表面において粒界形成されていたとしても、鋼板表面において粒界が露出しているものと同等と考えるものとする。
この再結晶化工程S13において再結晶温度での保定を終了させた後、降温工程S14へと移行する。降温工程S14においては、普通炉冷により鋼板を冷却させる。
このような各工程S11〜S14において、内部酸化物11、15の生成挙動を調査するため、グロー放電発光分光分析法(GDS分析法)に基づいて、上記酸化物粒子を構成するSi、Mn、Oの含有量を測定した。
図3は、予熱工程S11における内部酸化物の鋼板深さ方向の分布をGDS分析法により測定した結果を示している。この図3において横軸は鋼板表面からの深さ(μm)であり、縦軸は分析すべき元素の濃度(質量(%))である。内部酸化物11を構成するSi、Mnが、鋼板表面近傍において集中的に検出されているのが示されている。またFeはこの鋼板表面近傍において、若干減少しているのがわかる。
これに対して、昇温工程S12におけるGDS分布は、図4に示すように、内部酸化物11を構成するSi、Mn、Oが、鋼板表面から深さ0〜0.01μmの範囲内において集中して現れていることに加え、鋼板表面から深さ0.1〜0.2μmの範囲内において、Si、Mn、Oのピークが現れていることが分かる。さらに、鋼板表面から深さ0.01〜0.1μmの範囲内において、Si、Mn、Oの少ない、いわゆる欠乏層が形成される。
この傾向は、昇温工程S12において、内部酸化物11が生成されていることを裏付けるものである。これら内部酸化物11を構成する元素の濃度の増加を受けて、Feの濃度は、鋼板表面から深さ0〜0.01μm、及び鋼板表面から深さ0.1〜0.2μmの範囲内において減少している。
更に再結晶化工程S13においては、図5に示すように鋼板表面から深さ0〜0.01μm、及び鋼板表面から深さ0.1〜0.2μmに現れた内部酸化物15を構成するSi、Mn、Oのピークが高くなることが示されている。また、鋼板表面からの深さで0.01〜0.1μmの範囲内に存在する、いわゆる欠乏層に相当するピークの谷が深くなることが示されている。この傾向は、この再結晶化工程S13において、内部酸化物が成長していることを裏付けるものである。この内部酸化物15の成長を受けて、Feの濃度は、昇温工程S12における濃度と比較してさらに減少することになる。
また、上述した各工程S11〜S14を経て得られた本発明に係る高張力鋼板においては、鋼板表面に露出した結晶粒界に形成される酸化物の厚さを10nm(=0.01μm)以下とすることが可能となる。即ち、この高張力鋼板においては、鋼板表面から深さ0.1〜0.2μmにおいて内部酸化物を生成させ、これを成長させる。このため、再結晶温度以上において一定時間温度を保持することにより、内部酸化物の成長とともに、鋼中に固溶しているSiやMnを内部酸化物へ吸収させることができる。その結果、鋼板表面には、その上に酸化物が殆んど形成されていないか、形成されていても鋼板断面で見ると表面に露出している結晶粒界の70%以上を露出させることが可能となる。このため、本発明に係る製造方法を経ることにより、得られる高張力鋼板の粒界を清浄化させることが可能である。
鋼板断面で見ると表面に露出している結晶粒界が70%未満の場合には、P値が0.8台に留まり、0.9以上にはならない場合がある。
尚、焼鈍後に得られる鋼板表面に露出した結晶粒界の上には、厚さ10nmにも満たないいわゆる自然酸化膜が存在している場合があるが、この自然酸化膜は焼鈍後に生成したものでその組成もFe酸化物を多く含み焼鈍中に生成した上記酸化物とは区別できる。これらの自然酸化膜は化成処理においても影響が無い。また、さらに工程S13で鋼板が再結晶する際に、上記内部酸化物がピン止め効果を発揮して、鋼板表面組織の結晶粒の成長を抑制し、鋼板表面から1μmの領域は、結晶粒サイズが0.5μm以下の微細結晶となる。
なお、本発明においては、上述した焼鈍プロセスを経て作製された鋼板に対して、化成処理を施し、更に電着塗装等を施す。この化成処理を施すことにより、耐食性を向上させることができることに加え、塗装下地として機能することにより塗膜の剥離を防止し、塗膜に疵が付いても錆びが広がらないようにすることが可能となる。この化成処理に使用する化成処理液は、例えばリン酸塩溶液等を使用する。
上述の如く、本発明を適用した高張力鋼板は、その粒界を清浄化させるとともに鋼板表面の結晶粒を微細化することができるため、鋼板表面の単位面積当りに露出している結晶粒界密度を高くすることができる。化成処理時に鋼板のFeとリン酸塩溶液とが反応する際に、この結晶粒界を介してFeがリン酸塩溶液中に溶出して、フォスフォフィライトの形成量を増大させることが可能となる。
結晶粒界において、Feよりもイオン化傾向の高いSiやMn等を濃化させるとFeの溶出が妨げられ、フォスフォフィライトの形成状態が悪化してしまうが、本発明では、内部酸化物を再結晶化工程S13において成長させることでこれらのSiやMn等を吸収させることができ、微視的には結晶粒界のSi、Mn等の元素を減少させ、Feの溶出を促し、フォスフォフィライトの形成を助長させることが可能となる。
フォスフォフィライトの形成量を増大させることができれば、フォスフォフィライト(以下、Pという)とホパイト(以下、Hという)との形成量の比としてのP値(=P/(P+H))を上昇させることができ、耐食性をそのものを改善することが可能となる。
なお、結晶粒径の最大値が0.5μm程度であり、大きさが0.5μm程度でしかも鋼板表面から0.5μm程度の位置に存在している内部酸化物に最近接している結晶粒界の濃化成分(Si、Mn等)は、当該内部酸化物に優先的に吸収されることになる。
表1に示す組成からなる鋼を熱間圧延、酸洗後、冷間圧延を行い、厚さ0.8mmの冷延鋼板とした。
Figure 2008069445
ちなみにこの表1では、本発明において規定した成分の範囲内にある鋼種A〜Eの本発明鋼を例示している。
次に、上述の成分からなる本発明鋼、比較鋼を連続焼鈍設備を使用して焼鈍を行った。この連続焼鈍設備では、炉内の水蒸気分圧と水素分圧の比PHO/PHが制御可能とされている。即ち、炉内における水素ガス中に水蒸気を導入し、炉内のPHO/PHが表2に示すような雰囲気1)となるように調整した。
また、炉内の水素濃度、水蒸気濃度の制御は、炉内に設置した室温での露点計と、水素濃度計をモニタリングしつつ、制御することとした。
この表2における雰囲気1)の値は、鋼板温度が室温から予熱温度に至るまでの予熱工程S11におけるlog(PHO/PH)を示している。
Figure 2008069445
また、この表2に示される昇温速度(℃/秒)は、昇温工程S12での昇温速度を示しており、また雰囲気2)は、昇温工程S12における炉内のPHO/PHを示している。
さらに、この表2に示される再結晶化温度(℃)は、再結晶化工程S13における再結晶化温度を示しており、また雰囲気3)は、再結晶化工程S13における炉内のPHO/PHを示している。
ちなみに、熱処理条件はHP1〜HP8の8種類について行うこととし、HP1、4、5は本発明において規定した製造条件の範囲内とした。また、HP2は、雰囲気1)について本発明で規定した製造条件から逸脱させ、またHP3は、雰囲気2)について、本発明で規定した製造条件から逸脱させた。HP6は、雰囲気3)について本発明で規定した製造条件から逸脱させ、更にHP7は昇温速度を0.5℃/秒とすることにより本発明で規定した製造条件から逸脱させた。また、HP8は、昇温速度を30℃/秒とすることにより本発明で規定した製造条件から逸脱させた。
なお、全ての熱処理条件HP1〜HP8に関して、予熱温度は500℃、再結晶化温度は、800℃とした。また、再結晶化工程S13における再結晶化温度での保持時間は、60秒とした。
焼鈍後の本発明鋼について、表層直下の結晶粒径、表層直下の酸化物粒径と存在位置の2項目について評価を行った。表3は、その評価結果を示している。
Figure 2008069445
鋼板表面から深さ0〜0.01μm範囲内におけるSi、Mn、Oの含有量はGDS装置(Jobin Yvon社製JY5000RF-PSS)を用いて測定した。
このことにより、分析データは、分析条件(例えば、GDSでの測定面積や、測定電流など)によって変動することはない。
この様にGDSで測定した結果、Si、Mn、Oの含有量は、Si:2〜<15%、Mn:10〜<40%、O:20〜<35%である場合を表層の酸化物であること、併せて、試験片を集束イオンビーム(FIB)装置によってさらに加工し、鋼板表面を含む断面を幅約10μm以上であり、厚さ約0.1μmの薄片に加工した。次に、この薄片試料を透過電子顕微鏡(TEM)により確認することとした。このとき、薄片試料を10nm以下の酸化物が観察できる条件で確認を行った。
TEM観察の具体的な方法としては、FIB加工時においてダメージ防止のため、試料表面にカーボン膜を0.2μm、タングステン膜を2μm蒸着し、Gaイオンビーム30kV、0.05〜1nAで、厚さ0.1μm、幅10μmの薄片を切り出してTEM観察用試料としてもよい。TEM観察では、加速電圧200kV、観察倍率10〜20万倍で観察するようにしてもよい。
鋼板表層部の結晶サイズは0.5μm程度であるから、1視野(幅10μm以上の観察領域)で40個以上の結晶粒界を観察することができる。このため、幅約10μm以上の試験片において1視野でも測定は可能であるが、好ましくは5視野以上を観察するのがよい。
そして、表層酸化物と表層に露出している粒界との位置関係を観察確認し、表面に露出している粒界の70%以上の場合を表面酸化膜として合格とすることとした。かかる合格の基準は、酸化シリコンおよびマンガンシリケートの1種または2種をこれらの合計量で70質量%以上含有する酸化物種が、上記断面からみた粒界領域表面に対して30%以下存在していることを意味するものである。
これは、上記断面からの観察により、表面が上記酸化物種で覆われている結晶粒界の個数Aと、表面が上記酸化物種で覆われていない(鋼板表面に露出している)結晶粒界の個数Bとを測定し、下記式で計算される割合(%)が30以下であることを意味する。なお、Fe系の自然酸化物で覆われている粒界は上記個数Aに含める。
個数A/(個数A+個数B)・・・(1)
その結果、上記の条件を満たす場合を合格として表中の○印として示し、上記の条件を満たさない場合には不合格(表中の×印)とした。
更に、鋼板表面から深さ0.1〜0.2μmの範囲内において、上記のGDS装置で測定した結果、Si、Mn、Oの含有量が、Si:2〜8%、Mn:2〜10%、O:0.5〜3%であり、併せて、表層直下の酸化物粒径と表層直下の酸化物の存在位置は、試験片を集束イオンビーム装置によってさらに加工し、鋼板表面を含む断面を厚さ約0.1μmの薄片に加工し、透過電子顕微鏡により確認することとし、鋼板表面から深さ1μmまでの領域において、直径が0.01μm〜1.0μm場合、表層直下の酸化物を合格とした(表中の○印)。これに対して上記の条件を満たさない場合には不合格(表中の×印)とした。
表面直下の結晶粒径は、鋼板断面を集束イオンビーム装置による微細加工により断面を露出させた後、集束イオンビーム装置による走査イオン像の観察によって表層直下の結晶粒径を測定した。鋼板表面から深さ1μmまでの領域における鋼板の結晶粒のサイズが0.5μm以下である場合を合格(表中の○印)とし、0.5μmを超える場合を不合格(表中の×印)とした。
なお、焼鈍後の本発明鋼について、脱脂、表面調整、化成処理を施した後、P値について評価を行った。これら各処理に使用した処理液は、何れも日本ペイント製のものとし、脱脂はサーフクリーナーSD250、表面調整はサーフファイン5N−10、化成処理はサーフダインSD2500を使用することとした。なお、化成処理被膜の付着量は、約3g/mとなるように調整した。
P値は、X線回折により、フォスフォフィライトの(110)面とホパイトの(020)面からの回折線の強度をそれぞれP、Hとし、P/(P+H)のピーク強度比によって表すこととした。P値が0.9以上を合格とし、それ未満を不合格とした。
また、化成処理を施した鋼板に電着塗装を行った後、耐食性を評価した。電着塗装は、日本ペイント製のV−50を使用して膜厚を25μmとして焼付け温度は170℃とした。電着後、カッターによって電着塗装面の上からカット疵を付け、55℃、5%のNaCl水溶液に240時間浸漬し、カット疵部分でテープ剥離試験を行い、カット疵周辺の塗膜の最大剥離幅を測定した。最大剥離幅が2mm未満を合格(表中の○印)とし、2mm以上を不合格(表中の×印)とした。
表3から、熱処理条件HP1、4〜5については、本発明鋼としての鋼種A〜Eについて何れも各評価項目について合格という結果を得ることができた。これに対して、熱処理条件HP2、3、6〜8については、鋼種A〜Eについて何れも各評価項目について不合格であった。
これらの結果より、本発明に係る高張力鋼板で規定した成分を有する鋼片につき、本発明の製造方法で規定した熱処理条件に基づいて焼鈍処理を行うことにより、鋼板表面から深さ1μmまでの領域における鋼板の結晶粒のサイズを0.5μm以下とすることができ、表層直下の酸化物粒径を最適化させることができる。同様に、P値を安定して高いレベルとさせることで耐食性を向上させることが可能となる。即ち、この表3の結果から、本発明所期の作用効果を得ることができることが示唆されている。
本発明を適用した高張力鋼板の製造方法における焼鈍温度履歴の一例を示す図である。 焼鈍が施される鋼板の断面模式図を示す図である。 予熱工程S11における内部酸化物の鋼板深さ方向の分布をGDS分析法により測定した結果を示す図である。 昇温工程S12における内部酸化物の鋼板深さ方向の分布をGDS分析法により測定した結果を示す図である。 再結晶化工程S13における内部酸化物の鋼板深さ方向の分布をGDS分析法により測定した結果を示す図である。
符号の説明
5 鋼板
11、15 内部酸化物
12 結晶粒界
13 酸化物

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%、Al:0.01〜2.0%を含有し、引張強度が500MPa以上の高張力鋼板において、
    該鋼板表面の結晶粒の平均粒径が0.5μm以下であり、かつ該鋼板表面の幅10μm以上の観察領域を断面TEM観察用に薄片加工し、該薄片試料を10nm以下の酸化物が観察できる条件でTEM観察により測定した、酸化シリコンおよびマンガンシリケートの1種または2種をこれらの合計量で70質量%以上含有する酸化物種が、上記断面からみた粒界領域表面に対して30%以下存在し、
    該鋼板表面からの深さで0.1〜1.0μmの範囲内に存在する上記酸化物種の粒径が0.1μm以下であることを特徴とする化成処理性に優れた高張力鋼板。
  2. 上記鋼板表面からの深さで0〜0.01μmの範囲内に、Si:2〜15未満%、Mn:10〜40未満%、O:20〜35未満%を上記酸化物種として含有し、また、鋼板表面からの深さで0.01〜0.1μmの範囲内に、Si:0.5〜3.0%、Mn:1.0〜3.0%、O:0.1〜1.0%を上記酸化物種として含有し、かつ鋼板表面からの深さで0.1〜0.2μmの範囲内に、Si:2〜8%、Mn:2〜10%、O:0.5〜3%を上記酸化物種として含有することを特徴とする化成処理性に優れた請求項1に記載の高張力鋼板。
  3. 上記酸化物種は、酸化シリコン、酸化マンガン、マンガンシリケート、マンガンアルミニウム酸化物、および、マンガンアルミニウムシリケートから選ばれる1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1または2に記載の化成処理性に優れた高張力鋼板。
  4. 質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%、Al:0.01〜2.0%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる引張強度が500MPa以上の高張力鋼板の製造方法において、冷延鋼板を室温から予熱温度Tpまで昇温する予熱工程と、さらに該予熱温度Tpから再結晶化温度Trまで昇温する昇温工程と、該再結晶化温度Trで一定に保持する再結晶化工程とからなる焼鈍処理を施し、
    前記予熱工程における予熱温度Tpを300〜500℃とし、かつ焼鈍雰囲気中の水素分圧に対する水蒸気分圧比(PHO/PH)が予熱温度Tpとの関係から下記(1)式の条件を満足するように制御し、
    前記昇温工程における再結晶化温度Trを650℃〜900℃とし、焼鈍雰囲気中の水素分圧に対する水蒸気分圧比(PHO/PH)が再結晶化温度Trとの関係から下記(2)式の条件を満足し、かつ昇温速度が1〜20℃/秒となるように制御し、
    前記再結晶化工程における焼鈍雰囲気の水素分圧に対する水蒸気分圧比(PHO/PH)が再結晶化温度Trとの関係から下記(3)式の条件を満足し、かつ保持時間を40〜600秒とするように制御することを特徴とする高張力鋼板の製造方法。
    log(PHO/PH)≦−2.8×10−6Tp+6.8×10−3Tp−4.8・・(1)
    5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01≦PHO/PH≦6.4×10−7Tr+1.7×10−4Tr−0.1・・・(2)
    PHO/PH<5.3×10−8Tr+1.4×10−5Tr−0.01・・・(3)
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