JP2008069404A - 真空浸炭炉加熱室の前処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸炭ガスの消費、エネルギー等の無駄が少なく、工程の無駄のない真空浸炭炉加熱室の前処理方法を提供し、さらにジルコニア式酸素センサーの長寿命化を図る。
【解決手段】真空浸炭炉1の加熱室6内にワークを搬入せずに、加熱室を閉塞密閉し、加熱・真空引きし、加熱室内の酸素分圧が所定値以下になるまで、炉内構造物の吸着酸素を排出する。加熱室を再起動後に加熱室内を加熱及び真空引きし、加熱室内の酸素分圧が所定値以下でない時、バーンアウト完了後、炉内構造物の交換後等の加熱室内構造物の吸着酸素が大になった場合に前処理を行う。加熱室を真空浸炭処理温度下とし、加熱室の酸素分圧の所定値を1×10-19.6atm以下とする。酸素分圧測定はジルコニア式酸素センサーを用いる。真空浸炭時には、ジルコニア式酸素センサーと加熱室の炭化水素系ガスとが接触反応しないようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭化水素系ガスを減圧高温下で分解させ鋼製品等の鉄系ワーク(部材)の表面を浸炭する真空浸炭炉加熱室の前処理方法に関する。
従来、真空浸炭方法では、鉄と反応しなかった炭素が煤化し、また、炭化水素系ガスの重合物などが断熱材内部に蓄積し時間経過と共に断熱性が悪くなり、過剰なエネルギーや時間等を要したりするので、定期的に断熱材に蓄積した煤や炭化水素ガスの重合物に空気を導入し燃焼させる、いわゆるバーンアウト等が行われる(特許文献1等)。また、断熱材の劣化等により断熱材を新品のものに交換する。また修理や休暇による休止等が定期的あるいは不定期に行われる。このような場合に加熱室内の酸素量が変化する。また、操業運転状態においても、ワークや架台による空気の持ち込み、ワーク表面積や、ワークの表面の酸化の程度、炉内構造物の材質や状態により残留・吸着酸素量が変化している。
ところが、これらの炉内の酸素量や、空気(酸素)のリーク量、炉内構造物から揮発する酸素量、さらには、ワークと共に持ち込まれた酸素量により、浸炭条件が変化し、安定した品質を確保できない。
そこで、特許文献2では、例えば13〜4000Paの減圧下、炭素系含有化合物を含んだ雰囲気ガス中において、雰囲気ガス中の酸素の量と雰囲気ガスの熱伝導度とを測定しながら、酸素の量が浸炭処理を阻害しない量であることを確認しながら、かつ、炭素含有化合物の分解度合いが所定の値に維持されるよう雰囲気ガスの組成を調整しながら浸炭を行うようにしている。また、酸素濃度はジルコニア式酸素センサー、炭素化合物の分解度合いは雰囲気ガスの熱伝導度を測定している。また、このジルコニア式酸素センサーは酸素分圧1×10-20atm程度の極めて微量な濃度域における僅かな酸素濃度の差を精度よく測定できることが開示されている。
また、かかるジルコニア式酸素センサーを用いて、加熱室へのブタンガス投入時に、ジルコニア式酸素センサーの出力値が急に上昇し1〜2分間で1200mVに達するような場合は、浸炭室内の酸素の量が清浄な浸炭処理を阻害しないとし浸炭処理を続行する。逆にジルコニアセンサーの出力値が急速に上昇せず1150mV程度以下である場合は、ブタンガスを導入しても正常な浸炭処理を行えないので、浸炭処理を中止している。また、浸炭処理を中止することなく、ブタンガスの導入を中止して水素の導入に切り換えることにより浸炭室内の酸素量を低減しジルコニア式酸素センサーの出力値が1200mVに上昇すればブタンガスを再導入して浸炭処理を続行することが記載されている。このように各センサーの状況を把握し、浸炭状況を監視、制御している。
特開平2−115357号公報 特開2004−59959号公報
しかし、かかる従来の方法では、浸炭処理しながら判定を行うので、万一酸素量が多く水素ガスに切り換えても酸素量が減少しない場合は、ワークを加熱室外へ戻し、原因を取り除いてから再度、ワークを搬入して酸素量を判定しながら浸炭するので、ワークへの熱負荷の影響が避けられない。また、炭化水素ガスや水素ガス等の消費が多くなり原料ガス、加熱エネルギー等が無駄になるという問題があった。さらに、断熱材の交換や、バーンアウト時には多量の酸素が炉内に持ち込まれるが、この場合にはダミーワークを入れて酸素量が所定の量以下になるまで、何回か、又は長時間の運転を行った後、本(通常操業)運転に入る等の無駄な操作を必要とするという問題があった。また、炉内残留酸素の原因にリーク、炉内構造物から揮発する酸素、さらには、ワークと共に持ち込まれた酸素等があげられているがその個々の影響については開示されていない。
さらに、ジルコニア式酸素センサーは長時間炭化水素系ガスにさらされると早期に劣化し、頻繁な交換を必要とし、また、高価であるという問題があった。なお、ジルコニア式酸素センサーの電圧出力値を判定に用いているが、ジルコニア式酸素センサーの感度が酸素分圧1×10-20atm程度の極めて微量な酸素濃度を測定できることは記載されているが、実際の酸素分圧までには具体的に言及していない。
本発明の課題は、前述した問題点に鑑みて、炭化水素ガスや水素ガス等のガスの消費が少なく、エネルギー等の無駄のない。また、工程の無駄のない真空浸炭方法を提供するものである。さらに、ジルコニア式酸素センサーを長寿命化し、交換頻度を低下させることである。
本発明者等は、リーク等による機械的な原因の他に、加熱室内の酸素の量について種々研究をしたところ、ワークやジグ、搬送装置等と共に加熱室内に侵入する酸素や、中間扉の開閉に伴って侵入する不活性ガス中の酸素は普通の真空排気及び水素ガス、炭化水素ガスあるいは窒素ガス等の酸素置換ガスの導入により容易に、また、短時間に酸素量を減ずることができ、浸炭品質への影響も少ない。これに対し、修理や休みにより加熱室が長期間外気開放された後や、断熱材を交換した後、あるいは、酸素によりバーンアウトした後等に浸炭品質が非常に悪くなることを見いだした。また、小修理や浸炭条件等の変更時に、加熱室を停止して加熱室の温度を一度常温あるいは常温近くまで下げた場合にも品質にばらつきが発生する場合があることを見いだした。そして、この原因が炉内構造物、特に断熱材等に付着、吸収された酸素、即ち、吸着酸素が容易には排出されていないため、長時間酸素を排出しつづけるので安定した浸炭を阻害していることを知得した。
かかる知得により、本発明においては、加熱室内に鉄系ワークを搬入し、炭化水素系ガスを減圧高温下で分解させ炭素を前記ワークの鉄表面で反応させ、前記ワーク表面の浸炭を行う真空浸炭炉において、前記加熱室内にワークを搬入することなく、前記加熱室の中間扉を閉塞密閉し、前記加熱室内を加熱及び真空引きし、前記加熱室内の酸素分圧が所定値以下になるまで、前記加熱室内の炉内構造物の吸着酸素を排出する真空浸炭炉加熱室の前処理方法を提供することにより前述した課題を解決した。
即ち、ワークを搬入することなく、また、浸炭用のガス等を入れることなく、密閉された加熱室を真空引きして加熱室内の酸素分圧が所定値以下になるまで、炉内構造物の吸着酸素を炉外に排出する。排出時間は、吸着酸素の量や状態に応じて、数分あるいは、30分〜数時間、時には12時間以上を要する。しかし、このように加熱室内を前処理することにより、浸炭時に影響を与える吸着酸素を微量とできるので、即本(通常操業)運転に入っても酸素量の影響を受けず安定した浸炭品質を得ることができる。また、浸炭工程中での酸素の量の常時監視は不要である。
真空浸炭炉の運転間隔が通常操業運転(連続稼働、あるいは毎日数時間の一定稼働)の場合は、炉内構造物に吸着酸素が貯まる量が少ない。これに対し、長時間停止したり、バーンアウトしたり、断熱材を交換したり、加熱室を停止する等した場合に、本前処理を行うことが有効である。そこで、請求項2に記載の発明においては、前記加熱室の前処理方法は、前記加熱室内の炉内構造物の吸着酸素が多くなった場合に行う真空浸炭炉加熱室の前処理方法を提供する。なお、炉内構造物の吸着酸素が多くなる場合の例としては、バーンアウト完了後、あるいは炉内構造物の交換後等の場合がある。又、定期点検や浸炭条件の変更、一時的な操業休止等での加熱室の冷却後や大気開放後でも生じる場合がある。この場合、加熱室の再起動後に加熱室内を加熱及び真空引きし、加熱室内の酸素分圧が所定値以下とならない場合には、吸着酸素が多くなったものと考え、本発明の真空浸炭炉加熱室の前処理をおこなう。
このように、炉内構造物の吸着酸素が多くなったかどうかは、本発明により酸素量を測定すればよい。従って、通常操業運転の場合にも、加熱室を停止することなくワークの種類や浸炭条件を変更した際や短時間の休止や点検の際にも本発明の前処理方法により酸素量を測定することが好ましい。この場合は、短時間に酸素分圧が所定値になる場合が多いので、無駄な工程も少なく、簡単に確認できる。
酸素分圧の測定及び吸着酸素等の排気工程は、浸炭条件と合わせるのが好ましい。そこで、請求項3に記載の発明においては、前記加熱室の加熱後真空浸炭処理温度下で前記酸素分圧の所定値を1×10-19.6atm以下とした真空浸炭炉加熱室の前処理方法とした。加熱室の温度を真空浸炭処理温度と同条件とすることにより、バラツキをより少なくできる。温度は例えば、一般的な真空浸炭処理温度である850℃以上1050℃以下が好ましい。酸素分圧の所定値を1×10-19.6atm以下としたのは、後述するように酸素分圧測定値と浸炭処理による製品浸炭品質との関係を調査した結果、酸素分圧1×10-19.6atmで品質のバラツキが少なく、浸炭品質も良好であからである。さらに、1×10-19.7atm〜1×10-20atm以下であればより確実である。なお、特許文献1においては、ジルコニア式酸素センサーの精度について1×10-20atmとの値は開示されているが、具体的な閾値としての値ではない。また、酸素分圧の測定はジルコニア式酸素センサーが望ましいが、これに限定されるものではない。
本発明により、浸炭処理中に酸素濃度を測定する必要がなくなるので、請求項4に記載の発明においては、前記酸素分圧は炭化水素系ガスの影響を受けやすいジルコニア式酸素センサーを用いて測定する真空浸炭炉加熱室の前処理方法を提供できる。また、請求項5に記載の発明においては、少なくとも真空浸炭時には、前記ジルコニア式酸素センサーと前記加熱室の炭化水素系ガスとが接触反応しないようにする真空浸炭炉加熱室の前処理方法とした。
本発明においては、密閉された加熱室を真空引きして加熱室内の酸素分圧が所定値以下になるまで、炉内構造物の吸着酸素を炉外に排出し、吸着酸素を微量とした後に、本運転に入り直ぐに安定した浸炭品質を得ることができるので、浸炭時に酸素量が過大のため、浸炭をやり直す必要がなく、炭化水素ガスや水素ガス等のガスの消費が少なく、エネルギー等の無駄のない。また、工程の無駄のない真空浸炭方法を提供するものとなった。また、浸炭工程中での酸素の量の常時監視は不要であるので、ジルコニア式酸素センサーを炭素系水素ガス等にさらすことを少なくできるので、ジルコニア式酸素センサーを長寿命化し、交換頻度を低下できる。
また、請求項2に記載の発明においては、加熱室の再起動後に加熱室内を加熱及び真空引きし、加熱室内の酸素分圧が所定値以下でない時、バーンアウト後、又は断熱材交換後等の炉内構造物の吸着酸素が多くなった場合に酸素分圧を所定値まで下げるようにするので、無駄な時間を少なくでき、通常運転時での品質が安定し、作業者の負担も少なくなる。また、請求項3に記載の発明においては、加熱室を真空浸炭処理温度下とし、酸素分圧の所定値を1×10-19.6atm以下とするので、浸炭時の再現性もよく、バラツキの小さい安定した真空浸炭処理が可能となる。
さらに、請求項4に記載の発明においては、ジルコニア式酸素センサーを用いるので精度の高い測定が可能となり、請求項5に記載の発明においては、真空浸炭時にジルコニア式酸素センサーと炭化水素系ガスとが接触反応しないようにしたので、ジルコニア式酸素センサーは長寿命となり、また、交換する手間も無くなり、メンテナンスも容易となった。
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態を示す真空浸炭炉の断面説明図である。真空浸炭炉1は、図示しないワークを搬入搬出可能にされた炉扉3を有する冷却室4と冷却室4とは中間扉5を介して接続された加熱室6、さらに、冷却室4の下方に配置された油槽7から構成される。冷却室4,加熱室6は中間扉5炉扉3を閉じることにより、それぞれ密閉構造となるようにされ、図示しない真空排出装置により冷却室内を真空とすることができる。加熱室6には、開閉弁10,12及び空気圧作動弁11、空気圧で作動する炉内圧力制御弁13を介して真空ポンプ15が接続され、加熱室内を真空引き可能にされている。開閉弁10,12はメンテナンス用であり、開閉弁10,11は常時開、12は常時閉とされ、加熱室6と真空ポンプ15とは空気圧作動弁11、炉内圧力制御弁13により開閉される。また、図示しないガス供給装置が設けられ、浸炭ガス、窒素ガス、空気等を加熱室内に、窒素ガス及び空気を冷却室内に供給可能にしている。
油槽7には焼入れ油が貯留され、加熱浸炭されたワークを没入させることにより油焼入れが可能にされている。加熱室内には断熱材16が配置され、炉温度を確保する。断熱材16は例えば、アルミナ・シリカ系セラミックス断熱材等が使用される。また、中間扉5にも同様の断熱材16が使用されている。加熱室6内には炉内圧力計8、炉内温度計9が設けられている。炉内構造物には、断熱材16の他、セラミックスチューブ、セラミックス炉床、セラミックスレール等の酸素吸着材があげられる。
浸炭焼入れにあたっては、ワークは炉扉3より、冷却室4に搬入される。炉扉3を閉じ、冷却室を真空排気する。冷却室4の所定の排気を行った後、中間扉5を開きワークを加熱室6内に搬入し中間扉を閉じる。その状態で、ワークを加熱し、均熱・浸炭・拡散・降温工程の後、中間扉5を開きワークを冷却室4へ搬出し、中間扉を閉じた後、ワークを油槽7に浸積し焼入れ後ワークを引き上げ、炉扉を開き炉外へワークを搬出する。かかる真空浸炭炉は公知であるので詳細な説明を省略する。
特に本発明においては、加熱室6内に検出用パイプ22を挿入し、開閉バルブ20、センサー取付管21、開閉バルブ23,24を順次介して真空ポンプ10に接続されている。センサ取付管21にはジルコニア式酸素センサー30の酸素分圧検出部31が取付管内21のガスと接触反応できるように挿入されている。ジルコニア式酸素センサー30には図示しない測定制御部が設けられ、酸素分圧が表示等される。また、酸素分圧が所定の値になった時に信号を出力するようにされる。ジルコニア式酸素センサーの働き、制御、測定方法等については公知であるので詳細説明は省略する。開閉バルブ23、24は長い配管の両側に配置され、真空ポンプの効率を向上させる。
かかる、真空浸炭装置1において、本発明の真空浸炭炉加熱室の前処理は次のように行われる。ワーク等を搬入せず加熱室6を空の状態としたままで、炉扉3、加熱室の中間扉5を閉塞密閉する。開閉バルブ20,23,24を開き、ジルコニア式酸素センサーに加熱室6の酸素分圧が働くようにする。図示しないラジアントチューブにより炉内温度計9で炉内温度を監視しながら、850℃〜1050℃の所定温度に加熱する。同時に、電磁開閉弁13を開き、真空ポンプ10を運転し、炉内圧力計8で炉内の圧力を監視しながら、加熱室内の酸素分圧が所定値、1×10-19.6atmになるまで、真空引きする。ジルコニア式酸素センサーをセンサ取付管21に取付け、加熱室6と真空ポンプ15間に配設したので、加熱室の酸素分圧を正確に測定できる。
加熱室内の酸素分圧が所定値、1×10-19.6atm以下となった時に、加熱室内の炉内構造物の吸着酸素の排出が完了したと判定し、開閉バルブ20を閉じて前準備を終了する。真空ポンプを停止する場合には真空ポンプ油の逆流防止のため、開閉バルブ23,24を閉じる。その後、従来と同様にワークを炉扉から冷却室に搬入し、所定の作業により浸炭焼入れ処理を行う。なお、酸素分圧の減少がほとんど見られない場合は、リーク等の機械的な問題が考えられるので、その場合は前処理を停止し原因を取り除く必要があることは言うまでもない。
かかる前処理を行うことにより、浸炭条件の変更、修理、あるいは長期間停止後の加熱室の再起動後に加熱室内を加熱及び真空引きし、加熱室内の酸素分圧が所定値以下でない場合や、バーンアウト後、又は炉内構造物の交換後等であっても、速やかに通常操業運転に入ることができ、浸炭品質も安定したものとなる。また、真空浸炭時には、少なくとも開閉バルブ20,23を閉とするのでジルコニア式酸素センサーと加熱室の炭化水素系ガスとは接触反応しない。なお、開閉バルブ20,23,24は手動弁としたが、これは酸素分圧の測定はバーンアウト等の後に行われるので使用頻度が少ない為であり、空圧作動弁、電磁弁等に代え自動測定することも可能である。
本発明の前処理の実施例について説明する。図2(a)、(b)はバーンアウト終了後、本発明の前処理を行った場合の時間経過に対する酸素分圧と炉内温度の変化を示すグラフであり、横軸が時間軸であり、(a)の横軸時間幅は3時間、(b)の横軸時間幅は1時間である。加熱室の大きさ、能力等は同じ仕様である。しかし、図2(a)のものでは、加熱室内温度が20分位で924℃となり、酸素分圧は徐々に低下するが3時間後でも酸素分圧は1×10-19atm程度である。なお、6時間後に酸素分圧は1×10-20atmに達した。また、図2(b)のものでは、加熱室内温度が40分位で955℃となり、酸素分圧は速やかに低下し、10分もしないうちに酸素分圧は1×10-20atmに達しm、1×10-21atm〜1×10-22atm間で平衡状態になった。このように、同じバーンアウトの後でも、バーンアウト後の状況や、炉内構造物の吸着酸素の量、状態により酸素分圧の低下の度合いが非常に大きく異なることがわかる。なお、図2(b)の初期の変化は加熱室の点検窓からのリークがあったためである。
このように、加熱室内の酸素分圧が安定するまでの時間は大きくばらつくので、特許文献2のように、炉内酸素濃度等を測定しながら真空浸炭するようにしても、ワーク搬入初期にはかなりの時間的にも、成分的にもバラツキが多い。従って、安定した操業に入るまでに、時間がかかる場合は、多くの無駄な作業とエネルギー及びガスを消費することになる。これに対して、本発明の前処理にあっては、加熱工程はあるものの炭化水素系ガス等の浸炭ガスを供給せずに行うので無駄なエネルギーやガスの消費を抑えることができ、また、品質をより一層安定させることができる。
次に、前処理の状況に対する製品の浸炭品質について述べる。図3は、炉内酸素分圧と製品品質の関係を示すグラフである。横軸にバーンアウト後の経過時間を示し、その時の酸素分圧を示した図に、所定の酸素分圧でワーク(歯車)を搬入して浸炭を行いその浸炭深さの上限値及び下限値をバーンアウト後の酸素分圧曲線に合わせて、プロットしたものである。左側縦軸が酸素分圧、右側縦軸が浸炭深さ(mm)を示す。なお、加熱室は同じ加熱室を用い、加熱室を950℃に加熱し、真空ポンプで所定の酸素分圧まで真空引きする。なお、前述したように、この酸素分圧は加熱室内に遊離している酸素でなく、加熱室内の構造物の吸着酸素から放出される酸素であり、比較的長時間かけて真空引きして得られる値である。所定の酸素分圧に達した後速やかにワーク(歯車)を並べたトレーを加熱室に搬入し、全て同条件で浸炭を行い、トレー内のワークの浸炭深さを測定し、その上限値と下限値を測定した。なお、浸炭深さは0.8mmを上限、0.5mmを下限とした範囲であることが製品品質として要求される。図3においては、ねらい上限値、ねらい下限値として記載している。
図3に示すように前処理時の酸素分圧が、1×10-19.3atmでは、浸炭深さの下限値が0.3mm、上限値が0.65、1×10-19.5atmでは、下限値が0.35mm、上限値が0.6と浸炭深さが大きくばらつき、また、浸炭深さの下限値は、ねらい下限値0.5を下回り、品質も劣る。さらに酸素分圧が大きくなり、1×10-19.5atm〜1×10-19.6atmでは、浸炭深さの下限値が0.6mm、上限値が0.65となり、ばらつきも非常に少なくなる。さらに、酸素分圧が1×10-19.8atmでは、浸炭深さの下限値が0.65、上限値が0.7とより深い浸炭深さを確保できるものとなる。このように、酸素分圧が1×10-19.5atm前後が品質の遷移領域といえ、これより高い酸素分圧は不安定領域となり、これより低い酸素分圧では安定領域となる。このように、前処理段階での酸素分圧の熱処理品質に対する影響が大きいことが確認された。また、かかる結果から少なくとも前処理時の酸素分圧が1×10-19.6atm以下であれば浸炭品質に影響を及ぼさないものと言えることが確認できた。より、好ましくは1×10-19.6atm未満であればより好ましい。なお、酸素分圧及び測定誤差等の影響もあるため、実機にあたっては、適宜好ましい値を選択することはいうまでもない。
本発明の実施の形態を示す真空浸炭炉の断面説明図である。 バーンアウト終了後、本発明の前処理を行った場合の時間経過に対する酸素分圧と炉内温度の変化を示すグラフであり、横軸が時間軸であり、(a)の横軸時間幅は3時間、(b)の横軸時間幅は1時間である。 炉内酸素分圧と浸炭処理による製品品質の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 真空浸炭炉
5 中間扉
6 加熱室
16 炉内構造物(断熱材、セラミックスヒータ、セラミックスレール)
30 ジルコニア式酸素センサー

Claims (5)

  1. 加熱室内に鉄系ワークを搬入し、炭化水素系ガスを減圧高温下で分解させ炭素を前記ワークの鉄表面で反応させ、前記ワーク表面の浸炭を行う真空浸炭炉において、前記加熱室内にワークを搬入することなく、前記加熱室の中間扉を閉塞密閉し、前記加熱室内を加熱及び真空引きし、前記加熱室内の酸素分圧が所定値以下になるまで、前記加熱室内の炉内構造物の吸着酸素を排出することを特徴とする真空浸炭炉加熱室の前処理方法。
  2. 前記加熱室の前処理方法は、前記加熱室の炉内構造物の吸着酸素が多くなった場合に行うことを特徴とする請求項1に記載の真空浸炭炉加熱室の前処理方法。
  3. 前記加熱室の加熱後の真空浸炭処理温度下で前記酸素分圧の所定値は1×10-19.6atm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の真空浸炭炉加熱室の前処理方法。
  4. 前記酸素分圧はジルコニア式酸素センサーを用いて測定することを特徴とする請求項1又は2又は3記載の真空浸炭炉加熱室の前処理方法。
  5. 少なくとも真空浸炭時には、前記ジルコニア式酸素センサーと前記加熱室の炭化水素系ガスとが接触反応しないようにすることを特徴とする請求項4記載の真空浸炭炉加熱室の前処理方法。
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