JP2008069301A - シリコンナノシート、そのコロイド溶液、およびシリコンナノシートの製造方法。 - Google Patents
シリコンナノシート、そのコロイド溶液、およびシリコンナノシートの製造方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】従来のナノシリコン材料の応用面の限界を克服し、シリコンの薄膜形成を可能にした、形状異方性の薄片粒子(シリコンナノシート)とその製造方法を提供するものである。
【解決手段】二ケイ化カルシウムを−30℃以下に冷却した濃塩酸水溶液と反応させて、組成式(SiH)nで示される層状ポリシラン粉末を生成させ、得られた層状ポリシラン粉末と末端に炭素―炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する不飽和有機化合物とをヒドロシリル化反応触媒を用いて反応させ、層状ポリシランのH基を有機基に置き換えることにより、シリコンナノシートを得る。
【選択図】図1
【解決手段】二ケイ化カルシウムを−30℃以下に冷却した濃塩酸水溶液と反応させて、組成式(SiH)nで示される層状ポリシラン粉末を生成させ、得られた層状ポリシラン粉末と末端に炭素―炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する不飽和有機化合物とをヒドロシリル化反応触媒を用いて反応させ、層状ポリシランのH基を有機基に置き換えることにより、シリコンナノシートを得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体、電気・電子等の各分野に利用可能なシリコンナノシートおよびそのコロイド溶液等に関するものである。
近年、ナノシリコン材料が様々な分野に適用されようとしており、種々のナノシリコンの合成方法が検討されている。
例えば、シリコンナノワイヤーがその一例であり、laser
ablation法とvapor-liquid-solid法を併用した合成手法が知られている。Si0.9Fe0.1の組成を有するターゲットを、レーザで1200℃まで加熱して、シリコンナノワイヤーを成長させる。ここで得られたシリコンナノワイヤーの直径は6〜20nm、長さ1〜30μmである。また、表面は数nmの厚さの酸化シリコン皮膜で覆われている。
ablation法とvapor-liquid-solid法を併用した合成手法が知られている。Si0.9Fe0.1の組成を有するターゲットを、レーザで1200℃まで加熱して、シリコンナノワイヤーを成長させる。ここで得られたシリコンナノワイヤーの直径は6〜20nm、長さ1〜30μmである。また、表面は数nmの厚さの酸化シリコン皮膜で覆われている。
また、他の一例として、シリコンナノ粒子があり、トリシランをヘキサン溶液中で、500℃、345barの超臨界条件下で粒子を合成して、直径50〜500nmの非晶質粒子を得、この非晶質粒子を885℃で熱処理することにより、結晶質へ変換することが可能である方法が知られている。
Alfredo M. Morales, etal. Science, 1998, 279, 208-211 Lindsay E. Pell, etal. Langmuir, 2004, 20, 6546-6548
Alfredo M. Morales, etal. Science, 1998, 279, 208-211 Lindsay E. Pell, etal. Langmuir, 2004, 20, 6546-6548
しかしながらこれらの方法では、超高温、あるいは超高圧といった条件下でナノワイヤー、あるいはナノ粒子を合成しなければならないこと、さらに、得られたシリコンの形状がワイヤーあるいは粒子であるため、いくつかの応用において制約があった。特に、シリコンを半導体として利用する場合は、薄膜化が基本であるが、従来のワイヤーや粒子の形状では、薄膜化に適さないという問題点があった。
そこで本発明者らは、これらの問題点に鑑み鋭意検討の結果、層状ポリシラン(組成式(SiH)n)を有機化処理することにより、10nm以下の厚みでかつ大きな形状異方性を有する結晶子(ナノシート)というこれまでにない形態のナノシリコン材料が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の目的とするところは、従来のナノシリコン材料の応用面の限界を克服した、形状異方性の薄片粒子(シリコンナノシート)とその製造方法を提供することにある。
すなわち本発明の目的とするところは、従来のナノシリコン材料の応用面の限界を克服した、形状異方性の薄片粒子(シリコンナノシート)とその製造方法を提供することにある。
前述した目的を達成するために、第1の発明は、組成式(SiH)nで示される層状ポリシランを有機化処理して得た化学式(1)または化学式(2)で示されるシリコンナノシートである。前記有機化処理は、ヒドロシリル化反応を用いて前記層状ポリシランに不飽和有機化合物を反応させることが望ましい。前記シリコンナノシートは、厚さが0.5〜10nmである。
また、第2の発明は、第1の発明のシリコンナノシートを分散させてなるコロイド溶液である。また第3の発明は、組成式(SiH)nで示される層状ポリシランと不飽和有機化合物とをヒドロシリル化反応触媒を用いて反応させることを特徴とするシリコンナノシートの製造方法である。前記層状ポリシランは、二ケイ化カルシウムを−30℃以下に冷却した濃塩酸と反応させて得られる。
また、第2の発明は、第1の発明のシリコンナノシートを分散させてなるコロイド溶液である。また第3の発明は、組成式(SiH)nで示される層状ポリシランと不飽和有機化合物とをヒドロシリル化反応触媒を用いて反応させることを特徴とするシリコンナノシートの製造方法である。前記層状ポリシランは、二ケイ化カルシウムを−30℃以下に冷却した濃塩酸と反応させて得られる。
本発明のシリコンナノシートは、薄片状であり、大きな形状異方性を有する。このため、半導体、電気・電子等の各種分野において大いに利用できる。また、途中で酸化されずに合成することが可能であり、半導体薄膜として非常に好適に利用可能である。
本発明のコロイド溶液は、成膜性や、キャスチング性に優れ、各種基板材料に対して簡単に成膜を付すことができ、あるいは複雑な形状の内外表面処理を施すことができ、その特異な形態や性質と相俟って、各分野に広く使用可能である。
本発明のコロイド溶液は、基板上に塗布し、300℃程度の比較的低温で処理すれば有機基を分解することができるので、基板の種類に依存することなく、シリコンをナノスケールで均一に塗布、コートすることが可能となり、従来行われていた高真空状態での処理等は必要ない。
本発明のコロイド溶液は、基板上に塗布し、300℃程度の比較的低温で処理すれば有機基を分解することができるので、基板の種類に依存することなく、シリコンをナノスケールで均一に塗布、コートすることが可能となり、従来行われていた高真空状態での処理等は必要ない。
また、本発明のコロイド溶液は、従来のゾル・ゲル法の適応が可能であり、溶液のpH、電解質濃度を制御したり、過熱または凍結乾燥することによってシリコンナノシートを再凝集させることができ、低温で微粒、高比表面積のシリコンを合成したり有機高分子とコンポジット材料を誘導することが可能である。
また、本発明は、溶液状態で非常に大きな比表面積を保持しているためいくつかの化学反応に対して高い触媒性を示すことが期待される。
また、本発明は、溶液状態で非常に大きな比表面積を保持しているためいくつかの化学反応に対して高い触媒性を示すことが期待される。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本実施の形態に係るシリコンナノシートは、組成式(SiH)nで示される層状ポリシラン(以下、単に「層状ポリシラン」と言う」)を有機化処理して得られ、化学式(1)または化学式(2)で示される。
(ここで、nは、500〜600000000であり、R1、R2は、特に限定しないが、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族基、置換もしくは無置換のアラルキル基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアシル基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、シアノ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子、又は水素原子である。)
本実施の形態に係るシリコンナノシートは、組成式(SiH)nで示される層状ポリシラン(以下、単に「層状ポリシラン」と言う」)を有機化処理して得られ、化学式(1)または化学式(2)で示される。
前記有機化処理は、ヒドロシリル化反応を用いて層状ポリシランに不飽和有機化合物を反応させることによる。本発明におけるヒドロシリル化反応の反応式を図1に示す。
層状ポリシランのH基が有機基に置き換えられ、これにより、薄片のシリコンナノシートを得る。
層状ポリシランのH基が有機基に置き換えられ、これにより、薄片のシリコンナノシートを得る。
図2に本実施の形態に係るシリコンナノシートの構造イメージ図を示す。Si原子同士が略平面状に結合し、図1中AまたはBで示す有機基が、Si原子同士の結合面から面外方向に向かって(図2中、上方または下方に向けて(z軸方向))立ち上がるように位置している。
本実施の形態に係るシリコンナノシートは、厚さ0.5〜10nmである。大きさは特に限定するものではないが、縦0.1〜10μm、横0.1〜10μmが好ましく、1μm四方程度の大きさが特に好ましい。
本実施の形態に係る層状ポリシランは、二ケイ化カルシウムと濃塩酸水溶液とを−30℃以下で反応させることにより得られる。
二ケイ化カルシウムと濃塩酸水溶液とは、モル比がHCl/CaSi2=100で反応させる。反応時間は特に限定するものではないが、3日〜7日程度である。また、この反応は、Si−Siが光で酸化され、Si−O−Si結合が副生するため、暗室で行うことが好ましい。
反応終了後、CaCl2を濃塩酸水溶液により除去した後、アセトン洗浄することにより、層状ポリシランを得ることができる。
二ケイ化カルシウムと濃塩酸水溶液とは、モル比がHCl/CaSi2=100で反応させる。反応時間は特に限定するものではないが、3日〜7日程度である。また、この反応は、Si−Siが光で酸化され、Si−O−Si結合が副生するため、暗室で行うことが好ましい。
反応終了後、CaCl2を濃塩酸水溶液により除去した後、アセトン洗浄することにより、層状ポリシランを得ることができる。
本実施の形態に係る不飽和有機化合物は、末端に炭素―炭素二重結合あるいは炭素―炭素三重結合を有する化合物であり、一般式(3)または一般式(4)で表わされる。
(ここで、R1、R2は、特に限定しないが、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族基、置換もしくは無置換のアラルキル基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアシル基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、シアノ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子、又は水素原子である。)
本実施の形態に係る化学式(1)、化学式(2)、一般式(3)および一般式(4)におけるR1及びR2は、特に限定するものではないが、例えば、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族基、置換もしくは無置換のアラルキル基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアシル基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、シアノ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子、又は水素原子である。
式中のR1又はR2は、1個以上の酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素またはハロゲン原子を含んでもよい。
式中、置換または無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
また置換又は無置換のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換又は無置換の芳香族基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9-フルオレニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4'−メチルビフェニルイル基、4"−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等の芳香族炭化水素基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基等が挙げられる。
また置換又は無置換のアラルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基等が挙げられる。
また置換又は無置換のアミノ基は−NX1X2と表される基であり、置換基X1及びX2はそれぞれ独立に水素原子、前記の置換又は無置換のアルキル基、前記の置換又は無置換のアルケニル基、前記の置換又は無置換のシクロアルキル基、前記の置換又は無置換の芳香族基、前記の置換又は無置換のアラルキル基等が挙げられる。
また置換又は無置換のアルコキシ基は、−OX3で表される基であり、置換基X3としては、前記の置換又は無置換のアルキル基、前記の置換又は無置換のシクロアルキル基、前記の置換又は無置換のアラルキル基等が挙げられる。
また置換又は無置換のアリールオキシ基は、−OX4と表される基であり、置換基X4としては前記の置換又は無置換の芳香族基が挙げられる。
また置換又は無置換のアルコキシカルボニル基は−COOX5と表される基であり、置換基X5としては前記の置換又は無置換のアルキル基、前記の置換又は無置換のシクロアルキル基、前記の置換又は無置換のアラルキル基等が挙げられる。
また置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基は−COOX6と表される基であり、置換基X6としては前記の置換又は無置換の芳香族基が挙げられる。
また置換または無置換のアシル基は−C(=O)X7と表される基であり、置換基X7としては水素原子、前記の置換又は無置換のアルキル基、前記の置換又は無置換のアルケニル基、前記の置換又は無置換のシクロアルキル基、前記の置換又は無置換の芳香族基、前記の置換又は無置換のアラルキル基等が挙げられる。
上記のR1又はR2が置換基を有する場合、その置換基は脂肪族基であても芳香族基であってもよい。その置換基が脂肪族基である場合、その脂肪族基は飽和または不飽和であってよく、置換または無置換であってよく、鎖状、環状または分岐状であってよく、1個以上の酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素またはハロゲン原子を含んでもよい。また、その置換基が芳香族基である場合、芳香族基は置換または無置換であってよく、1個以上の酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素またはハロゲン原子を含んでもよい。これらの脂肪族基および芳香族基としては前記例示した種々の置換基を挙げることができる。
以上に説明した置換基において、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素またはハロゲン原子を含むものとして、置換基の一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子またはホウ素原子で置換された基が挙げられる。硫黄原子で置換された基としては、例えば、上述のヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシル基等の酸素含有基の酸素原子が硫黄原子で置き換えられた置換基を挙げることができる。その置換基の例としては、メルカプト基、ジチオカルボキシル基、ヒドロキシ(チオカルボニル)基、メルカプトカルボニル基、メチルチオ基、メトキシチオカルボニル基、メチルチオカルボニル基、メチルジチオカルボキシル基、フェニルチオ基、フェノキシチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基、フェニルジチオカルボニル基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基、等が挙げられる。ケイ素原子で置換された基としては、例えば、上述のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基の炭素原子がケイ素原子で置き換えられた置換基を挙げることができる。その置換基の例としては、シリル基、メチルシリル基、シリルメチル基、エチルシリル基、(メチルシリル)メチル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、等が挙げられる。リン原子で置換された基としては、例えば、上述のアミノ基の窒素原子がリン原子で置き換えられた置換基が挙げられる。その置換基の例としては、ホスフィノ基、トリメチルホスフィノ基、トリフェニルホスフィノ基、等が挙げられる。ホウ素原子で置換された基としては、例えば、上述のアミノ基の窒素原子がリン原子で置き換えられた置換基が挙げられる。その置換基の例としては、ジメチルボリル基、ジフェニルボリル基、等が挙げられる。
本実施の形態に係る有機化処理は、ヒドロシリル化反応を利用するものであり、層状ポリシランを溶媒に分散させた分散溶液に、不飽和有機化合物と触媒とを添加して行う。反応終了後、過剰な触媒を除去し、更に溶媒を除去して本実施の形態に係るシリコンナノシートを得る。
本実施の形態に係る触媒は、特に限定するものではないが、Pt、Rh、Ru,Alを含む金属錯体があり、例えばH2PtCl6、[Rh(cod)Cl2]2、Cp*RuH3(PPh3)及び化学式(5)、化学式(6)、化学式(7)で示される錯体等が挙げられる(前記codは1,5−シクロオクタジエン、Cp*はペンタメチルシクロペンタジエニルである)。
(ここで、Rは、フェニル基、シクロヘキシル基、フリル基、t−ブチル基、o−トリル基のいずれかであり、R´は、メチル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基のいずれかである。)
層状ポリシランを分散する溶媒は、特に限定するものではないが、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、ジメチルフォルムアミド、アセトニトリル等の有機溶媒が好適に使用可能である。この溶媒の層状ポリシランに対する量は10倍〜10000倍が好ましい。また、層状ポリシランを溶媒に分散させる際は、10〜60分程度超音波処理を行うことが特に好ましい。
層状ポリシランと不飽和有機化合物との混合比(モル比)は、層状ポリシラン/不飽和有機化合物=1/1〜1/10程度が好ましい。また、層状ポリシランと不飽和有機化合物との反応温度は、室温〜100℃が好ましい。
本実施の形態に係るコロイド溶液は、本実施の形態に係るシリコンナノシートを分散溶媒に分散させることにより得られる。シリコンナノシートを分散させる分散溶媒は、化学式(1)、(2)のR1、R2により好適な溶媒が変わるものであり、特に限定するものではないが、例えば、R1がアルキル基の場合、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、クロロベンゼン等の非極性の有機溶媒が特に好ましい。
シリコンナノシートの分散溶媒に対する重量比は、特に限定するものではないが、1〜10重量%程度が、集積化等の工程において好適である。
以下、実施例に基づいて、詳細に説明する。
二ケイ化カルシウム(CaSi2)粉末1gに対して濃塩酸水溶液100cm3の割合で接触させ、−30℃で反応させた。7日後、式(3)に従い黄緑色を呈した層状ポリシラン(SiH)nを得た。
−30℃に冷却した濃塩酸水溶液でCaCl2を除去したのち、アセトンで洗浄して、層状ポリシラン(SiH)nを取り出した。次に、この層状ポリシラン約20mgをテトラヒドロフラン(THF)30mlへ分散し、30分間超音波処理を行った。ついで、この分散溶液へ、n−ヘキセン5mlと塩化白金酸5mgを添加して、層状ポリシランのSi−Hのヒドロシリル化反応により室温で3時間有機化処理を行った。反応液を濾過した後、濾液中のTHFと未反応のn−ヘキセンをエバポレーターで除去した。続いて、残存物をn−ヘキサン中に分散させ、塩化白金酸を除去するために2〜3回水洗し、有機化されたシリコンナノシートが分散したコロイド溶液を得た。
二ケイ化カルシウム(CaSi2)粉末1gに対して濃塩酸水溶液100cm3の割合で接触させ、−30℃で反応させた。7日後、式(3)に従い黄緑色を呈した層状ポリシラン(SiH)nを得た。
得られたシリコンナノシートの赤外吸収スペクトルを図3に示す。1463cm−1にSi−CH2に帰属されるピークが観察され、更に2852cm−1および2920cm−1にC−CH3、C−CH2に帰属されるピークが観察され、Siに有機基が結合されたことが確認できた。また、Si−O由来の結合は1000cm−1、あるいは850cm−1付近にブロードに観察されるが、今回の試料にはそれらは存在せず、シートは酸化されていないことが確認できた。
このコロイド溶液を透過型電子顕微鏡(TEM)観察用の銅メッシュ上にたらして乾燥後に観察した。図4に、TEM像および電子線回折パターンの結果を示す。中心部のコントラストが濃く、輪郭が不明瞭な形状のシートが観察されており、分散された薄片状のナノシートであることがわかる。また、このシートの電子線回折パターンを測定すると、FCC構造をとる結晶の(111)方向からビームが入射された際に、生じる回折パターンが確認され、出発原料に用いたCaSi2のシリコン(111)面がそのまま維持された状態で、単層に剥離されたシートであることが確認できた。得られたシリコンナノシートは、厚さ10nm以下、大きさは10×10μm程度であった。
図5に、本発明のコロイド溶液をテフロン(登録商標)基板に滴下し、乾燥後にXPS測定を行った結果を示す。出発原料の層状ポリシランSiHのSi2pの結合エネルギーは、約100eVであることが知られており、バルクシリコンとほぼ酸化状態が同じである。これに対して、本実施例で得られたシリコンナノシートは101eVに観察され、有機基の付加によりシリコンの電子が吸引された状態になっているものの、酸化シリコン(SiO:102eV、SiO2:104eV)とは異なった値となり、シートは酸化されていないことが示された。
実施例1と同様な方法で合成した層状ポリシラン(SiH)nを、実施例1と同様に白金触媒下で1−デセンと反応させた。実施例1と同様に精製を行った後、透過型電子顕微鏡、および赤外吸収スペクトルによる検討の結果、実施例1と同様、シリコンナノシートが懸濁したコロイド溶液であることが確かめられた。ここで得られた有機化シリコンナノシートは、厚さ10nm以下、大きさは10×10μm程度であった。
Claims (6)
- 前記有機化処理は、ヒドロシリル化反応を用いて前記層状ポリシランに不飽和有機化合物を反応させることによる請求項1記載のシリコンナノシート。
- 前記シリコンナノシートは、厚さが0.5〜10nmである請求項1記載のシリコンナノシート。
- 請求項1記載のシリコンナノシートを分散させてなるコロイド溶液。
- 組成式(SiH)nで示される層状ポリシランと不飽和有機化合物とをヒドロシリル化反応触媒を用いて反応させることを特徴とするシリコンナノシートの製造方法。
- 前記層状ポリシランは、二ケイ化カルシウムを−30℃以下に冷却した濃塩酸と反応させて得られることを特徴とする請求項5記載のシリコンナノシートの製造方法。
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