JP2008069218A - 結晶化促進剤及びその製造方法並びにポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ乳酸の結晶化を促進するとともに耐衝撃性の劣化を抑制可能な結晶化促進剤及びその製造方法並びに該結晶化促進剤を含むポリ乳酸樹脂組成物の提供。
【解決手段】エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体と、前記エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体に含まれるエポキシ基に結合したポリ乳酸と、で構成されるグラフト高分子を含む結晶化促進剤、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体とポリ乳酸とを200〜270℃で溶融混練する工程を有する結晶化促進剤の製造方法及び結晶化促進剤とポリ乳酸とを少なくとも含むポリ乳酸樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸の結晶化を促進する結晶化促進剤及びその製造方法並びに結晶化促進剤を含むポリ乳酸樹脂組成物に関する。
地球的規模での環境問題に対して、近年では廃棄物の有効活用の観点からトウモロコシなど農作物の廃棄部分などから抽出できるでんぷんを発酵させて得られる乳酸の重合体であるポリ乳酸の利用が検討されている。ポリ乳酸は生分解性のプラスチックであり、廃棄時の環境負荷低減の観点からも優れた材料である。
このポリ乳酸は耐熱性が低く、ポリ乳酸の耐熱性を向上するための検討がなされている。例えば、ポリ乳酸を結晶化させるためのタルク等の結晶核剤の添加、ポリブチレンテレフタレートなどのポリマーの添加などが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−42045号公報
しかし、結晶核剤やポリブチレンテレフタレート等はポリ乳酸との相溶性に劣るため、これら添加剤を含むポリ乳酸樹脂組成物の耐衝撃性が悪化することがある。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ポリ乳酸の結晶化を促進するとともに耐衝撃性の劣化を抑制可能な結晶化促進剤及びその製造方法並びに該結晶化促進剤を含むポリ乳酸樹脂組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
<1> エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体と、前記エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体に含まれるエポキシ基に結合したポリ乳酸と、で構成されるグラフト高分子を含む結晶化促進剤である。
<2> 前記ポリ乳酸に含まれるカルボキシル基と前記エポキシ基とが結合した<1>に記載の結晶化促進剤である。
<3> 前記ポリ乳酸が加水分解により重量平均分子量を5〜20万とした化合物である<1>又は<2>に記載の結晶化促進剤である。
<4> 前記ポリ乳酸に含まれる水酸基と前記エポキシ基とが結合した<1>に記載の結晶化促進剤である。
<5> <2>又は<3>に記載の結晶化促進剤の製造方法であって、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体とポリ乳酸とを200〜230℃で溶融混練する工程を有する結晶化促進剤の製造方法である。
<6> <4>に記載の結晶化促進剤の製造方法であって、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体とポリ乳酸とを230〜270℃で溶融混練する工程を有する結晶化促進剤の製造方法である。
<7> 前記エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体に含まれるエポキシ基のモル数と前記ポリ乳酸に含まれるカルボキシル基又は水酸基のモル数との比が1:1〜1:2となるように、前記エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体と前記ポリ乳酸とを混合した<5>又は<6>に記載の結晶化促進剤の製造方法である。
<8> <1>乃至<4>のいずれか1つに記載の結晶化促進剤とポリ乳酸とを少なくとも含むポリ乳酸樹脂組成物である。
本発明によれば、ポリ乳酸の結晶化を促進するとともに耐衝撃性の劣化を抑制可能な結晶化促進剤及びその製造方法並びに該結晶化促進剤を含むポリ乳酸樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の結晶化促進剤及びその製造方法並びにポリ乳酸樹脂組成物について詳細に説明する。
<結晶化促進剤>
本発明の結晶化促進剤は、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(以下、E−GMA共重合体と称することがある。)と、前記エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体に含まれるエポキシ基に結合したポリ乳酸と、で構成されるグラフト高分子を含むものである。
本発明の結晶化促進剤を用いることにより、耐衝撃性を損なうことなくポリ乳酸の耐熱性を向上することが出来る。
E−GMA共重合体は、グリシジルメタクリレート由来のエポキシ基が側鎖としてポリエチレン骨格に結合した構造を示し、このエポキシ基とポリ乳酸に含まれるカルボキシル基又は水酸基とが結合することにより本発明に係るグラフト高分子が形成される。
E−GMA共重合体のメルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)は3〜9g/10分が好ましく、特に3〜7g/10分が好ましい。E−GMA共重合体のメルトフローレート(MFR)が3〜9g/10分であると混練時にポリ乳酸と反応しやすいため好ましい。
E−GMA共重合体に含まれるグリシジルメタクリレートは3〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がさらに好ましく、特に3〜6質量%が好ましい。E−GMA共重合体に含まれるグリシジルメタクリレートが3〜15質量%であると、溶融混練により得られる結晶化促進剤の粘度を小さくすることができる。
E−GMA共重合体の合成方法は特に限定されるものではなく、例えば、高温、高圧、気相中でエチレンとグリシジルメタクリレートとを反応させることによりE−GMA共重合体を合成する方法が挙げられる。
本発明の結晶化促進剤に用いられるポリ乳酸としては、ポリL−乳酸又はポリD−乳酸のいずれであってもよく、両方を併用することもできる。本発明に用いられるポリL−乳酸は、L−乳酸単位70〜100モル%と、D−乳酸単位及び/又は乳酸以外の共重合単位成分0〜30モル%とにより構成されており、ポリD−乳酸は、D−乳酸単位70〜100モル%と、L−乳酸単位及び/又は乳酸以外の共重合単位成分0〜30モル%とにより構成されていることが好ましい。
ポリ乳酸の合成方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法で合成することができ、例えば、特開平7−33861号公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予稿集第44巻、3198−3199頁等に記載されている乳酸モノマーからの直接脱水縮合、又は乳酸環状二量体ラクチドの開環重合によって合成することができる。
直接脱水縮合を行う場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、及びこれらの混合物のいずれの乳酸を用いても良い。また、開環重合を行う場合は、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、meso−ラクチド、及びこれらの混合物のいずれのラクチドを用いても良い。
開環重合に用いるラクチドの合成、精製及び重合操作は、例えば、米国特許第4057537号明細書、欧州特許出願公開第261572号明細書、Polymer Bulletin,14,491−495(1985)、及びMacromol.Chem.,187,1611−1628(1986)等に記載されている。
上記ポリ乳酸を得る際の重合反応に用いる触媒は、特に限定されるものではないが、公知の乳酸重合用の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等のスズ系化合物、粉末スズ、酸化スズ、亜鉛末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物、テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコニウム系化合物、三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物、酸化ビスマス(III)等のビスマス系化合物、酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、スズ又はスズ化合物からなる触媒が活性の点から特に好ましい。上記触媒の使用量は、例えば、開環重合を行う場合、ラクチドに対して0.001〜5質量%程度である。
重合反応は、上記触媒の存在下で、触媒の種類によって異なるが、通常100〜220℃で行うことができる。また、例えば特開平7−247345号公報に記載されている2段階重合を行うことも好ましい。
また、2段階重合法により合成されたポリ乳酸はそのカルボン酸末端がエステル化されているため、直接重合法、或いは加水分解により末端をカルボン酸とした状態のポリ乳酸を用いてもよい。
本発明に用いられるポリ乳酸の重量平均分子量は、5〜20万が好ましく、特に5〜10万が好ましい。重量平均分子量が5〜20万のポリ乳酸を用いることにより混練時の増粘を抑制できる。また、上述した加水分解により末端をカルボン酸とした状態のポリ乳酸の重量平均分子量も5〜20万が好ましく、特に5〜10万が好ましい。
<結晶化促進剤の製造方法>
本発明の結晶化促進剤はいかなる方法により製造されたものであってもよい。例えば、E−GMA共重合体に含まれるエポキシ基に乳酸をグラフト共重合させて本発明の結晶化促進剤を得ることができる。
また、E−GMA共重合体とポリ乳酸との混合物を加熱して本発明の結晶化促進剤を得ることができる。この場合、ポリ乳酸に含まれるカルボキシル基又は水酸基がE−GMA共重合体に含まれるエポキシ基と反応する。以下、E−GMA共重合体とポリ乳酸とを反応させて本発明の結晶化促進剤を製造する方法を、主としてポリL−乳酸を用いた場合を例に説明する。
−末端にカルボン酸が存在するポリL−乳酸を用いる場合−
末端にカルボン酸が存在するポリL−乳酸を用いる場合には、重量平均分子量が例えば5〜20万のポリL−乳酸とE−GMA共重合体とを200〜230℃で溶融混練することにより本発明の結晶化促進剤を製造することができる。E−GMA共重合体とポリ乳酸とを樹脂温度200〜230℃で溶融混練することによりエポキシ基とカルボキシル基とが結合する。
上述の方法で結晶化促進剤を製造すると、E−GMA共重合体とポリ乳酸とを溶融混練する際にポリL−乳酸の熱分解を抑制することができる。
溶融混練には、一軸又は多軸押出機やロールミル、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー、ラボプラストミル等を用いることができる。溶融混練を実施する前にヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等によりE−GMA共重合体とポリ乳酸とを均一に予備混合することが好ましい。
ラボプラストミルによる混練の場合、E−GMA共重合体とポリL−乳酸との混練時間は5〜25分が好ましく、5〜20分がさらに好ましく、5〜15分が特に好ましい。
E−GMA共重合体とポリ乳酸との混合比は、E−GMA共重合体に含まれるエポキシ基のモル数とポリ乳酸に含まれるカルボキシル基のモル数との比が1:1〜1:2となるようにすることが好ましい。E−GMA共重合体とポリ乳酸との混合比をこのような範囲とすることにより、E−GMA共重合体に含まれるエポキシ基の大部分がポリ乳酸と結合する。
E−GMA共重合体に含まれるエポキシ基のモル数は、E−GMA共重合体を重合する際のグリシジルメタクリレートの100gあたりの仕込量をグリシジルメタクリレートの分子量で除することにより求めることができる。あるいは、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)とFTIRとを組み合わせた分析法等により定量できる。
また、ポリ乳酸に含まれるカルボキシル基及び水酸基のモル数はGPCとFTIRとを組み合わせた分析法等により定量できる。
−加水分解処理したポリL−乳酸を用いる場合−
上述した2段階重合法により合成されたポリ乳酸はそのカルボン酸末端がアルコールによりエステル化されているため、この場合には加水分解処理によりその一端にカルボキシル基を生じさせてから結晶化促進剤の製造に供してもよい。
例えば、重量平均分子量10〜40万のポリL−乳酸を80℃95%RH雰囲気下に放置してその重量平均分子量を半減(5〜20万)させることにより加水分解処理後のポリL−乳酸を得ることができる。加水分解処理後に、このポリL−乳酸をメタノール又はアセトンで少なくとも2回洗浄して低分子量のモノマーやオリゴマーを除いたものを真空中で水分含量0.01質量%以下になるまで乾燥させてから結晶化促進剤の製造に供することが好ましい。
図1に、初期重量平均分子量が27万及び12万のポリL−乳酸を80℃95%RH雰囲気下に放置した際の分子量低下の挙動を示す。
加水分解処理したポリL−乳酸を用いて、上述した「末端にカルボン酸が存在するポリL−乳酸を用いる場合」と同様にして本発明の結晶化促進剤を製造することができる。この場合の溶融混練温度、混練時間、E−GMA共重合体とポリ乳酸との混合比等の好ましい範囲は上述のとおりである。
加水分解処理したポリL−乳酸には遊離の低分子量ポリL−乳酸が含まれるため、この低分子量ポリL−乳酸が可塑剤として作用しポリL−乳酸のモビリティーを向上することができる。その結果としてポリ乳酸の結晶化が促進される。
−末端にカルボン酸が存在しない(水酸基のみ存在する)ポリL−乳酸を用いる場合(2段階重合法により製造されたポリ乳酸の場合)−
上述した2段階重合法により製造されたポリ乳酸のように、末端にカルボン酸が存在せず水酸基のみ存在するポリL−乳酸を用いる場合には、重量平均分子量が例えば5〜20万のポリL−乳酸とE−GMA共重合体とを230〜270℃で溶融混練することにより本発明の結晶化促進剤を製造することができる。E−GMA共重合体とポリ乳酸とを樹脂温度230〜270℃で溶融混練することによりエポキシ基と水酸基とが結合する。
2段階重合法により合成されたポリ乳酸はそのカルボン酸末端がアルコールによりエステル化されているため、アルコールによるエステル化がなされていないポリ乳酸と比較してより高温まで熱分解しない(耐熱性に優れる)。そのため、カルボン酸末端がアルコールによりエステル化されたポリL−乳酸を用いることにより耐熱性に優れる結晶化促進剤を得ることが可能となる。
<ポリ乳酸樹脂組成物>
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、上述した本発明の結晶化促進剤とポリ乳酸とを少なくとも含むものである。
ポリ乳酸との相溶性に優れる本発明の結晶化促進剤を含む本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、耐衝撃性に優れる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物に用いることのできるポリ乳酸は、ポリL−乳酸又はポリD−乳酸のいずれであってもよく、両方を併用することもできる。本発明のポリ乳酸樹脂組成物に用いられるポリL−乳酸の重量平均分子量は、10万〜30万が好ましく、15万〜25万がさらに好ましく、18万〜22万が特に好ましい。また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物に用いられるポリD−乳酸の重量平均分子量は、10万〜30万が好ましく、15万〜25万がさらに好ましく、18万〜22万が特に好ましい。
また、ポリL−乳酸及びポリD−乳酸の分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤を添加しても良い。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物を添加して高分子量化したり、あるいはカーボネート化合物を用いて脂肪族ポリエステルカーボネートを得るようにしても良い。
また、ポリL−乳酸及びポリD−乳酸中に残存するモノマー量は、2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下であると良い。ポリL−乳酸及びポリD−乳酸を製造する重合方法において、モノマー/ポリマーの反応平衡により、相当量のモノマー(ラクチド)の一部や低分子量(オリゴマー)がポリマー中に残存する。この残存モノマーや低分子量オリゴマーが最終製品(成形品、フィルム、繊維など)に存在すると一種の可塑剤或いは加水分解のトリガーとして作用し、経時的な強度劣化を促進する原因となる。またラクチドは昇華性物質であり、例えば繊維の紡糸工程で昇華し、ダイスやノズルに付着して糸切れの原因になったり、昇華物が異臭の原因になったりする。このために、ポリL−乳酸及びポリD−乳酸に残存するモノマーはできるだけ低減させる必要がある。低モノマー化の方法としては、例えば特許第3055422号公報に記載されているモノマーを昇華させる方法や特開平9−110967号公報に記載されている溶剤による洗浄処理などがある。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物に含有されるポリL−乳酸とポリD−乳酸との混合比(質量比)は、80:20〜20:80であることが好ましく、75:25〜25:75がさらに好ましく、60:40〜40:60が特に好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物では、結晶化促進剤を構成するポリ乳酸がL型の場合、該樹脂組成物に含有されるポリ乳酸はD型が好ましく、結晶化促進剤を構成するポリ乳酸がD型の場合、該樹脂組成物に含有されるポリ乳酸はL型が好ましい。ポリ乳酸の種類をこのような関係とすることにより、結晶化促進剤を構成するポリ乳酸とポリ乳酸樹脂組成物に含有されるポリ乳酸とが部分的にステレオコンプレックスを形成し、その結果としてポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性を向上することができる。
さらに、本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、必要に応じて、従来公知の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤・抗カビ剤等の各種添加剤を配合してもよい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、主として、一般のプラスチックと同様に、各種成形品の成形材料として用いられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物を成形するに際しては、一般のプラスチックと同様の押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形等の成形を行うことができ、シート、棒、ビン、容器等の各種成形品を容易に得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
ポリL−乳酸(商品名U’Z−BO、トヨタ自動車製、重量平均分子量20万)を80℃95%RH雰囲気下に24時間放置した後、80℃で真空乾燥処理して加水分解処理ポリL−乳酸を得た。このポリL−乳酸の重量平均分子量は10万であった。
前記加水分解処理ポリL−乳酸95部とE−GMA共重合体(商品名ボンドファースト2C、住友化学製、グリシジルメタクリレート6質量%含有、MFR((190℃、2.16kg荷重)3g/10分)5部とをラボプラストミル(東洋精機製)を用いて215℃で10分間溶融混練することにより本発明の結晶化促進剤1を得た。結晶化促進剤1では、主としてポリL−乳酸のカルボキシル基がE−GMA共重合体のエポキシ基と結合している。このときのE−GMA共重合体に含まれるエポキシ基のモル数とポリL−乳酸に含まれるカルボキシ基のモル数との比は1:2であった。
ポリL−乳酸(商品名U’Z−BO、トヨタ自動車製、重量平均分子量20万)70部に結晶化促進剤1を30部添加し、215℃で10分間混練後、平板に成形して成型品1を得た。
成型品1の結晶化熱及び結晶化温度をDSC(示差走査熱量計、測定条件:200℃に昇温後、10℃/分で降温)により測定した。得られた結果を表1に示す。また、成型品1のIZOD衝撃値をIZOD衝撃試験機を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2]
E−GMA共重合体(商品名ボンドファーストE、住友化学製、グリシジルメタクリレート12質量%含有、MFR(190℃、2.16kg荷重)3g/10分)5部と実施例1で得られた加水分解処理ポリL−乳酸とをラボプラストミル(東洋精機製)を用いて215℃で10分間溶融混練することにより本発明の結晶化促進剤2を得た。結晶化促進剤2では、主としてポリL−乳酸のカルボキシル基がE−GMA共重合体のエポキシ基と結合している。このときのE−GMA共重合体に含まれるエポキシ基のモル数とポリL−乳酸に含まれるカルボキシ基のモル数との比は1:2であった。
ポリL−乳酸(商品名U’Z−BO、トヨタ自動車製、重量平均分子量20万)70部に結晶化促進剤2を30部添加し、215℃で10分間混練後、平板に成形して成型品2を得た。成型品2について結晶化熱、結晶化温度及びIZOD衝撃値を実施例1と同様の方法により求めた。得られた結果を表1示す。
[比較例1]
ポリL−乳酸(商品名U’Z−BO、トヨタ自動車製、重量平均分子量20万)を平板に成形して成型品3を得た。成型品3について結晶化熱、結晶化温度及びIZOD衝撃値を実施例1と同様の方法により求めた。得られた結果を表1示す。
[比較例2]
ポリL−乳酸(商品名U’Z−BO、トヨタ自動車製、重量平均分子量20万)99部にタルク(商品名MicroAce−P6、日本タルク製)を1部添加し、215℃で10分間混練後、平板に成形して成型品4を得た。成型品4について結晶化熱、結晶化温度及びIZOD衝撃値を実施例1と同様の方法により求めた。得られた結果を表1示す。
[比較例3]
ポリL−乳酸(商品名U’Z−BO、トヨタ自動車製、重量平均分子量20万)70部にポリエチレン(商品名ノバテックLD、日本ポリエチレン(株)製)を30部添加し、215℃で10分間混練後、平板に成形して成型品5を得た。成型品5について結晶化熱、結晶化温度及びIZOD衝撃値を実施例1と同様の方法により求めた。得られた結果を表1示す。
[比較例4]
ポリL−乳酸(商品名U’Z−BO、トヨタ自動車製、重量平均分子量20万)70部にポリブチレンテレフタレート(商品名NOVADURAN、三菱エンジニアリングプラスチックス製)を30部添加し、215℃で10分間混練後、平板に成形して成型品6を得た。成型品6について結晶化熱、結晶化温度及びIZOD衝撃値を実施例1と同様の方法により求めた。得られた結果を表1示す。
Figure 2008069218
実施例1及び2は、比較例1と比較して結晶化熱及び結晶化温度ともに大きく、結晶化促進剤1及び2はポリ乳酸の結晶化を促進していることがわかる。
また、実施例1及び2は結晶核剤(結晶化促進剤、比較例2)、結晶化を促進する本発明以外のポリマーを添加した場合(比較例3及び4)と比較して耐衝撃性に優れることがわかる。
[実施例3]
E−GMA共重合体(商品名ボンドファースト2C、住友化学製、グリシジルメタクリレート6質量%含有、MFR(190℃、2.16kg荷重)3g/10分)5部とポリL−乳酸(商品名U’Z−B4、トヨタ自動車製、重量平均分子量10万)45部とをラボプラストミル(東洋精機製)を用いて250℃で10分間溶融混練することにより本発明の結晶化促進剤3を得た。結晶化促進剤3では、主としてポリL−乳酸の水酸基がE−GMA共重合体のエポキシ基と結合しており、該ポリL−乳酸のカルボキシル基末端はアルコールによりエステル化されている。このときのE−GMA共重合体に含まれるエポキシ基のモル数とポリL−乳酸に含まれるカルボキシ基のモル数との比は1:1であった。
結晶化促進剤1及び3についての加熱による重量減少率を、TG(熱重量測定装置、測定条件:10℃/分で昇温)で測定した。得られた結果を図2に示す。
図2から、結晶化促進剤1及び3の重量減少率が5%になる温度は各々289℃及び295℃であり、重量減少率が10%になる温度は各々298℃及び312℃であり、結晶化促進剤3(即ち、ポリL−乳酸におけるエポキシ基と結合した水酸基末端とは反対のカルボキシル基末端がエステル化された結晶化促進剤)のほうが結晶化促進剤1(即ち、ポリL−乳酸におけるエポキシ基と結合したカルボキシル基末端とは反対の水酸基末端が水酸基のままの状態の結晶化促進剤)よりも耐熱性に優れることがわかる。
初期重量平均分子量が27万及び12万のポリL−乳酸を80℃95%RH雰囲気下に放置した際の分子量低下の挙動を示す図である。 結晶化促進剤1及び3の加熱による重量減少率の測定結果を示す図である。

Claims (8)

  1. エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体と、前記エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体に含まれるエポキシ基に結合したポリ乳酸と、で構成されるグラフト高分子を含む結晶化促進剤。
  2. 前記ポリ乳酸に含まれるカルボキシル基と前記エポキシ基とが結合した請求項1に記載の結晶化促進剤。
  3. 前記ポリ乳酸が加水分解により重量平均分子量を5〜20万とした化合物である請求項1又は2に記載の結晶化促進剤。
  4. 前記ポリ乳酸に含まれる水酸基と前記エポキシ基とが結合した請求項1に記載の結晶化促進剤。
  5. 請求項2又は3に記載の結晶化促進剤の製造方法であって、
    エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体とポリ乳酸とを200〜230℃で溶融混練する工程を有する結晶化促進剤の製造方法。
  6. 請求項4に記載の結晶化促進剤の製造方法であって、
    エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体とポリ乳酸とを230〜270℃で溶融混練する工程を有する結晶化促進剤の製造方法。
  7. 前記エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体に含まれるエポキシ基のモル数と前記ポリ乳酸に含まれるカルボキシル基又は水酸基のモル数との比が1:1〜1:2となるように、前記エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体と前記ポリ乳酸とを混合した請求項5又は6に記載の結晶化促進剤の製造方法。
  8. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の結晶化促進剤とポリ乳酸とを少なくとも含むポリ乳酸樹脂組成物。
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