JP2008068967A - 搬送用平ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトの破断に対する信頼性を高めると共に、ベルト反りを防止する。
【解決手段】搬送用平ベルト10は、ベルト芯体部20が無端状に編んだ第1及び第2の編布が積層されて、第1及び第2の編布層21,22から構成される。第2の編布は第1の編布に対して表裏が反対にされて積層される。第1及び第2の編布はゴム糊によって含浸処理されている。
【選択図】図1
【解決手段】搬送用平ベルト10は、ベルト芯体部20が無端状に編んだ第1及び第2の編布が積層されて、第1及び第2の編布層21,22から構成される。第2の編布は第1の編布に対して表裏が反対にされて積層される。第1及び第2の編布はゴム糊によって含浸処理されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、紙幣等を搬送するための無端状の搬送用平ベルトに関する。
従来、平ベルトは、小型軽量物品や紙幣等種々の搬送物を搬送するために使用されており、その用途に応じて積層構造が決定されるのが一般的である。比較的重量の重い小型軽量物品を搬送するためのコンベヤベルトは、ある程度の強度が要求され、例えば特許文献1のように、2枚の織布が積層されている。
また、現金自動預け払い機(ATM)、現金自動支払機(CD)などにおいて、紙幣を搬送するために使用されるベルトとしては、伸縮性が高く、平面性に優れたベルトが必要とされ、例えば、1層の無端状編布と弾性材料が積層された搬送用平ベルトが使用されている。
特開昭59−177205号公報
しかし、編布と弾性材料が積層された搬送用平ベルトでは、編布が芯体層となるが、芯体層が1層しかないため、芯体層に欠点が生じた場合、ベルトの周長方向における張力を支持できる部材がなくなり、早期にベルト破断が生じる可能性がある。
また、紙幣等を挟み込み搬送する場合には、機械駆動負荷抵抗を小さくするために、弾性材料層を薄くし、ベルト全体の厚さを小さくする必要がある。しかし、弾性材料層は研磨仕上げにより形成され、その層厚さを薄くすると強度が低下するので、研磨時に研磨材との負荷で破れやすくなり、研磨自体が困難になる。また上記ベルトの製造においては、押出機、カレンダー等の設備を用いて、シート状や筒状の弾性体を用意する必要があるので、設備コストが高くなるという問題もある。一方、特許文献1のように、芯体に織布を用いると、長手方向への伸縮性が低下するので、例えばATM等で適用される複雑な多屈曲レイアウトに使用することが困難になる。
さらに、編布やゴム層を有するベルトは、ゴムの加硫収縮や、編布の構造的な特性に起因して伸張時に発生する反りにより、ベルト反りが発生することがある。しかし、ベルト反りが生じた搬送用ベルトは、平面性が低いため搬送物の保持性能が劣ると共に、ベルト側面側から光学式の読取装置で搬送物の検知を行う場合、反った部分が搬送物の検知を干渉するおそれがある。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みて成されたものであり、簡単な構成で長手方向への伸縮性が確保できると共に、ベルト反りが低減され、かつ芯体層に欠点が生じてもベルト破断が生じにくい、紙幣等の紙葉類を搬送するための搬送用平ベルトを提供することを目的とする。
本発明に係る搬送用平ベルトは、無端状に編んだ少なくとも第1及び第2の編布が積層されていることを特徴とする。このような搬送用平ベルトによれば、一方の編布に欠点が生じても他方の編布により無端状ベルトの長手方向の張力が支持できるので、長手方向への強度を向上させることができる。また、編布を用いた搬送用平ベルトは、従来、編布の構造的な特性に起因してベルトに反りが発生していたが、本発明においては、第2の編布が第1の編布に対して表裏が反対にされて積層されることにより、ベルト反りの発生が防止されている。
第1の編布を構成する糸の繊度、第1の編布の編み密度、及び第1の編布を形成する糸の材質のうちの少なくとも1つが、第2の編布と異なることが好ましい。これによりベルト長手方向における、第1の編布の伸張弾性率は、第2の編布の伸張弾性率と異なり、搬送用平ベルトの走行性が安定する。
また、搬送用平ベルトは第1及び第2の編布が円筒状の金型に被せられ、又は所定の軸間長さにある2軸プーリ上に掛け回した上で加硫成型されて得られる場合、ベルト長手方向における、第1の編布の伸張弾性率を第2の編布の伸張弾性率と異ならせるために、第1の編布が金型又は2軸プーリに被せられ又は掛け回されるときの伸張率が、第2の編布が金型又は2軸プーリに被せられ又は掛け回されるときの伸張率と異なるようにすることが好ましい。
また、第1及び第2の編布の編み密度を同一にすると共に、第1の編布を形成する糸の材質を第2の編布を形成する糸の材質と異ならせることが好ましい。このような構成によれば、搬送用平ベルトは、走行性に優れ、かつベルト反りの発生も効果的に防止することができる。この場合、第1の編布を形成する糸は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維及び綿糸のうちの少なくとも1つから形成され、第2の編布を形成する糸はアラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維、及びポリケトン繊維のうちの少なくとも1つから形成される。
編布は、例えば、ゴムによって含浸あるいはコーティング処理され、ゴムには、EPDM、EPR、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムから成る群より選択された少なくとも1つが使用される。
編布は、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、綿糸、ビニロン繊維、及びポリケトン繊維から成る群より選択される少なくとも1つの材料から形成される糸により、無端状に編まれることが好ましい。
本発明においては、2枚以上の編布を積層することにより、長手方向への高い伸縮性を確保でき、かつ編布に欠点が生じてもベルト破断が生じにくい搬送用ベルトを提供することができる。また、一方の編布を他方の編布に対して表裏を反対にして積層すれば、反りを低減させることができる。
図1は、本実施形態に係る搬送用平ベルトの断面図である。本実施形態に係る搬送用平ベルト10は、無端状に形成されたベルトであって、ベルト芯体部20から成り、ベルト芯体部20は、第1及び第2の編布層21、22が積層されると共に、互いが接着されて形成される。
第1及び第2の編布層21、22は、それぞれゴム糊によって含浸処理された無端状の第1及び第2の編布によって構成される。第1及び第2の編布はゴム糊で含浸処理されることにより、互いに接着されやすくなると共に、加工中の伝線等が防止される。ゴム糊のゴム成分としては、例えばエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体配合物(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、及びシリコーンゴムからなる群より選択された少なくとも1つが使用される。なお、第1及び第2の編布層21、22は、ゴム糊による含浸処理の代わりにこれらゴム成分によってコーティングされていても良い。
第1及び第2の編布は、例えばナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル繊維、ガラス繊維、綿糸、ビニロン繊維、及びポリケトン繊維から成る群より選択される少なくとも1つの材料から形成される糸によって無端状に編まれた編布である。本実施形態において、第1及び第2の編布は、同一の構成を有する編布であって、同じ材料から形成される糸によって編まれると共に、糸の繊度、編み密度(経密度及び緯密度)が同一である。また、後述する製造工程において、略同一の伸張率で伸張された後に、金型の外周に被せられる。このような構成により、第1及び第2の編布層21、22は周長方向における伸張弾性率が互いに同一となる。なお、経密度及び緯密度とは、それぞれ編布の縦方向、横方向における編み密度をいう。
図2及び図3は、第1及び第2の編布を表側、裏側から見た図である。なお、図2、3では、糸に模式的に黒色、白色を付したが、これはこれら糸が異なる構成を有することを示したわけではない。第1及び第2の編布は共に、図2、3に示すように平編の編布であって、糸が編まれることにより、先端部Tが同じ方向を向く複数のループRが横方向(図2、3の左右方向)及び縦方向(図2、3の上下方向)に規則的に配列される。編布を表側から見ると(図2参照)、ループRの各先端部Tは縦方向に隣接するループの奥側を通されると共に、編布を裏側から見ると(図3参照)、ループの各先端部Tは縦方向に隣接するループの手前側を通される。
編布の横方向は無端状の搬送用平ベルト10の周長方向、縦方向は搬送用平ベルト10の幅方向に対応する。平編で編まれた編布は縦方向に比べ横方向における伸縮性が高く、第1及び第2の編布層21、22(すなわち、搬送用平ベルト10)は周長方向に高い伸縮性を有する。
第1の編布層21と第2の編布層22との接着面において、第1及び第2の編布の表側同士、又は裏側同士が対向させられ、第2の編布は第1の編布に対して表裏が反対にされて積層されている。
次に本実施形態に係る搬送用平ベルト10の製造方法について説明する。本実施形態では、まず、有機溶剤に未加硫ゴム成分が溶解させられると共に、ここに加硫剤等の各種添加剤が添加され、ゴム糊液が用意される。次いで、筒状の第1及び第2の編布が、ゴム糊液に浸漬されて含浸処理が行われた後、加熱乾燥させられる。その後、第1及び第2の編布は後述する金型の軸方向の長さに合わせて適宜切断されて軸方向の長さが調整される。
次いで、不図示の円筒形状を呈する金型の外周に、筒状の第1の編布が、表裏が裏返されずそのまま被せられる。その後、金型には、第1の編布の外周側に、筒状の第2の編布が、表裏が裏返された後に被せられる。このように第2の編布の表裏が裏返されることにより、第1及び第2の編布は、表側同士または裏側同士が対向することとなる。
なお、伸張されない状態における、筒状に形成された第1及び第2の編布の周長さは同一である。したがって、第1及び第2の編布は、上述したように略同一の伸張率で伸張した上で、金型に被せられることとなる。
第1及び第2の編布が被せられた金型は不図示の加硫釜内に収納され、その後、第1及び第2の編布は外周側から内周側に向けて、加硫釜内部に設けられた加硫バッグによって加圧される。この加圧と共に、加硫釜及び金型の内部には水蒸気等の熱媒体が供給され、第1及び第2の編布が加熱される。加熱・加圧により、第1及び第2の編布に含浸された未加硫ゴム成分は加硫され、第1及び第2の編布は接着されて一体成型され、円筒状のベルトスラブ(成型体)が形成される。ベルトスラブ成型後、加圧・加熱が終了されると共に、金型が加硫釜から取り出され、ベルトスラブが冷却される。ベルトスラブ冷却後、ベルトは所定幅に切断され、これにより図1に示すような搬送用平ベルト10が得られる。
以上のように、本実施形態における搬送用平ベルト10は編布が2枚積層されて構成される。したがって、一方の編布に欠点が生じても、他方の編布によってベルトの長手方向の張力が支えられるので、欠点が生じてからベルト破断に至る時間を長くすることができる。
また、ベルトの製造工程において、第1及び第2の編布はそれぞれ構造上の特性により、伸張時に反りが発生する。すなわち、図2のように編布を表側から見ると、編布が周長方向に伸張されるとき、白色が付された糸が、黒色が付された糸との交点において、その黒色が付された糸を持ち上げるように起き上がり、この方向に反りが発生する。したがって、第1の編布は、例えば、図1における上方向に反り力Uを発生させることとなる。しかし、第1の編布が反り力Uを発生させる場合、表裏が逆に積層された第2の編布は、下方向に作用される反り力Dを発生させることとなる。したがって、第1及び第2の編布によって発生する反り力D、Uは打ち消し合い、これによりベルトの反りの発生が抑制される。特に、本実施形態では、第1及び第2の編布は糸の材質、編み密度、糸の繊度、及び金型に被せるときの伸張率が同一とされているので、金型に被せられた後の第1及び第2の編布の伸張弾性率は同一になる。したがって、加硫成型時において、第1及び第2の編布が伸張することにより発生する反り力は、互いにほぼ完全に打ち消し合い、実質的に反りが発生しないベルトを得ることができる。
次いで、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、第1及び第2の編布層21、22には、同一の構成を有する編布が使用され、周長方向における伸張弾性率は互いに同一であったが、第2の実施形態では、第1の編布層21の周長方向における伸張弾性率は、第2の編布層22よりも低くされる。これは、例えば第1の編布の糸の繊度が、第2の編布の糸の繊度より低くされ、又は第1の編布の編み密度が、第2の編布の編み密度より低くされ、又は第1の編布が金型に取り付けられるとき、その伸張率が第2の編布より低くされ、第1の編布を形成する糸の材質が第2の編布を形成する糸の材質と異ならされ、又はこれらの方法が適宜組み合わされることにより実現される。なお、第1の編布が金型に被せられるときの伸張率が第2の編布より高くされる場合、例えば第1及び第2の編布の伸張されていない状態における、第1の編布の周長さが第2の編布の周長さよりも短くされている。また、第1の編布の編み密度が第2の編布より低くされる場合、少なくともベルトの周長方向における編密度(すなわち、緯密度)が第2の編布より低くされれば良いが、緯密度及び経密度の両方が低くされても良い。
第1及び第2の編布はその伸縮性が高く、ベルト製造時において、金型の周りに僅かに歪んで被せられることがあり、これらは搬送用ベルトにおいて、周長方向に対して僅かに蛇行して積層されている場合がある。このような場合に、第1の実施形態のように第1及び第2の編布の周長方向における伸張弾性率が同一であると、これらは共に周長方向の張力を同様に支持するため、搬送用ベルトの走行性が不安定になることがある。2つの編布で張力を均等に支持すると、第1及び第2の編布がいずれも蛇行している場合、両方の編布の蛇行の影響を受け、張力を支持する方向も周長方向に対して傾きやすくなるからである。それに対して本実施形態では、周長方向における第2の編布の伸張弾性率が第1の編布の伸張弾性率より高められているので、搬送用平ベルト10の周長方向の張力を支持するのは、主に第2の編布となる。したがって、本実施形態では、ベルトの走行性は第1の編布の蛇行の影響を受けにくくなり第1の実施形態に比べ安定する。
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態との相違点は、第1及び第2の編布の構成のみであるのでその点のみを説明する。本実施形態では、第1の編布の編み密度(経密度及び緯密度)が第2の編布の編み密度(経密度及び緯密度)と同一にされると共に、第1の編布の糸の材質が第2の編布の材質と異ならせられている。
第1の編布は例えばナイロン繊維、ポリエステル繊維及び綿糸のうちの少なくとも1つから形成される糸で編まれ、第2の編布はアラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維、及びポリケトン繊維のうちの少なくとも1つから形成される糸で編まれている。これにより、ベルト周長方向における、第2の編布の伸張弾性率は、第1の編布の伸張弾性率より高くなる。
本実施形態では、第1及び第2の編布の編み密度(経密度及び緯密度)を同一にすることにより、第1及び第2の編布の伸張時に発生する反り力は、互いにほぼ完全に打ち消し合い、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、実質的に反りが発生しないベルトを得ることができる。
一方、第2の編布層22の伸張弾性率は第1の編布層21の伸張弾性率より高められているので、搬送用平ベルト10の周長方向の張力を支持するのは、主に第2の編布層22となる。したがって、本実施形態では、ベルトの走行性は、第1の編布の蛇行の影響を受けにくくなるので、第1の実施形態に比べ安定する。
なお、本実施形態では、製造時における第1及び第2の編布の反り力の差をさらに小さくするために、第1及び第2の編布の編み密度のみならず、これらを構成する糸の繊度も略同一にしても良い。
勿論、同様の理由により、伸張されない状態における、筒状に形成された第1及び第2の編布の周長さが同一にされ、製造工程において、第1及び第2の編布は同一の伸張率で金型に被せた方が良い。
また、第1乃至第3の実施形態では、搬送用平ベルト10は2枚の編布が積層されているが、これらに加えさらに1枚以上の編布が積層されても良い。
なお第2及び第3の実施形態においては、第1の編布の伸張弾性率が第2の編布の伸張弾性率より低くされたが、勿論第2の編布の伸張弾性率が第1の編布の伸張弾性率より低くされても良い。
なお、第1乃至第3の実施形態においては、第1及び第2の編布は、金型に被せられた上で加圧されて成型されたが、第1及び第2の編布は、適切な軸間長さに調整された2軸プーリ上に掛け回されて、回転されつつ例えばそのプーリによって加熱されて成型されても良い。この場合、第1の実施形態においては、第1及び第2の編布が2軸プーリに掛け回されるときの伸張率は、互いに略同一である。一方、第2の実施形態においては、第1及の編布の伸張弾性率を、第2の編布より低くするために、第1の編布を2軸プーリ上に掛け回すときの伸張率を、第2の編布を掛け回すときの伸張率より低くしても良い。また、第3の実施形態では、好ましくは第1及び第2の編布が掛け回されるときの伸張率は、互いに略同一である。
本発明について、以下実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例の構成に限定されるわけではない。
[実施例1]
110dtexのPETのマルチフィラメント糸によって、経密度27目/インチ、緯密度27目/インチの筒状の編布を編成し、これをゴム成分がウレタンゴムから成るゴム糊に浸漬した。ゴム糊乾燥後、編布を所定の長さに切断し、同一の周長さ及び同一の軸長さを有する筒状の第1及び第2の編布を得た。また、第1及び第2の編布の周長さより、周長さが20%大きい金型を用意した。なお、編み密度(経密度、緯密度)は、伸張されていない状態における編布において、株式会社大西商店製のデンシメータTYPE Cによって測定された編み密度をいう。
110dtexのPETのマルチフィラメント糸によって、経密度27目/インチ、緯密度27目/インチの筒状の編布を編成し、これをゴム成分がウレタンゴムから成るゴム糊に浸漬した。ゴム糊乾燥後、編布を所定の長さに切断し、同一の周長さ及び同一の軸長さを有する筒状の第1及び第2の編布を得た。また、第1及び第2の編布の周長さより、周長さが20%大きい金型を用意した。なお、編み密度(経密度、緯密度)は、伸張されていない状態における編布において、株式会社大西商店製のデンシメータTYPE Cによって測定された編み密度をいう。
金型にはまず第1の編布を、表裏をそのままにして、周長方向に伸張させて被せた。次いで、第2の編布を、表裏を裏返し、第1の編布に重ね合うように金型に周長方向に伸張させて被せた。なお、金型の周長さは第1及び第2の編布より20%大きかったため、第1及び第2の編布は金型に伸張率20%で被せられたことになる。第1及び第2の織布を被せた金型は、加硫釜内に収納し、所定の圧力、温度を一定時間加えることにより、第1及び第2の編布を一体成型しベルトスラブを得た。ベルトスラブは所定の幅に切断し、周長さ480mm、幅10mm、ベルト厚さ0.45mmの搬送用平ベルトを得た。
[比較例1]
比較例1の搬送用ベルトは、第2の編布層の代わりにウレタンゴム層を積層した以外は、実施例1と同様のベルトであった。比較例1では、金型に第2の編布の代わりに、ウレタンゴムシートを巻き付けて、第1の編布とウレタンゴムシートを所定温度、所定圧力を加えることにより加硫一体成型し、第1の編布層にウレタンゴム層が積層されたベルトスラブを得た。なお、ウレタンゴムシートは、第1の編布の含浸処理に使用されるゴム糊と同様のゴム成分を有していた。ベルトスラブは所定の幅に切断した後、ウレタンゴム層を研磨し、周長さ480mm、幅10mm、ベルト厚さ0.65mmの搬送用平ベルトを得た。
比較例1の搬送用ベルトは、第2の編布層の代わりにウレタンゴム層を積層した以外は、実施例1と同様のベルトであった。比較例1では、金型に第2の編布の代わりに、ウレタンゴムシートを巻き付けて、第1の編布とウレタンゴムシートを所定温度、所定圧力を加えることにより加硫一体成型し、第1の編布層にウレタンゴム層が積層されたベルトスラブを得た。なお、ウレタンゴムシートは、第1の編布の含浸処理に使用されるゴム糊と同様のゴム成分を有していた。ベルトスラブは所定の幅に切断した後、ウレタンゴム層を研磨し、周長さ480mm、幅10mm、ベルト厚さ0.65mmの搬送用平ベルトを得た。
[ベルト評価]
(1)破断特性
実施例1、及び比較例1の搬送用ベルトの破断特性を、破断強度保持率を測定することにより評価した。実施例1、及び比較例1の搬送用ベルトを、長さ150mmとなるように切断しそれぞれの測定用試料とした。これら測定用試料それぞれの第1の編布層の長手方向における中央部に全幅及び全厚に渡って傷を加えた。次いで、実施例1及び比較例1の測定用試料を、引張試験機を用いて、両端をチャックで挟み、長手方向に引張速度200%/分で引っ張り、破断に至ったときの測定用試料に作用される引張力を、損傷時の破断強度とした。なお、引張速度における%は、元のベルト長さを100%としたときの、伸び率を%で表したものである。また、実施例1、比較例1の測定用試料それぞれについて、傷を加えずに、同様の方法で破断強度を測定したときの破断強度を正常時の破断強度とした。そして、正常時の破断強度に対する損傷時の破断強度の残存率を%で表したものを強度残存率とした。
(1)破断特性
実施例1、及び比較例1の搬送用ベルトの破断特性を、破断強度保持率を測定することにより評価した。実施例1、及び比較例1の搬送用ベルトを、長さ150mmとなるように切断しそれぞれの測定用試料とした。これら測定用試料それぞれの第1の編布層の長手方向における中央部に全幅及び全厚に渡って傷を加えた。次いで、実施例1及び比較例1の測定用試料を、引張試験機を用いて、両端をチャックで挟み、長手方向に引張速度200%/分で引っ張り、破断に至ったときの測定用試料に作用される引張力を、損傷時の破断強度とした。なお、引張速度における%は、元のベルト長さを100%としたときの、伸び率を%で表したものである。また、実施例1、比較例1の測定用試料それぞれについて、傷を加えずに、同様の方法で破断強度を測定したときの破断強度を正常時の破断強度とした。そして、正常時の破断強度に対する損傷時の破断強度の残存率を%で表したものを強度残存率とした。
(2)平面性
実施例1及び比較例1の無端状のベルトについて、直径30mmの2つのフラットプーリに取付伸張率5%で掛け回した状態で、プーリ軸間中央部の、ベルト幅方向におけるベルト端部とベルト中央部の高さをハイトゲージで測定した。そして、ベルト端部とベルト中央部の高さの違いをベルトの反り量とした。また、掛け回した状態における反りの状態も確認した。
実施例1及び比較例1の無端状のベルトについて、直径30mmの2つのフラットプーリに取付伸張率5%で掛け回した状態で、プーリ軸間中央部の、ベルト幅方向におけるベルト端部とベルト中央部の高さをハイトゲージで測定した。そして、ベルト端部とベルト中央部の高さの違いをベルトの反り量とした。また、掛け回した状態における反りの状態も確認した。
表1に示すように、実施例1の搬送用ベルトはその厚さが薄いにもかかわらず、比較例1に比べ、正常時、損傷時の破断強度が高くなっていることが理解できる。また、実施例1では、破断強度残存率が比較例より高いので、一方の編布に欠点が生じたときでも、従来のベルトに比べ、破断されにくくなっていることが理解できる。また、平面性評価試験から明らかなように、編布とゴム層が積層されて構成されるベルトは反りが生じたが、本実施例のベルトは反りが生じなかった。すなわち、本実施例の搬送用平ベルトは、第2の編布を第1の編布に対して表裏反対にして積層したことにより、ベルト反りが生じなかった。
10 搬送用平ベルト
20 ベルト芯体部
21 第1の編布層(第1の編布)
22 第2の編布層(第2の編布)
20 ベルト芯体部
21 第1の編布層(第1の編布)
22 第2の編布層(第2の編布)
Claims (9)
- 無端状に編んだ少なくとも第1及び第2の編布が積層されていることを特徴とする搬送用平ベルト。
- 前記第2の編布は前記第1の編布に対して表裏が反対にされて積層されることを特徴とする請求項1に記載の搬送用平ベルト。
- 前記第1の編布を構成する糸の繊度、前記第1の編布の編み密度、及び前記第1の編布を形成する糸の材質のうちの少なくとも1つが、前記第2の編布と異なることにより、ベルト長手方向における、前記第1の編布の伸張弾性率が前記第2の編布の伸張弾性率と異なることを特徴とする請求項1に記載の搬送用平ベルト。
- 前記第1及び第2の編布の編み密度を同一にすると共に、前記第1の編布を形成する糸の材質を前記第2の編布を形成する糸の材質と異ならせることを特徴とする請求項3に記載の搬送用平ベルト。
- 前記第1の編布を形成する糸は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維及び綿糸のうちの少なくとも1つから形成され、前記第2の編布を形成する糸はアラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維、及びポリケトン繊維のうちの少なくとも1つから形成されることを特徴とする請求項4に記載の搬送用平ベルト。
- 搬送用平ベルトは前記第1及び第2の編布が円筒状の金型に被せられ、又は所定の軸間長さにある2軸プーリ上に掛け回した上で加硫成型されて得られ、
前記第1の編布が前記金型又は2軸プーリに被せられ又は掛け回されるときの伸張率が、前記第2の編布が前記金型又は2軸プーリに被せられ又は掛け回されるときの伸張率と異なることにより、ベルト長手方向における、前記第1の編布の伸張弾性率が前記第2の編布の伸張弾性率と異なることを特徴とする請求項1に記載の搬送用平ベルト。 - 前記編布は、ゴムによって含浸あるいはコーティング処理されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送用平ベルト。
- 前記ゴムには、EPDM、EPR、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムから成る群より選択された少なくとも1つが使用されることを特徴とする請求項7に記載の搬送用平ベルト。
- 前記編布は、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、綿糸、ビニロン繊維、及びポリケトン繊維から成る群より選択される少なくとも1つの材料から形成される糸により、無端状に編まれることを特徴とする請求項1に記載の搬送用平ベルト。
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