JP2008068790A - コンテナシャシの伸縮構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】メインフレームとスライドフレームを設けた伸縮可能なコンテナシャシにおいて、重量の軽減を図るとともにスライドフレーム移動時の摩擦抵抗を低減させる。
【解決手段】メインフレーム1の後端部には、スライドフレーム2の下方に後方ローラ8を設置し、また、メインフレーム1の中間部には、スライドフレーム2の上方と下方に前方ローラ9A、9Bを設置する。前方ローラ9A、9Bの中心軸は、枢軸の周りに回動するアーム部材の一端に取り付けられ、他端にはローラを付勢するばねが連結される。スライドフレーム2が当接する全てのローラは固定位置に設けられるので、特別なガイドレールを置く必要はなく、メインフレーム1の重量が軽減される。さらに、スライドフレーム2の移動中、前方ローラ9A、9Bは傾斜することなく安定した状態で作動するため、摩擦抵抗の増加を防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、輸送用容器であるコンテナを積載し、トラクタに牽引されるトレーラとして構成されたコンテナシャシ、特に長さの異なるコンテナを積載するためフレームが伸縮可能に構成されたコンテナシャシに関するものである。
輸送用容器として用いられるコンテナは、貨物の積込み及び積出し作業が容易であり、反復して長期の使用が可能である等の特性を有している。また、船舶、車両等の種々の輸送機関に積載することができるので、コンテナは、近年各種の物品の輸送用容器として盛んに利用されている。こうしたことから、コンテナについては国際規格等によって長さの寸法などが定められており、長さが20フィート(約6m)のコンテナ及び40フィート(約12m)のコンテナが多く用いられる。
コンテナは大型の容器であって、陸上を車両で運送する場合は、通常、トラクタで牽引される車台であるコンテナシャシ上に積載して運送される。コンテナシャシの中には、長さの異なるコンテナを積載可能に構成された、例えば20フィートのコンテナと40フィートのコンテナとに兼用できるようになっているコンテナシャシがある。このような兼用のコンテナシャシは、40フィートのコンテナに対応できるよう全長が長く、コンテナシャシの最後部の車輪よりも後方に延長された相当長いオーバーハング部を備えている。
そして、兼用のコンテナシャシに20フィートのコンテナを1個積載するときは、その中央寄りに積載する。これは、コンテナシャシの車軸に過大な軸重が作用するのを回避するためであり、コンテナの荷重をカプラ(コンテナシャシとトラクタの連結具)を介してトラクタの車軸にも配分し、コンテナシャシの軸重を軽減する。コンテナシャシにはコンテナを位置決めし固定するための緊締具が設けてあり、兼用のコンテナシャシの場合は、前後の両端部に40フィート用の緊締具が設置されるとともに、中間部にも20フィート用の緊締具が設置されている。一般的には、前端部の緊締具は、スレットピンと呼ばれるピンをコンテナ前面のコーナー部の孔に挿入するものであり、その他の緊締具は、コンテナ下面のコーナー部に開けられた長方形の孔に長方形断面の頭部を備えた金具を挿入した後これを回転させて固定する、ツイストロックと呼ばれる緊締具となっている。
ところで、コンテナ内の貨物の積み降ろし作業を行うときは、フォークリフト等の荷役作業車を直接コンテナ内部に入り込ませ、コンテナをコンテナシャシに積載したまま貨物の出し入れを行うことが望ましい。そのため、コンテナ貨物を取扱う施設には、コンテナシャシに積載したコンテナの床面とほぼ一致する高さのプラットフォームが設けられており、コンテナシャシをこのプラットフォームに後端が接するように位置付けし、コンテナの後端部の扉を開いてプラットフォームから荷役作業車を出入させる。しかし、20フィートのコンテナを中央寄りに積載しているときは、コンテナシャシは2本のメインビームの適所にクロスビームを渡した平面が梯子状の骨組みになっているので、コンテナの後端部からフォークリフト等を走行させ、コンテナシャシのオーバーハング部を通過してコンテナ内部に入り込ませるのは不可能である。
中央部に積載されたコンテナへの作業車の走行を可能とするため、コンテナシャシの後部のオーバーハング部にスライド可能なスライドフレームを設け、ここを伸縮自在とした兼用のコンテナシャシが知られている。つまり、図6に示すとおり、このコンテナシャシは、前端から最後部の車輪の直後にまで延びる2本のメインビーム11を具備したメインフレーム1と、車輪の後ろ側のオーバーハング部を構成するスライドフレーム2とに分割されている。メインフレーム1の前端とスライドフレーム2の後端にはコンテナを固定する緊締具3A、3Dが取り付けてあり、40フィートの長さのコンテナを積載するときはスライドフレーム2を伸長し、コンテナはコンテナシャシ全体に載置される。20フィートのコンテナを積載するときは、コンテナシャシの中間部に設置された緊締具3B、3Cを利用して、その中央部に積載する。なお、コンテナシャシは、図示しないトラクタに牽引されるものであって、前方の下部にはトラクタのカプラに連結されるピン4を備え、後方に3対の車輪5A、5B、5Cが配置されている。
20フィートのコンテナを積載したとき、プラットフォームへ貨物の積み降ろしを行う場合には、スライドフレーム2をメインフレーム1に収容し、コンテナシャシのオーバーハング部を短縮する。こうすると、コンテナの後端をプラットフォームに近接させることが可能で、コンテナへの作業車の出入ができるようになる。コンテナの後端とプラットフォームとの間には、必要に応じて長さの短い渡し板を設置してもよい。
ちなみに、このような伸縮自在のコンテナシャシに20フィートのコンテナを積載したときは、車両の走行時にオーバーハング部を短縮することにより、全長の長い兼用のコンテナトレーラの操縦性や狭い場所での運転性を向上させることも可能であり、こうした技術は、例えば特開昭58−194635号公報に開示されている。
特開昭58−194635号公報
伸縮自在のコンテナシャシではフレームが2分割されており、車両の前方のメインフレーム1にスライドフレーム2が取り付けられる。スライドフレーム2の伸縮に空気圧等の動力を使用すると付属設備等を要し重量も増加するので、スライドフレーム2は、手動によって操作できるよう構成することが望ましい。図7及び図8は、手動で操作する従来のスライドフレーム2の構造及び支持装置を示すものである。
メインフレーム1のメインビーム11と直交するクロスビーム12にはガイドレール13が溶接等によって固着され、斜視図で表す図8(a)から分かるとおり、このガイドレール13はコ字状の断面を有している。スライドフレーム2は、同じくコ字状断面の2本の移動レール21をクロス部材22で結合したもので、移動レール21はガイドレール13に挿入されスライド可能となっている。スライドフレーム2の後端には、コンテナシャシの横幅にほぼ等しい長さの後端クロス部材23が設けられ、ここにコンテナ緊締具であるツイストロック3Dや尾灯等が配置される。また、メインビーム11には、ピンによりスライドフレーム2を固定する位置決め装置14が設けてあり、そのピンが嵌め込まれる孔25が移動レール21に形成してある。なお、20フィートのコンテナの後端を固定するツイストロック3Cは、図7の2点鎖線に示すように蝶番式に取り付けられており、40フィートのコンテナを積載する際には反転されてコンテナシャシの上面に突出しない構造となっている。
スライドフレーム2をスライドさせるときの摩擦抵抗を減少させるため、前後に2個、スライドフレーム2の下方に配置されたばね付きローラ装置6が、メインビーム11に固着されたブラケット等に取り付けられている。図8の斜視図(a)及びローラ部分の一部断面図(b)に示すとおり、ばね61によって押し上げられる円筒体のローラ62は、ガイドレール13の下辺の孔15を通過して上方に突き出しており、移動レール21はこのローラ62上に載置される。そして、移動レール21には同様な構造を備えた移動ばね付きローラ装置7が設けてあり、そのローラ71は、移動レール21の上辺の孔24を通過して上方に突出し、ガイドレール13の上辺に当接する。スライドフレーム2をメインフレーム1に出没させて伸縮するときは、スライドフレーム2上にコンテナが載置されておらず、ローラ62にはスライドフレーム2の自重のみが作用する。したがって、移動レール21は、ばね61に押されてガイドフレーム13とは接触することなくローラ62に載って動くため、スライドフレーム2を手動で伸縮することができる。
しかし、こうしたスライドフレーム2の支持装置では、移動ばね付きローラ装置7が移動レール21に取り付けてあり、そのローラ71はガイドレール13の上辺に当接しながら転動する。そのため、ガイドレール13は、スライドフレーム2が伸縮し移動する距離と同等以上の長さ寸法を備える必要があり、ガイドレール13を設けたメインフレーム1の重量が増加しコンテナシャシ全体の重量も増加する。
また、移動ばね付きローラ装置7もばね付きローラ装置6も、ローラの中心軸を支持する枠体をばねに連結したものであって、ローラの左右方向の動きや水平面内での回転等が拘束されていない。スライドフレーム2を移動する際には、現実にはローラに不規則な力が作用するので、図8(c)のように、ローラがいわば首振りを起こしローラの中心軸の方向は不安定となるとともに、ばね自体も垂直方向に対し傾斜することがある。ローラの中心軸がスライドフレーム2の移動方向に対し直角な状態から外れたり、ローラとスライドフレーム2とが不均一な接触状態となると、摩擦によるスライドフレーム2の摺動抵抗が増大し、手動で操作する作業者に大きな負担がかかる。さらには、移動レール21内に置かれた移動ばね付きローラ装置7は、ばね力の調整や整備のためのアクセスが困難であるという問題点もある。
本発明は、メインフレームの後方にスライドフレームを設け、オーバーハング部を伸縮可能とした兼用のコンテナシャシにおいて生じるこのような問題を解決することを課題とするものである。
上記の課題に鑑み、本発明は、スライドフレーム移動時の摩擦抵抗を低減させるためのローラを全て固定側であるメインフレームに設置するとともに、前方側のローラを、枢軸の周りに回動するアーム部材の一端に取り付け、他端にはローラを付勢するばねを連結するようにして、スライドフレーム移動時のローラの安定した方向を維持し、かつ、ばね等の配置の自由度を向上させたものである。すなわち、本発明は、
「トラクタに牽引されるコンテナシャシであって、
前記コンテナシャシは、メインフレームとその後方のスライドフレームとに分割され、前記スライドフレームが前記メインフレームに対して移動することにより伸縮可能に構成されており、さらに、
前記メインフレームの後端部には、前記スライドフレームの下方に後方ローラが設置されるとともに、前記メインフレームの中間部には、前記スライドフレームの下方及び上方にそれぞれ前方ローラが設置され、
前記後方ローラ及び前記前方ローラは、前記スライドフレームに当接するようばねにより付勢され、かつ、前記前方ローラのそれぞれの中心軸は、前記メインフレームに対し固定された枢軸の周りに回動するアーム部材の一端に取り付けられており、前記アーム部材の他端には前方ローラを付勢する前記ばねが連結されている」
ことを特徴とするコンテナシャシとなっている。
請求項2に記載のように、前記スライドフレームは、断面コ字状の移動レールを有するものとするとともに、前記メインフレームには前記移動レールが挿入される断面コ字状の枠体を固定し、前記前方ローラのそれぞれを、前記枠体の上辺及び下辺に形成された切り欠き部を通して前記移動レールの上面及び下面に当接させることができる。
請求項3に記載のように、前記アーム部材を直角に屈曲した形状に形成して屈曲部を前記枢軸に回動可能に取り付け、前方ローラを付勢する前記ばねを、前記スライドフレームの移動方向に伸縮するよう、前記スライドフレームが伸張したときの前端部よりも前方の位置に配置することが好ましい。
請求項4に記載のように、本発明のコンテナシャシは、異なる長さのコンテナが積載可能である兼用のコンテナシャシ、つまり、前記スライドフレームにはその後端部にコンテナを固定する緊締具が設置されるとともに、前記メインフレームにはその前端部及び中間部に緊締具が設置されたコンテナシャシに好適なものである。
本発明のコンテナシャシは、メインフレームとその後方のスライドフレームとに分割され、スライドフレームがメインフレームに対して移動することにより伸縮可能に構成されている。スライドフレームを移動する際の摩擦抵抗を低減させるよう、スライドフレームの上下にはばねにより付勢されるローラが配置してあるが、本発明のローラは、全てメインフレームに設置されているので、スライドフレームが移動しても動くことはなく、定位置で常時スライドフレームに当接する。そのため、図7にあるような、スライドフレームが移動する距離と同等以上の長さ寸法を備えたガイドレール13を設け、これにローラを押圧する必要はない。したがって、ガイドレールを省きメインフレームの重量の軽減を図ることができる。
そして、メインフレームの前方側でスライドフレームの上方及び下方に設置される前方ローラの中心軸は、メインフレームに対し固定された枢軸の周りに回動するアーム部材の一端に取り付けられ、アーム部材の他端にはローラを付勢するばねが連結されている。つまり、それぞれの前方ローラの中心軸は、枢軸の周りの回動運動のみが可能であって左右方向の動きあるいは中心軸の傾斜が拘束されており、中心軸の方向は常にスライドフレームの移動方向と直角の向きに維持される。そのため、ローラの不安定な動きに伴う摺動抵抗の増加が回避されるとともに、長いガイドレールが存在しなくとも、移動中スライドフレームが正確に前後方向に案内されることとなる。スライドフレームは、メインフレームに接触することのないいわばフローティング状態でローラにより安定して支持され、作業者は、手動による伸縮操作を容易に行うことができる。
このように、回動するアーム部材の両端に前方ローラとそれを付勢するばねとを配置すると、ばねを前方ローラとは別体として設置することが可能となり、前方ローラに対するばねの位置を自由に設定することができる。また、アーム部材はメインフレームに対し固定された枢軸を支点とする「てこ」を構成しているので、枢軸から前方ローラまでの長さと枢軸からばねまでの長さとの比を変えることにより、前方ローラを付勢するばねの押圧力を調整することができる。したがって、スライドフレームをフローティング状態で支持する前方ローラとばねについて、設計の自由度が大幅に向上する。
請求項2の発明のように、スライドフレームに断面コ字状の移動レールを設けるとともに、メインフレームにはその移動レールが挿入される断面コ字状の枠体を固定したときには、スライドフレームの移動が枠体によりガイドされ、その円滑な移動が可能となる。必要に応じて、潤滑性材料からなるガイドプレートをスライドフレームと枠体との対向面に介在させることもできる。
請求項3の発明のように、アーム部材を直角に屈曲した形状に形成して屈曲部を枢軸に回動可能に取り付け、その両端に前方ローラとばねとを配置する構造としたときは、前方ローラとばねとを比較的近い位置に設けることができる。そのため、前方ローラ及び付帯装置がコンパクトな構成となり、一体として基板等に組み付けることが可能となる。そして、屈曲した形状のアーム部材を採用したときは、ローラを付勢するばねがスライドフレームの移動方向に伸縮することとなるが、こうしたばねを、スライドフレームが伸長したときの前端部よりも前方の位置に配置することが好ましい。この配置によれば、スライドフレームを最後方に移動すると、ばねはスライドフレームに隠れることはなくいわば露出した状態となって、ばね力の調整作業あるいは交換等のメインテナンス作業のためのアクセスが容易となる。
請求項4の発明は、本発明のコンテナシャシを、異なる長さのコンテナが積載可能である兼用のコンテナシャシに適用したものである。本発明のコンテナシャシは、スライドフレームを摺動させるときの摩擦抵抗が非常に少なく、プラットフォームにおける貨物の積み降ろし作業でコンテナシャシを伸縮させる際に、人力による操作であっても作業者に過大な労力をかけることはない。
以下、図面に基づいて、本発明について説明するが、本発明のコンテナシャシの基本的な構造である、コンテナシャシがメインフレームとその後方のスライドフレームとに分割され、スライドフレームがメインフレームに対して移動することにより伸縮可能に構成されている点については、図6等に示す従来のコンテナシャシと変わるものではない。ここでは、本発明の要部であるスライドフレームの構造及び支持装置について主に説明する。なお、本発明の実施例を示す図面において、従来のものと対応する部品等については同一の符号を用いている。
図1には、本発明の一実施例であるスライドフレームの構造及びメインフレームの後方におけるスライドフレームの支持装置を示す。図1(a)に断面図で示されるスライドフレーム2は、図6等の従来例のものと同様に、左右の2本の移動レール21をクロス部材22で連結した平面視では梯子型の骨組み構造となっており、最後方の後端クロス部材23は移動レール21を超えて横方向に延び、図示は省略するがその両端にツイストロックが設置される。移動レール21はコ字状の断面を有し(図2参照)、その側面には位置決め装置(図7の符号14参照)のピンが嵌め込まれる孔25が設けられ、また、補強板26が溶接されている。
スライドフレームをメインフレームに組み合わせた状態を表す図1(b)(c)に示されるとおり、メインフレーム1の後端部には、スライドフレーム2の下方に後方ローラ8が設置され、スライドフレーム2の移動レール21の下面は後方ローラ8に当接している。後方ローラ8は、その中心軸を支持する軸受枠体を2本のばねで押圧することにより上方に付勢されており、これらの装置はブラケットによりメインフレーム1の最後方のクロスビーム12に固定される。
また、後方ローラ8より前方の、メインフレーム1の中間部には、スライドフレームの下方及び上方にそれぞれ前方ローラ9A、9Bが設置される。後述するように、下方の前方ローラ9Aは、ばねにより付勢されながらスライドフレーム2の移動レール21の下面に当接し、上方の前方ローラ9Bは、やはりばねにより付勢されて移動レール21の上面に当接する。スライドフレーム2はこれらのローラに当接しながら移動し、40フィートのコンテナを積載するときは伸長された位置に、20フィートのコンテナを積載し貨物の積み降ろしを行うときは短縮された位置に設定される。
この実施例では、前方ローラ9A、9Bがばねとともに基板上に取り付けられており、その組立体が、スライドフレーム2が挿入される枠体に装着される。図2は組立体の取り付け部(図1のA部)の詳細を示すものであり、図3は単品の枠体を示すものである。また、組立体の詳細図を図4に、ローラの中心軸を固着したアーム部材を図5に示す。
図2の左図から分かるように、スライドフレーム2の左右に設けられる断面コ字状の移動レール21は、前方ローラ9A、9Bが配置される位置においては、断面コ字状の枠体16に挿入されており、その中を前後方向に移動する。図2及び図3に示すとおり、枠体16は、その前後に固着されたブラケット17A、17Bを、メインビーム11のブラケット11Aに結合してメインフレーム1に固定される。移動レール21と枠体16との対向面には、潤滑性の優れた樹脂からなるガイドプレート18が介在されており、スライドフレーム2の移動中における、移動レール21と枠体16との接触に伴う摩擦抵抗を低減させている。なお、長さの短いものではあるが、同様な枠体及びガイドプレートが、後部ローラ8の近傍(図1のB部)にも設置されている。上方及び下方に配置された前方ローラ9A、9Bは、枠体16の上辺及び下辺に形成された切り欠き部16A(図3)を通過して、移動レール21の上面と下面にそれぞれ当接する。
前方ローラ9A、9Bは、ベアリングを介して中心軸91に嵌め込まれており、中心軸91は、枢軸92の周りに回動するアーム部材93の一端に固着される。アーム部材93は、図5に示されるとおり、直角に屈曲した形状に形成されたアーム93A、93Bを有し、屈曲部には枢軸92が嵌め込まれる円筒形の軸受体93Cが設けてあり、アーム93A、93Bは軸受体93Cに溶接されている。この実施例では、枢軸が嵌まり込む軸受体がアーム部材93に設けてあるが、枢軸となる軸体をアーム部材93に固着しその軸受体を固定側(基板94等)に設けることにより、アーム部材93の回動中心となる枢軸をメインフレームに対し固定することもできる。
ローラの中心軸91はアーム93Aの先端に固着され、アーム93Bの先端には、ローラを付勢するばね10A、10Bがコンテナシャシの前後方向に伸縮するよう連結される。ばね10A、10Bの中心には、ばね力を調整する調整ボルト10Cが置かれている。
アーム部材93が回動するときの中心となる枢軸92は、基板94に立設した支持板95に固着されており、アーム部材93及びばね10A、10Bはこの基板94に取り付けられている。つまり、前方ローラ及びばねは組立体として基板94上に組み付けられ、基板94がボルトによりブラケット17Aに締結される。前方ローラ及びばねの組立体は、図1(b)に示されるように、スライドフレーム2が伸長したときの前端部よりも前方の位置に配置される。
本発明のスライドフレームの支持装置は上述のとおり構成されており、後方ローラ8及び2個の前方ローラ9A、9Bは全てメインフレーム1に設置されている。したがって、スライドフレーム2が移動したときにローラが当接する長い寸法のガイドレールを設ける必要はなく、図1のA部及びB部に短い枠体を固定するだけでよい。その結果、メインフレーム1の重量は大幅に軽減される。
さらに、スライドフレーム2の上方及び下方に設置される前方ローラ9A、9Bは、ローラの中心軸91が枢軸92の周りに回動するアーム部材93の一端に固着される。枢軸92はブラケットを介してメインフレーム1に対し固定され、アーム部材93の軸受体93Cがこれに嵌め込まれている。これにより、ローラの中心軸91は、回動運動のみが可能であって軸の傾斜等は拘束されており、中心軸91の方向は常にスライドフレーム2の移動方向と直角の向きに維持される。そのため、スライドフレーム2の移動の際には、摺動抵抗が増加することはなく、また、長いガイドレールがなくとも上方と下方の前方ローラ9A、9Bにより前後方向に正確にガイドされるので、作業者は、手動による伸縮操作を容易に行うことができる。アーム部材93は枢軸92を支点とする「てこ」を構成しており、アーム93Aと93Bとの長さの比を変更すると、前方ローラ9A、9Bを付勢するばね10A、10Bの押圧力を適切な値に設定できる。
上記の実施例では、アーム部材93を直角に屈曲した形状に形成して屈曲部を枢軸92に回動可能に取り付け、その両端に前方ローラ9A、9Bとばね10A、10Bとを配置する。この構造としたときは、前方ローラとばねとを比較的近い位置となるため、一体として基板94に組み付けコンパクトな構成とすることが可能となる。そして、この組立体を、スライドフレーム2が伸長したときの前端部よりも前方の位置に配置すると、スライドフレーム2を後方に移動して組立体を露出させることができ、調整ボルト10Cによるばね力の調整あるいはメインテナンス作業のためのアクセスが容易となる。この実施例では直角に屈曲したアーム部材を用いているが、直線状のアーム部材を使用してもよい。その場合には、直線状のアーム部材の他端に配置されるばねは、上下方向に伸縮するよう置かれることとなる。
以上詳述したように、本発明は、メインフレームの後方にスライドフレームを設け、オーバーハング部を伸縮可能とした兼用のコンテナシャシにおいて、スライドフレームの摺動抵抗を低減させるためのローラを全て固定側であるメインフレームに設置し、かつ、前方側のローラを枢軸の周りに回動するアーム部材の一端に取り付け、ローラの安定した方向を維持するように構成したものである。上記の実施例では、20フィートコンテナと40フィートコンテナとの兼用コンテナシャシについて、貨物の積み降ろし時の操作を中心に説明したが、本発明は、その他の寸法のコンテナを積載するもの、あるいは走行中にコンテナシャシを短縮して操縦性を向上するものについても適用可能であるのは言うまでもない。また、ローラとスライドフレームとの接触面に防錆被覆を施すなど、実施例に対し種々の変形が可能であるのは明らかである。
本発明のスライドフレームと支持装置を示す図である。 本発明の前方ローラの取り付け部分を示す詳細図である。 本発明の枠体の構造を示す図である。 本発明の前方ローラ及びばね組立体の詳細図である。 本発明のアーム部材の構造を示す図である。 スライドフレームを備えた伸縮可能なコンテナシャシの全体図である。 従来のスライドフレームと支持装置を示す図である。 従来の支持装置等の詳細図である。
符号の説明
1 メインフレーム
11 メインビーム
15 ガイドレール
16 枠体
2 スライドフレーム
21 移動レール
3A〜3D 緊締具
8 後方ローラ
9A、9B 前方ローラ
91 中心軸
92 枢軸
93 アーム部材
94 基板
10A、10B ばね
10C 調整ボルト

Claims (4)

  1. トラクタに牽引されるコンテナシャシであって、
    前記コンテナシャシは、メインフレームとその後方のスライドフレームとに分割され、前記スライドフレームが前記メインフレームに対して移動することにより伸縮可能に構成されており、さらに、
    前記メインフレームの後端部には、前記スライドフレームの下方に後方ローラが設置されるとともに、前記メインフレームの中間部には、前記スライドフレームの下方及び上方にそれぞれ前方ローラが設置され、
    前記後方ローラ及び前記前方ローラは、前記スライドフレームに当接するようばねにより付勢され、かつ、前記前方ローラのそれぞれの中心軸は、前記メインフレームに対し固定された枢軸の周りに回動するアーム部材の一端に取り付けられており、前記アーム部材の他端には前方ローラを付勢する前記ばねが連結されていることを特徴とするコンテナシャシ。
  2. 前記スライドフレームは、断面コ字状の移動レールを有するとともに、前記メインフレームには前記移動レールが挿入される断面コ字状の枠体が固定され、前記前方ローラのそれぞれは、前記枠体の上辺及び下辺に形成された切り欠き部を通して前記移動レールの上面及び下面に当接する請求項1に記載のコンテナシャシ。
  3. 前記アーム部材は、直角に屈曲した形状に形成されて屈曲部が前記枢軸に回動可能に取り付けられており、前方ローラを付勢する前記ばねが、前記スライドフレームの移動方向に伸縮するよう、前記スライドフレームが伸張したときの前端部よりも前方の位置に配置されている請求項1又は請求項2に記載のコンテナシャシ。
  4. 前記スライドフレームには、その後端部にコンテナを固定する緊締具が設置されるとともに、前記メインフレームには、その前端部及び中間部に緊締具が設置されており、異なる長さのコンテナが積載可能である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンテナシャシ。
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