JP2008068277A - 連続鋳造における凝固遅れ抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルから鋳型内へ注湯される溶鋼の吐出流の鋳型厚み方向の偏流に起因する凝固遅れを抑制する技術を提供する。
【解決手段】鋳型内の湯面高さを、鋳型の幅方向一側の、鋳型の広面及び狭面から50mm以内の、一対の隅部としての第一隅部対6a・6bにおいて測定する。この第一隅部対6a・6bのうち一方の隅部6a(or 6b)における湯面の高さから他方の隅部6b(or 6a)における湯面の高さを引いた差Δh1[mm]が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するとき鋳造速度Vc[m/min]を低下させる。
|Δh1|≧6
ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
【選択図】図7

Description

本発明は、鋼の連続鋳造に係り、より詳しくは鋳型内における凝固遅れを抑制する技術に関する。
この種の技術として特許文献1は、モールド内湯面レベル分布検出装置を開示する。この装置は、モールド内広域に亘る適切な各箇所に湯面レベル変動を検出するレベル計を複数台で設け、これによりモールド内各箇所の局所的な湯面レベルの変動を広域に亘って把握しようとするものである。
特開平1−284471号公報(第3頁第1カラム第7行目、第4頁第1カラム第3〜5行目、同第4カラム第20行〜第5頁第1カラム第1行目、同第8行目、第1〜4図)
しかし、上記特許文献1は、第1〜4図中符号L1及びL2などからも判る通り、鋳型の厚み方向に生じる偏流については、一切、記載も示唆もされていない。また、上記特許文献1の第6頁第1カラム第10〜13行目にはレベル計の変動幅に着目しているとの記載があるが、この変動幅が、短時間の測定結果に基づくものなのか長時間の測定結果に基づくものなのか、明細書全文及び図面からは特定できない。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルから鋳型内へ注湯される溶鋼の吐出流の鋳型厚み方向の偏流に起因する凝固遅れを抑制する技術を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
(本明細書において、単に「偏流」と記載する場合は、原則として、「鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルから鋳型内へ注湯される溶鋼の吐出流の鋳型厚み方向の偏流」を意味するものとする。)
以下、(A)凝固シェルの凝固遅れの定義・定量化方法及びその特性を紹介し、(B)凝固遅れと偏流との関係及び凝固遅れの要因について説明し、(C)この偏流を把握する方法及びそれを踏まえた対策について詳説する。
(A)凝固シェルの凝固遅れの定義・定量化方法及びその特性
(A1)凝固シェルの凝固遅れの定義
本明細書において「凝固遅れ」とは、「注湯された溶鋼が冷却されることで形成する凝固シェルの厚み方向の成長の滞り」を指し、更に詳しくは、「凝固シェルの隅部におけるそれ」を指すものとする。
(A2)凝固シェルの凝固遅れの定量化方法
本明細書において「凝固遅れ」は、以下のようにして定量化した。即ち、図1に示す如く、第1に、鋳造された鋳片を鋳造方向に垂直に切断する。そして第2に、この垂直断面を、例えばSプリントなどの鋳造組織写真を介して観察し、該垂直断面に現れている負偏析線(白線湯模様・ホワイトバンド・ホワイトライン)と鋳片広面側の表面との距離を測定する。具体的には、鋳片狭面から鋳片広面に沿って5cm離れた箇所と、該負偏析線が該鋳片広面に最も接近して現れている箇所と、の2箇所において前記の距離を測定する。本図において、前者箇所において測定された前記距離が符号Aに相当し、後者箇所において測定された前記距離が符号Bに相当する。そして第3に、距離Aから距離Bを引いて求められる距離を距離Aで除することにより、「凝固遅れ度」として凝固遅れを定量化した。
(A3)凝固シェルの凝固遅れの特性
<凝固遅れの発生メカニズム>
凝固遅れの発生メカニズムは図2に示す如くである。即ち、(1)鋳型内壁面のうち狭面に付されたテーパ(角度付け)が適切でないと、(2)凝固シェルが凝固変態収縮した際(本図上)に凝固シェルの狭面と鋳型との間に空隙が形成され、その結果として溶鋼静圧による鋳型幅方向へのバルジングが許容される(本図下)。(3)一方、凝固シェルの隅部は、鋳型内壁面の広面及び狭面の両方に接触するので冷却されて硬くなり易く(本図上)、このため、(4)該隅部は、上記バルジングの変形の際に、その直角な形状を極力維持したまま回転する(本図下)。(5)そして、この隅部の回転により、広面側においては、該隅部と鋳型内壁面との間に顕著な空隙が形成される。(6)この空隙は凝固シェルに対する鋳型内壁面の抜熱特性を著しく低下させ、(7)その結果として、凝固遅れが発生するのである。加えて、(8)浸漬ノズルから吐出される溶鋼吐出流が鋳型厚み方向に偏流すると、該隅部に高温の溶鋼が供給され、過剰に熱が供給されることとなるから、凝固遅れは更に悪化する。
<凝固遅れ→縦割→ブレークアウト>
一般に、凝固遅れ部と健全部とでは凝固に伴う収縮量が異なるため、凝固遅れ部には鋳片幅方向の引張応力が集中し、所謂縦割の原因となる。また、凝固シェル隅部の上記回転の際には該隅部に変形による力が作用するので、これも縦割を助長する(図2参照)。更に、凝固界面から凝固シェルの外表面に至る程度の大きな縦割が生じると、凝固シェル内の溶鋼が凝固シェルの外部へ流出する所謂ブレークアウトが特に鋳型直下において発生してしまう。
<凝固遅れとブレークアウトとの関係>
ここで、凝固遅れの凝固遅れ度とブレークアウトとの因果関係について調査した試験を紹介する。試験結果を示す図3を参照されたい。本試験は、(1)下記試験条件で連続鋳造を実施し、(2)前述したブレークアウトの発生が確認できたらその都度、(3)そのブレークアウトの発生箇所に対応する鋳片の部位の約1mボトム側において凝固遅れ度を測定し、(4)測定した凝固遅れ度を横軸にとるグラフ上に集計したものである。なお、本試験においては、ブレークアウトの発生しなかったチャージの定常鋳造速度からも鋳片を採取し比較のために凝固遅れ度を測定し、同一グラフ上に集計した。本試験における凝固遅れ度の測定回数(即ち、サンプル数)は、ブレークアウト発生箇所近傍は約16回であり、ブレークアウト非発生箇所近傍は約31回である。
・鋼種成分(C:0.07[%]〜0.15[%]、Si:0.15[%]〜0.35[%]、Mn:1.0[%]〜1.8[%]、厚板向け中炭素鋼)
・鋳型幅[mm]:1230〜1800
・鋳型厚[mm]:240
・鋳造速度Vc[m/min]:1.4〜1.9
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]:0〜1200
・Arガス流入量QAr[Nl/min]:2〜20(浸漬ノズルの上方に設けられ、溶鋼流量を調節するための、スライディングノズルを構成する上ノズルの内壁面から溶鋼に対して供給されるArガスの流量)
・溶鋼過熱度ΔT[℃]:15〜45(定義や測定方法は本明細書末尾の資料1参照)
本図によれば、(a)凝固遅れ度が増大するほどブレークアウトが発生し易くなること、且つ、(b)ブレークアウトの発生を防止する観点から凝固遅れ度は40%以下に抑えることが肝要であること、が判る。
(B)凝固遅れと偏流との関係及び凝固遅れの要因
(B1)凝固遅れと偏流との関係
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上述した凝固遅れの現出は下記三の特徴を有することを見出した。鋳造方向と垂直な鋳型内断面中の偏流を太線矢印で図示する図4を参照されたい。即ち、(1)凝固シェルの鋳型幅方向一側の一対の隅部のうち何れか一方に顕著な凝固遅れ(図中、星印で示す。)が発生した場合、(1a)第一に、他方(図中、(a)の×印で示す。)にも凝固遅れが発生するのは極めて稀であること(図中、(a)参照)、(1b)第二に、凝固シェルの鋳型幅方向他側の一対の隅部のうち何れか一方に同様の顕著な凝固遅れが常に発生していたこと(図中、(a)〜(c)参照)、(1c)第三に、鋳型内電磁攪拌を適用している場合(図中、(c)の細線矢印で示す。)は、凝固遅れが発生した該隅部と対角の隅部において必ず凝固遅れが発生していたこと(図中、(c)参照)、の(1a)及び(1b)、(1c)である。そして、偏流を太線矢印で図示する図4を踏まえるかたちで、以下の通り、これら(1a)及び(1b)、(1c)を合理的に説明できた。
(1a)即ち、本図(a)に示す如く偏流が発生すると、凝固シェルの鋳型幅方向一側の一対の隅部のうち何れか一方に過剰に熱が供給されるからである。
(1b)また、この偏流は、本図(a)〜(c)に示す如く鋳型幅方向一側又は他側のうち何れか一のみでは発生し難いからである。
(1c)更に、鋳型内電磁攪拌を適用している場合は、本図(c)に示す如く浸漬ノズルを中心とする略環状の溶鋼流が形成されているからである。
(B2)凝固遅れの要因
凝固遅れの要因としては、上記(A3)で説明した「鋳型内壁面のうち狭面に(不適切に)付されたテーパ」や上記(B1)で説明した偏流以外にも様々なものが挙げられる。即ち、例えば、(i)モールドパウダの成分や(ii)溶鋼過熱度、(iii)鋳型内電磁攪拌が適用されている場合は、その鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss](定義や測定方法は本明細書末尾の資料2参照)、(iv)鋳型内壁面を構成する銅板の材質、(v)鋳型を冷却するために該鋳型を貫流する冷却水の流速、(vi)鋳造速度、などである。
ここで、(vi)の鋳造速度と凝固遅れ度との関係を調査する試験の結果を示す図5を参照されたい。なお、本試験の試験条件は下記の如くであり、図5中において黒塗り丸印は凝固遅れ度の平均値を示し、併せてその最大値及び最小値を横向きの短い実線で示している。本試験における凝固遅れ度の測定回数(即ち、サンプル数)は、各鋳造速度Vc[m/min]において夫々約8〜34回である。
・鋼種成分(C:0.09[%]〜0.16[%]、Si:0.15[%]〜0.35[%]、Mn:1.0[%]〜1.8[%]、厚板向け中炭素鋼)
・鋳型幅[mm]:1230
・鋳型厚[mm]:240
・鋳造速度Vc[m/min]:1.6〜1.8
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]:0〜1200
・Arガス流入量QAr[Nl/min]:2〜20
・溶鋼過熱度ΔT[℃]:15〜45
本図によれば、(vi)の鋳造速度が凝固遅れ度と強い相関関係を有することが判る。これは、鋳造速度が大きいと溶鋼の浸漬ノズルからの吐出流の流速が大きくなり、この吐出流の流速が大きいと偏流が発生した際に凝固シェルの隅部へ高温の溶鋼が供給され易くなり、高温の溶鋼が供給されると該隅部における凝固遅れが更に促進されるからだと考えられる。
上述した凝固遅れの要因のうち(i)〜(v)による影響も、上記(vi)同様、種々の数値解析や過去の操業実績、水モデル実験などに基づいて定量的に見積もることができる。
しかし、上記の偏流は予測し難い。なぜなら、この偏流の態様は、例えば水道の蛇口から出る水の輪郭のように時々刻々と変化し、しかも、その程度は種々の外乱により大きく変動するものだからである。
そこで、本発明の主な目的は、前述したように、鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルから鋳型内へ注湯される溶鋼の吐出流の鋳型厚み方向の偏流に起因する凝固遅れを抑制する技術を提供することにある。要するに、この吐出流の鋳型厚み方向の偏流を抑制して、凝固遅れを抑制しようとするものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第一の観点によれば、連続鋳造における凝固遅れの抑制は、以下のような方法で行われる。
即ち、鋳型に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型の幅方向一側の、鋳型の広面及び狭面から夫々50mm以内の、一対の隅部としての第一隅部対において測定する。
前記第一隅部対のうち一方の隅部における湯面の高さから他方の隅部における湯面の高さを引いた差Δh1[mm]が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するとき鋳造速度Vc[m/min]を低下させる。
|Δh1|≧6
ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
これによれば、ブレークアウトを回避するに十分に、凝固遅れを抑制できる。
上記の、連続鋳造における凝固遅れの抑制は、以下のような方法で行われるのが好ましい。
即ち、前記第一隅部対に加えて、鋳型に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型の幅方向他側の、鋳型の広面及び狭面から夫々50mm以内の、一対の隅部としての第二隅部対においても測定する。
前記差Δh1[mm]又は前記第二隅部対のうち一方の隅部における湯面の高さから他方の隅部における湯面の高さを引いた差Δh2[mm]、のうち少なくとも何れか一方が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するとき鋳造速度Vc[m/min]を低下させる。
|Δh1|≧6、|Δh2|≧6
ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
これによれば、鋳型幅方向の一側及び他側において異なる程度の偏流が発生しても、ブレークアウトを確実に回避するに十分に、凝固遅れを抑制できる。
ここで、上述した如く本願発明者らが、鋳型に注湯された溶鋼の湯面の高さを、隅部において測定することとした理由について詳説する。即ち、浸漬ノズルの先端に若干斜め下向きに穿孔された吐出孔から鋳型厚み方向の偏流を伴いながら吐出され凝固シェルの隅部へ衝突した溶鋼は、その流れの一部が凝固シェルに沿ったかたちの上昇流に変換され、この上昇流は鋳型内に収容されている溶鋼の湯面を、隅部において押し上げる/盛り上げる。従って、隅部における溶鋼の湯面の盛り上がりは偏流の存在を前提とするものであり、また、前述した如く偏流の程度と凝固シェルの凝固遅れとは相互に関連するものであるから、溶鋼の湯面の高さを隅部において測定すれば凝固シェルの凝固遅れの発生を把握できるだろうと考えたからである。
次に、上述した如く本願発明者らが、上記湯面の高さを、鋳型の幅方向一側の一対の隅部において測定し、その測定結果を相互に対比させ、その差に着目することとした理由について詳説する。即ち、凝固シェルの凝固遅れの主因としての偏流は、鋳型の幅方向一側(又は他側)の一対の隅部の何れか一方にしか、上記湯面の盛り上がりとして現出しない。従って、凝固遅れを包括的に(取りこぼしなく)把握するには、上記湯面の高さを、鋳型の幅方向一側の一対の隅部において夫々測定し、これらの差に着目することが合理的だからである。
次に、上述した如く本願発明者らが、前記差Δh1[mm]が一定条件を満足するとき鋳造速度Vc[m/min]を低下させることとした理由について詳説する。即ち、鋳造速度Vc[m/min]は凝固遅れ度に対して強い相関関係を有しており(図5参照)、それ故、鋳造速度Vc[m/min]の低減は直接的に凝固遅れ度の低減に寄与するからである。しかも、鋳造速度Vc[m/min]は、他の鋳造条件(例えば溶鋼過熱度など)と比較して極めて制御し易いからである。
以下、本発明の第一実施形態を説明する。図6は本発明の一実施形態に供される連続鋳造機の全体概略図である。
本図に示す如く本実施形態において連続鋳造機100は、注湯される溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための鋳型1と、該鋳型1へ溶鋼を所定流量で滑らかに注湯するための適宜の浸漬ノズルを備える図略のタンディッシュと、鋳型1の直下から所定の鋳造経路に沿って並設される複数対のロール対2・2・・・と、を備えている。本実施形態において前記の鋳造経路は、(1)鋳型1の直下から鉛直方向に延びる垂直経路部と、(2)該垂直経路部の下流側に設けられ、所定の円弧半径を有し円弧状に延びる円弧経路部と、(3)該円弧経路部の下流側に設けられ、水平方向に延びる水平経路部と、(4)前記の円弧経路部及び水平経路部の間に設けられ、前記円弧半径を漸増させることにより前記の円弧経路部及び水平経路部を滑らかに接続する矯正経路部と、から構成されている。要するに、本実施形態に係る連続鋳造機100は、所謂垂直逐次曲げ型連続鋳造機(円弧半径=8.8〜10.7[m])に構成されている。
また、前記のロール対2・2・・・の夫々は、鋳造対象としてのスラブ鋼を、両広面でもって挟持する一対のロール2a・2aから構成されている。この一対のロール2a・2aのロールギャップは適宜の手段により調節可能に構成されている。
また、前記の垂直経路部(及び円弧経路部の一部)に沿っては、鋳型1内で形成され該鋳型1から引き抜かれる凝固シェルに対して所定の流量で冷却水及び空気を噴霧する冷却スプレー4・4・・・が適宜に設けられている。一般に、上記鋳型1が1次冷却帯と称されるのに対し、この意味で、これら冷却スプレー4・4・・・が設けられている経路部は2次冷却帯と称されている。
また、鋳型1から引き抜かれ鋳造経路に沿って搬送される凝固シェルは、自然放熱や上記冷却スプレー4・4・・・などにより更に冷却されて収縮する。従って、上記のロール対2・2・・・のロールギャップの夫々は、一般に、鋳造経路の下流側へ進むに連れて緩やかに小さく(即ち、狭く)なるように調節されている。
前記の鋳型1は本実施形態において銅製であって、図7に示す如くその内壁面は平面視で略矩形状に形成されている。また、本図において符号3で示す浸漬ノズル3は、鋳型1の略中央に配され、有底円筒形状であって、その底部から所定の距離だけ鉛直方向上方に離れた周壁には、該浸漬ノズル3内の溶鋼を鋳型1へ吐出するための一対の吐出孔3a・3aが穿孔されている。これら吐出孔3a・3aは、本図に示す如く平面視でみたときに浸漬ノズル3の中心から外周側へ向かって広がる略截頭扇状に形成されており(勿論、広面に対して平行に形成されてもよい。)、その穿孔方向は何れも鋳型1の内壁面のうち狭面に対して垂直(即ち、同じく広面に対して平行)に、且つ若干斜め下向きになっている。
図略の前記タンディッシュ(又はタンディッシュカーや鋳型カバー、鋳造床など)には、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さを測定する過流式センサー(溶鋼湯面高さ測定手段、図中太線丸印で略示。)5a・5bが設けられている。これらの過流式センサー5a・5bは、後述する連続鋳造機制御装置へ電気的に接続されており(図8を併せて参照)、例えば1[sec]ごとに測定結果としての溶鋼の湯面の高さを該連続鋳造機制御装置へ送信するように構成されている。
これらの過流式センサー5a・5bは、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型1の幅方向一側の、鋳型1の広面及び狭面から夫々50mm以内の、一対の隅部としての第一隅部対6a・6b(図中、破線に囲まれた領域)において測定するように、前記タンディッシュへの取付け位置が調整されている。換言すれば、前記の過流式センサー5a・5bの高さ測定対象面としての第一隅部対6a・6bは、鋳型1の内壁面のうち狭面から50mm以内であり(つまり符号dで示す距離は50mm以内とする。)、同様に広面から50mm以内となっている(つまり符号wで示す距離も50mm以内とする)。端的に言えば、第一隅部対6a・6bは、極力、浸漬ノズル3から離れた箇所に、壁際に、隅っこに、設定されている。なお、前記過流式センサー5a・5bにより第一隅部対6a・6b内において溶鋼の湯面の高さが測定される、ということは、例えば該過流式センサー5a・5bの高さ測定対象面としての略円形の面積が仕様としてφ10mmとなっている場合、略円形の高さ測定対象面の中心が第一隅部対6a・6bに含まれた状態で溶鋼の湯面の高さが測定される、ことを意味する。
次に、前述した連続鋳造機制御装置について、図面を参照しつつ説明する。図8は、連続鋳造機制御装置のブロック図である。この連続鋳造機制御装置は、前記の連続鋳造機100に適宜に備えられている。
本図に示す如く連続鋳造機制御装置100Aは、前記一対の過流式センサー5a・5bから受信する、第一隅部対6a・6b夫々における溶鋼の湯面の高さの差としての、差Δh1[mm]を算出する高低差算出部10と、前記の高低差算出部10により算出された差Δh1[mm]が所定の条件を満足したか否かを判定する条件判定部20と、鋳造速度Vc[m/min]を制御する鋳造速度制御部30と、連続鋳造機100のオペレータに対して光や音などにより注意を促す警報部40と、から構成されている。これらの高低差算出部10や条件判定部20、鋳造速度制御部30は、各々適宜のCPUやRAM、ROMなどを備えて成る。
高低差算出部10は、前記のタンディッシュに取着されている前記一対の過流式センサー5a・5bと適宜の電気線を介して接続されており、これら一対の過流式センサー5a・5bから例えば1[sec]ごとに前記第一隅部対6a・6bにおける溶鋼の湯面の高さの測定結果を受信するように構成されている。そして、高低差算出部10は、前記第一隅部対6a・6bのうち一方の隅部6a(or 6b)における湯面の高さの測定結果から、他方の隅部6b(or 6a)における湯面の高さの測定結果を引いて、その差としての差Δh1[mm]を算出し、更に算出した差Δh1[mm]を前記の条件判定部20へ送信するように構成されている。
条件判定部20は、上記の高低差算出部10により算出された差Δh1[mm]が所定の条件を満足したか否かを判定する。具体的には、高低差算出部10から受信し続ける差Δh1[mm]が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するか否かを判定する。
|Δh1|≧6
ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
上記の判定を図9を用いて具体的に説明する。図9は、横軸を時刻とし縦軸を上記の差Δh1[mm]の絶対値|Δh1|[mm]とするグラフである。即ち、前記の条件判定部20は、高低差算出部10から受信し続ける差Δh1[mm]の絶対値を求め、求めた絶対値|Δh1|[mm]を常に監視し、例えば本図において横向き矢印で示す如く、その絶対値|Δh1|[mm]が6[mm]以上である状態が少なくとも10[sec]以上継続したか否かを判定する(以下、この絶対値|Δh1|[mm]が6[mm]以上である状態が継続する時間幅を「時間幅Δt(6)[sec]」とも称する。)。
そして、この条件判定部20は、上記の継続があった(時間幅Δt(6)[sec]が10[sec]以上であった)と判定したら、前記の鋳造速度制御部30又は警報部40のうち少なくとも何れか一方に、その判定があった旨を報告(送信)するように構成されている。
上記の判定があった旨が鋳造速度制御部30に報告されると、鋳造速度制御部30は、鋳造速度Vc[m/min]を例えば1〜2割低下させるように構成されている。
一方、上記の判定があった旨が警報部40に報告されると、警報部40は、連続鋳造機100のオペレータ(特に鋳造速度Vc[m/min]の管理を担当するオペレータ)に対して光や音などを介して注意を促すように構成されている。
次に、上記の連続鋳造機100の作動について説明する。
1.スラブ鋼の連続鋳造を開始する前に予め図略のダミーバーを前記の連続鋳造機100内に適宜に挿入しておく。
2.前述した図略のタンディッシュから鋳型1へ所定の流量で溶鋼を注湯する。
3.鋳型1内に所定量の溶鋼が注湯されたら、前記のダミーバーを鋳造経路の下流側へ向かって所定の速度で引き抜く。
4.所定のメニスカス距離において上記ダミーバーを適宜の手段により回収し、もって、スラブ鋼は連続的に鋳造され始める。
5.4.と同時に又は前後して、連続鋳造機制御装置100Aによる前記第一隅部対6a・6bの溶鋼の湯面の高さの測定(監視)が開始される(図9参照)。そして、前記の条件判定部20が前記の継続があったとの判定をすると、例えば鋳造速度制御部30は鋳造速度Vc[m/min]を低下させ、或いは、例えば警報部40は連続鋳造機100のオペレータに警告を発する。警報部40を介して前記の継続があったことを知り得たオペレータは、適宜の手段を介して鋳造速度Vc[m/min]を低下させる操作を行う。
以上説明したように上記第一実施形態において、連続鋳造における凝固遅れの抑制は、以下のような方法で行われる。
即ち、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型の幅方向一側の、鋳型の広面及び狭面から夫々50mm以内の、一対の隅部としての第一隅部対6a・6bにおいて測定する。
前記第一隅部対6a・6bのうち一方の隅部6a(or 6b)における湯面の高さから他方の隅部6b(or 6a)における湯面の高さを引いた差Δh1[mm]が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するとき鋳造速度Vc[m/min]を低下させる。
|Δh1|≧6
ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
これによれば、ブレークアウトを回避するに十分に、凝固遅れを抑制できる。
以下、本実施形態に係る連続鋳造における凝固遅れ抑制方法の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
<確認試験1:判定数式(|Δh1|≧6)について>
図10を参照されたい。先ず、鋳造速度を低下させることとする条件として、少なくとも10[sec]以上継続する絶対値|Δh1|[mm]の下限値を6することによる技術的効果を確認した試験について説明する。本試験では、上記条件判定部20により求められる前記の差Δh1[mm]の絶対値|Δh1|[mm]を監視した(図9を併せて参照)。本図において、横軸は絶対値|Δh1|[mm]を示し、縦軸は少なくともその絶対値|Δh1|[mm]が少なくとも10[sec]以上継続したとき、該継続に対応する鋳片の部位における凝固遅れ度が40[%]以上となった割合を示す。なお、例えば絶対値|Δh1|[mm]が少なくとも9以上である状態が少なくとも10[sec]以上継続したときは、絶対値|Δh1|[mm]が少なくとも1以上である状態も少なくとも10[sec]以上継続したことを当然に含むが、この場合、最も大きな絶対値|Δh1|[mm](即ち、9)のみを集計の対象とした。
(その他の試験条件)
・鋼種成分(C:0.07[%]〜0.15[%]、Si:0.15[%]〜0.35[%]、Mn:1.0[%]〜1.8[%]、厚板向け中炭素鋼)
・鋳型幅[mm]:1230〜1800
・鋳型厚[mm]:240
・鋳造速度Vc[m/min]:1.4〜1.9
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]:0〜1200
・Arガス流入量QAr[Nl/min]:2〜20
・溶鋼過熱度ΔT[℃]:15〜45
・距離L(w)[mm]:30(図7A1部拡大図など参照)
・距離L(d)[mm]:30(図7A1部拡大図など参照)
本図によれば、前記の絶対値|Δh1|[mm]が少なくとも6以上である状態が少なくとも10[sec]以上継続すると、凝固遅れ度が40[%]以上である凝固遅れが発生する割合が著しく増加することが判る。一方、絶対値|Δh1|[mm]が例えば5程度の状態がどれだけ継続しようとも、問題とする凝固遅れ度の凝固遅れが発生することは略ないことが判る。
<確認試験2:鋳造速度Vc[m/min]を低下させることについて>
鋳造速度Vc[m/min]を低下させると、凝固遅れ度が低くなることについては図5で説明した通りである。ここでは、鋳造速度Vc[m/min]を低下させると前記の絶対値|Δh1|[mm]を小さくできるか確認した試験について説明する。即ち、絶対値|Δh1|[mm]が所定の条件を満足した際に鋳造速度Vc[m/min]を低下させようとするのであるから、鋳造速度Vc[m/min]と絶対値|Δh1|[mm]との相互の関係を確認しようとするものである。
(その他の試験条件)
・鋼種成分(C:0.08[%]〜0.15[%]、Si:0.15[%]〜0.35[%]、Mn:1.0[%]〜1.8[%]、厚板向け中炭素鋼)
・鋳型幅[mm]:1230
・鋳型厚[mm]:240
・鋳造速度Vc[m/min]:1.4〜2.0
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]:0〜1200
・Arガス流入量QAr[Nl/min]:2〜20
・溶鋼過熱度ΔT[℃]:15〜45
・距離L(w)[mm]:30
・距離L(d)[mm]:30
本試験でも、上記条件判定部20により算出される前記の差Δh1[mm]の絶対値|Δh1|[mm]を監視した(図9を併せて参照)。図11は、横軸が鋳造速度Vc[m/min]を示し、縦軸は絶対値|Δh1|[mm]を示す。なお、本図において黒塗り丸印は凝固遅れ度の平均値を示し、併せてその最大値及び最小値を短い横線で示している。
本図によれば、鋳造速度Vc[m/min]を低下させると前記の絶対値|Δh1|[mm]を小さくできる、という相互の関係を確認できた。
以上、本実施形態に係る連続鋳造における凝固遅れ抑制方法の技術的効果を確認するための試験に関して説明した。
次に、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さを測定する対象としての、鋳型の幅方向一側の、一対の隅部を、鋳型の広面及び狭面から夫々50mm以内とした理由を、下記試験の結果に基づいて説明する。即ち、本試験では、前記過流式センサー5a・5bによる溶鋼の湯面の高さの測定地点の、鋳型1の内壁面のうち広面からの距離L(w)と同じく狭面からの距離L(d)を夫々変化させ(図7を併せて参照)、条件判定部20によって算出される前記の絶対値|Δh1|[mm]を監視し、併せて凝固遅れ度を調査したものである。その試験結果を下記表1に示す。
Figure 2008068277
(その他の試験条件)
・鋼種成分(C:0.08[%]〜0.15[%]、Si:0.15[%]〜0.35[%]、Mn:1.0[%]〜1.8[%]、厚板向け中炭素鋼)
・鋳型幅[mm]:1230〜1800
・鋳型厚[mm]:240
・鋳造速度Vc[m/min]:1.6〜1.8
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]:0〜1200
・Arガス流入量QAr[Nl/min]:2〜15
・溶鋼過熱度ΔT[℃]:15〜45
なお、上記表1において「|Δh1|mm」列に記載の数値は「少なくとも該数値の絶対値|Δh1|[mm]が少なくとも10[sec]以上継続したこと」を示し、この数値は任意の時刻における測定結果の一例である。
上記表1によれば、下記二点を言及できる。即ち、前記の距離L(w)又は距離L(d)のうち少なくとも何れか一方を50mmよりも大きくすると(換言すれば、鋳型1の内壁面の隅部から50mm×50mmの範囲を外れたところで湯面を測定すると)、第一に、凝固シェルに対する熱供給源としての、凝固シェルの隅部に沿って上昇する、溶鋼の上昇流による湯面の盛り上がりが測定対象から外れてしまうし、第二に、凝固遅れと密接に関連のある前記上昇流以外の別の溶鋼流による湯面の盛り上がりをデータとして拾ってしまうと考えられる。
次に、前記差Δh1[mm]の絶対値|Δh1|[mm]が所定の条件を少なくとも10[sec]以上継続した場合に限り鋳造速度を低下させることとした理由を、下記試験の結果に基づいて説明する。即ち、本試験では、少なくとも上回っていた前記絶対値|Δh1|[mm]の値と、その絶対値|Δh1|[mm]の値が継続していた時間Δtと、を対応付けて記録し、加えて、その記録に対応する鋳片の部位における凝固遅れ度を測定した。その試験結果を下記表2に示す。
Figure 2008068277
(その他の試験条件)
・鋼種成分(C:0.09[%]〜0.14[%]、Si:0.15[%]〜0.35[%]、Mn:1.0[%]〜1.6[%]、厚板向け中炭素鋼)
・鋳型幅[mm]:1230
・鋳型厚[mm]:240
・鋳造速度Vc[m/min]:1.6〜1.9
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]:0~1200
・Arガス流入量QAr[Nl/min]:2〜20
・溶鋼過熱度ΔT[℃]:15〜45
・距離L(w)[mm]:25
・距離L(d)[mm]:25
上記表2によれば、例え前記の差Δh1[mm]の絶対値|Δh1|[mm]が6以上だったとしても、例えば5[sec]や8[sec]など短時間でしかその状態が継続/持続しなかったら、凝固遅れ度が40[%]以上の凝固遅れが発生しないことが判る。換言すれば、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の短時間の高低差は、凝固シェルにとって凝固遅れの原因とは成り難いことが判る。従って、上記表2を踏まえ、凝固遅れ度が40[%]を超える凝固遅れの発生の有無を監視したいのであれば、少なくとも10[sec]以上継続する湯面の高低差に着目すべきであると合理的に説明できる。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
上記第一実施形態において、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さは、過流式センサー5a・5bを用いて測定することとした。しかし、これに代えて、例えばγ線式センサーを用いて測定してもよいし、鋳型内に適宜に埋設した例えば熱電対型などの温度測定素子を用いて測定してもよく、その測定手段は多岐に亘り、如何なる測定手段を用いるかは勿論、任意である。
また、上記第一実施形態において、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さは、前記の第一隅部対6a・6bのみで測定することとし、その第一隅部対6a・6bは、鋳型1の幅方向一側とした。しかし、これに代えて、後述する第二隅部対6c・6dのみで測定することとしてもよい(図12参照)。鋳型1の幅方向一側において湯面高さを測定するか、若しくは幅方向他側において湯面の高さを測定するか、どちらを選択するかは任意である。その際は、例えば鋳型1や浸漬ノズル3の形状などの「固有の」操業条件に起因してブレークアウトの発生し易い側があれば、該ブレークアウトが発生し易い側を、湯面の高さの測定対象とするのが好ましい。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。ここでは、上記第一実施形態と相違する点のみを説明し、重複する説明は割愛する。
上記の第一実施形態では、図7に示す如く、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型1の幅方向一側の一対の隅部としての第一隅部対6a・6bにおいてのみ測定することとした。即ち、図略のタンディッシュには、この第一隅部対6a・6bに対応するように、前記の過流式センサー5a・5bが二つだけ設けられている。
これに対し、本実施形態では、上記第一隅部対6a・6bに加えて、図12に示す如く、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型1の幅方向他側の、鋳型1の広面及び狭面から夫々50mm以内の、一対の隅部としての第二隅部対6c・6dにおいても測定することとする。即ち、図略のタンディッシュには、この第一隅部対6a・6b及び第二隅部対6c・6d夫々に対応するように、前記の過流式センサーが四つ設けられている(つまり、上記の第一実施形態に、過流式センサー5c・5dが追加されている。)。これら過流式センサー5c・5dも、連続鋳造機制御装置100Aへ電気的に接続されており、例えば1[sec]ごとに測定結果としての溶鋼の湯面の高さを該連続鋳造機制御装置100Aへ送信するように構成されている。
また、本実施形態において連続鋳造機制御装置100Aには、図13に示す如く、追加された前記一対の過流式センサー5c・5dから受信する前記第二隅部対6c・6d夫々における溶鋼の湯面の高さの高低差としての、差Δh2[mm]を算出する高低差算出部11と、前記の高低差算出部11により算出された差Δh2[mm]が所定の条件を満足したか否かを判定する条件判定部21と、が追加で備えられている。これら高低差算出部11及び条件判定部21の作動は、夫々、高低差算出部10及び条件判定部20と略同様であるので、詳しい説明は割愛する。
条件判定部21は、前記の高低差算出部11により算出された差Δh2[mm]が所定の条件を満足したか否かを判定する。具体的には、高低差算出部11から受信し続ける差Δh2[mm]が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するか否かを判定する。
|Δh2|≧6
ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
そして、この条件判定部21は、上記の継続があったと判定したら、前記の鋳造速度制御部30又は警報部40のうち少なくとも何れか一方に、その判定があった旨を報告(送信)するように構成されている。
前述した条件判定部20又は条件判定部21のうち少なくとも何れか一方から、上記継続の判定があった旨が鋳造速度制御部30に報告(送信)されると、鋳造速度制御部30は、鋳造速度Vc[m/min]を例えば1〜2割低下させるように構成されている。
一方、前述した条件判定部20又は条件判定部21のうち少なくとも何れか一方から、上記継続の判定があった旨が警報部40に報告(送信)されると、警報部40は、連続鋳造機100のオペレータに対して光や音などを介して注意を促すように構成されている。
以上説明したように上記第二実施形態において、連続鋳造における凝固遅れの抑制は、以下のような方法で行われている。
即ち、前記第一隅部対6a・6bに加えて、鋳型1に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型1の幅方向他側の、鋳型1の広面及び狭面から夫々50mm以内の、一対の隅部としての第二隅部対6c・6dにおいても測定する。
前記差Δh1[mm]又は前記第二隅部対6c・6dのうち一方の隅部における湯面の高さから他方の隅部における湯面の高さを引いた差Δh2[mm]、のうち少なくとも何れか一方が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するとき鋳造速度Vc[m/min]を低下させる。
|Δh1|≧6、|Δh2|≧6
ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
これによれば、鋳型1の幅方向一側及び他側において異なる程度の偏流が発生しても、効果的に凝固遅れを抑制できる。
<資料1>
さて、上述した溶鋼過熱度ΔT[℃]の測定基準を詳説する。
即ち、『測定する時刻』は、「タンディッシュ内の溶鋼の流動が定常状態に至った時刻、より詳しくは、転炉から該タンディッシュへ溶鋼を搬送するための取鍋内に収容されている溶鋼の1/4〜1/3程度が該タンディッシュへ注湯された時刻」とする。
また、『測定する方法』は、以下第1及び第2の如くである。
即ち、第1に、上記『測定する時刻』において、タンディッシュ内に保持されている(入れ替わっている、流出入している)溶鋼の温度を適宜の温度測定器を用いて測定する。
(例)この温度測定器とは例えばその先端部に温度感知部を備える熱電対型のものが挙げられ、この場合、この温度感知部をタンディッシュ内に保持されている溶鋼の中へ深さ100mm以上浸漬させて該溶鋼の温度を測定することとする。なお、熱電対は測定対象の温度に応じてその出力電圧を昇降させる特性を有するのは周知の通りであるから、溶鋼の温度を測定することは、熱電対が出力する電圧を適宜の手段により読み取ることと換言できる。
第2に、第1で測定された溶鋼の温度と、該溶鋼の溶鋼成分により唯一に決まる所謂凝固開始温度と、を比較する。そして上述した溶鋼過熱度ΔT[℃]は、前者から後者を除いた(引いた)残りとして求めることとする。
<資料2>
上述した鋳型内溶鋼攪拌強度M-EMS[gauss]の測定基準を説明する。即ち、この鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、鋳型1の幅方向中央であって、鋳型1の上端を基準とし下端へ向かって250mmだけ離れ、且つ、鋳型の広面側内壁面から15mmだけ離れた地点において適宜のガウスメータにより測定される値(単位は[gauss]とする。)とするものとする。
凝固遅れ度の定義に関する説明図 鋳造方向に対して垂直に切断した凝固シェルの断面図であって、凝固遅れの発生メカニズムの説明に供するもの 凝固遅れとブレークアウトとの関係に関する説明図 鋳型の、鋳造方向に対して垂直に切断した断面図 鋳造速度と凝固遅れ度との関係に関する説明図 本発明の一実施形態に供される連続鋳造機の全体概略図 図4に類似する図 第一実施形態の連続鋳造機制御装置のブロック図 絶対値|Δh1|の時間推移を示すグラフ図 絶対値|Δh1|と凝固遅れとの関係を示すグラフ図 鋳造速度Vcと絶対値|Δh1|との関係を示すグラフ図 図7に類似する図 図8に類似する図
符号の説明
6a・6b 第一隅部対
10,11 高低差算出部
20,21 条件判定部
30 鋳造速度制御部
40 警報部
100 連続鋳造機
100A 連続鋳造機制御装置

Claims (2)

  1. 鋳型に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型の幅方向一側の、鋳型の広面及び狭面から夫々50mm以内の、一対の隅部としての第一隅部対において測定し、
    前記第一隅部対のうち一方の隅部における湯面の高さから他方の隅部における湯面の高さを引いた差Δh1[mm]が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するとき鋳造速度Vc[m/min]を低下させる、ことを特徴とする連続鋳造における凝固遅れ抑制方法。
    |Δh1|≧6
    ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
  2. 請求項1に記載の連続鋳造における凝固遅れ抑制方法において、
    前記第一隅部対に加えて、鋳型に注湯された溶鋼の湯面の高さを、鋳型の幅方向他側の、鋳型の広面及び狭面から夫々50mm以内の、一対の隅部としての第二隅部対においても測定し、
    前記差Δh1[mm]又は前記第二隅部対のうち一方の隅部における湯面の高さから他方の隅部における湯面の高さを引いた差Δh2[mm]、のうち少なくとも何れか一方が下記式を少なくとも10[sec]以上継続して満足するとき鋳造速度Vc[m/min]を低下させる、ことを特徴とする連続鋳造における凝固遅れ抑制方法。
    |Δh1|≧6、|Δh2|≧6
    ただし、|x|はxの絶対値を意味する。
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