JP2008063522A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008063522A JP2008063522A JP2006245501A JP2006245501A JP2008063522A JP 2008063522 A JP2008063522 A JP 2008063522A JP 2006245501 A JP2006245501 A JP 2006245501A JP 2006245501 A JP2006245501 A JP 2006245501A JP 2008063522 A JP2008063522 A JP 2008063522A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- resin composition
- electron acceptor
- thermoplastic resin
- organic electron
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】 優れた加工安定性を有する、ポリエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂を含むアロイを含有する熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂50〜100重量%、およびその他の熱可塑性樹脂50〜0重量%からなる樹脂(A)100重量部に対し、アセトニトリル中、飽和カロメル電極で測定した酸化還元電位が−0.3〜1.0Vである有機電子受容体(B)0.03〜2.5重量部を含有することを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂50〜100重量%、およびその他の熱可塑性樹脂50〜0重量%からなる樹脂(A)100重量部に対し、アセトニトリル中、飽和カロメル電極で測定した酸化還元電位が−0.3〜1.0Vである有機電子受容体(B)0.03〜2.5重量部を含有することを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、熱安定性に優れており、加工時の劣化の少ない、ポリエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
ポリエステル樹脂は高い耐熱温度、耐溶剤性、耐衝撃性、易塗装性を有しており、その特徴を活かして自動車用部材、電気電子材料等の様々な用途に展開がなされている。その一方で、エステル結合の熱安定性が十分ではないことから、ポリエステル樹脂は加工時に容易に劣化を起こして物性低下を引き起こすという、ポリマー構造に起因する欠点があることが知られている。
近年、環境への配慮を重視する傾向にあり、例えば、射出成形時の最初の数ショットやランナ、切り落とした端材等の廃材を極力再利用する動きがあるが、ポリエステル樹脂の場合は劣化による物性低下のために、再利用には不向きな樹脂として廃棄される、あるいは再利用に供される際にバージン材に混ぜる割合が低くされている。
こういったポリエステル樹脂の加工時の劣化を抑制するために、例えば、残存水分による加水分解を極力低減させるための加工前の予備乾燥、フェノール系、硫黄系、リン系、ラクトン系等の酸化防止剤を添加して劣化により生成するラジカルを捕捉し連鎖的な劣化の伝播を抑制する方法、キレート化合物等の金属不活性化剤を添加して顔料やポリエステル重合触媒残渣由来の残存金属が引き起こす分解を抑制する方法、酸及び水酸基による劣化を抑制するためにエポキシ基含有化合物を添加する方法(例えば、特許文献1参照)、フタル酸、有機酸塩、尿素化合物、アミン化合物を添加する方法(例えば、特許文献2乃至4参照)等が知られている。しかしながら、上記方法では、ポリエステル樹脂の劣化抑制効果が十分とは言えないのが実状である。
特開2001−164098号公報
特開2002−220524号公報
特開2002−226686号公報
特開2002−226687号公報
本発明は、従来の技術では成し得なかった優れた加工安定性を有する、ポリエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂を含むアロイを含有する熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
上記のような実状に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、アセトニトリル中、飽和カロメル電極で測定した酸化還元電位が−0.3V以上、1.0V以下である有機電子受容体を熱可塑性ポリエステル樹脂を含む熱可塑性樹脂に添加することで、加工時の劣化の少ない熱可塑性樹脂組成物が得られること見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂50〜100重量%、およびその他の熱可塑性樹脂50〜0重量%からなる樹脂(A)100重量部に対し、アセトニトリル中、飽和カロメル電極で測定した酸化還元電位が−0.3〜1.0Vである有機電子受容体(B)0.03〜2.5重量部を含有することを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、有機電子受容体(B)の酸化還元電位が0〜0.8Vであることを特徴とする、前記の熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、有機電子受容体(B)の酸化還元電位が0.04〜0.30Vであることを特徴とする、前記の熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、有機電子受容体(B)が、1,4−ヒドロキノンの6員環にハロゲン原子および/又はシアノ基が3個以上結合した構造を有することを特徴とする、前記いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、有機電子受容体(B)が、一つの共役系の中にシアノ基を4個以上有することを特徴とする、前記いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、有機電子受容体(B)が、テトラフルオロ−p−ベンゾキノン、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、およびヘキサシアノブタジエンの群から選ばれる1種あるいは2種以上であることを特徴とする、前記いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、有機電子受容体(B)が、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、テトラシアノエチレン、または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンを含有することを特徴とする、前記の熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、樹脂(A)100重量部に対し、有機電子受容体(B)を0.05〜2重量部含有することを特徴とする、前記いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明のポリエステル樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物は、加工時の劣化が抑制されており、リサイクル性に優れている。
本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂50〜100重量%、およびその他の熱可塑性樹脂50〜0重量%からなる樹脂(A)100重量部に対し、アセトニトリル中、飽和カロメル電極で測定した酸化還元電位が−0.3V以上、1.0V以下である有機電子受容体(B)0.03〜2.5重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物である点に特徴を有する。
前記の熱可塑性ポリエステル樹脂としては、主鎖にエステル結合を有する樹脂であれば特に限定されず、公知のものが使用可能であるが、例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTともいう)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENともいう)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて適宜使用できる。ポリエステル樹脂は、一般に結晶性樹脂として知られているが、本発明で言うポリエステル樹脂は、その結晶化度については特に限定されず、例えば、非晶性のポリエステル樹脂であっても良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において用いることのできる、その他の熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂と併用可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂(以下、PCともいう)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂)、ポリスチレン樹脂(以下、PStともいう)、ポリフェニレンエーテル樹脂(以下、PPEともいう)などを例示することができる。
本発明の樹脂(A)は、熱可塑性ポリエステル樹脂50〜100重量%、およびその他の熱可塑性樹脂50〜0重量%(合計で100重量%)からなることが好ましいが、熱可塑性ポリエステル樹脂70〜100重量%、およびその他の熱可塑性樹脂30〜0重量%からなることがより好ましい。樹脂(A)中において、熱可塑性ポリエステル樹脂が50重量%未満の場合は、本発明の組成物においてポリエステル樹脂の十分な劣化抑制効果を発揮することができなくなる傾向がある。
本発明の樹脂(A)の具体例については、前記したポリエステル樹脂のみからなる場合に加え、熱可塑性ポリエステル樹脂とその他の熱可塑性樹脂とのアロイとして、例えば、PC/PBT、PC/PET、PBT/ABS、PBT/AAS、PBT/PSt、PBT/PPE等を好適に例示することができる。また、例えば、PBT/PETといった熱可塑性ポリエステル樹脂同士のアロイも好適に例示されうる。
一方、電子受容体とは、他の物質から電子を受けやすい分子、原子、イオンのことを言う。電子受容体としては、ヨウ素などのハロゲン分子、種々のキノン類、トリニトロベンゼン、四塩化スズ、塩化アルミニウム等が知られている。有機電子受容体とは、いわゆる有機化合物からなる電子受容体を言う。本発明の熱可塑性樹脂組成物における有機電子受容体(B)は、アセトニトリル中、飽和カロメル電極で測定した酸化還元電位が−0.3V以上、1.0V以下であるものである。上記有機電子受容体(B)の前記酸化還元電位は、−0.15V以上、0.9V以下であることが好ましく、更には0V以上、0.8V以下であることがより好ましく、0.04V以上、0.30V以下であることが特に好ましい。上記有機電子受容体(B)の前記酸化還元電位が−0.3Vに満たない場合には、熱可塑性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物の十分な劣化抑制効果が得られない傾向がある。一方、前記酸化還元電位が1.0Vを超える化合物は合成が困難かつ高価であり、本発明の熱可塑性樹脂組成物の添加剤としては不適切である。
上記の有機電子受容体(B)に基づくポリエステル樹脂の劣化抑制機構については必ずしも定かでは無いが、例えば、ポリエステル樹脂の酸末端等、系中に存在する酸を不活性化することにより、酸に起因する劣化を抑制できることが考えられる。
有機電子受容体(B)の化学構造としては、ポリエステル樹脂の劣化抑制効果の観点から、1,4−ヒドロキノンの6員環にハロゲン原子および/またはシアノ基が合わせて3個以上結合したもの、または一つの共役系の中にシアノ基を4個以上有するものが好ましい。更に、ポリエステル樹脂の劣化を促進しうる金属原子を含まない構造が好ましい。
1,4−ヒドロキノンの電子受容能では、ポリエステル樹脂の十分な劣化抑制効果を発揮しないが、6員環にハロゲン原子やシアノ基といった電子吸引基が結合することにより化合物の電子受容能が向上し、十分な劣化抑制能に達すると推察している。1,4−ヒドロキノンの6員環への置換基としては、ハロゲン原子のみあるいはシアノ基のみが3個以上でも良いし、ハロゲン原子とシアノ基の両方を持ち、それらが合わせて3個以上であっても良い。
また、一つの共役系の中に電子吸引基であるシアノ基が4個以上ある場合も、化合物としての電子受容能が十分高くなり、ポリエステル樹脂の加工時の劣化抑制が成し遂げられ得る。
なお、前記「一つの共役系」とは、ポリエン、キノイドのようにπ電子共役が繋がっている部分のことを言う。分子は個々の原子からなっており、原子間の結合を担う電子にはσ電子とπ電子とがあるが、π電子は比較的自由に原子間を移動することができる。π電子は共役系内を広く移動でき、この共役系の一部にハロゲンやシアノ基、ニトロ基が結合するとそこに電子が存在しやすくなり、分子の他の部分は電荷密度が下がる。よって、電子を受け入れやすくなり、所謂電子受容体と呼ばれる分子となると考えられる。なお、炭素−炭素二重結合にシアノ基が4個結合したものも「一つの共役系の中に電子吸引基であるシアノ基が4個以上ある」化合物とみなす。
本発明における有機電子受容体(B)の分子内には、例えばスズやアルミニウムといった金属元素を含まない方が好ましい。金属元素はポリエステルのカルボニル酸素原子に配位し、劣化を促進しうるためである。
本発明の有機電子受容体(B)の具体例としては、テトラフルオロ−p−ベンゾキノン、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,3−ジクロロー5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、およびヘキサシアノブタジエン等が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂の加工時の劣化抑制効果の観点及び化合物の合成のしやすさから、有機電子受容体(B)がテトラクロロ−p−ベンゾキノン、テトラシアノエチレン、または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンを含有することがより好ましい。
本発明で規定する酸化還元電位は、サイクリックボルタンメトリーを用い、溶媒に脱水処理と窒素ガスバブリングを施した無水アセトニトリル(Sigma−Aldrich社製)を、支持電解質に過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(Fluka製)0.1mol/Lを、電極には塩橋を使用した飽和カロメル電極を用い、25℃環境下、有機電子受容体の濃度を1mmol/Lとして測定したものである。酸化還元電位値は、酸化ピーク電位(Ea)と還元ピーク電位(Ec)とした際の(Ea+Ec)/2の値を用いている。測定は高電圧側から始めれば良い。酸化還元電位を2以上持つ場合は最も高い値を採用すれば良い。
本発明における有機電子受容体(B)の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂50〜100重量%、その他の熱可塑性樹脂50〜0重量%からなる樹脂(A)100重量部に対して、0.03〜2.5重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましい。有機電子受容体(B)の配合量が0.03重量部に満たない場合は十分な劣化抑制効果が得られず、逆に2.5重量部を超える場合は樹脂(A)との相溶性不足によるブリードや、樹脂本来の機械物性の低下を引き起こす場合がある。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてフィラー、顔料、紫外線吸収剤やHALSといった耐光性安定剤、フェノール系、リン系、硫黄系等の酸化防止剤、滑剤、耐衝撃性改質剤、加工性改良剤等の添加剤を含んでも良い。
以下、実施例および比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
120℃で7時間乾燥させたポリブチレンテレフタレート(GE社製Valox315)100重量部に、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(通称クロラニル、Aldrich社製、酸化還元電位=0.048V)0.15重量部を添加したものを2軸押出機(34mm同方向回転)を用いて混練ペレット化した。バレル温度は240〜270℃とした。得られたペレットを用いて、上記と同じ条件にて乾燥、ペレット化を2回繰返した。上記の計3回のペレット化により得られたペレットを用いて、ASTM D1238に準拠してメルトフローインデックス(MFI)の測定(250℃、荷重2.16kg)を行った。
120℃で7時間乾燥させたポリブチレンテレフタレート(GE社製Valox315)100重量部に、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(通称クロラニル、Aldrich社製、酸化還元電位=0.048V)0.15重量部を添加したものを2軸押出機(34mm同方向回転)を用いて混練ペレット化した。バレル温度は240〜270℃とした。得られたペレットを用いて、上記と同じ条件にて乾燥、ペレット化を2回繰返した。上記の計3回のペレット化により得られたペレットを用いて、ASTM D1238に準拠してメルトフローインデックス(MFI)の測定(250℃、荷重2.16kg)を行った。
更に、上記の計3回のペレット化で得られたペレットを用いて、射出成形によりダンベル(ASTM D638タイプI)を作成した。バレル温度は260〜280℃とした。ダンベルを用いて引張試験(ASTM D638に準拠、テストスピード50mm/分、測定温度23℃)を行った。結果は表1に纏めた。
(実施例2)
実施例1の2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを用いず、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(通称TCNQ、Aldrich社製、酸化還元電位=0.22V)を0.15重量部用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。結果は表1に纏めた。
実施例1の2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを用いず、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(通称TCNQ、Aldrich社製、酸化還元電位=0.22V)を0.15重量部用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。結果は表1に纏めた。
(実施例3)
実施例1の2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを用いず、テトラシアノエチレン(通称TCNE、Aldrich社製、酸化還元電位=0.28V)を0.3重量部用いた以外は実施例1と同様にMFI評価を実施した。引張試験は行わなかった。結果は表1に纏めた。
実施例1の2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを用いず、テトラシアノエチレン(通称TCNE、Aldrich社製、酸化還元電位=0.28V)を0.3重量部用いた以外は実施例1と同様にMFI評価を実施した。引張試験は行わなかった。結果は表1に纏めた。
(比較例1)
有機電子供与体(B)を用いず、実施例1と同じ方法でポリブチレンテレフタレート(Valox315)のみをペレット化し評価に供した。結果は表1に纏めた。
有機電子供与体(B)を用いず、実施例1と同じ方法でポリブチレンテレフタレート(Valox315)のみをペレット化し評価に供した。結果は表1に纏めた。
(比較例2)
実施例1の2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを用いず、フェノール系酸化防止剤(エーピーアイコーポレーション社製ヨシノックス930、酸化還元電位は−0.7V未満)0.3重量部とリン系酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製PEP−36、酸化還元電位は−0.7V未満)0.3重量部を用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。結果は表1に纏めた。
実施例1の2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを用いず、フェノール系酸化防止剤(エーピーアイコーポレーション社製ヨシノックス930、酸化還元電位は−0.7V未満)0.3重量部とリン系酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製PEP−36、酸化還元電位は−0.7V未満)0.3重量部を用いた以外は実施例1と同様に評価を実施した。結果は表1に纏めた。
クロラニル、TCNQ、TCNEを添加すると、劣化による分子量低下を抑制できるためにMFIの増加と引張伸びの低下を抑えられている。なお、比較例2は実施例と比較してMFI値の絶対差が小さいが、小型の押出機による評価であるため、実際に工業的に使用されている大型機械で成形した場合には大きな差となる。
(実施例4)
120℃で7時間乾燥させたポリブチレンテレフタレート(GE社製Valox315)100重量部に、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(Aldrich社製、酸化還元電位=0.048V)0.1重量部添加したものを2軸押出機(44mm異方向回転)を用いて混練ペレット化した。バレル温度は250〜275℃とした。得られたペレットを用いて、上記と同じ条件にて乾燥、ペレット化を2回繰返した。上記の計3回のペレット化により得られたペレットを用いてメルトフローインデックスの測定(240℃、荷重1.05kg)を行った。結果は表2に纏めた。
120℃で7時間乾燥させたポリブチレンテレフタレート(GE社製Valox315)100重量部に、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(Aldrich社製、酸化還元電位=0.048V)0.1重量部添加したものを2軸押出機(44mm異方向回転)を用いて混練ペレット化した。バレル温度は250〜275℃とした。得られたペレットを用いて、上記と同じ条件にて乾燥、ペレット化を2回繰返した。上記の計3回のペレット化により得られたペレットを用いてメルトフローインデックスの測定(240℃、荷重1.05kg)を行った。結果は表2に纏めた。
(実施例5)
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを0.3重量部に変更した以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを0.3重量部に変更した以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
(実施例6)
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを1.0重量部に変更した以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを1.0重量部に変更した以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
(比較例3)
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを0.02重量部に変更した以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを0.02重量部に変更した以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
(比較例4)
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを3.0重量部に変更した以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。ただし、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンが、ペレット化の際にポリエステル樹脂に全て練り込まれず、一部がペレット表面に出てきていた。
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを3.0重量部に変更した以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。ただし、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンが、ペレット化の際にポリエステル樹脂に全て練り込まれず、一部がペレット表面に出てきていた。
(比較例5)
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンの代わりにp−ヒドロキノン(ナカライテスク社製、酸化還元電位=−0.46V)を0.3重量部用いた以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンの代わりにp−ヒドロキノン(ナカライテスク社製、酸化還元電位=−0.46V)を0.3重量部用いた以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
(比較例6)
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンの代わりにp−ナフトキノン(和光純薬社製、酸化還元電位=−0.68V)を0.3重量部用いた以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
実施例3で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンの代わりにp−ナフトキノン(和光純薬社製、酸化還元電位=−0.68V)を0.3重量部用いた以外は実施例3と同様に評価を実施した。結果は表2に纏めた。
クロラニルを0.1〜1.0重量部添加した場合にはMFIの増加を抑制できているが、クロラニルの添加量が0.02重量部と少なすぎたり、逆に3.0重量部と多すぎたりすると十分な劣化抑制効果が見られない。更に、p−ヒドロキノン、p−ナフトキノンといった酸化還元電位が低すぎる化合物を添加しても劣化抑制効果が十分ではない。なお、実施例と比較例とでMFI値の絶対差が小さいが、小型の押出機による評価であるため、実際に工業的に使用されている大型機械で成形した場合には大きな差となる。
(実施例7)
120℃で7時間乾燥させたポリブチレンテレフタレートとポリカーボネートのアロイ(GE社製XENOY1102)100重量部に、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(Aldrich社製、酸化還元電位=0.048V)0.3重量部を添加したものを2軸押出機(44mm異方向回転)を用いて混練ペレット化した。バレル温度は250〜275℃とした。得られたペレットを用いて、上記と同じ条件にて乾燥、ペレット化を2回繰返し、計3回のペレット化により得られたペレットを用いて、メルトフローインデックスの測定(240℃、荷重1.05kg)を行った。結果は表3に纏めた。
120℃で7時間乾燥させたポリブチレンテレフタレートとポリカーボネートのアロイ(GE社製XENOY1102)100重量部に、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(Aldrich社製、酸化還元電位=0.048V)0.3重量部を添加したものを2軸押出機(44mm異方向回転)を用いて混練ペレット化した。バレル温度は250〜275℃とした。得られたペレットを用いて、上記と同じ条件にて乾燥、ペレット化を2回繰返し、計3回のペレット化により得られたペレットを用いて、メルトフローインデックスの測定(240℃、荷重1.05kg)を行った。結果は表3に纏めた。
(比較例7)
実施例6で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンの代わりにベンゾフェノン(酸化還元電位は−0.7V未満)を0.3重量部用いた以外は実施例6と同様に評価を実施した。結果は表3に纏めた。
実施例6で用いた2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンの代わりにベンゾフェノン(酸化還元電位は−0.7V未満)を0.3重量部用いた以外は実施例6と同様に評価を実施した。結果は表3に纏めた。
(比較例8)
実施例6の2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを用いず、フェノール系酸化防止剤(エーピーアイコーポレーション社製ヨシノックス930、酸化還元電位は−0.7V未満)0.3重量部とリン系酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製PEP−36、酸化還元電位は−0.7V未満)0.3重量部を用いた以外は実施例6と同様に評価を実施した。結果は表3に纏めた。
実施例6の2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンを用いず、フェノール系酸化防止剤(エーピーアイコーポレーション社製ヨシノックス930、酸化還元電位は−0.7V未満)0.3重量部とリン系酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製PEP−36、酸化還元電位は−0.7V未満)0.3重量部を用いた以外は実施例6と同様に評価を実施した。結果は表3に纏めた。
樹脂をポリエステルとPCからなるアロイとしても、クロラニルを添加することでMFIの増加を抑制できている。酸化還元電位の低すぎるベンゾフェノン、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を添加しても十分な効果が得られていない。なお、実施例と比較例とでMFI値の絶対差が小さいが、小型の押出機による評価であるため、実際に工業的に使用されている大型機械で成形した場合には大きな差となる。
Claims (8)
- 熱可塑性ポリエステル樹脂50〜100重量%、およびその他の熱可塑性樹脂50〜0重量%からなる樹脂(A)100重量部に対し、アセトニトリル中、飽和カロメル電極で測定した酸化還元電位が−0.3〜1.0Vである有機電子受容体(B)0.03〜2.5重量部を含有することを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
- 有機電子受容体(B)の酸化還元電位が0〜0.8Vであることを特徴とする、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機電子受容体(B)の酸化還元電位が0.04〜0.30Vであることを特徴とする、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機電子受容体(B)が、1,4−ヒドロキノンの6員環にハロゲン原子および/又はシアノ基が3個以上結合した構造を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機電子受容体(B)が、一つの共役系の中にシアノ基を4個以上有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機電子受容体(B)が、テトラフルオロ−p−ベンゾキノン、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、およびヘキサシアノブタジエンの群から選ばれる1種あるいは2種以上であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機電子受容体(B)が、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、テトラシアノエチレン、または7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンを含有することを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 樹脂(A)100重量部に対し、有機電子受容体(B)を0.05〜2重量部含有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006245501A JP2008063522A (ja) | 2006-09-11 | 2006-09-11 | 熱可塑性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006245501A JP2008063522A (ja) | 2006-09-11 | 2006-09-11 | 熱可塑性樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008063522A true JP2008063522A (ja) | 2008-03-21 |
Family
ID=39286500
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006245501A Pending JP2008063522A (ja) | 2006-09-11 | 2006-09-11 | 熱可塑性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008063522A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6096655A (ja) * | 1983-09-30 | 1985-05-30 | バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト | Tcnq錯体類を含有しておりそしてhcnの放出に対して安定化されている有機重合体類 |
JPH0820667A (ja) * | 1994-07-07 | 1996-01-23 | Nippon Soda Co Ltd | ドープされたポリマー微粒子の製造法 |
JP2000344958A (ja) * | 1999-06-03 | 2000-12-12 | Tsutsumi Yotaro | 酸素吸収剤、それを用いた包装材及び包装容器 |
-
2006
- 2006-09-11 JP JP2006245501A patent/JP2008063522A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6096655A (ja) * | 1983-09-30 | 1985-05-30 | バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト | Tcnq錯体類を含有しておりそしてhcnの放出に対して安定化されている有機重合体類 |
JPH0820667A (ja) * | 1994-07-07 | 1996-01-23 | Nippon Soda Co Ltd | ドープされたポリマー微粒子の製造法 |
JP2000344958A (ja) * | 1999-06-03 | 2000-12-12 | Tsutsumi Yotaro | 酸素吸収剤、それを用いた包装材及び包装容器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5062843B2 (ja) | 導電性ポリアセタール樹脂組成物、および成形体 | |
US20080071038A1 (en) | Plant resin composition and plant resin molded product | |
KR101643064B1 (ko) | 도전성 폴리아세탈 수지 조성물 및 성형체 | |
JP7491925B2 (ja) | 電気伝導性ポリエステル組成物 | |
JP2007084604A5 (ja) | ||
JP2008063522A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
Bhandari et al. | Conducting films of poly (aniline‐co‐1‐amino‐2‐naphthol‐4‐sulfonic acid) blended with LDPE for its application as antistatic encapsulation material | |
JPWO2004092263A1 (ja) | ポリオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた樹脂成形体の組み合わせ | |
JP5369374B2 (ja) | ポリアニリン組成物の製造方法、ポリアニリン組成物およびその被覆物 | |
JP6724737B2 (ja) | 帯電防止性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 | |
WO2004083306A1 (ja) | ポリトリメチレンテレフタレート組成物とその製造方法 | |
JP7109962B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物 | |
WO2020129854A1 (ja) | 導電性高分子組成物 | |
JP2015110713A (ja) | ポリアセタール樹脂組成物 | |
JP5362312B2 (ja) | 導電性樹脂成形物 | |
JP5890754B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物 | |
KR101284654B1 (ko) | 친환경 수지 조성물 | |
JP3221461B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物 | |
JP4459604B2 (ja) | 電気・電子部品用部材の包装用成形体用導電性樹脂組成物、及び電気・電子部品用部材の包装用成形体 | |
JP2006104361A (ja) | ポリエステル樹脂組成物 | |
CA3225282A1 (en) | Polymer compositions stabilized with organodisulfide blends | |
JP2023008737A (ja) | 幅広いポリマー処理温度で有効な非ポリカプロラクトンベースの着色剤および添加剤濃縮物担体システム | |
Ozkan et al. | Conducting Low-Density Polyethylene/Polyaniline Blends for Antistatic Applications | |
JP2009292944A (ja) | 帯電防止剤および帯電防止性熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2007092039A (ja) | 樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090722 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20101004 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20120313 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20120703 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |