JP2012224691A - 長期安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリプロピレン系樹脂の時間的な経過に伴う品質低下を抑えた長期安定性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物の提供を目的とする。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂にハイパーブランチポリマーと安定化剤が添加されていることを特徴とする安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂にハイパーブランチポリマーと安定化剤が添加されていることを特徴とする安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】 図1
Description
本発明は、酸化劣化等による品質特性の低下を抑えたポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン系樹脂は汎用性プラスチックとして広く使用されている。
ポリプロピレン系樹脂は他の樹脂に比較して、高融点、耐薬品性に優れ、成形性も良く、無機フィラーの添加による機械的特性の向上が可能であり、他の樹脂との複合化も容易であることから、近年、さらなる改良検討がなされている。
ポリプロピレン系樹脂は他の樹脂に比較して、高融点、耐薬品性に優れ、成形性も良く、無機フィラーの添加による機械的特性の向上が可能であり、他の樹脂との複合化も容易であることから、近年、さらなる改良検討がなされている。
しかし、ポリプロピレン系樹脂には熱や光によって酸化劣化しやすいという欠点がある。
そこで、樹脂中に発生したラジカルや酸化物を失活させることで品質特性の低下を防止するために各種安定化剤が提案され、採用されている。
近年、ポリプロピレン系樹脂の熱可塑性を活かしたリサイクル利用やリユースの促進による循環型社会への貢献が期待されるにつれて、ポリプロピレン系樹脂に添加した安定化剤の効果の持続性が問題になっている。
そこで、樹脂中に発生したラジカルや酸化物を失活させることで品質特性の低下を防止するために各種安定化剤が提案され、採用されている。
近年、ポリプロピレン系樹脂の熱可塑性を活かしたリサイクル利用やリユースの促進による循環型社会への貢献が期待されるにつれて、ポリプロピレン系樹脂に添加した安定化剤の効果の持続性が問題になっている。
安定化剤は、ポリプロピレン系樹脂中に発生したラジカル等によっても徐々に失われるが、樹脂の内部から外に溶出したり揮散することによる消失の方が多いことが分かっている。
従って、ポリプロピレン系樹脂を長寿命化するには、安定化剤の持続性を高めること、すなわち外部への溶出や揮散を抑えることが重要となる。
一般に安定化剤の分子量を大きくすれば溶出や揮散を抑えることができると推定されるが、高分子量化によるポリプロピレン系樹脂中での分散性や移動性が問題になる。
そこで本発明者は、安定化剤の分散性、移動性等を維持しつつ溶出及び揮散を抑えることを目的にハイパーブランチポリマーの添加を検討した結果、本発明に至った。
従って、ポリプロピレン系樹脂を長寿命化するには、安定化剤の持続性を高めること、すなわち外部への溶出や揮散を抑えることが重要となる。
一般に安定化剤の分子量を大きくすれば溶出や揮散を抑えることができると推定されるが、高分子量化によるポリプロピレン系樹脂中での分散性や移動性が問題になる。
そこで本発明者は、安定化剤の分散性、移動性等を維持しつつ溶出及び揮散を抑えることを目的にハイパーブランチポリマーの添加を検討した結果、本発明に至った。
ハイパーブランチポリマーは、超分岐ポリマーとも称され、樹状高分子である。
直鎖のポリマーに対して二次、三次、四次・・・と樹枝状に枝分かれし、これに対応して、第2世代、第3世代、第4世代・・・ポリマーとも称されている。
ハイパーブランチポリマー自身にはポリプロピレン系樹脂の安定化作用がなく、特許文献1は、流動性、機械的性質の改善を目的としてポリプロピレンを含む各種樹脂にハイパーブランチポリマーを添加しているもの、特許文献2は、表面物性の改善を目的としてポリプロピレンを含む各種樹脂にハイパーブランチポリマーを添加しているものであり、安定化剤の消失を抑えるものではない。
直鎖のポリマーに対して二次、三次、四次・・・と樹枝状に枝分かれし、これに対応して、第2世代、第3世代、第4世代・・・ポリマーとも称されている。
ハイパーブランチポリマー自身にはポリプロピレン系樹脂の安定化作用がなく、特許文献1は、流動性、機械的性質の改善を目的としてポリプロピレンを含む各種樹脂にハイパーブランチポリマーを添加しているもの、特許文献2は、表面物性の改善を目的としてポリプロピレンを含む各種樹脂にハイパーブランチポリマーを添加しているものであり、安定化剤の消失を抑えるものではない。
本発明は、ポリプロピレン系樹脂の時間的な経過に伴う品質低下を抑えた長期安定性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明に係る安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂にハイパーブランチポリマーと安定化剤が添加されていることを特徴とする。
さらに、その際無機フィラーを添加することも可能である。
さらに、その際無機フィラーを添加することも可能である。
ここで、ポリプロピレン系樹脂とは、ホモポリマー、コポリマーの両方を含み、コポリマーには、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1等のオレフィン類を含むポリオレフィン系ランダムコポリマー及びそれらとホモポリマーとの混合物、さらにはポリプロピレンとポリオレフィン以外のポリマーとの混合物が含まれる。
ハイパーブランチポリマーには、ハイパーブランチポリエステル、ハイパーブランチポリエステルアミド、及びハイパーブランチポリアミドが含まれる。
また、安定化剤には主に熱酸化を抑える目的で添加される酸化防止剤、主に光酸化を抑える目的で添加される光安定剤の他に金属の触媒作用による劣化を防止する重金属不活性化剤等、時間的経過に伴う品質の低下を抑える目的で添加される全ての添加剤が含まれる。
また、安定化剤には主に熱酸化を抑える目的で添加される酸化防止剤、主に光酸化を抑える目的で添加される光安定剤の他に金属の触媒作用による劣化を防止する重金属不活性化剤等、時間的経過に伴う品質の低下を抑える目的で添加される全ての添加剤が含まれる。
ポリプロピレン系樹脂は無機フィラーを添加することで強度向上等の機械的性質の改善がされているが、無機フィラーを添加すると安定性がより低下してしまうことは知られている。
しかし、本発明に係るハイパーブランチポリマーの添加によって、この無機フィラーの添加による安定性の低下を抑えることもできることが明らかになった。
無機フィラーには、アルミナ、シリカ等の酸化物フィラー、窒化ホウ素等の窒化物フィラー、活性白土及びタルク等が例として挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて造核剤や難燃剤等を添加してもよい。
しかし、本発明に係るハイパーブランチポリマーの添加によって、この無機フィラーの添加による安定性の低下を抑えることもできることが明らかになった。
無機フィラーには、アルミナ、シリカ等の酸化物フィラー、窒化ホウ素等の窒化物フィラー、活性白土及びタルク等が例として挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて造核剤や難燃剤等を添加してもよい。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物は、ハイパーブランチポリマーを添加したことにより安定化剤の効果が長く維持され、樹脂組成物の長寿命化を図ることができる。
これはハイパーブランチポリマーの親水的な内部空間に極性分子である安定化剤を取り込むことで溶出及び揮散を防止しつつ、このハイパーブランチポリマーの末端官能基によりポリプロピレン系樹脂中への分散性、移動性を維持したことによると推定される。
これはハイパーブランチポリマーの親水的な内部空間に極性分子である安定化剤を取り込むことで溶出及び揮散を防止しつつ、このハイパーブランチポリマーの末端官能基によりポリプロピレン系樹脂中への分散性、移動性を維持したことによると推定される。
本発明においてポリプロピレン系樹脂に添加するハイパーブランチポリマーの割合は、安定化剤の添加量を考慮して設定する。
一般に安定化剤は0.01〜2.0%(以下全て質量%である)の範囲、好ましくは0.05〜1.0%の範囲で使用され、ハイパーブランチポリマーは0.1〜5%,好ましくは0.5〜3.0%の範囲がよい。
また、安定化剤の粒子の大きさや、極性の大きさによってもハイパーブランチポリマーの適した大きさが異なるが、第3世代以上、好ましくは第4世代以上のものがよい。
また、無機フィラーの添加量は目的に応じて異なるが、0.1〜5%の範囲がよい。
一般に安定化剤は0.01〜2.0%(以下全て質量%である)の範囲、好ましくは0.05〜1.0%の範囲で使用され、ハイパーブランチポリマーは0.1〜5%,好ましくは0.5〜3.0%の範囲がよい。
また、安定化剤の粒子の大きさや、極性の大きさによってもハイパーブランチポリマーの適した大きさが異なるが、第3世代以上、好ましくは第4世代以上のものがよい。
また、無機フィラーの添加量は目的に応じて異なるが、0.1〜5%の範囲がよい。
以下の材料を用いて試験サンプルを作製評価した。
ポリプロピレン樹脂(以下PPと称する)に日本ポリプロ株式会社製の分子量(Mw)=2.6×105,分子量分布(MWD)=5−6,mmmm分率=98mol%のペレットを使用し、ハイパーブランチポリマーにhyperbranched bis−MPA polyester−64−hydroxyl(Aldrich、Mw=7323)を使用し、安定化剤に株式会社ADEKA製のアデカスタブAO−50[ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を使用し、次のように樹脂組成物を作り比較評価した。
ここで、ハイパーブランチポリマーは図3に構造式を示すように第4世代の超分岐ポリマーである。
なお、bis−MPAとは2,2−ビス(ヒドロキシル−メチル)プロピオン酸を示す。
PP,ハイパーブランチポリマー,安定化剤を、それぞれ質量比で98.9,1.0,0.1の割合で配合し二ロール式混錬機を用いて185℃、5分間溶融混錬することで実施例1のサンプルを作成した。
比較として、ハイパーブランチポリマーを添加しない比較例1のサンプルも調製した。
各サンプルの安定性はケミルミネッセンスアナライザー(東北電子CLA−ID−HS)を用いて乾燥空気100ml/lフロー下、180℃で評価した。
図1にケミルミネッセンスアナライザーの測定結果を示す。
酸化劣化に起因するケミルミネッセンス光が急激に発生するまでの時間は酸化誘導期と呼ばれ、酸化誘導期の長さが系中の安定化剤の寿命、すなわち組成物の寿命の指標となる。
実施例1のサンプルは比較例1のサンプルよりもケミルミネッセンス光が発生するまでの時間が長く、約1.5倍も寿命が向上した。
ポリプロピレン樹脂(以下PPと称する)に日本ポリプロ株式会社製の分子量(Mw)=2.6×105,分子量分布(MWD)=5−6,mmmm分率=98mol%のペレットを使用し、ハイパーブランチポリマーにhyperbranched bis−MPA polyester−64−hydroxyl(Aldrich、Mw=7323)を使用し、安定化剤に株式会社ADEKA製のアデカスタブAO−50[ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を使用し、次のように樹脂組成物を作り比較評価した。
ここで、ハイパーブランチポリマーは図3に構造式を示すように第4世代の超分岐ポリマーである。
なお、bis−MPAとは2,2−ビス(ヒドロキシル−メチル)プロピオン酸を示す。
PP,ハイパーブランチポリマー,安定化剤を、それぞれ質量比で98.9,1.0,0.1の割合で配合し二ロール式混錬機を用いて185℃、5分間溶融混錬することで実施例1のサンプルを作成した。
比較として、ハイパーブランチポリマーを添加しない比較例1のサンプルも調製した。
各サンプルの安定性はケミルミネッセンスアナライザー(東北電子CLA−ID−HS)を用いて乾燥空気100ml/lフロー下、180℃で評価した。
図1にケミルミネッセンスアナライザーの測定結果を示す。
酸化劣化に起因するケミルミネッセンス光が急激に発生するまでの時間は酸化誘導期と呼ばれ、酸化誘導期の長さが系中の安定化剤の寿命、すなわち組成物の寿命の指標となる。
実施例1のサンプルは比較例1のサンプルよりもケミルミネッセンス光が発生するまでの時間が長く、約1.5倍も寿命が向上した。
上記に示したPP,ハイパーブランチポリマー及び安定化剤と、さらにSiO2ナノ粒子(Aerosil R972,日本アエロジル株式会社製 ナノ粒子)を、それぞれ質量比で97.9,1.0,0.1,1.0の割合で配合し二ロール式混錬機を用いて185℃、5分間溶融混錬することで実施例2のサンプルを作成した。
比較として、ハイパーブランチポリマーを添加しない比較例2のサンプルも調製した。
各サンプルの安定性はケミルミネッセンスアナライザー(東北電子CLA−ID−HS)を用いて乾燥空気100ml/lフロー下、180℃で評価した。
図2にケミルミネッセンスアナライザーの測定結果を示す。
先の比較例1と比較例2のサンプルの酸化誘導期の比較からわかるように、一般的にPPへの無機フィラーの添加は、材料の力学的特性を大きく向上させる一方、安定性を低下させてしまうことが知られている。
これに対して、ハイパーブランチポリマーの添加は、比較例2と実施例2とを比較すると明らかなように、寿命が延びていることからPPと無機フィラー間のナノコンポジットの安定性向上に対しても非常に有効であることが分かる。
比較として、ハイパーブランチポリマーを添加しない比較例2のサンプルも調製した。
各サンプルの安定性はケミルミネッセンスアナライザー(東北電子CLA−ID−HS)を用いて乾燥空気100ml/lフロー下、180℃で評価した。
図2にケミルミネッセンスアナライザーの測定結果を示す。
先の比較例1と比較例2のサンプルの酸化誘導期の比較からわかるように、一般的にPPへの無機フィラーの添加は、材料の力学的特性を大きく向上させる一方、安定性を低下させてしまうことが知られている。
これに対して、ハイパーブランチポリマーの添加は、比較例2と実施例2とを比較すると明らかなように、寿命が延びていることからPPと無機フィラー間のナノコンポジットの安定性向上に対しても非常に有効であることが分かる。
Claims (2)
- ポリプロピレン系樹脂にハイパーブランチポリマーと安定化剤が添加されていることを特徴とする安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物。
- ポリプロピレン系樹脂にハイパーブランチポリマー、安定化剤及び無機フィラーが添加されていることを特徴とする安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物。
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JP2011091607A JP2012224691A (ja) | 2011-04-16 | 2011-04-16 | 長期安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109370041A (zh) * | 2018-08-09 | 2019-02-22 | 河南工程学院 | 一种兼具良好刚性和高断裂伸长率的聚丙烯改性材料及其制备方法 |
CN110760126A (zh) * | 2018-07-27 | 2020-02-07 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种耐热抗冲击聚丙烯组合物及其制备方法 |
CN112724529A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-04-30 | 浙江普利特新材料有限公司 | 一种仪表板骨架用长玻纤增强聚丙烯复合材料及其制备方法 |
-
2011
- 2011-04-16 JP JP2011091607A patent/JP2012224691A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
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CN109370041B (zh) * | 2018-08-09 | 2021-04-09 | 河南工程学院 | 一种兼具良好刚性和高断裂伸长率的聚丙烯改性材料及其制备方法 |
CN112724529A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-04-30 | 浙江普利特新材料有限公司 | 一种仪表板骨架用长玻纤增强聚丙烯复合材料及其制备方法 |
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