JP2008058226A - 温度検知装置及び加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】充分な絶縁距離を確保しつつ、より小型な温度検知装置を提供する。
【解決手段】絶縁耐熱フィルム4は、温度検知装置本体が配置される配置スペースよりも大きい大きさに裁断されて感温素子1に取り付けられ、感温素子1に取り付けられた絶縁耐熱フィルム4の裁断部が被温度検知体に接触しないように絶縁耐熱フィルム4が折り曲げられることにより、感温素子1と被温度検知体との絶縁距離を確保する。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録材上のトナー像を加熱する加熱装置に関し、特に、この加熱装置に適用される温度検知装置に関するものである。
記録材上のトナー像を加熱する加熱装置においては、適正な温度でトナー像を加熱できるよう温度制御するために、加熱装置内の温度を検知する温度検知装置が用いられており、特に、接触型の装置が主流となっている。接触型の温度検知装置は特許文献1に示すように、感熱素子、これを保持する保持部材、などからなっており、被温度検知体に対して接触させて使用され、熱応答性に優れている。
このような接触型の温度検知装置には、ACノイズによる誤検知防止やサージ電圧のリークによる故障防止、もしくは被温度検知体に高電圧が印加されている場合の安全性の確保、等の目的で、感温素子を絶縁フィルムにて覆い絶縁距離を確保したものがある。
特開平5−10823(特許第3044098)号公報
しかしながら、上記従来例では、充分な絶縁距離をとるために絶縁フィルムの幅をある程度確保する必要があり、装置の小型化の妨げになるという問題があった。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、充分な絶縁距離を確保しつつ、より小型な温度検知装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明にあっては、
感温素子と、
前記感温素子に取り付けられる絶縁フィルムと、
を備え、前記感温素子が前記絶縁フィルムを介して被温度検知体に接触するように配置されることにより、前記被温度検知体の温度を検知する温度検知装置において、
前記絶縁フィルムは、温度検知装置本体が配置される配置スペースよりも大きい大きさに裁断されて前記感温素子に取り付けられ、
前記感温素子に取り付けられた前記絶縁フィルムの裁断部が前記被温度検知体に接触しないように前記絶縁フィルムが折り曲げられることにより、前記感温素子と前記被温度検知体との絶縁距離を確保することを特徴とする。
本発明によれば、充分な絶縁距離を確保しつつ、より小型な温度検知装置を提供することが可能となる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
ここで、本発明に係る加熱装置には、記録材上に形成担持させた未定着画像を永久固着
画像として加熱定着処理する定着装置、仮定着処理する装置、画像を担持した記録材を再加熱して艶等の表面性を改質する装置等が含まれる。
以下、本発明の実施例1について、図1〜図5を用いて説明する。
図2に、本実施例における加熱装置の概略構成模式図を示す。本実施例の加熱装置は、記録材上に形成担持させた未定着画像を永久固着画像として加熱定着処理する定着装置であり、定着ベルト方式、加圧用回転体駆動方式を用いている。
101は耐熱性を有するヒータホルダ、100は発熱部材(熱源)としての定着ヒータであり、定着ヒータ100はヒータホルダ101長手に沿って該ヒータホルダ101の下面に接着して配設してある。
102は定着部材としての定着ベルトであり、本実施例のものは金属(導電体)を基材とする円筒状(エンドレスベルト状)部材の外周面に弾性層及び離型層を設けている。弾性層はシリコーンゴムで厚みは300μm程度、離型層はPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーエテル共重合体/4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)チューブで厚みは30μmである。
定着ベルト102はヒータホルダ101にルーズに外嵌させてある。
103はニップ部形成部材としての弾性加圧ローラであり、ステンレス製の芯金上に、厚み2mmのシリコーンゴム層を形成し、さらにその上に厚み40μmのPFAチューブを被覆している。
104は金属ステーであり、金属ステー104を通してヒータホルダ101を加圧することで、ヒータホルダ101長手方向に均一に加圧できるようになっている。
図3は定着ヒータ100の一例の構造模型図であり、図3(a)はヒータ表面側の途中部分省略の平面模型図、図3(b)はヒータ裏面側の途中部分省略の平面模型図、図3(c)は拡大横断面模型図である。
本実施例の定着ヒータ100は、基板100a、抵抗発熱体100b、電極100c、絶縁コート層100d等より構成されている。
基板100aは、アルミナや窒化アルミニウム等の絶縁性のセラミックを用いることができる。本実施例では、厚みが1.0mmで、通紙方向(記録材の搬送方向)と略直交する方向を長手方向とする横長のアルミナ基板を用いた。
本実施例において抵抗発熱体100bは、銀・パラジウム合金を含んだ導電ペーストを、基板100a上にスクリーン印刷法によって厚み20μm程度の膜状に塗工した後、焼成することで形成した。
電極100cは、抵抗発熱体100bに電力を供給するための接点として機能するものである。本実施例においては、銀ペーストを、抵抗発熱体100bと同様、スクリーン印刷法により厚み20μmの膜状に塗布した後、焼成を行うことにより形成した。電極100cは、基板100a上に二箇所形成され、それぞれ抵抗発熱体100bに接続されることにより、電極を通してAC電圧が抵抗発熱体に印加される。
絶縁コート層100dは、ガラスや樹脂等の絶縁物により形成され、抵抗発熱体100bや電極100cの絶縁耐圧を確保するために設けられる。本実施例においては、絶縁ガラスによるコート層を80μmの厚みでスクリーン印刷を行うことにより設けている。
定着ヒータ100は、その表面(抵抗発熱体100bが形成されている面)を定着ベルト102内面に当接させるよう、ヒータホルダ101に接着して配設してある。
加圧ローラ103は、芯金の両端部を、図2において装置フレーム109の奥側と手前側の側板(不図示)間に回転自由に軸受保持させて配設してある。この加圧ローラ103の上側に、前記のヒータ100、ヒータホルダ101、金属ステー104、定着ベルト102等から成る加熱アセンブリを、ヒータ100側を下向きにして加圧ローラ103に並行に配置させてある。
金属ステー104の両端部には不図示の加圧機構が設けられており、金属ステー104(加熱アセンブリ)を片側98N(10kgf)、総圧196N(20kgf)の力で加圧ローラ103の軸線方向に付勢している。このことで、定着ヒータ100の下向き面を、定着ベルト102を介して加圧ローラ103の弾性層に該弾性層の弾性に抗して圧接させ、加熱定着に必要な所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。
加圧ローラ103は、不図示の駆動手段Mにより矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。加圧ローラ103が回転駆動されると、加圧ローラ103と定着ベルト102との定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力により、定着ベルト102に回転力が作用する。このため、該定着ベルト102は、その内面側を定着ヒータ100の下向き面に摺動させながらヒータホルダ101の外回りを矢印の時計方向に従動回転状態となる。
加圧ローラ103が回転駆動されると、それに伴って定着ベルト102が従動回転状態になり、また定着ヒータ100が昇温して所定の温度に立ち上がり温調された状態となる。このような状態において、定着ニップ部Nの定着ベルト102と加圧ローラ103との間に未定着トナー像tを担持した記録材Pが導入される。定着ニップ部Nにおいては、記録材Pのトナー像t担持面側が定着ベルト102の外面に密着して定着ベルト102と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、定着ヒータ100の熱が定着ベルト102を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着トナー像tが記録材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着ベルト102から曲率分離され、定着排紙ローラ108で排出される。
105,106は温度検知装置としてのサーミスタである。サーミスタ105は定着ベルト102の内面(導電体部分)の温度を検知する。サーミスタ106はヒータ100裏面の温度を検知する。
サーミスタ105,106は、調節手段としての制御回路部(CPU)に接続され、CPUは、サーミスタ105,106で検知した温度情報を基に、定着ヒータ100の温調制御内容を決定する。
図1は、実施例1における温度検知装置としてのサーミスタ105を示したものである。図1(a)はサーミスタ105を正面から見た模式図、図1(b)はサーミスタ105を側面から見た断面模式図、図1(c)はA−A’部における断面模式図、図1(d)は斜視図である。
図1において、1は感温素子(温度検知素子、サーミスタ素子)であり、導電性金属板でできた接続部材としてのアーム3と電気的に接続されている。アーム3の一部を含めた
感温素子1の周囲は絶縁耐熱フィルム(絶縁フィルム)4により囲まれている。また、アーム3は、樹脂により形成されたハウジング5内の配線(不図示)を通り、外部引き出し線6と電気的に接続されている。ここで、絶縁耐熱フィルム4は、サーミスタ105本体が配置される配置スペースよりも大きい大きさに裁断されて設けられている。
本実施例では、絶縁耐熱フィルム4として東レ・デュポン社製のカプトン(登録商標)のタイプ100MTを使用した。カプトン(登録商標)100MTは、厚み25μmの絶縁性及び耐熱性に優れたポリイミドシートであり、本実施例では片面に粘着剤層を形成し2枚重ねて使用している。カプトン(登録商標)100MTの代わりにカプトン(登録商標)100H、または宇部興産社製のユーピレックス(登録商標)−Sを使用しても良い。また絶縁性及び耐熱性に優れたフィルム形状であれば、他のフィルムで代用しても構わない。
絶縁耐熱フィルム4は、絶縁耐熱フィルム4の粘着剤層が向かい合うようにB−B’部にて二つに折り返され(アーム3の接続方向に略直交する方向に沿って折り返され)、感温素子1及びアーム3の一部を包む(覆う)ように張り合わされる。その後、図1において左右のD−D’部、E−E’部を図1において上側に折り返され(アーム3の接続方向に略直交する方向において両端となる裁断部がそれぞれ同じ側に折り曲げられ)、さらにC−C’部に沿ってアーム3ごと図1の上側に折り曲げられている。
ハウジング5はヒータホルダ101に固定されており、金属ステー104に設けられた切り欠き部よりアーム3を突き出させ、感温部が定着ベルト102内面に接するように設置されている。定着ベルト102内面の動きが不安定になった状態においても、アーム3が揺動することにより、感温部が定着ベルト102内面に常に接する状態に保たれる。
図4を用いて、実施例1における被温度検知体(本実施例においては定着ベルト102)と感温素子1との絶縁距離(沿面距離及び空間距離)について説明する。
図4は、サーミスタ105と被温度検知体(被温度検知素子)Tとの位置関係を示した図であり、図1に示すA−A’部における断面模式図となっている。図1に示すB−B’部にて2つ折りした絶縁耐熱フィルム4のうち、被温度検知体T(実施例1においては定着ベルト102の内面)に接する側を4a、もう一方を4bとする。また、折り返し部D−D’から絶縁耐熱フィルム4の裁断部4cまでの距離をx、折り返し部D−D’から感温素子1までの距離をyとする。
被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離は、次のような経路の長さになる。すなわち、折り返し部D−D’に対応する被温度検知体T表面から、絶縁耐熱フィルム4a表面に沿って絶縁耐熱フィルム4aの裁断部4cまで進み、絶縁耐熱フィルム4a,4b間を折り返し部D−D’まで進み、感温素子1に至るまでの経路の長さになる。この経路は図4中の点線で示したようになり、沿面距離は2x+yとなる。
被温度検知体Tから感温素子1までの空間距離は、沿面距離と同様の経路の長さとなり、2x+yとなる。
本実施例においてはx=1.0mm、y=1.0mmとした。すなわち、被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離及び空間距離は3.0mmとなる。
実施例1の定着装置を用いて、雷サージ試験を行った。
2箇所のヒータ電極100cを導線で短絡した後、電極100cと定着装置のアース接
点間に、雷サージ試験として規定されているサージ電圧波形(印加電圧±6kV)を印加して試験を実施した。
雷サージ試験の結果、定着装置の破壊は起きず問題なかった。
本実施例の比較例として、絶縁耐熱フィルム4をD−D’部及びE−E’部で折り返していない従来のサーミスタを比較例1とする。
図5は比較例1におけるサーミスタの断面図である。
被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離は、絶縁耐熱フィルム4aの裁断部4cに対応する被温度検知体T表面から、絶縁耐熱フィルム4a,4b間を進み、感温素子1に至るまでの経路の長さになる。この経路は図5中の点線で示したようになり、沿面距離はx+yとなる。
被温度検知体Tから感温素子1までの空間距離は、沿面距離と同様の経路の長さとなり、x+yとなる。
すなわち、比較例1において、実施例1と同じ幅の絶縁耐熱フィルムを用いた場合(x=1.0mm、y=1.0mm)、被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離及び空間距離は2.0mmとなる。
比較例1の定着装置を用いて、実施例1と同様の雷サージ試験をおこなった結果、ヒータ100から定着ベルト102を伝わりサーミスタ105へと電流がリークし、感温素子1が破壊されたためNGとなった。
以上説明したように、本実施例では、絶縁耐熱フィルム4をD−D’部及びE−E’部で折り返し、絶縁耐熱フィルム4の裁断部4cが被温度検知体に触れないような構成にしている。このことによって、同じ幅の絶縁耐熱フィルムを用いた比較例1よりも、絶縁距離(空間距離及び絶縁距離)をxだけ増やすことができる。
すなわち、従来例より絶縁フィルムの幅を狭くしても充分な絶縁距離を確保することができ、より小型な温度検知装置を提供することができる。また、絶縁耐熱フィルム4の長さを短くすることができるため、材料費の削減につながり、より低コストの温度検知装置を提供することができる。
また、本実施例の加熱装置の場合、温度検知装置(サーミスタ105)を小型にすることによって金属ステー104に設けられた切り欠き部を小さくできる。従って、金属ステー104の剛性をより均一にでき、長手方向に均一に加圧できるため、紙しわが発生しにくいというメリットがある。
以下に、本発明の実施例2について、図6〜図9を用いて説明する。なお、実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図7に、本実施例における加熱装置の概略構成模式図を示す。本実施例の加熱装置は、記録材上に形成担持させた未定着画像を永久固着画像として加熱定着処理する定着装置であり、熱ローラ方式を用いている。
この定着装置は、定着部材としての定着ローラ902、及びニップ部形成部材としての
加圧ローラ903からなる二本の加熱ローラを有している。そして、二本の加熱ローラは矢印の方向に回転駆動され、当接ニップ部(定着ニップ)Nを未定着トナー像tを載せた記録材Pが通過できるように構成されている。
未定着トナー像tはニップ部Nを通過する際に、定着ローラ902及び加圧ローラ903により加熱、加圧されて、記録材P上に溶融定着される。
各々のローラ902,903は、中央に発熱部材としてハロゲンヒータ900,901を備えており、該ヒータ900,901から発生する輻射エネルギーを各ローラ内側のアルミ芯金902a,903aで吸収して加熱される。各々のローラ902,903の表面にはサーミスタ905,906を弾性的に接触させて配設してあり、該サーミスタ905,906により検知した温度に基づいてハロゲンヒータ900,901に対する給電が制御されて温度調整が行われている。
各々のローラ902,903のアルミ芯金902a,903aの周りには厚さ2mmの弾性層902b,903bが設けられている。さらに、その外側の各ローラの表面には、トナーや紙紛等が固着することを防ぐために離型性かつ耐熱性の良い樹脂によるコーティング層902c,903cが設けられている。
弾性層902b,903bはシリコーンゴムにカーボン等の導電体を混ぜて導電性を持たせた導電ゴムよりなる。
コーティング層902c,903cは、PFA、FEP等を用いる。ここで、PFAは、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーエテル共重合体/4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂である。また、FEPは、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体/4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂である。
各々のローラに弾性層902b、弾性層903bを設けることによって、未定着トナー像tを溶融定着させるのに必要な定着ニップNの幅を確保できる。
また、定着ローラ902側に弾性層902bを設けることにより、次のような効果が得られる。すなわち、トナー像tが定着ニップ部Nを通過する際に、弾性層902bがトナー層に沿って変形し、画像上不均一に載っているトナーが弾性層902bによって包み込まれ、均一に熱を与えられることにより、均一な定着が達成される。
このように均一に定着された画像は、光沢ムラがなく、特にOHT(オーバーヘッドプロジェクタ用透明シート)を定着した際に、画像の光透過性が優れるという特徴をもつ。
未定着トナー像tがニップ部Nを通過する際、未定着トナー像tは定着ローラ902側に位置しているため、未定着トナー像tの一部が定着ローラ902に付着する、所謂オフセット現象を生じる可能性がある。このため、本実施例の定着装置では、定着ローラ芯金902aにトナーと同極性の直流バイアス電圧を印加し、加圧ローラ芯金903aの表面にトナーと異極性の直流バイアス電圧を印加して、定着ローラ902へのトナーのオフセット防止が図られている。本実施例では600Vから1000Vの直流バイアス電圧を印加している。
図6は、実施例2における温度検知装置としてのサーミスタ905を示したものである。図6(a)はサーミスタ905を正面から見た模式図、図6(b)はサーミスタ905を側面から見た断面模式図、図6(c)はA−A’部における断面模式図、図6(d)は
斜視図である。
サーミスタ905は、実施例1におけるサーミスタ105とほぼ同様の構成をしているが、アーム3の一部を含めた感温素子1の周囲を包んでいる絶縁耐熱フィルムの折り曲げ方が異なる。
本実施例では、絶縁耐熱フィルム24として、カプトン(登録商標)100MTを2枚重ねて使用している。絶縁耐熱フィルム24は、略3等分するように図6において左右のD−D’部及びE−E’部で粘着剤層を内側に折り返され、感温素子1及びアーム3の一部を包むように張り合わされる。(アーム3の接続方向に略直交する方向において両端となる両端裁断部24a,24bが、前記接続方向に沿ってそれぞれ同じ側に折り返されることにより感温素子1を覆っている。)その後、感温素子1を通るA−A’部に沿って(前記接続方向に略直交する方向に沿って)、両端裁断部24a,24bが折り返される側と同じ側にアーム3ごと折り曲げられている。
本実施例の構成では、感温素子1が存在するA−A’部のみを被温度検知体と接触させることができるため、感温素子1と被温度検知体(本実施例では定着ローラ902)との距離を精度良く保て、感温素子の熱応答性を良好なものにできる。
図8を用いて、実施例2における被温度検知体と感温素子1との絶縁距離について説明する。
図8(a),(b)は、サーミスタ905と被温度検知体Tとの位置関係を示した図であり、サーミスタ905を側面から見た断面模式図となっている。
折り曲げ部A−A’から絶縁耐熱フィルム24の裁断部(アーム3の接続方向において感温素子1に対してアーム3が設けられていない側の裁断部)B−B’までの距離をy、被温度検知体Tと絶縁耐熱フィルム24とがなす角(B−B’側)の角度をθとする。但し、θは90°以下とする。
被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離は、絶縁耐熱フィルム24の裁断部B−B’と被温度検知体T表面との空間的な距離y×sinθの大きさによって変化する。
y×sinθが1mm未満、もしくは電気安全規格IEC60950で定められた必要な空間距離の3分の1未満の場合、被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離は後述の空間距離と同じ経路の長さになる。
y×sinθが1mm以上、もしくは電気安全規格IEC60950で定められた必要な空間距離の3分の1以上の場合、被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離は、次のような経路の長さになる。すなわち、折り曲げ部A−A’に対応する被温度検知体T表面から、絶縁耐熱フィルム24表面に沿って絶縁耐熱フィルム24の裁断部B−B’まで進み、絶縁耐熱フィルム24の隙間を感温素子1に至るまで進む経路の長さになる。
この経路は図8(a)中の点線で示したようになり、沿面距離は2×yとなる。
被温度検知体Tから感温素子1までの空間距離は、次のような経路の長さになる。すなわち、絶縁耐熱フィルム24の裁断部B−B’から被温度検知体T表面に下ろした垂線の足を出発点とし、絶縁耐熱フィルム24の裁断部B−B’まで空間を直線で進み、絶縁耐熱フィルム24の隙間を感温素子1に至るまで進む経路の長さになる。この経路は図8(b)中の点線で示したようになり、空間距離はy×(1+sinθ)となる(但し0≦θ
≦90°の場合に限る)。
本実施例においてはy=2.0mm、θ=60°とした。
実施例2の定着装置を用いて、A4サイズ紙を20万枚通紙する耐久試験を行った結果、温度誤検知等の不具合は発生しなかった。
本実施例の比較例として、絶縁耐熱フィルム24の裁断部B−B’が被温度検知体Tに接触している従来のサーミスタを比較例2とする。
図9は比較例2におけるサーミスタの断面図である。
被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離は、絶縁耐熱フィルム24裁断部B−B’に対応する被温度検知体T表面から、絶縁耐熱フィルムの隙間を進み、感温素子1に至るまでの経路の長さになる。この経路は図9中の点線で示したようになり、沿面距離はyとなる。
被温度検知体Tから感温素子1までの空間距離は、沿面距離と同様の経路の長さとなり、yとなる。
比較例2では、実施例2と同じ幅の絶縁耐熱フィルムを用いた(y=2.0mm)。
比較例2の定着装置を用いて、実施例2と同様の耐久試験を行った結果、18万枚通紙したところで、温度検知不良が発生した。
不良が発生した定着装置を調査したところ、耐久によって定着ローラのコーティング層902cにピンホール(画像表面性には影響がない程度の小さな傷、穴)ができていることが確認された。ピンホールができたことで、定着ローラ芯金902aに印加したバイアス電圧が導電ゴムよりなる弾性層902bからサーミスタ905に直接かかり、感温素子1へと電流がリークして温度を誤検知したものと思われる。
以上説明したように、本実施例のように絶縁耐熱フィルム24の裁断部が被温度検知体Tに触れないような構成にすることにより、同じ幅の絶縁耐熱フィルムを用いた比較例2よりも、絶縁距離(空間距離及び絶縁距離)をy×sinθ以上増やすことができる。
すなわち、従来例より絶縁フィルムの幅を狭くしても充分な絶縁距離を確保することができ、高電圧のリークや温度誤検知を防ぎつつ、より小型な温度検知装置を提供することができる。また、絶縁耐熱フィルムの長さを短くすることができるため、材料費の削減につながり、より低コストの温度検知装置を提供することができる。
なお実施例2では、定着ローラ902の温度を検知するサーミスタ905に対し本発明を適用したが、加圧ローラ903の温度を検知するサーミスタ906に対して本発明を適用しても同様の効果が得られる。
以下に、本発明の実施例3について、図10〜図13を用いて説明する。なお、実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施例における加熱装置は、実施例1で使用した定着ベルト方式、加圧用回転体駆動方式の定着装置と同様の構成をしているが、ヒータ100の代わりにヒータ(基板)裏面
に抵抗発熱体を設けた発熱部材としてのヒータ300を用いている。また、ヒータの温度を検知するサーミスタ106に代わり、本発明を適用したサーミスタ306を用いている。
図11は定着ヒータ300の一例の構造模型図であり、図11(a)はヒータ表面側の途中部分省略の平面模型図、図11(b)はヒータ裏面側の途中部分省略の平面模型図、図11(c)は拡大横断面模型図である。
図11において、300aは基板、300bは抵抗発熱体、300cは電極、300dは絶縁コート層をそれぞれ示している。
本実施例では、基板300aとして、厚みが0.6mmで、通紙方向と略直交する方向を長手方向とする横長の窒化アルミニウム基板を用いた。基板300a上には実施例1のヒータ100と同様、抵抗発熱体300b、電極300c及び絶縁コート層300dがスクリーン印刷法によって形成されている。但し実施例1とは異なり、これらが形成されている面が基板300aの裏面にあたる。
定着ヒータ300は、その表面(抵抗発熱体300bが形成されている面とは反対面)を定着ベルト102に当接させるよう、ヒータホルダ101に接着して配設してある。
図10は、実施例3における温度検知装置であるサーミスタ306を示したものである。図10(a)はサーミスタ306を正面から見た模式図、図10(b)はサーミスタ306を側面から見た断面模式図、図10(c)は斜視図である。
図10において、31は感温素子(温度検知素子、サーミスタ素子)であり、基体35上に設けられた弾性をもつ断熱部材32上に配設されている。感温素子31には外部引き出し線36が電気的に接続されている。感温素子31及び断熱部材32の周囲は、絶縁耐熱フィルム34により囲まれており、感温素子31と被温度検知体(実施例3の場合はヒータ300)との間に必要な絶縁距離を確保している。感温素子31は、断熱部材32の弾性により所定の押圧で、被温度検知体表面に対し絶縁耐熱フィルム34を介して押し当てられている。
本実施例では、絶縁耐熱フィルム34として、東レ・デュポン社のカプトン(登録商標)50Hを使用している。カプトン(登録商標)50Hは、厚み12.5μmの絶縁性及び耐熱性に優れたポリイミドシートであり、本実施例では片面に粘着剤層を形成し2枚重ねて使用している。
図12(a)〜(d)は、本実施例における絶縁耐熱フィルム34の配設方法の説明図である。
絶縁耐熱フィルム34は、絶縁耐熱フィルム34の粘着剤層が内側になるようにU字型に曲げられ、図12(a)で示したように感温素子31及び断熱部材32に貼り付けられる。その後、絶縁耐熱フィルム34の端部が、感温素子31及び断熱部材32を包むように折り曲げ処理されている(感温素子31が取り付けられた断熱部材32の周囲を取り囲むように裁断部が折り曲げられる)。ここで、絶縁耐熱フィルム34の端部の折り曲げは、図10(c)の様に処理しても良いし、例えば、図12(b),(c),(d)で示したように処理しても構わない。
図13を用いて、実施例3における被温度検知体と感温素子31との絶縁距離(沿面距離及び空間距離)について説明する。
図13は、サーミスタ306と被温度検知体Tとの位置関係を示した図であり、サーミスタ306を正面から見た断面模式図なっている。
絶縁耐熱フィルム34の側端折り曲げ部から裁断部までの距離をx、側端折り曲げ部から感温素子1までの距離をyとする。
被温度検知体Tから感温素子31までの沿面距離は、図13中の点線で示した経路の長さとなり、沿面距離は2x+yとなる。
被温度検知体Tから感温素子31までの空間距離は、沿面距離と同様の経路の長さとなり、2x+yとなる。
本実施例においてはx=1.1mm、y=0.8mmとした。すなわち、被温度検知体Tから感温素子31までの沿面距離及び空間距離は3.0mmとなる。
実施例3の定着装置を用いて、雷サージ試験を行った。
2箇所のヒータ電極300cを導線で短絡した後、電極300cと定着装置のアース接点間に、雷サージ試験として規定されているサージ電圧波形(印加電圧±6kV)を印加して試験を実施した。
雷サージ試験の結果、定着装置の破壊は起きず問題なかった。
実施例3の比較例として、サーミスタ両側面で絶縁耐熱フィルムの折り曲げ処理をしていない従来のサーミスタを比較例3とする。
図14は、比較例3におけるサーミスタと被温度検知体Tとの位置関係を示した図であり、サーミスタを正面から見た断面模式図なっている。このサーミスタは、図12(a)の様にサーミスタ両側面で絶縁耐熱フィルムの折り曲げ処理をしておらず、絶縁耐熱フィルムの裁断部が被温度検知体Tに接触している。
比較例3において、絶縁耐熱フィルムの幅を、実施例3のサーミスタ306で使用した絶縁耐熱フィルム34と同じ幅とした場合、沿面距離、空間距離の長さは共に、図14中の点線で示した経路の長さであり、x+yとなる。
すなわち、比較例3において、実施例3と同じ幅の絶縁耐熱フィルムを用いた場合(x=1.1mm、y=0.8mm)、被温度検知体Tから感温素子1までの沿面距離及び空間距離は1.9mmとなる。
比較例3の定着装置を用いて、実施例3と同様の雷サージ試験をおこなった結果、ヒータ300からサーミスタ306へと電流がリークし、感温素子が破壊されたためNGとなった。
以上説明したように、本実施例では、サーミスタ両側面で絶縁耐熱フィルムの折り曲げ処理を行い、絶縁耐熱フィルム34の裁断部が被温度検知体Tに触れないような構成している。このことによって、同じ幅の絶縁耐熱フィルムを用いた比較例3よりも、絶縁距離(空間距離及び絶縁距離)をxだけ増やすことができる。
すなわち、従来例より絶縁フィルムの幅を狭くしても充分な絶縁距離を確保することが
でき、より小型な温度検知装置を提供することができる。また、絶縁耐熱フィルム34の長さを短くすることができるため、材料費の削減につながり、より低コストの温度検知装置を提供することができる。
実施例1における温度検知装置の模式図である。 実施例1における加熱装置の概略構成模式図である。 実施例1における発熱部材の構造模型図である。 実施例1における温度検知装置と被温度検知体との絶縁距離を説明した図である。 比較例1における温度検知装置と被温度検知体との絶縁距離を説明した図である。 実施例2における温度検知装置模式図である。 実施例2における加熱装置の概略構成模式図である。 実施例2における温度検知装置と被温度検知体との絶縁距離を説明した図である。 比較例2における温度検知装置と被温度検知体との絶縁距離を説明した図である。 実施例3における温度検知装置模式図である。 実施例3における発熱部材の構造模型図である。 実施例3における絶縁フィルムの配設方法を説明した図である。 実施例3における温度検知装置と被温度検知体との絶縁距離を説明した図である。 比較例3における温度検知装置と被温度検知体との絶縁距離を説明した図である。
符号の説明
1 感温素子
3 アーム
4,4a,4b 絶縁耐熱フィルム
4c 裁断部
102 定着ベルト

Claims (12)

  1. 感温素子と、
    前記感温素子に取り付けられる絶縁フィルムと、
    を備え、前記感温素子が前記絶縁フィルムを介して被温度検知体に接触するように配置されることにより、前記被温度検知体の温度を検知する温度検知装置において、
    前記絶縁フィルムは、温度検知装置本体が配置される配置スペースよりも大きい大きさに裁断されて前記感温素子に取り付けられ、
    前記感温素子に取り付けられた前記絶縁フィルムの裁断部が前記被温度検知体に接触しないように前記絶縁フィルムが折り曲げられることにより、前記感温素子と前記被温度検知体との絶縁距離を確保することを特徴とする温度検知装置。
  2. 前記絶縁フィルムは、
    前記感温素子に電気的に接続された接続部材の接続方向に直交する方向に沿って折り返されることにより前記感温素子を覆い、
    さらに、前記接続方向に直交する方向において両端となる裁断部がそれぞれ同じ側に折り曲げられ、
    前記折り曲げられた側とは反対側の絶縁フィルムを介して前記感温素子が前記被温度検知体に接触するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の温度検知装置。
  3. 前記絶縁フィルムは、
    前記感温素子に電気的に接続された接続部材の接続方向に直交する方向において両端となる両端裁断部が、前記接続方向に沿ってそれぞれ同じ側に折り返されることにより前記感温素子を覆い、
    前記接続方向において前記感温素子に対して前記接続部材が設けられていない側の裁断部は、前記感温素子の配設位置で、前記接続方向に直交する方向に沿って、前記両端裁断部が折り返される側と同じ側に折り曲げられることを特徴とする請求項1に記載の温度検知装置。
  4. 前記感温素子は、断熱部材に取り付けられ、
    前記感温素子に取り付けられた前記絶縁フィルムは、前記断熱部材の周囲を取り囲むように裁断部が折り曲げられることを特徴とする請求項1に記載の温度検知装置。
  5. 発熱部材と、
    前記発熱部材により加熱される定着部材と、
    前記定着部材とニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    を備え、
    前記ニップ部で記録材を挟持搬送することにより前記記録材上の未定着のトナー像を定着させる加熱装置において、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の温度検知装置を備えることを特徴とする加熱装置。
  6. 前記被温度検知体は前記定着部材であり、無端状のベルト形状により構成されていることを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
  7. 少なくとも前記定着部材の前記温度検知装置が接触する面は導電体であることを特徴とする請求項6に記載の加熱装置。
  8. 前記被温度検知体は前記定着部材であり、ローラ形状により構成されていることを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
  9. 前記被温度検知体は、前記発熱部材であることを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
  10. 前記被温度検知体は、前記ニップ部形成部材であることを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
  11. 前記ニップ部形成部材は、ローラ形状により構成されていることを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項に記載の加熱装置。
  12. 前記温度検知装置により検知された温度情報に応じて、前記発熱部材の発熱量を調節する調節手段を備えることを特徴とする請求項5乃至11のいずれか1項に記載の加熱装置。
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