JP2006171650A - 電子写真用定着部材及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面平滑性に優れ、なおかつ、接着耐久性に優れた定着部材を提供すること。
【解決手段】 基材上に弾性体層、プライマー層、表層をこの順に有している電子写真用定着部材であって、前記プライマー層と表層は、それぞれふっ素樹脂を含み、該プライマー層および該表層中のふっ素樹脂の融点をそれぞれmp1、mp2とすると、mp1≦mp2でありかつ、(mp2+20)℃での溶融粘度をそれぞれM1、M2とすると、M2≦M1の関係であることを特徴とする電子写真用定着部材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機・レーザービームプリンタ(LBP)等の電子写真装置に配設される定着部材及びそれを用いた画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式を用いた複写機・プリンタ・ファックス等の画像形成装置における記録材上の未定着画像を定着する定着装置としては、熱効率、安全性が良好な接触加熱方式の定着装置が広く知られているが、熱伝達効率が高く、装置の立ち上がりも早い方式として、熱容量の小さなベルトを介して加熱するベルト加熱方式の定着装置が、省エネルギー化の観点から多く採用されている。
このベルトを基層として、弾性材料や離型材料を積層させることによって定着部材が構成されており、これらの構成材料においても省エネルギー化への工夫がなされている。例えば、ふっ素樹脂などの離型材料からなる表層においては、熱効率の観点からできるだけその膜厚は薄いほうが望ましく、これを実現する手段としては、基層あるいはゴム弾性層の上にふっ素樹脂分散液などをスプレーでコーティングして膜を形成するという方法がある。しかしこの方法には、チューブを被覆して表層を形成するという方法に比べると、表面平滑性の良好な膜に仕上げることが難しく、従って良質な画像が得られにくいという課題がある。さらに、表層と基層あるいは弾性層との接着不良などによる表層の剥離や磨耗といった耐久性における課題がある。これらの課題を解決する手段として、例えば接着耐久性の改善においては、シリコーンゴム上にテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の分散液を塗布し、その上にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)分散液を塗布してふっ素樹脂の多層構造を形成する方法がある(特許文献1)が、これは、FEPの融点が低いため、部材としての耐熱性に劣ると考えられる。またゴム中にPFAの粉末を練りこんで表層のPFA層との接着性を向上させる手法がある(特許文献2)。しかしこれは、ゴムの粘度および硬度を高める結果となり、作業効率が悪くなる懸念がある。
特許文献1:特開平8-328418
特許文献2:特開2000-167947
これまでに述べたように、ゴム弾性層上にふっ素樹脂表層膜を積層する場合、定着部材としての伝熱効率を保ちながらも、弾性層とふっ素樹脂層、あるいはふっ素樹脂層同士の層間接着力および、ふっ素樹脂表層の表面平滑性を満足し、優れた耐久性と画像形成を実現することが課題である。しかし現状ではいずれの技術も、これらの要求を全て満足させるには不十分である。
そこで、本発明は、表面平滑性と接着耐久性が良好な定着部材を提供することを目的とする。
上記目的を実現するために、本出願に係る第1の発明は、本発明の主たる目的に必要最小限なものであり、基材上に弾性体層、プライマー層、表層をこの順に有している電子写真用定着部材であって、前記プライマー層と表層は、それぞれふっ素樹脂を含み、該プライマー層および該表層中のふっ素樹脂の融点をそれぞれmp1、mp2とすると、mp1≦mp2でありかつ、(mp2+20)℃での溶融粘度をそれぞれM1、M2とすると、M2≦M1の関係であることを特徴とする定着部材を提供するものである。mp1≦mp2とすることにより、焼成過程における初期段階でプライマーを溶融させることが可能となり、結果、二種の樹脂層間の接着力を強固にすることが可能である。
また、M2≦M1とすることによって、プライマーがゴム弾性層の表面に強度が大きい膜を作り、これがバリア層として働くため、表層の樹脂がゴムの熱膨張による影響を受けることなく優れた表面性を実現することができる。ここで言う「融点」とは、いわゆる示差走査熱量分析装置(DSC)により測定された吸熱ピークのことで、下記条件で測定された値を示す。
昇温条件:室温〜450℃
昇温速度:10℃/min
ここで、吸熱ピークとは第1回加熱時の吸熱ピークの最大値を示す。なお、測定装置としては特に限定されるものではないが、例えばセイコーインスツルメンツ(株)製RDC-220などを挙げることができる。
また、「(mp2+20)℃での溶融粘度」とは、以下の様に定義される値をいう。
高化式フローテスターrCFT−500型」(島津製作所製)を用いて、測定条件を、荷重20kg/Cが、ノズルの直径1mm、ノズルの長さ1mm、予備加熱(mp2+20)℃で5分間とし、サンプル量1cm’(真比重X1cm’で表される重量)を押し出した時に次式から溶融粘度Vlを算出する。
VI=0.1πR4P/8LQ’(Pa・S)
P:試験圧力
L:ノズルの長さ
R:ノズルの半径
Q’:A△X/△t 流れ値
(ΔX:測定ストローク、Δt:計測時間、A:ジリンダ−断面積)
また、上記目的をより効果的に実現するために、本出願に係る第2の発明は、第1の発明におけるふっ素樹脂についての発明であり、ふっ素樹脂の融点および(mp2+20)℃での溶融粘度がそれぞれ、mp1=270〜300℃、M1=1×104〜1×105Pa・Sでありかつ、mp2=300〜340℃、M2=1×103〜1×104Pa・Sの範囲であることを特徴とする。融点mp1、mp2は、これより定着部材として加熱時に使用する時の耐熱性が十分となる。また、この温度では樹脂を焼成して溶融する際に適当な温度設定が可能となり、弾性層のゴムに対して熱劣化を防止することができる。よって、前記記載の範囲が本発明の目的を実現するために特に好適である。
[図1](a)は本発明を実施した形態の一例であり、基層上に弾性層11、プライマー層12、表層13を順次有してなる定着部材の断面図を示している。
本発明の定着部材において、基層は、SUS、ニッケル、アルミ等の金属、またはポリイミド、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂から選ばれる。中でも高機械的強度、柔軟性、高熱伝導性の観点からニッケル製エンドレスベルトが好適である。
弾性層11は耐熱エラストマーとしてシリコーンゴム、フッ素ゴムまたはこれらの混合物が好ましい。シリコーンゴムとしては、架橋反応の形態として特に限定されないが、シリコーンゴムの厚みをできるだけ薄くするには、液状付加反応型が好適に用いられる。
また、シリコーンゴムは官能基の種類が様々に知られているが、それら公知の種類の官能基を有したシリコーンゴムを用いても構わない。特に、メチル基のみを有したジメチルシリコーンゴムや、フェニル基を有したメチルフェニルシリコーンゴム/フェニルシリコーンゴムがトナー定着部材用に良く知られ、好んで用いられる。
シリコーンゴムには、耐熱や伝熱や補強や増量等を目的として、無機系の粉末状の充填剤を配合しても良い。無機系充填剤は公知のものを用いることが出来る。例えば、結晶性シリカ、煙霧状シリカ、酸化鉄、アルミナなどを例示できる。好ましくは、これらの無機充填剤を、シリコーンゴム100重量部に対して、0.1重量部〜100重量部配合してなるものを用いる。
この他、シリコーンゴムには各種特性の調整のために配合剤を加えても良い。
プライマー層12および表層13は、いずれもふっ素樹脂によって形成され、その関係は、プライマー層12および表層13を構成するふっ素樹脂の融点をそれぞれmp1、mp2とすると、mp1≦mp2でありかつ、(mp2+20)℃での溶融粘度をそれぞれM1、M2とすると、M2≦M1の関係であることが望ましい。より好ましくは、ふっ素樹脂の融点および(mp2+20)℃での溶融粘度がそれぞれ、mp1=270〜300℃、M1=1×103〜1×104Pa・Sでありかつ、mp2=300〜340℃、M2=1×102〜1×103Pa・Sの範囲であることが望ましい。これは、シリコーンゴム層との接着力を確保するとともに平滑性の良好な表層膜を形成することにおいても有利なためである。これらのふっ素樹脂の融点および溶融粘度の調整は、一般的に知られている手法として、分子量を調整することによって変えることが可能である。
また、プライマーおよび表層に使用されるふっ素樹脂の種類は、公知である種類の材料を用いることができるが、耐熱性、機械的強度、およびトナー離型性等の観点から、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いる事が好ましい。
プライマーは、PFAを主成分として、これに、バインダー物質として、PFAと親和性のある耐熱性樹脂である芳香族ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂を混合して水性分散体に調製したものを、ふっ素樹脂系プライマーとすることも好ましい。
なお、プライマーの膜厚としては、1μm〜10μmくらいが可能であるが、表面性を考慮すると、5μm以下がより好ましい。表層の膜厚としては、5μm〜30μmくらいが可能であるが、表面性および伝熱効率を考慮すると、10μm〜20μmの範囲がより好ましい。
以上説明した本発明によれば、プライマー層および表層を構成するふっ素樹脂の融点および溶融粘度の範囲およびその関係を規定することのよって表面平滑性に優れ、なおかつ、接着耐久性に優れた定着部材を提供することができる。
以下実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは何ら本発明を限定するものではない。
実施例1
本発明の定着部材を作製する手段について、[図1](b)にその形態を示しながら説明する。なお、この定着部材は主に複写機、レーザービームプリンタ(LBP)等の電子写真装置に配設されるものである。
基層としては、外径70mm、厚さ30μmのニッケル製無端ベルトを用意した。このベルトをアルミ製中空中子に挿入してワーク回転治具に装着し、ワークをベルト周方向に一定速度で回転させたベルト表面に、シリコーン用プライマー(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 商品名 DY39-051)を薄塗りして、200℃の温風オーブンにて1時間の加熱処理を行った。冷却後にベルト表面に、付加反応型の2液混合タイプの液状シリコーンゴム原料(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 商品名 DY35-561)を、A液:B液=1:1(重量比)で混合し、膜厚が300μmになるように均一に塗布した。その後200℃の温風オーブンにて4時間加熱して加硫を施し、室温に戻るまで放冷した。次に、以上のように加硫したシリコーンゴム表面に、融点が295℃でありかつ、(mp2+20)℃での溶融粘度が1.5×103Pa・Sであるふっ素樹脂を水性分散体に調製したプライマーを塗布した。塗料用のスプレーガン(アネスト岩田(株)製 商品名 自動ガン 品番;WA-100-101P)により、ベルトからの距離を15cmに保ちながら、長軸方向に一定速度で移動させながら、アルミ製中空中子に挿入してワーク回転治具に装着し、ワークをベルト周方向に一定速度で回転させたベルト表面に塗布、乾燥した。プライマーの膜厚の制御は、ワーク回転速度、または塗装ガンの吐出量、およびガン移動速度で調製した。塗布後、ふっ素樹脂ののり量の確認を重量測定によって行い、プライマーの膜厚が3μm〜5μmになっていることを確認した。その後に、表層を形成するふっ素樹脂材料としてふっ素樹脂(PFA 融点:310℃ (mp2+20)℃での溶融粘度:9.0×102Pa・S)の水系ディスパージョン液(ダイキン工業(株)製 商品名 ネオフロンPFA 品番;AD-2CR)をスプレー塗布した。スプレー塗布の方法は、プライマーと同様に塗料用のスプレーガンを使用し、長軸方向に一定速度でガンを移動させながら、アルミ製中空中子に挿入してワーク回転治具に装着し、ワークをベルト周方向に一定速度で回転させたベルト表面に、PFAディスパージョン液をスプレー塗布した。ワーク回転速度およびスプレーガンの吐出量と霧化圧を調整することによって、加熱焼成後の表層の厚さが15μm〜20μmの範囲に収まるように調整した。膜厚の管理はスプレー塗布後の重量を管理することで行った。以上の手法によりシリコーンゴム、プライマー、ふっ素樹脂ディスパージョン液の順で積層させたベルトをオーブンに入れ、室温から370℃まで一時間かけて加熱焼成した。
実施例2
実施例1で用いたプライマーのふっ素樹脂において、融点が270℃でありかつ、(mp2+20)℃での溶融粘度が1.4×103Pa・Sとなるように調整したふっ素樹脂に変更した以外は、実施例1と同じ方法で定着部材を作製した。
実施例3〜実施例6
実施例1で用いたプライマー、または表層のふっ素樹脂において、融点、または(mp2+20)℃での溶融粘度を調整したものに変更した以外は実施例1と同じ方法で定着部材を作製した(詳細は[表1]に記載)。
比較例1
実施例1で用いたプライマーのふっ素樹脂の(mp2+20)℃での溶融粘度を1.9×103Pa・Sに変更し、さらに表層のふっ素樹脂を、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE 融点:270℃、(mp2+20)℃での溶融粘度:2.0×103Pa・S)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で定着部材を作製した。
比較例2
実施例1で用いたプライマーのふっ素樹脂において、融点が260℃でありかつ、(mp2+20)℃での溶融粘度が7.0×102Pa・Sとなるように調整したものに変更した以外は、実施例1と同じ方法で定着部材を作製した。
比較例3
実施例1で用いたプライマーを、PFA(三井デュポンフロロケミカル(株)製 商品名 855-312 TEFLON PRIMER BLUE(融点:330℃、(mp2+20)℃での溶融粘度:3.0×103Pa・S))に変更した以外は、実施例1と同じ方法で定着部材を作製した。
比較例4、比較例5
実施例1で用いたプライマー、または表層のふっ素樹脂において、融点、または(mp2+20)℃での溶融粘度を調整したものに変更した以外は実施例1と同じ方法で定着部材を作製した。
以上に述べたように検討した実施例1〜6および比較例1〜5を[表1]に示す。
Figure 2006171650
[性能の評価 −加熱定着装置−]
上記の実施例および比較例の性能を評価するために、[図2]に示すような定着装置を用意した。[図2]は本発明の性能を評価した加熱定着装置の一例であり、加熱定着装置200は加熱体としてセラミックヒータを用いたベルト加熱方式の装置であり、定着ベルト210は前述の本発明のものである。
ベルトガイド216cは耐熱性・断熱性のベルトガイドである。加熱体としてのセラミックヒータ212は、ベルトガイド216cの下面のほぼ中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に嵌入して固定支持させてある。そして、円筒状もしくはエンドレス状の本発明の定着ベルト210はベルトガイド216cにルーズに外嵌させてある。
加圧用剛性ステイ222はベルトガイド216cの内側に挿通してある。
加圧部材230は、本例では弾性加圧ローラである。この加圧部材230は、芯金230aにシリコーンゴム等の弾性層230bを設けて硬度を下げたもので、芯金230aの両端部を装置の不図示の手前側と奥側のシャーシ側板との間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。弾性加圧ローラは、表面性を向上させるために、さらに外周にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素樹脂層を設けてもよい。
加圧用剛性ステイ222の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設することで、加圧用構成ステイ222に押し下げ力を作用させている。これにより、ベルトガイド部材216aの下面に配設した摺動板240の下面と加圧ローラ230の上面とが定着ベルト210を挟んで圧接して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。なお、ベルトガイド部材216としては、耐熱フェノール樹脂、LCP(液晶ポリエステル)樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等、耐熱性に優れた樹脂を用いる。
加圧ローラ230は、駆動手段Mにより矢示のように反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ230の回転駆動による加圧ローラ230と定着ベルト210との外面との摩擦力で定着ベルト210に回転力が作用して、定着ベルト210はその内面が定着ニップ部Nにおいてセラミックヒータ212の下面に密着して摺動しながら、矢示のように時計方向に加圧ローラ230の回転周速度にほぼ対応した周速度でベルトガイド216cの外回りに回転する(加圧ローラ駆動方式)。
本実施例では外径20mmの加圧ローラを用いてある。
プリントスタート信号に基づいて加圧ローラ230の回転が開始され、またセラミックヒータ212のヒートアップが開始される。加圧ローラ230の回転による定着ベルト210の回転周速度が定常化し、セラミックヒータ212の温度が所定温度に立ち上がった状態において、定着ニップ部Nの定着ベルト210と加圧ローラ230との間に被加熱材としてのトナー画像tを担持させた被記録材Pがトナー画像担持面側を定着ベルト210側にして導入される。そして、被記録材Pは定着ニップ部Nにおいて定着ベルト210を介してセラミックヒータ212の下面に密着し、定着ベルト210と一緒に定着ニップ部Nを移動通過していく。その移動通過過程において、セラミックヒータ212の熱が定着ベルト210を介して被記録材Pに付与され、トナー画像tが被記録材P面に加熱定着される。定着ニップ部Nを通過した被記録材Pは定着ベルト210の外面から分離して搬送される。
加熱体としてのセラミックヒータ212は、定着ベルト210・被記録材Pの移動方向に直交する方向を長手とする低熱容量の横長の線状加熱体である。チッ化アルミニウム等でできたヒータ基板212aと、このヒータ基板212aの表面にその長手に沿って設けた発熱層212b、例えばAg/Pd(銀/パラジウム)等の電気抵抗材料を約10μm、幅1〜5mmにスクリーン印刷等により塗工して設けた発熱層212bと、さらにその上に設けたガラスやフッ素樹脂等の保護層212cを基本構成とするものである。なお、用いるセラミックヒータはこのようなものに限定されるわけではない。
そして、セラミックヒータ212の発熱層212bの両端間に通電されることで発熱層212bは発熱し、ヒータ212が急速に昇温する。そのヒータ温度が温度センサ(不図示)に検知され、ヒータ温度が所定の温度に維持されるように制御回路(不図示)で発熱層212bに対する通電が制御されてヒータ212は温調管理される。
セラミックヒータ212は、ベルトガイド216cの下面のほぼ中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に、保護層212c側を上向きに嵌入して固定支持させてある。定着ベルト210と接触する定着ニップ部Nには、このセラミックヒータ212の摺動部材240の面と定着ベルト210の内面が相互接触摺動する。ニップ巾は記録紙のニップ滞留時間確保する為、プロセススピードに対応して変更される。
[性能の評価 −評価方法と結果−]
定着画像の評価方法は、未定着トナー画像(シアン・マゼンタ2色ベタ画像 M/S=1.2)を[図2]に組み込んだ各実施例および比較例の定着ベルトが加圧ローラと加熱圧接したニップ間に通紙して、通紙後のトナー定着画像のグロスを初期グロスとして評価した。グロスの評価は、本発明の目的である極めて高画質なトナー画像を感度良く判定するため、官能的評価にて行った。まず画像の光沢感については、評価に普遍性を与えるために、標準の見本画像を作製し、評価の基準を合わせた。すなわち、グロス値がそれぞれ30、40、50((株)堀場製作所製 IG-320 入射角60°使用にて)となるような3つの見本画像を作製した。これは、平滑面であるアルミシート上にシアン・マゼンタトナーを単位面積あたりのトナーのり量(mg/cm2)が1.2になるように載せ、様々な条件で熱プレスすることにより作製した。この3つの見本画像を数人の被験者に見せ、「光沢感が十分である」と認識してもらった上で、本発明を実施した2色ベタ画像の初期グロスについて、「○=光沢感ある」、「△=光沢感少なめ」「×=光沢感ない」の3水準で評価した。なお、各プロセス条件としては、ニップ内面圧力=1kgf/cm2、定着ベルト表面温度=160℃、定着ベルト回転速度=80rpm(回転/分)に設定した。
空回転耐久試験とその評価については、定着器は、[図2]に示すような加熱定着装置を用いた。これに各実施例および比較例で作成した定着部材を装着し、500時間まで紙を通さずに空回転耐久試験を行った。各プロセス条件としては、ニップ内面圧力=1kgf/cm2、定着ベルト表面温度=210℃、定着ベルト回転速度=80rpm(回転/分)に設定した。100時間毎に定着部材の表面状態を目視で確認し、表層の剥離が見られなければ接着耐久性O.K.レベル、剥離を確認した時点で接着剥れとした。
以上の方法で評価した実施例1〜6および比較例1〜6の結果を[表2]に示す。
Figure 2006171650
性能の評価結果の概要を以下にしめす。
[実施例1]
初期グロスおよび空回転耐久500時間後のベルト表層の表面性はいずれも良好な結果であった。これは、部材の表層が平滑であるとともに、表層と弾性層あるいは、ふっ素樹脂同士の接着力が優れていることを表している。
よって、接着耐久性を確保しながらも表面平滑性に優れた定着部材を提供することができた。
[実施例2]
初期グロス、耐久性、いずれにおいても良好な結果を得た。
[実施例3]
初期グロス、耐久性、いずれにおいても良好な結果を得た。
[実施例4]
初期グロスは良好な結果であったが、耐久性はやや劣る結果となった。これはプライマーふっ素樹脂の融点が低すぎたために、加熱下で接着力が低下したものと考えられる。しかしこれは定着部材として使用するのに耐えうるレベルのものである。
よって、接着耐久性を確保しながらも表面平滑性に優れた定着部材を提供することができた。
[実施例5]
初期グロス、耐久性、いずれにおいても良好な結果を得た
[実施例6]
耐久性では良好な結果であったが、初期グロスはやや劣る結果であった。これは、表層のふっ素樹脂の溶融粘度が高すぎたために表面平滑性が損なわれたためと考えられる。しかしこれは、定着部材として使用するのに耐えうるレベルのものである。
よって、接着耐久性を確保しながらも表面平滑性に優れた定着部材を提供することができた。
[比較例1]
上記実施例に比べ、悪い結果となった。これはプライマーのふっ素樹脂の(mp2+20)℃での溶融粘度が表層のものに比べて小さいために、求めるバリア効果が得られず、表面平滑性が損なわれたうえに、表層ふっ素樹脂の融点がプライマーに比べて低いために、加熱下で接着力が低下したものと考えられる。これは定着部材として使用することが困難なレベルである。
[比較例2]
上記実施例に比べ、悪い結果となった。これはプライマーふっ素樹脂の溶融粘度が表層に対して小さいために、表面平滑性が損なわれたものと考えられる。これは定着部材として使用することが困難なレベルである。
[比較例3]
耐久性において、悪い結果となった。これはプライマーふっ素樹脂の融点が高すぎるために、焼成時でのプライマーの溶融が不足したためにプライマー面が荒れ、結果表層の平滑性に悪影響したものと考えられる。さらに、プライマーの融点が高いために、表層樹脂との溶融接着度合いが低くなり、耐久性が悪くなったと考えられる。これは定着部材として使用することが困難なレベルである。
[比較例4]
耐久性において、悪い結果となった。これは、プライマーのふっ素樹脂の融点が表層に対して高いためと考えられる。また、表層のふっ素樹脂の融点が低すぎるため、耐久性が著しく低下していると考えられる。
[比較例5]
プライマーのふっ素樹脂の融点が表層に対して高いため、耐久性が悪い結果となった。なおかつ、溶融粘度がプライマーに対して表層のふっ素樹脂が高いため、初期グロスでも悪い結果となった。
本発明を実施した形態の一例 本発明の性能を評価した加熱定着装置の一例
符号の説明
11 弾性層
12 プライマー層
13 表層
200 加熱定着装置
210 定着ベルト
212 セラミックヒータ
212a ヒータ基板
212b 発熱層
212c 保護層
216a ベルトガイド部材
216c ベルトガイド
222 加圧用剛性ステイ
230 加圧部材(加圧ローラ)
230a 芯金
230b 弾性層
240 摺動板
312 セラミックヒータ
M 駆動手段
N 定着ニップ部
t トナー画像
P 被記録材

Claims (4)

  1. 基材上に弾性体層、プライマー層、表層をこの順に有している電子写真用定着部材であって、前記プライマー層と表層は、それぞれ少なくとも一つのふっ素樹脂を含み、該プライマー層および該表層中のふっ素樹脂の融点をそれぞれmp1、mp2とすると、mp1≦mp2でありかつ、(mp2+20)℃での溶融粘度をそれぞれM1、M2とすると、M2≦M1の関係であることを特徴とする電子写真用定着部材。
  2. 前記ふっ素樹脂の融点および(mp2+20)℃での溶融粘度がそれぞれ、mp1=270〜300℃、M1=1×103〜1×104Pa・Sでありかつ、mp2=300〜340℃、M2=1×102〜1×103Pa・Sの範囲である請求項1に記載の電子写真用定着部材。
  3. 前記ふっ素樹脂がテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である請求項1または2に記載の電子写真用定着部材。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の電子写真用定着部材を具備していることを特徴とする画像形成装置。
JP2004367876A 2004-12-20 2004-12-20 電子写真用定着部材及び画像形成装置 Pending JP2006171650A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008058226A (ja) * 2006-09-01 2008-03-13 Canon Inc 温度検知装置及び加熱装置
JP2014222327A (ja) * 2013-05-14 2014-11-27 富士ゼロックス株式会社 定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置

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JP2014222327A (ja) * 2013-05-14 2014-11-27 富士ゼロックス株式会社 定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置

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