JP2008058209A - 複合金属ナノ粒子、複合金属ナノ粒子を含む多光子吸収反応材料と反応生成物、複合金属ナノ粒子を含む多光子吸収反応助剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】形状異方性を持つコア粒子(例えば、金ナノロッド)表面に、プラズモン増強場の発現が可能な金属皮膜(例えば、銀)を被覆した複合金属ナノ粒子と多光子吸収材料(例えば、ジアリールエテン、アクリレート系やエポキシ系の光硬化性樹脂等)を混合して用い、三次元光記録媒体、三次元光造形用材料、蛍光顕微鏡などに適用する。
【選択図】図1
Description
すなわち、物質内部の、任意の所望の位置でのみ反応を起こすことが可能であり、更には、集光スポット中心部の光強度の高い部分でのみ光反応を起こすことが可能であるため、回折限界を超える加工・記録への期待が高まっている。
このような問題を有していることから、多光子吸収反応の優れた特徴を活かしたアプリケーションの普及を図るためには、前記大型のパルスレーザーを必要としない、例えば半導体レーザーにより反応を誘起することが可能な高感度な多光子吸収材料の開発が不可欠であると言える。
前者(a)の場合には、ガラス表面等に付着若しくは配列した金属微粒子表面に存在する試料からの蛍光等を、金属微粒子表面の局在プラズモン増強場により増強、観察している。後者(b)の場合は、光の放射圧により微粒子を保持する光ピンセットの原理で微粒子を試料表面でスキャンする等の方法が用いられているが、何れも薄膜表面の分析技術と位置付けられている。
また、観察に適用する波長を選択するための技術として、球形コアセル構造による共鳴波長のチューニングについての技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
この場合、コアとセルの寸法比で共鳴波長が決まるため、共鳴波長の揃った粒子を再現性良く得ることは難しい。
しかし、凝集粒子の凝集塊形状を制御することは難しく、凝集塊の散乱の影響が顕著であることから、マイクロキャビティー中など、微小領域での利用に限られている。
しかし、球状金微粒子の共鳴波長である540nm近傍に共鳴波長がある低アスペクト比の金ナノロッドでは、球形粒子並みの増強度しか得られないという問題がある。さらには、金以外の金属で、このような共鳴波長の揃った微細な高アスペクト比の粒子が得られておらず、420〜500nmにおいて利用可能な大きな増強効果を示すプラズモン増強場発生源は未だ知られていない。
さらに、特許文献7、8に用いているフォトクロミック化合物は可逆材料であるため、非破壊読み出し、記録の長期保存性、再生のS/N比等に問題があり、光記録媒体として実用性のある方式であるとは言えない。
特に非破壊読出し、記録の長期保存性等の点では、不可逆材料を用いて反射率(屈折率または吸収率)または発光強度の変化で再生するのが好ましいが、このような機能を有する2光子吸収材料を具体的に開示している例は無かった。
上記提案では、本発明の目的とする光造形用材料、すなわち、プラズモン増強場を利用して多光子吸収反応を行う光造形用材料に関して記載されていない。
走査型光学顕微鏡に関するものとしては、例えば、照明光の利用効率を向上させたまま、集光素子のNAの拡大、視野数の拡大を可能とする構成の顕微鏡が提案されている(例えば、特許文献12参照。)。
上記提案では、本発明の目的とするプラズモン増強場を利用して多光子吸収を行う蛍光顕微鏡に関して記載されていない。
なお、このような、複合金属ナノ粒子は、形状異方性を付与する最適な製法により得たコア粒子の表面に、プラズモン増強機能の発現に最適な金属皮膜の材質とその被覆方法(光還元法、電解法など)をそれぞれ選択することにより、容易に再現性良く幅広く所望とするアスペクト比で得ることができる。
特に、反応の閾値は下がり、従来必要であったフェムト秒レーザーのような高価な光源が不要となって、応用製品に使用する装置等の大幅なコスト低減が可能となる。
従って、本発明の多光子吸収反応材料を用いれば、三次メモリー、三次元造形等様々な多光子反応過程を利用した応用製品が実現可能となる。
さらに、多光子吸収材料として2光子吸収蛍光材料を用いて2光子蛍光顕微鏡に用いれば、被試験体の劣化や、悪影響をもたらすことなく高感度で観察することが可能である。
また、本発明の多光子吸収反応材料、多光子吸収反応生成物、および多光子吸収反応助剤によれば、三次元の任意の位置で高密度、高精細な反応を惹起できるため、例えば、超高密度光記録や、超精密三次元造形物など回折限界を超える加工・記録が実現可能となる。さらに多光子吸収材料を蛍光顕微鏡に用いれば、高感度で観察することが可能である。
このような、複合金属ナノ粒子は、形状異方性を持つコア粒子の表面に、プラズモン増強機能の発現に最適な金属皮膜選択することにより容易に得られる。被覆方法としては、光還元法、電解法などが用いられ、その他の手法であっても構わない。
即ち、球形状の微粒子に始まって、アスペクト比が大きいほど長波長側に共鳴波長はシフトすると共に、球状の微粒子に比較し大きな増強度を示す。従って、所望の波長において高い増強効果を示す金属微粒子を得るには、材料金属とアスペクト比の選択が重要である。
特に、結晶成長核として、容易に高アスペクト比のナノ粒子が得られる金ナノロッドを用いることにより、再現性良く幅広い金属の高アスペクト比ナノロッドを得ることができる。複合金属として、金属種の選択を変えることにより、プラズモン共鳴波長の最短波長を変えることができ、アスペクト比の選択と合わせて幅広い領域でプラズモン増強場による光の増強効果が利用可能となる。
異種金属が直接接している場合には、表面エネルギー状態の大きなナノ粒子を構成する界面であるので、相互拡散等のメカニズムにより、界面のプロファイルが崩れ、結果として、被覆金属に固有のプラズモン共鳴波長からのズレが生じる。レーザー光を用いた実使用条件では、この過程は加速される。
そこで、異種金属界面を隔離する緩衝層を設けることにより、被覆金属に固有のプラズモン共鳴波長を安定して得ることができる。
複数の金属層においては、各層を構成する金属、各層の厚さ、あるいは各層を構成する分断された各部位の大きさを同一としてもよいし、適宜各条件を変えてもよい。各層を同一とした場合は、吸収波長は同一となり、単一粒子の吸収量を増大させる構成となる。
また、適宜、金属種、厚さの少なくとも1つを変えることで、各層の吸収波長を所望の波長にずらしてもよい。
ここで述べる波長の1/2倍以下の大きさを持つ複合金属ナノ粒子とは、光反応、観察等に用いる光源波長の1/2倍以下であることを意味する。このような波長より更に小さな複合金属ナノ粒子は、空間電場とのカップリングが比較的容易に起こり、電場の振動と同期したプラズモン振動を生じる。しかも、このように小さな複合金属ナノ粒子では、粒子自体による光の散乱の影響が小さくなるため、粒子の分散濃度を上げても混合溶液の励起光散乱による損失の影響は小さい。
ここで、上記多光子吸収材料が、2光子吸収材料であることが好ましい。さらに、上記多光子吸収反応材料は、多光子吸収色素であることが好ましい。
なお、本発明における多光子吸収反応生成物は、このような多光子吸収反応材料の光反応により得られるものである。
ここで、上記多光子吸収反応助剤における多光子吸収反応促進剤が2光子吸収反応促進剤であることが好ましい。
例えば、プラズモン増強場発生源としての複合金属ナノ粒子と、重合開始剤や光増感剤等の多光子(2光子)吸収反応促進剤を組み合せることによって、アクリレート系やエポキシ系等の樹脂を高感度で反応を引き起こすことができる。また、多光子吸収反応助剤を用いることで反応の閾値が下がり、従来必要であった高価な光源(例えば、フェムト秒レーザー)が不要となり、応用製品の製造に用いる装置の大幅なコスト低減が可能となる。
以下代表的な応用例として、三次元多層光メモリ、光造形用材料、2光子蛍光顕微鏡について挙げ説明する。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても50GB以上、好ましくは100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための大容量記録媒体の要求が高まっている。さらに、コンピューターバックアップ用途、放送バックアップ用途等、業務用途においては、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる光記録媒体が求められている。
そのような中、DVD±Rのような従来の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
三次元光記録媒体を提供するためには、三次元(膜厚)方向の任意の場所にアクセスして書き込みできなければならないが、その手段として、2光子吸収材料を用いる方法とホログラフィ(干渉)を用いる方法がある。
すなわち、本発明の多光子吸収反応材料を用いれば、超高密度の2光子吸収三次元光記録媒体は元よりそれを用いた2光子吸収三次元光記録方法及び再生方法が提供される。
基板として、限定するものではないが好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎または静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等が挙げられる。
また、この基板には予め、トラッキング用の案内溝やアドレス情報が付与されたものであってもよい。使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いてもよい。
保護層(中間層)は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布して設けてもよい。あるいは、ガラス板を貼合わせてもよい。
また、保護層と2光子吸収光記録材料(記録層)の間および/または、基材と記録層の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。さらに感光膜間の保護層(中間層)にも予め、トラッキング用の案内溝やアドレス情報が付与されたものであってもよい。
図1の概略図に、本発明における三次元多層光メモリの記録/再生のシステム構成(a)と記録媒体の構成断面(b)を示す。
記録層の厚さは0.01〜0.5μm、中間層の厚さは0.1〜5μmが好ましく、この構造であれば、現在普及しているCD/DVDと同じディスクサイズで、テラバイト級の超高密度光記録が実現できる。さらに、データの再生方法(透過/あるいは反射型)により、基板11と同様の基板(または反射膜)12、あるいは高反射率材料からなる反射膜が設けられた構成とされる。
なお、本発明に従い同様に形成される三次元多層光メモリの形態としては、カード状、プレート状、テープ状、ドラム状等が考えられる。
以下、本発明における光造形用材料の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態により何ら限定されない。
図2に、本発明の複合金属ナノ粒子と多光子吸収材料を含む多光子吸収反応材料を用いて光造形する場合に用いる装置の概略構成図を示す。以下、2光子光造形法として説明する。
なお、図2中、符号23は透過光量を時間的にコントロールするシャッター、24はNDフィルター、27は光手段としてのレンズ、28はコンピュータ、20は光造形物を示す。
(a)回折限界をこえる加工分解能:2光子吸収の光強度に対する非線形性によって、光の回折限界を超えた加工分解能を実現できる。
(b)超高速造形:2光子吸収を利用した場合、焦点以外の領域では、光硬化性樹脂が原理的にも硬化しない。このため照射させる光強度を大きくし、ビームのスキャン速度を速くすることができる。このため、造形速度を約10倍向上することができる。
(c)三次元加工:光硬化性樹脂は、2光子吸収を誘起する近赤外光に対して透明である。したがって焦点光を樹脂の内部へ深く集光した場合でも、内部硬化が可能である。従来のSIHでは、ビームを深く集光した場合、光吸収によって集光点の光強度が小さくなり、内部硬化が困難になる問題点が、本発明ではこうした問題点を確実に解決することができる。
(d)高い歩留り:従来法では樹脂の粘性や表面張力によって造形物が破損、変形するという問題があったが、本手法では、樹脂の内部で造形を行うのでこうした問題は解消される。
(e)大量生産への適用:超高速造形を利用することによって、短時間に、連続的に多数個の部品あるいは可動機構の製造が可能である。
なお、オリゴマーは重合度が2〜20程度の重合体であり、末端に多数の反応基を持つものが好ましく用いられ、さらに、粘度、硬化性等を調整するために反応性希釈剤が加えられてもよい。
特に、光源から発光されるパルスレーザー光の波長が、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域でなくても、パルスレーザー光の照射に際して、多光子吸収過程を利用することにより、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させることが可能となる。
2(多)光子励起レーザ走査顕微鏡(2光子蛍光顕微鏡)とは、近赤外パルスレーザを標本面上に集光し走査させて、そこでの2(多)光子吸収により励起されて発生する蛍光を検出することにより像を得る顕微鏡である。
以下、本発明における2光子蛍光顕微鏡の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態により何ら限定されない。
図3に、本発明における2光子励起レーザ走査顕微鏡(2光子蛍光顕微鏡)の基本構成の概略図を示す。
このような構成により、2光子吸収そのものの非線形効果を利用して、光軸方向の高分解能を得ることができる。加えて、共焦点ピンホール板を用いれば、さらなる高分解能(面内、光軸方向共)が得られる。
これを用いれば、従来の2光子吸収蛍光材料に比較して大きな2光子吸収断面積を有しているので、低濃度で高い2光子吸収特性を発揮する。従って、本発明によれば、高感度な2光子吸収蛍光反応材料が得られるだけでなく、被観察材料に照射する光の強度を強くする必要がなくなり、被観察材料の劣化、破壊を抑制することができ、被観察材料中の他成分の特性に対する悪影響も低下させることができる。
以下の手順で、金ナノロッド分散液、緩衝層(SiO2)皮膜の形成、金ナノロッドをコアとする複合ナノ粒子分散液、複合ナノ粒子と色素の混合分散液を順次作製した。
光還元法を用いた金ナノロッドの作成から順を追って説明する。
原料溶液としてCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)水溶液(0.18mol/l)70ml、シクロヘキサン0.36ml、アセトン1ml、硝酸銀水溶液(0.01mol/l)1.5mlを加え、マグネットスターラーにより攪拌した。さらに、塩化金酸溶液(0.024mol/l)2mlを加えた後、アスコルビン酸水溶液(0.1mol/l)0.4mlを加え、塩化金酸溶液の色が消えたことを確認した。
次に、直径100mmのシャーレーに混合用液を移し、254nmの紫外線を低圧水銀ランプ(アズワン社製、SUV−16)により約20分照射した。この工程により、金ナノロッドが形成され、前記金ナノロッドの安定な分散液が得られた。透過電子顕微鏡による観測の結果、分散液中の金ナノロッドは、平均的な粒子形状が長径50nm、短径12nmであることが確認された。
なお、上記金ナノロッドの作製においては、光還元法による合成を示したが、電解法、種粒子からの成長など各種合成法により得られる金ナノロッドも使用可能なことは言うまでもない。成長条件を変えることにより、長径の異なる(いわゆる、アスペクト比の異なる)金ナノロッドを容易に得ることが可能である。
次に、上記で得られた金ナノロッド分散液5mlに、(3−アミノプロピル)エチルジエトキシシランのアセトン溶液(1vol%)10mlを加え、80℃で2時間加熱処理し、金ナノロッド表面にSiO2皮膜を形成した。この工程により、SiO2皮膜付き金ナノロッドが形成された。
さらに、シクロヘキサン5mlを加えて攪拌することにより、皮膜付金ナノロッドのシクロヘキサン分散液が得られた。ここで、油性溶媒の選択については適宜選択可能であることは言うまでもなく、また、微粒子の分散方法も、チオール基を有する化合物を含め、さまざまな界面活性剤を、油性溶媒の種類、分散特性を考慮して採用することが可能である。
次いで、上記で得られたシクロヘキサン分散液5mlに、硝酸銀のアセトン溶液(0.01mol/l)を0.05ml加え、さらにアスコルビン酸のアセトン溶液(0.01mol/l)を攪拌しながら0.005mlづつ、10回に分け、総量として0.05mlを加え、化学還元により還元した。還元により生じた金属銀は、溶液中に分散した微粒子表面全体をSiO2皮膜上から被覆した。ここで、硝酸銀の添加量により目標とする金属皮膜の膜厚の設定が可能となる。以上の工程により、金ナノロッドをコアとする複合ナノ粒子分散液が得られた。
さらに、下記構造式(I)で表される2光子蛍光色素のアセトン飽和溶液0.5mlを、上記で作製した金ナノロッドをコアとする複合ナノ粒子分散液2mlに注入攪拌し、複合ナノ粒子と色素の混合分散液が得られた。
実施例1において同様にして光還元法を用い、平均的な粒子形状が長径100nm、短径25nmである金ナノロッド分散液を得たこと以外は実施例1と同様の工程により、銀皮膜を被覆した複合ナノ粒子の分散液を作製し、さらに複合ナノ粒子と前記構造式(I)で表される2光子蛍光色素の混合分散液を作製した。
実施例1において同様にして光還元法を用い、平均的な粒子形状が長径200nm、短径50nmである金ナノロッド分散液を得たこと以外は実施例1と同様の工程により、銀皮膜を被覆した複合ナノ粒子の分散液を作製し、さらに複合ナノ粒子と前記構造式(I)で表される2光子蛍光色素の混合分散液を作製した。
実施例1において同様にして光還元法を用い、平均的な粒子形状が長径400nm、短径80nmである金ナノロッド分散液を得たこと以外は実施例1と同様の工程により、銀皮膜を被覆した複合ナノ粒子の分散液を作製し、さらに複合ナノ粒子と前記構造式(I)で表される2光子蛍光色素の混合分散液を作製した。
実施例1において同様にして光還元法を用い、平均的な粒子形状が長径600nm、短径100nmである金ナノロッド分散液を得たこと以外は実施例1と同様の工程により、銀皮膜を被覆した複合ナノ粒子の分散液を作製し、さらに複合ナノ粒子と前記構造式(I)で表される2光子蛍光色素の混合分散液を作製した。
実施例1と同様の工程(〔金ナノロッド分散液の作製〕、〔緩衝層(SiO2)皮膜の形成〕、〔金ナノロッドをコアとする複合ナノ粒子分散液の作製〕)により、コア材料である金ナノロッドの平均的な粒子形状を長径50nm、短径12nmとした、銀被覆の複合ナノ粒子を含有する分散液を得た。
さらに、この複合金属ナノ粒子のシクロヘキサン分散溶液を、実施例1と同様に前記構造式(I)で表される2光子蛍光色素を含む溶液と混合し、複合金属ナノ粒子と2光子蛍光色素の混合分散液を作成した。
以下の手順で、金ナノロッド分散液、緩衝層(SiO2)皮膜の形成、金ナノロッドをコアとする複合ナノ粒子分散液、複合ナノ粒子と色素の混合分散液を順次作製した。
次に、直径100mmのシャーレーに混合用液を移し、254nmの紫外線を低圧水銀ランプ(アズワン社製、SUV−16)により約20分照射した。この工程により、金ナノロッドが形成され、前記金ナノロッドの安定な分散液が得られた。透過電子顕微鏡による観測の結果、分散液中の金ナノロッドは、平均的な粒子形状が長径50nm、短径12nmであることが確認された。
シクロヘキサン2mlに、下記構造式(I)で表される2光子蛍光色素のアセトン飽和溶液0.5mlを混合した2光子蛍光色素溶液を作成した。この溶液は、実施例1〜7に示した複合ナノ粒子と色素の混合分散液から複合ナノ粒子を除いたものに相当する。
実施例7と同様の工程により、界面活性剤であるドデカンチオールにより安定分散された、金ナノロッドのシクロヘキサン分散液5mlを作製した。従って、緩衝層(SiO2)皮膜は形成されていない状態のものである。得られた分散液に、実施例1と同一の構造式(I)で表される2光子蛍光色素を混合し、金ナノロッドと2光子蛍光色素の混合分散液を作製した。
銀被覆の複合ナノ粒子と2光子蛍光色素の混合分散液を光路長1mmの光学セルに入れ、測定試料とした。2光子励起光源には赤外線フェムト秒レーザー、スペクトラフィジックス社製、MaiTai(波長780nm)を用い、焦点距離100mmの集光レンズで混合溶液中にそれぞれ集光点を結び、2光子励起の蛍光を測定した。それぞれの溶液で励起光強度が2倍となると蛍光強度が4倍となる2乗効果が観測され、2光子吸収蛍光であることが確認された。
各銀被覆の複合ナノ粒子と2光子蛍光色素の混合分散液について、2光子蛍光の増強度を下記表1に示す(励起光強度は、平均出力80mWである)。
増強度の評価は、比較例1に示した2光子蛍光色素溶液との比較を基準としている。
評価における記号の意味は次のようである。
◎:著しく増強効果が認められたもの。
○:増強効果が認められたもの。
△:基準溶液と同程度の蛍光強度を示したもの。
2光子蛍光測定1と同じ測定系を用い、励起光源の平均出力を400mWに設定し、2光子蛍光光量の測定を行った。測定に用いた試料(分散液)は、実施例1、実施例7および比較例1である。
3つの試料をそれぞれ光路長1mmのセルに入れ、セル中の試料が励起光源の焦点位置となるようセットし、励起光の連続照射を行った。照射開始直後の蛍光光量および同一点に連続照射を30分行った後の蛍光光量をそれぞれの試料で比較例1と比較し検討した結果を下記表2に示す。比較例1を基準とする相対比較であるため比較例1の記載はない。
評価における記号の意味は次のようである。
◎:著しく増強効果が認められたもの。
○:増強効果が認められたもの。
2光子蛍光測定1と同じ測定系で同じ測定条件で、被覆条件の異なる複合金属ナノ粒子と2光子吸収色素の混合分散液と金ナノロッドと2光子吸収色素の混合分散液について、2光子蛍光強度を観察し、蛍光強度を相対評価した。結果を下記表3に示す。
評価における記号の意味は次のようである。
◎:最も蛍光強度の強かったもの。
○:次に蛍光強度の強かったもの。
△:比較した中で最も蛍光強度の弱かったもの。
すなわち、波長特性可変で、プラズモン増強場の発現により光反応の増強・増感場を形成する複合金属ナノ粒子と、多光子吸収反応材料、あるいは多光子吸収反応助剤を組み合せることによって、反応閾値の低下を伴いつつ物質内部における三次元の任意の位置で反応を引き起こすことが可能であり、三次元多層光記録媒体、三次元光造形用材料、多光子蛍光顕微鏡など多くの超高密度、超高精細、高解像度などの要求を満たす種々の用途に用いることが可能である。
1 記録用レーザー光源
2 再生用レーザー光源
3 ピンホール
4 検出器
5 対物レンズ
6 3次元記録媒体
11 基板
12 基板(又は反射膜)
13 記録ビット
14 記録層
15 中間層(保護層)
20 光造形物
21 近赤外パルスレーザ光源(光源)
23 シャッター
24 NDフィルター
25 ミラースキャナー
26 Zステージ
27 レンズ
28 コンピュータ
29 光硬化性樹脂液
30 2光子励起レーザ走査顕微鏡
31 レーザ光源
32 光束変換光学系
33 走査光学系
34 対物レンズ系
35 標本面
36 ダイクロイックミラー
37 光検出器
Claims (11)
- 形状異方性を持つコア粒子の表面に、プラズモン増強場の発現が可能な金属皮膜を被覆してなることを特徴とする複合金属ナノ粒子。
- 前記形状異方性を持つコア粒子が、金ナノロッドであることを特徴とする請求項1に記載の複合金属ナノ粒子。
- 前記形状異方性を持つコア粒子の表面と、プラズモン増強場の発現が可能な金属皮膜との間に接合界面を隔離する緩衝層を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の複合金属ナノ粒子。
- 前記プラズモン増強場の発現が可能な金属皮膜が、複数の層よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子。
- 前記複合金属ナノ粒子の長手方向の長さが、2光子吸収反応を誘起する光源波長の1/2倍以下の大きさを持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子と多光子吸収材料を含んでなることを特徴とする多光子吸収反応材料。
- 前記多光子吸収材料が、2光子吸収材料であることを特徴とする請求項6に記載の多光子吸収反応材料。
- 前記多光子吸収材料が、多光子吸収色素であることを特徴とする請求項6または7に記載の多光子吸収反応材料。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の多光子吸収反応材料から得られることを特徴とする多光子吸収反応生成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の複合金属ナノ粒子と多光子吸収反応促進剤を含んでなることを特徴とする多光子吸収反応助剤。
- 前記多光子吸収反応促進剤が2光子吸収反応促進剤であることを特徴とする請求項10に記載の多光子吸収反応助剤。
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- 2006-09-01 JP JP2006237207A patent/JP2008058209A/ja active Pending
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