以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について説明する。
第1の実施の形態
図1ないし図4には、本願発明の第1の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この電気炊飯器では、図1に示すように、例えば米および水を収容する内鍋3として非金属材料からなる鍋(例えば、土鍋、セラミック鍋、炭鍋等)が採用されており、その底壁部3aの外周面および該底壁部3aから側壁部3b面に至る間の湾曲面には、内部に誘起される渦電流によって自己発熱が可能な、例えば銀ペースト等の金属製の第1,第2の誘導発熱体G1,G2が個別に貼設されている。この内鍋3の側壁上部3bおよび鍔部3cは、他の部分(即ち、底部3aおよび側壁下部3d)より肉厚とされている。このようにすると、側壁上部3bにおける強度確保と熱容量の増大による保温効果の向上とを図ることができる。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
この電気炊飯器は、同構成の内鍋3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された下部側合成樹脂製の皿状の底壁部4および上部側筒状の側壁部6よりなる内ケース46と、該内ケース46を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記内ケース46とを一体化して形成された炊飯器本体の上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット(蓋)2とから構成されている。
また、この内鍋3の底部外周には、環状の支持脚31が一体に突設されており、該支持脚31を、前記内ケース46の底部外周に周方向に設けられた環状の凹溝部5c内において等間隔に配設された耐熱弾性部材(例えば、シリコンゴム等)からなる3個の支持台18,18,18に当接することにより内鍋3が内ケース46内に収納支持されることとなっている。
上記内ケース4の底壁部(底部)4aの下方側にはコイルカバー93が設けられ、その下部にはフェライトコア7を配置し、またその上部には、上記内鍋3の底壁部3aの下面側と側壁下部3dの外面側の各誘導発熱体G1,G2位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられており、それにより通電時には内鍋3の上記第1,第2の誘導発熱体G1,G2に渦電流を誘起して、内鍋3を間接的に加熱するようになっている。該第1,第2のワークコイルC1,C2は、例えば相互に直列に接続されている(したがって、以下の動作説明および図3の制御回路図では単にワークコイルCとして示す)。
内ケース46の皿状の底壁部4は、底面部4aの中央部に温度検知器として作用するセンタセンサCSのセンサ部嵌合口が形成されているとともに、同センサ部嵌合口の外周側上面にドーナツ状の遮熱板50が設けられている。また、外周側側面部4bの上端側には、所定幅半径方向外方に張り出したフランジ状の段部4cが設けられ、この段部4c部分に上部側筒状の側壁部6の下端6b側が係合載置されている。
他方、上部側筒状の側壁部6の上端6aは、内枠部材9を介して炊飯器本体側上端の肩部材11に連結して固定されている。
そして、上記第1,第2のワークコイルC1,C2の一端は、例えば図3の制御回路図に示すように整流回路35および平滑回路36を介した電源ラインに、また他端はIGBT(パワートランジスタ)37のコレクタにそれぞれ接続されている。
また、上記内ケース46の上部側筒状の側壁部6の外周には、炊飯および保温時において加熱手段として機能する例えばコードヒータ等よりなる側面ヒータH1が設けられており、炊飯時および保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。この側面ヒータH1部分には、同部分の温度を検出するサーミスタからなる側部温度センサS3が設けられている。
そして、それらを例えば図3の制御回路のようにマイコン制御ユニットによって適切に駆動制御することによって適切な炊飯機能と保温機能とを実現できるようになっている。
ところで、本実施の形態の場合、例えば図1に示されるように、上記皿状の下部側底壁部4および筒状の上部側側壁部6からなる内ケース46の内周面と内鍋3の外周面との間には、その底部側から側部上方に到る送風通路を形成する隙間5a〜5gが設けられている。
この隙間5a〜5gは、上記ドーナツ板状の遮熱板50の内側センタセンサCSの外周部5a部分では広く、遮熱板50と内鍋3の底壁部3aとの間5b部分では狭く、内鍋3の底壁部3a外周の支持脚31と対応する部分では平面リング状の凹溝部5cが形成され、さらに内鍋3の底壁部3aから側壁上部3bに到る側壁下部3dに対応する湾曲部5d部分では狭い状態から徐々に広くなって上下方向にストレートな側壁上部3bの下部に達した部分5eでは最も広くなって断面積の大きな熱風留り空間を形成している。
そして、同内鍋3の側壁上部3bの下部部分から肩部開口縁部3cに到るまでの上下方向にストレートな部分5fでは、上記内ケース46の上部側側壁部6と内鍋3の側壁上部3bとが近接する位の狭い隙間に形成され、やがて外ケース1側の肩部材11と内鍋3の開口縁部3cとの間の広い隙間5gを介して炊飯器本体と蓋ユニット2との間の隙間から外部に開放されている。
一方、本実施の形態では、上下方向に対向する電磁誘導加熱手段としての第1のワークコイルC1と外ケース1の底部材1bとの間に位置してファン17(図3参照)を設けるとともに、上記内ケース46の下部側皿状の底壁部4部分に同ファン17からの風を上記内ケース46と内鍋3との間の送風通路に導入する第1,第2の風導入口(図示省略)を設け、この第1,第2の風導入口を介して上記ファン17からの風を、上記第1のワークコイルC1を冷却した後に上記内ケース46と内鍋3との間に導入し、その底部側から側部外周側全体に上昇させて行くようにしている。符号93は第1,第2のワークコイルC1,C2を支持しているコイルカバー、94はコイルカバー等支持部材である。
一方、符号2は蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その外周面を構成するとともに中央部に調圧パイプ15を備えた合成樹脂製の外カバー12と、該外カバー12の内側に嵌合一体化して設けられた合成樹脂製の内枠13と、該内枠13の内側開口部内にパッキン14aおよび金属製の放熱板16aと、該放熱板16aの上面に設けられた蓋ヒータH2と、上記放熱板16aの温度を検知するサーミスタからなる蓋センサS4と、上記放熱板16aの下方に設けられた金属製の内蓋16bとを備えて構成されている。また、放熱板16aの外周縁部下方および内蓋16bの外周縁部下方には、それぞれパッキン14a,14bが設けられており、内蓋16bは、同パッキン14bを介して内鍋3の開口縁部3cの上面部に接触させられている。また、15aは調圧パイプ15内の調圧弁、15bはその下部側キャップ、15cは調圧ボールである。
この蓋ユニット2は、上記外ケース1上部の後端側で肩部材11に対してヒンジ機構8を介して回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉規制を行うロック機構10が設けられている。
一方、上述の炊飯、保温機能に対するタイマー予約や炊飯および保温メニューの選択、それら各メニューに対応した加熱量、加熱パターン、保温温度、保温時間、保温OFF制御モードなどの操作設定は、当該電気炊飯器本体の図示しない前面部に設けられた、図2のような操作パネル20の各種入力スイッチ群22a〜22iを介してユーザーにより行われ、その設定内容に応じて上記2種の加熱手段C1,C2、H1と後述する蓋ユニット2側の蓋ヒータH2を例えば図3の制御回路図に示すようにマイコン制御ユニットによって適切に駆動制御することによって適切な炊飯機能と保温機能とを実現できるようになっている。
上記操作パネル20のスイッチ22a〜22iは、例えば炊飯スイッチ22a(ON表示部23a)、タイマー予約スイッチ22b(ON表示部23c)、取消スイッチ22c、保温スイッチ22d(ON表示部23b)、再加熱スイッチ22e、メニュー選択スイッチ22f、時スイッチ22g、分スイッチ22h、保温OFF制御モード選択スイッチ22i(ON表示部23d)よりなっている。
また、上記操作パネル20の中央部には、炊飯、保温の各メニュー、設定された保温温度、設定保温時間並びに現在時刻および炊飯完了までの残時間その他の必要事項を表示する液晶表示部21が設けられている。
そして、上記外ケース1内の上記操作パネル20の裏側空間には、図示しない操作基板、マイコン基板がそれぞれ傾斜状態で設置されている。
また、上記内ケース4の前面部側(図1参照)には、例えば図3に示されるような、第1,第2のワークコイルC1,C2、側面ヒータH1、蓋ヒータH2等を駆動制御する、上記IGBT37や側面ヒータ駆動回路33、蓋ヒータ駆動回路24、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路35、平滑回路(平滑コンデンサ)36、マイコン制御ユニット32、その他の制御部品を備えた図示しない制御基板が上下方向に立設して設けられている。
また、上記外ケース1は、例えば金属部材で形成された上下方向に筒状のカバー部材1aと、該カバー部材1aの上端部に結合された合成樹脂製の肩部材11と、上記カバー部材1aの下端部に一体化された合成樹脂製の底部材1bとからなり、かつ上記内ケース46の底壁部4との間に所定の広さの断熱および通風空間部を形成した全体として有底の筒状体に構成されている。
さらに、上記内ケース46の下部側皿状の底壁部4の中央部には、上述の如く上下方向に同心状に貫通したセンタセンサ嵌合口(センタセンサ収納空間部)が形成されており、該センタセンサ収納空間部中に上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態でサーミスタからなる内鍋温度検知センサS1を備えたセンタセンサCSが設けられている。
従って、該構成では、先ず炊飯時には、上記内鍋3は、上記第1,第2の2組のワークコイルC1,C2の駆動により生じる渦電流によって、その底壁部3aから側壁上部3b側にかけて設けられている第1,第2の誘導発熱体G1,G2が発熱して内鍋3の底壁部3aから側壁上部3bに亘る部分が加熱されるとともに側面ヒータH1によって内鍋3の側壁上部3bが加熱される。
しかも、同状態において、上述のようにファン17による熱風が供給されて内鍋3の全体を包み込む。その結果、例えば炊飯量が多い時などにも内鍋3の全体を略均一に加熱して加熱ムラなく効率良く炊き上げる。また、沸騰工程以降の水分がなくなった状態における内鍋3の底壁部3aの局部的な熱の集中を防止して焦げ付きの発生を防止することができる。
次に、炊飯が完了した保温時には、上記第1,第2のワークコイルC1,C2がOFFにされる一方、内鍋3の側壁部3bに対応して設けられた上記側面ヒータH1および放熱板16aに設けられた蓋ヒータH2の駆動により、内鍋3の底壁部3aから側壁上部3bおよび上方部の全体が適切な加熱量で均一に加熱されて結露の生じない土鍋の熱保持力を利用した余熱による保温が実現される。
ところで、上記マイコン基板P2のマイコン制御ユニット32には、上記各入力スイッチ22a〜22iを介して入力されたユーザーの指示内容を判断する所望の認識手段が設けられており、該認識手段で認識されたユーザーの指示内容に応じて所望の炊飯又は保温機能、保温OFF機能、所望の炊飯(又は保温)メニュー、それら炊飯又は保温メニューに対応した所定の加熱パターンを設定して、その炊飯加熱制御手段又は保温加熱制御手段、保温OFF制御手段を適切に作動させて所望の炊飯又は保温制御、保温OFF制御を行うようになっている。
従って、ユーザーは、上記各入力スイッチ22a〜22iを使って炊飯又は保温、タイマー予約、予約時刻設定、白米又は玄米、早炊、おかゆ、すしめし、炊き込み等の炊き分け、通常保温モード又は省エネ保温モード、保温OFFモードその他の各種機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32内の認識手段を介して炊飯および保温加熱パターン等設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は保温加熱制御、保温OFF制御が適切になされるようになる。
(炊飯器本体側制御回路部分の構成)
次に、図3は、上述のように構成された炊飯器本体側の炊飯又は保温、空炊き検知制御を行うマイコン制御ユニット32を中心とする制御回路部分の構成を示している。
図3中において、符号32が上述のような炊飯加熱制御手段および保温加熱制御手段、内鍋温度検知手段、内鍋有無検知手段、空炊き検知(判定)手段、液晶表示制御手段、ブザー報知手段、火かげん制御手段等を備えた炊飯・保温等各種制御用のマイコン制御ユニット(CPU)である。
該マイコン制御ユニット32はマイクロコンピュータを中心として構成されており、例えば内鍋3の底部の温度を検知する内鍋温度検知回路43、ワークコイルC(ワークコイル回路)を駆動するIGBT37の駆動回路42、内鍋3のセット状態を検知する内鍋検知回路44、メインクロック信号発振回路39、リセット回路41、側面ヒータH1を駆動する側面ヒータ駆動回路33、蓋ヒータH2を駆動する蓋ヒータ駆動回路24、ブザー駆動回路45、ワークコイル用整流平滑回路35,36、整流平滑回路49、入力電圧検出回路86、ファンモータ駆動回路34、省エネ回路83、EEPROM84、入力電流検出回路47、ゼロクロス信号検出回路48、同期トリガー回路40、DC電源回路85、マイコン電源回路87、液晶表示部21、動作表示用LED23a〜23d、各種操作スイッチ22a〜22j、ノイズフィルタ回路88等がそれぞれ入出力可能に接続されている。
そして、先ず上記内鍋3の底部3a側におけるセンタセンサCS部の内鍋温度検知センサS1に対応して設けられた内鍋温度検知回路43には、内鍋温度検知センサS1による内鍋3の底部3aの温度検知信号が入力されるようになっている。
また、上記ワークコイル回路C(37・38)に対応したIGBT駆動回路42は、上記マイコン制御ユニット32により、例えば炊飯工程の各工程に応じて上記ワークコイルC(C1,C2)の出力値(ワット数)および同出力値での通電率(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、同炊飯工程の各工程における上記土鍋等非金属製の内鍋3の加熱温度と加熱パターンを炊飯量を考慮して適切に可変コントロールし、均一な吸水作用と加熱ムラのないご飯の炊き上げを実現するフィードバック制御を行うようになっている。
このマイコン制御ユニット32によるフィードバック制御は、ワークコイル回路C(37・38)の出力状態に対応したフィードバック値調整回路およびフィードバック制御回路の制御信号に基いてなされる。
また同マイコン制御ユニット32により、それぞれ上記側面ヒータ駆動回路33および蓋ヒータ駆動回路24を制御することにより、例えば炊飯又は保温の各工程に応じて上記側面ヒータH1、蓋ヒータH2の所定の出力値での通電率(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯又は保温の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンとを実際の炊飯量を考慮して適切に可変コントロールするようになっている。
また、符号22a〜22iは上述した図3の各種入力スイッチであり、同スイッチ22a〜22iの必要なものが適切に操作されると、上記マイコン制御ユニット32側の認識手段によってユーザーの指示内容が認識され、その認識内容に応じて対応する所望の制御手段を適切に作動させて所望の制御を行う。
そして、この実施の形態の場合、上述の保温OFF制御モード選択スイッチ22iが押されている時は、炊飯完了後、通常の保温デューティー比による保温加熱および保温表示は行わないが、庫内の温度バランスを保つために同デューティー比に比べてOFF期間の大きい1/16、2/16程度での側面ヒータH1、蓋ヒータH2のON,OFFを行ないながら、結露が生じにくい内鍋3の底部よりも蓋2側の放熱板16aの温度が高い状態で、徐々に内鍋の温度を下げて行き、所定の温度50℃(又は所定の時間の経過)までご飯の温度を降下させる露付き防止制御が行われる。
なお、図3中の符号17は前述の送風ファン、34は同ファン17の駆動回路、21は液晶表示部である。この実施の形態の場合、上記液晶表示部21には、上記入力スイッチ22a〜22iのON操作に対応して所望のメニューや時刻等の必要事項が表示され、以後設定内容に応じた必要な表示がなされて行くようになっている。
次に、図4のフローチャートは、本実施の形態にかかる電気炊飯器の炊飯工程における制御フローを示すものである。
先ず、ステップS1においては、炊飯スイッチ22aの操作により炊飯が開始されると、ステップS2において空炊き検知工程が実行される。この空炊き検知工程においては、ワークコイルC1,C2が加熱出力X%(例えば、80%)、デューティ比16/16で通電され、ステップS3においてt1分タイマ(例えば、1分タイマ)がスタートされ、ステップS4においてt1分(例えば、1分)が経過したことが確認されると、ステップS5においてワークコイルC1,C2が加熱出力Y%(例えば、60%)、デューティ比8/16で通電され、ステップS6においてt2分タイマ(例えば、3分タイマ)がスタートされる。この状態のもとに、ステップS7においてセンタセンサCSの検出温度(即ち、内鍋温度)Tがマイコン32に入力され、ステップS8において内鍋温度Tと空炊き検知温度Ts(例えば、120℃)との比較がなされる。
ステップS8においてT≧Tsと判定された場合、ステップS9において特定メニュー(例えば、おこわ炊飯)が選択されているか否かの判定がなされる。該判定は、製品検査工程にあるか否かを判断するために行われる。ここで、肯定判定された場合には、ステップS10において空炊き報知(例えば、ブザー報知)が行われ、ステップS11において冷却ファン17がONされ、その後ステップS12において保温工程へ移行される。特定メニュー(例えば、おこわ炊飯)の選択がなされている場合、製品検査工程にある場合があるところから、保温工程への移行によりその後の検査が可能となるし、冷却ファン17がONされることにより、炊飯器本体1内部(例えば、内ケース46)の冷却が行われることとなる。
一方、ステップS8においてT<Tsと判定された場合、ステップS13においてt2分(例えば、3分)が経過したことが確認されると、空炊き状態にはないと判断して、ステップS14において通常炊飯工程(例えば、吸水工程)に移行される。
また、ステップS9において否定判定された場合(即ち、製品検査工程ではなかったと判断された場合)、ステップS15において空炊き報知(例えば、ブザー報知)が行われ、ステップS16において冷却ファン17がONされ、その後ステップS17において待機状態へ移行される。つまり、炊飯が中断され、炊飯器本体1内部(例えば、内ケース46)の冷却が行われるのである。
上記したように、本実施の形態においては、空炊き検知処理工程における最初の加熱パターンで高い加熱出力(例えば、80%、デューティ比16/16)で加熱することにより、内鍋3の温度上昇を確保することができるとともに、その後の加熱パターン(例えば、加熱出力80%、デューティ比8/16)でじっくりと加熱することにより内鍋3の温度分布の均一化を図ることができるようにしているので、非金属材料からなる内鍋3を用いた電気炊飯器における空炊き検知を確実且つ迅速に行うことができる。しかも、センタセンサCSにより検知される温度Tが設定温度Ts(例えば、120℃)を超えた段階で空炊き検知を行うことができることとなり、空炊き検知を簡単且つ低コストで行うことができる。前記空炊き検知処理工程における最初の加熱パターンにおける加熱時間を、その後の加熱パターンにおける加熱時間より短く設定したことにより、高出力の加熱時間を短くできるところから、空炊き検知をより迅速に行うことができる。
また、空炊き検知処理工程における最初の加熱パターン以後の加熱パターンを、前記電磁誘導コイルをON/OFF制御を繰り返す(即ち、デューティ比8/16)としているので、空炊き検知処理工程における最初の加熱パターン以後の加熱パターンを実現するための制御が電磁誘導コイルをON/OFF制御で行えるところから、制御が簡略となる。 また、本実施の形態においては、炊飯開始直後に空炊き検知を行うこととなっているので、白米炊飯のように吸水工程、合数判定があるメニューの場合、合数判定処理の中で空炊き検知処理を行うようにしてもよい。
また、炊飯開始直後にセンタセンサCSによる内鍋3の有無を検知した後に空炊き検知を行うようにしてもよい。
本実施の形態においては、空炊き検知処理工程において空炊き検知を行うようにしているため、メニューによらず空炊き検知温度Tsを統一することもできる。
なお、空炊き検知温度Tsを2段階設ける場合もあり、その場合、一つ目だけで検知したときは待機状態への移行とするが、2段階目の温度まで上昇したときはエラー表示および報知処理まで行うこととする。
また、空炊き検知後の報知は、内鍋3が十分に冷えてから行う場合もある。内鍋3が冷える前に空炊き報知を行うと、熱い状態の内鍋3にユーザが触れるおそれがあり、危険だからである。空炊き報知の仕方としては、表示による報知を行った後、内鍋3の温度が十分下がった時点で音声による報知を行うようにする場合もある。
第2の実施の形態
図5および図6には、本願発明の第2の実施の形態にかかる電気炊飯器における内鍋の構造が示されている。
この場合、内鍋3は、非金属材料からなる鍋(例えば、土鍋あるいはセラミック鍋等)からなっており、その底面および該底面から側周面に至る間の湾曲面には、底部および湾曲部誘導発熱体(例えば、銀ペースト等)G1,G2が個別に貼設されている。この内鍋3の底部外周には、環状の支持脚31が一体に突設されており、該支持脚31を、内ケース46(図1参照)の底部外周に周方向等間隔に設けた耐熱弾性部材(例えば、シリコンゴム等)からなる3個の支持台18,18,18に当接することにより内鍋3が内ケース46内に収納支持されることとなっている。そして、前記底部誘導発熱体G1は、前記支持脚31を基準として該支持脚31の内方に貼設される。また、この内鍋3の側壁上部3bおよび鍔部3cは、他の部分(即ち、底部3aおよび側壁下部3d)より肉厚とされている。このようにすると、側壁上部3bにおける強度確保と熱容量の増大による保温効果の向上とを図ることができる。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
なお、前記第1,第2の誘導発熱体G1,G2の幅は、底部および湾曲部にそれぞれ配設された第1,第2のワークコイルC1,C2の幅よりそれぞれ狭くなっている。
また、本実施の形態においては、前記内鍋3における第1の誘導発熱体G1および第2の誘導発熱体G2は、図5および図6に示すように、同じ材質の紙状銀ペースト等の発熱体を2枚重ねて用いた厚肉部分G1a,G2aと同じ材質の1枚の紙状銀ペーストを用いた薄肉部分G1b,G2bとからなっており、前記薄肉部分G1b,G2bは、前記第1のワークコイルC1および前記第2のワークコイルC2の中央部に対応した部位に円環形状に形成されている。しかも、本実施の形態においては、第1の誘導発熱体G1における中心部(換言すれば、センタセンサCSが当接される部分を含む中心部)にも銀ペーストを2枚重ねとした厚肉部分G1aが設けられている。
このように構成した場合、第1の誘導発熱体G1と第2の誘導発熱体G2とを個別に設けたことにより、第1の誘導発熱体G1の発熱量と第2の誘導発熱体G2の発熱量とを個別に調整できる(例えば、第1の誘導発熱体G1による発熱量>第2の誘導発熱体G2の発熱量)ところから、両者の加熱バランスを良好に維持できることとなり、炊き上がったご飯に、部分的な焦げが発生することがなくなる。また、第1および第2誘導発熱体G1,G2を、第1および第2のワークコイルC1,C2の中央部と対向する部分における発熱量が当該部分の周りにおける発熱量より小さくなるように設定したことにより、第1および第2の誘導発熱体G1,G2における第1および第2のワークコイルC1,C2の中央部に対応する部位の温度とその周りの温度との温度バランスが良好となるところから、第1および第2の誘導発熱体G1,G2による局部加熱が抑制されることとなり、炊き上がったご飯に、部分的な焦げが発生することがなくなる。しかも、第1および第2誘導発熱体G1,G2の局部的な温度上昇が抑制されるため、第1および第2のワークコイルC1,C2の局部的な温度上昇も抑制されることとなり、コイルの耐熱温度を超えるおそれがなくなる。
例えば、第1の誘導発熱体G1における第1のワークコイルC1の中央部に対応する部位の発熱体量(即ち、銀量)を少なくした(即ち、薄肉部分G1bとした)ことにより、第1のワークコイルC1の中央部に対応する部位の熱の集中を防ぐことができることとなり(換言すれば、第1の誘導発熱体G1における各部の温度バランスが良好となり)、炊き上がったご飯の焦げを分散させることができるし、第1のワークコイルC1における中央部への熱の集中も防ぐことができることとなり、第1のワークコイルC1の温度上昇を防ぐことができる。また、第1の誘導発熱体G1における中心部(即ち、センタセンサCSの当接部位)の発熱体量を増やし(即ち、厚肉部分G1aとし)、第1の誘導発熱体G1の中心部の温度を上昇させることにより、センタセンサCSに温度が伝わり易くなる。
また、第2の誘導発熱体G2における第2のワークコイルC2の中央部に対応する部位の発熱体量(即ち、銀量)を少なくした(即ち、薄肉部分G2bとした)ことにより、第2のワークコイルC2の中央部に対応する部位の熱の集中を防ぐことができることとなり、炊き上がったご飯の焦げの中央部への集中を防ぐことができるし、第2のワークコイルC2における中央部への熱の集中も防ぐことができることとなり、第2のワークコイルC2の温度上昇を防ぐことができる。
なお、第1および第2の誘導発熱体G1,G2の発熱体量は調整可能である。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第3の実施の形態
図7には、本願発明の第3の実施の形態にかかる電気炊飯器における内鍋が示されている。
この場合、内鍋3に設けられる第1および第2誘導発熱体G1,G2は、銀ペーストを1枚用いた厚肉部分G1a,G2aと、銀ペーストを切除した同心円上に並ぶ多数の穴(ここでは、長円)からなる薄肉部分G1b,G2bとによって構成されている。なお、この場合、厚肉部分G1a,G2aとして銀ペーストを2枚用い、薄肉部分G1b,G2bは、銀ペーストを1枚用いるようにしてもよい。なお、穴の形状は、本実施の形態に限定されない。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第4の実施の形態
図8には、本願発明の第4の実施の形態にかかる電気炊飯器における内鍋が示されている。
この場合、内鍋3に設けられる第1の誘導発熱体G1は、銀ペーストを2枚用いた厚肉部分G1aと、銀ペーストを1枚用いた多数(例えば、放射線上に並ぶ多数)の穴(ここでは、円形)からなる薄肉部分G1bとによって構成されている。なお、この場合、厚肉部分G1aとして銀ペーストを1枚用い、薄肉部分G1bは、銀ペーストを切除するようにしてもよい。なお、穴の形状および配列は、本実施の形態に限定されない。このようにすると、局部的に沸騰させることができることとなり、お湯の対流が大きくなる。従って、加熱ムラを調整することができるとともに、炊き上がったご飯の中央部がもりあがるし、カニ穴のコントロールも可能となる。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第5の実施の形態
図9には、本願発明の第5の実施の形態にかかる電気炊飯器における内鍋の要部が示されている。
この場合、内鍋3の底部における第1のワークコイルC1の中央部に対応する部分を上向きに湾曲させることにより、第1の誘導発熱体G1と第1のワークコイルC1の中央部との距離D1が、前記第1のワークコイルC1の内周側および外周側における第1の誘導発熱体G1との距離D2,D3より大きくなるようにしている。つまり、第1のワークコイルC1による電磁誘導が、第1の誘導発熱体G1における第1のワークコイルC1の内周側および外周側より第1のワークコイルC1の中央部と対応する部位で弱く発生するようにしているのである。その結果、第1の誘導発熱体G1における第1のワークコイルC1の中央部と対応する部位での発熱量が小さく抑えられることとなり、内鍋3の底部の加熱を均一化することが可能となる。ちなみに、内鍋3の底部を水平面とした場合と本実施の形態の場合とにおける第1のワークコイルC1の内面温度を測定したところ、図10の結果が得られた。図10において、点線は内鍋3の底部を水平面とした場合を示し、実線は本実施の形態の場合を示す。図10に示す結果からも、第1の誘導発熱体G1における発熱量の均一化が促進されていることは明らかである。この場合、第1の誘導発熱体G1の厚さを変える必要がないところから、コストアップにならないし、内鍋3の底部が湾曲面となるところから、内鍋3の底部の強度が向上する。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第6の実施の形態
図11には、本願発明の第6の実施の形態にかかる電気炊飯器における内鍋の部分断面が示されている。
この場合、図11(イ),(ロ)に示すように、内鍋3と該内鍋3に貼設された誘導発熱体Gとの間あるいは内鍋3に貼設された誘導発熱体Gの外側にフェライト粉末で作られたフェライト層Fを設けている。このようにすると、フェライト層Fは、磁性体なので磁力線を集める働きがあり、フェライト層Fを追加することによって、図12に示すように、誘導発熱体Gに集まる磁力線を均一化することができ、加熱ムラや焦げ付きの改善に寄与する。つまり、従来のクラッド鍋と同様な磁気的特性を疑似的に持たせることができるのである。ここで、仮想線は、銀ペーストを用いた誘導発熱体だけの場合の磁力線を示しており、この場合、磁力線の集中が見られない。また、誘導発熱体Gにより多くの磁力線を集めることができるので、渦電流の発生を大きくすることができ、加熱力も向上する。従って、誘導発熱体Gにおける発熱体量を増やすことなく、加熱力を向上させることが可能となるので、低コストでの加熱力向上を図ることが可能となる。上記フェライト層Fは、フェライト粉末以外のアルニコ・ネオジウム粉末や鉄粉等の磁性体により形成してもよい。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体Gとしては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体Gを内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第7の実施の形態
図13には、本願発明の第7の実施の形態にかかる電気炊飯器における内鍋の部分断面が示されている。
この場合、内鍋3の材料である粘土に磁性体であるフェライト粉末f,f・・を混ぜておき、その材料で内鍋3を作成する。このようにすると、内鍋3自体にフェライト粉末f,f・・が含まれた状態となるので、ワークコイルCから発生した磁力線が内鍋3全体により均一に集まることとなり、誘導発熱体Gの発熱ムラが改善され、全体の加熱力も向上する。従って、加熱ムラや焦げ付きの改善に寄与する。誘導発熱体Gにより多くの磁力線を集めることができるので、渦電流の発生を大きくすることができ、加熱力も向上する。従って、誘導発熱体Gにおける発熱体量を増やすことなく、加熱力を向上させることが可能となるので、低コストでの加熱力向上を図ることが可能となる。上記フェライト粉末fとしては、フェライト粉末以外のアルニコ・ネオジウム粉末や鉄粉等の磁性体を用いてもよい。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体Gとしては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体Gを内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第8の実施の形態
図14には、本願発明の第8の実施の形態にかかる電気炊飯器(半断面図)が示されている。
この場合、内鍋3は、非金属材料からなる鍋(例えば、土鍋あるいはセラミック鍋等)からなっており、その底面および該底面から側周面に至る間の湾曲面には、第1および第2の誘導発熱体(例えば、銀ペースト等)G1,G2が貼設されている。また、前記内鍋3の側壁上部3bおよび鍔部3cは、他の部分(即ち、底部3aおよび側壁下部3d)より肉厚とされている。このようにすると、側壁上部3bにおける強度確保と熱容量の増大による保温効果の向上とを図ることができる。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
本実施の形態の場合、前記内鍋3の底部外周には、突起状の支持脚31,31,31が一体に突設されており、該支持脚31,31,31を、内ケース46の内底部に配設された遮熱板50に載置することにより、内鍋3が内ケース46内に支持されることとなっている。従って、内鍋3の底部(即ち、第1の誘導発熱体G1)と内ケース46(即ち、遮熱プレート50)との間には、断熱空間5bが形成されることとなる。
前記内ケース46は、上下に2分割されており、第1および第2ワークコイルC1,C2を保持する下部内ケース46aと側面ヒータH1を保持する上部内ケース46bとからなっている。
また、前記上部内ケース46bの側周面には、炊飯時および保温時における加熱手段として作用する側面ヒータH1が前記内鍋3の側壁上部3bの肉厚部に対向して取り付けられている。
ところで、上記したように、内鍋3として、非金属材料からなる鍋(例えば、土鍋あるいはセラミック鍋等)を採用しているが、このような内鍋3の場合、製造工程において高さ方向寸法および径方向寸法に大きなバラツキ(例えば、−1.5mm〜2.0mmのバラツキ)が発生する。
前記側面ヒータH1は、内鍋3の大きさのバラツキに対して大きく影響を受けるため、側面ヒータH1の出力を変えずに通電率を変えることとなっている。例えば、内鍋3がバラツキの範囲で最大の場合には、内鍋3が側面ヒータH1に近づくため炊き上げ工程における通電率を4/16とし、内鍋3がバラツキの範囲で最小のバラツキの場合には、内鍋3が側面ヒータH1から遠くなるため炊き上げ工程における通電率を6/16とする。
また、本実施の形態においては、前記第1および第2の誘導発熱体G1,G2の幅方向寸法D1,D2が、それぞれに対応する第1および第2のワークコイルC1,C2の幅方向寸法D3,D4より大きくなるように設定されている。このようにすると、内鍋3の径方向寸法バラツキによって内鍋3を炊飯器本体1に収容したとき、内鍋3の中心と炊飯器本体3の中心とが一致した状態で収容することが難しい場合が生じた場合であっても、ワークコイルC1,C2の磁界が誘導発熱体G1,G2からズレるということがなくなる。従って、内鍋3の寸法バラツキが生じたとしても、加熱バラツキを可能な限り抑えることができる。
また、本実施の形態においては、前記遮熱板50の内外周部には、前記内鍋3の収容時に該内鍋3の外周面(例えば、底面)に当接される弾性部材51,52が介設されている。この場合、内周側の弾性部材51は、内鍋3の支持脚31が遮熱板50の上面に当接される前に内鍋3の底面に当接される高さとされ、外周側の弾性部材52は、前記支持脚31の外側部位に当接されることとなっている。このようにすると、内鍋3の寸法にバラツキがあったとしても、内鍋3の収容時における第1の誘導発熱体G1と第1のワークコイルC1との距離を常時一定に保持することができることとなり、加熱バラツキを可能な限り抑えることができるとともに、内鍋3の径方向寸法にバラツキがあっても、弾性部材52の付勢力によって内鍋3の中心と炊飯器本体1の中心とをマッチングさせることが可能となり、第2の誘導発熱体G2と第2のワークコイルC2とのマッチング距離に影響を及ぼすことがなくなる。なお、前記弾性部材51,52は、環状であってもよいが、内鍋3に当設する部位に、内鍋3の底面と遮熱板50の上面との間の空間にこもる熱気を排出するための排出口(図示省略)を形成するのが望ましい。
さらに、本実施の形態においては、前記上下内ケース46a,46bの間および前記上部内ケース46aと肩部材11との間には、前記内鍋3の収容時に該内鍋3の外周面(例えば、側周面)に当設される弾性部材53,54が介設されている。このようにすると、内鍋3の径方向寸法にバラツキがあっても、弾性部材53,54の付勢力によって内鍋3の中心と炊飯器本体1の中心とをマッチングさせることが可能となり、第2の誘導発熱体G2と第2のワークコイルC2とのマッチング距離に影響を及ぼすことがなくなる。なお、前記弾性部材29,30は、炊飯時における熱気のこもり具合および保温性を考慮すると環状であるのが望ましいが、内鍋3に当接する部位を所定間隔の突起形状としてもよい。 なお、上記弾性部材51〜54は、全てを用いてもよいが、選択して用いてもよい。
さらにまた、本実施の形態においては、内蓋16bの外周部上面には、第1のパッキン14aが蓋体閉蓋時に圧接される第1の平坦面55が設けられ、前記内鍋3の上端部(即ち、鍔部3c)上面には、第2のパッキン14bが蓋体閉蓋時に圧接される第2の平坦面56が設けられている。ここで、第1および第2の平坦面55,56は、前記第1および第2のパッキン14a,14bにおけるくの字状のシール部の幅より広くされている。また、前記第2の平坦面56は、鍔部3cの上面の内周側に形成された段部とされ、その外周側には、強度アップのために環状の凸部57が形成されている。このようにすると、内鍋3の径方向寸法および高さ本体寸法にバラツキがあっても、パッキン14a,14bが平坦面55,56に常に圧接されることとなり、蓋体2と炊飯器本体1とのシール性を確保することができる。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第9の実施の形態
図15には、本願発明の第9の実施の形態にかかる電気炊飯器の要部が示されている。
この場合、内鍋3は、非金属材料からなる鍋(例えば、土鍋あるいはセラミック鍋等)からなっており、その底面および該底面から側周面に至る間の湾曲面には、第1および第2の誘導発熱体(例えば、銀ペースト等)G1,G2が貼設されている。また、前記内鍋3の側壁上部3bおよび鍔部3cは、他の部分(即ち、底部3aおよび側壁下部3d)より肉厚とされている。このようにすると、側壁上部3bにおける強度確保と熱容量の増大による保温効果の向上とを図ることができる。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
また、前記内鍋3の底部外周には、環状の支持脚31が一体に突設されており、該支持脚31を、前記内ケース46の底部外周に周方向等間隔に設けた耐熱弾性部材(例えば、シリコンゴム等)からなる3個の支持台18,18,18に当接することにより内鍋3が内ケース46内に収納支持されることとなっている。このようにすると、内鍋3の寸法にバラツキがあったとしても、内鍋3の収容時における第1の誘導発熱体G1と第1のワークコイルC1との距離を常時一定に保持することができることとなり、加熱バラツキを可能な限り抑えることができる。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第10の実施の形態
図16には、本願発明の第10の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この場合、内鍋3は、非金属材料からなる鍋(例えば、土鍋あるいはセラミック鍋等)からなっており、その底面および該底面から側周面に至る間の湾曲面には、第1および第2の誘導発熱体(例えば、銀ペースト等)G1,G2が貼設されている。また、前記内鍋3の側壁上部3bおよび鍔部3cは、他の部分(即ち、底部3aおよび側壁下部3d)より肉厚とされている。このようにすると、側壁上部3bにおける強度確保と熱容量の増大による保温効果の向上とを図ることができる。ところで、内鍋3の内面あるいは内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
また、内ケース46は、下部内ケースのみとされる一方、肩部材11の内周縁から内ケース46の上端に至る周壁部11aが一体に突設されている。一方、内鍋3の側周における上下方向中間部には、鍔状の環状突起58が一体に突設されており、該環状突起58を前記内ケース46の上端に対して支持することにより、内鍋3が炊飯器本体1内に支持されることとなっている。なお、本実施の形態においては、環状突起58より上方部分(即ち、側壁上部3b)は、湾曲部(即ち、側壁下部3d)と同様に薄肉とされている。また、前記周壁部11aの外面側には、側面ヒータに代えて第3のワークコイルC3が配設される一方、前記内鍋3の内面には、前記第3のワークコイルC3に対向する第3の誘導発熱体G3が貼設されている。このようにすると、内鍋3は上下方向中間部で支持されることとなるところから、内鍋3の高さ方向における寸法バラツキの影響が半分となる。従って、内鍋3の高さ方向寸法にバラツキがあったとしても、第1および第2の誘導発熱体G1,G2と第1および第2のワークコイルC1,C2との距離変化を誤差範囲内に抑えることが可能となり、加熱バラツキを可能な限り抑えることができる。
なお、第3の誘導発熱体G3は、内鍋3の外面に貼設してもよく、内鍋3内に埋め込んでもよい。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第11の実施の形態
図17および図18には、本願発明の第11の実施の形態にかかる電気炊飯器における内鍋の選別基準を説明する説明図が示されている。
内鍋3として、非金属材料からなる鍋(例えば、土鍋、セラミック鍋あるいは炭鍋等)を採用しているが、このような内鍋3の場合、製造工程において高さ方向寸法および径方向寸法に大きなバラツキ(例えば、−1.5mm〜+1.5mmのバラツキ)が発生する。
そこで、本実施の形態においては、内鍋3の選別時において、図17に示すように、例えば−1.5mm〜+0.5mmの公差を有するものを小鍋とする一方、−0.5mm〜+1.5mmの公差を有するものを大鍋として、−0.5mm〜+0.5mmの範囲が中間オーバーラップ部となるようにしている。このようにすると、従来、内鍋3が破損等して、ユーザに内鍋3を交換するアフター対応する場合、内鍋3の大小を確認するのに手間取っていたが、前記オーバーラップ部に相当する内鍋3をアフター対応用として準備しておくと、炊飯器本体1の大きさ(即ち、内鍋3の大小に対応した炊飯器本体1の大きさ)にかかわらず、対応が可能となる。つまり、アフター対応時の効率が大幅に向上する。
また、図18に示すように、内鍋3を、「大鍋)、「中鍋」、「小鍋」の3種類に選別しておき、炊飯器本体1を、各大きさの内鍋3に対応させて「大」、「小」の2種類を作製しておけば、中間オーバーラップ部の範囲にある内鍋3は、大小どちらの炊飯器本体1でも使用可能となり、生産性が向上する。
なお、内鍋3を「大鍋」と「小鍋」の2種類に区分し、炊飯器本体1も「大鍋用」と「小鍋用」とに区分して作製しておき、それぞれを組み合わせて製品とすれば、製品性能を安定化させることができる。この場合において、「大鍋用」の炊飯器本体1を有する電気炊飯器の機能と「小鍋用」の炊飯器本体1を有する電気炊飯器の機能とを異ならしめて、それぞれを、Aタイプの電気炊飯器およびBタイプの電気炊飯器としておけば、アフター対応時の内鍋供給時において、ユーザに機種確認を行うだけで、大小どちらの内鍋をユーザに渡せばよいかが明確になる。
また、内鍋3を大小および炊飯器本体1を大小に区別した場合の識別方法は、次のようにして行う。
(1) 内鍋3側
(イ) 内鍋3の内面に形成される水目盛りの色で区別する(例えば、大、中、小で色を変える)。
(ロ) 内鍋3の型番部分で区別する(例えば、大:KFA10B/15B、中:KFA10/15、小:KFA10S/15S等)。
(2) 炊飯器本体1側
(イ) 定格シールのロット印字部で区別する(例えば、大:*****B、中:*****、小:*****S)。
(ロ) 高さ方向の調整を行う弾性体18の色柄で区別する(例えば、大:グレー、中:ナチュラル、小:ブラック)。
(ハ) 放熱板16aの内側に罫書きや印字等の印を付けて区別する(例えば、大:印や罫書き1つあり、中:印等なし、小:小複数あり)。
上記のようにすると、内鍋3と炊飯器本体1との対応が明確となるところから、生産性およびアフター対応性が向上する。
第12の実施の形態
図19には、本願発明の第12の実施の形態にかかる電気炊飯器の要部が示されている。
この場合、内鍋3の寸法バラツキにより第2のワークコイルC2と内鍋3の湾曲面との距離が変化するところから、次のような手段を用いることにより対応している。
第2のワークコイルC2は、内ケース46(具体的には、下部内ケース46a)とコイルダイ94との間の所定位置に挟持されているが、下部内ケース46aおよびコイルダイ94には、第2のワークコイルC2を挟持するための位置決めリブ59,60がそれぞれ形成されている。そして、図19(イ)に示すように、内鍋3が「中鍋」(即ち、通常品)の場合、第2のワークコイルC2と下部内ケース46a側の位置決めリブ59との間に、所定厚さのパッキン61を介設することにより、第2のワークコイルC2と内鍋3の湾曲面との距離が9.6mmとなるようにしている。ところが、内鍋3の寸法バラツキにより、内鍋3が「小鍋」(即ち、下限品)となっている場合、第2のワークコイルC2と下部内ケース46a側の位置決めリブ59との間に、所定厚さのパッキン61を介設したままとすると、図19(ロ)に示すように、第2のワークコイルC2と内鍋3の湾曲面との距離が10.6mmと拡がってしまい、第2のワークコイルC2の電磁誘導機能が低下してしまう。そこで、図19(ハ)に示すように、前記パッキン61を、コイルダイ94側のリブ60と第2のワークコイルC2との間に介設すると、第2のワークコイルC2と内鍋3の湾曲面との距離が通常品の内鍋3の場合とほぼ同等の9.2mmとなる。このようにすると、内鍋3の大小にかかわらず、パッキン61の装着位置を変更するだけで、第2のワークコイルC2による電磁誘導機能を通常状態に保持することができる。なお、第1のワークコイルC1については、変化させる必要はない。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第13の実施の形態
図20には、本願発明の第13の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この場合、コイルダイ94を、第1のワークコイルC1側の底部コイルダイ94Aと第2のワークコイルC2側の湾曲部コイルダイ94Bとに分割構成し、湾曲部コイルダイ94Bとして、リブ60の高さが異なる2種類を用意する(例えば、リブ60の高さが1.5mmの湾曲部コイルダイ94B1とリブ60の高さが2.8mmの湾曲部コイルダイ94B2とを用意する)。そして、内鍋3が「中鍋」(即ち、通常品)の場合、図20(イ)に示すように、湾曲部コイルダイ94B1を用いることにより、第2のワークコイルC2と内鍋3の湾曲面との距離が9.6mmとなるようにしている。ところが、内鍋3の寸法バラツキにより、内鍋3が「小鍋」(即ち、下限品)となっている場合、湾曲部コイルダイ94B1をそのまま用いると、図20(ロ)に示すように、第2のワークコイルC2と内鍋3の湾曲面との距離が10.6mmと拡がってしまい、第2のワークコイルC2の電磁誘導機能が低下してしまう。そこで、図20(ハ)に示すように、湾曲部コイルダイ94B2を用いると、第2のワークコイルC2と内鍋3の湾曲面との距離が通常品の内鍋3の場合とほぼ同等の9.2mmとなる。このようにすると、内鍋3の大小にかかわらず、湾曲部コイルダイ94Bを変更するだけで、第2のワークコイルC2による電磁誘導機能を通常状態に保持することができる。なお、第1のワークコイルC1については、変化させる必要はない。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第14の実施の形態
図21ないし図23には、本願発明の第14の実施の形態にかかる電気炊飯器の要部が示されている。
この場合、内鍋3を、図18に示すように、公差1mmの範囲で、「大鍋」、「中鍋」、「小鍋」の3種類に選別し、選別された3種類の内鍋3に対して、第2の誘導発熱体G2を調整する方法を採用している。なお、炊飯器本体1は共通とされる。
(1) 誘導発熱体G2の幅寸法Lで調整する場合
図21(ロ)に示すように、内鍋3が「中鍋」であるときの誘導発熱体G2の幅寸法をLとすると、内鍋3が「小鍋」であるときには、図21(イ)に示すように、誘導発熱体G2の幅寸法は、L+2.0mmとされ、内鍋3が「大鍋」であるときには、図21(ハ)に示すように、誘導発熱体G2の幅寸法は、L−2.0mmとされる。
(2) 誘導発熱体G2の厚さ寸法Dで調整する場合
図22(ロ)に示すように、内鍋3が「中鍋」であるときの誘導発熱体G2の厚さ寸法をDとすると、内鍋3が「小鍋」であるときには、図22(イ)に示すように、誘導発熱体G2の厚さ寸法は、D+0.5mmとされ、内鍋3が「大鍋」であるときには、図22(ハ)に示すように、誘導発熱体G2の厚さ寸法は、D−0.5mmとされる。
(3) 誘導発熱体G2の厚さを部分的に変えて調整する場合
図23(ロ)に示すように、内鍋3が「中鍋」であるときの誘導発熱体G2の厚さ寸法をDとすると、内鍋3が「小鍋」であるときには、図23(イ)に示すように、誘導発熱体G2は、厚さ寸法がDの部分と厚さ寸法がDより厚い部分とを有するものとされ、内鍋3が「大鍋」であるときには、図23(ハ)に示すように、誘導発熱体G2は、厚さ寸法がDの部分と厚さ寸法がDより薄い部分とを有するものとされる。
上記したように、炊飯器本体1側は共通として、第2の誘導発熱体G2により調整すると、どのような内鍋3が組合わさっても、第2のワークコイルC2の出力がバラツキの範囲に入ることとなる。従って、炊飯器本体1を共通とすることができるので、管理が容易となる。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第15の実施の形態
図24には、本願発明の第15の実施の形態にかかる電気炊飯器の要部が示されている。
この場合、コイルダイ94を、第1のワークコイルC1側の底部コイルダイ94Aと第2のワークコイルC2側の湾曲部コイルダイ94Bとに分割構成し、底部コイルダイ94Aとして、底部コイルダイ94Aと湾曲部コイルダイ94Bとの係合部の高さを異ならしめるリブ62,63を有する2種類を用意しておき、内鍋3が「小鍋」のときには、図24(イ)に示すように、高さh1のリブ62を有する底部コイルダイ94Aを用い、内鍋3が「大鍋」のときには、図24(ロ)に示すように、高さh2のリブ63を有する底部コイルダイ94Aを用いるようにしている。ここで、h1<h2とされる。
このようにすると、内鍋3の大小にかかわらず、底部コイルダイ94Aを変更するだけで、第2のワークコイルC2による電磁誘導機能を通常状態に保持することができる。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第16の実施の形態
図25には、本願発明の第16の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この場合、内鍋3を非金属材料(例えば、土鍋)で構成すると、焼物であるため、収縮率が金属プレス製の鍋に比べて大きく、寸法公差が大きくなる(例えば、高さ寸法では、大限と小限との差が4mm程度ある)。内鍋3を炊飯器本体1の内底面に載置してワークコイルC1,C2との距離を一定に保つようにすると、内鍋3の上部と蓋体2とのシール性が困難となるおそれがある。
そこで、本実施の形態においては、内鍋3を、「大鍋」と「小鍋」との2種類に選別して、高さ寸法の公差を4mmから2mm差にし、炊飯器本体1は、内鍋3が「小鍋」の時の寸法に合わせて基本構成をとる。
この場合、底部材1bと肩部材11とを結合するために円筒部材64を設ける。該円筒部材54は、下端に前記底部材1bに立設した係合筒65の上端口縁に係合する係合リブ66を有する大径筒部64aと、該大径筒部64aの上端に段部67を介して上方に延設された小径筒部64bとからなっており、該小径筒部64bの上端を肩部材11にビス68を介して結合することにより、底部材1bと肩部材11とを結合することとなっている。そして、前記小径筒部64bは、下部内ケース46aの上端外周に一体に延設された環状の鍔部69に形成された貫通穴70に挿通されることとなっており、この状態において前記鍔部69が前記段部67に係止されて下部内ケース46aの位置決めがなされることとなっている。
上記のように構成した場合、前述したように、内鍋3の高さ寸法のバラツキによって、内鍋3を炊飯器本体1の内底面に載置してワークコイルC1,C2との距離を一定に保つようにすると、内鍋3の上部と蓋体2とのシール性が困難となるおそれがある。そこで、本実施の形態においては、内鍋3が「大鍋」のときには、図25の右側に示すように、鍔部69を段部67に直接係止するが、内鍋3が「小鍋」のときには、図25の左側に示すように、鍔部69と段部67との間に、所定厚さ(例えば、厚さ2mm)の環状のスペーサ71を介設している。このようにすると、高さ寸法の低い内鍋3の上端開口の位置と高さ寸法が高い内鍋3の上端開口の位置とが一致することとなる。従って、高さ方向の寸法バラツキの大きな内鍋3を採用しても、スペーサ71を着脱するという少ない投資で内鍋3の寸法バラツキを吸収できることとなり、炊飯器本体1の上端開口と蓋体2とのシール性を確保できる。なお、前記小径筒部64bの下端部には、図26に示すように、スペーサ71を段部67に載置した状態で該スペーサ71を段部67との間に挟持する凸部72が一体に突設されている。この凸部72の外径は、図27に示すように、スペーサ71を用いない場合に鍔部69の段部67への係止が可能なように、貫通穴70の内径とほぼ同径とされている。
ところで、前記円筒部材64は、高さ寸法が長くなるため、1部品で構成すると、金型の抜き勾配により、底部材1b側の大径筒部64aの径寸法が大きくなり、炊飯器本体1の投影面積が大きくなるおそれがある。また、金型も開き寸法が大きくなるため、大型になる。そこで、本実施の形態においては、円筒部材64は、径方向で分割する(つまり、二つ割りとする)ことにより、抜き勾配による大型化と型開き寸法の小型化を図っている。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第17の実施の形態
図28には、本願発明の第17の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この場合、第16の実施の形態にかかる電気炊飯器において、上部内ケース46bを板金製としており、該上部内ケース46bの上下端部には、カーリング部73,74が形成されている。そして、内鍋3が「大鍋」の場合には、図28の右側に示すように、上部カーリング部73の巻き方を浅くし、内鍋3が「小鍋」の場合には、図28の左側に示すように、上部カーリング部73の巻き方を深くしている。つまり、上部内ケース46bの高さ寸法X1,X2に2mmの差(X1−X2=2)が生ずることとなるのである。このようにすると、上部内ケース4bにおける上部カーリング部73の巻き方を変更するだけで、高さ寸法の低い内鍋3の上端開口の位置と高さ寸法が高い内鍋3の上端開口の位置とが一致することとなる。従って、高さ方向の寸法バラツキの大きな内鍋3を採用しても、スペーサ71を着脱するという少ない投資で内鍋3の寸法バラツキを吸収できることとなり、炊飯器本体1の上端開口と蓋体2とのシール性を確保できる。
その他の構成および作用効果は、第1および第6の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第18の実施の形態
図29には、本願発明の第18の実施の形態にかかる電気炊飯器の要部概略構成が示されている。
この場合、遮熱板50の上面には、内鍋3の底部に形成された支持脚31の高さY1より高いリブ75が一体に突設されており、該リブ75で内鍋3を支持するようにしている。このようにすると、遮熱板50を構成しているセラミックの公差は内鍋3の公差よりも小さいため、第1のワークコイルC1と内鍋3の底面との距離を安定させることができる。従って、内鍋3の寸法バラツキに起因して第1のワークコイルC1の出力が変化することがなくなる。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第19の実施の形態
図30および図31には、本願発明の第19の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
内鍋3として、非金属材料からなる鍋(例えば、土鍋、セラミック鍋あるいは炭鍋等)を採用しているが、このような内鍋3の場合、製造工程において径方向寸法に大きなバラツキ(例えば、−1.5mm〜+1.5mmのバラツキ)が発生する。
内鍋3の径寸法のバラツキが生じた場合、炊飯器本体1(例えば、内ケース46)に対する内鍋3の中心出しがうまくいかないと(例えば、偏りが生ずると)、例えば側面ヒータH1と内鍋3外周面との距離や底部および第2のワークコイルC2と内鍋3外周面(誘導発熱体G2)との距離が内鍋3の周方向において相異することとなり、加熱状態(換言すれば、炊飯状態)が安定しなくなるという不具合が発生するおそれがあるし、内鍋3の上部開口縁と蓋体2とのシール性の確保が難しくなって、炊飯性能の悪化や保温性能の低下等の原因となる。また、内ケース46の内底中心部に温度検知手段として作用する温度センサ(換言すれば、センタセンサCS)を設けたものにおいては、内鍋3の外底中心部にセンタセンサCSとの接触を良好に保持するためのセンタセンサ接触部(表面を滑らかに加工している部分)が形成されているが、内鍋3の内ケース46内における位置にズレが生じると、センタセンサCSに対するセンタセンサ接触部の位置が大幅にズレるという現象が生じるおそれがある。このような現象が生ずると、センタセンサCSによる温度検知に狂いが生じて炊飯性能に多大な影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本実施の形態においては、前記炊飯器本体1の内周面(具体的には、肩部材11と内ケース46の上部部分を構成するリング体46cとの間)には、前記内鍋3の収容時に該内鍋3を前記内ケース46の中央部に位置決めするための複数個(例えば、3個)の位置決め部材76,76,76が設けられている。該位置決め部材76,76,76は、図31に示すように、炊飯器本体1の内周面において周方向等間隔で(例えば、弾性体18,18,18の中間位置となるように)設けられており、それぞれは、耐熱合成樹脂製の弾性部材からなっている。そして、この各位置決め部材76は、先細り形状の先端部7aを備えた薄角板形状の本体76bと、該本体76bの後部に延設された幅狭の固定部76cとからなっており、前記本体76bの後部には、前記リング体46cの上面に一体に突設されたピン部77が嵌挿固定される嵌挿穴78が形成されている。このようにすると、位置決め部材76,76,76を、内鍋3の出し入れ動作を邪魔しない程度の弾性を有する部材で構成することができ、内鍋3の内ケース46内への出し入れの際に位置決め部材76,76,76が当該動作を邪魔することなく、円滑に内鍋3の出し入れ動作を行うことができるとともに、各位置決め部材76の先端部76aと内鍋3の外周面との当たり面積を可及的に小さくできることとなり、内鍋3の出し入れ時に摩擦を生じにくくなる。なお、本実施の形態の場合、各位置決め部材76は、肩部材11とリング体46cとの間に挟持する構造とされているが、位置決め部材76,76,76が、内鍋3の胴体部における肉厚部(即ち、形状安定部)3bに対向する位置に設けられていればよいのである。このようにすると、内鍋3の胴体部における形状安定部3bに対する位置決め部材76,76,76の位置決め作用によって内鍋3の内ケース46中心部への位置決めが行われることとなり、常時安定した状態での内鍋3のセンタ出しが行える。
上記のように構成したことにより、非金属材料からなる内鍋3の場合、製造時に大きな寸法バラツキが発生するが、内鍋3の内ケース46内への収容時に炊飯器本体1の内周面に設けられた複数個(例えば、3個)の位置決め部材76,76,76によって、内鍋3が内ケース46の中心部に位置決めされることとなる。従って、例えば側面ヒータH1と内鍋3の外周面との距離や底部および第2のワークコイルC2と内鍋3の外周面(誘導発熱体G2)との距離が内鍋3の周方向において相異するということがなくなり、加熱状態(換言すれば、炊飯状態)が安定するし、内鍋3の上部開口縁と蓋体2とのシール性も確保できることとなる。また、内ケース46の内底中心部に温度検知手段として作用する温度センサ(換言すれば、センタセンサCS)を設けたものにおいても、センタセンサCSに対する内鍋側のセンタセンサ接触部の位置が大幅にズレるという現象が生じることもなくなる。
第20の実施の形態
図32には、本願発明の第20の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この場合、内ケース46は、耐熱合成樹脂製の有底円筒形状の一体成形品とされており、そり胴部側周部外周には、側面ヒータH1が設けられている。また、非金属製の内鍋3は、湾曲部を有しない有底円筒形状とされており、第1のワークコイルC1のみを有しており、第2のワークコイルを有していない。さらに、内蓋16bは、蒸気排出筒15の下端に結合されている。本実施の形態においては、位置決め部材76は、肩部材11と内ケース46との間に挟持された状態で取り付けられている。なお、遮熱板も省略されている。
その他の構成および作用効果は、第19の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第21の実施の形態
図33および図34には、本願発明の第21の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この場合、各位置決め部材76は、肩部材11とリング体46cとの間に進退自在に挟持されたキャップ形状の作動体79と、該作動体79内に内装されたスプリング80とからなっており、該スプリング80の固定端を前記肩部材11から垂設された支持部材81に支持することにより、前記作動体79が炊飯器本体1の内周面から進退できるように構成されている。前記作動体79としては、図5(イ)に示すように、円筒形状であってもよく、図5(ロ)に示すように、先端が細くされた角筒形状とすることもできる。なお、作動体79の後端には、鍔部82が一体に形成されており、該鍔部82とリング体46cの外周縁との係合により、作動体79の作動限が規制されることとなっている。このようにすると、スプリング80の付勢力を設定することにより、位置決め部材76を内鍋3の出し入れ動作を邪魔しない程度の弾性を有する部材で構成することができる。その結果、内鍋3の内ケース46内への出し入れの際に位置決め部材76が当該動作を邪魔することなく、円滑に内鍋の出し入れ動作を行うことができる。
その他の構成および作用効果は、第19の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第22の実施の形態
図35には、本願発明の第22の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この場合、位置決め部材76は、第21の実施の形態におけると同様に、下部内ケース46aに進退自在に取り付けられたキャップ形状の作動体79と、該作動体79内に内装されたスプリング80とからなっており、該スプリング80の固定端をコイルダイ94のコイル支持部94aに支持することにより、前記作動体79が炊飯器本体1の内周面から進退できるように構成されている。この場合、位置決め部材76は、内鍋3における側壁下部3dの外周面に圧接されることとなる。このようにすると、内鍋3の出し入れ時に斜め下方に向かう力が位置決め部材76に作用することとなるところから、内鍋3の出し入れ動作が極めて容易且つ円滑に行える。
その他の構成および作用効果は、第19の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第23の実施の形態
図36には、本願発明の第23の実施の形態にかかる電気炊飯器が示されている。
この場合、内鍋3として非金属材料からなる鍋(例えば、セラミック製の土鍋)が採用されており、その底壁部3aの底部中央面(フラット面)および該底壁部3a外周の湾曲面部(R面部)には、それぞれ内部に誘起される渦電流によって自己発熱が可能な、例えば数十ミクロンφ程度の銀の粒状物と樹脂との混合物からなる銀ペースト等の金属製の第1,第2の誘導発熱体G1,G2が設けられている。
上記底壁部3aの底部中央の第1の誘導発熱体G1は、例えば図36に示すように、中心部Oと半径方向の途中に非発熱部を設けた内外2重輪構造の2本のドーナツ発熱体Ga,Gbにより形成されている。
ところで、内鍋3の内外面に誘導発熱体として作用する金属溶射発熱層を形成する場合もある。また、前記金属溶射発熱層に連続する金属溶射伝熱層を形成する場合もある。なお、金属溶射発熱層および金属溶射伝熱層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることもできる。さらにまた、誘導発熱体G1,G2としては、銀ペーストや金属溶射層以外の金属板を採用することができるし、誘導発熱体G1,G2を内鍋3の内部に埋め込む場合もある。
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
本願発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。