JP2008051880A - 露光用マスクの管理方法および露光用マスク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】露光用マスクを使用する環境において、前記環境中の実測した硫酸イオン濃度と、前記露光用マスク表面に吸着する最大硫酸イオン吸着量と、前記露光用マスク表面に前記異物が発生する前記露光用マスク表面に存在する硫酸イオン量の閾値とから、一定時間経過後の前記露光用マスク表面の硫酸イオン吸着量を算出し、前記異物が発生しない前記露光用マスクの使用期限を設定し、前記使用期限前に前記露光用マスクを再洗浄して使用することを特徴とする。
【選択図】 図6
Description
このため、マスク製造後の検査では無欠陥の良好な品質状態であっても、露光装置でエキシマレーザ照射を繰り返すうちに、マスク上に異物が生じてマスクを汚染し、ウェハへの良好なパターン転写像が得られなくなるという問題があった。ことにマスク上の透明領域や半透明領域に生じた異物は、露光光の透過率を変えてしまい問題であった。マスク使用開始時には良好な状態であっても時間の経過と共に汚染物質である異物が成長し、しかもマスクによっては少ない露光量でも異物が発生する場合もあり、マスク管理上も管理が難しい問題であった。
Msulf≦Mmax−A×exp(−B×Csulf×t)
本発明者は、種々のテストを行った結果、露光用マスク表面の成長性異物は、硫酸イオン等の酸系イオンとアンモニウムイオン等のアルカリイオンとが反応して形成されており、それらのイオンの中でも硫酸イオンに起因するものが多く、マスク表面の硫酸イオン系の成長性異物の発生には、マスク表面の硫酸イオン量の閾値があることを見出し、露光用マスクが汚染されない条件を求め、本発明を完成させたものである。
以下、図面を参照して、本発明の露光用マスクの管理方法の実施形態について、ArFエキシマレーザを露光光源に用いた場合を例に説明する。
図1は、露光用光源にArFエキシマレーザを用い、その積算露光量を800J/cm2〜3000J/cm2まで変えた場合の、露光用マスク表面の硫酸イオン量(横軸)と硫酸イオン系異物の発生個数(縦軸)との関係を示すものである。露光用マスク表面の硫酸イオン量の測定は、測定対象となる露光用マスク表面に存在するイオンを純水で抽出し、イオンを抽出した純水溶液をイオンクロマトグラフィ法を用いて定量分析して得ることができる。この場合、純水を煮沸して抽出するのがより好ましい。
図2に示されるように、露光用マスク表面の硫酸イオン量が0.2ng/cm2および0.9ng/cm2の場合には、積算露光量が1,000J/cm2を超えても硫酸イオン系異物は発生していない。しかし、露光用マスク表面の硫酸イオン量が1.5ng/cm2の場合には、露光量が100J/cm2を超えたあたりの低い露光量においても異物が発生している。
なお、通常の露光用マスクの洗浄では、洗浄後にマスク表面に残留する硫酸イオン量は0.4ng/cm2前後である。
本発明者は、ラングミュアの吸着式を改良した羽深氏等の次式(1)を用い、環境中に存在する硫酸イオン濃度について解析した(H.Habuka et al,Jpn.J.Appl.Phys.42,1575(2003))。
dS/dt=(Smax−S)kad,iCi−kde,iS (1)
ただし、t:時間(h)、S:i種の表面濃度、Smax:最大表面濃度、Ci:i種の環境中濃度(g/cm3)、kad:マスク表面上へのi種の吸着速度(ng/cm2/h)、kde,i:マスク表面上からのi種の脱離速度(ng/cm2/h)である。
Msulf=Mmax−A×exp(−B×Csulf×t) (2)
ただし、Msulf:ある時間t経過した後の硫酸イオン吸着量(ng/cm2)、Mmax:最大硫酸イオン吸着量(ng/cm2)、A、Bは定数である。Csulf:環境中の硫酸イオン濃度(μg/m3)である。
環境中の硫酸イオン濃度は、イオンクロマトグラフィ法を用いた環境分析装置CM505(横河電機(株)製)で測定した。また硫酸イオン吸着量は、吸着後のガラス基板を100mlの温純水に浸漬し、その温純水をイオンクロマトグラフィにより測定した。
図5に示されるように、環境中の硫酸イオン濃度Csulfが13μg/m3の条件下では、マスクブランクス用ガラス基板表面の硫酸イオン量Msulfは、1000時間経過後にほぼ飽和状態となる。一方、環境中の硫酸イオン濃度Csulfが0.7μg/m3の条件下では、1000時間経過後に約1ng/cm2の硫酸イオンが吸着すると見積もられる。
後者の例として、例えば、露光用マスク保管環境の硫酸イオン濃度が0.4μg/m3で使用期限が48日の場合、環境中の硫酸イオン濃度を0.06μg/m3に低減することにより、使用期限は365日にまで延命することができる。
本発明の露光用マスクは、透明基板上にマスクパターンが形成されており、ArFエキシマレーザを露光光源とする露光装置に用いる場合には、少なくとも前記マスクパターンが形成された側のArFエキシマレーザ露光用マスク表面の硫酸イオン量を1ng/cm2未満とするものである。前述のように、マスク表面の硫酸イオン量が1ng/cm2以上の場合には、非常に少ない露光量でも硫酸イオン系の異物が発生する。これに対し、マスク表面の硫酸イオン濃度を1ng/cm2未満とすることにより、露光用マスクの再洗浄を必要とせずに高品質を維持したまま長期間使用することが可能となる。
Claims (7)
- 硫酸イオン系異物に汚染された露光用マスクを再洗浄して使用する露光用マスクの管理方法であって、
前記露光用マスクを使用する環境において、前記環境中の実測した硫酸イオン濃度と、前記露光用マスク表面に吸着する最大硫酸イオン吸着量と、前記露光用マスク表面に前記異物が発生する前記露光用マスク表面に存在する硫酸イオン量の閾値とから、一定時間経過後の前記露光用マスク表面の硫酸イオン吸着量を算出し、前記異物が発生しない前記露光用マスクの使用期限を設定し、前記使用期限前に前記露光用マスクを再洗浄して使用することを特徴とする露光用マスクの管理方法。 - 前記環境中の硫酸イオン濃度をCsulf(μg/m3)、前記露光用マスクの最大硫酸イオン吸着量をMmax(ng/cm2)、一定時間(t)経過後の前記露光用マスク表面の硫酸イオン吸着量をMsulf(ng/cm2)、およびA、Bを定数としたとき、前記硫酸イオン吸着量Msulfが下記の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の露光用マスクの管理方法。
Msulf=Mmax−A×exp(−B×Csulf×t) - 前記露光用マスクが、ArFエキシマレーザを露光光源とする露光装置に使用するためのマスクであり、前記露光用マスク表面に前記異物が発生する前記露光用マスク表面に存在する硫酸イオン量の閾値が、1ng/cm2以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の露光用マスクの管理方法。
- 前記露光用マスクが、KrFエキシマレーザを露光光源とする露光装置に使用するためのマスクであり、前記露光用マスク表面に前記異物が発生する前記露光用マスク表面に存在する硫酸イオン量の閾値が、5ng/cm2以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の露光用マスクの管理方法。
- 前記環境中の実測した硫酸イオン濃度および前記硫酸イオン吸着量が、イオンクロマトグラフィ法により測定されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の露光用マスクの管理方法。
- 透明基板上にマスクパターンが形成され、ArFエキシマレーザを露光光源とする露光装置に用いる露光用マスクであって、
少なくとも前記マスクパターンが形成された側の前記露光用マスク表面に存在する硫酸イオン量が、1ng/cm2未満であることを特徴とする露光用マスク。 - 透明基板上にマスクパターンが形成され、KrFエキシマレーザを露光光源とする露光装置に用いる露光用マスクであって、
少なくとも前記マスクパターンが形成された側の前記露光用マスク表面に存在する硫酸イオン量が、5ng/cm2未満であることを特徴とする露光用マスク。
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