JP6806274B2 - フォトマスク、フォトマスクブランクス、およびフォトマスクの製造方法 - Google Patents
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また、ペリクルを構成する部材や露光または保管環境から発生したイオンや有機物がフォトマスク上に吸着し、成長性異物が発生すると言われている。さらに、エキシマレーザの直接の照射だけではなく、エキシマレーザの散乱光を受けることによっても、成長性異物が発生すると考えられる。このため、フォトマスクにおける遮光膜パターンの表面に吸着する硫酸イオンからも成長性異物は発生し得る。
また、遮光膜パターンの表面にペリクルを貼付するために用いた粘着材や、露光環境中、保管環境中に存在する有機物等に由来する有機物の吸着量を少なくとすることによって、遮光膜パターンの表面に成長性異物が発生することを抑制することができるフォトマスクを提供することを主目的とする。
すなわち、本発明者等は、遮光膜パターンの表面粗さおよび表面組成を同時に制御することで、遮光膜パターンの表面の成長性異物の発生を大きく低減できることを見い出し、本発明を完成させるに至ったのである。
本発明のフォトマスクは、透明基板および上記透明基板上に形成され、所望の光学濃度(OD値)を有する遮光膜からなる遮光膜パターンを有し、上記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下であることを特徴とするものである。
ここで、本発明において、算術平均粗さ(Ra)とは、原子間力顕微鏡(AFM)<株式会社日立ハイテクサイエンス社製 L−trace>を用いて測定し、1μm角範囲の高さデータをもとに求められるRa(中心線表面粗さ)を指す。
本発明における遮光膜パターンは、上記透明基板上に形成され、所望の光学濃度(OD値)を有する遮光膜からなるものである。そして、本発明における遮光膜パターンは、上記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下であるものである。
a.遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)
図2は、遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)および遮光膜パターンの表面の硫酸イオンの吸着量の関係を表すグラフである。そして、図2に示されるグラフに表される硫酸イオンの吸着量(SO4吸着量)は、算術平均粗さ(Ra)に依存して変化するものであり、図2に示されるグラフに表される算術平均粗さ(Ra)および硫酸イオンの吸着量の関係は、遮光膜パターンの表面および側面、透明基板の表面、ならびに光半透過膜パターンの表面および側面において成立するものである。なお、図2に示されるグラフに表される関係は、下記評価条件によって、評価されたものである。
<洗浄条件>
・硫酸洗浄
<イオンクロマト条件>
・DIW 100ml 90℃ 2h抽出
より具体的には、上記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、上記遮光膜パターンを構成する遮光膜の材料がモリブデンシリサイド系材料である場合には、0.2nm以下であることが好ましく、なかでも0.1nm以下であることが好ましい。
より硫酸イオンの吸着量が少ないからである。
また、上記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、上記遮光膜パターンを構成する遮光膜の材料がクロム系材料である場合には、0.3nm以下であることが好ましい。より硫酸イオンの吸着量が少ないからである。
上記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.4nm以下である場合には、上記遮光膜パターンの表面積は、99800nm2以下となる。なお、本発明において、上記遮光膜パターンの表面積は、上記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)から、画像解析等の方法によって求められるものを意味し、例えば、以下の評価条件によって評価されたものを指す。具体的には、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)<株式会社日立ハイテクサイエンス社製 L−trace>を用いて測定し、1μm角範囲の高さデータをもとに求められるRa(中心線表面粗さ)から、画像解析によって求められるものを意味する。
上記遮光膜パターンの表面の成分組成については、成長性異物の発生を抑制できるものであればよく、遮光膜パターンを構成する遮光膜の材料により異なるものである。
このような遮光膜パターンの表面の窒素の含有割合としては、成長性異物の発生原因となる有機物の付着を低減するとの観点からは、13atm%以下であることが好ましく、なかでも6atm%以下であることが好ましく、特に、5atm%以下であることが好ましい。
ここで、窒素の含有割合を低減することで、例えば、ペリクルの粘着材等に起因すると考えられる有機物や、露光環境中、保管環境中に存在する有機物の付着を低減できる理由については明確ではないが、表面に窒素原子が存在すると、窒素原子が核となり、有機物が凝集し易くなるためであると推察される。このため、有機物の凝集の原因となる窒素の含有割合を低減することで、遮光膜パターンの表面へのペリクルの粘着材等に起因すると考えられる有機物等の付着により生じる成長性異物の発生を抑制できると推察される。
また、遮光膜パターンの表面の酸素の含有割合としては、成長性異物の発生原因となる有機物の付着を低減するとの観点からは、50atm%以上であることが好ましく、なかでも55atm%以上であることが好ましく、特に、60atm%以上であることが好ましい。
ここで、酸素の含有割合を増加することで、例えば、ペリクルの粘着材等に起因すると考えられる有機物や、露光環境中、保管環境中に存在する有機物の付着を低減できる理由については明確ではないが、表面の酸素の含有割合が多いほど、表面の化学特性が安定し、有機物が吸着しにくくなるためと推察される。このため、酸素の含有割合を増加することで、遮光膜パターンの表面へのペリクルの粘着材等に起因すると考えられる有機物等の付着を抑制でき、結果として成長性異物の発生を抑制できると推察される。
さらに、遮光膜パターンを構成する遮光膜の材料がモリブデンシリサイド系材料である場合には、遮光膜パターンの表面のモリブデンの含有割合としては、成長性異物の発生原因となる有機物の付着を低減するとの観点からは、1.2atm%以下であることが好ましく、なかでも1.0atm%以下であることが好ましく、特に、0.5atm%以下であることが好ましい。
ここで、モリブデンの含有割合を低減することで、例えば、ペリクルの粘着材等に起因すると考えられる有機物や、露光環境中、保管環境中に存在する有機物の付着を低減できる理由については明確ではないが、モリブデンは有機物を起因とする成長性異物生成の触媒として作用するためであると推察される。このため、表面のモリブデンの含有割合を低減することで、表面に成長性異物の原因となる有機物が付着した場合でも、それが成長性異物として認識されるまで大きくなることを抑制でき、結果として成長性異物の発生を抑制できると推察される。
また、上述の遮光膜パターン表面の成分組成の測定方法については、表面成分組成を精度良く測定できる方法であればよく、例えば、遮光膜パターンの最表面から厚み方向に5nmの範囲内における平均の成分組成を測定する方法を用いることができる。
このような測定条件としては、例えば、以下のX線条件、X線取込角度および中和条件を用いることができる。
なお、このような表面組成の測定装置としては、例えば、ULVAC−PHI社製Quantum2000を用いることができる。
X線条件:Al mono 200μmφ×30W 15kV
X線取込角度:45°
中和条件:ION/Electron 20μA
上記遮光膜パターンは、特に限定されるものではないが、図1に示される遮光膜パターン102のように、上記遮光膜パターンの側面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下であるものが好ましい。上記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下である場合と同様の効果が得られるからである。具体的には、上記遮光膜パターンの側面に成長性異物が発生することを抑制することができるからである。また、上記フォトマスクを洗浄する時に、物理洗浄ツール等の出力を弱めたとしても、上記遮光膜パターンの側面から異物を容易に除去することができるからである。さらに、上記遮光膜パターンの側面に成長性異物が発生した場合には、上記遮光膜パターンの表面に成長性異物が発生した場合とは異なり、上記成長性異物がそれほど大きく成長しなくても光を透過する部分を覆うようになる。このため、上記遮光膜パターンの側面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下であることによって、上記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下である場合よりも、ウェハへの良好なパターン転写像が得られなくなることを顕著に抑制することができるからである。
より具体的には、上記遮光膜パターンの側面は、図1および図5に示される遮光膜パターン102の側面102bのような上記遮光膜パターンの上面および上記透明基板の上面または後述する光半透過膜パターンの上面の間の面を意味する。
上記遮光膜パターンの側面の算術平均粗さ(Ra)および側面の成分組成については、より具体的には、上記「(1)遮光膜パターンの表面」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明において、上記遮光膜パターンは、図1に示される遮光膜パターン102のように、上記透明基板上において、ウェハに転写されるパターンが形成されるパターン形成領域(以下、「パターン形成領域」と略す。)に形成された遮光膜パターンを意味する。
本発明のフォトマスクは、特に限定されるものではないが、上記透明基板上において、上記パターン形成領域の外側である外枠領域(以下、「外枠領域」と略す。)に形成され、上記遮光膜からなる外枠遮光膜をさらに有していてもよい。この場合、上記外枠遮光膜の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下であるものが好ましい。これは、以下の理由からである。
上記遮光膜は、特に限定されるものではないが、本発明のフォトマスクが、図1に示されるフォトマスク100のようなバイナリマスクである場合には、単独で光学濃度(OD値)が、3.0以上となるように調整されたものが好ましい。露光時に所望の部分において必要な遮光性を得ることができるからである。また、上記遮光膜は、本発明のフォトマスクが、後述する位相シフトマスクである場合には、後述する光半透過膜パターンと合わせて光学濃度(OD値)が、3.0以上となるように調整されたものが好ましい。露光時に所望の部分において必要な遮光性を得ることができるからである。
本発明においては、上記遮光膜パターンの表面積を小さくできるとの観点からは、上記遮光膜の厚さが、65nm以下であることが好ましい。
本発明における透明基板は、特に限定されるものではないが、本発明における透明基板としては、例えば、露光光を高透過率で透過する光学研磨された合成石英ガラス、蛍石、フッ化カルシウム等を挙げることができる。中でも、合成石英ガラスが好ましい。多用されており品質が安定し、短波長の露光光の透過率の高いからである。
また、透明基板の表面の酸素の含有割合としては、成長性異物の発生原因となる有機物の付着を低減するとの観点からは、60.0atm%以上であることが好ましい。
本発明のフォトマスクは、図1に示されるフォトマスク100のようなバイナリマスクに限定されるものではなく、例えば、トライトーン構造を有する位相シフトマスクでもよい。
本発明のフォトマスクブランクスは、透明基板、および上記透明基板上に形成され、所望の光学濃度(OD値)を有する遮光膜を有し、上記遮光膜の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下であることを特徴とするものである。
また、上記フォトマスクブランクスを用いてフォトマスクを製造する場合、フォトマスクブランクスにおける遮光膜の表面の算術平均粗さ(Ra)を維持する方法としては、例えば、上記フォトマスクブランクスの遮光膜のうち、フォトマスクの遮光膜として用いる部分の表面をレジストで覆う方法を用いることができる。なお、遮光膜を覆うレジストおよびレジストの形成方法については、フォトマスクブランクスからフォトマスクを形成する際に一般的に用いられるレジストおよびレジストの形成方法を用いることができる。
本発明のフォトマスクの製造方法は、透明基板および上記透明基板上に形成され、所望の光学濃度(OD値)を有する遮光膜を有するフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、上記遮光膜をエッチングすることにより上記遮光膜パターンを形成する遮光膜パターン形成工程と、上記遮光膜パターンの表面を平滑化する平滑化処理工程と、を有することを特徴とするものである。
次に、図9(b)に示すように、ドライエッチング装置によって、反応性エッチングガスを用い、ハードマスク層パターン104をドライエッチングして、エッチング除去する。
これにより、上記遮光膜パターンの表面に吸着する硫酸イオンの吸着量を少なくすることができるので、上記遮光膜パターンの表面に成長性異物が発生しにくいフォトマスクを得ることができる。また、上記遮光膜パターンの表面を滑らかにすることができるので、上記フォトマスクを洗浄する時に、物理洗浄ツール等の出力を弱めたとしても、上記遮光膜パターンの表面から異物を容易に除去することができるフォトマスクを得ることができる。これらの結果、ウェハへの良好なパターン転写像が得られなくなることを抑制することができる。以下、本発明のフォトマスクの製造方法の構成について説明する。
本発明におけるフォトマスクブランクス準備工程は、透明基板および上記透明基板上に形成され、所望の光学濃度(OD値)を有する遮光膜を有するフォトマスクブランクスを準備する工程である。
本発明における遮光膜パターン形成工程は、上記遮光膜をエッチングすることにより上記遮光膜パターンを形成する工程である。本発明において、上記遮光膜パターンは、図9に示されるように、上記パターン形成領域に形成される。
本発明における平滑化処理工程は、上記遮光膜パターンの表面を平滑化する工程である。
そして、上記ドライエッチングによって平滑化する方法では、等方的なプラズマ処理を行うことによって、上記遮光膜パターンの表面および側面の両方を同等に平滑化することができる。
そして、上記ウエットエッチングによって平滑化する方法では、ウエットエッチングは一般に等法的な処理であるために、上記遮光膜パターンの表面および側面の両方を同等に平滑化することができる。
本工程においては、上記平滑化方法が、例えば、遮光膜パターン表面の窒素の含有割合を減少させる方法とすることができ、なかでも窒素の含有割合を5atm%以上減少させる方法であることが好ましく、特に7atm%以上減少させる方法であることが好ましく、なかでも特に15atm%以上減少させる方法であることが好ましい。上記平滑化方法であることで、本工程により形成される遮光膜パターンは、成長性異物の発生原因となる有機物の付着を低減可能となるからである。
本工程においては、上記平滑化方法が、遮光膜パターン表面の酸素の含有割合を増加させる方法とすることができ、なかでも酸素の含有割合を5atm%以上増加させる方法であることが好ましく、特に13atm%以上増加させる方法であることが好ましく、なかでも特に14atm%以上増加させる方法であることが好ましい。上記平滑化方法であることで、本工程により形成される遮光膜パターンは、成長性異物の発生原因となる有機物の付着を低減可能となるからである。
本工程においては、遮光膜パターンを構成する遮光膜の材料がモリブデンシリサイド系材料である場合には、遮光膜パターンの表面のモリブデンの含有割合を減少させる方法とすることができ、なかでもモリブデンの含有割合を0.4atm%以上減少させる方法であることが好ましく、特に1atm%以上減少させる方法であることが好ましい。上記平滑化方法であることで、本工程により形成される遮光膜パターンは、成長性異物の発生原因となる有機物の付着を低減可能となるからである。
ガスの種類およびプラズマ処理の回数の組み合わせとしては、例えば、遮光膜パターンを構成する遮光膜の材料がモリブデンシリサイド系材料であり、窒素の含有割合を低減し、酸素の含有割合を増加し、モリブデンシリサイドの含有割合を低減する観点からは、塩素系のガスを用いた塩素プラズマ処理を行った後に、酸素系のガスを用いた酸素プラズマ処理を行う組み合わせ等を挙げることができる。
本発明のフォトマスクの製造方法は、図8および図9に示されるようなバイナリマスクの製造方法に限定されるものではなく、例えば、トライトーン構造を有する位相シフトマスクの製造方法でもよい。
上記光半透過膜パターンの表面および側面の両方に成長性異物が発生しにくいフォトマスクを得ることができるからである。また、上記フォトマスクを洗浄する時に、物理洗浄ツール等の出力を弱めたとしても、上記光半透過膜パターンの表面および側面の両方から異物を容易に除去することができるフォトマスクを得ることができるからである。さらに、上記光半透過膜パターンの側面に成長性異物が発生した場合には、上記光半透過膜パターンの表面に成長性異物が発生した場合とは異なり、上記成長性異物がそれほど大きく成長しなくても光を透過する部分を覆うようになる。このため、上記光半透過膜パターンの表面および側面の両方を平滑化することによって、上記光半透過膜パターンの表面のみを平滑化する場合よりも、ウェハへの良好なパターン転写像が得られなくなることを顕著に抑制することができるからである。
まず、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の合成石英基板(透明基板)と、合成石英基板上に形成されたモリブデンシリサイド(MoSi)系材料から構成される光半透過膜と、光半透過膜上に形成されたハードマスク層(遮光膜)とを有するフォトマスクブランクス(HOYA社製A61A−TFC)を準備した。
まず、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の合成石英基板(透明基板)と、合成石英基板上に形成された窒化珪素(SiN)系材料から構成される光半透過膜と、光半透過膜上に形成されたハードマスク層(遮光膜)とを有するフォトマスクブランクス(SiN)を準備した。
具体的には、等方的なプラズマ処理を行うドライエッチングによって、平滑化処理を行った。これにより、フォトマスク(位相シフトマスク)を作製した。
まず、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の合成石英基板(透明基板)と、合成石英基板上に形成されたモリブデンシリサイド(MoSi)系材料から構成される遮光膜と、遮光膜上に形成されたハードマスク層とを有するフォトマスクブランクス(信越化学社製W0G)を準備した。
まず、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の合成石英基板(透明基板)と、合成石英基板上に形成されたモリブデンシリサイド(MoSi)系材料から構成される遮光膜と、遮光膜上に形成されたハードマスク層とを有するフォトマスクブランクス(信越化学社製W0G)を準備した。
まず、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の合成石英基板(透明基板)と、合成石英基板上に形成されたCr膜から構成される遮光膜と、遮光膜上に形成されたハードマスク層とを有するフォトマスクブランクス(HOYA社製AR8)を準備した。
実施例1と同様に、平滑化処理前のフォトマスク(位相シフトマスク)を作製した。
まず、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の合成石英基板(透明基板)と、合成石英基板上に形成されたCr膜から構成される遮光膜と、遮光膜上に形成されたハードマスク層とを有するフォトマスクブランクス(HOYA社製AR8)を準備した。比較例2については、後述する評価において、フォトマスクではなく、このフォトマスクブランクスを評価対象とした。
実施例1〜5(全実施例)のフォトマスクが共通して有する合成石英基板、実施例1および2のフォトマスク(位相シフトマスク)における光半透過膜パターン、実施例3〜5のフォトマスク(バイナリマスク)における遮光膜パターン、比較例1のフォトマスク(位相シフトマスク)における光半透過膜パターン、ならびに比較例2のフォトマスクブランクスにおける遮光膜ついて、表面の算術平均粗さ(Ra)[nm]、表面積[nm2]、表面の二乗平均粗さ(RMS)[nm]、最大高低差(Rmax)[nm]、ならびに硫酸洗浄した後の表面への硫酸イオンの吸着量[ppb]およびアンモニアイオンの吸着量[ppb]を評価した。算術平均粗さ(Ra)としては、原子間力顕微鏡(AFM)<株式会社日立ハイテクサイエンス社製 L−trace>を用いて測定し、1μm角範囲の高さデータをもとに求められるRa(中心線表面粗さ)を求めた。具体的には、下記評価条件によって、評価した。
<表面積評価条件>
・AFMで1μm角をスキャン。
<洗浄条件>
・硫酸洗浄
<イオンクロマト条件>
・DIW 100ml 90℃ 2h抽出
<硫酸イオンの吸着量評価条件>
・上記で抽出した水をイオンクロマトグラフで定量分析。
<アンモニアイオンの吸着量評価条件>
・上記で抽出した水をイオンクロマトグラフで定量分析。
同一条件で硫酸洗浄した後の実施例1のフォトマスク(位相シフトマスク)における光半透過膜パターンの表面(Ra=0.3875)および比較例1のフォトマスク(位相シフトマスク)における光半透過膜パターンの表面(Ra=0.5276)について、ArFエキシマレーザ照射後の変化を評価した。具体的には、下記評価条件によって、評価した。
<洗浄条件>
・硫酸洗浄
<照射条件>
・湿度:40%
・温度:25℃
・積算照射量:1500J
実施例1のフォトマスク(位相シフトマスク)および比較例1のフォトマスク(位相シフトマスク)において、同一条件で硫酸洗浄した後の光半透過膜パターンの表面および側面の両方について、ArFエキシマレーザ照射後の成長性異物(Haze)の発生をSEM画像で評価した。具体的には、下記評価条件によって、評価した。
<洗浄条件>
・硫酸洗浄
<照射条件>
・湿度:40%
・温度:25℃
・積算照射量:1500J
実施例2のフォトマスク(位相シフトマスク)における光半透過膜パターンの表面(Ra=0.2075)および比較例1の平滑化処理前のフォトマスク(位相シフトマスク)における光半透過膜パターンの表面(Ra=0.5276)の異物除去力を評価した。具体的には、下記評価条件によって、評価した。
<洗浄条件>
・硫酸フリー洗浄
図16の左側には、比較例1の洗浄前後の光半透過膜パターンの表面の異物の分布を示す。
実施例1〜5(全実施例)のフォトマスクが共通して有する合成石英基板の表面(Ra=0.1285)および比較例2のフォトマスクブランクスにおける遮光膜の表面(Ra=0.8566)について、ペリクルの粘着材の残存量を評価した。具体的には、同一の剥離条件で、合成石英基板および遮光膜の表面からペリクルを剥離した時に、ペリクルの粘着材が合成石英基板および遮光膜の表面にどれくらい残存するかを評価した。
実施例4により得られた平滑化処理後のフォトマスクに対して、さらに平滑化処理として等方的なプラズマ処理を行うドライエッチングを行った。
得られたフォトマスクについて上記「評価1」に記載の方法と同一の方法により、遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)を求めたところ、0.10nmであった。
実施例3〜実施例6および比較例2のフォトマスクの遮光膜について、ペリクル付きとした状態で、ペリクルにより覆われた遮光膜に対してArFエキシマレーザを照射し、積算照射量に対する、成長性異物(Haze)の発生の有無を外観検査装置(KLA社製)を用いて検査し、検出した箇所をSEM観察することにより確認した。結果を下記表4に示す。
なお、評価に用いたぺリクル付きフォトマスクは、ぺリクルのサイズが149×115mmであり、粘着材の材質はスチレン系ポリマーで厚さが0.65mmのものを使用し、粘着材であるスチレン系ポリマーを介してぺリクルを加圧することで貼り合わせる方法を用いて形成した。
また、レーザー照射は、ペリクル付きマスク中心部である1cm四方の領域に照射した。
さらに、下記表4中、成長性異物(Haze)の発生が観察された場合には「○」を記入し、観察されなかった場合には「×」を記入した。
また、照射条件は、下記表4に示すように積算照射量を100kJ/cm2〜400kJ/cm2の範囲内で変化させた以外は、上記「評価3」と同様の条件とした。
実施例3〜実施例6および比較例2のフォトマスクの遮光膜パターン表面の成分組成を測定した。
また、実施例5および比較例1の合成石英基板表面の成分組成を測定した。
測定方法は、ULVAC-PHI社製Quantum2000を用いて、下記測定条件で測定した。結果を下記表4に示す。
なお、表面の成分組成は、表面から厚み方向に5nmの範囲内における平均の成分組成を測定した。
X線条件:Al mono 200μmφ×30W 15kV
X線取込角度:45°
中和条件:ION/Electron 20μA
具体的には、実施例3〜実施例6のモリブデンシリサイド系材料を用いた遮光膜については、窒素の含有割合が、13atm%以下、5atm%以下となることで、積算照射量が多くなった場合でも成長性異物の発生を抑制できることが確認できた。
また、実施例5および比較例2のクロム系材料を用いた遮光膜については、窒素の含有割合が、11atm%以下、6atm%以下となることで、積算照射量が多くなった場合でも成長性異物の発生を抑制できることが確認できた。
また、評価6において実施例3のフォトマスクをペリクル付フォトマスクとし、積算照射量が200kJ/cm2なるようにArFエキシマレーザ照射を行った際に発生した成長性異物(Haze)を飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)により分析したところ、有機アミンが検出された。このことから、ペリクル付フォトマスクに対してエキシマレーザ照射を行うことで発生した成長性異物は、ペリクルを遮光膜パターンに貼付するために用いた粘着材に由来するものであると推察された。
さらに、実施例3を基準にして、実施例4および実施例6と比較すると、平滑化処理を行うことにより、窒素の含有割合を7.8atm%、15.3atm%減少させることができた。また、酸素の含有割合を5.3atm%、14.6atm%増加させることができた。さらに、モリブデンの含有割合を0.4atm%、1.1atm%減少させることができた。
一方、比較例2を基準にして、実施例5と比較すると、平滑化処理を行うことにより、窒素の含有割合を5.8atm%減少させることができた。また、酸素の含有割合を13.4atm%増加させることができた。
101…透明基板
102…遮光膜パターン
Claims (4)
- 透明基板および前記透明基板上に形成され、所望の光学濃度(OD値)を有する遮光膜を有するフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
前記遮光膜をエッチングすることにより遮光膜パターンを形成する遮光膜パターン形成工程と、
前記遮光膜パターンの表面を平滑化する平滑化処理工程と、を有し、
前記平滑化処理工程が、ドライエッチングにより平滑化する工程であることを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 前記ドライエッチングにより平滑化する工程が、塩素系のガス、フッ素系のガス、および酸素系のガスからなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いてプラズマ処理を行う工程であることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記平滑化工程は、前記平滑化処理工程後の前記遮光膜パターンの表面の算術平均粗さ(Ra)が0.4nm以下となるように行う工程である請求項1または請求項2に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記遮光膜の材料がモリブデンシリサイド系材料であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のフォトマスクの製造方法。
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