JP2008049495A - 印刷用ブランケット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材1などからなる支持層と、支持層に支持される表面層2とを備える印刷用ブランケットであって、表面層2を、室温硬化型シリコーンゴムと、シリコーンゲルとを含有するゴム組成物の支持層に対する塗布により形成する。また、このゴム組成物におけるシリコーンゲルの含有量を、室温硬化型シリコーンゴム100重量部に対し、5〜50重量部に設定する。
【選択図】図1
Description
また、上記シリコーンブランケットは、通常、樹脂フィルムなどの基材を含む支持層と、上記支持層に支持されてインキを受理するための、シリコーンゴムからなる表面層と、を有している(特許文献1〜3参照)。
一方、例えば、表面層の表面粗さを大きくして、表面張力を大きくすることにより、表面層によるインキのはじきを抑制できるものの、この場合、表面層の表面平滑性の低下に伴い、シリコーンブランケットから転写されるインキパターンの形状に乱れが生じるおそれがある。
この場合、シリコーンゴムとシリコーンゲルとの組合せが良好で、シリコーンゴムの硬化不良を抑制し、表面層の寸法精度や、シリコーンゲルを配合する際の作業性を向上させることができる。
上記印刷用ブランケットの支持層は、基材と、必要に応じて、圧縮性層とを有している。
基材としては、特に限定されず、印刷用ブランケットの基材として公知のものが挙げられる。具体的には、これに限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのプラスチックフィルムが挙げられる。
また、圧縮性層を有する支持層は、これに限定されないが、例えば、一対の基材と、圧縮性層とを備え、この圧縮性層が、一対の基材間に挟み込まれていることが好ましい。
支持層の厚みは、表面層の厚みや印刷用ブランケット全体の厚みに合わせて、または、支持層に要求される機械的強度(例えば、引張強さなど。)に合わせて、適宜設定されることから、特に限定されないが、例えば、好ましくは、0.1〜1.2mmである。
室温硬化型シリコーンゴム(以下、「RTVシリコーンゴム」という。)は、その性状により、例えば、1液型、2液混合型などが挙げられる。表面層の形成に用いられるRTVシリコーンゴムは、1液型、2液混合型などのいずれであってもよいが、なかでも、後述するシリコーンゲルを表面層に含有させる際の操作性(とりわけ、表面層中でのシリコーンゲルの分散の均一性)の観点から、2液混合型のRTVシリコーンゴムが好適である。
また、RTVシリコーンゴムは、溶剤を含有する溶剤型と、溶剤を含有しない無溶剤型とが挙げられ、なかでも、表面層の形成に用いられるRTVシリコーンゴムは、無溶剤型であることが好ましく、溶剤型の場合は、溶剤が揮発性であることが好ましい。
RTVシリコーンゴムの具体例としては、これに限定されないが、例えば、下記に示すものが挙げられる。
・2液混合付加型RTVシリコーンゴム:品名「KE−1606」、「KE−1300T」、「KE−1310ST」、「KE−1314」、「KE−1600」、「KE−1603(A/B)」、「KE1222」、「KE1241」(以上、信越化学工業(株)製)、品名「TSE3453」、「TSE3453T」、「TSE3455T」、「TSE3456T」、「TSE3457T」、「TSE3450」、「TSE3466」、「TSE3402」、「YE5626」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
・2液混合縮合型RTVシリコーンゴム:品名「KE−12」、「KE−14」、「KE−17」、「KE−24」、「KE−26」、「KE−108」、「KE−111」、「KE−113」、「KE−1414」、「KE−1415」、「KE−1416」、「KE−1417」(以上、信越化学工業(株)製)、「TSE3503」、「TSE3504」、「TSE350」、「TSE3502」、「TSE3508」、「TSE3562」、「XE12−246」、「XE12−A4001」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
・1液縮合型RTVシリコーンゴム:品名「KE−44」(オキシム型)、「KE−40RTV」(オキシム型)、「KE−347」(アセトン型)、「KE−3490」(アセトン型)、「KE−3493」(アセトン型)、「KE−4896」(アルコール型)、「KE−4890」(アルコール型)(以上、信越化学工業(株)製)、「TSE397」、「TSE398」(アルコール型)、「TSE387」、「TSE388」(オキシム型)(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
シリコーンゲルは、その硬化方法により、例えば、室温硬化型シリコーンゲル(以下、「RTVシリコーンゲル」という。)、熱硬化型シリコーンゲル、紫外線・電子線照射型シリコーンゲルなどが挙げられる。
シリコーンゲルは、その性状により、例えば、1液型、2液混合型などが挙げられる。表面層の形成に用いられるシリコーンゲルは、1液型、2液混合型などのいずれであってもよいが、表面層の寸法精度を向上させるという観点より、2液混合型であることが好ましい。
本発明の印刷用ブランケットにおいて、表面層の形成に、付加型のRTVシリコーンゴムが用いられるときには、表面層の硬化阻害を防止するために、シリコーンゲルとして、好ましくは、2液混合付加型のシリコーンゲルが用いられ、より好ましくは、2液混合付加型のRTVシリコーンゲルが用いられる。
また、シリコーンゲルは、溶剤を含有する溶剤型と、溶剤を含有しない無溶剤型とが挙げられ、なかでも、表面層の形成に用いられるシリコーンゲルは、無溶剤型であることが好ましく、溶剤型の場合は、溶剤が揮発性であることが好ましい。
シリコーンゲルの具体例としては、これに限定されないが、例えば、下記に示すものが挙げられる。
・2液混合付加型RTVシリコーンゲル:品名「KE1051(A/B)」、「KE1051J(A/B)」、「KE1052(A/B)」(以上、信越化学工業(株)製)、「YE5818」、「TSE3062」、「TSE3065」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
・1液付加型RTVシリコーンゲル:品名「KE1056」、「KE1057」、「FE57」(以上、信越化学工業(株)製)、「TSE3053」、「TSE3051」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)など。
・加熱硬化型シリコーンゲル:品名「スリーボンド1238E」(1液型、無溶剤、(株)スリーボンド製)など。
シリコーンゲルの配合量は、室温硬化型シリコーンゴム100重量部に対し、5〜50重量部であり、好ましくは、10〜40重量部であり、より好ましくは、20〜40重量部である。
硬化速度調整剤としては、例えば、品名「X−93−405」、「制御剤No6−10」(以上、信越化学工業(株)製)、「ME75」(GE東芝シリコーン(株)製)などが挙げられる。
また、上述のRTVシリコーンゴムやシリコーンゲルが2液混合型であって、あらかじめ硬化剤が配合されていないタイプである場合には、RTVシリコーンゴムやシリコーンゲルとともに、別途、それらの硬化剤が配合される。
上記ゴム組成物は、RTVシリコーンゴムと、シリコーンゲルと、その他の配合剤とを、上記した配合割合で配合し、さらに、特に限定されないが、例えば、攪拌羽を用いて回転させる方法、自転・公転方式による方法、ニーダー、バンバリーロールなどで攪拌することにより、均一に混合されたゴム組成物として調製することができる。
上記ゴム組成物は、特に限定されないが、例えば、バーコーター、ロールコーター、スリットダイコーター、ナイフコーターなどによって、基材上に塗布、硬化され、これにより、基材と、この基材上に担持された表面層とを備える印刷用ブランケットが得られる。
また、上記ゴム組成物を硬化させて得られる表面層の硬さは、特に限定されないが、印刷用ブランケットの印刷適性の観点から、デュロメータ硬さ(タイプA;JIS K 6253−1997)で、20〜70であることが好ましく、25〜60であることがより好ましい。
表面層の表面張力が上記範囲を下回ると、インキの受理性を十分に向上させることができず、それゆえ、印刷に使用するインキによっては、表面層でインキがはじかれる現象を生じるおそれがある。逆に、表面層の表面張力が上記範囲を上回ると、インキの転写性が低下し、ピンホール、かすれ、パターンの断線といった転写不良を生じるおそれがある。
本発明の印刷用ブランケットは、例えば、図1に示すように、支持層としての基材1上に、表面層2が積層されており、その使用時には、基材1のうち、表面層2が形成されている面とは逆側の面3が、ブランケット胴の表面に貼着または固定される。
そして、本発明の印刷用ブランケットによれば、表面層の表面の平滑性を損なうことなく、表面層の表面張力を低下させることができ、それゆえ、インキの転写性を維持しつつ、インキの受理性を向上させて、インキの転写性と受理性との両立を図ることができる。
実施例1
2液混合付加型RTVシリコーンゴム(品名「KE1606」、硬化前の粘度50Pa・s、液状、信越化学工業(株)製)100重量部に対して、2液混合付加型RTVシリコーンゲル(品名「KE1051(A/B)」、同社製)5重量部(A液2.5重量部およびB液2.5重量部)を配合し、攪拌、混合した。
実施例2
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、20重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
実施例4
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、40重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、50重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
比較例1
2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤(品名「KE1606(主剤)」、信越化学工業(株)製)100重量部に対して、硬化剤(品名「CAT−RG」、同社製)を10重量部の割合で配合し、攪拌、混合した。
比較例2
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
2液混合付加型RTVシリコーンゲルの配合量を、2液混合付加型RTVシリコーンゴムの主剤100重量部に対して、70重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
実施例6
2液混合付加型RTVシリコーンゲル5重量部に代えて、1液付加型RTVシリコーンゲル(品名「KE1056」、信越化学工業(株)製)10重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷用ブランケットを得た。
(1)表面張力
上記実施例1〜6および比較例1〜3の印刷用ブランケットについて、表面層の表面張力を測定した。
測定には、純水、グリセリンおよびヘキサデカンを用い、これらの液体が、それぞれ、印刷用ブランケットの表面層上で液滴を形成したときの、接触角を測定した。次いで、Fowkes法と、Van Oss法との2つの測定方法により、それぞれ、表面層の表面張力(mN/m)を算出した。算出結果を、表1に示す。
上記実施例1〜6および比較例1〜3の印刷用ブランケットについて、表面層の引張強さTB(単位:MPa)を、JIS K 6251:2004の規定に準じて測定した。測定結果を表1に示す。
(3)印刷適性
上記実施例1〜6および比較例1〜3の印刷用ブランケットを用いた実機試験により、印刷用ブランケットの印刷適性を評価した。すなわち、上記印刷用ブランケットを、それぞれオフセット印刷機(OPM社製)に装着し、凹版オフセット印刷によって、被印刷体としてのガラス基板上に、ストライプパターンを印刷した。
また、凹版には、金属製の基板上に、線幅80μm、ピッチ360μm、深さ20μmの凹部(ストライプパターン)が形成され、その表面に、硬質クロム処理(厚み10μm)による傷付防止加工がなされ、さらに、研磨処理による鏡面加工がなされたものを使用した。
印刷後、凹版の凹部を電子顕微鏡で観察して、凹部内に残留したインキの有無を確認し、下記の基準で、印刷用ブランケットについてのインキの受理性を評価した。その評価結果を表1に示す。
○:凹部内でのインキの残留が観察されなかった(インキの受理性が良好であった)。
△:凹部内でのインキの残留が観察されたが、インキの受理性は、実用上、許容できる範囲であった。
×:転写不良の発生が顕著に観察された(インキの受理性が不良であった)。
○:転写不良の発生が観察されなかった(インキの転写性が良好であった)。
△:転写不良の発生が観察されたが、インキの転写性は、実用上、許容できる範囲であった。
×:転写不良の発生が顕著に観察された(インキの転写性が不良であった)。
なお、実施例1〜5と、実施例6との対比より明らかなように、2液混合付加型RTVシリコーンゴムと組み合わせて用いられるシリコーンゲルとしては、1液付加型RTVシリコーンゲルよりも、2液混合付加型RTVシリコーンゲルが好ましい。
Claims (2)
- 支持層と、前記支持層に支持される表面層とを備える印刷用ブランケットであって、
前記表面層が、室温硬化型シリコーンゴムと、シリコーンゲルとを含有するゴム組成物の前記支持層に対する塗布により形成され、
前記シリコーンゲルの含有量が、前記室温硬化型シリコーンゴム100重量部に対し、5〜50重量部であることを特徴とする、印刷用ブランケット。 - 前記室温硬化型シリコーンゴムが、2液混合付加型の室温硬化型シリコーンゴムであり、前記シリコーンゲルが、2液混合付加型のシリコーンゲルであることを特徴とする、請求項1に記載の印刷用ブランケット。
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