JP5542018B2 - シリコーンブランケット - Google Patents

シリコーンブランケット Download PDF

Info

Publication number
JP5542018B2
JP5542018B2 JP2010209666A JP2010209666A JP5542018B2 JP 5542018 B2 JP5542018 B2 JP 5542018B2 JP 2010209666 A JP2010209666 A JP 2010209666A JP 2010209666 A JP2010209666 A JP 2010209666A JP 5542018 B2 JP5542018 B2 JP 5542018B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surface layer
polyether
printing
mass
blanket
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010209666A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012061814A (ja
Inventor
信 杉谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2010209666A priority Critical patent/JP5542018B2/ja
Publication of JP2012061814A publication Critical patent/JP2012061814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5542018B2 publication Critical patent/JP5542018B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Description

本発明は、オフセット印刷方法等の印刷方法に用いるシリコーンブランケットに関するものである。
オフセット印刷方法は、インキパターンを簡易に、かつ少ない工程数で効率よく多量に、しかも安価に形成できる利点を有しており、また近年に至って印刷精度の向上が図られていることから、特にエレクトロニクス分野において利用が広まりつつある。
例えば電気配線のパターンや蛍光体のパターン、あるいはプラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶ディスプレイパネル(LCD)の構成部品等における各種のパターンといった、微細でかつ高精度のパターンの形成が求められる分野において、従来のフォトリソグラフ法によるパターン形成に代えてオフセット印刷方法が普及してきている。
オフセット印刷方法では、版の表面にパターン形成したインキをブランケットの表面に転写させたのち、被印刷体としての基板の表面に再転写させることで、前記基板の表面に所定のパターンが印刷される。
ブランケットとしては、少なくとも前記表面を構成する表面層を備え、前記表面層を、インキに対する離型性に優れたシリコーンゴムによって形成したシリコーンブランケットが広く用いられる。
表面層はインキと繰り返し接触することから、印刷を繰り返すうちに前記インキ中に含まれる溶剤が含浸されて徐々に膨潤し、それに伴ってインキに対する表面の濡れ性が徐々に上昇する。そのため、印刷初期から長期間に亘って印刷の精度を高いレベルに維持し続けることは困難である。
シリコーンゴムを殆ど膨潤しない濡れ性の低い溶剤を含むインキを使用すれば、印刷を繰り返しても前記濡れ性は殆ど変化しないため、安定した印刷を行うことができるように思われる。しかし、濡れ性の低い溶剤を含むインキは版の表面から表面層の表面への転写性が低いことから、特に細線のパターンにおいて断線を生じやすい。
断線は最も回避すべき不良の一つであり、これを防止するためには、シリコーンゴムをある程度は膨潤しうる溶剤を使用しなければならない。ところが、かかる溶剤を含むインキを使用して印刷を繰り返すと、前記溶剤によって表面層が徐々に膨潤して、インキに対する濡れ性が徐々に上昇する。そしてそれに伴ってインキが滲みやすくなって、特に細線のパターンの線幅が徐々に広くなったり、版表面の微小な汚れを転写するようになったり、表面層の表面から基板の表面へのインキの転写性が徐々に低下したりするようになって印刷の精度が徐々に低下する。
シリコーンブランケットを加熱して、前記表面層を膨潤させている溶剤を除去することが考えられる。しかしそのためには、シリコーンブランケットをおよそ40〜200℃程度まで加熱する必要があり、加熱直後の温度の高い表面を版に接触させると前記版が熱膨張して印刷の精度が低下するという問題がある。
溶剤を吸収する機能を有する溶剤吸収体を表面層の表面に接触させて溶剤を除去することが提案されている(特許文献1等参照)。前記溶剤吸収体を使用すれば、シリコーンブランケットを加熱せずに溶剤を除去できるため、印刷の精度を高いレベルに維持できる。
しかし溶剤吸収体による溶剤の除去は、表面層の膨潤状態を一定に維持するべく1回ないし数回の印刷ごとに印刷を停止して実施する必要があり、このことが印刷のタクトタイム、すなわち印刷機に基板をセットし、所定の手順にしたがって前記基板の表面にインキを印刷してパターンを形成したのち印刷機に新たな基板をセットするまでに要する平均の時間を長くする原因となって、製品の生産性を低下させるという問題がある。
シリコーンブランケットの表面層を形成するシリコーンゴムとして架橋度が小さいものを用いて、溶剤を前記表面層の内部へ吸収しやすくし、それによって前記表面層の表面の溶剤濃度の上昇を抑制することが考えられている。
しかし、その場合には表面層が軟らかくなりすぎて強度が低下したり、あるいは前記表面層が面方向に変形しやすくなるため用途によっては印刷の初期の精度が不足して使用できなくなったりする場合がある。
特開2006−188015号公報
本発明の目的は、表面層が適度な硬さを有するため強度の低下や印刷の初期の精度の低下等を生じるおそれがなく、しかも長期間に亘って表面層の表面の濡れ性が大きく上昇するのを抑制して印刷の精度を高いレベルに維持し続けることができるため、印刷途中の溶剤除去の工程を省略したり実施回数を減らしたりして印刷のタクトタイムを短くして製品の生産性を向上できるシリコーンブランケットを提供することにある。
本発明は、印刷用のシリコーンブランケットであって、前記印刷用のインキを担持させる表面を構成する、ジメチルシリコーンゴムからなる表面層を少なくとも備え、前記表面層は、前記ジメチルシリコーンゴム100質量部あたり1質量部以上、30質量部以下の、HLB値が2以上、10以下であるポリエーテル変性シリコーンオイルを含むことを特徴とするものである。
発明者の検討によると、シリコーンオイルをポリエーテルで変性してなり、前記変性の度合いを示すHLB値が前記2以上、10以下の範囲内にあるポリエーテル変性シリコーンオイルは、前記変性により分子中に導入したポリエーテル基の作用によって、表面層を形成するジメチルシリコーンゴムよりも、インキに含まれる一般的な溶剤との相溶性に優れている。
そのため、前記ポリエーテル変性シリコーンオイルを前記所定の割合で表面層に含有させることにより、ジメチルシリコーンゴムとして架橋度が小さいものを用いることなしに、溶剤を、前記表面層の内部へ吸収しやすくすることができる。
したがって、ジメチルシリコーンゴムとしては適度な架橋度を有するものを用いて表面層に適度な硬さを付与して強度の低下や印刷の初期の精度の低下等を防止しながら、前記表面層の表面の溶剤濃度の上昇、およびそれに伴う濡れ性の上昇を抑制して、比較的長期間に亘って印刷の精度を高いレベルに維持し続けることができるため、印刷途中の溶剤除去の工程を省略したり実施回数を減らしたりして印刷のタクトタイムを短くして製品の生産性を向上することが可能となる。
前記ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、25℃での動粘度が1000mm/s以下であるものを用いるのが好ましい。動粘度が前記範囲内であるポリエーテル変性シリコーンオイルは、架橋前のジメチルシリコーンゴムとの相溶性に優れている。
そのため、前記ジメチルシリコーンゴム中にポリエーテル変性シリコーンオイルをより一層均一に分散できるため、固さや強度ができるだけ均一で、しかもより一層溶剤の吸収能力にも優れた表面層を形成できる。
本発明のシリコーンブランケットは、フィルム状またはシート状の基材と、前記基材の片面に形成した前記表面層とを備えているのが好ましい。前記基材を設けることによって、シリコーンブランケット全体の強度を維持し、勝良好な取扱性を確保することができる。
なおポリエーテル変性シリコーンオイルのHLB値を、本発明では、前記ポリエーテル変性シリコーンオイル中に含まれるオキシアルキレン基の含有割合(質量%)を5で除算した値でもって表すこととする。
本発明によれば、表面層が適度な硬さを有するため強度の低下や印刷の初期の精度の低下等を生じるおそれがなく、しかも長期間に亘って表面層の表面の濡れ性が大きく上昇するのを抑制して印刷の精度を高いレベルに維持し続けることができるため、印刷途中の溶剤除去の工程を省略したり実施回数を減らしたりして印刷のタクトタイムを短くして製品の生産性を向上できるシリコーンブランケットを提供できる。
本発明のシリコーンブランケットは、印刷用のインキを担持させる表面を構成する、ジメチルシリコーンゴムからなる表面層を少なくとも備え、前記表面層は、前記ジメチルシリコーンゴム100質量部あたり1質量部以上、30質量部以下の、HLB値が2以上、10以下であるポリエーテル変性シリコーンオイルを含むことを特徴とするものである。
前記ジメチルシリコーンゴムとしては種々のジメチルシリコーンゴムが挙げられるが、特に未硬化時に液状ないしペースト状を呈する液状のジメチルシリコーンゴムが好ましい。
前記液状ないしペースト状を呈するジメチルシリコーンゴムは、例えばドクターナイフ、バーコータ、ロールコータ等を用いて所定の厚みとなるように基材上に塗布したのち硬化させて表面層を形成することができ、その際に、いわゆるセルフレベリング効果によって、前記表面層のもとになる塗膜の表面、つまり硬化後の表面層の表面を平滑化するとともに、前記表面層の厚みを均一化できる。
そのため被印刷体としての基板の表面に微細でかつ高精度のパターンを形成するのに適した表面平滑性に優れた表面層を有するシリコーンブランケットを、研磨等の工程を経ることなく生産性よく製造できる。なお必要に応じて表面層の表面を研磨してもよいことはいうまでもない。
またシリコーンブランケットは、前記液状ないしはペースト状を呈するジメチルシリコーンゴムを、表面層の表面形状に対応する賦形面を有し、基材をセットした金型内に注入して硬化させることによって製造してもよい。
前記ジメチルシリコーンゴムとしては、室温硬化型(RTV)であるものが好ましい。前記室温硬化型のジメチルシリコーンゴムは、その名のとおり加熱しなくても室温(5〜35℃)で硬化させることが可能であるため、シリコーンブランケットの製造工程および製造のための設備を簡略化できる上、加熱による膨張と冷却時の収縮を経ないため、表面層の厚みの精度を向上できる。
また前記ジメチルシリコーンゴムとしては、主剤と硬化剤の2成分からなり、前記両者を付加反応によって硬化させることができる二液付加反応型のものが好ましい。
前記二液付加反応型のジメチルシリコーンゴムは、硬化反応に際して副生成物を生じないため表面層の厚み等の寸法精度を向上し、かつ前記副生成物に基づく気泡等を含まない均一な表面層を形成できる。
前記室温硬化型でかつ二液付加反応型の液状ジメチルシリコーンゴムとしては、例えば信越化学工業(株)製のKE−1600、KE−1603、KE−1606、KE−1310ST、KE−1300T、KE−1314、KE−1241、KE−106、KE−103、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の品番TSE3402、TSE3453、TSE3455T、TSE3457、TSE3466等が挙げられる。
また前記ジメチルシリコーンゴムは、ポリエーテル変性シリコーンオイルを含有させずに単独で硬化させた際の、温度23±3℃、相対湿度55±5%の環境下で測定されるJIS A硬さが10以上、特に20以上であるのが好ましい。
これにより、表面層が軟らかくなりすぎて強度が低下したり、印刷時に版や基板に接触させる際の印圧やニップ幅等が大きく変化して印刷性に問題を生じたり、あるいは印刷の初期の精度が低下したりするのを抑制できる。
なお表面層が硬くなりすぎて、版の表面から表面層の表面へのインキの転写性が低下したり、前記表面層の表面の微妙な凹凸の影響が出て、基板上に印刷したパターンに形状の乱れを生じたりするのを防止することを考慮すると、前記JIS A硬さは80以下、特に60以下であるのが好ましい。
表面層に含有させるポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、シリコーンオイルの
(a) 側鎖の少なくとも一部、
(b) 両末端、
(c) 片末端、または
(d) 側鎖の少なくとも一部と両末端もしくは片末端
のいずれかにポリエーテル基を導入してなり、ジメチルシリコーンオイルに対して反応性を有しない非反応性の種々のポリエーテル変性シリコーンオイルが挙げられる。
特にジメチルシリコーンオイルの側鎖のメチル基の一部をポリエーテル基で置換した側鎖型のポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLB値が2以上、10以下に限定されるのは、下記の理由による。
すなわちHLB値が2未満であるポリエーテル変性シリコーンオイルは親水性と親油性のうち親油性が強いため、基板上に印刷したパターンの平面形状に乱れ、例えば波打ちやがたつき等生じやすいという問題がある。
一方、HLB値が10を超えるポリエーテル変性シリコーンオイルは親水性が強いため、インキに含まれる溶剤との相溶性が低い。そのため表面層中に含有させても、溶剤を前記表面層の内部に吸収しやすくする効果が得られない。
また前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは、架橋前のジメチルシリコーンゴムとの相溶性も低く、前記ジメチルシリコーンゴム中に均一に分散させるのが容易でない。
したがって、これらのことが相まって、溶剤を前記表面層の内部に吸収しやすくして、前記表面層の表面の溶剤濃度の上昇、およびそれに伴う濡れ性の上昇を抑制する効果を得ることができない。
また、前記のようにHLB値が10を超えるポリエーテル変性シリコーンオイルは架橋前のジメチルシリコーンゴム中に均一に分散させるのが容易でないことから、表面層の固さや強度が不均一になるおそれもある。
これに対し、HLB値が2以上、10以下であるポリエーテル変性シリコーンオイルは親油性と親水性とが適度にバランスしており、インキ中に含まれる溶剤、およびジメチルシリコーンゴムとの相溶性に優れるため、溶剤の吸収能力に優れるとともに、硬さや強度が均一な表面層を形成できる上、基板上に印刷したパターンに形状の乱れ等を生じることもない。
なおこれらの効果をより一層向上することを考慮すると、ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLB値は2以上であるのが好ましく、8以下であるのが好ましい。
またポリエーテル変性シリコーンオイルは、25℃での動粘度が1000mm/s以下であるのが好ましい。
動粘度が前記範囲を超えるポリエーテル変性シリコーンオイルはジメチルシリコーンゴムとの相溶性が低いため、前記ジメチルシリコーンゴム中に均一に分散させるのが容易でない。したがって、溶剤を前記表面層の内部に吸収しやすくして、前記表面層の表面の溶剤濃度の上昇、およびそれに伴う濡れ性の上昇を抑制する効果が十分に得られないおそれがある。また、表面層の固さや強度が不均一になるおそれもある。
これに対し、25℃での動粘度が1000mm/s以下であるポリエーテル変性シリコーンオイルはジメチルシリコーンゴムとの相溶性に優れるため、前記ジメチルシリコーンゴム中にポリエーテル変性シリコーンオイルがより均一に分散された、溶剤の吸収能力に優れた表面層を形成できる。
なおポリエーテル変性シリコーンオイルの25℃での動粘度は、前記範囲内でも100mm/s以上であるのが好ましい。
これらの条件を満足する好適なポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、いずれも側鎖型でかつ非反応性のポリエーテル変性シリコーンオイルである、信越化学工業(株)製のX−22−6191〔HLB値:2、動粘度:1000mm/s(25℃)〕、KF−945〔HLB値:4、動粘度:130mm/s(25℃)〕、KF−6020〔HLB値:4、動粘度:180mm/s(25℃)〕、KF−6015〔HLB値:5、動粘度:130mm/s(25℃)〕、KF−6017〔HLB値:5、動粘度:530mm/s(25℃)〕、KF−353〔HLB値:10、動粘度:430mm/s(25℃)〕、KF−615A〔HLB値:10、動粘度:920mm/s(25℃)〕等の1種または2種以上が挙げられる。
前記ポリエーテル変性シリコーンオイルの量が、ジメチルシリコーンゴム100質量部あたり1質量部以上、30質量部以下に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち、ポリエーテル変性シリコーンオイルの量が前記範囲未満では、前記ポリエーテル変性シリコーンオイルを含有させることによる、先に説明した、溶剤を前記表面層の内部に吸収しやすくして、前記表面層の表面の溶剤濃度の上昇、およびそれに伴う濡れ性の上昇を抑制する効果が得られない。
一方、前記範囲を超える場合には表面層が軟らかくなりすぎて強度が低下したり、前記表面層が面方向に変形しやすくなって印刷の初期の精度が不足したりする。また、かかる多量のポリエーテル変性シリコーンオイルを架橋前のジメチルシリコーンゴムと均一に混合することができず、前記ジメチルシリコーンゴムが架橋不良を生じて均一な表面層を形成できないおそれもある。
これに対し、ポリエーテル変性シリコーンオイルの量が、ジメチルシリコーンゴム100質量部あたり1質量部以上、30質量部以下であれば、強度の低下や印刷の初期の精度の低下等を生じることなく、しかも長期間に亘って表面層の表面の濡れ性が大きく上昇するのを抑制して印刷の精度を高いレベルに維持し続けることが可能となる。
なお、これらの効果をより一層向上することを考慮すると、ポリエーテル変性シリコーンオイルの量は、ジメチルシリコーンゴム100質量部あたり3質量部以上であるのが好ましく、20質量部以下であるのが好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーンオイルを含有する表面層の厚みは、特に先に説明したPDPやLCDのパターン等の高い印刷精度が要求される精密印刷用のシリコーンブランケットの場合は0.1mm以上、1mm以下であるのが好ましい。
表面層の硬さは、前出の温度23±3℃、相対湿度55±5%の環境下で測定されるJIS A硬さで表して20以上、特に25以上であるのが好ましく、60以下、特に50以下であるのが好ましい。
またシリコーンブランケットの表面状態は、インキパターンが微細になるほどその精度に影響を及ぼすため、できるだけ平坦であることが好ましい。例えば前記精密印刷用のシリコーンブランケットの表面粗さは、日本工業規格JIS B0601:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」の付属書1で規定された十点平均粗さRzJIS94で表して0.01μm以上、1μm以下であるのが好ましい。
本発明のシリコーンブランケットは、フィルム状またはシート状の基材と、前記基材の片面に形成した前記表面層とを備えているのが好ましい。前記基材を設けることによってシリコーンブランケット全体の強度を維持し、かつ良好な取扱性を確保できる。
基材としては、種々の樹脂のフィルムまたはシートや、金属の薄板等が挙げられる。このうち樹脂のフィルムまたはシートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびその共重合物、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリイミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、TPXポリマ、およびポリパラキシレン等の樹脂からなるフィルムまたはシートが挙げられる。
また金属の薄板としては銅またはその合金、アルミニウムまたはその合金、ステンレス鋼、ニッケル等の金属からなる薄板が好ましい。
特に任意の厚み、および表面粗さを有するフィルム状またはシート状に加工しやすい上、寸法安定性に優れたPETのフィルムまたはシートを基材として用いるのが好ましい。
基材の厚みは、前記精密印刷用のシリコーンブランケットの場合は0.05mm以上、0.5mm以下であるのが好ましい。
表面層を形成する前の基材の表面には、前記表面層の密着性を高めるために、例えばプラズマ処理、フレーム処理等の前処理を施したり、任意の下地層を形成したりしてもよい。
本発明のシリコーンブランケットは、例えば
(1) 凹版、平版等の版の表面にパターン形成したインキをシリコーンブランケットの表面に転写したのち、被印刷体としての基板の表面に再転写させるオフセット印刷方法、
(2) シリコーンブランケットの表面の全面にインキを塗布したのち凹版と接触させることで、前記凹版の凹部以外の領域と接触したインキを選択的にシリコーンブランケットの表面から除去して前記表面のインキ層をパターン形成したのち、前記基板の表面に転写する反転印刷方法、
(3) シリコーンブランケットの表面に直接にインキパターンを描画したのち、前記基板の表面に転写する印刷方法、
等の種々の印刷方法に用いることができる。
前記各種の印刷方法に用いて連続印刷をする際に、本発明のシリコーンブランケットによれば、インキ中に含まれ、表面層に含浸される溶剤を、前記表面層に含有させたポリエーテル変性シリコーンオイルの作用によってその内部に吸収しやすくして、前記表面層の表面の溶剤濃度の上昇、およびそれに伴う濡れ性の上昇を長期間に亘って抑制できる。そのため印刷途中の溶剤除去の工程を省略して印刷のタクトタイムを短くして、PDP等の製品の生産性を向上することが可能となる。
しかも表面層を形成するジメチルシリコーンゴムとしては適度な架橋度を有するものを用いて表面層に適度な硬さを付与して強度の低下や印刷の初期の精度の低下等を防止できる。
すなわち表面層が軟らかくなり過ぎて強度が低下したり、印刷時に版や基板に接触させる際の印圧やニップ幅等が大きく変化して印刷性が低下したり、その結果として印刷の初期の精度が低下したりするのを防止できる。
以下の実施例、比較例のシリコーンブランケットの製造、特性の測定、および試験を、特記した以外は温度23±3℃、相対湿度55±5%の環境下で実施した。
〈実施例1〉
室温硬化型で、かつ二液付加反応型の液状ジメチルシリコーンオイル〔信越化学工業(株)製のKE−1606〕の主剤91質量部、および硬化剤9質量部に、さらにHLB値が4であるポリエーテル変性シリコーンオイル〔信越化学工業(株)製のKF−945、動粘度:130mm/s(25℃)〕15質量部を加え、混合したのち脱泡して表面層用の塗布液を調製した。
次いで前記塗布液を、基材としての厚み0.25mmのPETフィルムの片面にバーコータを用いて塗布したのち室温で24時間静置して硬化させて、厚み0.7mm、PETフィルムの面方向の寸法が縦80cm×横80cmである表面層を形成してシリコーンブランケットを製造した。
前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのポリエーテル変性シリコーンオイルの量は15質量部であった。
〈実施例2〉
HLB値が10であるポリエーテル変性シリコーンオイル〔信越化学工業(株)製のKF−353、動粘度:430mm/s(25℃)〕を同量用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリコーンブランケットを製造した。前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのポリエーテル変性シリコーンオイルの量は15質量部であった。
〈比較例1〉
HLB値が2未満の1であるポリエーテル変性シリコーンオイル〔信越化学工業(株)製のX−22−2516、動粘度:70mm/s(25℃)〕を同量用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリコーンブランケットを製造した。前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのポリエーテル変性シリコーンオイルの量は15質量部であった。
〈比較例2〉
HLB値が12であるポリエーテル変性シリコーンオイル〔信越化学工業(株)製のKF−6011、動粘度:130mm/s(25℃)〕を同量用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリコーンブランケットを製造した。前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのポリエーテル変性シリコーンオイルの量は15質量部であった。
〈比較例3〉
ポリエーテル変性シリコーンオイルに代えて、ジメチルシリコーンオイル〔信越化学工業(株)製のKF96−100cs、動粘度:100mm/s(25℃〕を同量用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリコーンブランケットを製造した。前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのジメチルシリコーンオイルの量は15質量部であった。
〈印刷試験〉
実施例、比較例で製造したシリコーンブランケットを所定のサイズにカットしたのち、凹版オフセット印刷機〔ナカン(株)製、300mm×400mm対応の平板型精密印刷機〕のブランケット胴の外周に、表面層を外側にして捲回して固定した。また凹版としては、ガラス板の表面に線幅100μm、ピッチ200μm、深さ40μmの凹部を格子状にパターン形成したものを用いた。
インキとしては、ポリエステル樹脂と、溶剤としてのブチルカルビトールアセテートと、顔料としての銀粉末とを3本ロールを用いて混練して調製したものを用いた。
印刷の条件は、凹版の凹部からシリコーンブランケットの表面層の表面へのインキの転写速度を100mm/s、前記表面層の表面から、被印刷体としてのガラス基板の表面へのインキの転写速度を100mm/sに設定して、前記ガラス基板を交換しながら連続印刷をした。
そして1回目の印刷からシリコーンブランケットの表面層の表面を観察して、ガラス基板へのインキの転写後に前記表面にインキが残り始める直前までの印刷回数を記録して、連続印刷可能枚数とした。
前記連続印刷可能枚数が多いほど、そのシリコーンブランケットは、長期間に亘って表面層の表面の濡れ性が大きく上昇するのを抑制して印刷の精度を高いレベルに維持し続けることができるものと評価することができる。本発明では20枚以上を良好、20枚未満を不良として評価した。
また5回目の印刷によってガラス基板の表面に印刷されたパターンを観察して、下記の基準で印刷の初期の精度、および形状の乱れを評価した。
(印刷の初期の精度)
○:ガラス基板の表面に印刷されたパターンには線幅の増加は殆ど見られなかった。
△:パターンの線幅の増加が僅かに観察された。
×:線幅の増加が大きかった。
(形状の乱れ)
○:ガラス基板の表面に印刷されたパターンには形状の乱れは殆ど見られなかった。
△:形状の乱れが僅かに観察された。
×:形状の乱れが大きかった。
結果を表1に示す。
Figure 0005542018
表1の結果より、表面層に、HLB値が2以上、10以下であるポリエーテル変性シリコーンオイルを含有させることにより、印刷の初期の精度の低下や形状の乱れ等を生じることなく、しかも長期間に亘って表面層の表面の濡れ性が大きく上昇するのを抑制して印刷の精度を高いレベルに維持し続けられることが判った。
〈実施例3〉
ポリエーテル変性シリコーンオイルの量を5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてシリコーンブランケットを製造した。前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのポリエーテル変性シリコーンオイルの量は5質量部であった。
〈比較例4〉
ポリエーテル変性シリコーンオイルを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてシリコーンブランケットを製造した。前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのポリエーテル変性シリコーンオイルの量は0質量部であった。
〈比較例5〉
ポリエーテル変性シリコーンオイルの量を0.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてシリコーンブランケットを製造した。前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのポリエーテル変性シリコーンオイルの量は0.5質量部であった。
〈比較例6〉
ポリエーテル変性シリコーンオイルの量を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてシリコーンブランケットを製造した。前記シリコーンブランケットの表面層における、ジメチルシリコーンゴムの主剤と硬化剤計100質量部あたりのポリエーテル変性シリコーンオイルの量は40質量部であった。
前記実施例、比較例で製造したシリコーンブランケットについて、先の印刷試験を実施して特性を評価した。結果を、実施例1の結果と併せて表2に示す。
Figure 0005542018
表2の結果より、前記ポリエーテル変性シリコーンオイルの量を、ジメチルシリコーンゴム100質量部あたり1質量部以上、30質量部以下の範囲内とすることにより、印刷の初期の精度の低下や形状の乱れ等を生じることなく、しかも長期間に亘って表面層の表面の濡れ性が大きく上昇するのを抑制して印刷の精度を高いレベルに維持し続けられることが判った。

Claims (3)

  1. 印刷用のシリコーンブランケットであって、前記印刷用のインキを担持させる表面を構成する、ジメチルシリコーンゴムからなる表面層を少なくとも備え、前記表面層は、前記ジメチルシリコーンゴム100質量部あたり1質量部以上、30質量部以下の、HLB値が2以上、10以下であるポリエーテル変性シリコーンオイルを含むことを特徴とするシリコーンブランケット。
  2. 前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは、25℃での動粘度が1000mm/s以下のポリエーテル変性シリコーンオイルである請求項1に記載のシリコーンブランケット。
  3. フィルム状またはシート状の基材と、前記基材の片面に形成した前記表面層とを備えている請求項1に記載のシリコーンブランケット。
JP2010209666A 2010-09-17 2010-09-17 シリコーンブランケット Expired - Fee Related JP5542018B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010209666A JP5542018B2 (ja) 2010-09-17 2010-09-17 シリコーンブランケット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010209666A JP5542018B2 (ja) 2010-09-17 2010-09-17 シリコーンブランケット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012061814A JP2012061814A (ja) 2012-03-29
JP5542018B2 true JP5542018B2 (ja) 2014-07-09

Family

ID=46058026

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010209666A Expired - Fee Related JP5542018B2 (ja) 2010-09-17 2010-09-17 シリコーンブランケット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5542018B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2993846B2 (ja) * 1994-04-14 1999-12-27 株式会社金陽社 オフセット印刷方法
JP3444558B2 (ja) * 1994-06-30 2003-09-08 藤倉ゴム工業株式会社 印刷用ブランケットおよびその製造方法
JP3509266B2 (ja) * 1995-03-29 2004-03-22 凸版印刷株式会社 印刷用ブランケット
JP3262506B2 (ja) * 1997-01-10 2002-03-04 住友ゴム工業株式会社 印刷用ブランケットとそれを用いた凹版オフセット印刷方法
JP2008049495A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Sumitomo Rubber Ind Ltd 印刷用ブランケット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012061814A (ja) 2012-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6586002B2 (ja) オフセット印刷用途のための画像化部材
KR101241500B1 (ko) 오프셋 인쇄용 블랭킷 및 이의 제조방법
US8182913B2 (en) Bi-layer structured sheet having excellent printability when printed by hard roll and method for producing the same
JP5542018B2 (ja) シリコーンブランケット
JP2005111665A (ja) オフセット印刷用ブランケットおよびそれを用いた電極パターンの印刷方法
KR101652590B1 (ko) 인쇄용 블랭킷 및 이의 제조방법
JP5523032B2 (ja) シリコーンブランケット
JP2011126248A (ja) シリコーンブランケット
JP5419629B2 (ja) シリコーンブランケット
JP4738515B2 (ja) 印刷方法とそれに用いる溶剤吸収体
KR101251786B1 (ko) 분리 가능한 구조를 갖는 인쇄용 블랭킷 및 이를 제조하는 방법
JP2008049495A (ja) 印刷用ブランケット
JP4913196B2 (ja) 溶剤吸収体
JP2011115977A (ja) 溶剤吸収体とそれを用いた印刷方法
JP2009184268A (ja) 多孔質シリコーンゴムシートとそれを用いたシリコーンブランケット
KR101376129B1 (ko) 리버스오프셋 인쇄 블랭킷 및 이의 제조방법
JP2011037071A (ja) 印刷方法とそれに用いる溶剤吸収体
KR20110004739A (ko) 리버스오프셋 인쇄 블랭킷 및 이의 제조방법
JP2011042114A (ja) 印刷方法とそれに用いる溶剤吸収体
JP4680668B2 (ja) 印刷ブランケットの製造方法
KR20110035840A (ko) 용제 흡수체
JP2022082239A (ja) プラテンローラ及びその製造方法
JP2006188015A (ja) 印刷装置
EP4271571A1 (en) Methods and systems for stencil printing
JP2008290429A (ja) 印刷ブランケット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130718

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140410

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5542018

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees