JP4738515B2 - 印刷方法とそれに用いる溶剤吸収体 - Google Patents
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Description
例えば電気配線のパターンや蛍光体のパターン、あるいはプラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶ディスプレイパネル(LCD)の構成部品等における各種のパターンといった、微細でかつ高精度のパターンの形成が求められる分野において、従来のフォトリソグラフ法によるパターン形成に代えて、前記オフセット印刷方法が普及してきている。
ブランケットとしては、少なくともその表面を、インキに対する離型性に優れたシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂によって形成したシリコーンブランケットが広く用いられる。
シリコーンブランケットの表面に、溶剤を吸収する機能を有する溶剤吸収体を接触させて、前記シリコーンブランケット中に含浸された溶剤を溶剤吸収体へ移動させて除去することが提案されている(特許文献1〜6等参照)。前記溶剤吸収体を使用すれば、シリコーンブランケットを加熱せずに溶剤を除去できるため、印刷の精度を高いレベルに維持することができる。溶剤吸収体による溶剤の除去は、1回ないし数回の印刷ごとに実施される。
(1) 前記表面の、粗さ曲線の算術平均粗さRaが0.001μmを超え、1μm以下であるシリコーンブランケットと、
(2) 少なくとも表面をシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂によって形成した、タイプAデュロメータ硬さがA5/S以上、A50/S以下、前記表面の算術平均粗さRaが0.001μm以上、0.1μm以下で、かつ前記シリコーンブランケットの表面よりも前記算術平均粗さRaが小さい溶剤吸収体と、
を組み合わせて用いることを特徴とする印刷方法である。
そのため溶剤吸収の工程において前記溶剤吸収体の表面をシリコーンブランケットの表面にできるだけ隙間なく密着させて、前記溶剤吸収体による溶剤吸収能を十分に発揮させながら、シリコーンブランケットに含浸された溶剤を効率よく、しかも多量に溶剤吸収体に移動させて除去することができ、印刷初期から長期間に亘ってシリコーンブランケットの過剰な膨潤を抑制することができる。
またシリコーンブランケットとして、その表面の算術平均粗さRaが1μm以下であるものを用いることによって、前記表面でのインキの滲みによる線幅の増加等を抑制することもできる。
また、前記のように少なくとも表面がシリコーンゴム等からなり、タイプAデュロメータ硬さがA50/S以下であって吸収できる溶剤量が多い溶剤吸収体を用いることで、印刷を停止して溶剤吸収体を交換したり、加熱等によって溶剤吸収体に吸収された溶剤を除去したりする操作をする頻度を少なくできる。
そのため印刷のタクトタイム、つまり印刷機に被印刷体をセットし、先に説明した手順にしたがって前記被印刷体の表面にインキを印刷してパターン形成したのち印刷機に新たな非印刷体をセットするまでに要する平均の時間を短くして、印刷方法によって製造される製品の生産性を向上することもできる。
(1) 前記表面の、粗さ曲線の算術平均粗さRaが0.001μmを超え、1μm以下であるシリコーンブランケットと、
(2) 少なくとも表面をシリコーンゴム等によって形成した、タイプAデュロメータ硬さがA5/S以上、A50/S以下、前記表面の算術平均粗さRaが0.001μm以上、0.1μm以下で、かつ前記シリコーンブランケットの表面よりも前記算術平均粗さRaが小さい溶剤吸収体と、
を組み合わせて用いることを特徴とする。
前記液状ないしペースト状を呈するシリコーンゴム等を、例えばドクターナイフ、バーコータ、ロールコータ等を用いて所定の厚みとなるように基材上に塗布したのち硬化させることで吸収層が形成されて溶剤吸収体が製造される。この際、吸収層のもとになる塗膜の表面、つまり硬化後の吸収層の表面を、硬化時に液またはペーストのセルフレベリング効果によって平滑化するとともに、前記吸収層の厚みを均一化できる。
吸収層を、組み合わせるシリコーンブランケットの表面と同種のシリコーンゴム等によって形成しているのは、前記吸収層の表面の、シリコーンブランケットの表面への密着性を向上するためである。また前記シリコーンゴム等の架橋反応時に生じて吸収層中に含まれる低分子量のポリシロキサンを、離型剤としてシリコーンブランケットの表面に供給するためでもある。吸収層を前記シリコーンゴ等以外のゴムや樹脂で形成してもこれらの効果は得られない。
前記二液付加反応型のシリコーンゴム等は、硬化反応に際して前記低分子量のポリシロキサン以外には低分子量の成分(副生成物、例えば脱水縮合反応による水等)を生じないため、吸収層の寸法精度を向上し、かつ前記副生成物に基づく気泡等を含まない均一な吸収層を形成できる。
すなわち吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA5/S以上とすることで溶剤吸収体に適度な強度を付与して、印刷を繰り返した際に前記溶剤吸収体が破損するのを抑制して、破損した溶剤吸収体の交換のために印刷を停止したりする頻度を少なくでき、印刷のタクトタイムを短くして、印刷方法によって製造される製品の生産性を向上できる。
そのため溶剤吸収の工程において吸収層の表面をシリコーンブランケットの表面にできるだけ隙間なく密着させて、前記吸収層による溶剤吸収能を十分に発揮させながら、シリコーンブランケットに含浸された溶剤を効率よく、しかも多量に吸収層に移動させて除去でき、印刷初期から長期間に亘ってシリコーンブランケットの過剰な膨潤を抑制できる。
なおこれらの効果をさらに向上するため、吸収層のタイプAデュロメータ硬さは、前記範囲内でもA10/S以上であるのが好ましく、A30/S以下であるのが好ましい。
また吸収層のもとになるシリコーンゴム等に、例えばシリカ、炭酸カルシウム等の充填剤を添加することも考えられ、前記充填剤の種類と量を調整することで、吸収層のタイプAデュロメータ硬さを前記範囲内の任意の値に調整できる。ただし充填剤は、吸収層の表面粗さに影響を及ぼさないために、その種類や粒径を選択したり、配合割合を設定したりするのが好ましい。
すなわち吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.1μm以下で、かつシリコーンブランケットの表面の前記算術平均粗さRaよりも小さくすることで、前記吸収層の表面の、シリコーンブランケットの表面への密着性を向上できる。
ただし、表面の算術平均粗さRaが0.001μm未満という高い平滑性を有する吸収層を備えた溶剤吸収体を製造するのは容易でない。
なお、前記生産性の問題やタクトタイムの問題等が生じるのをできるだけ抑制しながら、吸収層の表面の、シリコーンブランケットの表面への密着性をさらに向上することを考慮すると、吸収層の表面の算術平均粗さRaは、前記範囲内でも0.005μm以上であるのが好ましく、0.05μm以下であるのが好ましい。
厚みが前記範囲未満である薄い吸収層には十分な量の溶剤を吸収させることができないため、溶剤吸収体を交換したり、過熱等によって溶剤を除去したりする操作をする頻度が多くなり、その分だけ印刷のタクトタイムが長くなって製品の生産性が低下するおそれがある。
また吸収層の重量が増加して、前記のようにシリコーンブランケットの表面に接触させる際の取扱性が低下したり、前記取り扱い時に基材が折れたりシワになったりしやすくなるおそれもある。
特に任意の厚み、および表面粗さを有するフィルム状またはシート状に加工しやすい上、寸法安定性に優れたPETのフィルムまたはシートを基材として用いるのが好ましい。
基材の厚みは0.05mm以上、特に0.1mm以上であるのが好ましく、0.35mm以下、特に0.25mm以下であるのが好ましい。
また厚みが前記範囲を超える場合には、溶剤吸収体全体としての柔軟性と、それに伴うシリコーンブランケットの表面への追従性が低下して、例えばブランケット胴の外周に捲回される等した状態で使用されるシリコーンブランケットの表面に、前記吸収層をできるだけ隙間なく接触させた状態で溶剤を吸収させることができないおそれがある。
吸収層は、基材の片面に形成してもよいし、両面に形成してもよい。両面に吸収層を形成した溶剤吸収体は、片面の吸収層を溶剤の吸収に使用した後、裏返して反対面の吸収層を溶剤の吸収に使用できる。
例えば溶剤吸収体を長尺のベルト状に形成してロール状に捲回しておき、前記ロールから繰り出した溶剤吸収体の所定長の領域をシリコーンブランケットの表面に接触させて溶剤を吸収させる操作を、同じ領域を用いて1回ないし数回行うとともに、前記所定回の操作を行なうごとに、前記ロールから溶剤吸収体の新たな領域を繰り出して、同様に溶剤吸収に使用することができる。
しかもこのいずれの場合においても、溶剤吸収体の吸収層が前記のようにシリコーンブランケットの表面への良好な密着性を有し、溶剤を吸収する能力に優れているため、前記従来のオフセット印刷機を用いて本発明の印刷方法を実施した際にも印刷初期から長期間に亘って印刷の精度を高いレベルに維持し続けることが可能となる。
(1) 凹版、平版等の版の表面にパターン形成したインキをシリコーンブランケットの表面に転写したのち、被印刷体としての基板の表面に再転写させるオフセット印刷方法、
(2) シリコーンブランケットの表面の全面にインキを塗布したのち凹版と接触させることで、前記凹版の凹部以外の領域と接触したインキを選択的にシリコーンブランケットの表面から除去して前記表面のインキ層をパターン形成したのち、前記基板の表面に転写する反転印刷方法、
(3) シリコーンブランケットの表面に直接にインキパターンを描画したのち、前記基板の表面に転写する印刷方法、
等の、シリコーンブランケットを用いる種々の印刷方法に適用できる。
シリコーンブランケットとしては、少なくともその表面がシリコーンゴム等によって形成されるとともに、前記表面の、粗さ曲線の算術平均粗さRaが0.001μmを超え、1μm以下であるものが選択して使用される。具体的には、例えばフィルム状またはシート状の基材と、前記基材の片面に形成した、少なくともシリコーンゴム等を含む組成物からなる表面ゴム層とを備えたシリコーンブランケットが好ましい。
前記シリコーンゴム等としては、やはり室温硬化型(RTV)であるものが好ましい。前記室温硬化型のシリコーンゴム等は加熱しなくても室温で硬化させることが可能であるため、シリコーンブランケットの製造工程および製造のための設備を簡略化できる上、加熱による膨張と冷却時の収縮を経ないため、表面ゴム層の厚みの精度を向上できる。
前記二液付加反応型のシリコーンゴム等は、硬化反応に際して前記低分子量のポリシロキサン以外には低分子量の成分(副生成物、例えば脱水縮合反応による水等)を生じないため、表面ゴム層の寸法精度を向上し、かつ前記副生成物に基づく気泡等を含まない均一な表面ゴム層を形成できる。
すなわち表面ゴム層の表面の算術平均粗さRaを1μmとすることにより、前記表面でのインキの滲みによる線幅の増加等を抑制できる。そのため、かかる表面ゴム層を備えたシリコーンブランケットを前記溶剤吸収体と組み合わせることで、印刷初期から長期間に亘って印刷の精度を高いレベルに維持し続けることが可能となる。
また製造できたとしても、表面ゴム層の表面の、溶剤吸収体の表面(吸収層の表面)に対する密着性が高くなりすぎて、溶剤吸収の工程後に溶剤吸収体をシリコーンブランケットの表面から引き離すのに時間がかかり、前記タクトタイムが長くなって製品の生産性が低下してしまう。
また表面ゴム層の厚みは0.1mm以上、特に0.3mm以上であるのが好ましく、1mm以下、特に0.7mm以下であるのが好ましい。
基材の厚みは、前記精密印刷用のシリコーンブランケットの場合は0.1mm以上、特に0.2mm以上であるのが好ましく、0.7mm以下、特に0.5mm以下であるのが好ましい。
厚み0.35mmのPETフィルムの片面に、表面の算術平均粗さRaが0.002μm、タイプAデュロメータ硬さがA40/Sで、かつ厚みが0.55mmである表面ゴム層を積層してシリコーンブランケット(a)を作製した。
〈シリコーンブランケット(b)〜(g)〉
表面ゴム層の表面の算術平均粗さRaを0.05μm(シリコーンブランケット(b))、0.1μm(シリコーンブランケット(c))、0.11μm(シリコーンブランケット(d))、0.5μm(シリコーンブランケット(e))、1.0μm(シリコーンブランケット(f))、および1.2μm(シリコーンブランケット(g))としたこと以外はシリコーンブランケット(a)と同様にして前記各シリコーンブランケットを作製した。
〈溶剤吸収体(1)〉
厚み0.188mmのPETフィルムの片面に、室温硬化型で、かつ二液付加反応型の液状シリコーンゴム〔信越化学工業(株)製のKE1603〕の主剤と硬化剤とを質量比1:1で配合したものを塗布したのち24時間静置して硬化させて、表面の算術平均粗さRaが0.001μm、タイプAデュロメータ硬さがA28/Sで、かつ厚みが0.35mmである吸収層を形成して溶剤吸収体(1)を作製した。
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.01μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA3/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(2)を作製した。
〈溶剤吸収体(3)〉
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.01μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA20/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(3)を作製した。
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.01μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA28/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(4)を作製した。
〈溶剤吸収体(5)〉
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA8/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(5)を作製した。
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA28/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(6)を作製した。
〈溶剤吸収体(7)〉
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA45/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(7)を作製した。
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA50/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(8)を作製した。
〈溶剤吸収体(9)〉
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA55/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(9)を作製した。
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.08μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA28/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(10)を作製した。
〈溶剤吸収体(11)〉
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.1μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA28/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(11)を作製した。
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.1μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA50/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(12)を作製した。
〈溶剤吸収体(13)〉
吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.12μm、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA28/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(13)を作製した。
吸収層をウレタン樹脂〔日立化成工業(株)製のKU7002〕によって形成するとともに、前記吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm、タイプAデュロメータ硬さをA28/Sとしたこと以外は溶剤吸収体(1)と同様にして溶剤吸収体(14)を作製した。
なお溶剤吸収体(2)〜(14)を構成するPETフィルムおよび吸収層の厚みは、いずれも溶剤吸収体(1)と同じとした。
凹版オフセット印刷機〔ナカン(株)製、300mm×400mm対応の平板型精密印刷機〕のブランケット胴の外周に、前記シリコーンブランケット(b)を捲回して固定した。また凹版としては、ガラス基板の片面に線幅20μm、ピッチ300μm、深さ7.5μmの凹部をパターン形成したものを用いた。
また前記溶剤吸収体(5)を、両端をつなぎ合わせて無端ベルト状として、前記ブランケット胴の外周に巻きつけたシリコーンブランケット(b)と同期回転させながら互いに接触させて溶剤吸収の工程を実施できるようにセットした。同期回転時の無端ベルトの送り速度は40mm/sに設定した。溶剤吸収の工程は、印刷を1回行うごとに実施した。
〈実施例2〜12、比較例1〜6〉
表1に示すシリコーンブランケットと溶剤吸収体とを組み合わせて用いたこと以外は実施例1と同様にして200回の連続印刷をした。
溶剤吸収体を組み込まず、したがって溶剤吸収の工程を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして200回の連続印刷をした。
〈印刷特性の評価〉
前記各実施例、比較例、従来例において印刷を10回行うごとに、ガラス基板の表面に印刷されたパターン上の所定の5箇所の位置で前記パターンの線幅を測定して、200回の連続印刷の間に線幅の変動が±2μmを超えたものを不良(×)、前記変動が±2μm以内であったものを良好(○)、±1μm以内であったものを優良(◎)と評価した。
以上の結果を表1に示す。
比較例2の結果から、前記吸収層のタイプAデュロメータ硬さがA50/Sを超える場合には、溶剤吸収体の柔軟性が不十分で、前記吸収層の表面をシリコーンブランケットの表面に隙間なく密着できないため、また吸収層自体の溶剤吸収量が少ないため、印刷を繰り返した際に、前記シリコーンブランケットの膨潤とそれに伴うインキの滲みにより線幅の増加方向への変動が大きくなることが判った。
比較例5の結果から、吸収層の表面の算術平均粗さRaが0.1μmを超える場合には、前記吸収層の表面をシリコーンブランケットの表面に隙間なく密着できないため、印刷を繰り返した際に、前記シリコーンブランケットの膨潤とそれに伴うインキの滲みにより線幅の増加方向への変動が大きくなることが判った。
これに対し、実施例1〜12の結果から、シリコーンブランケットの表面の算術平均粗さRaを0.001μmを超え、1μm以下の範囲内、吸収層のタイプAデュロメータ硬さをA5/S以上、A50/S以下の範囲内、前記吸収層の表面の算術平均粗さRaを0.001μm以上、0.1μm以下の範囲内とし、かつ前記シリコーンブランケットの表面より吸収層の表面の算術平均粗さRaを小さくした場合には、印刷を繰り返しても、シリコーンブランケットの膨潤とそれに伴うインキの滲みや、離型剤の不足によるパイリング等を生じることなく、印刷初期から長期間に亘って印刷の精度を高いレベルに維持できることが判った。
Claims (3)
- 少なくとも表面をシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂によって形成したシリコーンブランケットの前記表面に担持させたインキを被印刷体の表面に転写させて、前記被印刷体の表面に前記インキからなるパターンを印刷する印刷方法であって、前記シリコーンブランケットの表面に溶剤吸収体を接触させることにより、前記インキ中に含まれ、前記シリコーンブランケットに含浸される溶剤を前記溶剤吸収体によって吸収して除去する工程を含み、前記シリコーンブランケットおよび溶剤吸収体として、
(1) 前記表面の、粗さ曲線の算術平均粗さRaが0.001μmを超え、1μm以下であるシリコーンブランケットと、
(2) 少なくとも表面をシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂によって形成した、タイプAデュロメータ硬さがA5/S以上、A50/S以下、前記表面の算術平均粗さRaが0.001μm以上、0.1μm以下で、かつ前記シリコーンブランケットの表面よりも前記算術平均粗さRaが小さい溶剤吸収体と、
を組み合わせて用いることを特徴とする印刷方法。 - 請求項1に記載の印刷方法に用いる溶剤吸収体であって、フィルム状またはシート状の基材と、前記基材の少なくとも片面に形成した、シリコーンゴムまたはシリコーン樹脂からなり、タイプAデュロメータ硬さがA5/S以上、A50/S以下、表面の算術平均粗さRaが0.001μm以上、0.1μm以下で、かつ、組み合わせて用いる、表面の算術平均粗さRaが0.001μm以上、1μm以下であるシリコーンブランケットよりも前記算術平均粗さRaが小さい吸収層とを備えることを特徴とする溶剤吸収体。
- ベルト状に形成されている請求項2に記載の溶剤吸収体。
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