JP2008045411A - 過給機付き内燃機関の制御装置 - Google Patents

過給機付き内燃機関の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、過給機付き内燃機関の制御装置に関し、コンプレッサのサージ判定を正確かつ迅速に実行することを目的とする。
【解決手段】エアフローメータ18の出力に基づいて、遠心式コンプレッサ26aの通過空気量を取得する。取得されたコンプレッサ通過空気量に基づいて、サージ限界コンプレッサ回転数を取得する。ターボ回転数センサ30に基づいて、現状のコンプレッサ回転数(ターボ回転数)を取得する。サージ限界コンプレッサ回転数と、現状のコンプレッサ回転数とに基づいて、コンプレッサ26aのサージ判定を行う。
【選択図】図3

Description

この発明は、過給機付き内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1には、ターボ過給機を備える内燃機関の制御装置が開示されている。この従来の制御装置は、コンプレッサ前後の圧力比とコンプレッサ通過空気流量との関係、或いは、当該圧力比とエンジン回転数との関係に基づいて、ターボ過給機のコンプレッサのサージ判定を行うようにしている。
特開2001−342840号公報 実開平5−42642号公報
内燃機関の吸気管圧力は、常に大きく変動(脈動)している。コンプレッサ前後の圧力比を用いた上記従来技術の手法では、そのような吸気系の脈動の影響を受けるため、正確な圧力比を算出するまでに時間を要してしまう。従って、素早く正確なサージ判定を行うことが困難であり、また、その後のサージ回避処理を即座に行うことができなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、コンプレッサのサージ判定を正確かつ迅速に実行し得る過給機付き内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、遠心式コンプレッサを備える過給機と、
前記遠心式コンプレッサのコンプレッサ回転数を取得する回転数取得手段と、
前記遠心式コンプレッサの作動特性と相関のある内燃機関の運転パラメータであって、吸気管圧力に比して変動の少ない前記運転パラメータを取得する運転パラメータ取得手段と、
前記運転パラメータに基づいて、サージ限界コンプレッサ回転数を取得する限界回転数取得手段と、
前記サージ限界コンプレッサ回転数と、前記コンプレッサ回転数とに基づいて、前記遠心式コンプレッサのサージ判定を行うサージ判定手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記サージ限界コンプレッサ回転数と、前記運転パラメータとに基づいて、前記遠心式コンプレッサにサージが発生するまでのサージ余裕度を取得するサージ余裕度取得手段と、
前記サージ余裕度に基づいて、サージを回避するための内燃機関のアクチュエータの制御量を調整するサージ回避制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記運転パラメータは、前記遠心式コンプレッサの通過空気量であることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1または第2の発明において、前記運転パラメータは、エンジン回転数であることを特徴とする。
また、第5の発明は、第4の発明において、前記限界回転数取得手段は、エンジン回転数に加え、内燃機関の吸気効率に基づいて、前記サージ限界コンプレッサ回転数を取得することを特徴とする。
第1の発明によれば、比較的変動の少ない運転パラメータに基づいて取得されたサージ限界コンプレッサ回転数と、コンプレッサ回転数とに基づいて、正確かつ迅速なサージ判定が可能となる。
第2の発明によれば、第1の発明に比して、より確実にサージ領域に入ってしまうのを回避できる。そして、サージ余裕度が比較的ある状況下で、不必要なサージ回避補正量が与えられるのを防止することもできるため、余計なエンジン出力の低下を回避することができる。
第3の発明によれば、コンプレッサ通過空気量に基づいて、サージ限界コンプレッサ回転数を正確かつ迅速に取得することができる。
第4の発明によれば、エンジン回転数に基づいて、サージ限界コンプレッサ回転数を正確かつ迅速に取得することができる。
第5の発明によれば、吸気効率に影響を与えるアクチュエータを備える過給機付き内燃機関において、当該アクチュエータの駆動に伴う吸気効率の変化をサージ限界コンプレッサ回転数に反映させることができる。このため、本発明によれば、内燃機関がそのようなアクチュエータを備える場合に、第4の発明に比して更に精度の良いサージ判定が可能となる。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための概略構成図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10の吸気系は、吸気マニホールド12と、吸気マニホールド12に接続される吸気管(吸気通路)14とを備えている。空気は大気中から吸気管14に取り込まれ、吸気マニホールド12を介して各気筒の燃焼室に分配される。
吸気管14の入口には、エアクリーナ16が取り付けられている。エアクリーナ16の下流近傍には、吸気管14に吸入される空気の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ18が設けられている。また、吸気マニホールド12の上流には、スロットルバルブ20が設けられている。スロットルバルブ20の上流には、圧縮された空気を冷却するインタークーラ22が設けられている。インタークーラ22の下流には、吸気管14内の圧力に応じた信号を出力する過給圧センサ24が配置されている。
エアフローメータ18からスロットルバルブ20に至る吸気管14の途中には、電動モータ付きターボ過給機(モータアシストターボ過給機、以下、MATという)26が設けられている。MAT26は、遠心式のコンプレッサ26a、タービン26b、そして、コンプレッサ26aとタービン26bとの間に配置される電動モータ28から構成されている。コンプレッサ26aとタービン26bとは連結軸によって一体に連結され、コンプレッサ26aはタービン26bに入力される排気ガスの排気エネルギによって回転駆動される。連結軸は電動モータ28のロータにもなっており、電動モータ28を作動させることで、コンプレッサ26aを強制駆動することもできる。また、連結軸には、コンプレッサ26aの回転数(ターボ回転数)に応じた信号を出力するターボ回転数センサ30が取り付けられている。尚、MAT26におけるターボ回転数は、電動モータ28のモータ回転数と同じであるため、ターボ回転数センサ30によらずに、電動モータ28に与えられる電流に基づいて検知されるようにしてもよい。
コンプレッサ26aからインタークーラ22に至る吸気管14の途中には、吸気バイパス管32の一端が接続されている。吸気バイパス管32の他端は、コンプレッサ26aの上流側に接続されている。吸気バイパス管32の途中には、吸気バイパス管32を流れる空気の流量を制御するためのバイパスバルブ34が配置されている。
コンプレッサ26aの上流には、吸気管14内の圧力に応じた信号を出力する吸気圧センサ36と、コンプレッサ26aの入口空気温度に応じた信号を出力する吸気温度センサ37とが配置されている。
内燃機関10の排気系は、排気マニホールド38と、排気マニホールド38に接続される排気管40とを備えている。内燃機関10の各気筒から排出される排気ガスは、排気マニホールド38に集められ、排気マニホールド38を介して排気管40へ排出される。
また、排気管40には、タービン26bをバイパスしてタービン26bの入口側と出口側とを接続する排気バイパス通路42が接続されている。排気バイパス通路42の途中には、電動式のウエストゲートバルブ44が配置されている。ウエストゲートバルブ44は、過給圧センサ24により検出される吸入空気の過給圧に基づいて開閉される。尚、ウエストゲートバルブは、電動式に限らず、圧力差を利用する調圧式のバルブであってもよい。
また、図1に示すシステムは、各気筒の吸気弁および排気弁をそれぞれ駆動するための吸気可変動弁機構46および排気可変動弁機構48をそれぞれ備えている。これらの可変動弁機構46、48は、吸気弁および排気弁の開閉時期を制御するためのVVT機構を備えているものとする。
内燃機関10の制御系は、ECU(Electronic Control Unit)50と、モータコントローラ52とを備えている。モータコントローラ52は、ECU50からの指令に基づいて、電動モータ28への通電状態を制御する。電動モータ28への電力は、バッテリ54から供給される。ECU50は、図1に示すシステム全体を総合制御する制御装置である。
ECU50の出力側には、モータコントローラ52の他、スロットルバルブ20、バイパスバルブ34等のアクチュエータに加え、各気筒に燃料を供給するための燃料噴射弁56が接続されている。また、ECU50の入力側には、エアフローメータ18、および過給圧センサ24の他、エンジン回転数NEを検出するためのクランク角センサ58、アクセル開度を検出するためのアクセルポジションセンサ60等の種々のセンサ類が接続されている。また、モータコントローラ52には、ターボ回転数センサ30が接続されている。ECU50には、これらの機器やセンサ以外にも複数の機器やセンサが接続されているが、ここではその説明は省略する。ECU50は、各センサの出力に基づき、所定の制御プログラムにしたがって各機器を駆動するようになっている。
[本実施形態のサージ判定手法]
図2は、コンプレッサ26aの入口圧力に対する出口圧力の圧力比と、コンプレッサ26aの通過空気量との関係を示す図である。図2中に太線で示す曲線は、サージラインを表しており、図2において、サージラインより左側のハッチングを付した領域がサージ領域に対応している。すなわち、サージは、コンプレッサ26aの圧力比が大きく、コンプレッサ通過空気量が少ない状況下で発生し易くなる。
効率の良い過給を実現するうえでは、コンプレッサ26aをサージライン近傍で制御することが望ましい。また、加速時などでサージが生じたとした場合には、図4を用いて後述するように、内燃機関10が備える所定のアクチュエータを制御すれば、サージの回避が可能である。しかしながら、サージの検出が遅れると、発生したサージが大きくなる。大きなサージを回避するためには、そのためのアクチュエータの制御量も大きくなる。また、大きなサージが生ずると、そのサージを解消するまでに時間がかかる。その結果、内燃機関10の加速力の減衰が大きくなってしまう。従って、サージ判定は、正確かつ迅速に行われる必要がある。そこで、本実施形態では、以下の図3に示す関係に基づいて、サージ判定を行うこととした。
図2には、等ターボ回転数ラインが表されている。図2に示すように、ターボ回転数が一定の場合には、コンプレッサ通過空気量が少なくなるほどサージ領域に近づいていく。また、ターボ回転数と圧力比との間には、圧力比が高くなるほどターボ回転数が高くなるという関係がある。そのような図2に示す関係によれば、内燃機関10の運転パラメータの1つであるコンプレッサ通過空気量が分かれば、サージラインに達するターボ回転数、すなわち、サージ限界ターボ回転数(サージ限界コンプレッサ回転数)を把握することができる。
図3は、コンプレッサ通過空気量とサージ限界ターボ回転数との関係を直接的に表した図である。図3に示すように、サージ限界ターボ回転数は、コンプレッサ通過空気量が多くなるほど高くなるという傾向を有している。図3に示す関係をマップとしてECU50に記憶させておけば、エアフローメータ18によって計測されるコンプレッサ通過空気量を取得することで、サージ限界ターボ回転数を取得することができる。そして、ターボ回転数センサ30によって検出される現状のターボ回転数と、上記サージ限界ターボ回転数とを比較することとすれば、現状のターボ過給機26の運転領域がサージ領域に入っているか否かを判別することが可能となる。
上記のサージ判定手法では、リアルタイムで計測する必要のあるパラメータは、コンプレッサ通過空気量とターボ回転数となる。このような手法とは異なり、圧力比をパラメータとして用いる場合には、吸気管圧力は吸気系の脈動の影響を受けるため、そのような変動の大きい吸気管圧力に基づいて正確な圧力比を算出するまでに一定時間(数百ミリ秒)を要してしまう。これに対し、コンプレッサ通過空気量は脈動の影響をほとんど受けることのない吸気管14の入口付近で計測されるため、比較的短時間で正確な値を得ることができる。以上のように、本実施形態のサージ判定手法によれば、コンプレッサ通過空気量との関係で定められたサージ判定値(サージ限界ターボ回転数)を用いることで、現状のターボ回転数に基づいて、内燃機関10の運転中にターボ過給機26の現状の作動点を推測することができ、そして、その推測結果に基づいて、サージ判定を正確かつ迅速に行うことが可能となる。
[本実施形態のサージ回避制御]
次に、サージ判定後に行われるサージ回避制御について説明する。
本実施形態では、ECU50は、上述した図3に示す関係を用いて、コンプレッサ通過空気量と現状のターボ回転数とに基づいて、現状のターボ過給機26の作動点(言い換えれば、上記図2に示すコンプレッサマップにおける現在の運転位置)を算出する。そして、ECU50は、その作動点がコンプレッサ26aのサージラインを超えずにそのサージライン近傍を通過するように、内燃機関10の所定のアクチュエータ(ウエストゲートバルブ44、バイパスバルブ34など)を制御するようにしている。
図4は、上記の機能を実現するために、本実施の形態1においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図4に示すルーチンでは、先ず、エアフローメータ18によりコンプレッサ通過空気量が計測され(ステップ100)、次いで、ターボ回転数センサ30によりターボ回転数が計測される(ステップ102)。
次に、サージマップと、上記ステップ100において取得されたコンプレッサ通過空気量とに基づいて、サージ限界ターボ回転数が算出される(ステップ104)。ECU50は、サージ限界ターボ回転数を取得するためのサージマップとして、上記図3に示すような関係を記憶している。このようなサージマップは、予め実験等によって定められるものである。
次に、上記ステップ104において取得されたサージ限界ターボ回転数が、上記ステップ102において取得された現状のターボ回転数より大きいか否かが判別される(ステップ106)。その結果、サージ限界ターボ回転数>現状のターボ回転数が成立する場合には、現状のコンプレッサ26aの作動点がサージ領域に入っていないと判断することができる。このため、以後、速やかに今回の処理サイクルが終了される。
一方、上記ステップ106において、サージ限界ターボ回転数>現状のターボ回転数が成立しないと判定された場合には、現状のコンプレッサ26aの作動点がサージラインに達したと判断することができる。このため、この場合には、以下のようなサージ回避制御が実施される(ステップ108)。具体的には、ウエストゲートバルブ44の開度が所定量だけ大きくなるように制御される。これにより、ターボ回転数の上昇が抑えられる。
以上説明した図4に示すルーチンによれば、サージマップとコンプレッサ通過空気量とに基づいて、サージ限界ターボ回転数が算出されるとともに、当該サージ限界ターボ回転数と現状のターボ回転数との比較結果に基づいて、現状のターボ過給機26の作動点が算出される。そして、その作動点がコンプレッサ26aのサージラインを超えずにそのサージライン近傍を通過するようにウエストゲートバルブ44の開度が制御される。このため、正確かつ迅速なサージ判定を行うことができるとともに、サージと判定された場合にも迅速にサージ回避を行えるようになり、コンプレッサ26aをサージライン近傍で制御することができる。これにより、ターボ過給機26を用いて、効率の良い過給を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、上記ステップ108におけるサージ回避制御の一例として、ウエストゲートバルブ44の開度の制御を行っている。しかしながら、上記ステップ108におけるサージ回避制御のために用いられる手法は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、本実施形態の内燃機関10のように、吸気管14にバイパスバルブ34を備えている場合には、サージ回避のためにバイパスバルブ34の開度を所定量だけ大きくするようにしてもよい。このような手法によれば、コンプレッサ通過空気量を増やすことで、コンプレッサ26aの作動点をサージラインから離すことができる。
或いは、上記ステップ108におけるサージ回避のために、燃料噴射量を所定量だけ減量するようにしてもよい。このような手法によれば、タービン26bに供給される排気エネルギを減少させることができるので、ターボ回転数の上昇を抑えることができる。
また、本実施形態のように、電動モータ28付きのターボ過給機26を備えている場合には、上記ステップ108におけるサージ回避のために、電動モータ28の出力を所定量だけ下げるようにしてもよい。このような手法によっても、ターボ回転数を下げることができる。
更には、タービンの入口面積を可変とするための可変ノズルを備えるターボ過給機(図示省略)を備えた内燃機関であれば、上記ステップ108におけるサージ回避のために、可変ノズルの開度を所定量だけ大きくしてもよい、すなわち、タービンの入口面積を大きくしてもよい。このような手法によっても、ターボ回転数を下げることができる。
更には、本実施形態のように、吸気弁および排気弁の開閉時期を制御するための可変動弁機構46、48を備えている場合には、上記ステップ108におけるサージ回避のために、吸気弁と排気弁とのバルブオーバーラップ量を所定量だけ増加させるようにしてもよい。図5は、バルブオーバーラップによるサージ余裕度の変化を示す図である。バルブオーバーラップ量を適度に大きくすれば、内燃機関10の吸気効率が向上する。その結果、図5に示すように、コンプレッサ通過空気量が増えることとなり、コンプレッサ26aの作動点がサージラインから離れることで、サージ余裕度が向上する。また、サージ回避のために吸気効率を高める手法は、これに限らず、例えば、スワールコントロールバルブを備える内燃機関(図示省略)の場合には、サージ回避のために、スワールコントロールバルブの開度を所定量だけ大きくしてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、サージ判定を行うために、エアフローメータ18により計測されたコンプレッサ通過空気量およびターボ回転数センサ30により計測された現状のターボ回転数をそれぞれ直接的に用いるようにしている。しかしながら、サージ判定の精度を更に向上させるためには、以下の図6および図7を参照して説明する手法を用いるようにしてもよい。
図6は、そのようなサージ回避制御の変形例を実現するために、ECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図6において、図4に示すステップと同一のステップには、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図6に示すルーチンでは、先ず、吸気温度センサ37および吸気圧センサ36のそれぞれの出力に基づいて、吸気温度および吸気圧力がそれぞれ計測される(ステップ200)。
次に、コンプレッサ通過空気量およびターボ回転数が計測(ステップ100および102)された後、吸気温度および吸気圧力に基づいて、上記ステップ100および102で取得されたコンプレッサ通過空気量およびターボ回転数がそれぞれ修正される(ステップ202)。具体的には、次式に従って修正される。
修正空気量=コンプレッサ通過空気量×√θ/δ
修正ターボ回転数=ターボ回転数/√θ
但し、上記の各式において、θは、吸気温度/基準温度(例えば293.15K)、δは、吸気圧力/基準圧力(例えば101.325kPa abs(絶対圧))
次に、図7に示すサージマップと、上記ステップ202において取得された修正空気量とに基づいて、サージ限界ターボ回転数が算出される(ステップ204)。図7は、修正空気量に基づいてサージ限界ターボ回転数を取得するために、ECU50が記憶しているサージマップである。図7に示すマップは、コンプレッサ通過空気量が修正空気量に変更された点を除き、上述した図3に示すマップと同様のものである。
次に、上記ステップ204において取得されたサージ限界ターボ回転数と、上記ステップ202において取得された修正ターボ回転数との比較が実行される(ステップ206)。以後の処理については、上記図4に示すルーチンと同様であるので、その詳細な説明を省略するものとする。
以上説明した図6に示すルーチンによれば、サージ限界ターボ回転数の算出精度と、現状のターボ回転数の取得精度を上記図4に示す手法に比して更に向上させることができるので、サージ判定の正確性をより向上させることができる。
尚、上述した実施の形態1においては、ECU50が、上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「回転数取得手段」が、上記ステップ100の処理を実行することにより前記第1の発明における「運転パラメータ取得手段」が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「限界回転数取得手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記第1の発明における「サージ判定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図8および図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に、図4に示すルーチンに類似するルーチンを実行させることにより実現することができる。
[実施の形態2の特徴]
上述した実施の形態1においては、サージ限界ターボ回転数をコンプレッサ通過空気量との関係を定めたマップを用いるようにしている。しかしながら、サージ判定のために用いることのできる内燃機関10の運転パラメータであって、コンプレッサ26aの作動特性と相関があり、かつ、吸気管圧力に比して変動の少ない運転パラメータは、コンプレッサ通過空気量に限らず、エンジン回転数であってもよい。
図8は、本実施の形態2において用いられるサージマップを表した図である。図8に示すように、本実施形態は、サージ判定に用いるサージ限界ターボ回転数を、エンジン回転数との関係で定めたサージマップを用いたことを特徴としている。エンジン回転数とターボ回転数とサージ領域との間には、上記図2のコンプレッサマップに示すような一定の関係がある。従って、コンプレッサ通過空気量の場合と同様の考え方で、エンジン回転数が分かれば、サージラインに達するターボ回転数、すなわち、サージ限界ターボ回転数(サージ限界コンプレッサ回転数)を把握することができる。エンジン回転数についても、クランク角センサ58の出力に基づいて迅速に検知することができ、圧力比に比して取得時の遅れが短い。このため、正確かつ迅速にサージ判定を行うことができる。尚、サージ限界ターボ回転数とエンジン回転数との関係は、上記図3に示す関係と同様であり、エンジン回転数が高くなるほどサージ限界ターボ回転数が高くなる。
現状のエンジン回転数との関係でサージ限界ターボ回転数を定めたサージマップを用いたサージ判定は、上述した図4に示すルーチンにおけるコンプレッサ通過空気量をエンジン回転数に置き換えた類似のルーチンをECU50に実行させることにより実現することができ、上述した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
ところで、上述した実施の形態2においては、現状のエンジン回転数との関係に基づいて、サージ限界ターボ回転数を取得するようにしている。ここで、内燃機関10の吸気効率は、例えば、スワールコントロールバルブの開度が変化する場合や、可変動弁機構46、48の制御位置が変化する場合に変化する。そこで、スワールコントロールバルブや可変動弁機構等の吸気効率に影響を与えるアクチュエータを備える内燃機関においては、以下の図9に示すサージマップのように、エンジン回転数に加え、更に吸気効率に基づいて、サージ限界ターボ回転数(サージ限界コンプレッサ回転数)を定めるようにしてもよい。
図9は、そのような本実施の形態2の変形例において用いられるサージマップを表した図である。図9に示すサージマップには、内燃機関10のアクチュエータの制御量(ここではスワールコントロールバルブの開度)の変化による吸気効率の変化が反映されている。概念的に説明すると、このサージマップは、スワールコントロールバルブの開度に応じたサージラインをサージマップ中に複数本備えている。このサージラインは、スワールコントロールバルブの開度が大きくなるに従って、すなわち、吸気効率が高くなるに従って、あるエンジン回転数に対するサージ限界ターボ回転数の値が高くなるように設定されている。
上記のようなサージマップによれば、エンジン回転数に加え、スワールコントロールバルブの開度とに基づいて、サージ限界ターボ回転数が算出されることになる。このため、内燃機関10のアクチュエータの駆動に伴う吸気効率の変化をサージ限界ターボ回転数の算出に反映させることができる。そして、そのように算出されたサージ限界ターボ回転数を用いることで、上述した実施の形態2に比して、サージを更に精度良く回避しつつ、コンプレッサ26aをサージ限界近傍の高効率な作動領域で制御することが可能となる。
また、上記図9に示すサージマップでは、内燃機関10の吸気効率と関係のあるアクチュエータであるスワールコントロールバルブの開度に基づいて、サージ限界ターボ回転数を算出するようにしているが、内燃機関10の吸気効率と関係のあるアクチュエータは、可変動弁機構46、48により制御される吸排気弁の開弁特性(リフト量、作用角、開閉時期など)であってもよい。
更に、吸気効率を考慮するその他の手法としては、内燃機関10の吸気マニホールド12内の圧力および温度をそれぞれ検知するインマニ圧センサおよびインマニ吸気温センサを備えることとしてもよい。そして、次式に従って吸気効率を内燃機関10の運転中に算出し、算出された吸気効率に応じてサージマップ中のサージラインを変更するようにしてもよい。
吸気効率(体積効率)=(吸入空気量/吸入空気密度)/(エンジン回転数×排気量)×(基準圧力/インマニ圧)×(インマニ吸気温度/基準温度)
実施の形態3.
次に、図10乃至図12を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に、図4に示すルーチンに代えて後述する図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
[実施の形態3の特徴]
上述した実施の形態1においては、現状のターボ回転数がサージ限界ターボ回転数に達したと判定された場合に、迅速にサージ回避制御を行うようにしている。これに対し、本実施形態では、サージ限界ターボ回転数と現状のターボ回転数との差に基づいて、サージ余裕度を判断するとともに、そのようなサージ余裕度に基づいて、サージ回避のための所定のアクチュエータの制御量を制御することを特徴としている。
図10は、上記の機能を実現するために、本実施の形態3においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図10において、図6に示すステップと同一のステップには、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図10に示すルーチンでは、上記図7のサージマップと、上記ステップ202において取得された修正空気量とに基づいて、サージ限界ターボ回転数が算出された(ステップ204)後、次いで、サージ余裕度が算出される(ステップ300)。図11は、そのようなサージ余裕度について説明するための図である。図11に示すように、現状の修正空気量およびターボ回転数から、現状のコンプレッサ26aの作動点が得られる。そして、現状の修正空気量におけるサージ限界ターボ回転数と現状のターボ回転数との差として、サージ余裕度が算出される。
次に、上記ステップ300において算出されたサージ余裕度と、図12に示すサージ補正マップとに基づいて、サージ回避補正量が算出される(ステップ302)。このサージ回避補正量とは、サージ回避のためのアクチュエータの制御量のことであり、例えば、ウエストゲートバルブ44の場合には、その開度を大きくする方向の補正量である。図12は、サージ回避補正量をサージ余裕度との関係で定めたマップである。図12に示すマップでは、サージ余裕度が所定値以下となったときにサージ回避補正量を与え始め、そして、サージ余裕度が小さくなるにつれ、サージ回避補正量が大きくなるように設定されている。
図10に示すルーチンでは、次に、上記ステップ302において算出されたサージ回避補正量に従ったウエストゲートバルブ44の開度調整によって、サージ回避制御が実施される(ステップ304)。
尚、サージを回避するためのアクチュエータは、上述した実施の形態1でも説明したように、ウエストゲートバルブ44に限定されるものではない。すなわち、サージ余裕度が小さくなった場合に、バイパスバルブ34であればその開度を大きくし、電動モータ28であればその出力を小さくし、燃料噴射量であれば減量し、可変ノズルであればその開度を大きくし、バルブオーバーラップ量であればそれを増加させ、または、スワールコントロールバルブであればその開度を大きくしてもよい。
以上説明した図10に示すルーチンによれば、サージ余裕度が小さくなるにつれ、すなわち、コンプレッサ26aの作動点がサージラインに近づくにつれ、アクチュエータに与えられるサージ回避補正量が大きくされる。このような手法によれば、上述した実施の形態1の手法に比して、より確実にサージ領域に入ってしまうのを回避できる。そして、サージ余裕度が比較的ある状況下で、不必要なサージ回避補正量が与えられるのを防止することもできるため、余計なエンジン出力の低下を回避することができる。
ところで、上述した実施の形態3においては、上記ステップ300において、現状のコンプレッサ通過空気量から算出されるサージ限界ターボ回転数と現状のターボ回転数との差に基づいて、サージ余裕度を算出することとしているが、サージ余裕度の算出手法はこれに限定されるものではない。すなわち、サージ余裕度は、現状のコンプレッサ通過空気量と、現状のターボ回転数から算出されるサージ限界空気流量との差に基づいて算出されるものであってもよい(図11参照)。
また、上述した実施の形態2においては、サージ限界ターボ回転数をコンプレッサ通過空気量(修正空気量)との関係を定めたマップ(図7(図11)参照)を用いるようにしているが、サージ限界ターボ回転数を取得するために用いる内燃機関10の運転パラメータはコンプレッサ通過空気量に限らず、上述した実施の形態1の場合と同様に、エンジン回転数であってもよい。そして、サージ余裕度の算出手法は、現状のエンジン回転数から算出されるサージ限界ターボ回転数と、現状のターボ回転数との差に基づくものであってもよく、或いは、現状のエンジン回転数と、現状のターボ回転数から算出されるサージ限界エンジン回転数との差に基づくものであってもよい。
尚、上述した実施の形態3においては、ECU50が、上記ステップ300の処理を実行することにより前記第2の発明における「サージ余裕度取得手段」が、上記ステップ302および304の処理を実行することにより前記第2の発明における「サージ回避制御手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上述した実施の形態1乃至3においては、コンプレッサ26aを強制駆動可能な電動モータ28を備えるターボ過給機26を用いることとしているが、本発明における過給機は、遠心式のコンプレッサを備えるものであれば、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、電動式のコンプレッサであってもよい。
本発明の実施の形態1の構成を説明するための概略構成図である。 コンプレッサの入口圧力に対する出口圧力の圧力比と、コンプレッサの通過空気量との関係を示す図である。 コンプレッサ通過空気量とサージ限界ターボ回転数との関係を直接的に表した図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 バルブオーバーラップによるサージ余裕度の変化を示す図である。 本発明の実施の形態1の変形例において実行されるルーチンのフローチャートである。 修正空気量に基づいてサージ限界ターボ回転数を取得するためのサージマップである。 本発明の実施の形態2において用いられるサージマップを表した図である。 本発明の実施の形態2の変形例において用いられるサージマップを表した図である。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 サージ余裕度について説明するための図である。 サージ回避補正量をサージ余裕度との関係で定めたマップである。
符号の説明
10 内燃機関
14 吸気管
18 エアフローメータ
24 過給圧センサ
26 電動モータ付きターボ過給機
26a コンプレッサ
26b タービン
28 電動モータ
30 ターボ回転数センサ
32 吸気バイパス管
34 バイパスバルブ
36 吸気圧センサ
37 吸気温度センサ
44 ウエストゲートバルブ
46 吸気可変動弁機構
48 排気可変動弁機構
50 ECU(Electronic Control Unit)
52 モータコントローラ
56 燃料噴射弁
58 クランク角センサ

Claims (5)

  1. 遠心式コンプレッサを備える過給機と、
    前記遠心式コンプレッサのコンプレッサ回転数を取得する回転数取得手段と、
    前記遠心式コンプレッサの作動特性と相関のある内燃機関の運転パラメータであって、吸気管圧力に比して変動の少ない前記運転パラメータを取得する運転パラメータ取得手段と、
    前記運転パラメータに基づいて、サージ限界コンプレッサ回転数を取得する限界回転数取得手段と、
    前記サージ限界コンプレッサ回転数と、前記コンプレッサ回転数とに基づいて、前記遠心式コンプレッサのサージ判定を行うサージ判定手段と、
    を備えることを特徴とする過給機付き内燃機関の制御装置。
  2. 前記サージ限界コンプレッサ回転数と、前記運転パラメータとに基づいて、前記遠心式コンプレッサにサージが発生するまでのサージ余裕度を取得するサージ余裕度取得手段と、
    前記サージ余裕度に基づいて、サージを回避するための内燃機関のアクチュエータの制御量を調整するサージ回避制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
  3. 前記運転パラメータは、前記遠心式コンプレッサの通過空気量であることを特徴とする請求項1または2記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
  4. 前記運転パラメータは、エンジン回転数であることを特徴とする請求項1または2記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
  5. 前記限界回転数取得手段は、エンジン回転数に加え、内燃機関の吸気効率に基づいて、前記サージ限界コンプレッサ回転数を取得することを特徴とする請求項4記載の過給機付き内燃機関の制御装置。
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