JP2008041515A - 電池用電極の製造方法及び電池用電極の製造装置 - Google Patents

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正之 岩間
Kenichi Kawase
賢一 川瀬
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勇 小西池
Kiichi Hirose
貴一 廣瀬
Koichi Matsumoto
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Abstract

【課題】 集電体を走行させながら活物質層を形成する際の問題点に留意して、初回放電容量及び充放電サイクル特性を改善した、リチウムイオン二次電池などに好適な電池用電極の製造方法、並びに電池用電極の製造装置を提供すること。
【解決手段】 負極を構成する負極活物質層中に、活物質としてケイ素などのエネルギー容量の大きな物質が含まれているリチウムイオン二次電池を作製する。この際、長尺形状の集電体12をその長尺方向に連続的に送り出し、蒸着領域Aを走行させる。蒸着領域Aの近傍に幅方向張力発生装置4を配置し、蒸着領域Aを通過する集電体12に対し、その長尺方向中心線の位置から幅方向外側に向かう張力を、長尺方向中心線の位置で集電体12の表面に直交する直交面に関して対称に加えながら、集電体12の表面に活物質層を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などに好適な電池用電極の製造方法及び電池用電極の製造装置に関するものであり、詳しくは、初回放電容量及び充放電サイクル特性が改善された電池用電極の製造に関するものである。
近年、モバイル機器は高性能化および多機能化されてきており、これらに伴い、モバイル機器に電源として用いられる二次電池にも、小型化、軽量化および薄型化が要求され、高容量化が求められている。
この要求に応え得る二次電池としてリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池の電池特性は、用いられる電極活物質などによって大きく変化する。現在実用化されている代表的なリチウムイオン二次電池では、正極活物質としてコバルト酸リチウムが用いられ、負極活物質として黒鉛が用いられているが、このように構成されたリチウムイオン二次電池の電池容量は理論容量に近づいており、今後の改良で大幅に高容量化することは難しい。
そこで、充電の際にリチウムと合金化するケイ素やスズなどを負極活物質として用いて、リチウムイオン二次電池の大幅な高容量化を実現することが検討されている。ただし、ケイ素やスズなどを負極活物質として用いた場合、充電および放電に伴う膨張および収縮の度合いが大きいため、充放電に伴う膨張収縮によって活物質が微粉化したり、負極集電体から脱落したりして、サイクル特性が低下するという問題がある。
これに対し、近年、ケイ素などの負極活物質層を負極集電体に積層して形成した負極が提案されている(例えば、特開平8−50922号公報、特許第2948205号公報、および特開平11−135115号公報)。このようにすれば、負極活物質層と負極集電体とが一体化され、充放電に伴う膨張収縮によって活物質が細分化されることを抑制できるとされている。また、負極における電子伝導性が向上する効果も得られる。
しかしながら、集電体として金属箔を用い、この金属箔上にシリコン薄膜を薄膜形成方法により堆積して形成した場合、集電体である金属箔に反りやしわが発生した状態でシリコン薄膜が形成される場合があった。集電体に反りやしわが存在すると、充放電反応が不均一となり、充放電サイクル特性が低下する。
そこで、後述の特許文献1では、活物質薄膜を堆積する際、金属箔の活物質薄膜を堆積させる領域において、両側から引っ張るように金属箔に対して張力をかけることを特徴とするリチウム二次電池用電極の製造方法が提案されている。
図9は、特許文献1に示されているリチウム二次電池用電極の製造方法を説明する断面図である。図9(a)は、静止成膜する場合の例を示しており、金属箔などからなる集電体層101を、支持体102の上に載せ、集電体層101の両端部101a、101bに、ばね105および106を取り付け、集電体層101を両端部側から引っ張るように張力をかけた例である。シリコン薄膜などの活物質層は、この状態でDCマグネトロンスパッタリング法により形成される。
図9(b)は、金属箔からなる集電体111を走行させながら成膜する場合の例を示している。集電体111は、供給ローラー114から円形ローラー113に供給され、巻取りローラー115によって巻取られる。シリコン薄膜などの活物質層112は、円形ローラー113の外周面に密着された集電体111の上にDCマグネトロンスパッタリング法により形成される。この場合には、集電体111には幅1mあたり4N以上の張力が走行方向に加わるように、巻取りローラー115による巻取り力が調整される。
特許文献1には、以上のようにして、蒸着の際の熱の影響を最小限に抑え、充放電特性に優れたリチウム二次電池用電極を製造できると述べられている。
特開2002−170555号公報(第2−4頁、図1及び2)
しかしながら、上記のように活物質層と負極集電体とを一体化し、製造方法を工夫した負極においても、充放電を繰り返すと、負極活物質層の激しい膨張収縮によって界面に応力が加わり、負極活物質層が負極集電体から脱落するなどして、サイクル特性が低下する場合がある。
図10は、従来の走行成膜による電池用電極の製造方法の問題点の1つを説明する斜視図(a)、および、斜視図(a)に点線で囲んで示した位置における断面図(b)である。図10(a)に示す装置は、金属箔からなる集電体111を2つのガイドローラー116aおよび116bの外周に接するように張り渡し、これによって集電体111を平坦化し、この平坦化された集電体111を走行させながら、その上に活物質層112を成膜するように構成されている。
しかし、この装置には、走行方向に直交する幅方向への張力を直接印加する手段が存在せず、また、走行方向に印加する張力Tから幅方向への張力を発生させる構造的手段も存在しない。しかも、走行方向に印加する張力Tを強くしすぎると、集電体111の破断などが起こるため、印加できる張力Tの強さにも限界がある。一方、電解銅箔などの集電体111は比較的剛性が強いため、反りやしわを延ばすには強い張力が必要である。以上の結果、図10(a)に示す装置を用いて集電体111上に活物質層112を形成した場合、図10(b)に示すように、反りなどの集電体111全体の歪み、および、しわなどの集電体111の局所的な歪みが発生する場合がある。反りやしわが存在すると、充放電反応が不均一となり、電池用電極の初回放電容量及び充放電サイクル特性が低下する。
図11は、従来の走行成膜による電池用電極の製造方法の別の問題点の1つを説明する断面図である。図11は、図9(b)に11A−11A線で示した位置における円形ローラー113および集電体111の断面図である(但し、わかりやすくするため、図11では問題点を誇張して示している。)。この装置にも、幅方向への張力を印加する手段が存在せず、また、走行方向に印加する張力Tから幅方向への張力を発生させる構造的手段も存在しない。このため、活物質層を形成する際に、集電体111を走行させながら成膜すると、集電体111と円形ローラー113との間に空気が巻き込まれることなどが原因になり、円形ローラー113上の集電体111の断面は、中央部111aが盛り上がり、両側端部111bが円形ローラー113との接触面に引き寄せられた形状に変形する。この結果、冷却手段を兼ねた円形ローラー113に集電体111が均等に接触しないため、蒸着源3からの輻射熱や蒸着粒子によってもたらされる熱によって集電体111が受ける熱負荷が不均一になるため、電池用電極のサイクル特性が低下する。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、集電体を走行させながら活物質層を形成する際の問題点に留意して、初回放電容量及び充放電サイクル特性を改善した、リチウムイオン二次電池などに好適な電池用電極の製造方法、並びに電池用電極の製造装置を提供することにある。
即ち、本発明は、集電体の表面に活物質層を形成するに際し、長尺形状の集電体をその長尺方向に連続的に送り出し、活物質層形成領域を走行させる電池用電極の製造方法において、
前記活物質層形成領域において、前記集電体に対し、その長尺方向中心線の位置から 幅方向外側に向かう張力を、前記長尺方向中心線の位置で前記集電体の表面に直交する 面に関して対称に加えながら、前記活物質層を形成する
ことを特徴とする、電池用電極の製造方法に係るものである。
また、本発明の電池用電極の製造方法において用いられる電池用電極の製造装置であって、
前記長尺形状の集電体をその長尺方向に連続的に送り出し、前記活物質層形成領域を 走行させる手段と、
前記活物質層形成領域において、前記集電体に対し、その長尺方向中心線の位置から 幅方向外側に向かう張力を、前記長尺方向中心線の位置で前記集電体の表面に直交する 面に関して対称に加える手段と、
前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面に活物質層を形成する手段と
を有する、電池用電極の製造装置に係るものである。
本発明の電池用電極の製造方法によれば、
前記活物質層形成領域において、前記集電体に対し、その長尺方向中心線の位置から 幅方向外側に向かう張力を加えながら、前記活物質層を形成する
ので、図10に示した、反りなどの前記集電体全体の歪みや、しわ状の変形などの前記集電体の局所的な歪みが生じにくい。この結果、前記電池用電極上で充放電反応が均一に起こり、前記電池用電極の初回放電容量及び充放電サイクル特性が向上する。
この際、本方法では前記長尺方向中心線の位置で前記集電体の表面に直交する面に関して対称に、前記幅方向外側に向かう張力を加えるので、各張力は相殺し合い、前記集電体の安定な走行を損なうことがない。また、前記集電体として長尺形状の集電体を用い、前記長尺形状の集電体を長尺方向に走行させながら前記活物質層を形成すると、生産性よく前記電池用電極を製造することができる。
本発明の電池用電極の製造装置は、
前記長尺形状の集電体をその長尺方向に連続的に送り出し、前記活物質層形成領域を 走行させる手段と、
前記活物質層形成領域において、前記集電体に対し、その長尺方向中心線の位置から 幅方向外側に向かう張力を、前記長尺方向中心線の位置で前記集電体の表面に直交する 面に関して対称に加える手段と
を有するので、本発明の電池用電極の製造方法を実施することを可能にする製造装置である。
本発明において、前記活物質層形成領域において、前記集電体の前記走行方向に向かって加える張力をT、前記幅方向外側に向かって加える前記張力をtとするとき、
0.1 < t/T < 10
であるのがよく、より好ましくは、
0.2 < t/T < 2
であるのがよく、更により好ましくは、
t = T
であるのがよい。
上記のように、前記活物質層形成領域において、前記集電体の前記長尺方向に向かって加える張力Tと、前記幅方向外側に向かって加える張力tとを制御することによって、成膜によって発生する電極の応力が緩和され、この結果、構造的な応力等が緩和されるので、サイクル特性が向上する。特に、前記長尺方向に向かって加える張力Tと、前記幅方向外側に向かって加える張力tとの大きさを等しくすると、成膜時に加わる熱などによって前記集電体が膨脹する過程、および成膜後に冷却されて前記集電体がもとの大きさに収縮する過程において、膨脹および収縮が前記長尺方向と前記幅方向とで均等に起こるため、膨脹および収縮による前記集電体の歪みを最小限に抑えることができる。
前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる方法としては、
前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側の両側部に、同等に 構成された4個のディスク状回転体を、前記直交面、及び前記集電体の厚さ方向二等分 面に関して互いに対称であるように配置し、
前記4個のディスク状回転体を、それぞれ、前記集電体の法線方向から前記走行方向 内側に傾いた軸を回転軸とし、その回転面の一部が前記集電体の表面又は裏面に接する ように回転させることによって、前記集電体の前記表面及び前記裏面の前記両側部に、 前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる
のがよい。
また、別の方法として、
前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され た2個のエキスパンダーローラーを、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対 称であるように配置し、
前記2個のエキスパンダーローラーを、それぞれ、ローラー面が前記集電体の表面又 は裏面に接するように回転させることによって、前記集電体の前記幅方向外側に向かう 張力を発生させる
のがよい。
また、更に別の方法として、
前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され 、円筒形状のローラー面にらせん状の溝が左右対称に刻まれている2個の円形ローラー を、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置し、
前記2個の円形ローラーを、それぞれ、回転軸の方向を前記集電体の幅方向に一致さ せ、前記ローラー面が前記集電体の表面又は裏面に接するように回転させることによっ て、前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる
のがよい。
また、更に別の方法として、
前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され 、円筒形状のローラー面の側部にテープ状の弾性体が左右対称に貼り付けられている2 個の円形ローラーを、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように 配置し、
前記2個のローラーを、それぞれ、回転軸の方向を前記集電体の幅方向に一致させ、 前記弾性体が設けられている領域では、前記弾性体の外周面が前記集電体の表面又は裏 面に接し、前記弾性体が設けられていない領域では、前記円形ローラーの前記ローラー 面が前記集電体の前記表面又は前記裏面に接するように回転させることによって、前記 集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる
のがよい。
また、前記集電体の支持体として円形ロールを用いながら、前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる方法としては、前記活物質層形成領域において前記集電体を円形ロールのロール面に接するように保持し、このロール面の形状を中央部ほど大きく膨らみ、周辺部ほど径小となる形状にすることによって、走行方向に印加される張力から、前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させるのがよい。
前記活物質層を形成する方法としては、気相成膜法によって形成するのがよい。この場合、前記活物質層を真空蒸着法によって形成するのが特に好ましい。真空蒸着法は成膜速度が速いので、生産性よく前記電池用電極を形成することができる。
また、前記集電体として銅を含有する材料を用いるのがよく、また、ケイ素を含有する活物質材料を用いて、ケイ素を含有する前記活物質層を形成するのがよい。
また、前記活物質層を形成する際の雰囲気中に存在する酸素含有成分によって、成膜中、又は成膜中断中、又は成膜終了後に前記活物質層を酸化することによって、前記活物質層の少なくとも表面に活物質の酸化物を含有する層を形成するのがよい。
本発明は、例えばリチウムイオン二次電池などの二次電池を構成する電池用電極の製造に適用されると、最も効果的である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
実施の形態1
実施の形態1では、主として、請求項15〜18に記載した電池用電極の製造装置を用いて、請求項1および請求項5〜8に記載した電池用電極の製造方法によって電池用電極を形成し、この電池用電極を負極として用いてリチウムイオン二次電池を構成した例について説明する。
図3は、実施の形態1に基づく電池用電極の形成装置1の構成を示す概略図である。この電極製造装置1は真空蒸着装置であり、真空チャンバー2、蒸着源3、幅方向張力発生装置4、輻射熱遮蔽板5、シャッタ6、および真空排気装置7を備えている。そして、帯状の集電体12を長尺方向に走行させる手段として、2つのガイドローラー13aと13b、および2つのローラー14aと14bを備え、集電体12を走行させながら活物質層を連続成膜できるように構成されている。
真空チャンバー2は、輻射熱遮蔽板5によって集電体設置室2aと蒸着源設置室2bとに仕切られている。蒸着源設置室2bには蒸着源3が設置され、集電体設置室2aには集電体12およびその走行装置などが設置されている。輻射熱遮蔽板5は、蒸着源3から発生する輻射熱が集電体12に伝わるのを抑制するためのものである。輻射熱遮蔽板5の中央部には開口部が設けられ、これと折り返し部5aとによって蒸着領域Aが設定されており、蒸着領域Aにおける蒸着材料の流れはシャッタ6によって制御される。真空排気装置7は、チャンバー2内の圧力を所定の圧力以下に排気できるように構成されている。
蒸着源3は、例えば、電子銃8、るつぼ9、ハースライナ10、および蒸着材料11からなり、電子銃8から取り出した電子ビームを蒸着材料11に照射して、蒸着材料11を加熱し、蒸発させるように構成されている。るつぼ9内には、カーボンを母材とするハースライナ10を介して蒸着材料11が設置されている。
電解銅箔などからなる帯状の集電体12は、幅方向張力発生装置4、2つのガイドローラー13aと13b、および2つのローラー14aと14bに渡して配置され、集電体12の前部と後部は、それぞれ、2つのローラー14aと14bに巻き取られている。2つのガイドローラー13aと13bは、内部に冷却水を通すことにより、集電体12を水冷できるように構成されている。また、活物質層形成面の反対側に、集電体12を冷却するための冷却手段を設けてもよい。
図1は、幅方向張力発生装置4およびその近傍を示す斜視図(a)、上面図(b)および断面図(c)である。断面図(c)は、上面図(b)に1C−X−Y−1C線で示した位置における断面図である。
図1に示すように、幅方向張力発生装置4は、同等に構成された4個のディスク状回転体4a〜4dからなり、各ディスク状回転体は、前記活物質層形成領域である蒸着領域Aの近傍において、集電体12の表面側および裏面側の両側部に1個ずつ配置されている。より詳しくは、図1(c)に示すように、これら4個のディスク状回転体4a〜4dは、集電体12の長尺方向中心線の位置で集電体12の表面に直交する前記直交面、および、集電体12を厚さ方向で二等分する前記厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置され、かつ、対称に動作する。例えば、ディスク状回転体4aと4bは、前記直交面に関して互いに対称であるように配置され、逆向きに回転する。また、ディスク状回転体4aと4dは、前記厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置され、逆向きに回転する。なお、幅方向張力発生装置4は、活物質が付着したり、堆積したりすることがないように、輻射熱遮蔽板5と折り返し部5aとによって、蒸着源3から遮蔽されている(これは、後述する別の幅方向張力発生装置15〜17についても同様である。)。
図1(b)および(c)に示すように、ディスク状回転体4a〜4dは、それぞれ、集電体12の法線方向から走行方向内側へ傾いた軸を回転軸とし、ディスク状回転面の一部が集電体12の表面または裏面に接するように回転する。この結果、ディスク状回転体4a〜4dと、集電体12の表面または裏面との間に摩擦力Fa〜Fdが発生する。これらの摩擦力Fa〜Fdをベクトルとしてみた場合、これらは集電体12の幅方向外側へ向かう成分をもつため、集電体12には幅方向外側に向かう張力が作用することになる。
電極製造装置1を用いて電池用電極を形成するには、まず、集電体12を幅方向張力発生装置4、2つのガイドローラー13aと13b、および2つのローラー14aと14bに渡して配置する。この際、例えば、一方の端部を残し、他はローラー14aに巻き取っておく。
次に、チャンバー2内を真空排気装置7によって排気しながら、シャッタ6を閉じた状態で、電子銃8から蒸着材料11に電子ビームを照射し、蒸着材料11を加熱する。これにより、蒸着材料11を溶融させるとともに、蒸着材料やるつぼ材等から水分や不純物成分ガスを放出させる。
次に、電子ビームの照射をいったん停止し、真空排気を続けながら、蒸着材料11を放冷させ、所定の圧力以下になるまで排気を続ける。
所定の圧力以下になったら、再び電子ビームを照射し、蒸着材料11が完全に溶融した後、シャッタ6を開き、集電体12を走行させ、幅方向張力発生装置4によって蒸着領域Aの集電体12に幅方向外側に向かう張力を作用させながら、集電体12の上に活物質層を堆積させる。
上記のように、電極製造装置1では、幅方向張力発生装置4によって蒸着領域Aの集電体12に幅方向外側に向かう張力を作用させながら、集電体12の上に活物質層を堆積させるので、図10に示した、反りなどの集電体12全体の歪みや、しわ状の変形などの集電体12の局所的な歪みが生じにくい。この結果、電池用電極上で充放電反応が均一に起こり、電池用電極の初回放電容量及び充放電サイクル特性が向上する。
この際、4個のディスク状回転体によって生じる各張力は、前記直交面および前記厚さ方向二等分面に関して対称に加えられ、ベクトルとして見た場合、走行方向へ向かう成分以外の成分は各張力間で相殺し合うので、集電体12の安定な走行を損なうことがない。
本方法によれば、長尺形状の集電体12を用い、これを長尺方向に走行させながら活物質層を形成することができるので、生産性よく電池用電極を製造することができる。
図2は、冷却用キャンロール18などを、集電体12の活物質層19形成面の反対側の面に接するように配置した場合の、幅方向張力発生装置4のさらなる効果を示す説明図である。集電体12を単に走行させる場合にも、幅方向に張力を作用させれば、図2(a)に示すように、集電体12を冷却用キャンロール18に密着させて走行させることができる。ただし、この場合には、幅方向張力発生装置4が必須ということではない。
一方、活物質層19を形成する場合には、活物質層19と集電体12との界面に応力が発生するため、幅方向張力発生装置4がないと、図2(c)に示すように集電体12が反り返ってしまい、集電体12を冷却用キャンロール18に密着させて走行させることができない。このため、蒸着源3からの輻射熱や蒸着粒子によってもたらされる熱によって集電体12が受ける熱負荷が不均一になり、電池用電極のサイクル特性が低下する。これに対して、幅方向張力発生装置4があると、図2(b)に示すように、幅方向に張力を加えることで集電体12の反りを抑制し、冷却用キャンロール18に密着させて走行させることができる。このため、集電体12が受ける熱負荷が均一になり、電池用電極のサイクル特性が向上する。
集電体12としては、電解銅箔または圧延銅箔の両面を粗化したものを用いる。電解銅箔の表面粗さは、表と裏とで異なっていてもよい。集電体12の厚さは、10〜50μmであるのがよい。10μmよりも薄いと、活物質層19を成膜するときに集電体12に応力が伝わりやすく、成膜時の熱による変形が起こりやすい。一方、50μmよりも厚いと、電池に含有される活物質の割合が低下するため、放電容量が低下する。従って、厚さが25μm程度の銅箔を用いるのが最もよい。但し、上記の集電体の厚さは、粗化のために設けた銅微粒子による厚さを含めた厚さである。集電体12に形成する活物質層19の厚さは、例えば、25μmの集電体に対して2〜10μmであることが好ましく、4〜6μmであることがより好ましい。但し、実際の集電体12や活物質層19の厚さは、電池の容量設計などに依存して選択されるので、上記以外の設計を行うことも可能である。
電極製造装置1では、活物質層19形成領域において集電体12の走行方向に向かって加える張力Tは、集電体12の断面において1〜10kgf/mm2であるのがよく、3kgf/mm2程度であるのが最も好ましい。また、活物質層19形成領域において幅方向外側に向かって加える張力tは、前述したように、
0.1 < t/T < 10
であるのがよく、
0.2 < t/T < 2
であるのがより好ましい。Tとtとの比が上記の範囲を超える場合、或いは、比が上記の範囲内であっても各張力の絶対値が大きすぎる場合には、集電体12自身の変形や破断が発生する。走行時の集電体12は変形なしで走行していることが望ましい。
Tが3kgf/mm2である場合、tを3kg/mm2とすると最も集電体12に発生するしわが少なくなるが、これは集電体12の面方向において張力が等方的に働くことの結果、集電体12の伸びが等方的になったためであると考えられ、前述したように、
t = T
であるのが最もよい。この理由として、例えば、下記のことが考えられる。
集電体12は、活物質層19を成膜する時に熱が加わると、結晶グレインが成長しながら膨張する。冷却時には逆に収縮するが、このとき結晶グレインサイズが大きい方向に熱収縮が激しくおきる。そのため、集電体12に加わる張力が等方的でない場合には、結晶グレインが方向性をもって成長するため、冷却時の収縮も方向性をもって起こることになり、集電体12が変形する原因になる。このような変形は、張力を等方的に加えることによって未然に防止することができ、この結果、集電体12の変形を最小限にすることができる。
本実施の形態では、真空蒸着法によって活物質層19を形成する例を説明したが、活物質層19の形成方法は特に限定されるものではなく、集電体12の表面に活物質層19を形成できる方法であれば何でもよい。例えば、気相法、焼成法あるいは液相法を挙げることができる。気相法としては、真空蒸着法の他に、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、CVD法(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長法)、あるいは溶射法などのいずれを用いてもよい。液相法としては、例えば鍍金が挙げられる。また、それらの2つ以上の方法、更には他の方法を組み合わせて活物質層19を成膜するようにしてもよい。
図4は、実施の形態1の変形例に基づく幅方向張力発生装置15およびその近傍を示す斜視図(a)および上面図(b)である。
図4に示すように、幅方向張力発生装置15は、同等に構成された2個のエキスパンダーローラー15aおよび15bからなり、各エキスパンダーローラーは、蒸着領域Aの近傍において、集電体12の表面側および裏面側に1個ずつ配置されている。より詳しくは、これら2個のエキスパンダーローラー15aおよび15bは、それぞれ、前記直交面に関して対称であるように配置されている。また、エキスパンダーローラー15aおよび15bは、前記厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置されている。
エキスパンダーローラー15aおよび15bは、それぞれ、ローラー面が集電体12の表面または裏面に接するように、互いに逆向きに回転する。各エキスパンダーローラーは円弧状の回転軸を有するため、上記の回転によって集電体12の表面および裏面にこれらを押し広げようとする摩擦力GaおよびGbが発生する。これらの摩擦力GaおよびGbをベクトルとしてみた場合、これらは集電体12の幅方向外側へ向かう成分をもつため、集電体12には幅方向外側に向かう張力が作用することになる。
図5は、実施の形態1の別の変形例に基づく幅方向張力発生装置16およびその近傍を示す斜視図(a)と、更に別の幅方向張力発生装置17およびその近傍を示す斜視図(b)である。
図5(a)に示すように、幅方向張力発生装置16は、同等に構成された、円筒形状のローラー面を有する2個の円形ローラー16aおよび16bからなり、各ローラーは、蒸着領域Aの近傍において、集電体12の表面側および裏面側に1個ずつ、前記厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置されている。各ローラーのローラー面にはらせん状の溝が左右対称に刻まれており、各ローラーは、それぞれ、この対称面が前記直交面と一致するように配置されている。
円形ローラー16aおよび16bは、それぞれ、回転軸の方向を集電体12の幅方向に一致させ、ローラー面が集電体12の表面または裏面に接するように、互いに逆向きに回転する。この際、各ローラー面にははらせん状の溝16cが左右対称に刻まれているため、集電体12の表面および裏面に、上記の回転によって溝16が進む方向、すなわち幅方向へ、集電体12を押し広げようとする摩擦力が作用し、この結果、集電体12の幅方向外側に向かう張力が発生する。
図5(b)に示すように、幅方向張力発生装置17は、同等に構成された、円筒形状のローラー面を有する2個の円形ローラー17aおよび17bからなり、各ローラーは、蒸着領域Aの近傍において、集電体12の表面側および裏面側に1個ずつ、前記厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置されている。各ローラーのローラー面には、例えばゴムテープなどのテープ状の弾性体17cが側部に左右対称に貼り付けられており、各ローラーは、それぞれ、この対称面が前記直交面と一致するように配置されている。
円形ローラー17aおよび17bは、それぞれ、回転軸の方向を集電体12の幅方向に一致させ、テープ状弾性体17cが設けられている側部領域では、弾性体17cの外周面が集電体12の表面または裏面に接し、弾性体17cが設けられていない中央部領域では、ローラー17aおよび17bのローラー面が集電体12の表面又は裏面に接するように、互いに逆向きに回転する。この際、テープ状弾性体17cの外周の長さ(1回転で進む距離)とローラー面の外周の長さ(1回転で進む距離)とが異なるため、集電体12の側部の方が中央部よりも先に進もうとし、この結果、集電体12に幅方向外側に向かう張力が発生する。
以上に述べた装置15〜17は、張力が発生する機構は多少異なるが、いずれを用いても装置4と同様の効果を得ることができる。すなわち、蒸着領域Aの集電体12に幅方向外側に向かう張力を作用させながら、集電体12の上に活物質層19を堆積させることができるので、図10に示した、反りなどの集電体12全体の歪みや、しわ状の変形などの集電体12の局所的な歪みが生じにくい。この結果、電池用電極上で充放電反応が均一に起こり、電池用電極の初回放電容量及び充放電サイクル特性が向上する。
この際、2個の各ローラーによって生じる各張力は、前記直交面および前記厚さ方向二等分面に関して対称に加えられるので、ベクトルとして見た場合、走行方向へ向かう成分以外の成分は各張力同士で相殺し合い、集電体12の安定な走行を損なうことがない。
このため、集電体として長尺形状の集電体12を用い、長尺方向に走行させながら活物質層を形成することができるので、生産性よく電池用電極を製造することができる。
図6は、実施の形態1に基づくリチウムイオン二次電池20の構成を示す断面図である。この二次電池20は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装カップ24に収容された負極21と、外装缶25に収容された正極22とが、セパレータ23を介して積層されている。外装カップ24および外装缶25の周縁部は絶縁性のガスケット26を介してかしめることにより密閉されている。外装カップ24および外装缶25は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウム(Al)などの金属によりそれぞれ構成されている。
リチウムイオン二次電池20の各部は、従来のリチウムイオン二次電池と同様であるが、以下に詳述する。
負極21は、例えば、負極集電体21aと、負極集電体21aに設けられた負極活物質層21bとによって構成されている。
負極集電体21aは、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない金属材料によって形成されているのがよい。負極集電体21aがリチウムと金属間化合物を形成する材料であると、充放電に伴うリチウムとの反応によって負極集電体21aが膨張収縮する。この結果、負極集電体21aの構造破壊が起こって集電性が低下する。また、負極活物質層21bを保持する能力が低下して、負極活物質層21bが負極集電体21aから脱落しやすくなる。
リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素として、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、あるいはクロム(Cr)などが挙げられる。なお、本明細書において、金属材料とは、金属元素の単体だけではなく、2種以上の金属元素、あるいは1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなる合金も含むものとする。
また、負極集電体21aは、負極活物質層21bと合金化する金属元素を含む金属材料によって構成されているのがよい。このようであれば、合金化によって負極活物質層21bと負極集電体21aとの密着性が向上し、充放電に伴う膨張収縮によって負極活物質が細分化されることが抑制され、負極集電体21aから負極活物質層21bが脱落するのが抑えられるからである。また、負極における電子伝導性を向上させる効果も得られる。
負極集電体21aは、単層であってもよいが、複数層によって構成されていてもよい。複数層からなる場合、負極活物質層21bと接する層がケイ素と合金化する金属材料からなり、他の層がリチウムと金属間化合物を形成しない金属材料からなるのがよい。
負極集電体21aの、負極活物質層21bが設けられる面は、粗化されていることが好ましく、例えば、負極集電体21aの表面粗度Ra値が0.1μm以上であるのがよい。このようであれば、負極活物質層21bと負極集電体21aとの密着性が向上するからである。一方、Ra値は3.5μm以下、より好ましくは3.0μm以下であるのがよい。表面粗度が大きすぎると、負極活物質層21bの膨張に伴って負極集電体21aに亀裂が生じやすくなるおそれがあるからである。なお、表面粗度Ra値は、JIS B0601に規定される算術平均粗さRaのことである。負極集電体21aのうち、負極活物質層21bが設けられている領域の表面粗度Raが上記の範囲内であればよい。
負極活物質層21b中には、負極活物質としてケイ素の単体及びその化合物、並びにスズの単体及びその化合物のうちの1種以上が含まれている。このうち、とくにケイ素が含まれているのがよい。ケイ素はリチウムイオンを合金化して取り込む能力、および合金化したリチウムをリチウムイオンとして再放出する能力に優れ、リチウムイオン二次電池を構成した場合、大きなエネルギー密度を実現することができる。ケイ素は、単体で含まれていても、合金で含まれていても、化合物で含まれていてもよく、それらの2種以上が混在した状態で含まれていてもよい。
負極活物質層21bは、厚さが5〜6μm程度の薄膜型である。負極活物質層21bは、ケイ素の単体及びその化合物、並びにスズの単体及びその化合物のうちの1種以上からなる負極活物質層21bが、負極集電体21a上に形成されている。
この際、ケイ素又はスズの単体の一部又は全部が、負極21を構成する負極集電体21aと合金化しているのがよい。既述したように、負極活物質層21bと負極集電体21aとの密着性を向上させることができるからである。具体的には、界面において負極集電体21aの構成元素が負極活物質層21bに、または負極活物質層21bの構成元素が負極集電体21aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。充放電により負極活物質層21bが膨張収縮しても、負極集電体21aからの脱落が抑制されるからである。なお、本願では、上述した元素の拡散も合金化の一形態に含める。
負極活物質層21bがスズの単体を含む場合、スズ層の上にコバルト層が積層され、積層後の加熱処理によって両者が合金化されていてもよい。このようにすると、充放電効率が高くなり、サイクル特性が向上する。この原因の詳細は不明であるが、リチウムと反応しないコバルトを含有することで、充放電反応を繰り返した場合のスズ層の構造安定性が向上するためと考えられる。
負極活物質層21bがケイ素の単体を含む場合には、リチウムと金属間化合物を形成せず、負極活物質層21b中のケイ素と合金化する金属元素として、銅、ニッケル、および鉄が挙げられる。中でも、銅を材料とすれば、十分な強度と導電性とを有する負極集電体21aが得られるので、特に好ましい。
また、負極活物質層21bを構成する元素として、酸素が含まれているのがよい。酸素は負極活物質層21bの膨張および収縮を抑制し、放電容量の低下および膨れを抑制することができるからである。負極活物質層21bに含まれる酸素の少なくとも一部は、ケイ素と結合していることが好ましく、結合の状態は一酸化ケイ素でも二酸化ケイ素でも、あるいはそれら以外の準安定状態でもよい。
負極活物質層21bにおける酸素の含有量は、3原子数%以上、45原子数%以下の範囲内であることが好ましい。酸素含有量が3原子数%よりも少ないと十分な酸素含有効果を得ることができない。また、酸素含有量が45原子数%よりも多いと電池のエネルギー容量が低下してしまう他、負極活物質層21bの抵抗値が増大し、局所的なリチウムの挿入により膨れたり、サイクル特性が低下してしまうと考えられるからである。なお、充放電により電解液などが分解して負極活物質層21bの表面に形成される被膜は、負極活物質層21bには含めない。よって、負極活物質層21bにおける酸素含有量とは、この被膜を含めないで算出した数値である。
また、負極活物質層21bは、酸素の含有量が少ない第1層と、酸素の含有量が第1層よりも多い第2層とが交互に積層されていることが好ましく、第2層は少なくとも第1層の間に1層以上存在することが好ましい。この場合、充放電に伴う膨張および収縮を、より効果的に抑制することができるからである。例えば、第1層におけるケイ素の含有量は90原子数%以上であることが好ましく、酸素は含まれていても含まれていなくてもよいが、酸素含有量は少ない方が好ましく、全く酸素が含まれないか、または、酸素含有量が微量であるのがより好ましい。この場合、より高い放電容量を得ることができるからである。一方、第2層におけるケイ素の含有量は90原子数%以下、酸素の含有量は10原子数%以上であることが好ましい。この場合、膨張および収縮による構造破壊をより効果的に抑制することができるからである。第1層と第2層とは、負極集電体21aの側から、第1層、第2層の順で積層されていてもよいが、第2層、第1層の順で積層されていてもよく、表面は第1層でも第2層でもよい。また、酸素の含有量は、第1層と第2層との間において段階的あるいは連続的に変化していることが好ましい。酸素の含有量が急激に変化すると、リチウムイオンの拡散性が低下し、抵抗が上昇する場合があるからである。
なお、負極活物質層21bは、ケイ素および酸素以外の他の1種以上の構成元素を含んでいてもよい。他の元素としては、例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、あるいはクロム(Cr)が挙げられる。
正極22は、例えば、正極集電体22aと、正極集電体22aに設けられた正極活物質層22bとによって構成されている。
正極集電体22aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されているのがよい。
正極活物質層22bは、例えば、正極活物質として、充電時にリチウムイオンを放出することができ、かつ放電時にリチウムイオンを再吸蔵することができる材料を1種以上含んでおり、必要に応じて、炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着材(バインダー)を含んでいるのがよい。
リチウムイオンを放出および再吸蔵することが可能な材料としては、例えば、一般式LixMO2で表される、リチウムと遷移金属元素Mからなるリチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。これは、リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムイオン二次電池を構成した場合、高い起電力を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を実現することができるからである。なお、Mは1種類以上の遷移金属元素であり、例えば、コバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。xは電池の充電状態(放電状態)によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2あるいはLiNiO2などが挙げられる。
なお、正極活物質として、粒子状のリチウム遷移金属複合酸化物を用いる場合には、その粉末をそのまま用いてもよいが、粒子状のリチウム遷移金属複合酸化物の少なくとも一部に、このリチウム遷移金属複合酸化物とは組成が異なる酸化物、ハロゲン化物、リン酸塩、硫酸塩からなる群のうちの少なくとも1種を含む表面層を設けるようにしてもよい。安定性を向上させることができ、放電容量の低下をより抑制することができるからである。この場合、表面層の構成元素と、リチウム遷移金属複合酸化物の構成元素とは、互いに拡散していてもよい。
また、正極活物質層22bは、長周期型周期表における2族元素,3族元素または4族元素の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。安定性を向上させることができ、放電容量の低下をより抑制することができるからである。2族元素としてはマグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)あるいはストロンチウム(Sr)などが挙げられ、中でもマグネシウムが好ましい。3族元素としてはスカンジウム(Sc)あるいはイットリウム(Y)などが挙げられ、中でもイットリウムが好ましい。4族元素としてはチタンあるいはジルコニウム(Zr)が挙げられ、中でもジルコニウムが好ましい。これらの元素は、正極活物質中に固溶していてもよく、また、正極活物質の粒界に単体あるいは化合物として存在していてもよい。
セパレータ23は、負極21と正極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ23の材料としては、例えば、微小な空孔が多数形成された微多孔性のポリエチレンやポリプロピレンなどの薄膜がよい。
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解した電解質塩とで構成され、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
電解液の溶媒としては、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン;EC)や4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン;PC)などの環状炭酸エステル、および、炭酸ジメチル(DMC)や炭酸ジエチル(DEC)や炭酸エチルメチル(EMC)などの鎖状炭酸エステルなど、非水溶媒が挙げられる。溶媒はいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いるのがよい。例えば、炭酸エチレンや炭酸プロピレンなどの高誘電率溶媒と、炭酸ジメチルや炭酸ジエチルや炭酸エチルメチルなどの低粘度溶媒とを混合して用いることにより、電解質塩に対する高い溶解性と、高いイオン伝導度とを実現することができる。
また、溶媒はスルトンを含有していてもよい。電解液の安定性が向上し、分解反応などによる電池の膨れを抑制することができるからである。スルトンとしては、環内に不飽和結合を有するものが好ましく、特に、化1に示した1,3−プロペンスルトンが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。
Figure 2008041515
また、溶媒には、1,3−ジオキソール−2−オン(炭酸ビニレン;VC)あるいは4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン(VEC)などの不飽和結合を有する環式炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。放電容量の低下をより抑制することができるからである。特に、VCとVECとを共に用いるようにすれば、より高い効果を得ることができるので好ましい。
更に、溶媒には、ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体を混合して用いるようにしてもよい。放電容量の低下を抑制することができるからである。この場合、不飽和結合を有する環式炭酸エステルと共に混合して用いるようにすればより好ましい。より高い効果を得ることができるからである。ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体は、環式化合物でも鎖式化合物でもよいが、環式化合物の方がより高い効果を得ることができるので好ましい。このような環式化合物としては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ブロモ−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)などが挙げられ、中でもフッ素原子を有するDFECやFEC、特にDFECが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。
電解液の電解質塩としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)やテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、電解液はそのまま用いてもよいが、高分子化合物に保持させていわゆるゲル状の電解質としてもよい。その場合、電解質はセパレータ3に含浸されていてもよく、また、セパレータ3と負極1または正極2との間に層状に存在していてもよい。高分子材料としては、例えば、フッ化ビニリデンを含む重合体が好ましい。酸化還元安定性が高いからである。また、高分子化合物としては、重合性化合物が重合されることにより形成されたものも好ましい。重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステルなどの単官能アクリレート、メタクリル酸エステルなどの単官能メタクリレート、ジアクリル酸エステル,あるいはトリアクリル酸エステルなどの多官能アクリレート、ジメタクリル酸エステルあるいはトリメタクリル酸エステルなどの多官能メタクリレート、アクリロニトリル、またはメタクリロニトリルなどがあり、中でも、アクリレート基あるいはメタクリレート基を有するエステルが好ましい。重合が進行しやすく、重合性化合物の反応率が高いからである。
リチウムイオン二次電池20は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前述したように図1に示した蒸着装置などを用いて、集電体12に負極活物質層を形成した後、所定の形状に裁断して負極21を作製する。
負極活物質層21bに酸素を含有させる場合、酸素の含有量は、例えば、負極活物質層21bを形成する際の雰囲気中に酸素を含有させたり、焼成時あるいは熱処理時の雰囲気中に酸素を含有させたり、または用いる負極活物質粒子の酸素含有量により調節する。
また、前述したように、酸素の含有量が少ない第1層と、酸素の含有量が第1層よりも多い第2層とを交互に積層して負極活物質層21bを形成する場合には、雰囲気中における酸素濃度を変化させることにより調節するようにしてもよく、また、第1層を形成したのち、その表面を酸化させることにより第2層を形成するようにしてもよい。
なお、負極活物質層21bを形成したのちに、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、負極集電体21aと負極活物質層21bとの界面をより合金化させるようにしてもよい。
次に、正極集電体22aに正極活物質層22bを形成する。例えば、正極活物質と、必要に応じて導電材および結着剤(バインダー)とを混合して合剤を調製し、これをNMPなどの分散媒に分散させてスラリー状にして、この合剤スラリーを正極集電体22aに塗布した後、圧縮成型することにより正極22を形成する。
次に、負極21とセパレータ23と正極22とを積層して配置し、外装カップ24と外装缶25との中に入れ、電解液を注入し、それらをかしめることによってリチウムイオン二次電池20を組み立てる。この際、負極21と正極22とは、負極活物質層21bと正極活物質層22bとが対向するように配置する。
組み立て後、リチウムイオン二次電池20を充電すると、正極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極21側へ移動し、負極21において還元され、生じたリチウムは負極活物質と合金を形成し、負極21に取り込まれる。放電を行うと、負極21に取り込まれていたリチウムがリチウムイオンとして再放出され、電解液を介して正極22側へ移動し、正極22に再び吸蔵される。
図7は、本発明の本実施の形態に基づくリチウムイオン二次電池の別の構成を示す斜視図(a)および断面図(b)である。図7に示すように、二次電池30は角型の電池であり、電極巻回体36が電池缶37の内部に収容され、電解液が電池缶37に注入されている。電池缶37の開口部は、電池蓋38により封口されている。電極巻回体36は、帯状の負極31と帯状の正極32とをセパレータ(および電解質層)33を間に挟んで対向させ、長尺方向に巻回したものである。負極31から引き出された負極リード34は電池缶37に接続され、電池缶37が負極端子を兼ねている。正極32から引き出された正極リード35は正極端子39に接続されている。
電池缶37および電池蓋38の材料としては、鉄やアルミニウムなどを用いることができる。但し、アルミニウムからなる電池缶37および電池蓋38を用いる場合には、リチウムとアルミニウムとの反応を防止するために、正極リード35を電池缶37と溶接し、負極リード34を端子ピン39と接続する構造とする方が好ましい。
リチウムイオン二次電池30は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前述したように、負極31および正極32を作製する。次に、負極31と正極32とをセパレータ33を間に挟んで対向させ、長尺方向に巻き回すことにより、電極巻回体36を形成する。この際、負極31と正極32とは、負極活物質層と正極活物質層とが対向するように配置する。次に、この電極巻回体36を角型形状の電池缶37に挿入し、電池缶37の開口部に電池蓋38を溶接する。次に、電池蓋38に形成されている電解液注入口から電解液を注入した後、注入口を封止する。以上のようにして、角型形状のリチウムイオン二次電池30を組み立てる。
また、電解液を高分子化合物に保持させる場合には、ラミネートフィルムなどの外装材からなる容器に電解液とともに重合性化合物を注入し、容器内において重合性化合物を重合させることにより、電解質をゲル化する。また、電極の大きな膨張収縮に対応するために、容器として金属缶を用いてもよい。また、負極31と正極32とを巻回する前に、負極31または正極32に塗布法などによってゲル状電解質を被着させ、その後、セパレータ33を間に挟んで負極31と正極32とを巻回するようにしてもよい。
組み立て後、前述したと同様に、リチウムイオン二次電池30を充電すると、正極32からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極31側へ移動し、負極31において還元され、生じたリチウムは負極活物質と合金を形成し、負極31に取り込まれる。放電を行うと、負極31に取り込まれていたリチウムがリチウムイオンとして再放出され、電解液を介して正極32側へ移動し、正極32に再び吸蔵される。
リチウムイオン二次電池20および30では、負極活物質層中に負極活物質としてケイ素の単体及びその化合物などが含まれているため、二次電池の高容量化が可能になる。しかも、本実施の形態の負極は、その製造方法に基づく前述した構造的特徴を有し、反りなどの集電体12全体の歪みや、しわ状の変形などの集電体12の局所的な歪みが少ない。この結果、負極上で充放電反応が均一に起こり、負極の初回放電容量及び充放電サイクル特性が向上する。
実施の形態2
実施の形態2では、主として、請求項19に記載した電池用電極の製造装置を用いて、請求項1および請求項9に記載した電池用電極の製造方法によって電池用電極を形成し、この電池用電極を負極として用いてリチウムイオン二次電池を構成した例について説明する。
図8(a)は、実施の形態2に基づく電池用電極の製造装置41の構成を示す概略図である。この電極製造装置41は真空蒸着装置であり、真空チャンバー2、蒸着源3、円形キャンロール42、輻射熱遮蔽板5、シャッタ6、および真空排気装置7を備えている。円形キャンロール42は蒸着源3の上方に配置され、帯状の集電体12を円形キャンロール42に保持した状態で蒸着領域Aを通過させ、長尺方向に走行させながらその上に活物質層を連続成膜できるように構成されている。電極製造装置41は、円形キャンロール42、および、帯状の集電体12を走行させる手段以外は、図3に示した電極製造装置1と同様の真空蒸着装置であるので、以下、相違点に重点をおいて説明する。
電解銅箔などからなる帯状の集電体12は、円形キャンロール42、2つのガイドローラー43aと43b、および2つのローラー44aと44bに渡して配置され、集電体12の前部と後部は、それぞれ、2つのローラー14aと14bに巻き取られている。円形キャンロール42および2つのガイドローラー43aと43bは、内部に冷却水を通すことにより、集電体12を水冷できるように構成されている。
電極製造装置41を用いて、電池用電極を作製するには、まず、集電体12を円形キャンロール42、2つのガイドローラー43aと43b、および2つのローラー44aと44bの各外周面に渡して配置する。この際、例えば、一方の端部を残し、他の全部を例えばローラー44aに巻き取っておく。
次に、チャンバー2内を真空排気装置7によって排気しながら、シャッタ6を閉じた状態で、電子銃8から蒸着材料11に電子ビームを照射し、蒸着材料11を加熱する。これにより、蒸着材料11を溶融させるとともに、酸素や水分などの不純物となるガスを放出させる。
次に、電子ビームの照射をいったん停止し、真空排気を続けながら、蒸着材料11を放冷させ、所定の圧力になるまで排気を続ける。
所定の圧力になったら、再び電子ビームを照射し、蒸着材料11が完全に溶融した後、シャッタ6を開き、集電体12上に活物質層を堆積させる。この際、円形キャンロール42、2つのガイドローラー43aと43b、および2つのローラー44aと44bをそれぞれ所定の速度で回転させ、負極集電体12を図8(a)中の矢印Bの方向に走行させながら蒸着を行う。集電体12の上には、蒸着領域Aにおいて活物質層が蒸着される一方、蒸着領域Aを通過してしまうと蒸着材料の堆積はなく、蒸着源3からの輻射熱も遮断される。そして、集電体12がガイドローラー43bに到達すると、ガイドローラー43bを介して水冷される。このようにして、蒸着領域Aにおいて上昇した集電体12の温度は短時間の内に低下するので、集電体12への加熱や高温での活物質の酸化が最小限に抑えられる。
そして、ローラー44bに巻かれていた集電体12が全て送り出され、ローラー44bに巻き取られた後は、必要なら、円形キャンロール42、2つのガイドローラー43aと43b、および2つのローラー44aと44bを逆方向に回転させ、集電体12を反対方向に走行させながら、蒸着を行う。このように、集電体12を蒸着領域Aを通って往復走行させながら、所定の厚みになるまで活物質層を形成することもできる。
図8(b)は、図8(a)に8B−8B線で示した位置における円形キャンロール42および集電体12の断面図である。円形キャンロール42が従来の円形キャンロールと異なっている点は、ロール面の形状が中央部ほど大きく膨らみ、周辺部ほど径小となる、例えば図8(b)に示す樽型形状を有している点である(但し、図8(b)では、従来との相違点をわかりやすくするため、誇張して示している。)。比較のため、従来の円筒型のロール面を図8(b)に点線で示す。
図8に示したような、円形キャンロールを支持体とする蒸着装置では、一般に、蒸着領域Aにおいて、走行方向に印加される張力から、集電体12を円形キャンロールの回転軸の方へ引きつける向心力が発生する。通常の円筒型のロール面では、この向心力は、集電体12をロール面に押しつける力としてのみ作用する。これに対して、円形キャンロール42では、ロール面が樽型形状を有しているため、図8(b)に示すように、向心力の一部が集電体12を幅方向外側に引っ張る張力に転換される。
上記のように、電極製造装置41では、円形キャンロール42によって蒸着領域Aの集電体12に幅方向外側に向かう張力を作用させながら、集電体12の上に活物質層を堆積させるので、図10に示した、反りなどの集電体12全体の歪みや、しわ状の変形などの集電体12の局所的な歪みが生じにくい。この結果、電池用電極上で充放電反応が均一に起こり、電池用電極の初回放電容量及び充放電サイクル特性が向上する。この際、上記張力は、前記直交面に関して対称に生じるので、ベクトルとして見た場合、走行方向へ向かう成分以外の成分は各張力同士で相殺し合い、集電体12の安定な走行を損なうことがない。
また、図11に示したように、集電体12の断面が中央部が盛り上がり、両側端部が円形キャンロール42との接触面に引き寄せられた形状に変形したとしても、円形キャンロール42のロール面が樽型形状を有するため、集電体12とロール面との密着が保たれやすい。この結果、集電体12が円形キャンロール42に均等に接触し、蒸着源3からの輻射熱や蒸着粒子によってもたらされる熱によって集電体12が受ける熱負荷が均一になるため、電池用電極のサイクル特性が向上する。
本方法によれば、集電体として長尺形状の集電体12を用い、長尺方向に走行させながら活物質層を形成することができるので、生産性よく電池用電極を製造することができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々に変形可能である。
例えば、上記の実施の形態では、外装部材としてコイン型や角型(角筒型)の缶を用いる場合について説明したが、本発明は、外装部材としてフィルム状の外装材などを用いるラミネート型などの場合についても適用することができる。その形状も、コイン型や角型の他に、円筒型、ボタン型、薄型、あるいは大型など、どのようなものでもよい。また、本発明は、負極と正極とを複数層積層した積層型のものについても同様に適用することができる。
本発明に係る二次電池は、ケイ素などの単体などを負極活物質として用いて、大きなエネルギー容量と良好なサイクル特性を実現し、モバイル型電子機器の小型化、軽量化、および薄型化に寄与し、その利便性を向上させる。
本発明の実施の形態1に基づく幅方向張力発生装置の斜視図(a)、平面図(b)および断面図(c)である。 同、幅方向張力発生装置の効果を説明する説明図である。 同、電池用電極の製造装置の構成を示す概略図である。 同、変形例に基づく幅方向張力発生装置の斜視図である。 同、別の変形例に基づく幅方向張力発生装置の斜視図である。 同、リチウムイオン二次電池の構成(コイン型)を示す断面図である。 同、リチウムイオン二次電池の別の構成(角型)を示す斜視図(a)および断面図(b)である。 本発明の実施の形態2に基づく電池用電極の製造装置の構成を示す概略図(a)、および、幅方向張力発生装置でもある円形キャンロールの断面図(b)である。 特許文献1に示されているリチウム二次電池用電極の製造方法を説明する断面図である。 従来の走行成膜による電池用電極の製造方法の問題点の1つを説明する斜視図(a)および断面図(b)である。 従来の走行成膜による電池用電極の製造方法の別の問題点の1つを説明する断面図である。
符号の説明
1…電池用電極製造装置、2…真空チャンバー、2a…集電体設置室、
2b…蒸着源設置室、3…蒸着源、4…幅方向張力発生装置、
4a〜4d…ディスク状回転体、5…輻射熱遮蔽板、5a…折り返し部、6…シャッタ、
7…真空排気装置、8…電子銃、9…るつぼ、10…ハースライナ、11…蒸着材料、
12…集電体、13a、13b…ガイドローラー、14a、14b…ローラー、
15…幅方向張力発生装置、15a、15b…エキスパンダーローラー、
16…幅方向張力発生装置、16a、16b…ローラー、16c…らせん状の溝、
17…幅方向張力発生装置、17a、17b…ローラー、17c…テープ状弾性体、
18…キャンロール、19…活物質層、20…リチウムイオン二次電池、21…負極、
21a…負極集電体、21b…負極活物質層、22…正極、22a…正極集電体、
22b…正極活物質層、23…セパレータ、24…コイン型外装カップ、25…外装缶、
26…ガスケット、30…リチウムイオン二次電池、31…負極、32…正極、
33…セパレータ、34…負極リード、35…正極リード、36…電極巻回体、
37…電池缶、38…電池蓋、39…正極端子、41…電池用電極製造装置、
42…円形キャンロール、43a、43b…ガイドローラー、
44a、44b…ローラー、101…集電体(金属箔など)、
101a、101b…集電体の両端部、102…支持体、103…ターゲット、
104…バッキングプレート、105、106…ばね、111…集電体(金属箔など)、
112…活物質層、113…円形ローラー、114…供給ローラー、
115…巻取りローラー、A…蒸着領域、B…集電体走行方向

Claims (19)

  1. 集電体の表面に活物質層を積層するに際し、長尺形状の集電体をその長尺方向に連続的に送り出し、活物質層形成領域を走行させる電池用電極の製造方法において、
    前記活物質層形成領域において、前記集電体に対し、その長尺方向中心線の位置から 幅方向外側に向かう張力を、前記長尺方向中心線の位置で前記集電体の表面に直交する 面に関して対称に加えながら、前記活物質層を形成する
    ことを特徴とする、電池用電極の製造方法。
  2. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の前記走行方向に向かって加える張力をT、前記幅方向外側に向かって加える前記張力をtとするとき、
    0.1 < t/T < 10
    である、請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  3. 0.2 < t/T < 2
    である、請求項2に記載した電池用電極の製造方法。
  4. t = T
    である、請求項3に記載した電池用電極の製造方法。
  5. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側の両側部に、同等に 構成された4個のディスク状回転体を、前記直交面、及び前記集電体の厚さ方向二等分 面に関して互いに対称であるように配置し、
    前記4個のディスク状回転体を、それぞれ、前記集電体の法線方向から前記走行方向 内側に傾いた軸を回転軸とし、その回転面の一部が前記集電体の表面又は裏面に接する ように回転させることによって、前記集電体の前記表面及び前記裏面の前記両側部に、 前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる、
    請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  6. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され た2個のエキスパンダーローラーを、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対 称であるように配置し、
    前記2個のエキスパンダーローラーを、それぞれ、ローラー面が前記集電体の表面又 は裏面に接するように回転させることによって、前記集電体の前記幅方向外側に向かう 張力を発生させる、
    請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  7. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され 、円筒形状のローラー面にらせん状の溝が左右対称に刻まれている2個の円形ローラー を、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置し、
    前記2個の円形ローラーを、それぞれ、回転軸の方向を前記集電体の幅方向に一致さ せ、前記ローラー面が前記集電体の表面又は裏面に接するように回転させることによっ て、前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる、
    請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  8. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され 、円筒形状のローラー面の側部にテープ状の弾性体が左右対称に貼り付けられている2 個の円形ローラーを、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように 配置し、
    前記2個の円形ローラーを、それぞれ、回転軸の方向を前記集電体の幅方向に一致さ せ、前記弾性体が設けられている領域では、前記弾性体の外周面が前記集電体の表面又 は裏面に接し、前記弾性体が設けられていない領域では、前記円形ローラーの前記ロー ラー面が前記集電体の前記表面又は前記裏面に接するように回転させることによって、 前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる、
    請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  9. 前記活物質層形成領域において前記集電体を円形ロールのロール面に接するように保持し、このロール面の形状を中央部ほど大きく膨らみ、周辺部ほど径小となる形状にすることによって、走行方向に印加される張力から、前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力を発生させる、請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  10. 前記活物質層を気相成膜法によって形成する、請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  11. 前記集電体として銅を含有する材料を用いる、請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  12. ケイ素を含有する活物質材料を用いて、ケイ素を含有する前記活物質層を形成する、請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  13. 前記活物質層を形成する際の雰囲気中に存在する酸素含有成分によって、成膜中、又は成膜中断中、又は成膜終了後に前記活物質層を酸化することによって、前記活物質層の少なくとも表面に活物質の酸化物を含有する層を形成する、請求項1に記載した電池用電極の製造方法。
  14. 請求項1に記載した電池用電極の製造方法において用いられる電池用電極の製造装置であって、
    前記長尺形状の集電体をその長尺方向に連続的に送り出し、前記活物質層形成領域を 走行させる手段と、
    前記活物質層形成領域において、前記集電体に対し、その長尺方向中心線の位置から 幅方向外側に向かう張力を、前記長尺方向中心線の位置で前記集電体の表面に直交する 面に関して対称に加える手段と、
    前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面に活物質層を形成する手段と
    を有する、電池用電極の製造装置。
  15. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側の両側部に、同等に 構成された4個のディスク状回転体が、前記直交面、及び前記集電体の厚さ方向二等分 面に関して互いに対称であるように配置され、
    前記4個のディスク状回転体が、それぞれ、前記集電体の法線方向から前記走行方向 内側に傾いた軸を回転軸とし、その回転面の一部が前記集電体の表面又は裏面に接する ように回転することによって、前記集電体の前記表面及び前記裏面の前記両側部に、前 記集電体の前記幅方向外側に向かう張力が発生する
    ように構成されている、請求項14に記載した電池用電極の製造装置。
  16. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され た2個のエキスパンダーローラーが、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対 称であるように配置され、
    前記2個のエキスパンダーローラーが、それぞれ、ローラー面が前記集電体の表面又 は裏面に接するように回転することによって、前記集電体の前記幅方向外側に向かう張 力が発生する
    ように構成されている、請求項14に記載した電池用電極の製造装置。
  17. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され 、円筒形状のローラー面にらせん状の溝が左右対称に刻まれている2個の円形ローラー が、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置され、
    前記2個の円形ローラーが、それぞれ、回転軸の方向を前記集電体の幅方向に一致さ せ、前記ローラー面が前記集電体の表面又は裏面に接するように回転することによって 、前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力が発生する
    ように構成されている、請求項14に記載した電池用電極の製造装置。
  18. 前記活物質層形成領域において、前記集電体の表面側及び裏面側に、同等に構成され 、円筒形状のローラー面にテープ状の弾性体が左右対称に貼り付けられている2個の円 形ローラーが、前記集電体の厚さ方向二等分面に関して互いに対称であるように配置さ れ、
    前記2個のローラーが、それぞれ、回転軸の方向を前記集電体の幅方向に一致させ、 前記弾性体が設けられている領域では、弾性体の外周面が前記集電体の表面又は裏面に 接し、前記弾性体が設けられていない領域では、前記円形ローラーの前記ローラー面が 前記集電体の前記表面又は前記裏面に接するように回転することによって、前記集電体 の前記幅方向外側に向かう張力が発生する
    ように構成されている、請求項14に記載した電池用電極の製造装置。
  19. 前記活物質層形成領域において、前記集電体が円形ロールのロール面に接するように保持され、このロール面の形状が中央部ほど大きく膨らみ、周辺部ほど径小となる形状に形成され、これらの結果、走行方向に印加される張力から、前記集電体の前記幅方向外側に向かう張力が発生するように構成されている、請求項14に記載した電池用電極の製造装置。
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