JP2008041505A - 燃料電池システム、燃料電池の水分量推定装置及び方法 - Google Patents

燃料電池システム、燃料電池の水分量推定装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発電セル内の水分量を精度よく推定する。
【解決手段】燃料電池10は複数の発電セル14−1〜14−nが積層された積層体12を備え、各発電セル14−1〜14−nはアノード電極がカソード電極よりも発電セル14−1〜14−nの積層方向の一端側に配置されている。温度差取得部102は、積層方向に関する積層体12の一端部またはその付近に配置された発電セル14−1におけるカソード電極側とアノード電極側との温度差を取得する。水分量推定部104は、温度差取得部102で取得された温度差に基づいて、発電セル14−1内の水分量を推定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池システム、燃料電池の水分量推定装置及び方法に関する。
従来より、燃料電池として、湿潤状態で良好なプロトン導電性を有する電解質膜と、この電解質膜の片面及び他面にそれぞれ接合されたアノード電極及びカソード電極と、を含む発電セルを複数積層したものが知られている。各発電セルにおいては、燃料ガス及び酸化剤ガスがアノード電極及びカソード電極にそれぞれ供給されることで、電気化学反応が行われ、発電が行われる。
通常、電解質膜は、湿潤状態で良好なプロトン導電性を有する電解質として機能するため、燃料ガスや酸化剤ガスを予め加湿してから発電セルに供給することで電解質膜の湿潤状態の維持を図っている。ただし、発電セル内の水分量が過多になる場合や、発電セル内の水分量が不足する場合は、発電セルの発電性能の低下を招きやすくなる。したがって、燃料電池により発電を効率よく行うためには、発電セル内の水分量を的確に把握して、発電セル内の水分量を適切な状態に維持することが望ましい。
燃料電池の水分量を推定する技術としては、下記特許文献1によるものが開示されている。特許文献1においては、含水が無い状態での燃料電池スタック全体の基準重量を予め計測しておく。そして、発電時における燃料電池スタック全体の重量を検出し、この検出した燃料電池スタック全体の重量と予め計測された基準重量とを比較することで、燃料電池スタック内の水分量を推定している。
その他にも、下記特許文献2〜4による燃料電池が開示されている。
特開2004−158274号公報 特許第3596332号公報 特表2005−531904号公報 国際公開第00/65678号パンフレット
前述のように、燃料電池により発電を効率よく行うためには、発電セル内の水分量を的確に把握して、発電セル内の水分量を適切な状態に維持することが望ましい。特許文献1においては、発電セルが複数積層された燃料電池スタック全体の重量を検出して燃料電池スタック内の水分量を推定しているため、燃料電池スタックにおける各発電セル内の水分量が均等でない場合は、発電セル内の水分量を精度よく推定することが困難であり、発電セル内の水分量を適切な状態に維持することが困難である。
本発明は、発電セル内の水分量を精度よく推定することができる燃料電池の水分量推定装置及び方法を提供することを目的とする。また、本発明は、発電セル内の水分量を適切な状態に維持することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池システム、燃料電池の水分量推定装置及び方法は、上述した目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る燃料電池の水分量推定装置は、電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池の水分量を推定する装置であって、発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得する温度差取得部と、温度差取得部で取得された温度差に基づいて発電セル内の水分量を推定する水分量推定部と、を有することを要旨とする。
本発明の一態様では、燃料電池は発電セルが複数積層された積層体を備え、各発電セルはアノード極がカソード極よりも発電セルの積層方向の一端側に配置されており、温度差取得部は、積層方向に関する積層体の一端部またはその付近に配置された発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得し、水分量推定部は、温度差取得部で取得された温度差に基づいて、積層方向に関する積層体の一端部またはその付近に配置された発電セル内の水分量を推定することが好適である。
また、本発明に係る燃料電池の水分量推定装置は、電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池の水分量を推定する装置であって、発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との水蒸気圧の差を取得する水蒸気圧差取得部と、水蒸気圧差取得部で取得された水蒸気圧の差に基づいて発電セル内の水分量を推定する水分量推定部と、を有することを要旨とする。
また、本発明に係る燃料電池システムは、電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合され、反応ガスが供給されることで発電を行う発電セルを含む燃料電池と、発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得する温度差取得部と、温度差取得部で取得された温度差に基づいて発電セル内の水分量を調整する水分量調整部と、を有することを要旨とする。
本発明の一態様では、水分量調整部は、温度差取得部で取得された温度差に基づいて、発電セルへの反応ガスの供給状態、及び発電セルからの反応ガスの排出状態のいずれか1つ以上を調整することで、発電セル内の水分量を調整することが好適である。
本発明の一態様では、反応ガスとして燃料ガス及び酸化剤ガスが発電セルのアノード極及びカソード極にそれぞれ供給され、水分量調整部は、温度差取得部で取得されたカソード極側とアノード極側との温度差が第1設定値よりも大きい条件が成立する場合は、当該条件が成立しない場合よりも発電セルのアノード極への燃料ガスの供給流量を増大させることが好適である。
本発明の一態様では、反応ガスとして燃料ガス及び酸化剤ガスが発電セルのアノード極及びカソード極にそれぞれ供給され、水分量調整部は、温度差取得部で取得されたカソード極側とアノード極側との温度差が第1設定値よりも大きい条件が成立する場合は、当該条件が成立しない場合よりも発電セルのアノード極側の背圧を減少させることが好適である。
本発明の一態様では、反応ガスとして燃料ガス及び酸化剤ガスが発電セルのアノード極及びカソード極にそれぞれ供給され、水分量調整部は、温度差取得部で取得されたカソード極側とアノード極側との温度差が第2設定値よりも小さい条件が成立する場合は、当該条件が成立しない場合よりも発電セルのアノード極側の背圧を増大させることが好適である。
本発明の一態様では、燃料電池は発電セルが複数積層された積層体を備え、各発電セルはアノード極がカソード極よりも発電セルの積層方向の一端側に配置されており、温度差取得部は、積層方向に関する積層体の一端部またはその付近に配置された発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得し、水分量調整部は、温度差取得部で取得された温度差に基づいて、積層方向に関する積層体の一端部またはその付近に配置された発電セル内の水分量を調整することが好適である。
また、本発明に係る燃料電池システムは、電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合され、反応ガスが供給されることで発電を行う発電セルを含む燃料電池と、発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との水蒸気圧の差を取得する水蒸気圧差取得部と、水蒸気圧差取得部で取得された水蒸気圧の差に基づいて発電セル内の水分量を調整する水分量調整部と、を有することを要旨とする。
また、本発明に係る燃料電池の水分量推定方法は、電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池の水分量を推定する方法であって、発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得し、該取得した温度差に基づいて発電セル内の水分量を推定することを要旨とする。
また、本発明に係る燃料電池の水分量推定方法は、電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池の水分量を推定する方法であって、発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との水蒸気圧の差を取得し、該取得した水蒸気圧の差に基づいて発電セル内の水分量を推定することを要旨とする。
本発明によれば、発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差(水蒸気圧差)に基づいて発電セル内の水分量を推定することで、発電セル内の水分量を精度よく推定することができる。
また、本発明によれば、発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差(水蒸気圧差)に基づいて発電セル内の水分量を調整することで、発電セル内の水分量を適切な状態に維持することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示す図である。燃料ガス供給源として設けられた燃料タンク60は、その内部に燃料ガスを貯蔵する。ここでの燃料ガスとしては、例えば水素(H2)ガスを用いることができる。燃料タンク60の出口部は、燃料タンク60と燃料電池10のアノード極側とを接続するための燃料ガス供給流路62に接続されている。燃料ガス供給流路62には燃料ガス供給弁64が設けられており、燃料ガス供給弁64の開度を調整することで、燃料タンク60から燃料電池10のアノード極側へ反応ガスとして供給される燃料ガスの流量を調整することができる。また、燃料電池10のカソード極側には酸化剤供給流路72が接続されており、酸化剤供給流路72を通って燃料電池10のカソード極側に酸化剤ガスが反応ガスとして供給される。ここでの酸化剤ガスとしては、例えば空気を用いることができる。
燃料電池10においては、アノード極側に供給された燃料ガス(水素ガス)がアノードの触媒作用によりプロトン(H+)及び電子(e-)へと解離する。解離したプロトンは電解質膜中を移動し、電子は外部負荷を通ってカソードに移動し、カソードの触媒作用でカソード極側に供給された酸化剤ガス(空気)に含まれる酸素と反応して水を生成する。この燃料ガスと酸化剤ガスを用いた電気化学反応により、電気エネルギーが生成される。電気化学反応に供された後の燃料排ガスは、アノード極側から燃料排ガス流路76へ排出され、電気化学反応に供された後の酸化剤排ガスは、カソード極側から酸化剤排ガス流路78へ排出される。燃料排ガス流路76にはアノード背圧調整弁80が設けられており、アノード背圧調整弁80の開度を調整することで、燃料電池10のアノード極側の背圧(電気化学反応後の燃料排ガスの圧力)を調整することができる。
燃料電池10内の電解質膜は、湿潤状態で良好なプロトン導電性を有する電解質として機能する。そのため、酸化剤供給流路72には加湿器82が設けられており、酸化剤ガス(空気)は加湿器82で加湿されてから燃料電池10のカソード極側に供給される。加湿器82による酸化剤ガスの加湿量、つまり燃料電池10のカソード極側に供給される酸化剤ガスの加湿量は調整可能である。また、燃料電池10のアノード極側から排出された燃料排ガスは水分を含んでおり、この水分を含んだ燃料排ガスが燃料排ガス流路76に設けられた気液分離器84を通されてから燃料ガス供給流路62に環流されることで、燃料電池10のアノード極側に供給される燃料ガスを加湿することができる。燃料排ガス流路76における気液分離器84と燃料ガス供給流路62との間の位置には環流調整弁86が設けられており、環流調整弁86の開度を調整することで、燃料電池10のアノード極側に供給される燃料ガスの加湿量を調整することができる。
燃料電池10の構成例の概略を図2に示す。図2に示すように、燃料電池10は、複数の発電セル14−1〜14−n(nは2以上の整数)が積層された積層体12を備える。なお、図2は、一例として、10個の発電セル14−1〜14−10がその積層方向の一端側から他端側へ発電セル14−1〜14−10の順に積層された場合(n=10の場合)を示している。ただし、積層体12において、積層する発電セル14−1〜14−nの個数については、任意に設定することができる。
発電セル14−m(mは1以上且つn以下の整数)は、電解質膜16−mの片面にアノード電極18−mが、他面にカソード電極20−mがそれぞれ接合された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、以下MEAと略す)22−mと、アノード電極18−mと対向配置されたアノード側セパレータ28−mと、カソード電極20−mと対向配置されたカソード側セパレータ30−mと、を含む。MEA22−mは、アノード側セパレータ28−mとカソード側セパレータ30−mとの間に挟持されている。発電セル14−mにおいては、アノード電極18−mがカソード電極20−mよりも発電セル14−1〜14−nの積層方向(以下積層方向と略す)の一端側に配置されている。なお、図2は、アノード側セパレータ28−m及びカソード側セパレータ30−mにメタルセパレータを用いた例を示している。ただし、本実施形態では、アノード側セパレータ28−m及びカソード側セパレータ30−mにカーボンセパレータを用いることもできる。
発電セル14−mにおいては、アノード側セパレータ28−mに凹凸部が形成されていることで、アノード電極18−mとアノード側セパレータ28−mとの間に、燃料ガス供給流路62及び燃料排ガス流路76と連通し、燃料ガスが流れるアノードガス流路38−mが形成されている。一方、カソード側セパレータ30−mに凹凸部が形成されていることで、カソード電極20−mとカソード側セパレータ30−mとの間に、酸化剤供給流路72及び酸化剤排ガス流路78と連通し、酸化剤ガスが流れるカソードガス流路40−mが形成されている。発電セル14−mにおいては、燃料ガス供給流路62からアノードガス流路38−mに流入した燃料ガスがアノード電極18−mに供給され、酸化剤供給流路72からカソードガス流路40−mに流入した酸化剤ガスがカソード電極20−mに供給されることで、電気化学反応が行われ、発電が行われる。電気化学反応の際には、電気エネルギーが生成されるだけでなく熱エネルギーも発生する。電気化学反応に供された後の燃料排ガスは燃料排ガス流路76へ排出され、電気化学反応に供された後の酸化剤排ガスは酸化剤排ガス流路78へ排出される。以上の発電セル14−mの構成は、発電セル14−1〜14−n(図2では発電セル14−1〜14−10)の各々に関して共通するものである。そして、積層方向に関する積層体12の一端部にはアノード側ターミナル電極(集電板)23が配設されており、積層方向に関する積層体12の他端部にはカソード側ターミナル電極(集電板)24が配設されている。
積層体12においては、互いに隣接する発電セル14−j,14−(j+1)(jは1以上且つ(n−1)以下の整数)の一方14−(j+1)のアノード電極18−(j+1)及び他方14−jのカソード電極20−jが積層方向に関してアノード側セパレータ28−(j+1)及びカソード側セパレータ30−jを挟んで互いに対向配置されている。そして、互いに隣接する発電セル14−j,14−(j+1)間、より具体的には発電セル14−(j+1)のアノード側セパレータ28−(j+1)(アノード電極18−(j+1))と発電セル14−jのカソード側セパレータ30−j(カソード電極20−j)との間には、図示しない冷媒供給口及び冷媒排出口と連通し、冷媒としての冷却液(冷却水)が流れる冷媒流路42−jが形成されている。冷媒供給口から冷媒流路42−jに流入した冷却液がアノード電極18−(j+1)及びカソード電極20−jと熱交換を行うことで、アノード電極18−(j+1)及びカソード電極20−jから熱を放出させて運び去ることができ、アノード電極18−(j+1)及びカソード電極20−jの温度を調整する(冷却を行う)ことができる。熱交換に供された後の冷却液は冷媒排出口から排出される。図2は、冷媒流路42−1〜42−9が発電セル14−1,14−2間〜発電セル14−9,14−10間にそれぞれ形成された例を示している。
電子制御ユニット90は、燃料ガス供給弁64の開度、アノード背圧調整弁80の開度、及び環流調整弁86の開度をそれぞれ制御する。前述のように、燃料ガス供給弁64の開度の制御により燃料タンク60から燃料電池10のアノード極側へ供給される燃料ガスの流量を制御することができ、アノード背圧調整弁80の開度の制御により燃料電池10のアノード極側の背圧を制御することができ、環流調整弁86の開度の制御により燃料電池10のアノード極側に供給される燃料ガスの加湿量を制御することができる。そして、電子制御ユニット90は、加湿器82による酸化剤ガスの加湿量を制御することで、燃料電池10のカソード極側に供給される酸化剤ガスの加湿量を制御する。
発電セル14−mにおいて、カソード電極20−m側とアノード電極18−m側との間に温度差が発生すると、カソード電極20−m側とアノード電極18−m側との間に水蒸気分圧の差が発生し、水蒸気が温度(水蒸気分圧)の高い方の電極側から電解質膜16−mを透過して温度(水蒸気分圧)の低い方の電極側へ移動する。例えば、積層方向に関する積層体12の一端部(アノード側ターミナル電極23付近)に配置された発電セル14−1においては、積層方向外側のアノード電極18−1側の温度(水蒸気分圧)が積層方向内側のカソード電極20−1側の温度(水蒸気分圧)よりも低くなりやすいため、水蒸気がカソード電極20−1側から電解質膜16−1を透過してアノード電極18−1側へ移動しやすくなる。そして、アノード電極18−1側においては、燃料ガス(水素ガス)の供給流量が酸化剤ガス(空気)と比較して少なくなるため、カソード電極20−1側と比べて水蒸気が排出されにくい。そのため、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側からアノード電極18−1側へ移動する水蒸気移動量が増大するのに対して、発電セル14−1内の水分量が増大する。温度(水蒸気分圧)の低下しやすいアノード電極18−1側に移動した水蒸気が凝縮して滞留すると、発電セル14−1の発電性能の低下を招きやすくなる。発電セル14−1の発電性能の低下を防ぐためには、発電セル14−1内の水分量を的確に把握して、発電セル14−1内の水分量を適切な状態に維持することが望ましい。
そこで、本実施形態では、発電セル14−1内の水分量W1を推定するために、発電セル14−1のアノード電極18−1側の温度Ta1を検出するアノード極側温度センサ92と、発電セル14−1のカソード電極20−1側の温度Tc1を検出するカソード極側温度センサ94と、が設けられている。アノード極側温度センサ92で検出されたアノード電極18−1側の温度Ta1、及びカソード極側温度センサ94で検出されたカソード電極20−1側の温度Tc1は、電子制御ユニット90に入力される。ここでのアノード極側温度センサ92は、アノード電極18−1側の温度Ta1として例えばアノードガス流路38−1内の燃料ガスの温度を検出することができ、ここでのカソード極側温度センサ94は、カソード電極20−1側の温度Tc1として例えばカソードガス流路40−1内の酸化剤ガスの温度を検出することができる。ただし、アノード極側温度センサ92によりアノード電極18−1の温度を検出し、カソード極側温度センサ94によりカソード電極20−1の温度を検出することも可能である。
電子制御ユニット90は、例えば図3に示す機能ブロック図により構成することができる。電子制御ユニット90は、以下に説明する温度差取得部102と水分量推定部104と水分量制御部106とを備える。
温度差取得部102は、アノード極側温度センサ92で検出された温度Ta1とカソード極側温度センサ94で検出された温度Tc1とから、発電セル14−1におけるカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1を取得する。水分量推定部104は、温度差取得部102で取得された温度差Tc1−Ta1に基づいて発電セル14−1内の水分量W1を推定する。水分量制御部106は、水分量推定部104で推定された水分量W1に基づいて、発電セル14−1への反応ガスの供給状態、及び発電セル14−1からの反応ガスの排出状態のいずれか1つ以上を制御することで、発電セル14−1内の水分量W1を制御する。
カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1が増大するのに対して、カソード電極20−1側の水蒸気分圧Pc1とアノード電極18−1側の水蒸気分圧Pa1との差Pc1−Pa1も増大する。そのため、温度差取得部102は、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1に基づいて、発電セル14−1におけるカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との水蒸気分圧の差Pc1−Pa1を取得することができる。ここでは、例えば温度差Tc1−Ta1と水蒸気分圧差Pc1−Pa1との関係を表す特性マップを予め作成して電子制御ユニット90の記憶装置に記憶しておき、この特性マップにおいて温度差Tc1−Ta1に対応する水蒸気分圧差Pc1−Pa1を算出することができる。
そして、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との水蒸気分圧差Pc1−Pa1(温度差Tc1−Ta1)が増大するのに対して、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側からアノード電極18−1側へ移動する水蒸気移動量VM1が増大する。そのため、水分量推定部104は、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との水蒸気分圧差Pc1−Pa1(温度差Tc1−Ta1)に基づいて、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との間で移動する水蒸気量(水分移動量)VM1を推定することができる。ここでは、例えば水蒸気分圧差Pc1−Pa1と水蒸気移動量VM1との関係を表す特性マップを予め作成して電子制御ユニット90の記憶装置に記憶しておき、この特性マップにおいて水蒸気分圧差Pc1−Pa1に対応する水蒸気移動量VM1を算出することができる。
前述のように、アノード電極18−1側においては、カソード電極20−1側と比べて水蒸気が排出されにくいため、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側からアノード電極18−1側へ移動する水蒸気移動量VM1が増大するのに対して、発電セル14−1内の水分量W1が増大する。そのため、水分量推定部104は、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との間で移動する水蒸気移動量VM1に基づいて、発電セル14−1内の水分量W1を推定することができる。ここでは、例えば水蒸気移動量VM1と水分量W1との関係を表す特性マップを予め作成して電子制御ユニット90の記憶装置に記憶しておき、この特性マップにおいて水蒸気移動量VM1に対応する水分量W1を算出することができる。
以上のことから、発電セル14−1におけるカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1(水蒸気分圧差Pc1−Pa1)が増大するのに対して、発電セル14−1内の水分量W1が増大する。本実施形態では、この点に着目して、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1(水蒸気分圧差Pc1−Pa1)に基づいて発電セル14−1内の水分量W1を推定することで、発電セル14−1内の水分量を精度よく推定することができる。
なお、特許文献1では、発電セルが複数積層された燃料電池スタック全体の重量を検出して燃料電池スタック内の水分量を推定しているため、燃料電池スタックにおける各発電セル内の水分量が均等でない場合は、発電セル内の水分量を精度よく推定することが困難となる。これに対して本実施形態では、積層体12における各発電セル14−1〜14−n内の水分量が均等でない場合でも、発電セル14−1内の水分量を精度よく推定することができる。
なお、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1に基づいて発電セル14−1内の水分量W1を推定する際には、例えば温度差Tc1−Ta1と水分量W1との関係を表す特性マップを予め作成して電子制御ユニット90の記憶装置に記憶しておき、この特性マップにおいて温度差Tc1−Ta1に対応する水分量W1を算出することもできる。
次に、電子制御ユニット90の水分量制御部106が発電セル14−1内の水分量W1を制御する処理の詳細について、図4のフローチャートを用いて説明する。図4のフローチャートは、燃料電池10により発電を行う場合に所定時間おきに繰り返して実行される。
まずステップS101では、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1が設定値TL1よりも大きい条件が成立するか否か、つまり発電セル14−1内の水分量W1が設定量WL1よりも多い条件が成立するか否かが判定される。温度差Tc1−Ta1が設定値TL1以下の場合(水分量W1が設定量WL1以下の場合)、つまりこの条件が成立しない場合は、ステップS102に進む。一方、温度差Tc1−Ta1が設定値TL1よりも大きい場合(水分量W1が設定量WL1よりも多い場合)、つまりこの条件が成立する場合は、ステップS103に進む。
ステップS102では、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1が設定値TL2(TL2<TL1)よりも小さい条件が成立するか否か、つまり発電セル14−1内の水分量W1が設定量WL2(WL2<WL1)よりも少ない条件が成立するか否かが判定される。温度差Tc1−Ta1が設定値TL2以上の場合(水分量W1が設定量WL2以上の場合)、つまりこの条件が成立しない場合は、本処理の実行を一旦終了し、所定時間後に本処理をステップS101から再度実行する。一方、温度差Tc1−Ta1が設定値TL2よりも小さい場合(水分量W1が設定値WL2よりも少ない場合)、つまりこの条件が成立する場合は、ステップS104に進む。
ステップS103では、ステップS101の条件(温度差Tc1−Ta1が設定値TL1よりも大きい条件)が成立しない場合よりも発電セル14−1のアノード電極18−1側(アノードガス流路38−1)への燃料ガスの供給流量を増大させるように、燃料ガス供給弁64の開度が制御される。そして、本処理の実行を一旦終了し、所定時間後に本処理をステップS101から再度実行する。燃料ガス供給弁64の開度を増大させてアノードガス流路38−1に供給される燃料ガスの流量を増大させることで、アノードガス流路38−1から燃料排ガス流路76へ燃料排ガスとともに排出される水分量を増大させることができる。その結果、アノード電極18−1側の水分量を減少させることができ、発電セル14−1内の水分量W1を減少させることができる。なお、ステップS103では、燃料ガス供給弁64の制御に代えて、または燃料ガス供給弁64の制御に加えて、温度差Tc1−Ta1が設定値TL1よりも大きい条件が成立しない場合よりも発電セル14−1のアノード電極18−1側(アノードガス流路38−1)の背圧を減少させるように、アノード背圧調整弁80の開度を制御することもできる。アノードガス流路38−1の背圧を減少させることによっても、アノードガス流路38−1から燃料排ガス流路76へ燃料排ガスとともに排出される水分量を増大させることができるので、発電セル14−1内の水分量W1を減少させることができる。
ステップS104では、ステップS102の条件(温度差Tc1−Ta1が設定値TL2よりも小さい条件)が成立しない場合よりも発電セル14−1のアノード電極18−1側(アノードガス流路38−1)の背圧を増大させるように、アノード背圧調整弁80の開度が制御される。そして、本処理の実行を一旦終了し、所定時間後に本処理をステップS101から再度実行する。アノードガス流路38−1の背圧を増大させることで、アノードガス流路38−1から燃料排ガス流路76へ燃料排ガスとともに排出される水分量を減少させることができる。その結果、アノード電極18−1側の水分量を増大させることができ、発電セル14−1内の水分量W1を増大させることができる。なお、ステップS104では、アノード背圧調整弁80の制御に代えて、またはアノード背圧調整弁80の制御に加えて、発電セル14−1のアノード電極18−1側(アノードガス流路38−1)に供給される燃料ガスの加湿量を増大させるように、環流調整弁86の開度を制御することもできる。これによっても、アノード電極18−1側の水分量を増大させることができ、発電セル14−1内の水分量W1を増大させることができる。
なお、図4のフローチャートの処理では、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1の代わりに、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との水蒸気分圧差Pc1−Pa1や、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との間で移動する水蒸気移動量VM1を用いることもできる。
このように、本実施形態では、発電セル14−1におけるカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1(水蒸気分圧差Pc1−Pa1)に基づいて発電セル14−1内の水分量W1を制御することで、発電セル14−1内の水分量W1を設定範囲内(設定量WL2以上且つ設定量WL1以下)に保つことができる。その結果、発電セル14−1の発電性能の低下を安定して抑止することができる。
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
本実施形態では、図5に示すように、燃料電池10のアノード極側に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給流路62を、発電セル14−1のアノード電極18−1側(アノードガス流路38−1)に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給流路62−1と、発電セル14−2〜14−nのアノード電極18−2〜18−n側(アノードガス流路38−2〜38−n)に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給流路62−2と、に分けることもできる。そして、アノードガス流路38−1に供給される燃料ガスの流量を調整するための燃料ガス供給弁64−1を燃料ガス供給流路62−1に設け、アノードガス流路38−2〜38−nに供給される燃料ガスの流量を調整するための燃料ガス供給弁64−2を燃料ガス供給流路62−2に設けることもできる。この場合は、図4のフローチャートのステップS103において、燃料ガス供給弁64−1の開度を制御することで、発電セル14−1内の水分量W1を他の発電セル14−2〜14−n内の水分量に影響を与えることなく制御することができる。
また、図5に示すように、燃料電池10のアノード極側から燃料排ガスを排出するための燃料排ガス流路76を、発電セル14−1のアノード電極18−1側(アノードガス流路38−1)から燃料排ガスを排出するための燃料排ガス流路76−1と、発電セル14−2〜14−nのアノード電極18−2〜18−n側(アノードガス流路38−2〜38−n)から燃料排ガスを排出するための燃料排ガス流路76−2と、に分けることもできる。そして、アノードガス流路38−1の背圧を調整するためのアノード背圧調整弁80−1を燃料排ガス流路76−1に設け、アノードガス流路38−2〜38−nの背圧を調整するためのアノード背圧調整弁80−2を燃料排ガス流路76−2に設けることもできる。この場合は、図4のフローチャートのステップS103,S104において、アノード背圧調整弁80−1の開度を制御することで、発電セル14−1内の水分量W1を他の発電セル14−2〜14−n内の水分量に影響を与えることなく制御することができる。
また、本実施形態では、燃料電池10のカソード極側に供給される酸化剤ガスの流量を調整するための酸化剤ガス供給弁を酸化剤供給流路72に設けることもできる。そして、図4のフローチャートのステップS103では、燃料ガス供給弁64やアノード背圧調整弁80の制御に代えて、または燃料ガス供給弁64やアノード背圧調整弁80の制御に加えて、ステップS101の条件が成立しない場合よりも発電セル14−1のカソード電極20−1側(カソードガス流路40−1)への酸化剤ガスの供給流量を増大させるように、酸化剤ガス供給弁の開度を制御することもできる。カソードガス流路40−1に供給される酸化剤ガスの流量を増大させることで、カソード電極20−1側の水蒸気分圧Pc1を減少させることができるので、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側からアノード電極18−1側へ移動する水蒸気移動量VM1を減少させることができる。その結果、発電セル14−1内の水分量W1を減少させることができる。
また、本実施形態では、燃料電池10のカソード極側の背圧(電気化学反応後の酸化剤排ガスの圧力)を調整するためのカソード背圧調整弁を酸化剤排ガス流路78に設けることもできる。そして、図4のフローチャートのステップS103では、燃料ガス供給弁64やアノード背圧調整弁80の制御に代えて、または燃料ガス供給弁64やアノード背圧調整弁80の制御に加えて、ステップS101の条件が成立しない場合よりも発電セル14−1のカソード電極20−1側(カソードガス流路40−1)の背圧を減少させるように、カソード背圧調整弁の開度を制御することもできる。カソードガス流路40−1の背圧を減少させることによっても、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側からアノード電極18−1側へ移動する水蒸気移動量VM1を減少させることができる。さらに、図4のフローチャートのステップS104では、アノード背圧調整弁80や環流調整弁86の制御に代えて、またはアノード背圧調整弁80や環流調整弁86の制御に加えて、ステップS102の条件が成立しない場合よりも発電セル14−1のカソード電極20−1側(カソードガス流路40−1)の背圧を増大させるように、カソード背圧調整弁の開度を制御することもできる。カソードガス流路40−1の背圧を増大させることで、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側からアノード電極18−1側へ移動する水蒸気移動量VM1を増大させることができる。その結果、発電セル14−1内の水分量W1を増大させることができる。
また、本実施形態では、発電セル14−1におけるカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1(水蒸気分圧差Pc1−Pa1)を調整することによっても、発電セル14−1内の水分量W1を調整することができる。以下、温度差Tc1−Ta1(水蒸気分圧差Pc1−Pa1)を調整するための構成例について、図6〜8を用いて説明する。
図6に示すように、発電セル14−1のアノード側セパレータ28−1とアノード側ターミナル電極23との間には、発電セル14−1のアノード電極18−1の冷却(放熱)を行うための冷却液が流れる冷媒流路52が形成されている。図6では図示を省略しているが、冷媒供給流路54を流れる冷却液は、冷媒流路42−1〜42−9に供給される。切替弁88は、冷媒供給流路54と冷媒流路52とを連通させるとともに冷媒流路42−1と冷媒流路52との連通を遮断する第1状態(図7に示す状態)と、冷媒流路42−1と冷媒流路52とを連通させるとともに冷媒供給流路54と冷媒流路52との連通を遮断する第2状態(図8に示す状態)と、に選択的に切り替わることが可能である。切替弁88が第1状態に切り替わると、図7に示すように、冷媒供給流路54から冷媒流路52に冷却液が供給されることで、アノード電極18−1の冷却が行われる。一方、切替弁88が第2状態に切り替わると、図8に示すように、冷媒流路42−1を流れてカソード電極20−1と熱交換が行われた後の冷却液が冷媒流路52に供給されることで、アノード電極18−1の冷却が行われる。そのため、切替弁88が第2状態にある場合は、切替弁88が第1状態にある場合と比べて、アノード電極18−1の冷却効率が低下してアノード電極18−1側の温度Ta1が上昇する。その結果、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1(水蒸気分圧差Pc1−Pa1)が減少する。なお、切替弁88の第1状態と第2状態との切り替えは、電子制御ユニット90により行われる。
図6〜8に示す構成例では、図4のフローチャートのステップS103において、燃料ガス供給弁64やアノード背圧調整弁80の制御に代えて、または燃料ガス供給弁64やアノード背圧調整弁80の制御に加えて、切替弁88を第2状態に切り替えることもできる。これによって、アノード電極18−1の冷却効率を低下させてカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1(水蒸気分圧差Pc1−Pa1)を減少させることができるので、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側からアノード電極18−1側へ移動する水蒸気移動量VM1を減少させることができる。その結果、発電セル14−1内の水分量W1を減少させることができる。そして、図4のフローチャートのステップS104において、アノード背圧調整弁80や環流調整弁86の制御に代えて、またはアノード背圧調整弁80や環流調整弁86の制御に加えて、切替弁88を第1状態に切り替えることもできる。これによって、アノード電極18−1の冷却効率を向上させてカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1(水蒸気分圧差Pc1−Pa1)を増大させることができるので、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側からアノード電極18−1側へ移動する水蒸気移動量VM1を増大させることができる。その結果、発電セル14−1内の水分量W1を増大させることができる。
また、本実施形態では、水分量推定部104は、発電セル14−1内のカソード電極20−1側の水分量WC1、及び発電セル14−1内のアノード電極18−1側の水分量WA1をそれぞれ推定することもできる。以下、その場合の処理について説明する。
その場合、水分量推定部104は、カソード電極20−1側(カソードガス流路40−1)に供給される水分供給量VSC1と、発電セル14−1内の電気化学反応により生成される水分生成量VG1と、カソード電極20−1側(カソードガス流路40−1)から排出される水分排出量VEC1と、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との間で移動する水分移動量VM1と、に基づいて、発電セル14−1内のカソード電極20−1側の水分量WC1を推定することができる。カソード電極20−1側への水分供給量VSC1については、例えば加湿器82内の酸化剤ガスの温度及び流量(いずれも図示しないセンサにより検出可能)を基に推定される加湿器82による酸化剤ガスの加湿量から算出することができる。水分生成量VG1については、例えば発電セル14−1の電流値(図示しないセンサにより検出可能)に基づいて算出することができる。カソード電極20−1側からの水分排出量VEC1については、例えばカソード電極20−1側への酸化剤ガス供給量及び水分供給量VSC1に基づいて算出することができる。
そして、水分量推定部104は、アノード電極18−1側(アノードガス流路38−1)に供給される水分供給量VSA1と、アノード電極18−1側(アノードガス流路38−1)から排出される水分排出量VEA1と、電解質膜16−1を透過してカソード電極20−1側とアノード電極18−1側との間で移動する水分移動量VM1と、に基づいて、発電セル14−1内のアノード電極18−1側の水分量WA1を推定することができる。アノード電極18−1側への水分供給量VSA1については、例えば環流調整弁86の開度に基づいて算出することができる。アノード電極18−1側からの水分排出量VEA1については、例えば燃料ガス供給弁64の開度及び環流調整弁86の開度に基づいて算出することができる。
さらに、図4のフローチャートの処理では、カソード電極20−1側とアノード電極18−1側との温度差Tc1−Ta1の代わりに、アノード電極18−1側の水分量WA1を用いることもできる。つまり、ステップS101では、アノード電極18−1側の水分量WA1が設定量WAL1よりも多い条件が成立するか否かを判定することもでき、ステップS102では、アノード電極18−1側の水分量WA1が設定量WAL2(WAL2<WAL1)よりも少ない条件が成立するか否かを判定することもできる。
以上の実施形態の説明では、発電セル14−1に関して水分量の推定及び制御を行うものとした。ただし、本実施形態では、水分量の推定及び制御を行う発電セルは、発電セル14−1に限定されるものではなく、例えば積層方向に関する積層体12の一端部付近に配置された発電セル14−2について水分量の推定及び制御を行うこともできる。その場合は、発電セル14−2のアノード電極18−2側の温度Ta2を検出するアノード極側温度センサと、発電セル14−2のカソード電極20−2側の温度Tc2を検出するカソード極側温度センサと、を設けることで、発電セル14−2におけるカソード電極20−2側とアノード電極18−2側との温度差Tc2−Ta2(水蒸気分圧差Pc2−Pa2)を取得する。水分量推定部104は、カソード電極20−2側とアノード電極18−2側との温度差Tc2−Ta2(水蒸気分圧差Pc2−Pa2)に基づいて、発電セル14−2内の水分量W2を推定する。そして、水分量制御部106は、カソード電極20−2側とアノード電極18−2側との温度差Tc2−Ta2(水蒸気分圧差Pc2−Pa2)に基づいて、発電セル14−2内の水分量W2を制御する。さらに、本実施形態では、発電セル14−1,14−2以外の発電セル14−3〜14−nについても水分量の推定及び制御を行うことが可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示す図である。 燃料電池の構成例の概略を示す図である。 電子制御ユニットの概略構成を示すブロック図である。 電子制御ユニットにより実行される処理を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態に係る燃料電池システムの他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池システムの他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池システムの他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池システムの他の概略構成を示す図である。
符号の説明
10 燃料電池、12 積層体、14−1〜14−10 発電セル、16−1〜16−10 電解質膜、18−1〜18−10 アノード電極、20−1〜20−10 カソード電極、22−1〜22−10 膜電極接合体(MEA)、23 アノード側ターミナル電極、24 カソード側ターミナル電極、28−1〜28−10 アノード側セパレータ、30−1〜30−10 カソード側セパレータ、38−1〜38−10 アノードガス流路、40−1〜40−10 カソードガス流路、42−1〜42−9,52 冷媒流路、54 冷媒供給流路、60 燃料タンク、62 燃料ガス供給流路、64 燃料ガス供給弁、72 酸化剤供給流路、76 燃料排ガス流路、78 酸化剤排ガス流路、80 アノード背圧調整弁、82 加湿器、84 気液分離器、86 環流調整弁、88 切替弁、90 電子制御ユニット、92 アノード極側温度センサ、94 カソード極側温度センサ、102 温度差取得部、104 水分量推定部、106 水分量制御部。

Claims (12)

  1. 電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池の水分量を推定する装置であって、
    発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得する温度差取得部と、
    温度差取得部で取得された温度差に基づいて発電セル内の水分量を推定する水分量推定部と、
    を有する、燃料電池の水分量推定装置。
  2. 請求項1に記載の燃料電池の水分量推定装置であって、
    燃料電池は発電セルが複数積層された積層体を備え、各発電セルはアノード極がカソード極よりも発電セルの積層方向の一端側に配置されており、
    温度差取得部は、積層方向に関する積層体の一端部またはその付近に配置された発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得し、
    水分量推定部は、温度差取得部で取得された温度差に基づいて、積層方向に関する積層体の一端部またはその付近に配置された発電セル内の水分量を推定する、燃料電池の水分量推定装置。
  3. 電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池の水分量を推定する装置であって、
    発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との水蒸気圧の差を取得する水蒸気圧差取得部と、
    水蒸気圧差取得部で取得された水蒸気圧の差に基づいて発電セル内の水分量を推定する水分量推定部と、
    を有する、燃料電池の水分量推定装置。
  4. 電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合され、反応ガスが供給されることで発電を行う発電セルを含む燃料電池と、
    発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得する温度差取得部と、
    温度差取得部で取得された温度差に基づいて発電セル内の水分量を調整する水分量調整部と、
    を有する、燃料電池システム。
  5. 請求項4に記載の燃料電池システムであって、
    水分量調整部は、温度差取得部で取得された温度差に基づいて、発電セルへの反応ガスの供給状態、及び発電セルからの反応ガスの排出状態のいずれか1つ以上を調整することで、発電セル内の水分量を調整する、燃料電池システム。
  6. 請求項5に記載の燃料電池システムであって、
    反応ガスとして燃料ガス及び酸化剤ガスが発電セルのアノード極及びカソード極にそれぞれ供給され、
    水分量調整部は、温度差取得部で取得されたカソード極側とアノード極側との温度差が第1設定値よりも大きい条件が成立する場合は、当該条件が成立しない場合よりも発電セルのアノード極への燃料ガスの供給流量を増大させる、燃料電池システム。
  7. 請求項5に記載の燃料電池システムであって、
    反応ガスとして燃料ガス及び酸化剤ガスが発電セルのアノード極及びカソード極にそれぞれ供給され、
    水分量調整部は、温度差取得部で取得されたカソード極側とアノード極側との温度差が第1設定値よりも大きい条件が成立する場合は、当該条件が成立しない場合よりも発電セルのアノード極側の背圧を減少させる、燃料電池システム。
  8. 請求項5に記載の燃料電池システムであって、
    反応ガスとして燃料ガス及び酸化剤ガスが発電セルのアノード極及びカソード極にそれぞれ供給され、
    水分量調整部は、温度差取得部で取得されたカソード極側とアノード極側との温度差が第2設定値よりも小さい条件が成立する場合は、当該条件が成立しない場合よりも発電セルのアノード極側の背圧を増大させる、燃料電池システム。
  9. 請求項4〜8のいずれか1に記載の燃料電池システムであって、
    燃料電池は発電セルが複数積層された積層体を備え、各発電セルはアノード極がカソード極よりも発電セルの積層方向の一端側に配置されており、
    温度差取得部は、積層方向に関する積層体の一端部またはその付近に配置された発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得し、
    水分量調整部は、温度差取得部で取得された温度差に基づいて、積層方向に関する積層体の一端部またはその付近に配置された発電セル内の水分量を調整する、燃料電池システム。
  10. 電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合され、反応ガスが供給されることで発電を行う発電セルを含む燃料電池と、
    発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との水蒸気圧の差を取得する水蒸気圧差取得部と、
    水蒸気圧差取得部で取得された水蒸気圧の差に基づいて発電セル内の水分量を調整する水分量調整部と、
    を有する、燃料電池システム。
  11. 電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池の水分量を推定する方法であって、
    発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との温度差を取得し、
    該取得した温度差に基づいて発電セル内の水分量を推定する、燃料電池の水分量推定方法。
  12. 電解質膜の片面にアノード極が、他面にカソード極がそれぞれ接合された発電セルを含む燃料電池の水分量を推定する方法であって、
    発電セルにおけるカソード極側とアノード極側との水蒸気圧の差を取得し、
    該取得した水蒸気圧の差に基づいて発電セル内の水分量を推定する、燃料電池の水分量推定方法。
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