JP2008097891A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、アノードのガス流路とカソードのガス流路のうち一方のガス流路の入口側と他方のガス流路の出口が電解質膜を介して対向し、当該他方のガス流路の出口部分から当該一方のガス流路の入口部分へと電解質膜を介して移動してくる水を用いて、当該一方のガス流路の入口部分を流れるガスを加湿する際に、当該ガスに含ませる水の量を増加させることができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【解決手段】燃料電池スタック10と、水素を加熱するヒータ16と、空気を加熱するヒータ34を設ける。燃料電池スタック10内の燃料電池セルは、アノードのガス流路の入口側と出口側、カソードのガス流路の出口側と入口側が、および、アノードのガス流路の出口側とカソードのガス流路の入口側が、それぞれ電解質膜を介して対向するように構成される。
【選択図】図1

Description

この発明は、燃料電池システムに関する。
従来、特開2003−249243号公報に開示されているように、発電に伴う生成水などの燃料電池内部の水を利用して、電解質膜の加湿を行う燃料電池が知られている。上記従来の燃料電池は、その内部に電解質膜を有している。電解質膜の一方の面側には、水素が流通するアノードガス流路が形成されたセパレータが設けられ、他方の面側には、空気が流通するカソードガス流路が形成されたセパレータが設けられる。
これらのセパレータは、アノードのガス流路の入口側とカソードのガス流路の出口側、および、アノードのガス流路の出口側とカソードのガス流路の入口側が、それぞれ電解質膜を介して対向するように設けられている。また、上記従来の技術における燃料電池では、電解質膜の上述した各ガス流路が対向する部位には電極触媒層が設けられていない(電解質膜が露出している)状態とされ、かつ、各ガス流路の出口部分を冷却する冷却系を備えている。
燃料電池が発電する際には、カソードに水が生成する。カソードガス流路の空気は、この生成水を含みながら流れる。このため、カソードガス流路の出口側の空気は相対的に湿度が高くなり、当該位置ではカソードとアノードの間の湿度差が大きくなる。カソードとアノードの間に湿度差があると、電解質膜を介して水が湿度の低い側へと移動する。このため、上記従来の燃料電池では、カソードガス流路の出口側からアノードのガス流路の入口側へと電解質膜を介して水が移動することになる。
アノードガス流路の入口側へと移動してきた水は、当該位置を流れる水素に持ち去られる。換言すれば、アノードガス流路の入口側へ移動してきた水により、水素の加湿が行われる。加湿された水素はアノードへと流れ込み、当該水素に含まれる水分が電解質膜へと供給される。
アノードガス流路内の水素もアノードの水を含みながら流れるので、アノードガス流路の出口側は相対的に湿度が高くなる。このため、アノードガス流路の出口側においても、アノードとカソードの湿度差が大きくなる。その結果、アノードガス流路の出口側からカソードガス流路の入口側へと水が移動し、カソードガス流路の入口部分で空気が加湿される。その結果、加湿された空気がカソードに流れ込み、当該空気の水分が電解質膜に供給される。このように、上記従来の技術によれば、燃料電池内部の水を利用してアノードとカソードのガスを加湿し、電解質膜の加湿を行うことができる。
また、上記従来の技術における燃料電池は、冷却系が各ガス流路の出口部分のガスを冷却することで、ガス中の水分を凝縮し、当該位置に多くの液体の水を供給できるという利点や、電解質膜の露出部分を設けることで、電解質膜の表面に触れるガス量を増加させることができるという利点も有している。
特開2003−249243号公報 国際公開WO00/14819号パンフレット 特開2002−25584号公報 特開2000−164229号公報 特開2004−146246号公報
上記従来の技術においては、アノードのガス流路とカソードのガス流路のうち、一方のガス流路の出口側から他方のガス流路の入口側へと電解質膜を介して移動してくる水が当該他方のガス流路の入口部分でガスに含まれることにより、当該ガスが加湿される。
一方のガス流路の出口部分を流れる排ガスから電解質膜に吸収された水分は、電解質膜の他方のガス流路の入口部分を流れるガスに蒸発する。このとき、気化潜熱により、電解質膜の当該他方のガス流路入口部分に対応する部位の温度が低下する。温度が低下することにより、電解質膜の当該他方のガス流路入口側の表面では蒸発速度が抑制され、蒸発する水分が少なくなる。その結果、当該他方のガス流路入口部分を流れるガスに供給される水の量が少なくなる。
ガス流路入口部分を流れる際にガスに供給される水の量が少ない場合、当該ガスが燃料電池内を流れる際に電解質膜に供給される水分も少なくなる。その結果、電解質膜に十分な水分をすることが困難となり、水分を供給するために加湿器を新たに加えるなどの対策が必要となるおそれがある。また、電解質膜の加湿を十分に行うために比較的多くのガスを流す必要が生ずるなど、電解質膜の加湿を効率よく行うことが難しくなる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、アノードのガス流路とカソードのガス流路のうち一方のガス流路の入口側と他方のガス流路の出口が電解質膜を介して対向し、当該他方のガス流路の出口部分から当該一方のガス流路の入口部分へと電解質膜を介して移動してくる水を用いて、当該一方のガス流路の入口部分を流れるガスを加湿する際に、当該ガスに含ませる水の量を増加させることができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池システムであって、
電解質膜と、
前記電解質膜の一方の面に設けられるアノード電極触媒層と、
前記電解質膜の他方の面に設けられるカソード電極触媒層と、
前記アノード電極触媒層に重なるように配置され、該アノード電極触媒層に供給されるガスが流通するアノードガス流路が形成されたアノードガス流通部材と、
前記カソード電極触媒層に重なるように配置され、該カソード電極触媒層に供給されるガスが流通するカソードガス流路が形成されたカソードガス流通部材と
を有し、
前記アノードガス流路と前記カソードガス流路のうち一方のガス流路の入口側と他方のガス流路の出口側とが前記電解質膜を介して対向するように、前記アノードガス流通部材と前記カソードガス流通部材が取り付けられ、
前記一方のガス流路に流入するガスを加熱する加熱手段を有することを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記他方のガス流路の出口部分を冷却する冷却手段を有することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記他方のガス流路の出口部分に前記電解質膜の露出部分を有することを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明において、
前記一方のガス流路の入口部分に前記電解質膜の露出部分を有することを特徴とする。
また、第5の発明は、第1または第2の発明において、
前記他方のガス流路側の電極触媒層のうち、該他方のガス流路の出口部分の電極触媒層は、他の位置の電極触媒層よりも触媒の量が少ないことを特徴とする。
また、第6の発明は、第1、第2または第5の発明において、
前記一方のガス流路側の電極触媒層のうち、該一方のガス流路の入口部分の電極触媒層は、他の位置の電極触媒層よりも触媒の量が少ないことを特徴とする。
また、第7の発明は、第1乃至第6の発明において、
前記加熱手段は、前記一方のガス流路に流入するガスを燃料電池の温度よりも高い温度になるように加熱することを特徴とする。
また、第8の発明は、第1乃至第7の発明において、
前記一方のガス流路を流通するガスの湿度の目標値に基づいて、前記加熱手段の出力の目標値を決定する出力決定手段と、
前記加熱手段の出力が前記出力の目標値に一致するように、該加熱手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする。
第1の発明によれば、アノードのガス流路とカソードのガス流路のうち一方のガス流路の入口側と他方のガス流路の出口側とが電解質膜を介して対向し、当該他方のガス流路の出口部分から当該一方のガス流路の入口部分へと電解質膜を介して移動してくる水を用いて、当該一方のガス流路の入口部分を流れるガスを加湿する際、この入口部分を流れるガスを加熱することにより、より多くの水を当該ガスに含ませることができる。
第2の発明によれば、アノードとカソードのガス流れの出口部分を冷却することにより、ガスに含まれる水分を凝縮することができる。これにより、ガスに含まれる水を回収して、電解質膜の加湿に利用する水を効率よく得ることができる。
第3の発明によれば、電解質膜を介して一方のガス流路の出口部分から他方のガス流路の入口部分へ向かう水の移動量を増加し、加熱されたガスに含ませる水量(湿度)を増加させることができる。
第4の発明によれば、電解質膜を介して一方のガス流路の出口部分から他方のガス流路の入口部分へ向かう水の移動量を増加し、加熱されたガスに含ませる水量(湿度)を増加させることができる。
第5の発明によれば、電解質膜を介して一方のガス流路の出口部分から他方のガス流路の入口部分へ向かう水の移動量を増加し、加熱されたガスに含ませる水量(湿度)を増加させることができる。
第6の発明によれば、電解質膜を介して一方のガス流路の出口部分から他方のガス流路の入口部分へ向かう水の移動量を増加し、加熱されたガスに含ませる水量(湿度)を増加させることができる。
第7の発明によれば、燃料電池に流入するガスの温度が燃料電池の温度よりも高くなるようにこのガスを加熱することにより、当該ガス中の水量(湿度)を効果的に増加させることができる。
第8の発明によれば、燃料電池に流入するガスが望ましい湿度となるように、当該ガスの加熱を行うことができる。
実施の形態1.
[実施の形態1のシステムの構成]
図1は、本発明の実施の形態1の燃料電池システムを説明するための図である。実施の形態1の燃料電池システムは、燃料電池スタック10を有している。実施の形態1のシステムは、この燃料電池スタック10に対して反応ガスを供給する、水素系とエア系(図1の実線矢印)を有している。水素系は、燃料電池スタック10のアノードに連通しており、その内部を水素が流通する。エア系は、燃料電池スタック10のカソードに連通しており、その内部を空気が流通する。
また、実施の形態1の燃料電池システムは、燃料電池スタック10内の燃料電池セルを冷却するための、第1冷却系および第2冷却系(図1の破線矢印)を有している。これらの二つの冷却系は、燃料電池スタック10内部の燃料電池セルを冷却するが、冷却を行う部位が相違している。
具体的には、第1冷却系は、主に、燃料電池セル全体の冷却を行うための冷却系である。第2冷却系は、実施の形態1の燃料電池セルの加湿部(詳細については後述する)の冷却を行うための系である。以下、水素系、エア系、第1冷却系、第2冷却系の順に、それぞれ具体的な構成を説明する。
(水素系)
実施の形態1のシステムの水素系は、水素タンク12を有している。水素タンク12には、高圧の状態で水素が充填されている。水素系における水素タンク12の下流には、バルブ14が設けられている。バルブ14の開弁により燃料電池スタック10への水素供給を、バルブ14の閉弁により水素供給の停止を、それぞれ行うことができる。また、バルブ14の開度を調節することにより、水素タンク12の高圧な水素を適当な圧力に減圧して、下流側へと供給することができる。
バルブ14の下流には、ヒータ16が設けられている。ヒータ16は、バルブ14を通過して水素系を流れてきた水素を加熱することができる。ヒータ16の下流には、温度センサT2が設けられている。温度センサT2のさらに下流は、燃料電池スタック10の水素入口20に連通している。以上の構成によれば、水素タンク12から燃料電池スタック10に、適宜水素を供給することができる。
水素入口20は、燃料電池スタック10のアノード(換言すれば、燃料電池スタック10内の各燃料電池セルのアノード)に連通している。水素入口20から流入した水素は、各燃料電池セルのアノードに至り、当該燃料電池セルの発電反応に寄与する。
アノードで発電に消費されなかった水素、および、発電に伴いカソードで生成されアノードへと移動してきた水を含むガス(以下、「アノードオフガス」と呼称する)は、水素出口22から燃料電池スタック10の外部に流出する。水素出口22は、図示しない水素排出系に連通している。前述したアノードオフガスは、この水素排出系へと流れる。
(エア系)
実施の形態1のシステムのエア系は、その上流に、エア入口30を有している。エア入口30は、大気に連通している。エア入口30の下流側には、エアコンプレッサ32が設けられている。エアコンプレッサ32を駆動状態とすることで、エア入口30から空気を吸入し、その空気をエアコンプレッサ32の更に下流側へと供給することができる。
エア系は、エアコンプレッサ32の下流に、ヒータ34を有している。ヒータ34は、エアコンプレッサ32により供給された空気を加熱することができる。ヒータ34の下流には、温度センサT3が設けられている。温度センサT3のさらに下流は、燃料電池スタック10のエア入口38に連通している。
エア入口38は、燃料電池スタック10のカソード(換言すれば、燃料電池スタック10内の各燃料電池セルのカソード)に連通している。エア入口38から流入した空気は、各燃料電池セルのカソードに至り、前述したアノードの水素と共に、燃料電池セルの発電反応に消費される。
カソード内で発電に消費されなかった空気、および、発電による生成水を含むガス(以下、「カソードオフガス」と呼称する)は、エア出口40から、燃料電池スタック10の外部へと排出される。エア出口40は図示しないエア排出系に連通しており、カソードオフガスはこのエア排出系へと流れる。
(第1冷却系)
実施の形態1のシステムの第1冷却系は、ラジエータ50を有している。ラジエータ50内には冷却液(LLC:Long Life Coolant)が貯留されている。ラジエータ50は、ポンプ52の吸入口に連通している。そして、ポンプ52の吐出口は、燃料電池スタック10内のセル冷却流路に連通している。ポンプ52を駆動することで、ラジエータ50から燃料電池スタック10へと冷却液を供給し、燃料電池スタック10内の燃料電池セルの冷却を行うことができる。
供給された冷却液は、燃料電池スタック10内を流通する過程で冷却に寄与し、再び燃料電池スタック10の外部に流出する。そして、ラジエータ50へと還流し、再度、冷却液として利用される。なお、第1冷却系は、燃料電池スタック10から流出した使用済み冷却液が流れる経路に、温度センサT1を有している。温度センサT1は、この使用済み冷却液の温度を検知することができる。
(第2冷却系)
実施の形態1のシステムの第2冷却系は、ラジエータ60を有している。ラジエータ60はポンプ62に連通しており、第1冷却系と同様に、ポンプ62を駆動することにより燃料電池スタック10に冷却液を供給することができる。第2冷却系は、燃料電池スタック10内の加湿部冷却流路に連通している。加湿部冷却流路内を冷却液が流れることで、燃料電池セルがその内部に有する加湿部(詳細は後述する)の冷却を行うことができる。
第2冷却系の加湿部冷却経路の下流側には、温度センサT4が設けられている。温度センサT4は、加湿部冷却流路を流れて冷却に寄与した冷却液の温度を検知することができる。
実施の形態1のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)70を有している。ECU70は、図示しないが、バルブ14、ヒータ16、エアコンプレッサ32、ヒータ34、温度センサT1、T2、T3、T4のそれぞれと接続されている。ECU70の指令により、バルブ14の開度、ヒータ16、34の温度、エアコンプレッサ32の動作状態などの情報を取得すると共に、それらの制御を行うことができる。
また、ECU70は、温度センサT1が検知した温度に基づいて燃料電池スタック10内の燃料電池セルの温度を推定する処理と、温度センサT4が検知した温度に基づいて燃料電池セルの加湿部の温度を推定する処理とを実行することができる。これらの処理は、例えば、予め実験などを行い、第1冷却系内の冷却液の温度が所定の値になった際の燃料電池セル温度の関係、および、第2冷却系内の冷却液の温度が所定の値になった際の加湿部の温度の関係に関するマップをそれぞれ作成しておくことにより、実現することができる。
また、ECU70は、温度センサT3が検知する値に基づいて、エア入口38に流入する空気の温度を検知することができる。同様に、温度センサT2により、水素入口20に流入する水素の温度を検知することができる。
(実施の形態1のヒータ)
図2は、実施の形態1の燃料電池システムが備えるヒータを説明するための図である。図2(a)は、燃料電池スタック10の水素入口20および水素出口22近傍を示した図である。図2(b)は、図2(a)のヒータ16の具体的構成を示す図である。すなわち、図2(a)中の丸で囲った位置の具体的構成を示している。なお、当該位置に備えられる温度センサT2については、図示を省略している。
ヒータ16は、図2(b)に示すように水素が流通するガス配管に設けられ、外部からの電力供給により当該ガス配管を流れる水素を加熱することができる。そして、外部からの電力供給量を調節することにより、ヒータ16の出力(温度)を所望の値に調整し、水素を所望の温度に加熱することができる。実施の形態1では、ヒータ34も、ヒータ16と同様の構成を有するものとする。
[実施の形態1の燃料電池セルの構成]
(実施の形態1の燃料電池セルの構造)
図3は、燃料電池スタック10が、その内部に備える燃料電池セル100の構成を説明するための図である。図3(a)は、燃料電池セル100の断面を示す図である。燃料電池セル100は、その積層構造の中央にMEGA(Membrane Electrode Gas diffusion layer Assembly:膜電極・ガス拡散層接合体)102を有している。
MEGA102は、電解質膜の両面に電極触媒層、ガス拡散層が順次積層された構造である。そして、電解質膜を境に、一方の面側がカソードとして、他方の面側がアノードとして用いられる。図3(a)に示す燃料電池セル100においては、MEGA102の紙面上側をカソード、紙面下側をアノードとする。
MEGA102のカソード側には、セパレータ104が取り付けられている。セパレータ104のMEGA102側を向く面には、カソードガス流路106が形成されている。空気がカソードガス流路106を流通する過程で、この空気がMEGA102のカソード側のガス拡散層および電極触媒層に供給される。
セパレータ104は、カソードガス流路106が形成された面と反対側の面に、セル冷却流路108、加湿部冷却流路110を有している。図3(a)に示すように、加湿部冷却流路110は、セパレータ104の一方の端部に、局所的に設けられる。それぞれの冷却流路はセパレータ104に独立に形成されており、セル冷却流路108は上述した第1冷却系に連通し、加湿部冷却流路110は上述した第2冷却系に連通している。
MEGA102のアノード側には、セパレータ112が取り付けられている。セパレータ112のMEGA102側を向く面には、アノードガス流路114が形成されている。また、その反対側の面には、セル冷却流路116、加湿部冷却流路118がそれぞれ形成されている。加湿部冷却流路118は、燃料電池セル100の前述した加湿部冷却流路110が設けられる側の反対側に位置するように、セパレータ112の端部に設けられる。
セル冷却流路116は上述した第1冷却系に連通し、加湿部冷却流路118は上述した第2冷却系に連通している。セパレータ112のアノードガス流路114には水素が、セル冷却流路116および加湿部冷却流路118には冷却液が、それぞれ流れる。
(実施の形態1の燃料電池セルへのガス供給)
実施の形態1では、上記説明した燃料電池セル100に対し、カソードの空気の流れとアノードの水素の流れが対向する(反対向きになる)ように、それぞれのガス供給を行う。具体的には、セパレータ104のカソードガス流路106の入口(紙面右方端)に、図3(a)の紙面右方から左方に向かって空気が流入する。そして、この空気が、当該流路内を流通する過程でMEGA102へと供給される。
一方、セパレータ112のアノードガス流路114の入口(紙面左方端)には、図3(a)の紙面左方から右方に向かって水素が流入する。そして、この水素が、当該流路内を流通する過程でMEGA102に供給される。MEGA102に空気と水素が供給されることにより、MEGA102の電解質膜を介した電気化学的反応が生じ、発電が行われる。
(実施の形態1の燃料電池セルの加湿機能)
発電に伴い、空気と水素の反応の結果、カソードで水が生成する。カソードガス流路106の空気はこの生成水を含みながら流れるため、カソードガス流路106の出口側の空気は相対的に湿度が高くなる。そのため、カソードガス流路106には、その出口側ほど、多くの水が存在する傾向にある。
更に、実施の形態1の燃料電池セル100は、カソードガス流路106の出口部分に加湿部冷却流路110を備えている。加湿部冷却流路110により、カソードガス流路106の出口部分を通過するガスが冷却され、当該ガスに含まれる水分が凝縮して液水となる。そのため、燃料電池セル100では、カソードガス流路106の出口部分に、液体の水が多く存在することとなる。
MEGA102がその積層構造の中央に備える電解質膜は、水を透過する性質を有している。カソードガス流路106の出口部分には水が多いので、当該位置からは、発電時の電解質膜を介した通常の透過水に比べて、より多くの水が電解質膜を透過してアノード側へと移動することになる。すなわち、当該位置ではアノードとカソードとの湿度の差が大きいので、水の移動量が多くなる(図3(a)中の紙面下方を向く矢印)。
前述したように、燃料電池セル100では、カソードガス流路106の空気の流れと、アノードガス流路114の水素の流れが対向するように、それぞれのガスが供給されている。従って、カソードガス流路106の出口部分から電解質膜を透過してきた水は、アノードガス流路114の入口部分へと至ることとなる。
アノードガス流路114入口部分に到達した水は、水素の流れに乗って、アノードガス流路114の出口側(紙面右方)へと移動する。そして、この水は、アノードガス流路114内を搬送される過程でMEGA102側へも搬送され、MEGA102内部の電解質膜に供給される。
MEGA102内の電解質膜は、適度な湿潤状態にあると、良好な電気特性を示す。そのため、発電中においては、この電解質膜の加湿を行うことが求められる。燃料電池セル100においては、上述したように、発電反応に伴う生成水を電解質膜の加湿に活用できるという利点を有している。
水素に搬送される過程で電解質膜側へと供給されなかった水は、アノードガス流路114の出口部分へと運ばれる。従って、カソードガス流路106と同様に、アノードガス流路114でも、その出口部分に多くの水が存在する。そして、加湿部冷却流路118の冷却により、当該出口部分には、液体の水が多く存在する。
その結果、アノードガス流路114の出口部分においても、電解質膜を透過する水の流れ(図3(a)中の紙面上方を向く矢印)が相対的に多くなり、カソードガス流路106の入口部分に多くの水が移動することになる。カソードガス流路106の入口部分に移動した水は、空気に含まれてカソードガス流路106内を流れ、その過程でアノード側と同様に電解質膜の加湿に寄与することとなる。
このように、燃料電池100では、カソードの生成水を電解質膜の加湿に有効に利用することができる。結果、電解質膜の加湿のために外部加湿装置等を用いる必要がなく、システムを簡易に構成することができる。
(実施の形態1における加湿部)
実施の形態1では、MEGA102における電解質膜を介した水の透過量が多くなる位置を、加湿部と定義する。具体的には、図3(a)のMEGA102の加湿部冷却流路110直下の部分(カソードガス流路106の出口近傍の部分)、および、加湿部冷却流路118直上の部分(アノードガス流路114の出口近傍の部分)を、加湿部と呼称することとする。
また、実施の形態1においては、MEGA102の構造は、加湿部と加湿部以外とに係らず同一とする。即ち、燃料電池セル100において、加湿部における電解質膜、電極触媒層、ガス拡散層と、加湿部以外の電解質膜、電極触媒層、ガス拡散層は同一の構造である。
(実施の形態1の燃料電池セルのガス流路)
図3(b)は、実施の形態1の燃料電池セル100における、アノードガス流路114を説明するための図である。具体的には、図3(b)は、図3(a)を紙面下側から見た場合の、アノードガス流路114の形状を示している。図3(b)において、紙面左上側がアノードガス流路114の入口側、右下側が出口側に相当する。
また、図3(b)の紙面裏面側には、図示しないカソードガス流路106が存在している。カソードガス流路106もアノードガス流路114と同様の形状となっており、カソードガス流路106の構造とアノードガス流路114の構造とが、MEGA102を挟んで対称となるように構成されている。
実施の形態1では、カソードの空気の流れとアノードの水素の流れが逆方向とされている。そのため、アノードガス流路114とは逆に、カソードガス流路106の出口部分は図3(b)の右上側となる。
この流路内を、図中に矢印で示したように水素が流通する。そして、図示しないカソード側では、同一形状の流路を、逆方向に空気が流通する。このような構成とすれば、燃料電池セル100内の生成水の移動を、効果的に行うことができる。なお、図3(b)には、燃料電池セル100の面内において、第1冷却系が冷却する領域(冷却流路の方向)と、第2冷却系が冷却する領域(加湿部を局所冷却する位置)とがそれぞれ示されている。
[実施の形態1の動作]
以下、実施の形態1の燃料電池システムの動作について説明する。実施の形態1のシステムの発電中には、水素系を通って水素が、エア系を通って空気が、それぞれ燃料電池スタック10へと供給される。供給された水素と空気が、燃料電池スタック10内の燃料電池セル100へと到達し、燃料電池セル100で発電が生ずる。発電に伴い、燃料電池セル100内において、前述したような、ガス流れおよび電解質膜の水透過による生成水の移動が生ずる。そして、その過程でMEGA102の電解質膜の加湿が行われる。
電解質膜の加湿は、燃料電池セル100内を流れるガス中に含まれる水が電解質膜に供給されることにより、行われている。加湿に利用される水の量は、主に、ガスが燃料電池セル100に流入して加湿部の通過時に得る水の量(加湿部から持ち去る水量)により定まる。このため、ガスが加湿部を通過する際に適切な量の水を得てその後出口側へ流れる場合には、加湿が適切に行われ、電解質膜の湿潤状態が良好に保たれる。
ガスが加湿部を通過する際に必要な量の水を含むためには、それらの水が加湿部において蒸発し、ガスに含まれる必要がある。しかしながら、例えば当該位置での水の蒸発が円滑に進まないような場合がある。
アノードガス流路114とカソードガス流路106のうち、一方のガス流路の出口部分を流れる排ガスから電解質膜に吸収された水分は、電解質膜の他方のガス流路の入口部分を流れるガスに蒸発する。このとき、気化潜熱により、電解質膜の当該他方のガス流路入口部分に対応する部位の温度が低下する。温度が低下することにより、電解質膜の当該他方のガス流路入口側の表面では蒸発速度が抑制され、蒸発する水分が少なくなる。その結果、当該他方のガス流路入口部分を流れるガスに供給される水の量が少なくなる。
このような場合には、電解質膜の加湿を行う上で望ましい量の水が含まれなくなる場合が生じうる。よって、電解質膜に十分な水分をすることが困難となり、水分を供給するために加湿器を新たに加えるなどの対策が必要となるおそれがある。また、このような場合、電解質膜の加湿を十分に行うためにより多くのガスを流す必要が生じ、効率の良い加湿を行うことが難しくなる場合がある。
そこで、実施の形態1では、上記のような問題が生ずるのを避けるため、燃料電池セル100内部に向かうガスが加湿部の表面を通過する際に、当該加湿部で好適な量の水を含むように(加湿部の表面から好適な量の水分を持ち去るように)、当該ガスを加熱することとする。
具体的には、ヒータ16を用いて水素系を流れる水素を加熱して、燃料電池スタック10の温度(換言すれば、燃料電池セル100の温度)よりも高い温度とし、この水素を燃料電池スタック10へと供給する。同様に、ヒータ34を用いてエア系を流れる空気を加熱して、燃料電池スタック10の温度よりも高い温度とし、この空気を燃料電池スタック10へと供給する。
このようにすることで、加熱された高温の水素および空気が、燃料電池スタック10へと流れ込み、その内部の燃料電池セル100へと供給される。その後、加熱された空気が燃料電池セル100のカソードガス流路106の入口部分(加湿部近傍)を、加熱された水素がアノードガス流路114の入口部分(加湿部近傍)を、それぞれ通過する。
ガスの温度が高くなるのに応じて、ガスが含みうる水の量も増加する。そのため、加熱されて高温となった状態のガスが加湿部を通過することにより、より多くの水が当該ガスに含まれることになる(加湿部からの水の持ち去り量が増加することになる)。また、実施の形態1では、ガスの温度を燃料電池スタック10の温度よりも高くすることとする。これにより、加湿部を通過して水を含んだ状態のガスが、燃料電池セル100内部に流れる過程で、徐々に冷える。その結果、ガス中の水を電解質膜へと効率よく供給することができる。
以上の動作によれば、ガス中に含まれる水の量を十分なものとし、電解質膜の加湿を効果的に行うことができる。その結果、ガスの湿度が不足して電解質膜の加湿効率が低下するのを、回避することができる。
また、実施の形態1の燃料電池セル100は、内部に加湿部冷却流路108、110を有している。これらの冷却流路を冷却液が流れ、カソードガス流路106の出口部分、アノードガス流路114の出口部分が冷却されることにより、当該位置でガスが冷却される。その結果、ガス中の水分が凝縮してそれらの位置に液体の水が多く生ずることになり、これらの水がMEGA102側へと供給される。これにより、アノードガス流路114の出口部分で、ガスから水分を効率よく回収することができる。
そして、実施の形態1は、ガス流路出口部分が冷却されることで多くの液体の水が生じ、この液体の水が電解質膜を介して移動した後、加熱されて飽和水蒸気量が増加したガス中に蒸発するような構成となっている。従って、加湿のための十分な水を得る機能と、ガス中に十分な水を含ませる機能とが両立して、より効果的なガス加湿を行うことができる構成となっている。
[実施の形態1のシステムが行う具体的処理]
以下、図4を用いて、実施の形態1の燃料電池システムが行う具体的処理を説明する。図4は、実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートであり、実施の形態1のシステムの運転中、すなわち、燃料電池スタック10への水素、空気の供給が行われている際に実行される。
図4に示すルーチンでは、先ず、ECU70が、温度センサT1、T4から温度情報を取得する(ステップ200)。ECU70は、これらの温度センサが示す値を用いて、燃料電池スタック10内の燃料電池セル100の温度、および、燃料電池セル100の加湿部の温度をそれぞれ推定する。
続いて、ECU70が、水素系のバルブ14の開度とエアコンプレッサ32の駆動状態に関する情報をそれぞれ取得する。その後、これらの値に基づいて、水素系内の水素の流量Qa、エア系内の空気の流量Qcをそれぞれ求める(ステップ202)。
次に、温度センサT4の値から推定された加湿部の温度、上記求められた水素および空気の流量、並びに加湿部の能力に基づいて、水素および空気の温度目標値(温度センサT2、T3の目標値)を決定する(ステップ204)。
実施の形態1では、ステップ204の処理を行うために、予め実験などにより、加湿部の能力(加湿部の通過時にガスがどの程度加湿されるか)に関するマップを作成しておくこととする。具体的には、燃料電池100の構成において、加湿部が所定の温度にある状態で、所定温度および所定流量でガスを通過させ、加湿部通過後にガスが所定の温度まで下がった状態の当該ガスの湿度を測定する。
そして、温度(加湿部の温度、加湿部通過時のガス温度、加湿部通過後のガス温度)およびガス流量の値を変化させて、所定の環境下における、加湿部通過後のガスの湿度に関するマップを作成しておく。更に、MEGA102の電解質膜を適当な湿潤状態としうるような、ガスの湿度の基準値(例えばRH100%とすることができる)を予め決定しておく。
以上のようにして作成されたマップをECU70が参照することにより、所定の加湿部温度(温度センサT4の値に相当)、ガス流量(Qa、Qcの値に相当)、加湿部通過後の温度(温度センサT1の値に相当)において、電解質膜の適切な加湿に必要な加湿部通過後のガスの湿度を実現しうるような、加湿部を通過するガスの温度(温度センサT2、T3の値に相当)の目標値を得ることができる。
その後、ECU70が、これらの目標値を、温度センサT2、T3より得られる現時点での水素温度、空気温度と比較する。その結果、水素の温度目標値と実際の水素温度との差分ΔT2、空気の温度目標値と実際の空気温度との差分ΔT3が、それぞれ算出される。
続いて、上記得られた温度情報に基づいて、ヒータ16、34の出力目標値を決定する。実施の形態1では、この処理を行うために、予め、ヒータ16、34の所定出力と当該所定出力における加熱後のガス温度との関係について、マップを作成しておくこととする。ECU70は、このマップを参照し、上記得られたΔT2、ΔT3分の温度上昇がなされるようなヒータ16、34の出力目標値を決定する。
その後、この出力目標値に合わせて、ヒータ16、34の出力が制御される(ステップ206)。これにより、温度センサT2が示す実際の水素温度と水素の温度目標値、温度センサT3が示す実際の空気温度と空気の温度目標値とが一致する。その結果、加湿部通過後の燃料電池セル100内を流れる水素および空気が、望ましい湿度に調整されることとなる。以上の処理によれば、燃料電池セル100内を流れるガス中に含まれる水の量(湿度)を調節することができ、電解質膜の加湿を適切に行うことができる。
なお、加湿部を流れるガスの温度と流量によっては、加湿部からの水の持ち去り量が過大となる場合も考えられる。水の持ち去り量が過大となると、電解質膜が過乾燥の状態となる可能性があり、好ましくない。このような事態が生ずるのを避けるため、電解質膜の特性などから予め水の持ち去り量の上限を定めておき、これも考慮しつつ、ガス温度の目標値を定めるようにしてもよい。
尚、上述した実施の形態1では、MEGA102が備える電解質膜が前記第1の発明における「電解質膜」に、MEGA102がアノードに備える電極触媒層が前記第1の発明における「アノード電極触媒層」に、MEGA102がカソードに備える電極触媒層が前記第1の発明における「カソード電極触媒層」に、それぞれ相当している。
また、アノードガス流路114が前記第1の発明における「アノードガス流路」に、
セパレータ112が前記第1の発明における「アノードガス流通部材」に、カソードガス流路106が前記第1の発明における「カソードガス流路」に、セパレータ104が前記第1の発明における「カソードガス流通部材」に、ヒータ16、34が前記第1の発明における「加熱手段」に、それぞれ相当している。
尚、上述した実施の形態1では、燃料電池システムが備える第2冷却系が前記第2の発明における「冷却手段」に相当している。また、上述した実施の形態1の具体的処理におけるステップ204の処理が実行されることで、前記第8の発明における「出力決定手段」が、ステップ206の処理が実行されることで、前記第8の発明における「制御手段」が、それぞれ実現されている。
[実施の形態1の変形例]
(第1変形例)
実施の形態1の燃料電池システムは、水素系、エア系の両方に対して、ヒータを設ける構成とした。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。水素系のみにヒータを設ける構成や、エア系のみにヒータを設ける構成としてもよい。
(第2変形例)
実施の形態1では、第1冷却系と第2冷却系という、二つの冷却系を備える構成とした。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、第1冷却系のみを有するような構成とすることができる。この場合には、実施の形態1の具体的制御で述べたステップ204の処理のために、予め、温度センサT1の値に応じて加湿部の温度が何度となるのかについてのマップを作成しておくこととする。このマップにより得られる加湿部の温度を、第2冷却系を備えた構成における温度センサT4の値の替わりに用いて、ステップ204の処理を行うことができる。
また、実施の形態1のシステムを、第1冷却系と第2冷却系の両方の機能を有するような1系統の冷却系を有するようなシステムとして構成することもできる。すなわち、特開2003−249243号公報に開示されている思想に基づき、セパレータの冷却流路を、冷却水が始めに加湿部上(加湿部冷却流路110、118に対応する位置)を通過してから燃料電池セルの面内(セル冷却流路108、116に対応する位置)を通過するように構成することができる。このようなセパレータの冷却流路とすることで、冷却系を1系統としつつ、加湿部の冷却と燃料電池セル全体の冷却とを、それぞれ実現することができる。
また、実施の形態1のシステムにおいて、第2冷却系を備えないような構成としてもよい。すなわち、加湿部冷却流路を有さないような燃料電池セルを有するシステムに対しても、本発明の思想を適用することができる。この場合にも、実施の形態1のように、燃料電池セルに供給するガスを加熱することにより、当該ガスに多くの水を含ませることができ、電解質膜の加湿を円滑に行うことができる。
(第3変形例)
実施の形態1では、図2で説明したように、アノードの水素の流れとカソードの空気の流れが完全に対向するように、燃料電池セル100の構成を定めている。しかしながら、本発明における燃料電池セル100の構成は、これに限られるものではない。すなわち、カソードガス流路106とアノードガス流路114とが完全に対称の構成となっていなくともよい。また、MEGA102を介して各流路の入口部分と出口部分とが対向する場合に、それらの位置が完全に(精密に)重なるような構成でなくともよい。
一方のガス流路の出口部分と、他方のガス流路の入口部分とが電解質膜を介して一部でも重なっていれば、一方のガス流路の出口側の水が、電解質膜を透過して他方のガス流路の入口側へと到達するような水の移動が生ずることとなる。このような水の移動が生ずる燃料電池セルであれば、本発明の思想を適用することで、実施の形態1と同様に、電解質膜の加湿を効果的に行うことができる。
(第4変形例)
実施の形態1では、水素系を流れる水素を、ヒータ16を用いて加熱した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。一方のガス流路の上流に相当する部位のガスを加熱しうる構成であればよく、例えば、セパレータの一方のガス流路上流に相当する部位をヒータで加熱し、これによりガスを加熱するような構成としてもよい。
(第5変形例)
実施の形態1の燃料電池セル100では、MEGA102の構造は、加湿部と加湿部以外とに係らず同一とした。しかしながら、加湿部の構造はこれに限られるものではない。電解質膜を介した水移動をより効果的に行うために、下記に述べるように、加湿部を特別な構造としてもよい。
加湿部において生ずる水の移動には、アノードからカソードへの移動と、カソードからアノードへの移動の二種類がある。電解質膜は水を透過させる性質を持つため、電解質膜のアノードとカソードのうち一方の湿度が高い場合には、湿度が高いほうから低い方へと移動するような水の移動が生ずる。
一方、燃料電池セルの電気化学的発電反応の際には、水素イオンがアノードからカソードへ水を伴って移動する。従って、上記の湿度差による水移動とは別に、燃料電池セルの発電中には、アノードからカソードへの水移動が生じている。このような水素イオンの移動に伴う水移動は、カソードガス流路の出口部分からアノードガス流路の入口部分への水の移動と逆向きとなる。よって、加湿部におけるアノードへの水の移動が妨げられ、十分な量の水をアノードガス流路の入口部分へ供給できなくなる場合がある。
そこで、加湿部に当たる位置には電極触媒層を設けず、電解質膜が露出するような構成とすることができる。具体的には、ガス流路の入口部分、出口部分のどちらか一方、またはその両方について、電極触媒層を除去した構成とすることができる。このような構成によれば、上述したような水素イオンに随伴する水移動が生じなくなる。また、電解質膜が露出し、その表面がガスと接触する面積が増加する。これによれば、電解質膜の表面に触れるガス量を増加することができる。換言すれば、電解質膜の表面に触れるガス量が少なくなることに起因してガスの加湿効率が低下する弊害を、回避できる。
また、加湿部が、電解質膜上にイオン交換樹脂とカーボン等の多孔質体との混合物による層(換言すれば、アイオノマーを含む多孔質体)が形成された構造であってもよい。この場合には、多孔質体による蒸散効果の増大によって、加湿部を電解質膜のみとした場合に比して、多くの水を電解質膜を介して移動させることができる。
なお、上記のイオン交換樹脂を含む多孔質体の層は、電極触媒層が触媒を担持させた多孔質体(カーボンなど)とイオン交換樹脂とを混合したものを層状に形成したものである場合には、この電極触媒層から触媒成分を除くことによって実現することができる。また、電極触媒層とは異なる種類の多孔質体を用いたり、好適なイオン交換樹脂を選択したりするなどして、より好ましい材料で加湿部を形成することとしてもよい。
これらの場合において、イオン交換樹脂と多孔質体の混合物による層を形成する際には、従来の電極触媒層を形成する際と同様の手法を用いることができる。具体的には、例えば、触媒、カーボン、イオン交換樹脂の溶媒を混ぜ合わせたものを電解質膜表面に塗布し、乾燥させるなどの手法を用いることができる。
また、加湿部に当たる位置の電極触媒層を、他の位置の電極触媒層に比して含まれる触媒の量が少なくなるような構成とすることができる。このような場合にも、水素イオンの移動に伴う水移動が相対的に少なくなるため、カソードからアノードへの水移動を相対的に増加させることができる。
(第6変形例)
図5は、実施の形態1の燃料電池セル100の変形例を説明するための図である。図5(a)は、燃料電池セルのアノード側の面を見た図であり、セル内部の説明を行うために、セパレータ304を一部透視して示している。図5(a)の燃料電池セルの紙面上方と下方の矢印は、それぞれ、当該燃料電池セル内部を流れる水素と空気の流れを示している。
図5(a)の燃料電池セルは、紙面中央に電極触媒層300を有している。そして、紙面右側の一部の領域には、加湿部302が存在している。加湿部302は、第5変形例で述べた種々の構造を適用することができる。
図5(b)の燃料電池セルは、図5(a)とは異なり、短手方向(燃料電池セルの短辺と平行な方向)に沿ってガスが流れるような構成の一例である。セパレータ314を一部透視して示しており、電極触媒層310の紙面下側に加湿部312が存在している。
図6は、図5(b)の燃料電池セル冷却用の冷却系(実施の形態1における第1冷却系に相当)の一例である。図6に示すように、冷却系の上流側が加湿部312の位置にくるような流路構造とすることで、加湿部312の冷却を効果的に行うことができる。
本発明の実施の形態1の燃料電池システムの構成を説明するための図である。 実施の形態1のシステムが有するヒータの構成を説明するための図である。 実施の形態1のシステムが有する燃料電池セルの構成を説明するための図である。 実施の形態1が実行するルーチンのフローチャートである。 実施の形態1の燃料電池セルの変形例を説明するための図である。 実施の形態1の燃料電池セルの変形例を説明するための図である。
符号の説明
燃料電池スタック 10
水素タンク 2
バルブ 14
ヒータ 16、34
水素入口 20
水素出口 22
エアコンプレッサ 32
エア入口 38
エア出口 40
ラジエータ 50、60
ポンプ 52、62
ECU 70
温度センサ T1、T2、T3、T4

Claims (8)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の面に設けられるアノード電極触媒層と、
    前記電解質膜の他方の面に設けられるカソード電極触媒層と、
    前記アノード電極触媒層に重なるように配置され、該アノード電極触媒層に供給されるガスが流通するアノードガス流路が形成されたアノードガス流通部材と、
    前記カソード電極触媒層に重なるように配置され、該カソード電極触媒層に供給されるガスが流通するカソードガス流路が形成されたカソードガス流通部材と
    を有し、
    前記アノードガス流路と前記カソードガス流路のうち一方のガス流路の入口側と他方のガス流路の出口側とが前記電解質膜を介して対向するように、前記アノードガス流通部材と前記カソードガス流通部材が取り付けられ、
    前記一方のガス流路に流入するガスを加熱する加熱手段を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記他方のガス流路の出口部分を冷却する冷却手段を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記他方のガス流路の出口部分に前記電解質膜の露出部分を有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記一方のガス流路の入口部分に前記電解質膜の露出部分を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記他方のガス流路側の電極触媒層のうち、該他方のガス流路の出口部分の電極触媒層は、他の位置の電極触媒層よりも触媒の量が少ないことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  6. 前記一方のガス流路側の電極触媒層のうち、該一方のガス流路の入口部分の電極触媒層は、他の位置の電極触媒層よりも触媒の量が少ないことを特徴とする請求項1、2または5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記加熱手段は、前記一方のガス流路に流入するガスを燃料電池の温度よりも高い温度になるように加熱することを特徴とする請求項1乃至6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記一方のガス流路を流通するガスの湿度の目標値に基づいて、前記加熱手段の出力の目標値を決定する出力決定手段と、
    前記加熱手段の出力が前記出力の目標値に一致するように、該加熱手段を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする請求項1乃至7に記載の燃料電池システム。
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