JP2004039357A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラッディング(水づまり)及びドライアウト(乾燥状態)の発生を防止して良好に発電することができる固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】固体高分子膜の電解質層の両面に電極層を配置する膜・電極接合体21と、その膜・電極接合体21の両外面に配置されたセパレータ23,24とを有する単セル20を積層して形成され、そのセパレータ23,24に反応ガスを通流させて発電を行う固体高分子型燃料電池であって、単セル20のセパレータのうち少なくともいずれか一方のセパレータ24は、膜・電極接合体側の面に反応ガスを通流可能な第1のガス流路33を形成し、膜・電極接合体側の面と反対側の面に、第1のガス流路を通流した反応ガスを通流可能な第2のガス流路35を形成するポーラスタイプのセパレータであり、第1のガス流路33及び第2のガス流路35を連通する連通手段34を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】固体高分子膜の電解質層の両面に電極層を配置する膜・電極接合体21と、その膜・電極接合体21の両外面に配置されたセパレータ23,24とを有する単セル20を積層して形成され、そのセパレータ23,24に反応ガスを通流させて発電を行う固体高分子型燃料電池であって、単セル20のセパレータのうち少なくともいずれか一方のセパレータ24は、膜・電極接合体側の面に反応ガスを通流可能な第1のガス流路33を形成し、膜・電極接合体側の面と反対側の面に、第1のガス流路を通流した反応ガスを通流可能な第2のガス流路35を形成するポーラスタイプのセパレータであり、第1のガス流路33及び第2のガス流路35を連通する連通手段34を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子膜の電解質層の両面に電極層を配置する膜・電極接合体を使用して、燃料が有する化学エネルギを電気エネルギに変換する固体高分子型燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料が有する化学エネルギを直接電気エネルギに変換するシステムであり、電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうち、一方の電極(陽極;アノード電極)に水素を含有する燃料ガスを供給するとともに、他方の電極(陰極;カソード電極)に酸素を含有する酸素剤ガスを供給し、これら一対の電極の電解質膜側の表面で生じる下記の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギを取り出す。
【0003】
陽極反応:H2 → 2H+ + 2e− −−−−(1)
陰極反応:2H+ + 2e− +(1/2)O2 → H2 O −−−−(2)
陽極(アノード電極)に燃料ガスを供給する方法としては、水素貯蔵装置(例えば、高圧ガスタンク、液化水素タンク、水素吸蔵合金タンク等)から直接供給する方法、水素を含有する燃料(例えば、天然ガス、メタノール、ガソリン等)を改質して生成した水素含有ガスを供給する方法などが知られている。また、陰極(カソード電極)に供給する燃料ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
【0004】
(2)式に示したように、燃料電池稼動時は陰極において水が生成する。また、この水の一部はカソード側からアノード側に逆拡散し、アノード側からも排出される。このとき、燃料ガスを供給する流路内に過剰に水が存在する領域があると液相の水が発生し、フラッディング(水づまり)が起こる。その結果、ガス供給が妨げられ、セルの性能が低下して発電能力が落ちてしまう。この水は、(2)式に示したように、反応によって生成するので、燃料ガスが燃料電池内を上流から下流に向かって流れるにつれて水分量が増加するため、燃料電池出口付近ではフラッディングが生じやすい。
【0005】
そこで、燃料電池内の温度分布を制御することでフラッディングを防止する技術が特表平9−511356号公報に開示されている。この従来技術は、ガスの流れとクーラントの流れとをコフローとして、ガスの入口から出口に向かって温度を上昇させて燃料電池内の温度分布を制御し、発生した水を水蒸気としてガスに取り込むことでフラッディングを防止しようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来技術においては、ガスの温度を昇温させているので燃料電池から排出されるガス温度が高温になる。このため、燃料電池から外部に排出される水量が増加してドライアウト(乾燥状態)を生じやすく、燃料電池内の水バランスが成立しない。したがって、燃料電池下流の水回収装置が必要となり、システムが複雑化するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、フラッディング(水づまり)及びドライアウト(乾燥状態)の発生を防止して良好に発電することができる固体高分子型燃料電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0009】
本発明は、固体高分子膜の電解質層の両面に電極層を配置する膜・電極接合体(21)と、その膜・電極接合体(21)の両外面に配置されたセパレータ(23,24)とを有する単セル(20)を積層して形成され、そのセパレータ(23,24)に反応ガスを通流させて発電を行う固体高分子型燃料電池であって、前記単セル(20)のセパレータのうち少なくともいずれか一方のセパレータ(24)は、前記膜・電極接合体側の面に反応ガスを通流可能な第1のガス流路(33)を形成し、前記膜・電極接合体側の面と反対側の面に、前記第1のガス流路を通流した反応ガスを通流可能な第2のガス流路(35)を形成するポーラスタイプのセパレータであり、前記第1のガス流路(33)及び第2のガス流路(35)を連通する連通手段(34)を備えることを特徴とする。
【0010】
【作用・効果】
本発明によれば、ポーラスタイプのセパレータを使用することで、セパレータの下流側流路(第2のガス流路)、すなわち膜・電極接合体側の面と反対側の面で液化した水を、セパレータの上流側流路(第1のガス流路)、すなわち膜・電極接合体側の反応面を流れるガスに供給でき、下流におけるフラディングおよび上流におけるドライアウトを防ぐことができる。
【0011】
また、ポーラスタイプのセパレータを使用して、ガスの含有可能な蒸気量を生成水の累積に合わせて増加させることになるので、上流側流路内で水が液化するのを防ぐことができる。またガス入口部とガス出口部が近接する場合、下流で水の液化が進み、ガス入口部への水の供給力が向上する。
【0012】
さらに、ソリッドタイプのセパレータを使用すれば、ガスの含有可能な蒸気量を生成水の累積に合わせて増加させることになるので、上流側流路内で水が液化するのを防ぐことができる。またガス入口部とガス出口部が近接する場合、下流で水の液化が進み、ガス入口部への水の供給力が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの構成を示す図であり、図1(A)は制御ユニットの構成を示す図、図1(B)はシステム全体の構成を示す図である。
【0014】
この実施形態は、ポーラスタイプのバイポーラプレートを使用して、バイポーラプレートの表裏両面にガスを流すことによって、セル内部の水分量を均一化し、フラッディング及びドライアウトの発生を防止することを特徴とするものである。
【0015】
図1(B)に示すように、本発明の固体高分子型燃料電池システムは、燃料電池本体11と、燃料電池本体11に供給されるガスの温度を検出する温度センサ12と、ガスの湿度を検出する湿度センサ13を有する。また、本発明の燃料電池システムは、燃料電池本体11を最適な温度に保つために、燃料電池本体11の内部にロングライフクーラント(LLC)を循環させるLLC循環システムを有する。このロングライフクーラントとしては、例えば、エチレングライコールと水との混合液等がある。LLC循環システムは、LLCタンク14、ポンプ15、バルブ16、温度センサ17、ラジエータ18及びバイパスバルブ19を有する。
【0016】
この燃料電池システムは、制御ユニット10によって運転状態が制御される。制御ユニット10は、図1(A)に示すように、燃料電池負荷信号、ガス温度信号、ガス湿度信号及び外気温度信号から、制御目標となるLLC入口温度を算出する目標LLC入口温度算出手段1と、ガス流路の温度勾配を算出するガス流路温度勾配算出手段2とを有し、さらに、その算出結果に基づいて、LLCの流量を制御する流量制御手段3及びラジエータ18の放熱量を制御するラジエータの放熱量制御手段4を有する。
【0017】
なお、本実施形態ではポーラスタイプのバイポーラプレートをカソード側のみに用いているが、アノード側のみ、あるいはアノード側及びカソード側の両方に用いてもよい。
【0018】
図2は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第1実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【0019】
単セル20は、膜・電極接合体(Membrane Electrode Assembly(以下「MEA」と省略する))21と、その両面に形成されたガス拡散層(Gas Diffusion Layer(以下「GDL」と省略する))22と、一方のGDL22に形成されたアノードバイポーラプレート(Bipolar Plate(以下、バイポーラプレートを「BPP」と省略する))23と、他方のGDL22に形成されたカソードバイポーラプレート(カソードBPP)24と、そのカソードBPP24に形成されたLLCプレート25とを備える。
【0020】
なお、本実施形態では、カソードBPP24のみをポーラスタイプのバイポーラプレートとし、アノードBPP23はソリッドタイプのプレートとしているが、アノードBPP23のみをポーラスタイプとしたり、アノードBPP23及びカソードBPP24の両方をポーラスタイプとしてもよい。
【0021】
図3は、ポーラスタイプのプレートであるカソードBPPの流路形状を示す図であり、図3(A)は表面図、図3(B)は図3(A)(又は図3(C))のB−B断面図、図3(C)は裏面図である。
【0022】
カソードガスは、ガス入口部31からガス入口マニホールド32を経由し、MEA側であって反応ガスによる反応が行われる面(以下「反応面」という。また、この面を、適宜、表面と表現する。)に形成された反応面ガス流路33に分岐して流れ、連通路34を通過して、プレート裏面(反応面と反対のLLCプレート側の面)に進み、裏面ガス流路35を流れる。そして、ガス出口マニホールド36で合流し、ガス出口部37から排出される。
【0023】
図4は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムに使用する単セルの側断面図であり、図中の矢印はセル内の水移動を示す。
【0024】
次に、ポーラスタイプのプレートであるカソードプレート内の水の移動を説明する。
【0025】
本実施形態では、カソードBPP24はポーラスタイプのプレートであり、プレート内には空間が存在する。そのため、水が、そのプレートの内部を通って移動することができる。また、水がポーラスプレート内を満たしていると、その水の表面張力によって、ガスがポーラスプレートの表面(MEA側の面)から裏面(LLC側の面)に漏れることはない。
【0026】
カソードBPP24の裏側にはLLCプレート25が存在するので、カソードBPP24の裏面はLLCによって冷却される。したがって、カソードBPP24の裏面を流れるガスは表面側より低温である。このため、連通路34を通過して裏面ガス流路35を流れるガスは冷却され、飽和蒸気圧を超える分の水蒸気は凝縮して液化する。そして、この凝縮水は、ポーラスタイプのプレートであるカソードBPP24を通過可能であり、カソードBPP24の表側に移動する。
【0027】
外気が乾燥している場合に乾燥したガスがスタックに流れ込むと、そのガスを加湿するために膜の水分が蒸発するので、セル内の入口部付近でドライアウト(乾燥状態)が発生しやすいが、本実施形態によれば、ポーラスタイプのプレートのLLC側で冷却されたガスが凝縮されて、その凝縮水がポーラスプレート内を自由に移動可能であるので、その凝縮水が必要とされる部分(乾燥部分)に移動する。したがって、セル内の湿度分布を均一に保つことができる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、バイポーラスプレート(本実施形態ではカソードBPP24)にポーラスタイプのセパレータを使用したので、例えば、反応ガスが通流されるMEA側の面(反応面)で水が過剰となった場合には、その裏面に余剰の水を排出することができ、また、逆にMEA側の反応面が乾燥状態となって湿度が不足する場合には、裏面で液化した水を浸透させて反応ガスの乾燥を防止することができる。このように、セル内部の水分量を均一化させて、MEA側の反応面のドライアウトを防止することができるとともに、裏面のフラッディングを防止することができる。
【0029】
また、LLCプレート25によってカソードBPP24の裏面を冷却するので、裏面ガス流路35での水の凝縮を促進し、裏面側から表面側への水の供給力を向上させることができる。
【0030】
また、カソードBPP24の表裏面で、反応面ガス流路33及び裏面ガス流路35を隣接させたので、反応面全体でムラ無く、裏面から反応面に水を供給できるようになり、さらにガス出口部37とガス入口部31を近接させたので、凝縮水が多い出口のガスから入口のガスへ効果的に水を供給することができる。
【0031】
さらに、カソードBPP24に形成した貫通孔を連通路としたので、燃料電池の構成を簡素化し小型化することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図5は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第2実施形態の単セルを示す側断面図であり、第1実施形態の図4に相当する図である。
【0033】
なお、以下に示す各実施形態では、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。また、本実施形態のシステム構成図は第1実施形態の図1と同じであるため省略する。
【0034】
本実施形態の単セル20は、第1実施形態の単セルに対して、カソードBPP24の連通路34が相違する。これによって、カソードBPP24の反応面ガス流路33のガス圧と裏面ガス流路35のガス圧とに差圧を生じさせることが特徴である。
【0035】
すなわち、本実施形態のカソードBPP24の連通路34は、孔の断面積が反応面ガス流路33の断面積よりも小さい。このため、カソードガスが連通路34を通過する際に圧力損失が発生し、裏面ガス流路35のガス圧(Pb)は反応面ガス流路33のガス圧(Pa)よりも低くなる。逆に言えば、反応面ガス流路33のガス圧(Pa)は裏面ガス流路35のガス圧(Pb)よりも高い。このとき、例えば、PaとPbとで10kPaの差圧を確保する。このように、反応面ガス流路33のガス圧Paが裏面ガス流路35のガス圧Pbよりも高いので、反応面ガス流路33で生成された水はカソードBPP24の内部に移動する。
【0036】
カソードBPP24の表面はMEAの反応面であるので、万一、反応面ガス流路33でフラッディングが発生するとカソードガスの拡散が阻害されてセルの性能が低下してしまうおそれがある。しかし、本実施形態によれば、上述の通り、反応面ガス流路33で生成された水はカソードBPP24の内部を移動するので、反応面側でのフラッデングの発生を確実に防止し、セルの性能低下を防止することができる。また、ポーラスプレートであるカソードBPP24の内部に取り込まれた水は、水分が不足すると入口部に移動し入口ガスを加湿する。
【0037】
このように、本実施形態によれば、連通路34の孔を、その断面積が反応面ガス流路33の断面積よりも小さくなるようにしたので、反応面ガス流路33のガス圧が裏面ガス流路35のガス圧よりも高圧になる。この圧力差によって、反応面ガス流路33で過剰な水が凝縮した場合、その凝縮水をポーラスセパレータであるカソードBPP24を通して裏面ガス流路35側に排出することができるので、反応面ガス流路33側でのフラッデングを防止できるとともに、セルの内の水分布を均一化することができる。
【0038】
また、圧力設定手段を外部装置として設ける必要がない。
【0039】
(第3実施形態)
図6は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第3実施形態の流路形状を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する図である。図6(A)は表面図、図6(B)は図6(A)(又は図6(C))のB−B断面図、図6(C)は裏面図である。
【0040】
本実施形態では、第1実施形態に対してカソードBPP24のガス流路の形状が相違する。システム構成図は第1実施形態の図1と同じであるため省略する。
【0041】
第3実施形態では、第1実施形態(図3)に対してカソードBPPの表面に形成した反応面ガス流路において、隣合う流路間をガスが移動するようにしたことが特徴である。すなわち、本実施形態では、カソードBPP24は、表面に2種類の反応面ガス流路33a、33bが交互に形成されている(図6(A))。第1反応面ガス流路33aは、ガス入口マニホールド32から分岐し、反対端がデッドエンドとなっている。第2反応面ガス流路33bは、第1反応面ガス流路33aの間に形成され、ガス入口マニホールド32に接続されていない。第2反応面ガス流路33bは、ガス入口マニホールド32と反対側が連通路34を介して裏面ガス流路35に連通している。
【0042】
ガス入口マニホールド32から第1反応面ガス流路33aに流入したガスは、ポーラス構造のGDL22を通って、隣の第2反応面ガス流路33bに移動する。
【0043】
図7は、第3実施形態のガス流路間のガス移動を示す平断面図である。
【0044】
第1反応面ガス流路33aから第2反応面ガス流路33bに移動するガスは、図7に示すように、GDL22を通過する。そのため、GDL22ではガスの拡散が促進される。そのため、MEA21は全面に渡って反応に活用されることになる。加えて、GDL22に余剰水分が発生した場合においても、カソードガスがGDL22を通過する際にその余剰水分を排水する作用があるので、ガス拡散が水に阻害されにくい。
【0045】
このように、本実施形態によれば、カソードガスはGDL22を通過して流れるので、ガス拡散ロスが低減し、MEA21の全面で反応が生じ、ガスの拡散が促進されてスタックの性能が改善し、燃料電池性能が向上する。
【0046】
(第4実施形態)
図8は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第4実施形態のセル構成を示す側断面図であり、第1実施形態の図2に相当する図である。
【0047】
なお、本実施形態のシステム構成図は第1実施形態の図1と同じであるため省略する。
【0048】
本実施形態は、第1実施形態に対してカソードBPP24の連通路の形状が相違する。本実施形態の連通路は、外部マニホールドとして形成されている。
【0049】
第1実施形態では、連通路としてカソードBPP24に貫通孔の連通路34を形成することで、反応面ガス流路33と裏面ガス流路35とを連通させているが、本実施形態では、単セル20の外部に連通マニホールド81を設けて反応面ガス流路33と裏面ガス流路35とを連通させている。また、連通マニホールド81の内部には、連通マニホールド81の有効高さを調整することで差圧を調整可能な差圧調整機構82を設けている。
【0050】
図9は、連通路として貫通孔を使用した場合(例えば、第2実施形態)の、ガス流量に対する反応面ガス流路と裏面ガス流路とのガス圧力差を示す線図である。横軸にガス流量、縦軸にガス圧力差をとる。
【0051】
燃料電池の負荷が増大するとガス流量が増加するが、この図9から、ガス流量が増加すれば圧力差が大きくなり、ガス流量が少ないときは圧力差も小さいことが分かる。このように、ガス流量が少ないときには圧力差が小さいので、反応面ガス流路33側での水の排水効果が小さい。
【0052】
図10は、第4実施形態におけるガス流量に対するマニホールドの有効高さh及びそのときの差圧Pa−Pbを示す線図である。横軸にガス流量、左側縦軸に有効高さh、右側縦軸に差圧Pa−Pbをとる。
【0053】
本実施形態では、連通マニホールド81の有効高さを差圧調整機構82で調整して、差圧を制御することができる。
【0054】
この図10から、ガス流量を小さくしたときに(すなわち、燃料電池の負荷が小さくなったときに)マニホールドの有効高さhを小さくすれば、差圧Pa−Pbを一定に保つことができることが分かる。すなわち、ガス流量を変化させたときに、それに合わせてマニホールドの有効高さhを適宜調整することで差圧Pa−Pbを一定に保つことができる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、流量によらずに流路間のガスの差圧Pa−Pbを一定に保つことができるため、常にフラッディングの発生を防止することができる。
【0056】
また、セパレータ(カソードBPP)の構造を簡素化できる。また反応面で生じた生成水を一旦均一化して裏面に導入することができる。
【0057】
さらに、反応面ガス流路33と裏面ガス流路35との圧力損失を制御して、圧力差を調節することができる。
【0058】
さらにまた、負荷(流量)に依らず圧力差を一定に保つことができ、反応面側で生じた生成水の裏面への排出性を維持することができる。
【0059】
(第5実施形態)
図11は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第5実施形態のLLCプレートを示す図である。
【0060】
なお、本実施形態のシステム構成、セル構成、カソードプレート形状は、第1実施形態と同じであり、それぞれ図1、図2、図3と同一であるため省略する。
【0061】
この第5実施形態は、第1実施形態に対してガス流路の流れ方向に対して温度勾配を設けたこと、燃料電池本体11の内部で生成される水分量と燃料電池本体11の外部へ持ち出される水分量とのバランスが成立するように制御することを特徴とする。
【0062】
LLCプレート25に形成されたLLC流路113はサーペンタイン式となっている。LLC入口111から流入したLLCは、LLC入口マニホールド112を通過した後に、LLC流路113に分岐する。その後、折り返しの流路を通過してからLLC出口マニホールド114で合流してLLC出口115から排出される。LLCは燃料電池本体11で発生した熱を吸収するのでLLC入口111からLLC出口115に流れるにしたがって温度が昇温する。図3に示したガス流路との関係を考えると、ガス入口部31から連通路34に向かって温度が上昇する。逆に、リターン時には連通路34からガス出口部37に向かって温度が低下する配置となる。
【0063】
図12は、温度の対する飽和蒸気圧を示す線図である。横軸に温度、縦軸に飽和蒸気圧をとる。
【0064】
この図12より、温度が高くなるに連れて急激に飽和蒸気圧が大きくなることが分かる。これはガスの温度が上がれば、その分だけガスが水分を気相状態で保持できることを示している。また、逆に、温度が下がれば、ガスが水分を気相状態で保持できず、水が凝縮して液化する。
【0065】
図13は、本実施形態のガス流路中の位置に対する相対湿度と水分量及び温度の関係を示す線図である。横軸にガス流路中の位置、左側縦軸に相対湿度、右側縦軸に水分量及び温度をとる。
【0066】
前述したように、カソードBPP24の表面では、ガス入口部31から反応面ガス流路33を通って連通路34(リターン部)に達するまでガスの温度が上昇する。このため、生成水が発生した場合においてもガスの相対湿度は100%となり、飽和することがなく、過飽和となって水凝縮することがない。その結果、反応面ガス流路33ではフラディングが発生しない。
【0067】
また、カソードBPP24の裏面では、連通路34(リターン部)からガス出口部37に向かうにしたがってガスの温度が低下する。このため、水分量は飽和時に含み得る水分以上となって、相対湿度は常に100%以上となり、過飽和分の水はプレート面で凝縮して液化する。しかしながら、カソードBPPはポーラスタイプであるので、液化した水はプレート内を移動して、水分が必要な表面側に移動し、ガスの加湿に使用される。
【0068】
このように、本実施形態によれば、ガス流路の流れ方向に温度勾配を持たせることによって、反応面ガス流路33でのフラッディングの発生を防止することができる。さらに、裏面ガス流路35のフラッディングによる流路閉塞の防止と、カソードBPPの入口31から流入するガスに対する速やかな加湿とを両立させることができる。
【0069】
図14は、燃料電池の運転圧力を一定にした場合のガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す線図である。横軸にガス利用率、縦軸に水バランス成立温度をとる。
【0070】
燃料電池では、前述したように反応によって水が生成され、この水を水蒸気として保持するガスが排出される。したがって、例えば、燃料電池の上流に加湿器がなく、燃料電池にドライガスが流入する場合、燃料電池から排出されるガスの温度が高いと、生成される水以上の水が排出ガスによって持ち去られてしまうことになる。
【0071】
このような状態で、生成される水以上の水が排出ガスによって持ち去られると燃料電池内の水が減少しドライアウトを生じてしまう。
【0072】
このような事態を生じさせないために、燃料電池本体の内部で生成される水分量と、燃料電池本体の外部へ持ち出される水分量とのバランス(水バランス)を成立させることが重要である。燃料電池内で水バランスを成立させることができない場合には、燃料電池の下流に水回収装置を設置して水を回収し、燃料電池内の水が不足したら、この回収した水を使って、燃料電池に流入するガスを加湿する必要がある。このように、燃料電池内で水バランスを成立させることができないときはシステムが複雑になる。
【0073】
燃料電池の運転圧力を一定とした場合に、この水バランスが成立するか否かは、燃料電池出口のガス温度とガス利用率との関係で決まり、この関係を図14に示した。なお、水バランス成立温度とは、水バランスが成立するときに燃料電池から排出される燃料電池出口のガス温度をいう。
【0074】
この図14に示すように水バランス成立温度はガス利用率の関数となる。ガス利用率が大きいときは排ガスの量が減るのでガスが持ち去る水分量が減り、水バランス成立温度が高くなる。逆に、ガス利用率が小さいときは排ガスの量が増えるので、ガスが持ち去る水分量が多くなり、水バランス成立温度は低くなる。
【0075】
図15は、運転圧力及びガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す線図である。横軸に運転圧力、縦軸にガス利用率をとる。
【0076】
上述した関係をもとに、さらに、図15に運転圧力及びガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す。
【0077】
運転圧力(すなわち、運転時のガス圧力)が高くなるほどガスが持ち去る水分量が少なくなるため、水バランス成立温度は高くなる。よって、運転圧力が高いほど、またガス利用率が大きいほど、水バランス成立温度は高くなる。このように、図15では、右上の線図ほど水バランス成立温度が高温で、左下の線図ほど水バランス成立温度が低温である。この図15を使用すれば、燃料電池の運転圧力を変化させた場合に水バランスを成立させるための水バランス成立温度及びそのときのガス利用率を求めることができる。
【0078】
LLCを使って燃料電池の温度をコントロールすることを考えると、ある運転圧力とガス利用率のもとで、燃料電池内で水バランスを成立させるためには、LLCで燃料電池の出口37のガス温度(以下「ガス出口温度」という)をある温度にまで冷やす必要がある。例えば、図11に示したLLCプレート25を使用して、そのLLC流路113を流れるLLCによって燃料電池から排出されるガスの温度を制御する。ただし、熱交換効率の関係で、ガス出口温度をLLCの入口温度以下に冷やすことはできないので、LLCの入口温度を水バランス成立温度よりも低い温度に設定する必要がある。
【0079】
ガス出口温度を水バランス成立温度とするためのLLC入口温度の値は、熱伝導率や流路形状など燃料電池に特有な特性で決まるので、あらかじめ、ガス出口温度に対するLLC入口温度の関係を用意しておき、これを参照することで求めることができる。
【0080】
このように、運転圧力とガス利用率とが決まれば、水バランスを成立させるためのガス出口温度が決まり、そのガス出口温度にするためのLLC入口温度が決定する。
【0081】
また、流路途中でのフラッディングを防止するためには、流路途中での温度も制御する必要があり、ガス流路のリターン部(連通路34)付近の温度を目標温度にする。このため、ガス流路のリターン部(連通路34)付近に配置されるLLC出口115で満たすべき温度が定まり、そのような温度にするためのLLC温度の温度勾配が必要となる。
【0082】
このように、フラッディングを防止しつつ、水バランスを成立させるためには、LLCの入口111及び出口115の温度を目標値に制御する必要があり、このため、燃料電池の発熱量とラジエータでの放熱量とを考慮して、所定のLLC入口111の温度と温度勾配とになるように、LLCの流量を制御する必要がある。
【0083】
図16は、ガス入口温度及びガス入口湿度に対するLLCの温度勾配の関係を示す線図である。横軸にガス入口温度、縦軸にガス入口湿度をとる。
【0084】
ガス入口温度が高いほど、ガス入口湿度が高いほど、LLCの温度勾配を大きくする。このように制御することによって、外気条件が変化した場合においても、確実にフラディングの発生を防止することができる。
【0085】
図17は、ガス利用率に対する温度勾配補正係数を示す線図である。横軸にガス利用率、縦軸に温度勾配補正係数をとる。
【0086】
図16ではガスの利用率が一定の場合で説明したが、ガスの利用率を変える場合には補正が必要にあり、図17にガス利用率に対する温度勾配補正係数を示した。
【0087】
ガス利用率が小さいほどガスは多くの水分量を気相で保持できるので、温度勾配を小さくすることができる。逆に、ガス利用率が大きいとガスが気相で保持できる水分量は少なくなるため、大きな温度勾配が必要になる。このような特性を考慮して、温度勾配補正係数で温度勾配を補正する。
【0088】
図18は、LLC流路を流れるトータルのLLC循環量に対する燃料電池セル内の温度勾配を示す線図である。横軸にLLC循環量、縦軸に温度勾配をとる。
【0089】
この図から目標とすべき温度勾配を達成するために必要となるLLC循環量を決定することができる。LLC循環量を少なくするほど、温度勾配を大きくすることができる。すなわち、LLC循環量が少ないほど、LLCが入口111から出口115に達するまでの温度変化が大きく、LLC循環量が多いほど、LLCが入口111から出口115に達するまでの温度変化が小さい。
【0090】
図19は、LLC温度とラジエータ放熱量との関係を示す線図である。横軸にLLC温度、縦軸にラジエータ放熱量をとる。
【0091】
この図19により、LLCの温度を前述のLLC入口温度にするために必要なラジエータ放熱量を求める。
【0092】
図20は、外気温度を一定とした場合にラジエータを通過するLLC量と、ラジエータが放熱する放熱量との関係を示す線図である。横軸にLLC量、縦軸に放熱量をとる。
【0093】
図1に示すシステムに置いて、ラジエータ18をバイパスして流れるLLC量が多くなり、ラジエータ18を通過するLLC量が小さくなるほど、ラジエータ18の放熱量は小さくなる。逆に、ラジエータ18をバイパスして流れるLLC量が少なくなり、ラジエータ18を通過するLLC量が多くなるほど、ラジエータ18の放熱量は大きくなる。したがって、ラジエータ18を通過するLLC量を制御することによって、ラジエータ18からの放熱量を制御することができ、運転条件によって変化する燃料電池本体11からの発熱量を適切に処理することができる。なお、ラジエータの放熱量は外気温度によって変わるので、図21により、外気温度に応じてラジエータ通過LLC量を補正する必要がある。
【0094】
図21は、外気温度に対するラジエータ通過LLC量補正係数の関係を示す線図である。横軸に外気温度、縦軸に補正係数をとる。
【0095】
上述の通り、ラジエータ18の放熱量は外気温度によって変動するので、この図21で求めた補正係数によってラジエータ通過LLC量を補正する必要がある。
【0096】
図22は、第5実施形態の制御を示すフローチャートである。
【0097】
始めに、ステップ(以下「S」と表記する)1において、外気温度を温度計で測定する。
【0098】
S2において、ガス入口湿度を湿度計で測定する。
【0099】
S3において、運転圧力(=ガス圧力)を圧力計又は圧力弁の開度で測定する。
【0100】
S4において、ガス供給量を流量計又はブロア出力で測定する。
【0101】
S5において、電流値を電流計で測定する。
【0102】
S6において、S5で測定した電流値からガス利用量を算出する。
【0103】
S7において、ガス利用率を算出する。具体的には、ガス利用率=ガス利用量(S6の算出値)/ガス供給量(S4の測定量)で算出できる。
【0104】
S8において、運転圧力(S3の測定値)とガス利用率(S7の算出値)とを図15に適用して水バランス成立温度を算出する。
【0105】
S9において、燃料電池特性に基づいて、水バランス成立温度(S8の算出値)からLLC入口温度を算出する。
【0106】
S10において、ガス入口温度(=水バランス成立温度(S8の算出値))とガス入口湿度(S2の測定値)とを図16に適用してLLC温度勾配を算出する。
【0107】
S11において、ガス利用率(S7の算出値)を図17に適用してLLC温度勾配補正係数を算出し、LLC温度勾配(S10の算出値)を補正する。
【0108】
S12において、補正されたLLC温度勾配を図18に適用してLLC循環量を算出する。
【0109】
S13において、LLC入口温度(S9の算出値)を図19に適用してラジエータ放熱量を算出する。
【0110】
S14において、ラジエータ放熱量(S13の算出値)を図20に適用してラジエータ通過LLC量を算出する。
【0111】
S15において、外気温度(S1の測定値)を図21に適用してラジエータ通過LLC量補正係数を算出して、ラジエータ通過LLC量(S14の算出値)を補正する。
【0112】
S16において、ラジエータ通過LLC量(S15の補正値)に基づいて、ポンプ15(図1参照)の出力及びバイパスバルブ19(図1参照)の開度を制御する。
【0113】
本実施形態によれば、LLC循環量とラジエータを通過するLLC量とを制御することによってラジエータ18からの放熱量を適切にコントロールすることができる。これによって、LLCの入口111及び出口115の温度を制御することができ、カソードBPP24を流れるガス温度をコントロールすることが可能になり、流路中でフラッディングが発生することを防止しつつ、燃料電池内の水バランスを成立させることができる。
【0114】
また、ガスの含むことのできる蒸気量を、生成水の累積に合わせて増加させることになるので、反応面ガス流路33内で水が液化するのを防ぐことができる。また、ガス入口部31とガス出口部37とが近接する場合、下流(裏面ガス流路35)で水の液化が進み、ガス入口部31への水の供給力が向上する。
【0115】
さらに、ガスの状態あるいは水の生成に合わせ、反応面ガス流路33内で水が過剰に液化するのをきめ細かく防ぐことができる。
【0116】
(第6実施形態)
図23は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第6実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【0117】
なお、本実施形態のシステム構成図は第1実施形態の図1と同じであるため省略する。
【0118】
第6実施形態は、燃料電池セルを構成するバイポラプレート(BPP)に水を透過しないソリッドタイプのBPPを用いつつ、水バランスが成立するような流路としたことを特徴とする。
【0119】
単セル20は、MEA21と、GDL22と、アノードBPP23と、カソードBPP24と、LLCプレート25とを有する。なお、本実施形態においては、アノードBPP及びカソードBPPはともにソリッドタイプのプレートである。
【0120】
図24は、第6実施形態のカソードBPPを示す図であり、図24(A)は表面図、図24(B)は図24(A)のB−B断面図である。
【0121】
図24には、カソードBPP24の流路形状を示す。カソードガスはガス入口部31から供給され、ガス入口マニホールド32を経由して、往路ガス流路33cに分岐して流れ、折返ガス流路33dで折り返して、復路ガス流路33eに流れる。その後、そのカソードガスは連通路34を経由してカソードBPP24の裏面に形成されたガス出口マニホールド36で合流させられ、ガス出口部37から排出される。
【0122】
図25は、第6実施形態の流路間の水の移動を示す平断面図である。
【0123】
前述したポーラスプレートと異なり、ソリッドプレート内では、水が移動することはできない。したがって、流路の下流で生成された余剰の液水は、GDL22を経由して流路上流側に戻る。LLCプレート25は、図11に示す流路と同じ流路のものを用いる。したがって、図24に示すカソードBPP24のガス流路では、LLC流路の入口側が配置されるガス入口マニホールド32及びガス出口マニホールド36側が低温となる。これに対して、LLC出口側に相当する折返ガス流路33dは高温である。したがって、往路ガス流路33cでは流れ方向に対して、温度が昇温していく。したがって、反応で生成された水は水蒸気圧の上昇によってガス中に取り込まれる。これに対して、流れ方向に対して温度が低下する復路ガス流路33eでは、飽和蒸気圧の低下によって、液相の水が生じる。ここで、図24に示すように、往路ガス流路33cが復路ガス流路33eに並行して隣接しているので、復路ガス流路33eで生成された余剰の水はポーラス構造であるGDL22を通って、水分が不足する往路ガス流路33cに移動する。
【0124】
また、本実施形態においても、第5実施形態と同様に、燃料電池内で水バランスが成立するようなLLC温度制御を行う。
【0125】
本実施形態によれば、上述したようなセルの構成、流路とすることによって、バイポーラプレートにソリッドプレートを用いた場合においても、流路中でのフラッディングを防止しつつ、燃料電池内の水バランスを成立させることができる。
【0126】
また、ガスの含むことのできる蒸気量を、生成水の累積に合わせて増加させることになるので、反応面ガス流路33内で水が液化するのを防ぐことができる。また、ガス入口部31とガス出口部37とが近接する場合、下流(裏面ガス流路35)で水の液化が進み、ガス入口部31への水の供給力が向上する。
【0127】
さらに、ガスの状態あるいは水の生成に合わせ、反応面ガス流路33内で水が過剰に液化するのをきめ細かく防ぐことができる。
【0128】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
【0129】
例えば、第1〜5実施形態では、カソードBPPのみをポーラスタイプのバイポーラプレートとし、アノードBPPはソリッドタイプのプレートとしているが、アノードBPPのみをポーラスタイプとしたり、アノードBPP及びカソードBPPの両方をポーラスタイプとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第1実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【図3】ポーラスタイプのプレートであるカソードBPPの流路形状を示す図である。
【図4】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムに使用する単セルの側断面図である。
【図5】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第2実施形態の単セルを示す側断面図である。
【図6】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第3実施形態の流路形状を示す図である。
【図7】第3実施形態のガス流路間のガス移動を示す平断面図である。
【図8】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第4実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【図9】連通路として貫通孔を使用した場合(例えば、第2実施形態)の、ガス流量に対する反応面ガス流路と裏面ガス流路とのガス圧力差を示す線図である。
【図10】第4実施形態におけるガス流量に対するマニホールドの有効高さh及びそのときの差圧Pa−Pbを示す線図である。
【図11】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第5実施形態のLLCプレートを示す図である。
【図12】温度の対する飽和蒸気圧を示す線図である。
【図13】本実施形態のガス流路中の位置に対する相対湿度と水分量及び温度の関係を示す線図である。
【図14】燃料電池の運転圧力を一定にした場合のガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す線図である。
【図15】運転圧力及びガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す線図である。
【図16】ガス入口温度及びガス入口湿度に対するLLCの温度勾配の関係を示す線図である。
【図17】ガス利用率に対する温度勾配補正係数を示す線図である。
【図18】LLC流路を流れるトータルのLLC循環量に対する燃料電池セル内の温度勾配を示す線図である。
【図19】LLC温度とラジエータ放熱量との関係を示す線図である。
【図20】外気温度を一定とした場合にラジエータを通過するLLC量と、ラジエータが放熱する放熱量との関係を示す線図である。
【図21】外気温度に対するラジエータ通過LLC量補正係数の関係を示す線図である。
【図22】第5実施形態の制御を示すフローチャートである。
【図23】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第6実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【図24】第6実施形態のカソードBPPを示す図である。
【図25】第6実施形態の流路間の水の移動を示す平断面図である。
【符号の説明】
1 目標LLC入口温度算出手段
2 ガス流路温度勾配算出手段
3 流量制御手段
4 放熱量制御手段
10 制御ユニット
11 燃料電池本体
14 LLCタンク
18 ラジエータ
19 バイパスバルブ
20 単セル
21 膜・電極接合体(MEA)
22 ガス拡散層(GDL)
23 アノードバイポーラプレート;アノードBPP(セパレータ)
24 カソードバイポーラプレート;カソードBPP(セパレータ)
25 LLCプレート(セパレータ冷却手段)
31 ガス入口部
33 反応面ガス流路(第1のガス流路)
33a 第1反応面ガス流路(入口流路部)
33b 第2反応面ガス流路(出口流路部)
33c 往路ガス流路
33d 折返ガス流路(折返部)
33e 復路ガス流路
34 連通路(連通手段)
35 裏面ガス流路(第2のガス流路)
37 ガス出口部
81 連通マニホールド(連通手段)
82 差圧調整機構(圧力損失制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子膜の電解質層の両面に電極層を配置する膜・電極接合体を使用して、燃料が有する化学エネルギを電気エネルギに変換する固体高分子型燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料が有する化学エネルギを直接電気エネルギに変換するシステムであり、電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうち、一方の電極(陽極;アノード電極)に水素を含有する燃料ガスを供給するとともに、他方の電極(陰極;カソード電極)に酸素を含有する酸素剤ガスを供給し、これら一対の電極の電解質膜側の表面で生じる下記の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギを取り出す。
【0003】
陽極反応:H2 → 2H+ + 2e− −−−−(1)
陰極反応:2H+ + 2e− +(1/2)O2 → H2 O −−−−(2)
陽極(アノード電極)に燃料ガスを供給する方法としては、水素貯蔵装置(例えば、高圧ガスタンク、液化水素タンク、水素吸蔵合金タンク等)から直接供給する方法、水素を含有する燃料(例えば、天然ガス、メタノール、ガソリン等)を改質して生成した水素含有ガスを供給する方法などが知られている。また、陰極(カソード電極)に供給する燃料ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
【0004】
(2)式に示したように、燃料電池稼動時は陰極において水が生成する。また、この水の一部はカソード側からアノード側に逆拡散し、アノード側からも排出される。このとき、燃料ガスを供給する流路内に過剰に水が存在する領域があると液相の水が発生し、フラッディング(水づまり)が起こる。その結果、ガス供給が妨げられ、セルの性能が低下して発電能力が落ちてしまう。この水は、(2)式に示したように、反応によって生成するので、燃料ガスが燃料電池内を上流から下流に向かって流れるにつれて水分量が増加するため、燃料電池出口付近ではフラッディングが生じやすい。
【0005】
そこで、燃料電池内の温度分布を制御することでフラッディングを防止する技術が特表平9−511356号公報に開示されている。この従来技術は、ガスの流れとクーラントの流れとをコフローとして、ガスの入口から出口に向かって温度を上昇させて燃料電池内の温度分布を制御し、発生した水を水蒸気としてガスに取り込むことでフラッディングを防止しようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来技術においては、ガスの温度を昇温させているので燃料電池から排出されるガス温度が高温になる。このため、燃料電池から外部に排出される水量が増加してドライアウト(乾燥状態)を生じやすく、燃料電池内の水バランスが成立しない。したがって、燃料電池下流の水回収装置が必要となり、システムが複雑化するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、フラッディング(水づまり)及びドライアウト(乾燥状態)の発生を防止して良好に発電することができる固体高分子型燃料電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0009】
本発明は、固体高分子膜の電解質層の両面に電極層を配置する膜・電極接合体(21)と、その膜・電極接合体(21)の両外面に配置されたセパレータ(23,24)とを有する単セル(20)を積層して形成され、そのセパレータ(23,24)に反応ガスを通流させて発電を行う固体高分子型燃料電池であって、前記単セル(20)のセパレータのうち少なくともいずれか一方のセパレータ(24)は、前記膜・電極接合体側の面に反応ガスを通流可能な第1のガス流路(33)を形成し、前記膜・電極接合体側の面と反対側の面に、前記第1のガス流路を通流した反応ガスを通流可能な第2のガス流路(35)を形成するポーラスタイプのセパレータであり、前記第1のガス流路(33)及び第2のガス流路(35)を連通する連通手段(34)を備えることを特徴とする。
【0010】
【作用・効果】
本発明によれば、ポーラスタイプのセパレータを使用することで、セパレータの下流側流路(第2のガス流路)、すなわち膜・電極接合体側の面と反対側の面で液化した水を、セパレータの上流側流路(第1のガス流路)、すなわち膜・電極接合体側の反応面を流れるガスに供給でき、下流におけるフラディングおよび上流におけるドライアウトを防ぐことができる。
【0011】
また、ポーラスタイプのセパレータを使用して、ガスの含有可能な蒸気量を生成水の累積に合わせて増加させることになるので、上流側流路内で水が液化するのを防ぐことができる。またガス入口部とガス出口部が近接する場合、下流で水の液化が進み、ガス入口部への水の供給力が向上する。
【0012】
さらに、ソリッドタイプのセパレータを使用すれば、ガスの含有可能な蒸気量を生成水の累積に合わせて増加させることになるので、上流側流路内で水が液化するのを防ぐことができる。またガス入口部とガス出口部が近接する場合、下流で水の液化が進み、ガス入口部への水の供給力が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの構成を示す図であり、図1(A)は制御ユニットの構成を示す図、図1(B)はシステム全体の構成を示す図である。
【0014】
この実施形態は、ポーラスタイプのバイポーラプレートを使用して、バイポーラプレートの表裏両面にガスを流すことによって、セル内部の水分量を均一化し、フラッディング及びドライアウトの発生を防止することを特徴とするものである。
【0015】
図1(B)に示すように、本発明の固体高分子型燃料電池システムは、燃料電池本体11と、燃料電池本体11に供給されるガスの温度を検出する温度センサ12と、ガスの湿度を検出する湿度センサ13を有する。また、本発明の燃料電池システムは、燃料電池本体11を最適な温度に保つために、燃料電池本体11の内部にロングライフクーラント(LLC)を循環させるLLC循環システムを有する。このロングライフクーラントとしては、例えば、エチレングライコールと水との混合液等がある。LLC循環システムは、LLCタンク14、ポンプ15、バルブ16、温度センサ17、ラジエータ18及びバイパスバルブ19を有する。
【0016】
この燃料電池システムは、制御ユニット10によって運転状態が制御される。制御ユニット10は、図1(A)に示すように、燃料電池負荷信号、ガス温度信号、ガス湿度信号及び外気温度信号から、制御目標となるLLC入口温度を算出する目標LLC入口温度算出手段1と、ガス流路の温度勾配を算出するガス流路温度勾配算出手段2とを有し、さらに、その算出結果に基づいて、LLCの流量を制御する流量制御手段3及びラジエータ18の放熱量を制御するラジエータの放熱量制御手段4を有する。
【0017】
なお、本実施形態ではポーラスタイプのバイポーラプレートをカソード側のみに用いているが、アノード側のみ、あるいはアノード側及びカソード側の両方に用いてもよい。
【0018】
図2は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第1実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【0019】
単セル20は、膜・電極接合体(Membrane Electrode Assembly(以下「MEA」と省略する))21と、その両面に形成されたガス拡散層(Gas Diffusion Layer(以下「GDL」と省略する))22と、一方のGDL22に形成されたアノードバイポーラプレート(Bipolar Plate(以下、バイポーラプレートを「BPP」と省略する))23と、他方のGDL22に形成されたカソードバイポーラプレート(カソードBPP)24と、そのカソードBPP24に形成されたLLCプレート25とを備える。
【0020】
なお、本実施形態では、カソードBPP24のみをポーラスタイプのバイポーラプレートとし、アノードBPP23はソリッドタイプのプレートとしているが、アノードBPP23のみをポーラスタイプとしたり、アノードBPP23及びカソードBPP24の両方をポーラスタイプとしてもよい。
【0021】
図3は、ポーラスタイプのプレートであるカソードBPPの流路形状を示す図であり、図3(A)は表面図、図3(B)は図3(A)(又は図3(C))のB−B断面図、図3(C)は裏面図である。
【0022】
カソードガスは、ガス入口部31からガス入口マニホールド32を経由し、MEA側であって反応ガスによる反応が行われる面(以下「反応面」という。また、この面を、適宜、表面と表現する。)に形成された反応面ガス流路33に分岐して流れ、連通路34を通過して、プレート裏面(反応面と反対のLLCプレート側の面)に進み、裏面ガス流路35を流れる。そして、ガス出口マニホールド36で合流し、ガス出口部37から排出される。
【0023】
図4は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムに使用する単セルの側断面図であり、図中の矢印はセル内の水移動を示す。
【0024】
次に、ポーラスタイプのプレートであるカソードプレート内の水の移動を説明する。
【0025】
本実施形態では、カソードBPP24はポーラスタイプのプレートであり、プレート内には空間が存在する。そのため、水が、そのプレートの内部を通って移動することができる。また、水がポーラスプレート内を満たしていると、その水の表面張力によって、ガスがポーラスプレートの表面(MEA側の面)から裏面(LLC側の面)に漏れることはない。
【0026】
カソードBPP24の裏側にはLLCプレート25が存在するので、カソードBPP24の裏面はLLCによって冷却される。したがって、カソードBPP24の裏面を流れるガスは表面側より低温である。このため、連通路34を通過して裏面ガス流路35を流れるガスは冷却され、飽和蒸気圧を超える分の水蒸気は凝縮して液化する。そして、この凝縮水は、ポーラスタイプのプレートであるカソードBPP24を通過可能であり、カソードBPP24の表側に移動する。
【0027】
外気が乾燥している場合に乾燥したガスがスタックに流れ込むと、そのガスを加湿するために膜の水分が蒸発するので、セル内の入口部付近でドライアウト(乾燥状態)が発生しやすいが、本実施形態によれば、ポーラスタイプのプレートのLLC側で冷却されたガスが凝縮されて、その凝縮水がポーラスプレート内を自由に移動可能であるので、その凝縮水が必要とされる部分(乾燥部分)に移動する。したがって、セル内の湿度分布を均一に保つことができる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、バイポーラスプレート(本実施形態ではカソードBPP24)にポーラスタイプのセパレータを使用したので、例えば、反応ガスが通流されるMEA側の面(反応面)で水が過剰となった場合には、その裏面に余剰の水を排出することができ、また、逆にMEA側の反応面が乾燥状態となって湿度が不足する場合には、裏面で液化した水を浸透させて反応ガスの乾燥を防止することができる。このように、セル内部の水分量を均一化させて、MEA側の反応面のドライアウトを防止することができるとともに、裏面のフラッディングを防止することができる。
【0029】
また、LLCプレート25によってカソードBPP24の裏面を冷却するので、裏面ガス流路35での水の凝縮を促進し、裏面側から表面側への水の供給力を向上させることができる。
【0030】
また、カソードBPP24の表裏面で、反応面ガス流路33及び裏面ガス流路35を隣接させたので、反応面全体でムラ無く、裏面から反応面に水を供給できるようになり、さらにガス出口部37とガス入口部31を近接させたので、凝縮水が多い出口のガスから入口のガスへ効果的に水を供給することができる。
【0031】
さらに、カソードBPP24に形成した貫通孔を連通路としたので、燃料電池の構成を簡素化し小型化することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図5は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第2実施形態の単セルを示す側断面図であり、第1実施形態の図4に相当する図である。
【0033】
なお、以下に示す各実施形態では、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。また、本実施形態のシステム構成図は第1実施形態の図1と同じであるため省略する。
【0034】
本実施形態の単セル20は、第1実施形態の単セルに対して、カソードBPP24の連通路34が相違する。これによって、カソードBPP24の反応面ガス流路33のガス圧と裏面ガス流路35のガス圧とに差圧を生じさせることが特徴である。
【0035】
すなわち、本実施形態のカソードBPP24の連通路34は、孔の断面積が反応面ガス流路33の断面積よりも小さい。このため、カソードガスが連通路34を通過する際に圧力損失が発生し、裏面ガス流路35のガス圧(Pb)は反応面ガス流路33のガス圧(Pa)よりも低くなる。逆に言えば、反応面ガス流路33のガス圧(Pa)は裏面ガス流路35のガス圧(Pb)よりも高い。このとき、例えば、PaとPbとで10kPaの差圧を確保する。このように、反応面ガス流路33のガス圧Paが裏面ガス流路35のガス圧Pbよりも高いので、反応面ガス流路33で生成された水はカソードBPP24の内部に移動する。
【0036】
カソードBPP24の表面はMEAの反応面であるので、万一、反応面ガス流路33でフラッディングが発生するとカソードガスの拡散が阻害されてセルの性能が低下してしまうおそれがある。しかし、本実施形態によれば、上述の通り、反応面ガス流路33で生成された水はカソードBPP24の内部を移動するので、反応面側でのフラッデングの発生を確実に防止し、セルの性能低下を防止することができる。また、ポーラスプレートであるカソードBPP24の内部に取り込まれた水は、水分が不足すると入口部に移動し入口ガスを加湿する。
【0037】
このように、本実施形態によれば、連通路34の孔を、その断面積が反応面ガス流路33の断面積よりも小さくなるようにしたので、反応面ガス流路33のガス圧が裏面ガス流路35のガス圧よりも高圧になる。この圧力差によって、反応面ガス流路33で過剰な水が凝縮した場合、その凝縮水をポーラスセパレータであるカソードBPP24を通して裏面ガス流路35側に排出することができるので、反応面ガス流路33側でのフラッデングを防止できるとともに、セルの内の水分布を均一化することができる。
【0038】
また、圧力設定手段を外部装置として設ける必要がない。
【0039】
(第3実施形態)
図6は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第3実施形態の流路形状を示す図であり、第1実施形態の図3に相当する図である。図6(A)は表面図、図6(B)は図6(A)(又は図6(C))のB−B断面図、図6(C)は裏面図である。
【0040】
本実施形態では、第1実施形態に対してカソードBPP24のガス流路の形状が相違する。システム構成図は第1実施形態の図1と同じであるため省略する。
【0041】
第3実施形態では、第1実施形態(図3)に対してカソードBPPの表面に形成した反応面ガス流路において、隣合う流路間をガスが移動するようにしたことが特徴である。すなわち、本実施形態では、カソードBPP24は、表面に2種類の反応面ガス流路33a、33bが交互に形成されている(図6(A))。第1反応面ガス流路33aは、ガス入口マニホールド32から分岐し、反対端がデッドエンドとなっている。第2反応面ガス流路33bは、第1反応面ガス流路33aの間に形成され、ガス入口マニホールド32に接続されていない。第2反応面ガス流路33bは、ガス入口マニホールド32と反対側が連通路34を介して裏面ガス流路35に連通している。
【0042】
ガス入口マニホールド32から第1反応面ガス流路33aに流入したガスは、ポーラス構造のGDL22を通って、隣の第2反応面ガス流路33bに移動する。
【0043】
図7は、第3実施形態のガス流路間のガス移動を示す平断面図である。
【0044】
第1反応面ガス流路33aから第2反応面ガス流路33bに移動するガスは、図7に示すように、GDL22を通過する。そのため、GDL22ではガスの拡散が促進される。そのため、MEA21は全面に渡って反応に活用されることになる。加えて、GDL22に余剰水分が発生した場合においても、カソードガスがGDL22を通過する際にその余剰水分を排水する作用があるので、ガス拡散が水に阻害されにくい。
【0045】
このように、本実施形態によれば、カソードガスはGDL22を通過して流れるので、ガス拡散ロスが低減し、MEA21の全面で反応が生じ、ガスの拡散が促進されてスタックの性能が改善し、燃料電池性能が向上する。
【0046】
(第4実施形態)
図8は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第4実施形態のセル構成を示す側断面図であり、第1実施形態の図2に相当する図である。
【0047】
なお、本実施形態のシステム構成図は第1実施形態の図1と同じであるため省略する。
【0048】
本実施形態は、第1実施形態に対してカソードBPP24の連通路の形状が相違する。本実施形態の連通路は、外部マニホールドとして形成されている。
【0049】
第1実施形態では、連通路としてカソードBPP24に貫通孔の連通路34を形成することで、反応面ガス流路33と裏面ガス流路35とを連通させているが、本実施形態では、単セル20の外部に連通マニホールド81を設けて反応面ガス流路33と裏面ガス流路35とを連通させている。また、連通マニホールド81の内部には、連通マニホールド81の有効高さを調整することで差圧を調整可能な差圧調整機構82を設けている。
【0050】
図9は、連通路として貫通孔を使用した場合(例えば、第2実施形態)の、ガス流量に対する反応面ガス流路と裏面ガス流路とのガス圧力差を示す線図である。横軸にガス流量、縦軸にガス圧力差をとる。
【0051】
燃料電池の負荷が増大するとガス流量が増加するが、この図9から、ガス流量が増加すれば圧力差が大きくなり、ガス流量が少ないときは圧力差も小さいことが分かる。このように、ガス流量が少ないときには圧力差が小さいので、反応面ガス流路33側での水の排水効果が小さい。
【0052】
図10は、第4実施形態におけるガス流量に対するマニホールドの有効高さh及びそのときの差圧Pa−Pbを示す線図である。横軸にガス流量、左側縦軸に有効高さh、右側縦軸に差圧Pa−Pbをとる。
【0053】
本実施形態では、連通マニホールド81の有効高さを差圧調整機構82で調整して、差圧を制御することができる。
【0054】
この図10から、ガス流量を小さくしたときに(すなわち、燃料電池の負荷が小さくなったときに)マニホールドの有効高さhを小さくすれば、差圧Pa−Pbを一定に保つことができることが分かる。すなわち、ガス流量を変化させたときに、それに合わせてマニホールドの有効高さhを適宜調整することで差圧Pa−Pbを一定に保つことができる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、流量によらずに流路間のガスの差圧Pa−Pbを一定に保つことができるため、常にフラッディングの発生を防止することができる。
【0056】
また、セパレータ(カソードBPP)の構造を簡素化できる。また反応面で生じた生成水を一旦均一化して裏面に導入することができる。
【0057】
さらに、反応面ガス流路33と裏面ガス流路35との圧力損失を制御して、圧力差を調節することができる。
【0058】
さらにまた、負荷(流量)に依らず圧力差を一定に保つことができ、反応面側で生じた生成水の裏面への排出性を維持することができる。
【0059】
(第5実施形態)
図11は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第5実施形態のLLCプレートを示す図である。
【0060】
なお、本実施形態のシステム構成、セル構成、カソードプレート形状は、第1実施形態と同じであり、それぞれ図1、図2、図3と同一であるため省略する。
【0061】
この第5実施形態は、第1実施形態に対してガス流路の流れ方向に対して温度勾配を設けたこと、燃料電池本体11の内部で生成される水分量と燃料電池本体11の外部へ持ち出される水分量とのバランスが成立するように制御することを特徴とする。
【0062】
LLCプレート25に形成されたLLC流路113はサーペンタイン式となっている。LLC入口111から流入したLLCは、LLC入口マニホールド112を通過した後に、LLC流路113に分岐する。その後、折り返しの流路を通過してからLLC出口マニホールド114で合流してLLC出口115から排出される。LLCは燃料電池本体11で発生した熱を吸収するのでLLC入口111からLLC出口115に流れるにしたがって温度が昇温する。図3に示したガス流路との関係を考えると、ガス入口部31から連通路34に向かって温度が上昇する。逆に、リターン時には連通路34からガス出口部37に向かって温度が低下する配置となる。
【0063】
図12は、温度の対する飽和蒸気圧を示す線図である。横軸に温度、縦軸に飽和蒸気圧をとる。
【0064】
この図12より、温度が高くなるに連れて急激に飽和蒸気圧が大きくなることが分かる。これはガスの温度が上がれば、その分だけガスが水分を気相状態で保持できることを示している。また、逆に、温度が下がれば、ガスが水分を気相状態で保持できず、水が凝縮して液化する。
【0065】
図13は、本実施形態のガス流路中の位置に対する相対湿度と水分量及び温度の関係を示す線図である。横軸にガス流路中の位置、左側縦軸に相対湿度、右側縦軸に水分量及び温度をとる。
【0066】
前述したように、カソードBPP24の表面では、ガス入口部31から反応面ガス流路33を通って連通路34(リターン部)に達するまでガスの温度が上昇する。このため、生成水が発生した場合においてもガスの相対湿度は100%となり、飽和することがなく、過飽和となって水凝縮することがない。その結果、反応面ガス流路33ではフラディングが発生しない。
【0067】
また、カソードBPP24の裏面では、連通路34(リターン部)からガス出口部37に向かうにしたがってガスの温度が低下する。このため、水分量は飽和時に含み得る水分以上となって、相対湿度は常に100%以上となり、過飽和分の水はプレート面で凝縮して液化する。しかしながら、カソードBPPはポーラスタイプであるので、液化した水はプレート内を移動して、水分が必要な表面側に移動し、ガスの加湿に使用される。
【0068】
このように、本実施形態によれば、ガス流路の流れ方向に温度勾配を持たせることによって、反応面ガス流路33でのフラッディングの発生を防止することができる。さらに、裏面ガス流路35のフラッディングによる流路閉塞の防止と、カソードBPPの入口31から流入するガスに対する速やかな加湿とを両立させることができる。
【0069】
図14は、燃料電池の運転圧力を一定にした場合のガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す線図である。横軸にガス利用率、縦軸に水バランス成立温度をとる。
【0070】
燃料電池では、前述したように反応によって水が生成され、この水を水蒸気として保持するガスが排出される。したがって、例えば、燃料電池の上流に加湿器がなく、燃料電池にドライガスが流入する場合、燃料電池から排出されるガスの温度が高いと、生成される水以上の水が排出ガスによって持ち去られてしまうことになる。
【0071】
このような状態で、生成される水以上の水が排出ガスによって持ち去られると燃料電池内の水が減少しドライアウトを生じてしまう。
【0072】
このような事態を生じさせないために、燃料電池本体の内部で生成される水分量と、燃料電池本体の外部へ持ち出される水分量とのバランス(水バランス)を成立させることが重要である。燃料電池内で水バランスを成立させることができない場合には、燃料電池の下流に水回収装置を設置して水を回収し、燃料電池内の水が不足したら、この回収した水を使って、燃料電池に流入するガスを加湿する必要がある。このように、燃料電池内で水バランスを成立させることができないときはシステムが複雑になる。
【0073】
燃料電池の運転圧力を一定とした場合に、この水バランスが成立するか否かは、燃料電池出口のガス温度とガス利用率との関係で決まり、この関係を図14に示した。なお、水バランス成立温度とは、水バランスが成立するときに燃料電池から排出される燃料電池出口のガス温度をいう。
【0074】
この図14に示すように水バランス成立温度はガス利用率の関数となる。ガス利用率が大きいときは排ガスの量が減るのでガスが持ち去る水分量が減り、水バランス成立温度が高くなる。逆に、ガス利用率が小さいときは排ガスの量が増えるので、ガスが持ち去る水分量が多くなり、水バランス成立温度は低くなる。
【0075】
図15は、運転圧力及びガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す線図である。横軸に運転圧力、縦軸にガス利用率をとる。
【0076】
上述した関係をもとに、さらに、図15に運転圧力及びガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す。
【0077】
運転圧力(すなわち、運転時のガス圧力)が高くなるほどガスが持ち去る水分量が少なくなるため、水バランス成立温度は高くなる。よって、運転圧力が高いほど、またガス利用率が大きいほど、水バランス成立温度は高くなる。このように、図15では、右上の線図ほど水バランス成立温度が高温で、左下の線図ほど水バランス成立温度が低温である。この図15を使用すれば、燃料電池の運転圧力を変化させた場合に水バランスを成立させるための水バランス成立温度及びそのときのガス利用率を求めることができる。
【0078】
LLCを使って燃料電池の温度をコントロールすることを考えると、ある運転圧力とガス利用率のもとで、燃料電池内で水バランスを成立させるためには、LLCで燃料電池の出口37のガス温度(以下「ガス出口温度」という)をある温度にまで冷やす必要がある。例えば、図11に示したLLCプレート25を使用して、そのLLC流路113を流れるLLCによって燃料電池から排出されるガスの温度を制御する。ただし、熱交換効率の関係で、ガス出口温度をLLCの入口温度以下に冷やすことはできないので、LLCの入口温度を水バランス成立温度よりも低い温度に設定する必要がある。
【0079】
ガス出口温度を水バランス成立温度とするためのLLC入口温度の値は、熱伝導率や流路形状など燃料電池に特有な特性で決まるので、あらかじめ、ガス出口温度に対するLLC入口温度の関係を用意しておき、これを参照することで求めることができる。
【0080】
このように、運転圧力とガス利用率とが決まれば、水バランスを成立させるためのガス出口温度が決まり、そのガス出口温度にするためのLLC入口温度が決定する。
【0081】
また、流路途中でのフラッディングを防止するためには、流路途中での温度も制御する必要があり、ガス流路のリターン部(連通路34)付近の温度を目標温度にする。このため、ガス流路のリターン部(連通路34)付近に配置されるLLC出口115で満たすべき温度が定まり、そのような温度にするためのLLC温度の温度勾配が必要となる。
【0082】
このように、フラッディングを防止しつつ、水バランスを成立させるためには、LLCの入口111及び出口115の温度を目標値に制御する必要があり、このため、燃料電池の発熱量とラジエータでの放熱量とを考慮して、所定のLLC入口111の温度と温度勾配とになるように、LLCの流量を制御する必要がある。
【0083】
図16は、ガス入口温度及びガス入口湿度に対するLLCの温度勾配の関係を示す線図である。横軸にガス入口温度、縦軸にガス入口湿度をとる。
【0084】
ガス入口温度が高いほど、ガス入口湿度が高いほど、LLCの温度勾配を大きくする。このように制御することによって、外気条件が変化した場合においても、確実にフラディングの発生を防止することができる。
【0085】
図17は、ガス利用率に対する温度勾配補正係数を示す線図である。横軸にガス利用率、縦軸に温度勾配補正係数をとる。
【0086】
図16ではガスの利用率が一定の場合で説明したが、ガスの利用率を変える場合には補正が必要にあり、図17にガス利用率に対する温度勾配補正係数を示した。
【0087】
ガス利用率が小さいほどガスは多くの水分量を気相で保持できるので、温度勾配を小さくすることができる。逆に、ガス利用率が大きいとガスが気相で保持できる水分量は少なくなるため、大きな温度勾配が必要になる。このような特性を考慮して、温度勾配補正係数で温度勾配を補正する。
【0088】
図18は、LLC流路を流れるトータルのLLC循環量に対する燃料電池セル内の温度勾配を示す線図である。横軸にLLC循環量、縦軸に温度勾配をとる。
【0089】
この図から目標とすべき温度勾配を達成するために必要となるLLC循環量を決定することができる。LLC循環量を少なくするほど、温度勾配を大きくすることができる。すなわち、LLC循環量が少ないほど、LLCが入口111から出口115に達するまでの温度変化が大きく、LLC循環量が多いほど、LLCが入口111から出口115に達するまでの温度変化が小さい。
【0090】
図19は、LLC温度とラジエータ放熱量との関係を示す線図である。横軸にLLC温度、縦軸にラジエータ放熱量をとる。
【0091】
この図19により、LLCの温度を前述のLLC入口温度にするために必要なラジエータ放熱量を求める。
【0092】
図20は、外気温度を一定とした場合にラジエータを通過するLLC量と、ラジエータが放熱する放熱量との関係を示す線図である。横軸にLLC量、縦軸に放熱量をとる。
【0093】
図1に示すシステムに置いて、ラジエータ18をバイパスして流れるLLC量が多くなり、ラジエータ18を通過するLLC量が小さくなるほど、ラジエータ18の放熱量は小さくなる。逆に、ラジエータ18をバイパスして流れるLLC量が少なくなり、ラジエータ18を通過するLLC量が多くなるほど、ラジエータ18の放熱量は大きくなる。したがって、ラジエータ18を通過するLLC量を制御することによって、ラジエータ18からの放熱量を制御することができ、運転条件によって変化する燃料電池本体11からの発熱量を適切に処理することができる。なお、ラジエータの放熱量は外気温度によって変わるので、図21により、外気温度に応じてラジエータ通過LLC量を補正する必要がある。
【0094】
図21は、外気温度に対するラジエータ通過LLC量補正係数の関係を示す線図である。横軸に外気温度、縦軸に補正係数をとる。
【0095】
上述の通り、ラジエータ18の放熱量は外気温度によって変動するので、この図21で求めた補正係数によってラジエータ通過LLC量を補正する必要がある。
【0096】
図22は、第5実施形態の制御を示すフローチャートである。
【0097】
始めに、ステップ(以下「S」と表記する)1において、外気温度を温度計で測定する。
【0098】
S2において、ガス入口湿度を湿度計で測定する。
【0099】
S3において、運転圧力(=ガス圧力)を圧力計又は圧力弁の開度で測定する。
【0100】
S4において、ガス供給量を流量計又はブロア出力で測定する。
【0101】
S5において、電流値を電流計で測定する。
【0102】
S6において、S5で測定した電流値からガス利用量を算出する。
【0103】
S7において、ガス利用率を算出する。具体的には、ガス利用率=ガス利用量(S6の算出値)/ガス供給量(S4の測定量)で算出できる。
【0104】
S8において、運転圧力(S3の測定値)とガス利用率(S7の算出値)とを図15に適用して水バランス成立温度を算出する。
【0105】
S9において、燃料電池特性に基づいて、水バランス成立温度(S8の算出値)からLLC入口温度を算出する。
【0106】
S10において、ガス入口温度(=水バランス成立温度(S8の算出値))とガス入口湿度(S2の測定値)とを図16に適用してLLC温度勾配を算出する。
【0107】
S11において、ガス利用率(S7の算出値)を図17に適用してLLC温度勾配補正係数を算出し、LLC温度勾配(S10の算出値)を補正する。
【0108】
S12において、補正されたLLC温度勾配を図18に適用してLLC循環量を算出する。
【0109】
S13において、LLC入口温度(S9の算出値)を図19に適用してラジエータ放熱量を算出する。
【0110】
S14において、ラジエータ放熱量(S13の算出値)を図20に適用してラジエータ通過LLC量を算出する。
【0111】
S15において、外気温度(S1の測定値)を図21に適用してラジエータ通過LLC量補正係数を算出して、ラジエータ通過LLC量(S14の算出値)を補正する。
【0112】
S16において、ラジエータ通過LLC量(S15の補正値)に基づいて、ポンプ15(図1参照)の出力及びバイパスバルブ19(図1参照)の開度を制御する。
【0113】
本実施形態によれば、LLC循環量とラジエータを通過するLLC量とを制御することによってラジエータ18からの放熱量を適切にコントロールすることができる。これによって、LLCの入口111及び出口115の温度を制御することができ、カソードBPP24を流れるガス温度をコントロールすることが可能になり、流路中でフラッディングが発生することを防止しつつ、燃料電池内の水バランスを成立させることができる。
【0114】
また、ガスの含むことのできる蒸気量を、生成水の累積に合わせて増加させることになるので、反応面ガス流路33内で水が液化するのを防ぐことができる。また、ガス入口部31とガス出口部37とが近接する場合、下流(裏面ガス流路35)で水の液化が進み、ガス入口部31への水の供給力が向上する。
【0115】
さらに、ガスの状態あるいは水の生成に合わせ、反応面ガス流路33内で水が過剰に液化するのをきめ細かく防ぐことができる。
【0116】
(第6実施形態)
図23は、本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第6実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【0117】
なお、本実施形態のシステム構成図は第1実施形態の図1と同じであるため省略する。
【0118】
第6実施形態は、燃料電池セルを構成するバイポラプレート(BPP)に水を透過しないソリッドタイプのBPPを用いつつ、水バランスが成立するような流路としたことを特徴とする。
【0119】
単セル20は、MEA21と、GDL22と、アノードBPP23と、カソードBPP24と、LLCプレート25とを有する。なお、本実施形態においては、アノードBPP及びカソードBPPはともにソリッドタイプのプレートである。
【0120】
図24は、第6実施形態のカソードBPPを示す図であり、図24(A)は表面図、図24(B)は図24(A)のB−B断面図である。
【0121】
図24には、カソードBPP24の流路形状を示す。カソードガスはガス入口部31から供給され、ガス入口マニホールド32を経由して、往路ガス流路33cに分岐して流れ、折返ガス流路33dで折り返して、復路ガス流路33eに流れる。その後、そのカソードガスは連通路34を経由してカソードBPP24の裏面に形成されたガス出口マニホールド36で合流させられ、ガス出口部37から排出される。
【0122】
図25は、第6実施形態の流路間の水の移動を示す平断面図である。
【0123】
前述したポーラスプレートと異なり、ソリッドプレート内では、水が移動することはできない。したがって、流路の下流で生成された余剰の液水は、GDL22を経由して流路上流側に戻る。LLCプレート25は、図11に示す流路と同じ流路のものを用いる。したがって、図24に示すカソードBPP24のガス流路では、LLC流路の入口側が配置されるガス入口マニホールド32及びガス出口マニホールド36側が低温となる。これに対して、LLC出口側に相当する折返ガス流路33dは高温である。したがって、往路ガス流路33cでは流れ方向に対して、温度が昇温していく。したがって、反応で生成された水は水蒸気圧の上昇によってガス中に取り込まれる。これに対して、流れ方向に対して温度が低下する復路ガス流路33eでは、飽和蒸気圧の低下によって、液相の水が生じる。ここで、図24に示すように、往路ガス流路33cが復路ガス流路33eに並行して隣接しているので、復路ガス流路33eで生成された余剰の水はポーラス構造であるGDL22を通って、水分が不足する往路ガス流路33cに移動する。
【0124】
また、本実施形態においても、第5実施形態と同様に、燃料電池内で水バランスが成立するようなLLC温度制御を行う。
【0125】
本実施形態によれば、上述したようなセルの構成、流路とすることによって、バイポーラプレートにソリッドプレートを用いた場合においても、流路中でのフラッディングを防止しつつ、燃料電池内の水バランスを成立させることができる。
【0126】
また、ガスの含むことのできる蒸気量を、生成水の累積に合わせて増加させることになるので、反応面ガス流路33内で水が液化するのを防ぐことができる。また、ガス入口部31とガス出口部37とが近接する場合、下流(裏面ガス流路35)で水の液化が進み、ガス入口部31への水の供給力が向上する。
【0127】
さらに、ガスの状態あるいは水の生成に合わせ、反応面ガス流路33内で水が過剰に液化するのをきめ細かく防ぐことができる。
【0128】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
【0129】
例えば、第1〜5実施形態では、カソードBPPのみをポーラスタイプのバイポーラプレートとし、アノードBPPはソリッドタイプのプレートとしているが、アノードBPPのみをポーラスタイプとしたり、アノードBPP及びカソードBPPの両方をポーラスタイプとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第1実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【図3】ポーラスタイプのプレートであるカソードBPPの流路形状を示す図である。
【図4】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムに使用する単セルの側断面図である。
【図5】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第2実施形態の単セルを示す側断面図である。
【図6】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第3実施形態の流路形状を示す図である。
【図7】第3実施形態のガス流路間のガス移動を示す平断面図である。
【図8】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第4実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【図9】連通路として貫通孔を使用した場合(例えば、第2実施形態)の、ガス流量に対する反応面ガス流路と裏面ガス流路とのガス圧力差を示す線図である。
【図10】第4実施形態におけるガス流量に対するマニホールドの有効高さh及びそのときの差圧Pa−Pbを示す線図である。
【図11】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第5実施形態のLLCプレートを示す図である。
【図12】温度の対する飽和蒸気圧を示す線図である。
【図13】本実施形態のガス流路中の位置に対する相対湿度と水分量及び温度の関係を示す線図である。
【図14】燃料電池の運転圧力を一定にした場合のガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す線図である。
【図15】運転圧力及びガス利用率に対する水バランス成立温度の関係を示す線図である。
【図16】ガス入口温度及びガス入口湿度に対するLLCの温度勾配の関係を示す線図である。
【図17】ガス利用率に対する温度勾配補正係数を示す線図である。
【図18】LLC流路を流れるトータルのLLC循環量に対する燃料電池セル内の温度勾配を示す線図である。
【図19】LLC温度とラジエータ放熱量との関係を示す線図である。
【図20】外気温度を一定とした場合にラジエータを通過するLLC量と、ラジエータが放熱する放熱量との関係を示す線図である。
【図21】外気温度に対するラジエータ通過LLC量補正係数の関係を示す線図である。
【図22】第5実施形態の制御を示すフローチャートである。
【図23】本発明に係る固体高分子型燃料電池システムの第6実施形態のセル構成を示す側断面図である。
【図24】第6実施形態のカソードBPPを示す図である。
【図25】第6実施形態の流路間の水の移動を示す平断面図である。
【符号の説明】
1 目標LLC入口温度算出手段
2 ガス流路温度勾配算出手段
3 流量制御手段
4 放熱量制御手段
10 制御ユニット
11 燃料電池本体
14 LLCタンク
18 ラジエータ
19 バイパスバルブ
20 単セル
21 膜・電極接合体(MEA)
22 ガス拡散層(GDL)
23 アノードバイポーラプレート;アノードBPP(セパレータ)
24 カソードバイポーラプレート;カソードBPP(セパレータ)
25 LLCプレート(セパレータ冷却手段)
31 ガス入口部
33 反応面ガス流路(第1のガス流路)
33a 第1反応面ガス流路(入口流路部)
33b 第2反応面ガス流路(出口流路部)
33c 往路ガス流路
33d 折返ガス流路(折返部)
33e 復路ガス流路
34 連通路(連通手段)
35 裏面ガス流路(第2のガス流路)
37 ガス出口部
81 連通マニホールド(連通手段)
82 差圧調整機構(圧力損失制御手段)
Claims (21)
- 固体高分子膜の電解質層の両面に電極層を配置する膜・電極接合体と、その膜・電極接合体の両外面に配置されたセパレータとを有する単セルを積層して形成され、そのセパレータに反応ガスを通流させて発電を行う固体高分子型燃料電池であって、
前記単セルのセパレータのうち少なくともいずれか一方のセパレータは、前記膜・電極接合体側の面に前記反応ガスを通流可能な第1のガス流路を形成し、前記膜・電極接合体側の面と反対側の面に前記反応ガスを通流可能な第2のガス流路を形成するポーラスタイプのセパレータであり、
前記第1のガス流路及び第2のガス流路を連通する連通手段を備える
ことを特徴とする固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路を上流、前記第2のガス流路を下流とし、前記反応ガスを前記第1のガス流路に通流させてから前記第2のガス流路に通流させる
ことを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路及び前記第2のガス流路を前記セパレータの表裏両面で隣接させ、
前記第1のガス流路に前記反応ガスを供給するガス入口部と、前記第2のガス流路から前記反応ガスを排出するガス出口部とを前記セパレータの表裏で近接するように設けた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路は、一端に前記反応ガスを供給するガス入口部を有し他端が閉じている入口流路部と、一端が閉じていて他端に前記連通手段を接続する連通接続流路部とを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路を流れるガスの圧力が前記第2のガス流路を流れるガスの圧力よりも高圧になるようにした
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路を流れるガスの圧力と前記第2のガス流路を流れるガスの圧力との圧力差を、前記連通手段の圧力損失によって生じるようにした
ことを特徴とする請求項5に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記連通手段の圧力損失を制御する圧力損失制御手段を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記圧力損失制御手段は、燃料電池の負荷に応じて圧力損失を制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記連通手段は前記セパレータを貫通する貫通孔である
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記貫通孔は、その断面面積が前記第1のガス流路の断面面積よりも小さい
ことを特徴とする請求項9に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記連通手段は前記セパレータの外部で前記第1のガス流路及び第2のガス流路を連通する外部マニホールドである
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路の平均温度が前記第2のガス流路の平均温度よりも高温になるようにした
ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記一方のセパレータを前記第2のガス流路側から冷却するセパレータ冷却手段を備える
ことを特徴とする請求項12に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路は、前記ガス入口部から、少なくとも流路の一部までの間、流路に沿って温度を昇温させるようにした
ことを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第2のガス流路のガス出口部から排出される反応ガスの温度を、少なくとも運転圧力又はガス利用率のいずれか一方に基づいて決めるようにした
ことを特徴とする請求項14に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路のガス入口部から供給される反応ガスの温度勾配を、少なくともガス入口部の温度又はガス入口部の湿度のいずれか一方に基づいて決めるようにした
ことを特徴とする請求項15に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路のガス入口部から供給される反応ガスの温度勾配を、燃料電池のガス利用率に応じて補正するようにした
ことを特徴とする請求項16に記載の固体高分子型燃料電池。 - 固体高分子膜の電解質層の両面に電極層を配置する膜・電極接合体と、その膜・電極接合体の両外面に配置されたセパレータとを有する単セルを積層して形成され、そのセパレータに前記反応ガスを通流させて発電を行う固体高分子型燃料電池であって、
前記単セルのセパレータのうち少なくともいずれか一方のセパレータは、前記膜・電極接合体側の面に、前記反応ガスを供給するガス入口部と連通する往路ガス流路と、その往路ガス流路と並行であって、折返部を介してその往路ガス流路と連接し、その折返部の反対側から前記反応ガスを排出する復路ガス流路とを形成するソリッドタイプのセパレータであり、
前記ガス入口部から前記折返部に向かって少なくともそのガス入口部から折返部までの一部分までは温度が上昇するように温度勾配を与えた
ことを特徴とする固体高分子型燃料電池。 - 前記第2のガス流路のガス出口部のガスの温度を、少なくとも運転圧力とガス利用率のいずれか一方に基づいて決めるようにした
ことを特徴とする請求項18に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路のガス入口部から供給される反応ガスの温度勾配を、少なくともガス入口温度又はガス入口湿度のいずれか一方に基づいて決めるようにした
ことを特徴とする請求項19に記載の固体高分子型燃料電池。 - 前記第1のガス流路のガス入口部から供給される反応ガスの温度勾配を、燃料電池のガス利用率に応じて補正するようにした
ことを特徴とする請求項20に記載の固体高分子型燃料電池。
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