JP2008041376A - 車両用組電池の暖冷機システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用組電池の暖冷機システム組電池内の温度ばらつきを抑制しながら即暖性のある暖機を可能とすることである。
【解決手段】車両用組電池の暖冷機システム10は、リチウムイオン単電池を複数組み合わせたリチウムイオン組電池30を収納する組電池パック12と、電源用機器をまとめて収納する電源用機器ボックス14と、車両の車室内の空気を組電池パック12に供給する吸気ダクト16及びブロワ18と、暖かい電源用機器ボックスの空気を組電池パック12に供給する給気ダクト20及びファン22と、吸気ダクト16からの空気供給と給気ダクト20からの空気供給とを切り換える切換機構24と、制御部60とを含んで構成される。制御部60は、組電池の端部と中央部との温度差である差温度と、外気温度とに基づいて切換機構24を切り換える。
【選択図】図1
【解決手段】車両用組電池の暖冷機システム10は、リチウムイオン単電池を複数組み合わせたリチウムイオン組電池30を収納する組電池パック12と、電源用機器をまとめて収納する電源用機器ボックス14と、車両の車室内の空気を組電池パック12に供給する吸気ダクト16及びブロワ18と、暖かい電源用機器ボックスの空気を組電池パック12に供給する給気ダクト20及びファン22と、吸気ダクト16からの空気供給と給気ダクト20からの空気供給とを切り換える切換機構24と、制御部60とを含んで構成される。制御部60は、組電池の端部と中央部との温度差である差温度と、外気温度とに基づいて切換機構24を切り換える。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両用組電池の暖冷機システムに係り、特に、車両用組電池の温度が低下したときに、これを暖機する車両用組電池の暖冷機システムに関する。
車両に搭載されるバッテリは、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池のように充電が可能な2次電池が用いられる。そして車両用電源として必要な電圧と電流容量を確保するため、これらの単電池を組み合わせて組電池、あるいは電池パックの形態で用いられる。
これらの車載用2次電池は、充放電によって発熱するが、その温度上昇のために放電特性等の電池特性が低下する。そこで、バッテリの温度が上がり過ぎないように、冷却ファン等を用いてバッテリの冷却が行われる。一方で、2次電池は化学反応を用いているため、低温になると内部抵抗値が高くなり、出力が低下する。そこでヒータ等を用いてバッテリの暖機が行われる。
例えば、特許文献1には、車両のキャビン内の空調に利用したエアを、流路を介してケースに導入し、ケース内の電池を冷却又は暖気することが開示されている。
また、特許文献2には、整流器、インバータ、スイッチ類、電源設備の電気制御装置等の電気機器からなる附帯設備を第1の筐体に収設し、蓄電池を第2の筐体に収設し、これら2つの筐体の間に風量調節手段を介して気体を導く第1及び第2の連通路を設け、第1の筐体内で暖気された気体を第2の筐体内に導いて、蓄電池温度を所定温度に保持する構成が開示されている。
なお、特許文献3には、電力を供給する電池部と、放熱する中央処理装置と、電池部の温度を検出する電池温度検知部とを備える携帯型情報処理装置に関するものであるが、正逆方向に風向を切替えることができる冷却ファンを用い、電池の温度が規定温度以下のときは中央処理装置の放熱により電池部を暖める風向とし、電池の温度が規定温度を超えるときは中央処理装置の放熱を外部に排出する風向とすることが開示されている。
従来技術に見られるように、電池以外の部分における冷気あるいは暖気を利用して、電池を適当な温度にすることが行われる。ところで、特に寒冷地等で車両を始動するときに、車両用組電池を短時間に適当な温度に上昇させたいことがあり、このような場合には、即暖性のある暖機方法が好ましい。また、組電池は多数の単電池を組み合わせて用いるので、組電池内の温度ばらつきが大きいと十分な出力性能を確保できないことがある。したがって、組電池内の温度ばらつきを抑制しながら即暖性のある暖機方法が好ましい。
本発明の目的は、組電池内の温度ばらつきを抑制しながら即暖性のある暖機を可能とする車両用組電池の暖冷機システムを提供することである。
本発明に係る車両用組電池の暖冷機システムは、車両用組電池と、電源用電気機器と、車両用組電池に車室内の空気を供給するための吸気ダクトと、電源用電気機器の周辺の空気を車両用組電池に供給する供給ダクトと、車両用組電池の周辺の外気温度を検出する外気温度センサと、車両用組電池の中央部温度と端部温度との間の差温度を検出する手段と、外気温度が所定温度以下で、車両用組電池の差温度が所定温度差以上のときに、供給ダクトにより空気を供給して車両用組電池を暖機し、外気温度が所定温度を超え、あるいは車両用組電池の差温度が所定温度差未満のときに、吸気ダクトにより車室内の空気を供給して車両用組電池を冷機する給気制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る車両用組電池の暖冷機システムにおいて、給気ダクト経由の空気と吸気ダクト経由の空気とを選択的に切り換える切換手段を備え、給気制御手段は、切換手段を制御して、車両用組電池を暖機又は冷機することが好ましい。
また、本発明に係る車両用組電池の暖冷機システムにおいて、電源用電気機器は、システムメインリレーに設けられるプリチャージ用制限抵抗素子であることが好ましい。
また、本発明に係る車両用組電池の暖冷機システムにおいて、電源用電気機器は、DC/DCコンバータであることが好ましい。
また、本発明に係る車両用組電池の暖冷機システムにおいて、車両用組電池は、複数のリチウムイオン電池を組み合わせた組電池であることが好ましい。
上記構成により、車両用組電池の暖冷機システムは、車両用組電池に車室内の空気を供給するための吸気ダクトと、電源用電気機器の周辺の空気を車両用組電池に供給する供給ダクトとを備え、車両用組電池の周辺の外気温度が所定温度以下で、車両用組電池の中央部温度と端部温度との間の差温度が所定温度差以上のときに、供給ダクトにより空気を供給して車両用組電池を暖機し、外気温度が所定温度を超え、あるいは車両用組電池の差温度が所定温度差未満のときに、吸気ダクトにより車室内の空気を供給して車両用組電池を冷機する。ここで電源用電気機器は、車両用組電池に関係する機器であるので、車両用組電池のごく近傍に配置され、この機器の中には、発熱量が比較的大きいものや、ほぼ常時動作しているものが含まれる。したがって、電源用電気機器の発熱による暖気を利用することで、外気温度が低いときに、車両用組電池の差温度を少なくして、即暖性のある暖機を行うことができる。
また、給気ダクト経由の車両用電気機器周辺の空気と吸気ダクト経由の車室内の空気とを選択的に切り換えて車両用組電池を暖機又は冷機する。これにより、暖機が必要なときに給気ダクト経由、冷機が必要なときに吸気ダクト経由と切り換えることで、効率的暖冷機制御を行うことができる。
また、発熱を利用する電源用電気機器は、システムメインリレーに設けられるプリチャージ用制限抵抗素子である。プリチャージ用制限抵抗素子は、車両用組電池の電力をインバータ等を含む電源回路に供給する際に、徐々に充電を行うために設けられる抵抗素子である。このプリチャージ用制限抵抗素子は、電源回路の始動時に必ず使用し、またその発熱量もかなりある。そこで、このプリチャージ用制限抵抗素子の発熱を利用することで、即暖性のある暖機を行うことができる。
また、発熱を利用する電源用電気機器は、DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータは、車両用組電池から12Vの電圧を作り出すため等に用いられるもので、12V電源は車両においてほぼ常時使用していることから、DC/DCコンバータはほぼ常時稼動し、その温度は比較的高い。そこで、このDC/DCコンバータの発熱を利用することで、即暖性のある暖機を行うことができる。
また、リチウムイオン電池は、ニッケル水素電池に比べ、低温出力特性が低い。したがって、車両用組電池として、複数のリチウムイオン電池を組み合わせた組電池の場合に、特に、上記構成は効果的である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、車両用組電池としてリチウムイオン単電池を複数組み合わせたリチウムイオン組電池を説明するが、これは、リチウムイオン電池の低温出力特性が比較的低くて、電池の低温時に暖機が必要な説明例として好適なためであって、それ以外の充電可能な2次電池の組電池であってもよい。例えば水素イオン電池であってもよい。また、以下で説明する電源回路の構成は一例であって、車両の仕様等に応じ適宜変更が可能である。
図1は、車両用組電池の暖冷機システム10の構成図である。車両用組電池の暖冷機システム10は、リチウムイオン組電池30を暖冷機し、組電池の温度を適当に維持する機能を有するシステムである。車両用組電池の暖冷機システム10は、リチウムイオン単電池を複数組み合わせたリチウムイオン組電池30を収納する組電池パック12と、電源用電気機器をまとめて収納する電源用機器ボックス14と、車両の車室内の空気を組電池パック12に供給する吸気ダクト16及びブロワ18と、電源用機器ボックスの空気を組電池パック12に供給する給気ダクト20及びファン22と、吸気ダクト16からの空気供給と給気ダクト20からの空気供給とを切り換える切換機構24と、制御部60とを含んで構成される。
組電池パック12は、上記のように、複数のリチウムイオン単電池を組み合わせたリチウムイオン組電池30を収納するボックスで、その一端には、吸気ダクト16又は給気ダクト20からの空気を取り入れる空気取入口26と、組電池パック12内を循環した空気を排出する空気排出口27とを備える。組電池パック12に収納されるリチウムイオン組電池30は、車両の電源回路の電圧と電流容量に応じた積層数で、リチウムイオン単電池が組み合わされる。例えば、約200個のリチウムイオン単電池を積層したリチウムイオン組電池30が収納される。
リチウムイオン組電池30には、その端部の温度と、中央部の温度をそれぞれ検出するための複数の温度検出素子が配置され、これらの温度検出素子の検出データは、信号線32を介して制御部60に伝送される。温度検出素子が配置される端部とは、複数のリチウムイオン単電池が積層されるときに、積層の両端部の一方あるいは両方である。積層の端部は、外部が冷たいときに、積層の中央部に比較して冷えやすい。また、積層の端部において、リチウムイオン単電池の一方側は他のリチウムイオン単電池に接触しているが他方側は外気に接している点で、積層の中央部におけるリチウムイオン単電池が両側とも他のリチウムイオン単電池に接触していることと相違する。このように、リチウムイオン組電池30においては、その端部と中央部との間で温度差が生じやすい。その温度差である差温度を制御部60に知らせるため、複数の温度検出素子が設けられるのである。
電源用機器ボックス14は、組電池パック12と隣り合わせに、好ましくは一体化されて配置される収納ボックスで、この中には、組電池パック12に関連する電源用電気機器が収納される。図1には、収納されている電気機器として、電源回路制御ユニット(Electric Control Unit:ECU)34、DC/DCコンバータ36、システムメインリレー38、プリチャージ用制限抵抗素子40が図示されている。電源用機器ボックス14には、空気取出口28が設けられる。空気取出口には給気ダクト20が接続される。
図2は、電源回路50の全体構成を示す図である。電源回路50は、リチウムイオン組電池30と、プリチャージ用制限抵抗素子40を含むシステムメインリレー38と、低電圧側平滑コンデンサ41と、12Vバッテリ46に接続されるDC/DCコンバータ36と、昇圧コンバータ42と高電圧側平滑コンデンサ43と、インバータ44を備えて構成される。インバータ44はモータ・ジェネレータ(M/G)52と接続され、12Vバッテリ46は補機54等に接続される。電源回路50の全体の動作はECU34によって制御される。この構成の電源回路50によって、モータ・ジェネレータ52を駆動するときは、リチウムイオン組電池30の電力が昇圧コンバータ42によって昇圧され、ECU34の制御の下でインバータ44が三相駆動信号を生成し、モータ・ジェネレータ52に供給される。モータ・ジェネレータ52が回生エネルギを発生するときは、ECU34の制御の下でインバータ44が直流電力に変換し、リチウムイオン組電池30を充電する。
システムメインリレー38は、リチウムイオン組電池30とそれ以外の要素との間とを電気的に接続又は遮断する機能を有する。電源回路50は、例えば数100Vの高電圧を扱うために、リレーの接続又は遮断の際に溶着等が生じないように、ECU34の制御の下で3つのリレーの操作が所定の手順で行われる。3つのリレーは、図2に示されるように、リチウムイオン組電池30のマイナス側端子と電源回路50のマイナス側母線との間に設けられるSMR−Aと、リチウムイオン組電池30のプラス側端子と電源回路50のマイナス側母線との間に設けられるSMR−B及びSMR−Rである。SMR−Rには、プリチャージ用制限抵抗素子40が直列に接続され、この直列接続の構成が、SMR−Bと並列に接続される。
リチウムイオン組電池30とそれ以外の要素との間とを電気的に接続する場合のシステムメインリレー38の操作手順は、例えば次のように行われる。最初に、SMR−Aを接続する。次にSMR−Rを接続する。このとき、リチウムイオン組電池30とそれ以外の要素との間は、プリチャージ用制限抵抗素子40を介して閉回路を構成する。つまり、リチウムイオン組電池30の電圧は、プリチャージ用制限抵抗素子40を介し、それ以外の要素、例えば、低電圧側平滑コンデンサ41等を徐々に充電する。このプリチャージ用制限抵抗素子40により、徐々に電流がSMR−A及びSMR−Rに流れるので、高電圧による突入電流を防止し、リレーにおける溶着の発生を抑制することができる。
このように、リチウムイオン組電池30とそれ以外の要素との間とが電気的に接続されるとき、すなわち電源回路50の始動のときには、プリチャージ用制限抵抗素子40に必ず電流が流れ、それも徐々に電流を流す機能を有することから理解されるように、抵抗素子における電力損失を利用しているので、発熱が比較的大きい。すなわち、後述の組電池パック12の暖機に、即暖性のある発熱源として利用できる。
DC/DCコンバータ36は、上記のように、リチウムイオン組電池30又は低電圧側平滑コンデンサ41に蓄えられる電力を用いて、12Vの電力を作り出し、12Vバッテリ46に供給する機能を有する。12Vバッテリ46は、エアコンディショナ等の車載用補機54の電源として用いられる。車載用補機54は、モータ・ジェネレータ52が作動していないときでも作動していることが多く、したがって、それに電力を供給するため、DC/DCコンバータ36もほぼ常時作動していることが多い。したがって、DC/DCコンバータ36の温度は、常時、比較的高い。すなわち、後述の組電池パック12の暖機に、即暖性のある発熱源として利用できる。
再び図1に戻り、吸気ダクト16は、車室内に一方側の開口を有し、他方側の開口が組電池パック12の空気取入口26に接続される取入れ部分と、組電池パック12の空気排出口27に一方側の開口を有し、他方側はブロワ18に接続される排出部分とを有する空気流路である。取入れ部分には、図1に示されるように、切換機構24が設けられる。なお、吸気ダクト16に関連して、車室内の温度を検出する外気温度センサ33が設けられ、その検出データは制御部60に伝送される。ここで外気温度と呼ぶのは、組電池パック12の内部に対し、その外部の空気の温度を示すものだからである。
給気ダクト20は、電源用機器ボックス14の空気取出口28に一方側の開口が接続され、他方側の開口が切換機構24を介して吸気ダクト16に接続される空気空気流路である。給気ダクト20の内部には、空気取出口28に近い位置にファン22が設けられる。ファン22は、電源用機器ボックス14内の空気を、給気ダクト20経由で切換機構24側に送込む機能を有する。
切換機構24は、給気ダクト経由の空気と吸気ダクト経由の空気とを選択的に切り換える機能を有する切換手段である。具体的には、切換ダンパ、あるいは切換弁等で構成できる。切換機構24は、2つの切換状態を有し、1つは、給気ダクト20からの空気を吸気
ダクト16を介して組電池パック12側に流すことを遮断し、もっぱら、吸気ダクト16には車室内の空気のみが流れるようにし、組電池パック12内を冷却する冷機切換状態である。もう1つは、車室内の空気が給気ダクト20からの空気を、吸気ダクト16を介して組電池パック12側に流すことを遮断し、もっぱら、吸気ダクト16には給気ダクト20から送り込まれる電源用機器ボックス14内の空気のみが流れるようにし、組電池パック12内を暖機する暖機切換状態である。
ダクト16を介して組電池パック12側に流すことを遮断し、もっぱら、吸気ダクト16には車室内の空気のみが流れるようにし、組電池パック12内を冷却する冷機切換状態である。もう1つは、車室内の空気が給気ダクト20からの空気を、吸気ダクト16を介して組電池パック12側に流すことを遮断し、もっぱら、吸気ダクト16には給気ダクト20から送り込まれる電源用機器ボックス14内の空気のみが流れるようにし、組電池パック12内を暖機する暖機切換状態である。
したがって、切換機構24が冷却切換状態に切り換わっているときは、車室内−吸気ダクト16−空気取入口26−組電池パック12内−空気排出口27−ブロワ18−外部と空気が流れる。一方、切換機構24が暖機切換状態に切り換わっているときは、電源用機器ボックス14内−空気取出口28−ファン22−吸気ダクト16−空気取入口26−組電池パック12内−空気排出口27−ブロワ18−外部と空気が流れる。
図1に示される制御部60は、車両用組電池の暖冷機システム10を構成する各要素の動作を統一的に制御する機能を有する。制御部60は制御回路又はコンピュータで構成でき、その機能を車両に搭載される他の制御装置の機能と統合することもできる。例えば車両のハイブリッドCPUの機能に制御部60の機能を含ませるものとすることができる。また、ECU34の機能の一部に含ませてもよい。
制御部60は、外気温度センサ33の検出データから外気温を判断する外気温判断モジュール62と、リチウムイオン組電池30に設けられる複数の温度検出素子の検出データから組電池の端部と中央部の温度差である差温度を判断する電池温度差判断モジュール64と、外気温と差温度とに基づいて、組電池パック12へ供給する空気を切り換える給気切換モジュール66とを含む。これらの機能はソフトウェアで実現でき、具体的には、対応する暖冷機制御プログラムを実行することで実現できる。これらの機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
図3は、制御部60により実行される暖冷機制御の手順を示すフローチャートである。この各手順は、対応する暖冷機制御プログラムにおける処理手順に相当する。車両用組電池の暖冷機制御が最も用いられる機会が多いのは、寒冷地に車両が長時間置かれて、車両も、車室内も、リチウムイオン組電池も冷たくなっており、その状態から車両を始動させる場合である。
したがって、まず、車両の始動時、すなわちスタート時か否かが判断される(S10)。そして、スタート時であると判断されると、次に外気温度が予め定めておいた所定温度T0未満か否かが判断される(S12)。所定温度T0は、例えば10℃とすることができる。外気温度は、外気温度センサ33からのデータに基づいて判断される。この判断は、制御部60の外気温判断モジュール62の機能によって実行される。そして、外気温度が所定温度未満であると判断されると、リチウムイオン組電池の端部の温度と中央部の温度の差である差温度が予め定めた所定の温度差ΔTを超えるか否かが判断される(S14)。所定の温度差ΔTとしては、5℃とすることができる。
S14で差温度が所定の温度差を超えると判断されると、切換機構において暖機切換が実行される。具体的には、図1で説明した切換機構24が暖機切換状態、つまり、電源用機器ボックス14内の空気のみが組電池パック12の内部に供給される切換状態に切り換えられる。そしてファン22が電源用機器ボックス14内の空気を給気ダクト20に取り出す向きに回転駆動され、ブロワ18が組電池パック12内から空気を外部に排出する向きに回転駆動される。これによって、電源用機器ボックス14内において、即暖性のあるプリチャージ用制限抵抗素子40や、DC/DCコンバータ36等によって暖められた空気が組電池パック12内に送込まれ、冷たいリチウムイオン組電池30を暖機する。この機能は、制御部60の給気切換モジュール66の機能によって実行される。
S10においてスタート時であると判断されず、あるいはS12で外気温が所定温度未満であると判断されず、あるいはS14において電池温度差が所定の温度差を超えると判断されない場合には、通常の冷却が行われる(S18)。すなわち、切換機構において冷機切換が実行される。具体的には、図1で説明した切換機構24が冷機切換状態、つまり、車室内の空気のみが組電池パック12の内部に供給される切換状態に切り換えられる。そしてブロワ18が組電池パック12内から空気を外部に排出する向きに回転駆動される。ここではファン22は駆動されない。これによって、車室内の空気、一般的には、エアコンディショナによって、適度の温度とされた空気が組電池パック12内に送込まれ、リチウムイオン組電池30を冷機する。この機能は、制御部60の給気切換モジュール66の機能によって実行される。
S16又はS18の処理が実行されると、S14に戻り、組電池の差温度が所定の温度差を超えるか否かが判断され、超えるときは暖機切換が行われ、超えないときは冷機切換が行われる。これによって、リチウムイオン組電池の端部と中央部との温度差である差温度が所定の温度差以内に収まるように制御が行われる。
このようにして、例えば、寒冷地に車両が長時間置かれて、車両も、車室内も、リチウムイオン組電池も冷たくなっており、その状態から車両を始動させる場合でも、即暖性のある電源用機器ボックスの暖かい空気を利用して、迅速にリチウムイオン組電池を暖め、その端部と中央部との間の温度差を少なくすることができる。
なお、上記においては、切換機構は、給気ダクト経由の空気と吸気ダクト経由の空気とを選択的に切り換える機能を有する切換手段として説明した。すなわち、給気ダクト経由の空気か、吸気ダクト経由の空気か、いずれか一方のみを組電池パックに供給するものとしたが、場合によっては、これらの空気を混合し、適当な気温の空気として、組電池パックに供給するものとしてもよい。その場合には、リチウムイオン組電池の差温度のほかに、中央部の温度等に基づいて、空気の混合比、あるいは混合空気の気温を制御することが好ましい。また、この場合、組電池パックの空気取入口付近に、取り入れ空気温度センサを設けることが好ましい。
10 車両用組電池の暖冷機システム、12 組電池パック、14 電源用機器ボックス、16 吸気ダクト、18 ブロワ、20 給気ダクト、22 ファン、24 切換機構、26 空気取入口、27 空気排出口、28 空気取出口、30 リチウムイオン組電池、32 信号線、33 外気温度センサ、34 ECU、36 DC/DCコンバータ、38 システムメインリレー、40 プリチャージ用制限抵抗素子、41 低電圧側平滑コンデンサ、42 昇圧コンバータ、43 高電圧側平滑コンデンサ、44 インバータ、46 12Vバッテリ、50 電源回路、52 モータ・ジェネレータ、54 補機、60 制御部、62 外気温判断モジュール、64 電池温度差判断モジュール、66 給気切換モジュール。
Claims (5)
- 車両用組電池と、
電源用電気機器と、
車両用組電池に車室内の空気を供給するための吸気ダクトと、
電源用電気機器の周辺の空気を車両用組電池に供給する供給ダクトと、
車両用組電池の周辺の外気温度を検出する外気温度センサと、
車両用組電池の中央部温度と端部温度との間の差温度を検出する手段と、
外気温度が所定温度以下で、車両用組電池の差温度が所定温度差以上のときに、供給ダクトにより空気を供給して車両用組電池を暖機し、外気温度が所定温度を超え、あるいは車両用組電池の差温度が所定温度差未満のときに、吸気ダクトにより車室内の空気を供給して車両用組電池を冷機する給気制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用組電池の暖冷機システム。 - 請求項1に記載の車両用組電池の暖冷機システムにおいて、
給気ダクト経由の空気と吸気ダクト経由の空気とを選択的に切り換える切換手段を備え、
給気制御手段は、切換手段を制御して、車両用組電池を暖機又は冷機することを特徴とする車両用組電池の暖冷機システム。 - 請求項1に記載の車両用組電池の暖冷機システムにおいて、
電源用電気機器は、システムメインリレーに設けられるプリチャージ用制限抵抗素子であることを特徴とする車両用組電池の暖冷機システム。 - 請求項1に記載の車両用組電池の暖冷機システムにおいて、
電源用電気機器は、DC/DCコンバータであることを特徴とする車両用組電池の暖冷機システム。 - 請求項1に記載の車両用組電池の暖冷機システムにおいて、
車両用組電池は、複数のリチウムイオン電池を組み合わせた組電池であることを特徴とする車両用組電池の暖冷機システム。
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