JP2008039134A - ブッシュ - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な非線形特性を得られるブッシュを提供する。
【解決手段】ブッシュ100を、外筒110と、外筒110の内径側に挿入され、その径方向にほぼ沿った方向の荷重が負荷される内筒120と、外筒110の内周面と内筒120の外周面との間に設けられた弾性体130とを備え、この弾性体130は、内筒120の中心軸を含み荷重の作用方向と平行な平面Pから離間しかつ弾性体130の周方向に配列され、平面Pからの距離に応じてそのサイズが順次小さくなる複数の空間部141,142,143を有する構成とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車のサスペンション等に用いられ、弾性体を含むブッシュに関するものである。
自動車のサスペンションは、サスペンションリンクの支点やストラットマウント等の車体との接続部に、振動や乗り心地の改善を目的として、例えばゴム等の弾性体を有するブッシュが用いられる。
このようなブッシュは、剛性をチューニングするため、弾性部材の一部に開口や凹部等の空間部(すぐり)を形成したものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開2003−227537号公報 特開2005−265109号公報
このようなサスペンション用のブッシュは、単位荷重あたりの変位量が、変形初期においては比較的小さく、変形後期において増大する非線形特性を持たせることが要望されている。これに対し、ゴム硬度の変更や、単純な形状をした既存のすぐりを適用しても、十分な非線形特性を得ることは困難であった。
本発明の課題は、良好な非線形特性を得られるブッシュを提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1の発明は、外筒と、前記外筒の内径側に挿入され、その径方向にほぼ沿った方向の荷重が負荷される内筒と、前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との間に設けられた弾性体とを備え、前記弾性体は、前記内筒の中心軸を含み前記荷重の作用方向と平行な平面から離間しかつ前記弾性体の周方向に配列され、前記平面からの距離に応じてそのサイズが順次小さくなる複数の空間部を有することを特徴とするブッシュである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のブッシュにおいて、前記複数の空間部は、それぞれ前記内筒の中心軸方向から見た平面形がほぼ円形に形成され、その径が前記平面からの距離に応じて順次小さくされることを特徴とするブッシュである。
請求項3の発明は、外筒と、前記外筒の内径側に挿入され、その径方向にほぼ沿った方向の荷重が負荷される内筒と、前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との間に設けられた弾性体とを備え、前記弾性体は、前記内筒の中心軸を含み前記荷重の作用方向と平行な平面から離間して配置されかつ前記弾性体の周方向に延在しその両端部が凹曲面状に形成された長穴状の空間部を有し、前記空間部の前記両端部は、前記平面に近い側よりも前記平面から離れた側の前記凹曲面の曲率を小さくしたことを特徴とするブッシュである。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のブッシュにおいて、前記空間部は、前記平面に対してほぼ対称に配置されることを特徴とするブッシュである。
本発明によれば、単位荷重あたりの変位量が、変形初期においては比較的小さく、変形後期において増大する非線形特性を持たせることができる。
これによって、例えば車両のサスペンションブッシュとして適用した場合に、車両のアライメント特性の変化を抑制しながら防振性能を確保することができ、車両の振動、騒音を改善することができる。
本発明は、良好な非線形特性を得られるブッシュを提供するという課題を、ブッシュの内筒の中心軸を含み荷重の作用方向と平行な平面から離間した箇所に、ブッシュの周方向に配列された複数の円形開口である空間部(すぐり)を形成し、その内径を上述した平面からの距離に応じて順次小さくしたことによって解決する。
以下本発明を適用したブッシュの実施例1について説明する。
図1は、実施例1のブッシュを備えたサスペンションリンクを示す図である。
サスペンションリンク10は、例えば乗用車等の自動車のフロントサスペンションのトランスバースリンク(ロワアーム)として用いられるものである。
サスペンションリンク10は、ほぼ車幅方向に沿って延在するアーム状に形成され、一方の端部にはボールジョイント20が設けられ、他方の端部にはブッシュ100が設けられている。
ボールジョイント20は、前輪を支持するハブベアリングが収容される図示しないハブベアリングハウジングの下端部を、サスペンションリンク10に対して揺動可能に支持するものである。ボールジョイント20は、サスペンションリンク10の車幅方向外側の端部における上面部に固定されている。
ブッシュ100は、サスペンションリンク10の車幅方向内側の端部に設けられ、サスペンションリンク10を、車体に固定された図示しないサブフレームに対して揺動可能に支持するものである。ブッシュ100は、サスペンションリンク10の端部に一体に形成され、その中心軸方向を車両の前後方向に向けて配置された円筒部11の内径側に圧入され固定されている。
図2は、ブッシュ100の拡大図であって、図2(a)はその中心軸方向から見た図(図1のII部拡大図)であり、図2(b)は、図2(a)のb−b部矢視図である。
ブッシュ100は、外筒110、内筒120、ゴム部130を備え、ゴム部130には空間部(すぐり)140が形成されている。
外筒110は、円筒状に形成され、その外周面部がサスペンションリンク10の円筒部11の内径側に圧入される部分である。
内筒120は、その外径が外筒110の内径よりも小さい円筒状に形成され、外筒110の内径側に、無負荷状態においてほぼ同心となるように挿入される部分である。内筒120は、その軸方向の長さが外筒110よりも長く形成され、その両端部は図2(b)に示すように外筒110の両端部よりも突出して配置されている。この内筒120は、その内径側に、サスペンションリンク10をサブフレームに結合する図示しないボルトが挿入される部分であり、サスペンションリンク10は、ボルトの外周面と内筒120の内周面とが摺動することによって、車体に対して揺動するようになっている。
これらの外筒110及び内筒120は、例えば金属やエンジニアリングプラスチック等の、ゴム部130の材料と比較して硬質な材料によって形成されている。
ゴム部130は、内筒120を外筒110に対してフローティングされた状態で支持するものであって、弾性を有するゴム系材料をインサート成形することによって、その外周面が外筒110の内周面と加硫接着され、内周面が内筒120の外周面と加硫接着された円筒状に形成されている。
空間部140は、ゴム部130を成型する際に同時に形成されるすぐり部であって、開口141,142,143を有している。
開口141,142,143は、ゴム部130の周方向にほぼ沿って配列され、それぞれゴム部130を、ブッシュ100の軸方向に貫通して形成されている。これらの開口141,142,143は、ブッシュ100の軸方向から見た平面形がほぼ円形に形成されている。
ここで、内筒120の中心軸を含み、かつ、この内筒120に負荷される荷重の作用方向D(図1参照)と平行な平面を平面Pとすると、開口141,142,143は、平面Pに対してブッシュ100の周方向に離間した領域に配置される。
ここで、サスペンションリンク10に用いられるブッシュ100の場合には、内筒120に負荷される荷重の作用方向は、通常、内筒120の中心と、サスペンションリンク10の他方の端部に設けられるジョイント(本実施例の場合ボールジョイント20)の回転中心とを結んだ直線とほぼ一致する。
最も平面Pに近い開口141は、内筒120の中心軸回りの角度において、平面Pよりも所定の角度θ(例えば20°)以上離間した位置に配置され、ゴム部130の開口141よりも平面P側の領域は、すぐり等を形成しないソリッドな状態とされる。
また、開口141,142,143それぞれの内径R1,R2,R3は、R1>R2>R3となるように設定されている。
これらの開口141,142,143は、上述した平面Pを挟んだ両側に、この平面Pに対してほぼ対称に形成されている。
次に、上述した実施例1の効果を、以下説明する比較例1、比較例2と対比して説明する。なお、以下説明する各比較例、実施例においては、上述した実施例1と同様の箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図3は、本発明の比較例1であるブッシュを示す図である。
比較例1のブッシュ300は、実施例1の空間部(すぐり)140に代えて、以下説明する空間部(すぐり)340を形成したものである。
空間部340は、ゴム部130の周方向に延在し、かつ、内筒120の中心軸とほぼ同心に配置された円弧状の長穴に形成され、その周方向における中心部は、ほぼ平面P上に配置されている。
また、図示しない比較例2のブッシュ400は、実施例1のブッシュ100に対して、ゴム部130に空間部140を形成せずソリッドとした点で相違するものである。すなわり、比較例2のブッシュにおいては、ゴム部130は、単純な円筒状に形成されている。
図4は、実施例1、比較例1、比較例2のブッシュにおける荷重と変位との相関を示すグラフである。
比較例2においては、変位が荷重とほぼ比例する実質的に線形の特性を示す。このため、サスペンションブッシュとして適用した場合には、車両のアライメント特性の変化やばらつきを抑制することはできるが、大荷重が作用した場合であってもバネ定数が変化しないため、振動、騒音等に問題が生ずる場合がある。
一方、比較例1においては、ほぼ全域にわたってバネ定数を低下させることができるが、比較的荷重が小さい変形初期におけるバネ定数が低くなるため、アライメント特性の変化やばらつきが生ずるおそれがある。
これに対し、実施例1においては、比較的荷重が小さい変形初期においては、比較例2のようなソリッドなブッシュと類似した比較的バネ定数が高くかつ線形的な特性を示し、これよりも荷重が大きい変形中期から後期においては、バネ定数が徐々に低下する非線形特性を得ることができる。
これによって、ゴムの硬度を高くしたり、バネ定数を過度に向上させることなく、車両のアライメント特性の変化やばらつきを抑制するとともに、大入力に対しての変形を大きくすることで防振性能を確保し、車両の振動や騒音を改善することができる。
また、比較例2のようなソリッドなブッシュに対して、変形初期の特性がほとんど変化しないため、このようなブッシュを適用したサスペンションに設計変更によって適用することが容易である。
さらに、開口141,142,143の径や配列パターンによって、ブッシュ100の特性を容易にチューニングすることができる。
次に、本発明を適用したブッシュの実施例2について説明する。
図5は、実施例2のブッシュをその軸方向から見た図である。
実施例2のブッシュ200は、実施例1の空間部140に代えて、以下説明する空間部240を形成したものである。
空間部240は、平面Pを挟んでほぼ対象に一対が配置され、ブッシュ200の軸方向から見た平面形が、内筒120の中心軸とほぼ同心の円弧状の長穴に形成されている。空間部240の両端部241,242は、それぞれ円筒内面状の凹曲面に形成されている。この凹曲面は、平面Pに近い側の端部241の曲率Raのほうが、平面Pから離れた側の端部242の曲率Rbよりも大きくされている。また、空間部240のゴム部130の径方向における幅は、端部241側のほうが端部242側よりも広く形成されている。
以上説明した実施例2においても、上述した実施例1と同様の効果を得ることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)空間部を構成する開口の個数、形状、サイズの変化のパターン等は、ブッシュの特性をチューニングするため、上述した実施例のものに限らず、適宜変更することができる。
(2)実施例のブッシュは、例えば、トランスバースリンク(ロワアーム)の車体側に設けられるものであったが、本発明のブッシュはこれに限らず、例えばトレーリングアーム、ダブルウィッシュボーンやマルチリンクサスペンションのアッパーアーム、コントロールリンク等の各種サスペンションリンクに適用することができ、また、車体側に限らずハウジング側(車輪側)のジョイントに適用してもよい。
(3)ブッシュの構成は、実施例のものに限らず適宜変更することができる。例えば、外筒をサスペンションリンク本体と一体に形成してもよい。
(4)本発明のブッシュは、サスペンションリンクに限らず、例えば、エンジンマウント、トランスミッションマウント、ディファレンシャルマウント、サブフレームと車体との接合部等にも適用することができる。
本発明を適用したブッシュの実施例1を含むサスペンションリンクを示す図である。 図1のブッシュの拡大図である。 本発明の比較例1であるブッシュを示す図である。 実施例1、比較例1、比較例2のブッシュにおける荷重と変位との相関を示すグラフである。 本発明を適用したブッシュの実施例2を示す図である。
符号の説明
10 サスペンションリンク
20 ボールジョイント
100 ブッシュ
110 外筒
120 内筒
130 ゴム部
140 空間部(すぐり)
141,142,143 開口

Claims (4)

  1. 外筒と、
    前記外筒の内径側に挿入され、その径方向にほぼ沿った方向の荷重が負荷される内筒と、
    前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との間に設けられた弾性体とを備え、
    前記弾性体は、
    前記内筒の中心軸を含み前記荷重の作用方向と平行な平面から離間しかつ前記弾性体の周方向に配列され、前記平面からの距離に応じてそのサイズが順次小さくなる複数の空間部を有すること
    を特徴とするブッシュ。
  2. 請求項1に記載のブッシュにおいて、
    前記複数の空間部は、それぞれ前記内筒の中心軸方向から見た平面形がほぼ円形に形成され、その径が前記平面からの距離に応じて順次小さくされること
    を特徴とするブッシュ。
  3. 外筒と、
    前記外筒の内径側に挿入され、その径方向にほぼ沿った方向の荷重が負荷される内筒と、
    前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との間に設けられた弾性体とを備え、
    前記弾性体は、
    前記内筒の中心軸を含み前記荷重の作用方向と平行な平面から離間して配置されかつ前記弾性体の周方向に延在しその両端部が凹曲面状に形成された長穴状の空間部を有し、
    前記空間部の前記両端部は、前記平面に近い側よりも前記平面から離れた側の前記凹曲面の曲率を小さくしたこと
    を特徴とするブッシュ。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のブッシュにおいて、
    前記空間部は、前記平面に対してほぼ対称に配置されること
    を特徴とするブッシュ。
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