JP2008039013A - 無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

無段変速機の油圧制御装置 Download PDF

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剛 道和
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Abstract

【課題】通常の変速制御と併せて暖機を可能にする無段変速機用油圧制御装置を提供する。
【解決手段】動力源1が出力した動力によって駆動される可変容量型の油圧ポンプ12,13と、その油圧ポンプが出力した圧油が供給されて駆動されることにより出力部材16に動力を出力する可変容量型の油圧モータ12,13とを備え、前記出力部材に伝達されるトルクがこれらの油圧ポンプと油圧モータとの容量と油圧とに応じて変化する無段変速機の油圧制御装置において、圧油の温度を上昇させるべきことを判定する暖機判定手段(ステップS1)と、この暖機判定手段によって、圧油の温度を上昇させるべきことが判定された場合に、前記油圧ポンプと油圧モータとの前記容量を、前記判定がなされない場合に比較して減少させる容量低減手段(ステップS2)とを備えている。
【選択図】 図3

Description

この発明は、油圧を利用して動力を伝達する無段変速機に関し、特にその油圧を制御する装置に関するものである。
エンジンなどの動力装置によって油圧ポンプを駆動し、その油圧ポンプで発生した圧油を油圧モータに供給すれば、油圧を介して動力を伝達することができ、またその油圧を制御することにより、伝達するトルクもしくは動力を適宜に変化させることができる。しかしながら、その圧油は温度によって特性が大きく変化し、具体的には低温での粘度が高い。そのため、低温状態では、動力の伝達効率が低下したり、あるいは油圧を所期通りに制御できない場合がある。
そこで、特許文献1に記載された発明では、油温の低いことが検出された場合に、各種アクチュエータを制御するコントロール弁を閉じ、その状態でポンプの吐出量を増大させ、そのポンプで発生させた圧油をバイパス弁からタンクに漏洩させるように構成している。すなわち、特許文献1の発明では、アクチュエータを止めて通常の動作を行わない状態で、油圧を高くすることにより油温の上昇を促進し、また圧力損失に伴う油圧の上昇を促進するようになっている。
また、特許文献2には、排気浄化触媒の暖機を促進するために、エンジンの点火時期の遅角制御を行い、それに伴う駆動トルクの低下を、エンジントルクを増大させることにより補うように構成された発明が記載されている。
特開平10−274212号公報 特開2001−59470号公報
上記の特許文献1に記載されている発明では、ポンプの吐出量を増大させたり、圧力損失を増大させたりするので、油温の上昇を促進することができるが、その制御は、アクチュエータに対する油圧の供給を遮断した状態で行うので、暖機時には通常の作業もしくは動作を行うことができない。そのため、始動後に通常の運転状態に到るまでのいわゆる待ち時間が長くなってしまう。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、通常の運転もしくは変速の制御と併せて暖機を行うことのできる無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、動力源が出力した動力によって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、その油圧ポンプが出力した圧油が供給されて駆動されることにより出力部材に動力を出力する可変容量型の油圧モータとを備え、前記出力部材に伝達されるトルクがこれらの油圧ポンプと油圧モータとの容量と油圧とに応じて変化する無段変速機の油圧制御装置において、圧油の温度を上昇させるべきことを判定する暖機判定手段と、この暖機判定手段によって、圧油の温度を上昇させるべきことが判定された場合に、前記油圧ポンプと油圧モータとの前記容量を、前記判定がなされない場合に比較して減少させる容量低減手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記容量低減手段は、前記油圧ポンプの容量と前記油圧モータの容量との和を減少させる手段を含むことを特徴とする無段変速機の油圧制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記容量低減手段は、前記油圧ポンプの容量と前記油圧モータの容量との比率を変化させずにこれらの容量を減少させる手段を含むことを特徴とする無段変速機の油圧制御装置である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記油圧ポンプと油圧モータとを連通させている油圧回路の最高圧力を設定するリリーフ弁を備え、前記暖機判定手段によって、圧油の温度を上昇させるべきことが判定された場合に、このリリーフ弁の設定圧を低下させる設定圧低下手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機の油圧制御装置である。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記油圧ポンプと油圧モータとの前記容量が前記容量低減手段によって減少させられた場合に前記動力源の出力トルクを増大させる出力制御手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機の油圧制御装置である。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記油圧ポンプと油圧モータとは、ポンプおよびモータの両方の機能を備えた可変容量型のポンプモータを含み、前記無段変速機は、前記動力源から動力が入力される入力要素と前記出力部材に対して伝動機構を介して動力を出力する出力要素といずれかのポンプモータが連結された反力要素とで差動作用を行う第1の差動機構と、前記動力源から動力が入力される他の入力要素と前記出力部材に対して他の伝動機構を介して動力を出力する他の出力要素と他のポンプモータが連結された他の反力要素とで差動作用を行う第2の差動機構と、前記各伝動機構を選択的にトルク伝達可能な状態にする切換機構とを備えていることを特徴とする無段変速機の油圧制御装置である。
請求項1または2の発明によれば、可変容量型の油圧ポンプが動力源によって駆動され、その油圧ポンプから可変容量型の油圧モータに油圧が供給されてこれが駆動させられる。すなわち、流体を介して動力が伝達される。その場合、出力部材に伝達されるトルクは、これらの油圧ポンプおよび油圧モータの容量と油圧とに応じたトルクになる。したがって、変速比が連続的に変化し、無段変速となる。このような動力伝達に関与する圧油の温度を上昇させるべきことが暖機判定手段によって判定されると、前記容量が、暖機の判定が成立していない場合に比較して減少させられる。そのため、伝達トルクを維持するように油圧が高くなるので、圧油の圧縮や引き摺りなどの損失が熱となり、圧油の温度の上昇が促進される。すなわち、暖機が行われる。その場合、油圧ポンプと油圧モータとの間での圧油の流動が維持されるので、出力部材に対して通常と同様に動力を伝達でき、また変速が実行され、動力伝達や変速などの通常の動作もしくは作用に支障を来すことはない。
また、請求項3の発明によれば、各容量を低下させるとしても、油圧ポンプの容量と油圧モータの容量との比率が一定に維持されるので、これらの容量の比率で定まる変速比を一定に維持して暖機を行うことができる。言い換えれば、暖機を行うことによって変速比が変化することを防止もしくは抑制することができる。
請求項4の発明によれば、暖機を行う場合、リリーフ弁から圧油が漏洩し易くなるので、圧力損失が増大して、それに伴う発熱が促進される。すなわち、暖機を更に迅速に行うことができる。
請求項5の発明によれば、暖機には動力の損失が不可避的に伴うが、上記のようにして暖機を行う場合には動力源の出力トルクが増大させられるので、出力部材のトルクの低下や不足を回避もしくは抑制することができる。
請求項6の発明によれば、油圧ポンプモータが差動機構に対して反力を与え、その反力と動力源から入力されたトルクとが合成されて、出力要素から伝動機構および切換機構を介して出力部材に動力が伝達される。このような動力伝達系統が少なくとも二系統設けられているので、一方の油圧ポンプモータを空転させ、かつ他方の油圧ポンプモータが反力を出力すれば、一方の動力伝達系統を介して動力が出力され、その動力伝達系統における伝動機構で決まる変速比を設定することができる。また、二つの動力伝達系統を、それぞれの切換機構によってトルク伝達可能な状態にし、その状態で各ポンプモータの間で圧油の授受を行って動力を伝達すれば、切換機構によってトルク伝達可能になっている伝動機構で決まる変速比の中間の値の変速比を設定できる。その中間の変速比は、流体伝動の割合に応じて変化するので、全体としての変速比は無段階に変化する。このようにして変速比を設定している状態で、各ポンプモータの容量(押出容積)もしくはその和を減少させ、それに伴って油圧を増大させることにより、暖機を促進することができる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする無段変速機について説明すると、図1に示す例は、車両用の変速機として構成した例であり、流体を介さずにトルクを伝達して設定できるいわゆる固定変速比として四つの前進段および一つの後進段を設定するように構成した例である。すなわち、動力源(E/G)1に入力部材2が連結されており、この入力部材2からこの発明における差動機構に相当する第1遊星歯車機構3および第2遊星歯車機構4にトルクを伝達するように構成されている。
その動力源1は、内燃機関や電気モータあるいはこれらを組み合わせた構成など、車両に使用されている一般的な動力源であってよい。また、この動力源1と入力部材2との間にダンパーやクラッチ、トルクコンバータなどの適宜の伝動手段を介在させてもよい。
第1遊星歯車機構3が入力部材2と同一軸線上に配置され、第2遊星歯車機構4が第1遊星歯車機構3の半径方向で外側に離隔し、それぞれの中心軸線を平行にした状態で並列に配置されている。これらの遊星歯車機構3,4としては、シングルピニオン型やダブルピニオン型などの適宜の形式の遊星歯車機構を採用することができる。図1に示す例はシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成した例であり、外歯歯車であるサンギヤ3S,4Sと、そのサンギヤ3S,4Sと同心円状に配置された、内歯歯車であるリングギヤ3R,4Rと、これらサンギヤ3S,4Sとリングギヤ3R,4Rとに噛み合っているピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持したキャリヤ3C,4Cとを備えている。そして、第1遊星歯車機構3におけるリングギヤ3Rに前記入力部材2が連結され、このリングギヤ3Rが入力要素となっている。
また、入力部材2にはカウンタドライブギヤ5が取り付けられており、このカウンタドライブギヤ5にアイドルギヤ6が噛み合っているとともに、そのアイドルギヤ6にカウンタドリブンギヤ7が噛み合っている。このカウンタドリブンギヤ7は、前記第2遊星歯車機構4と同一軸線上に配置され、かつ第2遊星歯車機構4のリングギヤ4Rに、一体となって回転するように連結されている。したがって、第2遊星歯車機構4においては、そのリングギヤ4Rが入力要素となっている。各遊星歯車機構3,4の入力要素であるリングギヤ3R,4Rは、カウンタギヤ対がアイドルギヤ6を備えた構成であるから、同方向に回転するようになっている。
第1遊星歯車機構3におけるキャリヤ3Cは出力要素となっており、そのキャリヤ3Cに第1軸もしくは第2軸に相当する第1中間軸8が、一体になって回転するように連結されている。この第1中間軸8は中空軸であって、その内部をモータ軸9が回転自在に挿入されており、このモータ軸9の一端部が、第1遊星歯車機構3における反力要素であるサンギヤ3Sに、一体となって回転するように連結されている。
第2遊星歯車機構4も同様な構成であって、そのキャリヤ4Cが出力要素となっており、そのキャリヤ4Cに第2軸もしくは第1軸としての第2中間軸10が、一体になって回転するように連結されている。この第2中間軸10は中空軸であって、その内部をモータ軸11が回転自在に挿入されており、このモータ軸11の一端部が、第2遊星歯車機構4における反力要素であるサンギヤ4Sに、一体となって回転するように連結されている。
上記のモータ軸9の他方の端部が、この発明における油圧ポンプもしくは油圧モータに相当する可変容量型ポンプモータ12の出力軸(ロータ軸)に連結されている。この可変容量型ポンプモータ12は、斜軸ポンプや斜板ポンプあるいはラジアルピストンポンプなどの吐出容量を変更可能な流体圧(油圧)ポンプであって、その出力軸にトルクを与えて回転させることによりポンプとして機能して圧力流体(圧油)を吐出し、また吐出口もしくは吸入口から圧力流体を供給することにより、モータとして機能するようになっている。なお、この可変容量型ポンプモータ12を以下の説明では、第1ポンプモータ12と記し、図にはPM1と表示する。
また、モータ軸11の他方の端部が、この発明における油圧ポンプもしくは油圧モータに相当する可変容量型ポンプモータ13の出力軸(ロータ軸)に連結されている。この可変容量型ポンプモータ13は、斜軸ポンプや斜板ポンプあるいはラジアルピストンポンプなどの吐出容量を変更可能な流体圧(油圧)ポンプであって、その出力軸にトルクを与えて回転させることによりポンプとして機能して圧力流体(圧油)を吐出し、また吐出口もしくは吸入口から圧力流体を供給することにより、モータとして機能するようになっている。なお、この可変容量型ポンプモータ13を以下の説明では、第2ポンプモータ13と記し、図にはPM2と表示する。
各ポンプモータ12,13は、圧力流体である圧油を相互に受け渡すことができるように、油路14,15によって連通されている。すなわち、それぞれの吸入口12S,13S同士が油路14によって連通され、また吐出口12D,13D同士が油路15によって連通されている。したがって各油路14,15によって閉回路が形成されている。なお、各ポンプモータ12,13における吸入口12S,13Sは、各ポンプモータ12,13が前記動力源1と同方向に正回転する際にオイルなどの流体を吸入するポートであり、また吐出口12D,13Dは正回転時にオイルなどの流体を吐出するポートである。この閉回路での油圧制御のための機構については後述する。
上記の各中間軸8,10と平行に、この発明の出力部材に相当する出力軸16が配置されている。そして、この出力軸16と各中間軸8,10との間のそれぞれに、所定の変速比を設定する伝動機構が設けられている。この発明における伝動機構としては、固定された変速比で動力を伝達する機構に限らず、変速比が可変な機構を採用することができ、図1に示す例では、固定された変速比で動力を伝達する複数のギヤ対17,18,19,20が採用されている。
具体的に説明すると、前記第1中間軸8には、第1遊星歯車機構3側から順に、第4速駆動ギヤ17Aと第2速駆動ギヤ18Aとが配置されており、第4速駆動ギヤ17Aと第2速駆動ギヤ18Aとは第1中間軸8に対して回転自在に嵌合している。その第4速駆動ギヤ17Aに噛み合っている第4速従動ギヤ17Bと、第2速駆動ギヤ18Aに噛み合っている第2速従動ギヤ18Bとが、出力軸16に一体回転するように取り付けられている。
さらに、上記の第4速従動ギヤ17Bに噛み合っている第3速駆動ギヤ19Aと、第2速従動ギヤ18Bに噛み合っている第1速駆動ギヤ20Aとが、第2中間軸10に回転自在に嵌合させられている。したがって、第4速従動ギヤ17Bが第3速従動ギヤを兼ねており、また第2速従動ギヤ18Bが第1速従動ギヤを兼ねている。ここで、各ギヤ対17,18,19,20の変速比(それぞれの駆動ギヤの歯数に対する従動ギヤの歯数の比)について説明すると、その変速比は、第1速用ギヤ対20、第2速用ギヤ対18、第3速用ギヤ対19、第4速用ギヤ対17の順に小さくなるように構成されている。
さらに、発進用ギヤ対21が設けられている。この発進用ギヤ対21は、第1速用ギヤ対20と併せて出力軸16に動力を伝達することにより、発進時の駆動力を必要十分に大きくするためのものであって、前記第1ポンプモータ12側のモータ軸9に一体となって回転するように取り付けられた発進駆動ギヤ21Aと、出力軸16に回転自在に取り付けられた発進従動ギヤ21Bとを備えている。
上述した各ギヤ対17,18,19,20,21を、いずれかの中間軸8,10と出力軸16との間でトルク伝達可能な状態とするための切換機構が設けられている。この切換機構は、要は、選択的にトルクを伝達する機構であって、従来知られているドグクラッチ機構や同期連結機構(シンクロナイザー)などの機構を採用することができ、図1にはシンクロナイザーを採用した例を示してある。
シンクロナイザーは、基本的には、回転軸と共に回転するスリーブを軸線方向に移動させて、その回転軸に対して相対回転するように取り付けられた回転部材のスプラインに係合させ、その過程でシンクロナイザーリングが回転部材に次第に摩擦接触することにより、回転軸と回転部材とを同期させて回転軸と回転部材とを連結するように構成されている。前記出力軸16上で、発進従動ギヤ21Bに隣接する位置に第1のシンクロナイザー(以下、第1シンクロと記す)22が設けられている。この第1シンクロ22は、そのスリーブを図1の左側に移動させることにより、発進従動ギヤ21Bを出力軸16に連結し、発進用ギヤ対21がモータ軸9と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。
また、前記第2中間軸10上で、第3速駆動ギヤ19Aと第1速駆動ギヤ20Aとの間に第2のシンクロナイザー(以下、第2シンクロと記す)23が設けられている。この第2シンクロ23は、そのスリーブを図1の左側に移動させることにより、第1速駆動ギヤ20Aを第2中間軸10に連結し、第1速用ギヤ対20が第2中間軸10と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。また、反対にそのスリーブを図1の右側に移動させることにより、第3速駆動ギヤ19Aを第2中間軸10に連結し、第3速用ギヤ対19が第2中間軸10と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。
さらに、前記第1中間軸8上で、第2速駆動ギヤ18Aと第4速駆動ギヤ17Aとの間に第3のシンクロナイザー(以下、第3シンクロと記す)24が設けられている。この第3シンクロ24は、そのスリーブを図1の左側に移動させることにより、第2速駆動ギヤ18Aを第1中間軸8に連結し、第2速用ギヤ対18が第1中間軸8と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。また、反対にそのスリーブを図1の右側に移動させることにより、第4速駆動ギヤ17Aを第1中間軸8に連結し、第4速用ギヤ対17が第1中間軸8と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。
またさらに、第2ポンプモータ13側のモータ軸11上で、第2中間軸10の軸端に隣接する位置に後進用のシンクロナイザー(以下、Rシンクロと記す)25が設けられている。このRシンクロ25は、そのスリーブを図1の右側に移動させることにより、モータ軸11と第2中間軸10、すなわち第2遊星歯車機構4におけるサンギヤ4Sとキャリヤ4Cとを連結して、第2遊星歯車機構4の全体を一体回転させるように構成されている。
上記の各シンクロ22,23,24,25は、手動操作によって切り替え動作するように構成することができるが、これに替えていわゆる自動制御するように構成することもできる。その場合は、例えば前述したスリーブを軸線方向に移動させる適宜のアクチュエータ(図示せず)を設け、そのアクチュエータを電気的に制御するように構成すればよい。
上述したように、図1に示す変速機は、動力源1が出力したトルクが、各いずれかの中間軸8,10もしくはモータ軸9,11を介して出力軸16に伝達されるように構成されている。そして、その出力軸16には、歯車機構あるいはチェーンなどの巻き掛け伝動機構などの伝動手段29を介してデファレンシャル30が連結され、ここから左右の車軸31に動力を出力するようになっている。
さらに、変速機の動作状態を検出するためのセンサが設けられている。具体的には、前述した入力部材2もしくはこれと一体のカウンタドライブギヤ5の回転数Ninを検出する入力回転数センサ32、前記車軸31の回転数Noutを検出する出力回転数センサ33、第1ポンプモータ12の回転数NPM1を検出する回転数センサ34、第2ポンプモータ13の回転数NPM2を検出する回転数センサ35などが設けられている。
つぎに、上記の各ポンプモータ12,13を制御するための流体圧回路(油圧回路)について説明する。各ポンプモータ12,13を連通させている前記閉回路には流体(具体的にはオイル)を補給するためのチャージポンプ(ブーストポンプと称されることもある)36が設けられている。このチャージポンプ36は、上記の閉回路からの漏れなどによるオイルの不足を補うためのものであって、前述した動力源1や図示しないモータなどによって駆動されて、オイルパン37からオイルを汲み上げて閉回路に供給するようになっている。
したがって、チャージポンプ36の吐出口は、前記閉回路における油路14と油路15とにそれぞれチェック弁38,39を介して連通されている。なお、これらのチェック弁38,39は、チャージポンプ36からの吐出方向に開き、これとは反対方向に閉じるように構成されている。さらに、チャージポンプ36の吐出圧を調整するためのリリーフ弁40が、チャージポンプ36の吐出口に連通されている。このリリーフ弁40は、スプリングによる弾性力とパイロット圧もしくはソレノイドによる押圧力との和より高い圧力が作用した場合に開いてオイルをオイルパン37に排出するように構成されており、したがってチャージポンプ36の吐出圧をパイロット圧に応じた圧力に設定するように構成されている。
さらに、第1ポンプモータ12の吸入口12Sと油路15との間に、リリーフ弁41が設けられている。言い換えれば、第1ポンプモータ12と並列に、各油路14,15を連通させるようにリリーフ弁41が設けられている。このリリーフ弁41は、リリーフ圧を制御可能なバルブであって、第1ポンプモータ12の吸入口12S、または第2ポンプモータ13の吸入口13Sから圧油を吐出する場合に、その吐出圧を予め設定した圧力に維持するように構成されている。また、第2ポンプモータ13の吐出口13Dと油路14との間に、リリーフ弁42が設けられている。言い換えれば、第2ポンプモータ13と並列に、各油路14,15を連通させるようにリリーフ弁42が設けられている。このリリーフ弁42は、リリーフ圧を制御可能なバルブであって、第1ポンプモータ12の吐出口12D、または第2ポンプモータ13の吐出口13Dから圧油を吐出する場合に、その吐出圧を予め設定した圧力に維持するように構成されている。
上記の各ポンプモータ12,13の押出容積や各シンクロ22,23,24,25ならびに各リリーフ弁41,42のリリーフ圧を電気的に制御できるように構成されており、そのための電子制御装置(ECU)43が設けられている。この電子制御装置43は、マイクロコンピュータを主体にして構成されたものであって、所定の回転部材の回転数や他の検出信号が入力され、それらの入力された信号および予め記憶している情報ならびにプログラムに基づいて演算を行い、その演算結果に応じて指令信号を出力するように構成されている。
つぎに、上述した変速機の作用について説明する。図2は、各変速段を設定する際の各ポンプモータ(PM1,PM2)12,13、および各シンクロ22,23,24,25の動作状態をまとめて示す図表であって、この図2における各ポンプモータ12,13についての「OFF」は、ポンプ容量を実質的にゼロとし、その出力軸が回転させられても圧油を発生することがなく、また油圧が供給されても出力軸が回転しない状態(フリー)を示し、「LOCK」はそのロータの回転を止めている状態を示している。さらに「油圧発生」は、ポンプ容量を実質的なゼロより大きくするとともに圧油を吐出している状態を示し、したがって該当するポンプモータ12,13はポンプとして機能している。また、「油圧回収」は、一方のポンプモータ13(もしくは12)が吐出した圧油が供給されてモータとして機能している状態を示し、したがって該当するポンプモータ13(もしくは12)は軸トルクを発生し、対応するモータ軸9,11および中間軸8,10に駆動トルクを伝達している。
そして、各シンクロ22,23,24,25についての「右」、「左」は、それぞれのシンクロ22,23,24,25におけるスリーブの図1での位置を示すとともに、丸括弧はダウンシフトするための待機状態、カギ括弧はアップシフトするための待機状態を示し、そして「○」は該当するシンクロ22,23,24,25をOFF状態(中立位置)に設定することにより引き摺りを低減している状態、「●」は該当するシンクロ22,23,24,25をOFF状態(中立位置)に設定して中立状態となっていることを示す。
図示しないシフト装置でニュートラルポジションが選択されるなどのことによってニュートラル(N)状態を設定する際には、各ポンプモータ12,13が「OFF」状態とされ、また各シンクロ22,23,24,25のスリーブが中央位置に設定される。したがって、いずれのギヤ対17,18,19,20,21も出力軸16に連結されていないニュートラル状態となる。すなわち、各ポンプモータ12,13が、ポンプ容量が実質的にゼロとなるように制御され、その結果、いわゆる空回り状態となるので、各遊星歯車機構3,4のリングギヤ3R,4Rに動力源1からトルクが伝達されても、サンギヤ3S,4Sに反力が作用しないので、出力要素であるキャリヤ3C,4Cに連結されている各中間軸8,10にはトルクが伝達されない。
シフトポジションがドライブポジションなどの走行ポジションに切り替えられると、第1シンクロ22のスリーブが図1の左側に移動させられるとともに第2シンクロ23のスリーブが、図1の左側に移動させられる。したがって、発進従動ギヤ21Bが出力軸16に連結されて第1ポンプモータ12と出力軸16とが連結され、また第1速駆動ギヤ20Aが第2中間軸10に連結されて第2遊星歯車機構4の出力要素であるキャリヤ4Cと出力軸16とが連結される。すなわち、固定変速比である第1速を設定する状態となる。また、これと併せて各ポンプモータ12,13の押出容積がゼロより大きい容積に制御される。
したがって、第2ポンプモータ13は前記第2遊星歯車機構4によって分配された動力源1の動力によって駆動されてポンプとして機能し、油圧を発生させることに伴う反力トルクをモータ軸11およびサンギヤ4Sに与える。これを図2には「油圧発生」と記載してある。そのため、第2遊星歯車機構4の差動作用によってキャリヤ4Cにトルクが伝達され、そのトルクが第1速用ギヤ対20を介して出力軸16に伝達される。一方、第2ポンプモータ13で発生した油圧がその吸入口13Sから吐出されて第1ポンプモータ12の高圧ポート12Aに供給されるので、第1ポンプモータ12がモータとして機能し、正回転する。これを図2には「油圧回収」と記載してある。このようにして第1ポンプモータ12に伝達される動力が発進用ギヤ対21を介して出力軸16に伝達される。したがって発進から第1速までの駆動状態では、第2遊星歯車機構4を介したいわゆる機械的な動力の伝達と、油圧を介した動力の伝達との両方が生じ、これらの動力を合成した動力が出力軸16に現れる。また、この過程での変速比は、固定変速比である第1速より大きい値となり、その変速比は連続的に、あるいは無段階に変化する。
こうして動力源1の回転数や車速が変化して第1速の変速比になると、第1ポンプモータ12がOFF状態に制御されてその押出容積がゼロに設定される。その結果、閉回路が第1ポンプモータ12によって閉じられるので、第2ポンプモータ13では圧油の吸入および吐出を行えなくなり、第2ポンプモータ13はロックされる。すなわち、回転が止められる。その結果、第2遊星歯車機構4のサンギヤ4Sが固定され、また第1遊星歯車機構3は出力軸16に対する動力の伝達に関与しなくなるので、動力源1が出力した動力は、第2遊星歯車機構4および第1速用ギヤ対20を介して出力軸16に伝達される。すなわち、第1速用ギヤ対20のギヤ比で決まる固定変速比が設定される。
固定変速比である第2速へアップシフトする場合、第3シンクロ24のスリーブを図1の左側に移動させて第2速駆動ギヤ18Aを第1中間軸8に連結しておく。なお、第3シンクロ24のスリーブを第2速駆動ギヤ18Aに係合させる場合、前記チャージポンプ36の油圧を第1ポンプモータ12に供給してこれを回転させることにより、第3シンクロ24のスリーブの回転数と第2速駆動ギヤ18Aとの回転数を一致させる同期制御を行ってもよい。
この状態で、Rシンクロ25を中立状態にするとともに、第1ポンプモータ12の押出容積を最大に向けて次第に増大させる。第2速へのアップシフト待機状態では、第1ポンプモータ12は逆回転しており、その押出容積を次第に増大させると、ポンプとして機能するので油圧を発生し(図2に「油圧発生」と記してある)、同時にそれに伴う反力トルクがモータ軸9に現れる。その結果、第1遊星歯車機構3および第2速用ギヤ対18を介した動力の伝達が次第に行われる。また、第1ポンプモータ12で発生した油圧が第2ポンプモータ13に供給されてこれがモータとして機能する(図2に「油圧回収」と記してある)ので、第2ポンプモータ13および第2遊星歯車機構4ならびに第1速用ギヤ対20を介した動力の伝達が生じる。そのため、第1速から第2速への変速の過程での変速比は、第1速の変速比と第2速の変速比との間の値となり、かつ連続的に変化する変速比となる。すなわち、変速比が連続的に変化する無段変速状態となる。これは、上述した発進から第1速の変速比に到るまでの間、および各固定変速比の間でも同様であり、したがって上述した動力伝達装置は、無段変速機として機能させることができる。
第2ポンプモータ13の押出容積がほぼゼロになるとともに、第1ポンプモータ12の押出容積がほぼ最大になってその回転が停止し、もしくは停止に近い状態になると、第2ポンプモータ13がOFF状態に設定される。したがって、第1ポンプモータ12がロックされて、第1遊星歯車機構3のサンギヤ3Sが固定されるので、リングギヤ3Rに入力された動力がキャリヤ3Cから中間軸8を経て第2速駆動ギヤ18Aに出力される。一方、第2ポンプモータ13はOFF状態となっており、これと同軸上に配置されているRシンクロ25および第2シンクロ23はOFF状態であってそのスリーブが中立位置にあるので、第2ポンプモータ13や第2遊星歯車機構4は動力の伝達に関与しない。したがって、第2速用ギヤ対18のギヤ比で決まる固定変速比である第2速が設定される。
以下、同様にして、第3速は第2シンクロ23のスリーブを図1の右側に移動させて第3速駆動ギヤ19Aを第2中間軸10に連結し、さらに他のシンクロ22,24はOFF状態にする。したがって、第3速用ギヤ対19を介して出力軸16に動力が伝達され、固定変速比である第3速が設定される。また、第4速は第3シンクロ24のスリーブを図1の右側に移動させて第4速駆動ギヤ17Aを第1中間軸8に連結し、また他のシンクロ23,25はOFF状態にする。したがって、第4速用ギヤ対17を介して出力軸16に動力が伝達され、固定変速比である第4速が設定される。
さらに、後進段について説明すると、図示しないシフト装置などによってリバースレンジが選択された場合には、第1シンクロ22のスリーブが図1の左側に移動させられ、またRシンクロ25のスリーブが図1の右側に移動させられ、さらに他のシンクロ23,24がOFF状態に設定される。したがって、Rシンクロ25によって第2中間軸10とモータ軸11とが連結されることにより、第2遊星歯車機構4のサンギヤ4Sとキャリヤ4Cとが連結されて第2遊星歯車機構4の全体が実質的に一体化される。また、発進従動ギヤ21Bが出力軸16に連結される。
したがって、動力源1から第2遊星歯車機構4に伝達された動力がそのまま第2ポンプモータ13に伝達されてこれが駆動され、第2ポンプモータ13によって油圧が発生する。なお、第2シンクロ23がOFF状態であるから、第2遊星歯車機構4あるいは第2中間軸10から出力軸16に動力が伝達されることはない。一方、第1ポンプモータ12の押出容積がゼロより大きい容積、例えば最大容積に制御され、その結果、第2ポンプモータ13から供給された油圧によって第1ポンプモータ12がモータとして機能し、モータ軸9にトルクを出力する。その場合、第1ポンプモータ12にはその吐出口12Dから油圧が供給されるので、第1ポンプモータ12が逆回転する。そして、そのトルクが発進用ギヤ対21を介して出力軸16に伝達されるので、後進状態となる。すなわち、後進段では、油圧を介した動力の伝達が生じ、これを図2では、第1ポンプモータ12について「油圧回収」と記し、第2ポンプモータ13について「油圧発生」と記してある。
上記の無段変速機では、油圧を介して動力の伝達が行われ、その伝達されるトルクTと油圧(低圧側と高圧側との差圧)ΔPと各押出容積q1,q2とには、
ΔP=(2π/(q1+q2))×T
の関係がある。なお、q1は第1ポンプモータ12の押出容積(第1ポンプモータ12の容量)、q2は第2ポンプモータ13の押出容積(第2ポンプモータ13の容量)である。一方、圧油(オイル)の温度が低い場合、その粘度が高いために流動や攪拌などによる損失が大きくなり、動力の伝達効率が低下したり、あるいは伝達トルクが低下したり、さらには所期どおりの制御を行えない場合がある。そこで、この発明の油圧制御装置では、以下の暖機制御を行うように構成されている。
図3はその制御の一例を説明するためのフローチャートであって、先ず、暖機判定が行われる(ステップS1)。これは、要は、油温が低いか否かの判定であって、前記オイルパン37に設けたセンサ(図示せず)で検出された温度やエンジン水温から推定された温度などと所定の暖機要否判定閾値とを比較することにより行うことができる。このステップS1で肯定的に判定された場合、すなわち暖機の必要がある場合には、ポンプモータ12,13の押出容積を制御するためのマップが暖機用のマップに切り換えられる(ステップS2)。
そのマップの一例を図4に示してある。図4は第1速と第2速の間のいわゆる中間変速比を設定するための各押出容積q1,q2を求めるためのマップであり、横軸に変速比を採り、縦軸に各変速比を設定するための押出容積q1,q2を採ってある。図4の太線が暖機用のマップであり、また細線が通常用のマップであって、暖機を行う場合には、各押出容積q1,q2もしくはその和が、暖機を積極的には行わない通常時に比較して減少させられている。このような制御は、暖機のための押出容積q1,q2を予め定め、これを読み出して行ってもよく、あるいは通常時の押出容積q1,q2に一定の係数を掛けて求めてもよい。また、暖機用の押出容積q1,q2同士の比率は、通常時の押出容積q1,q2同士の比率とほぼ同じに設定することが好ましい。このようにすれば、暖機を行っている場合と行っていない場合との変速比が同じになり、暖機に伴って駆動トルクやエンジン回転数が変化するなどの事態を回避することができる。
ステップS2で各ポンプモータ12,13の押出容積q1,q2を減少させることにより、油圧(差圧)ΔPが増大する。油圧ΔPと押出容積q1,q2とには上記の式で示す関係があるから、入力トルクTが一定であるとした場合、油圧ΔPが高くなる。その状況を図5に示してあり、通常時には細線で示す圧力が、暖機時には押出容積q1,q2の低減に応じて、太線で示す圧力に上昇する。したがって、圧油は、加圧されることにより、また流動損失や撹拌損失あるいは漏れによる圧力損失などの増大により、発熱してその温度が上昇する。すなわち、暖機が促進される。
また、ステップS2の制御と併せてリリーフ弁41,42が開かれる(ステップS3)。すなわち、リリーフ圧が低下させられる。そのため、リリーフ弁41,42からの圧油の漏洩が増大するので、それに伴う圧力損失により温度が上昇する。すなわち、暖機が促進される。
一方、上記のステップS1で否定的に判断された場合、すなわち油温が既に高くなっているなどのことにより暖機を行うべきことの判定が成立しない場合には、各ポンプモータ12,13の押出容積q1,q2の制御マップとして通常用のマップが採用される(ステップS4)。そのマップの一例は図4に細線で示すとおりであり、暖機用のマップと比較して相対的に大きい容積に設定するようになっている。したがって、油圧ΔPは図5に細線で示すように、暖機時に比較して相対的に低圧になる。なお、このステップS4で選択されたマップおよび前述したステップS2で選択されたマップは、図1に示す変速機での変速制御に使用される。したがって、変速制御と並行して暖機制御が実行され、変速機の制御やこれを搭載した車両の走行に支障を来すことはない。
そして、ステップS4に続けて、リリーフ弁41,42を閉じる制御が実行される(ステップS5)。これは、前述したステップS3で低下させたリリーフ圧を通常のリリーフ圧に戻す制御である。
つぎにこの発明による他の制御例を説明する。図6はその制御例を説明するためのフローチャートであって、先ず、暖機の判定が行われる(ステップS11)。これは、前述した図3に示すステップS1と同様の判定であって、油温やエンジン水温などに基づいて暖機の要否が判定される。このステップS11で肯定的に判断された場合には、エンジントルクを増加できるか否かが判断される(ステップS12)。この判断は、例えばエンジン1の制御装置(図示せず)から得られる情報に基づいて行うことができ、例えばスロットル開度もしくはアクセル開度が既に最大になっている場合には、否定的に判断される。
エンジントルクを増加できることによりステップS12で肯定的に判断された場合には、暖機の際のエンジントルク増加分ΔTが算出される(ステップS13)。これは、例えば油温やエンジン水温とエンジントルク増加分ΔTとの関係を、実験やシミュレーションなどによって予め求めてマップとして定めておき、そのマップからエンジントルク増加分ΔTを算出することができる。
そのエンジントルク増加分ΔTに基づいて、ポンプモータ12,13の押出容積q1,q2が算出される(ステップS14)。これは、マップに基づいて行うことができ、そのマップの一例を図7に模式的に示してある。このマップは、エンジントルク増加分ΔTが大きくなるのに従って各押出容積q1,q2の和が、予め定めた下限値に向けて減少するように構成したマップであり、ステップS13で算出したエンジントルク増加分ΔTから押出容積q1,q2の和(q1+q2)が求められる。こうして算出された押出容積q1,q2の和(q1+q2)により、前述した図5に太線で示す暖機用のマップが得られる。したがって、暖機状態で目標変速比を設定する各押出容積q1,q2が前述した図3の制御例と同様にして求めることができる。
ついで、リリーフ圧が算出される(ステップS15)。これは、具体的には要求駆動力から求めることができ、例えばアクセル開度と車速とから要求駆動力を求め、その要求駆動力と車速とから要求出力を求め、これをエンジン回転数で除算してエンジントルクを算出し、そのエンジントルクを前述した式に代入して圧力を算出すればよい。なお、その場合、エンジントルクには前述した増加分ΔTは含ませない。こうして算出されたエンジントルク増加要求とリリーフ圧要求とが指令信号として出力される(ステップS16)。
一方、暖機判定が成立しないことによりステップS11で否定的に判定された場合、およびエンジントルクを増加できない状態であることによりステップS12で否定的に判断された場合には、暖機用エンジントルク増加分の指令値が「0」に設定されるとともに、リリーフ圧が最大(MAX)に設定される(ステップS17)。その後、ステップS16に進んでこれらの指令値が出力される。
したがって、図6に示す制御例では、暖機を行う際のエンジントルクの増加分と各ポンプモータ12,13の押出容積q1,q2とを相互に関連させて算出し、その算出結果に基づいてエンジン1の出力制御と変速機の変速制御とを行うので、暖機のために動力損失が幾分生じるとしても、それに起因するトルクの低下を補うようにエンジントルクが増大させられる。そのため、暖機時に駆動トルクが低下あるいは不足するなどの事態を防止もしくは抑制することができる。なお、暖機制御を実行していても通常どおりに変速制御を行えることは、前述した図3に示す制御の場合と同様である。
ここで上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図3のステップS1あるいは図6のステップS11の制御を行う機能的手段が、この発明の暖機判定手段に相当し、図3のステップS2あるいは図6のステップS14で押出容積q1,q2を通常より減少させる機能的手段が、この発明の容量低減手段に相当する。また、図3のステップS3の制御を行う機能的手段が、この発明の設定圧低下手段に相当する。さらに、図6のステップS13およびステップS16でエンジントルクを増加させる機能的手段が、この発明の出力制御手段に相当する。
なお、この発明は上述した各具体例に限定されないのであって、適用する無段変速機は図1に示す構成とは異なり、油圧のみによって動力を伝達し、かつ変速を行うように構成した変速機であってもよい。すなわち、静圧式変速機(HydroStatic Transmission:HST)であってもよい。また、歯車機構を主体とした変速機構と並列にHSTを設けて、全体として無段階に変速できるように構成した変速機であってもよい。また、変速の際の油圧ポンプおよび油圧モータの容量は、両方を同時に変化させる以外に、一方の容量を目的とする容量まで増大させた後、他方の容量を低下させてもよい。
また、図1に示す例では、前進4段・後進1段の固定変速比を設定できるように構成されているが、この発明で対象とする変速機は、固定変速比の数がそれよりも多くてよく、あるいは反対に少なくてもよい。さらに、ポンプモータをシングルピニオン型遊星歯車機構やダブルピニオン型遊星歯車機構などの差動機構に対する反力機構として用いる場合、その押出容積をゼロから一方向にのみ増大できるいわゆる片振り型のものに限らず、正負の両方向に変化させることのできるいわゆる両振り型のポンプモータを使用することもできる。その場合、歯車機構は、図1と異なる構成とすることができる。
さらに、ポンプモータや差動機構ならびにギヤ対などの伝動機構の配列は、必要に応じて適宜変更することができ、いわゆるFR車に適するように配置した構成としてもよい。またさらに、動力源は一方の差動機構に直接連結する替わりに、前述したカウンタギヤ対のアイドルギヤに連結してもよい。そして、図6に示す制御例では、エンジントルク増加分から押出容積を設定するように構成されているが、この発明では、これに替えて、暖機要求に基づいて押出容積もしくはこの和を求め、それに基づいてエンジントルク増加分を求めるように構成してもよい。
この発明に係る動力伝達装置の一例を模式的に示すスケルトン図である。 各変速段を設定する際の各ポンプモータおよび各シンクロの動作状態をまとめて示す図表である。 この発明に係る暖機時の押出容積およびリリーフ弁の制御例を説明するためのフローチャートである。 暖機時と通常時との押出容積制御マップの一例を模式的に示す図である。 暖機時と通常時との油圧の一例を示す図である。 エンジントルクの制御を伴うこの発明による制御例を説明するためのフローチャートである。 エンジントルクの増加分から押出容積の和を求めるマップの一例を模式的に示す図である。
符号の説明
1…動力源(E/G)、 2…入力部材、 3…第1遊星歯車機構、 4…第2遊星歯車機構、 8…第1中間軸、 9…モータ軸、 10…第2中間軸、 11…モータ軸、 12…可変容量型ポンプモータ(第1ポンプモータ)、 13…可変容量型ポンプモータ(第2ポンプモータ)、 16…出力軸、 17,18,19,20,21…ギヤ対、 22…第1のシンクロナイザー(第1シンクロ)、 23…第2のシンクロナイザー(第2シンクロ)、 24…第3のシンクロナイザー(第3シンクロ)、 25…後進用のシンクロナイザー(Rシンクロ)、 43…電子制御装置(ECU)。

Claims (6)

  1. 動力源が出力した動力によって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、その油圧ポンプが出力した圧油が供給されて駆動されることにより出力部材に動力を出力する可変容量型の油圧モータとを備え、前記出力部材に伝達されるトルクがこれらの油圧ポンプと油圧モータとの容量と油圧とに応じて変化する無段変速機の油圧制御装置において、
    圧油の温度を上昇させるべきことを判定する暖機判定手段と、
    この暖機判定手段によって、圧油の温度を上昇させるべきことが判定された場合に、前記油圧ポンプと油圧モータとの前記容量を、前記判定がなされない場合に比較して減少させる容量低減手段と
    を備えていることを特徴とする無段変速機の油圧制御装置。
  2. 前記容量低減手段は、前記油圧ポンプの容量と前記油圧モータの容量との和を減少させる手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の油圧制御装置。
  3. 前記容量低減手段は、前記油圧ポンプの容量と前記油圧モータの容量との比率を変化させずにこれらの容量を減少させる手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の無段変速機の油圧制御装置。
  4. 前記油圧ポンプと油圧モータとを連通させている油圧回路の最高圧力を設定するリリーフ弁を備え、前記暖機判定手段によって、圧油の温度を上昇させるべきことが判定された場合に、このリリーフ弁の設定圧を低下させる設定圧低下手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無段変速機の油圧制御装置。
  5. 前記油圧ポンプと油圧モータとの前記容量が前記容量低減手段によって減少させられた場合に前記動力源の出力トルクを増大させる出力制御手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無段変速機の油圧制御装置。
  6. 前記油圧ポンプと油圧モータとは、ポンプおよびモータの両方の機能を備えた可変容量型のポンプモータを含み、
    前記無段変速機は、前記動力源から動力が入力される入力要素と前記出力部材に対して伝動機構を介して動力を出力する出力要素といずれかのポンプモータが連結された反力要素とで差動作用を行う第1の差動機構と、前記動力源から動力が入力される他の入力要素と前記出力部材に対して他の伝動機構を介して動力を出力する他の出力要素と他のポンプモータが連結された他の反力要素とで差動作用を行う第2の差動機構と、前記各伝動機構を選択的にトルク伝達可能な状態にする切換機構とを備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の無段変速機の油圧制御装置。
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