JP2009138819A - 変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速時間を短縮することの可能な変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】2つの動力伝達経路に設けられた流体圧ポンプモータと、動力伝達経路の変速比を設定する第1伝動機構および第2伝動機構と、各伝動機構を切り替える切替機構とを備えた変速機の変速制御装置において、変速要求の有無を判断する変速要求判断手段(ステップS40)と、変速要求があった場合は、切替機構に掛かるトルクを低下させた後に切替機構を解放させ、その後に、切替機構に掛かるトルクを増大させて切替機構の回転数が変化した状態で切替機構を係合させる第1の変速制御、または、切替機構に掛かるトルクを低下させた後に切替機構を解放させ、その後に、切替機構を係合させる第2の変速制御のいずれか一方を選択する選択手段(ステップS41,S42,S43,S45)と、選択された変速制御を実行する制御実行手段(ステップS44,S46)とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】2つの動力伝達経路に設けられた流体圧ポンプモータと、動力伝達経路の変速比を設定する第1伝動機構および第2伝動機構と、各伝動機構を切り替える切替機構とを備えた変速機の変速制御装置において、変速要求の有無を判断する変速要求判断手段(ステップS40)と、変速要求があった場合は、切替機構に掛かるトルクを低下させた後に切替機構を解放させ、その後に、切替機構に掛かるトルクを増大させて切替機構の回転数が変化した状態で切替機構を係合させる第1の変速制御、または、切替機構に掛かるトルクを低下させた後に切替機構を解放させ、その後に、切替機構を係合させる第2の変速制御のいずれか一方を選択する選択手段(ステップS41,S42,S43,S45)と、選択された変速制御を実行する制御実行手段(ステップS44,S46)とを備えている。
【選択図】図1
Description
この発明は、動力の伝達状態を可変容量型の流体圧ポンプモータの押出容積に応じて変更できる少なくとも二つの動力伝達経路を備え、それらのポンプモータの押出容積を最大と最小、ならびにその中間の値に設定することにより、入力部材と出力部材との間の変速比を変更することのできる、変速機の変速制御装置に関するものである。
この種の変速機が特許文献1に記載されている。その構成を簡単に説明すると、動力源の動力が入力部材を経由して出力部材に伝達されるように構成されている。そして、入力部材から出力部材に至る2つの動力伝達経路が、並列に形成されている。各動力伝達経路には、遊星歯車機構がそれぞれ設けられており、その遊星歯車機構は入力要素及び反力要素及び出力要素を有している。その入力要素が、前記動力源に接続され、出力要素が出力部材に接続されている。また、2つの反力要素には、可変容量型の流体圧ポンプモータ(以下、「ポンプモータ」と記す)の駆動軸がそれぞれ連結されている。さらに、各ポンプモータの吐出口同士、および吸入口同士が互いに連結されて閉回路が形成されている。さらに、各遊星歯車機構の出力要素と一体の中間軸上には、固定変速比を設定するための駆動ギヤが配置され、それぞれの駆動ギヤに噛み合っている従動ギヤが、出力部材と同軸に配置されている。そして、これらの駆動ギヤと従動ギヤとからなる各ギヤ対を、トルクの伝達可能な状態とトルクを伝達しない状態とに切り替える切替機構として、同期連結機構(いわゆるシンクロナイザー)が設けられている。
したがって、いずれかのポンプモータをロック(停止)させて前記反力要素を固定すれば、動力源が出力した動力が、その反力要素を有する遊星歯車機構を介して一方の中間軸に伝達され、さらにその中間軸に対して、シンクロナイザーによって連結されているギヤ対を介して、出力軸に動力が伝達される。その場合における、入力部材と出力部材との間の変速比は、動力の伝達に関与している前記ギヤ対のギヤ比(固定変速比)に応じた変速比となる。
この場合、ポンプモータのロックは、他方のポンプモータの押出容積(押し出し容量)をゼロ(l/s)、すなわち最小にすることにより達成される。すなわち、各ポンプモータは閉回路によって連通されているので、他方のポンプモータの押出容積をゼロにすれば、閉回路で流体の行き来が生じなくなるので、一方のポンプモータの押出容積を最大にするなど、ゼロより大きい押出容積とすることにより、その一方のポンプモータがロックされ、駆動軸の回転が阻止される。
また、各ポンプモータの押出容積をゼロより大きくするとともに、一方のポンプモータに連結されたギヤ対を係合・解放するシンクロナイザーを制御することによって、そのギヤ対をトルク伝達可能な状態とし、かつ他方のポンプモータに連結されたギヤ対の動力伝達を制御するシンクロナイザーによって、他のギヤ対をトルク伝達可能な状態にすると、各ギヤ対のギヤ比に応じて決まる変速比の中間の値の変速比が、入力部材と出力部材との間の変速比として設定される。すなわち、一方のポンプモータが圧力流体を吐出し、その圧力流体が、他方のポンプモータに供給されてモータとして動作し、そのモータの動力が他方のギヤ対を介して出力部材に伝達される。その結果、出力部材には、このような流体を介して伝達された動力と、一方のポンプモータを介して機械的に伝達された動力とを合成した動力が現れる。そのうちの流体を介した動力は、各ポンプモータの押出容積を連続的に変化させることにより連続的に変化させることが可能であるから、結局、変速機の全体としての変速比を連続的に、すなわち無段階に変更することができる。なお、可変容量型のポンプを用いた変速機の例が、特許文献2に記載されている。
上記の特許文献1に記載されている変速機では、ポンプモータの押出容積がゼロとなってロックされたときに、変速後の固定変速比を設定するギヤ対の動力伝達が遮断された状態から、そのギヤ対に設けられたシンクロナイザーを動作させて、変速前の固定変速比から、変速後の固定変速比に変更する構成である。具体的には、シンクロナイザーを構成するスリーブが動作されると、シンクロナイザーリングが相手部材に押し付けられて、摩擦力によりシンクロナイザーリングの回転数と相手部材の回転数が同期し、ついで、スリーブによる係合が完了する。したがって、スリーブの動作を開始してから、スリーブの係合が完了するまでの時間、つまり、シンクロナイザーの動作状態の切替に要する時間が相対的に長くなる問題があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、切替機構の動作状態を切り替えて、変速機の変速をおこなう場合に、変速時間を短縮して迅速な変速を可能にし、また、違和感のないスムーズな変速を可能にする変速機の変速制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、動力源の動力が入力される入力部材から出力部材に至る間に並列に設けられかつそれぞれ互いに異なる複数の変速比を選択的に設定可能な少なくとも2つの動力伝達経路と、各動力伝達経路を介して伝達されるトルクを押出容積に応じて変化させるように前記各動力伝達経路に設けられかついずれか一方の押出容積がゼロの場合に他方が圧力流体の給排が阻止されてロックされるように前記圧力流体が通る流路を介して相互に接続された少なくとも2つの可変容量型の流体圧ポンプモータと、一方の可変容量型の流体圧ポンプモータがロックされた場合に前記動力源からの動力を前記出力部材に伝達する第1伝動機構と、他方の可変容量型の流体圧ポンプモータがロックされた場合に前記動力源からの動力を前記出力部材に伝達する第2伝動機構と、前記各伝動機構のそれぞれを、動力伝達可能な状態と動力が遮断される状態とに別個に切り替える切替機構とを備えた、可変容量型の流体圧ポンプモータを用いた変速機の変速制御装置において、いずれかの前記切替機構を係合状態から解放状態に切り替えた後に該切替機構を解放状態から係合状態に切り替える変速要求の有無を判断する変速要求判断手段と、前記変速要求があったことが前記変速要求判断手段で判断された場合に、前記係合状態から解放状態に切り替えるべき切替機構に掛かるトルクを低下させた後に前記切替機構を解放状態に制御し、その後に、前記切替機構に掛かるトルクを増大させて前記切替機構の回転数が変化した状態で該切替機構を係合状態に制御する第1の変速制御、または、前記係合状態から解放状態に切り替えるべき切替機構に掛かるトルクを低下させた後に前記切替機構を解放状態に制御し、その後に、該切替機構を係合状態に制御する第2の変速制御のうち、いずれか一方を選択する選択手段と、前記第1の変速制御または第2の変速制御のうち、前記選択手段により選択された変速制御を実行する制御実行手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記選択手段は、前記第1の変速制御を実行する場合に要する第1の変速時間と、前記第2の変速制御を実行する場合に要する第2の変速時間とを予測し、前記変速時間が短くなると予測される方の変速制御を選択する手段を含むことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1の変速制御には、切替機構に掛かるトルクを増大させてから再度低下させる制御が含まれており、前記選択手段は、前記第1の変速制御を実行することを仮定して、切替機構に掛かるトルクを増大させてから再度低下させるまでの時間と、切替機構に掛かるトルクを増大させ、かつ、切替機構を係合させる制御が開始されて可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が上昇し、かつ、一旦低下した時点から、変速後の変速比に相当する回転数に同期するまでの時間とを加えて第1の変速時間を求める制御をおこない、かつ、前記第2の変速制御を実行することを仮定して、切替機構の係合が開始されて可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が、変速比の変更前の回転数から変化を開始した時点から、可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が、変速比の変更後における回転数に到達するまでの第2の変速時間を求める制御をおこなうとともに、前記第1の変速時間の方が第2の変速時間未満である場合は、前記第1の変速制御を選択し、前記第2の変速時間の方が第1の変速時間以下である場合は、前記第2の変速制御を選択する手段を含むことを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、各動力伝達経路での伝達トルクが、それぞれに設けられている可変容量型の流体圧ポンプモータ(以下、「ポンプモータ」と記す)の押出容積に応じて変化するので、一方の動力伝達経路で伝達されるトルクをゼロとし、かつ、他方の動力伝達経路のみで動力を伝達するようにすれば、該他方の動力伝達経路で決まる変速比により、変速機全体の変速比が決定される。これに対して、各ポンプモータの押出容積を共に最大にし、もしくは最大と最小との中間の値にすると、その押出容積に応じて、各伝動機構で変速比が設定される。これに加えて、各ポンプモータ同士が流体を相互に授受できるように連通されているので、いずれか一方のポンプモータをポンプとして機能させることにより、該一方のポンプモータが設けられている動力伝達経路を介して、機械的に出力部材にトルクが伝達される。また、他方のポンプモータがモータとして機能し、他方の動力伝達経路を介して出力部材にトルクが伝達される。すなわち、流体を介した動力伝達が並行して生じ、しかも流体を介して伝達されるトルクは連続的に変化させることができるので、変速機の全体としての変速比が無段階に変更される無段変速機となる。
そして、いずれかの切替機構を係合状態から解放状態に切り替えた後に該切替機構を解放状態から係合状態に切り替える変速要求の有無が判断される。ここで、変速要求があった場合は、係合状態から解放状態に切り替えるべき切替機構に掛かるトルクを低下させた後に、切替機構を解放状態に制御する。その後、切替機構に掛かるトルクを増大させて、切替機構の回転数が変化した状態で該切替機構を係合状態に制御する第1の変速制御、または、係合状態から解放状態に切り替えるべき切替機構に掛かるトルクを低下させた後に切替機構を解放状態に制御し、その後に、該切替機構を係合状態に制御する第2の変速制御のいずれか一方が選択される。そして、選択された変速制御が実行される。このように、第1の変速制御または第2の変速制御のいずれが実行された場合も、切替機構に掛かるトルクを低下させた後、係合されている切替機構を一旦解放する。つまり、切替機構を動力伝達に関与しない状態にしてから、切替機構を解放することができるため、切替機構の切替に要する時間、すなわち、変速に要する時間を相対的に短縮することができる。したがって、違和感のないスムーズな変速を実行することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、第1の変速制御を実行する場合に要する第1の変速時間と、第2の変速制御を実行する場合に要する第2の変速時間とを予測し、変速時間が短くなると予測される方の変速制御を選択することができる。したがって、変速機の変速に要する時間を、一層短縮することができる。
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、第1の変速制御を実行することを仮定して、切替機構に掛かるトルクを増大させてから再度低下させるまでの時間と、切替機構に掛かるトルクを増大させ、かつ、切替機構を係合させる制御が開始されて可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が上昇し、かつ、一旦低下した時点から、変速後の変速比に相当する回転数に同期するまでの時間とを加えた第1の変速時間を予測する。また、第2の変速制御を実行することを仮定して、切替機構の係合が開始されて可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が、変速比の変更前の回転数から変化を開始した時点から、可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が、変速比の変更後における回転数に到達するまでの第2の変速時間を予測する。そして、第1の変速時間と第2の変速時間とを比べて、第1の変速時間の方が第2の変速時間未満である場合は、第1の変速制御を選択する。これに対して、第2の変速時間の方が第1の変速時間以下である場合は、第2の変速制御を選択する。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする変速機について説明すると、この発明で対象とする変速機は、少なくとも二つの動力伝達経路を備えており、それら両方の動力伝達経路を介して、入力部材から出力部材にトルクを伝達できるように構成され、その結果、入力部材と出力部材との回転数の比である総合変速比を連続的に変化させることができる。より具体的には、各動力伝達経路は、ポンプおよびモータのそれぞれと機能する可変容量型の流体圧ポンプモータ(以下、「ポンプモータ」と記す)を備えており、このポンプモータの押出容積に応じたトルクを伝達するように構成されている。さらに、それぞれのポンプモータが圧力流体を相互に授受できるように、流路によりポンプモータ同士が接続されている。したがって、一方のポンプモータがポンプとして機能することにより、その押出容積に応じたトルクが動力源から出力部材に伝達され、同時に、一方のポンプモータから他方のポンプモータに圧力流体が供給されて、他方のポンプモータがモータとして機能する。すなわち、圧力流体を介した動力伝達が、並行して行われる。そのトルクが他方の動力伝達経路を介して出力部材に伝達される。その結果、出力部材に伝達されるトルクは、各動力伝達経路を介して伝達されるトルクの合計になり、しかも圧力流体を介して伝達されるトルクは、各押出容積に応じて変化するので、結局は、変速機の総合変速比が連続的に変化することになる。
各動力伝達経路は、それぞれ変速比(副変速比)の異なるギヤ対や巻き掛け伝動機構などの伝動機構を備えることができ、一方の動力伝達経路のみを介して出力部材にトルクを伝達する場合には、変速機の全体としての総合変速比は、その動力伝達経路における伝動機構の副変速比で決まる。このような副変速比を仮に固定変速比とすると、固定変速比を設定している状態では、圧力流体を介した動力の伝達が生じないので、動力の損失が生じにくく、効率のよい伝動状態となる。なお、いずれかの伝動機構のみをトルク伝達に関与させるようにするために、クラッチ機構などの切替機構を各伝動機構に含ませることが好ましく、あるいは動力源もしくは出力部材と伝動機構との間に切替機構を設けることが好ましい。
この発明で対象とする変速機は、圧力流体を介して動力を伝達するように構成されているので、上述したように機械的な動力伝達によって変速比を設定する機能を兼ね備えたハイドロスタティック・メカニカル・トランスミッション(HMT)として構成されたものである。そのメカニカルトランスミッションの部分は、必要に応じて適宜の構成とすることができ、常時噛み合っているギヤ対を、クラッチ機構もしくは同期連結機構などの切替機構によって選択する構成の機構や、複数の遊星歯車機構もしくは複合遊星歯車機構によって複数の変速比を設定できる構成などを採用することができる。また、ポンプモータは、入力部材と出力部材との間に直列に介在させる構成以外に、反力手段としてポンプモータを用いる構成とすることもできる。
この発明における動力源は、出力部材に伝達する動力を発生する動力装置であり、動力源としては、内燃機関、電動モータ、フライホイールなどを用いることができる。内燃機関は、燃料を燃焼させて熱エネルギを生じさせ、その熱エネルギを運動エネルギに変換する装置である。電動モータは、電気エネルギを運動エネルギに変換する装置であり、発電機能を備えたモータ・ジェネレータを用いることもできる。フライホイールは、回転部材の慣性力を蓄積し、運動エネルギーとして放出可能な動力装置である。これらの動力源は、いずれも動力の発生原理が異なる。この発明において、入力部材および出力部材は、動力を伝達する要素であり、回転軸、ギヤ、プーリ、スプロケット、遊星機構のキャリヤなどを用いることができる。この発明における切替機構は、伝動機構の状態を動力伝達可能な係合状態と、動力が遮断される解放状態とに切り替える機構である。また、切替機構は、伝動機構を構成し、かつ、相対回転可能に設けられた2つの回転部材の回転数を同期させる機能を有している。この切替機構には、噛み合い力により動力伝達をおこなう噛み合いクラッチ、摩擦力により動力伝達をおこなう摩擦式クラッチ、電磁力により動力伝達をおこなう電磁クラッチが含まれる。また、摩擦式クラッチは、湿式クラッチまたは乾式クラッチのいずれでもよい。さらに、この発明における変速機は、車両の動力源(駆動力源)から車輪に至る動力伝達経路に配置することができる。
この発明において、「切替機構に掛かるトルク」とは、切替機構の伝達トルク、言い換えれば、切替機構を経由して伝達されるトルクを意味する。この発明において、「切替機構の回転数が変化した状態」とは、切替機構を構成する回転要素の回転数、または切替機構により動力伝達が可能となる回転要素の回転数が、変速比の変更前の回転数から、変速比の変更後の回転数に近づくように変化した(回転数が上昇したまたは回転数が下降した)状態を意味する。より具体的に説明すると、切替機構が、シンクロナイザーであり、そのシンクロナイザーが、スリーブ、シンクロナイザーリング等を有している場合、シンクロナイザーの入力側を構成する回転要素であるスリーブの回転数を意味する。この発明における入力部材及び出力部材は、動力源の動力を伝達する回転要素であり、この回転要素には、回転軸、歯車、コネクティングドラム、プーリ、スプロケットなどが含まれる。
つぎに、差動機構を動力分配機構として使用するとともに、伝動機構として複数のギヤ対を使用し、したがって、ポンプモータが反力機構となっている具体例を説明する。図2に示す例は、車両用の変速機TMとして構成した例であり、流体を介さずにトルクを伝達して設定できるいわゆる固定変速比(副変速比)として、四つの前進段および一つの後進段を設定するように構成した例である。すなわち、動力源(E/G)1に入力部材2が連結されており、この入力部材2からこの発明における差動機構に相当する第1遊星歯車機構3および第2遊星歯車機構4にトルクを伝達するように構成されている。前記動力源1は、内燃機関または電気モータのいずれか一方、あるいは内燃機関及び電動モータを組み合わせた構成など、車両に使用されている一般的な動力源であってよい。また、この動力源1と入力部材2との間に、トルク変動を吸収するダンパー、摩擦力または電磁力により動力伝達をおこなうクラッチ、流体の運動エネルギにより動力伝達をおこなう流体伝動装置など、適宜の伝動装置を介在させてもよい。
第1遊星歯車機構3が入力部材2と同一軸線上に配置され、第2遊星歯車機構4が第1遊星歯車機構3の半径方向で外側に離隔し、それぞれの中心軸線を平行にした状態で並列に配置されている。これらの遊星歯車機構3,4はこの発明の差動機構に相当し、シングルピニオン型やダブルピニオン型などの適宜の形式の遊星歯車機構を用いることができる。図2に示す例はシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成した例であり、外歯歯車であるサンギヤ3S,4Sと、そのサンギヤ3S,4Sと同心円状に配置された、内歯歯車であるリングギヤ3R,4Rと、これらサンギヤ3S,4Sとリングギヤ3R,4Rとに噛み合っているピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持したキャリヤ3C,4Cとを備えている。そして、第1遊星歯車機構3におけるリングギヤ3Rに前記入力部材2が連結され、このリングギヤ3Rが入力要素となっている。
また、入力部材2にはカウンタドライブギヤ5が取り付けられており、このカウンタドライブギヤ5にアイドルギヤ6が噛み合っているとともに、そのアイドルギヤ6にカウンタドリブンギヤ7が噛み合っている。このカウンタドリブンギヤ7は、前記第2遊星歯車機構4と同一軸線上に配置され、かつ第2遊星歯車機構4のリングギヤ4Rに、一体となって回転するように連結されている。したがって、第2遊星歯車機構4においては、そのリングギヤ4Rが入力要素となっている。各遊星歯車機構3,4の入力要素であるリングギヤ3R,4Rは、カウンタギヤ対がアイドルギヤ6を備えた構成であるから、同方向に回転するようになっている。この具体例において、カウンタドライブギヤ5とカウンタドリブンギヤ7との間の変速比は一定(固定)である。
第1遊星歯車機構3におけるキャリヤ3Cは出力要素となっており、そのキャリヤ3Cに、回転軸としての第1中間軸8が、一体になって回転するように連結されている。この第1中間軸8は中空軸であって、その内部をモータ軸9が回転自在に挿入されている。このモータ軸9の一端部が、第1遊星歯車機構3における反力要素であるサンギヤ3Sに、一体となって回転するように連結されている。第2遊星歯車機構4も同様な構成であって、そのキャリヤ4Cが出力要素となっており、そのキャリヤ4Cに他の回転軸としての第2中間軸10が、一体になって回転するように連結されている。この第2中間軸10は中空軸であって、その内部をモータ軸11が回転自在に挿入されている。このモータ軸11の一端部が、第2遊星歯車機構4における反力要素であるサンギヤ4Sに、一体となって回転するように連結されている。
上記のモータ軸9の他方の端部が可変容量型ポンプモータ12の出力軸に連結されている。この可変容量型ポンプモータ12は、斜軸ポンプや斜板ポンプあるいはラジアルピストンポンプなどの吐出容量を変更可能な流体圧(油圧)ポンプであって、その出力軸にトルクを与えて回転させることによりポンプとして機能して圧力流体(圧油)を吐出し、また吐出ポートもしくは吸入ポートから圧力流体を供給することにより、モータとして機能するようになっている。なお、この可変容量型ポンプモータ12を以下の説明では、第1ポンプモータ12と記し、図には「PM1」と表示する。
この第1ポンプモータ12には、その押出容積を制御するための容量変更機構が設けられている。この容量変更機構は、斜軸もしくは斜板の傾斜角度を変更し、あるいはラジアルピストンポンプにおけるロータの相対的な偏心量を変更する機能を備えた機構であり、例えばデューティー比に応じた油圧を吐出するソレノイドバルブ(以下、仮に第1ソレノイドバルブと記す)12Aを主体として構成されている。また、容量変更機構は、それ自体がフェールし、あるいは断線などの制御信号系統にフェールが生じるなど、第1ポンプモータ12の押出容積を任意に制御できない状態が生じた場合に、第1ポンプモータ12の押出容積が最大となるように構成されている。これは、例えば前記第1ソレノイドバルブ12Aを、断線などのいわゆるOFFフェールした場合に制御油圧を出力しないノーマリークローズ(N/C)タイプの構成としておき、フェール時に制御力が生じないことにより、第1ポンプモータ12における機械的な力で押出容積が最大になるように構成したものである。
また、モータ軸11の他方の端部が、可変容量型ポンプモータ13の出力軸に連結されている。この可変容量型ポンプモータ13は、前記モータ軸9側の第1ポンプモータ12と同様の構成のものであり、したがって斜軸ポンプや斜板ポンプあるいはラジアルピストンポンプなどの吐出容量を変更可能な流体圧(油圧)ポンプを採用することができる。なお、この可変容量型ポンプモータ13を以下の説明では、第2ポンプモータ13と記し、図には「PM2」と表示する。
この第2ポンプモータ13には、その押出容積を制御するための容量変更機構が設けられている。この容量変更機構は、斜軸もしくは斜板の傾斜角度を変更し、あるいはラジアルピストンポンプにおけるロータの相対的な偏心量を変更する機能を備えた機構であり、例えばデューティー比に応じた油圧を吐出するソレノイドバルブ(以下、仮に第2ソレノイドバルブと記す)13Aを主体として構成されている。また、容量変更機構は、それ自体がフェールし、あるいは断線などの制御信号系統にフェールが生じるなど、第2ポンプモータ13の押出容積を任意に制御できない状態が生じた場合に、第2ポンプモータ13の押出容積が最大となるように構成されている。これは、例えば前記第2ソレノイドバルブ13Aを、断線などのいわゆるOFFフェールした場合に制御油圧を出力しないノーマリークローズ(N/C)タイプの構成としておき、フェール時に制御力が生じないことにより、第2ポンプモータ13における機械的な力で、押出容積が最大になるように構成したものである。各ポンプモータ12,13は、圧力流体である圧油を相互に受け渡すことができるように、油路14,15によって連通されている。すなわち、それぞれの吸入ポート12S,13S同士が油路14によって連通され、また吐出ポート12D,13D同士が油路15によって連通されている。したがって各油路14,15によって閉回路が形成されている。この閉回路での油圧制御のための機構については後述する。
上記の各中間軸8,10と平行に、この発明の出力部材に相当する出力軸16が配置されている。そして、この出力軸16と各中間軸8,10との間のそれぞれに、所定の変速比を設定する伝動機構が設けられている。この発明における伝動機構としては、固定された回転数比(変速比)で動力を伝達する機構に限らず、変速比が可変な機構を採用することができ、図2に示す例では、固定された変速比(以下、「固定変速比」と記す)で動力を伝達する複数のギヤ対17,18,19,20が採用されている。具体的に説明すると、前記第1中間軸8には、第1遊星歯車機構3側から順に、第4速駆動ギヤ17Aと第2速駆動ギヤ18Aとが配置されており、第4速駆動ギヤ17Aと第2速駆動ギヤ18Aとは第1中間軸8に対して回転自在に嵌合している。その第4速駆動ギヤ17Aに噛み合っている第4速従動ギヤ17Bと、第2速駆動ギヤ18Aに噛み合っている第2速従動ギヤ18Bとが、出力軸16に一体回転するように取り付けられている。
さらに、上記の第4速従動ギヤ17Bに噛み合っている第3速駆動ギヤ19Aと、第2速従動ギヤ18Bに噛み合っている第1速駆動ギヤ20Aとが、第2中間軸10に回転自在に嵌合させられている。したがって、第4速従動ギヤ17Bが第3速従動ギヤを兼ねており、また第2速従動ギヤ18Bが第1速従動ギヤを兼ねている。ここで、各ギヤ対17,18,19,20の回転数比もしくは変速比(それぞれの駆動ギヤの歯数に対する従動ギヤの歯数の比)について説明すると、その回転数比は、第1速用ギヤ対20、第2速用ギヤ対18、第3速用ギヤ対19、第4速用ギヤ対17の順に小さくなるように構成されている。
さらに、発進用ギヤ対21が設けられている。この発進用ギヤ対21は、第1速用ギヤ対20と併せて出力軸16に動力を伝達することにより、発進時の駆動力を必要十分に大きくするためのものであって、前記第1ポンプモータ12側のモータ軸9に取り付けられた発進駆動ギヤ21Aと、出力軸16に回転自在に取り付けられた発進従動ギヤ21Bとを備えている。上述した各ギヤ対17,18,19,20,21を、いずれかの中間軸8,10と出力軸16との間でトルク伝達可能な状態とするための切替機構が設けられている。この切替機構は、ギヤ対を動力伝達可能な状態と、動力伝達が遮断される状態とに切り替えるクラッチである。この切替機構として、従来知られているドグクラッチ機構や同期連結機構(シンクロナイザー)などの機構を採用することができ、図2にはシンクロナイザーを採用した例を示してある。
このシンクロナイザーは、基本的には、中間軸と共に回転するスリーブと、その中間軸と相対回転可能なギヤに設けられたスプラインと、前記スリーブに押されて中間軸の回転軸線に沿った方向に移動するシンクロナイザーリングとを有している。そして、スリーブをスプラインに向けて移動させる過程で、シンクロナイザーリングがギヤに摩擦接触することにより、中間軸とギヤとを同期(回転数を一致)させ、その状態でスリーブがスプラインに係合することにより、中間軸とギヤとが動力伝達可能に連結される。前記出力軸16上で、発進従動ギヤ21Bに隣接する位置に第1のシンクロナイザー(以下、第1シンクロと記す)22が設けられている。この第1シンクロ22は、そのスリーブを図2の左側に移動させることにより係合状態となって、発進従動ギヤ21Bを出力軸16に連結し、発進用ギヤ対21がモータ軸9と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。また、スリーブを図2の右側に移動させることにより解放状態となって、発進従動ギヤ21Bと出力軸16との連結を解くように構成されている。
また、前記第2中間軸10上で、第3速駆動ギヤ19Aと第1速駆動ギヤ20Aとの間に第2のシンクロナイザー(以下、第2シンクロと記す)23が設けられている。この第2シンクロ23は、そのスリーブを図2の左側に移動させることにより係合状態となって、第1速駆動ギヤ20Aを第2中間軸10に連結し、第1速用ギヤ対20が第2中間軸10と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。このように、第1速用ギヤ対20により、第2中間軸10と出力軸16との間でトルクを伝達することが可能な状態が、第1速が設定された状態である。また、反対にそのスリーブを図2の右側に移動させることにより他の係合状態となって、第3速駆動ギヤ19Aを第2中間軸10に連結し、第3速用ギヤ対19が第2中間軸10と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。このように、第3速用ギヤ対19により、第2中間軸10と出力軸16との間でトルクを伝達することが可能な状態が、第3速が設定された状態である。そして、スリーブを中央に位置させることにより解放状態となって、第3速駆動ギヤ19Aおよび第1速駆動ギヤ20Aと第2中間軸10との連結を解くように構成されている。
さらに、前記第1中間軸8上で、第2速駆動ギヤ18Aと第4速駆動ギヤ17Aとの間に第3のシンクロナイザー(以下、第3シンクロと記す)24が設けられている。この第3シンクロ24は、そのスリーブを図2の左側に移動させることにより係合状態となって、第2速駆動ギヤ18Aを第1中間軸8に連結し、第2速用ギヤ対18が第1中間軸8と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。このように、第2速用ギヤ対18により、第1中間軸8と出力軸16との間でトルクを伝達することが可能な状態が、第2速が設定された状態である。また、反対にそのスリーブを図2の右側に移動させることにより他の係合状態となって、第4速駆動ギヤ17Aを第1中間軸8に連結し、第4速用ギヤ対17が第1中間軸8と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。このように、第4速用ギヤ対17により、第1中間軸8と出力軸16との間でトルクを伝達することが可能な状態が、第4速が設定された状態である。そして、スリーブを中央に位置させることにより解放状態となって、第2速駆動ギヤ18Aおよび第4速駆動ギヤ17Aと第1中間軸8との連結を解くように構成されている。
またさらに、第2ポンプモータ13側のモータ軸11上で、第2中間軸10の軸端に隣接する位置に、後進用のシンクロナイザー(以下、Rシンクロと記す)25が設けられている。そして、リバースポジションが選択された場合に、Rシンクロ25は、スリーブを図2の右側に移動させることにより係合状態となる。すなわち、モータ軸11と第2中間軸10、すなわち第2遊星歯車機構4におけるサンギヤ4Sとキャリヤ4Cとを連結して、第2遊星歯車機構4の全体を一体回転させるように、Rシンクロ25が構成されている。
上記の各シンクロ22,23,24,25は、手動操作によって切り替え動作するように構成することができるが、これに替えていわゆる自動制御するように構成することもできる。その場合は、例えば前述したスリーブを軸線方向に移動させる適宜のアクチュエータ(図示せず)を設け、そのアクチュエータを電気的に制御するように構成すればよい。上述したように、図2に示す変速機TMは、動力源1から入力部材2に伝達されたトルクが、いずれかの中間軸8,10もしくはモータ軸9,11を介して出力軸16に伝達されるように構成されている。そして、その出力軸16には、歯車機構あるいはチェーンなどの巻き掛け伝動機構などの伝動手段29を介してデファレンシャル30が連結され、ここから左右の車軸31に動力を出力するようになっている。この車軸31には車輪(図示せず)が動力伝達可能に連結されている。さらに、変速機TMを構成する要素の動作状態を検出するためのセンサが設けられている。具体的には、前述した入力部材2もしくはこれと一体のカウンタドライブギヤ5の回転数Ninを検出する入力回転数センサ32、前記車軸31の回転数を検出する出力回転数センサ33、出力軸16の回転数を検出するセンサ(図示せず)、ポンプモータ12,13の回転数を別個に検出するセンサ(図示せず)などが設けられている。
つぎに、上記の各ポンプモータ12,13を制御するための流体圧回路(油圧回路)について説明する。各ポンプモータ12,13を連通させている前記閉回路14,15には流体(具体的にはオイル)を補給するためのチャージポンプ(ブーストポンプと称されることもある)36が設けられている。このチャージポンプ36は、上記の閉回路からの漏れなどによるオイルの不足を補うためのものであって、前述した動力源1や図示しないモータなどによって駆動されて、オイルパン37からオイルを汲み上げて閉回路に供給するようになっている。
そのチャージポンプ36の吐出口は、前記閉回路における油路14と油路15とにそれぞれチェック弁38,39を介して連通されている。なお、これらのチェック弁38,39は、チャージポンプ36からの吐出方向に開き、これとは反対方向に閉じるように構成されている。さらに、チャージポンプ36の吐出圧を調整するためのリリーフ弁(調圧弁)40が、チャージポンプ36の吐出口に連通されている。このリリーフ弁40は、スプリングによる弾性力とソレノイドバルブ40Aの出力圧による押圧力との和より高い圧力(設定圧以上の圧力)が作用した場合に開いてオイルをオイルパン37に排出するように構成されており、したがってチャージポンプ36の吐出圧をパイロット圧に応じた圧力に設定するように構成されている。
さらに、第1ポンプモータ12の吸入ポート12Sと油路15との間に、調圧弁(リリーフ弁)41が設けられている。言い換えれば、第1ポンプモータ12と並列に、各油路14,15を連通させるようにリリーフ弁41が設けられている。このリリーフ弁41は、第1ポンプモータ12の吸入ポート12S、または第2ポンプモータ13の吸入ポート13Sから圧油を吐出する場合に、その吐出圧を予め設定した圧力に維持するように構成されている。すなわち、リリーフ弁41は、ソレノイド41Aの出力圧によって調圧値を設定するように構成されており、いずれかの吸入ポート12S,13Sからの吐出圧が、その調圧値以上の場合には、リリーフ弁41が開いて排圧することにより、吐出圧を調圧値未満に維持するようになっている。前記吸入ポート12S,13Sの吐出圧を制御するための調圧値が「通常制御用のリリーフ圧」である。
また、第2ポンプモータ13の吐出ポート13Dと油路14との間に、調圧弁(リリーフ弁)42が設けられている。言い換えれば、第2ポンプモータ13と並列に、各油路14,15を連通させるようにリリーフ弁42が設けられている。このリリーフ弁42は、第2ポンプモータ13の吐出ポート13D、または第1ポンプモータ12の吐出ポート12Dから圧油を吐出する場合に、その吐出圧を予め設定した圧力に維持するように構成されている。すなわち、リリーフ弁42は、ソレノイド42Aの出力圧によって調圧値を設定するように構成されており、いずれかの吐出ポート12D,13Dからの吐出圧が、その調圧値以上である場合には、リリーフ弁42が開いて排圧することにより、吐出圧を調圧値未満に維持するようになっている。前記吐出ポート12D,13Dの吐出圧を制御するための調圧値が「通常制御用のリリーフ圧」である。
上記の各ポンプモータ12,13の押出容積や各シンクロ22,23,24,25を電気的に制御できるように構成されており、そのための電子制御装置(ECU)43が設けられている。この電子制御装置43は、マイクロコンピュータを主体にして構成されたものであって、加速要求(アクセル開度)、減速要求、車速、シフトポジション、動力源1の回転数、油圧回路の油温などの検出信号が入力される。電子制御装置43では、入力された信号、および予め記憶している情報、およびプログラムに基づいて演算を行い、その演算結果に応じて指令信号を出力するように構成されている。例えば、車速およびアクセル開度に基づいて、車両の目標駆動力を求め、その目標駆動力に基づいて、動力源1の目標回転数および目標トルクを算出する制御をおこなう。また、動力源1の実際の回転数を、目標回転数に近づけるために、変速機TMの目標変速比を算出する制御をおこなう。さらに、電子制御装置43からは、ソレノイドバルブ40Aおよびソレノイド41A,42Aを制御する信号が出力される。
上記の変速機TMは、動力源1の動力を出力軸16に伝達する動力伝達経路として、第1ポンプモータ12によって反力が与えられる第1遊星歯車機構3および第4速用ギヤ対17もしくは第2速用ギヤ対18を介して出力軸16に動力を伝達する経路と、第2ポンプモータ13によって反力が与えられる第2遊星歯車機構4および第3速用ギヤ対19もしくは第1速用ギヤ対20を介して出力軸16に動力を伝達する経路との二つの経路を備えている。そして、それぞれの動力伝達経路を介して伝達されるトルクは、それぞれに設けられているポンプモータ12,13の押出容積に応じて変化するようになっている。そのトルクTは次式で表される。
T=(q1+q2)・P/2π ・・・(1)
この数式1において、「q1」は、第1ポンプモータ12の押出容積、「q2」は、第2ポンプモータ13の押出容積、「P」は、油路14と油路15との圧力差である。
T=(q1+q2)・P/2π ・・・(1)
この数式1において、「q1」は、第1ポンプモータ12の押出容積、「q2」は、第2ポンプモータ13の押出容積、「P」は、油路14と油路15との圧力差である。
つぎに、上述した変速機TMの作用を、図3の図表に基づいて説明する。この図3には、前記伝動機構で、第1速(1st)または第2速(2nd)または第3速(3rd)または第4速(4th)の各変速段が設定された場合、シフトポジションとしてニュートラルポジション(N)またはリバースポジション(Rev)が選択された場合、発進用ギヤ対21が出力軸16とトルク伝達可能に連結される場合(発進)について、各ポンプモータ(PM1,PM2)12,13、および各シンクロ22,23,24,25の動作状態が、まとめて示されている。なお、この図3において、「1st〜2nd」は、変速機TMの変速比(総合変速比)が、第1速に相当する固定変速比よりも小さく、かつ、第2速に相当する固定変速比よりも大きいことを意味する。この図3において、「2nd〜3rd」は、変速機TMの変速比が、第2速に相当する変速比よりも小さく、かつ、第3速に相当する変速比よりも大きいことを意味する。この図3において、「3rd〜4th」は、変速機TMの変速比が、第3速に相当する変速比よりも小さく、かつ、第4速に相当する変速比よりも大きいことを意味する。
つまり、この図3には、変速機TMの変速比が、固定変速比に相当する変速比である場合の他、固定変速比同士の間に相当する変速比である場合についても、各ポンプモータおよび各シンクロの動作状態が示されている。この図3における各ポンプモータ12,13についての「OFF」は、ポンプ容量を最小もしくは実質的にゼロ[l/S]とし、その出力軸が回転させられても油圧を発生することがなく、また油圧が供給されても出力軸が回転しない状態(フリー状態もしくは空転状態)を示し、「LOCK(ロック)」は、そのポンプモータのロータが停止している状態(回転数はゼロrpm)を示している。さらに「油圧発生」は、ポンプモータの容量を、実質的なゼロより大きくするとともに、圧油を吐出している状態を示し、したがって該当するポンプモータ12,13はポンプとして機能している。また、「油圧回収」は、第2ポンプモータ13(もしくは第1ポンプモータ12)が吐出した圧油が供給されてモータとして機能している状態を示し、したがって、該当する第1ポンプモータ12(もしくは第2ポンプモータ13)は軸トルクを発生し、対応するモータ軸9,11および中間軸8,10に駆動トルクを伝達している。
また、図3で各シンクロ22,23,24,25についての「右」、「左」は、それぞれのシンクロ22,23,24,25におけるスリーブの図2での位置を示すとともに、丸括弧「()」はダウンシフトするための待機状態、カギ括弧「<>」はアップシフトするための待機状態を示す。ダウンシフトとは、変速機TMの変速比を大きくする変速であり、アップシフトとは、変速機TMの変速比を小さくする変速である。さらに、図3で「○」は、該当するシンクロ22,23,24,25をOFF状態(中立位置)に設定することにより、引き摺りを低減している状態、「●」は、該当するシンクロ22,23,24,25をOFF状態(中立位置)に設定して中立状態となっていることを示す。各シンクロ22,23,24,25がOFF(解放)されると、各ギヤ対は動力伝達が遮断される。
さらに、シフトポジションとしてニュートラルポジション(N)が選択された場合は、各ポンプモータ12,13が「OFF」状態とされ、また各シンクロ22,23,24,25のスリーブが中央位置に設定される。したがって、いずれのギヤ対17,18,19,20,21も出力軸16に連結されていないニュートラル状態となる。すなわち、各ポンプモータ12,13が、押出容積(ポンプ容量)が実質的にゼロとなるように制御される。その結果、ポンプモータ12,13は空転するので、各遊星歯車機構3,4のリングギヤ3R,4Rに動力源1からトルクが伝達されても、サンギヤ3S,4Sに反力が作用しない。そのため、出力要素であるキャリヤ3C,4Cに連結されている各中間軸8,10にはトルクが伝達されない。
一方、シフトポジションがドライブポジションなどの走行ポジションに切り替えられると、第1シンクロ22のスリーブが図2の左側に移動させられるとともに第2シンクロ23のスリーブが、図2の左側に移動させられる。したがって、発進駆動ギヤ21Aが出力軸16に連結されて第1ポンプモータ12と出力軸16とが連結され、また第1速駆動ギヤ20Aが第2中間軸10に連結されて第2遊星歯車機構4の出力要素であるキャリヤ4Cと出力軸16とが連結される。すなわち、固定変速比である第1速を設定する状態となる。また、これと併せて各ポンプモータ12,13の押出容積がゼロより大きい容積に制御される。したがって、第2ポンプモータ13は前記第2遊星歯車機構4によって分配された動力源1の動力によって駆動されてポンプとして機能する。したがって、第2ポンプモータ13は、油圧を発生させることに伴う反力トルクをモータ軸11およびサンギヤ4Sに与える。これを図3には「油圧発生」と記載してある。そのため、第2遊星歯車機構4の差動作用によってキャリヤ4Cにトルクが伝達され、そのトルクが第1速用ギヤ対20を介して出力軸16に伝達される。
一方、第2ポンプモータ13で発生した油圧がその吸入ポート13Sから吐出されて第1ポンプモータ12の吸入ポート12Sに供給される。その結果、第1ポンプモータ12がモータとして機能する。これを図3には「油圧回収」と記載してある。このようにして第1ポンプモータ12に伝達される動力が発進用ギヤ対21を介して出力軸16に伝達される。したがって発進から第1速までの駆動状態では、第2遊星歯車機構4を介したいわゆる機械的な動力の伝達と、油圧を介した動力の伝達との両方が生じ、これらの動力を合成した動力が出力軸16に現れる。また、この過程で変速機TMの変速比は、第1速に相当する固定変速比より大きい値となり、その変速機TMの変速比は連続的に、あるいは無段階に変化する。変速機TMの変速比とは、入力部材2の回転数を、出力軸16の回転数で除した値である。
こうして、動力源1の回転数および車速が変化して、変速機TMの変速比が、第1速に対応する変速比になると、ソレノイドバルブ12Aの制御により、第1ポンプモータ12の押出容積がゼロに設定されてOFF状態となる。また、ソレノイドバルブ13Aの制御により、第2ポンプモータ13の押出容積が最大に設定される。その結果、実質上、第2ポンプモータ13の回転がロックされる。すなわちモータ軸11およびこれに連結されている第2ポンプモータ13が固定される。その結果、第2遊星歯車機構4のサンギヤ4Sが固定され、また第1遊星歯車機構3は出力軸16に対する動力の伝達に関与しなくなるので、動力源1が出力した動力は、第2遊星歯車機構4および第1速用ギヤ対20を介して出力軸16に伝達される。すなわち、変速機TMの変速比は、第1速用ギヤ対20のギヤ比で決まる固定変速比となる。なお、この場合、第1ポンプモータ12およびこれに連結されているモータ軸9が空転するので、第1中間軸8にトルクは現れない。なお、第1速用ギヤ対20で、固定変速比である第1速が設定されている際に、第1シンクロ22のスリーブを解放状態(図3の〇印)とすれば、第1ポンプモータ12を連れ回さないので、動力損失を防止できる。このように、第1速用ギヤ対20で、固定変速比である第1速が設定されている際に、第1シンクロ22のスリーブを解放している状態は、第1速から他の変速段にアップシフトするための待機状態である。なお、固定変速比が設定される第1速ないし第4速が、それぞれ「固定変速段」である。
前記伝動機構において、固定変速段である第1速から、他の固定変速段にアップシフトする場合、第3シンクロ24のスリーブを図2の左側に移動させて第2速駆動ギヤ18Aを第1中間軸8に連結しておく。なお、Rシンクロ25は中立状態にしておく。また、第3シンクロ24のスリーブを第2速駆動ギヤ18Aに係合させる場合、第3シンクロ24のスリーブの回転数と第2速駆動ギヤ18Aとの回転数を一致させる同期制御を行う。その同期制御は、前記シンクロ22,23,24,25のスリーブを相手部材に係合させる場合にも同様に行われる。
この状態で、第1ポンプモータ12の押出容積を最大に向けて次第に増大させる。第1速から第2速へのアップシフト待機状態では、第1ポンプモータ12は逆回転しているから、その押出容積を次第に増大させることによりポンプとして機能する。ここで、「逆回転」とは、エンジン1の回転方向とは逆方向に回転するという意味である。すなわち、油圧を発生し(図3に「油圧発生」と記してある)、同時にそれに伴う反力トルクがモータ軸9に現れる。その結果、第1遊星歯車機構3および第2速用ギヤ対18を介した動力の伝達が次第に行われる。また、第1ポンプモータ12で発生した油圧が第2ポンプモータ13に供給されてこれがモータとして機能する(図3に「油圧回収」と記してある)ので、第2ポンプモータ13および第2遊星歯車機構4ならびに第1速用ギヤ対20を介した動力の伝達が生じる。そのため、第1速から第2速への変速の過程で、変速機TMの変速比は、第1速の変速比と第2速の変速比との間に相当する値となり、かつ連続的に変化する変速比となる。すなわち、変速機TMの変速比が連続的に変化する無段変速状態となる。これは、上述した発進から第1速の変速比に到るまでの間、および各固定変速比の間でも同様であり、したがって上述した変速機TMは、無段変速機として機能させることができる。
上述のように、第1ポンプモータ12の押出容積をほぼ最大にしてその回転が停止し、もしくは停止に近い状態になることにより、モータ軸9が実質的に固定される。また、併せて第2ポンプモータ13がOFF状態に設定される。したがって、第1遊星歯車機構3では、そのサンギヤ3Sが固定されるので、リングギヤ3Rに入力された動力がキャリヤ3Cから中間軸8を経て第2速駆動ギヤ18Aに出力される。一方、第2ポンプモータ13はOFF状態となっており、これと同軸上に配置されているRシンクロ25および第2シンクロ23はOFF状態であってそのスリーブが中立位置にあるので、第2ポンプモータ13や第2遊星歯車機構4は動力の伝達に関与しない。したがって、第2速用ギヤ対18のギヤ比で決まる固定変速比である第2速が設定される。
以下、同様にして、第3速は第2シンクロ23のスリーブを図2の右側に移動させて第3速駆動ギヤ19Aを第2中間軸10に連結する係合状態とし、また第2ポンプモータ13の押出容積を最大にすることにより、第1速の場合と同様に、モータ軸11および第2ポンプモータ13を固定し、さらに他のシンクロ22,24は解放状態にする。したがって、第3速用ギヤ対19を介して出力軸16に動力が伝達され、固定変速比である第3速が設定される。また、第4速は第3シンクロ24のスリーブを図2の右側に移動させて第4速駆動ギヤ17Aを第1中間軸8に連結する係合状態とし、また第1ポンプモータ12の押出容積を最大にすることにより、第2速の場合と同様に、モータ軸9および第1ポンプモータ12を固定し、さらに他のシンクロ23,25は解放状態にする。したがって、第4速用ギヤ対17を介して出力軸16に動力が伝達され、固定変速比である第4速が設定される。
さらに、後進段について説明すると、シフト装置によってリバースポジションが選択された場合には、第1シンクロ22のスリーブが図2の左側に移動させられ、またRシンクロ25のスリーブが図2の右側に移動させられ、さらに他のシンクロ23,24がOFF状態に設定される。したがって、Rシンクロ25によって第2中間軸10とモータ軸11とが連結されることにより、第2遊星歯車機構4のサンギヤ4Sとキャリヤ4Cとが連結されて第2遊星歯車機構4の全体が実質的に一体化される。また、発進駆動ギヤ21Aがモータ軸9すなわち第1ポンプモータ12のロータに連結される。
したがって、動力源1から第2遊星歯車機構4に伝達された動力が第2ポンプモータ13に伝達されて、その第2ポンプモータ13が駆動され、第2ポンプモータ13によって油圧が発生する。なお、第2シンクロ23がOFF状態であるから、第2遊星歯車機構4あるいは第2中間軸10から出力軸16に動力が伝達されることはない。一方、第1ポンプモータ12の押出容積がゼロより大きい容積、例えば最大容積に制御される。その結果、第2ポンプモータ13から供給された油圧によって第1ポンプモータ12がモータとして機能し、モータ軸9にトルクを出力する。その場合、第1ポンプモータ12にはその吐出ポート12Dから油圧が供給されるので、第1ポンプモータ12が逆回転する。そして、そのトルクが発進用ギヤ対21を介して出力軸16に伝達されるので、後進状態となる。すなわち、後進段では、油圧を介した動力の伝達が生じ、これを図3では、第1ポンプモータ12について「油圧回収」と記し、第2ポンプモータ13について「油圧発生」と記してある。
上記のように、この発明で対象とする変速機TMでは、いずれかのギヤ対17,〜20をシンクロ23,24によってトルク伝達可能な状態とし、かつトルク伝達可能なギヤ対に連結される遊星歯車機構3,4に対する反力をいずれかのポンプモータ12,13をロックして最大とすれば、そのギヤ対のギヤ比に応じて、変速機TMの変速比が固定変速比に設定される。これに対して、変速機TMの変速比が、固定変速比同士の間の変速比である場合、伝達されるトルクが前述した式で表される関係にある。このため、一方のポンプモータの押出容積を最大にし、かつ他方のポンプモータの押出容積を最大と最小との中間の値に制御することにより設定することができる。あるいは、両方のポンプモータの押出容積を、共に最大と最小の中間の値に制御しても、変速機TMの変速比を、固定変速比同士の間の変速比に設定することができる。
上記のように構成された変速機TMでは、固定変速比を跨いで変速比を変更する際に、シンクロの切り替え動作を行う必要があり、そのシンクロの切り替え動作を開始してから、シンクロの切替動作が完了するまでの間は、変速機TMの変速比が固定変速比に止まる現象が、不可避的に発生する。したがって、変速機TMで、固定変速比を跨いで変速比を変更する場合は、固定変速比で変速比が停滞する分だけ、変速比の変化速度(変速速度)が遅くなってしまう。そのため、変速機TMの変速比を迅速に変更することが要求される時、つまり急変速判断の成立時には、「変速機TMの変速比が、ある変速比から固定変速比に到達するまでの間、変速比が無段階に変化する過程」と、「変速機TMの変速比が固定変速比に相当する変速比が停滞する状態」とで変速速度が異なる。その結果、車両の乗員が違和感を持ったり、ショックとして体感される可能性がある。
そこで、この具体例の変速機TMの制御装置では、固定変速段を跨いで変速比を変更する場合、すなわちシンクロの切り替え動作を伴う変速制御をおこなうにあたり、変速速度の低下を防止し、違和感のないスムーズな変速を可能にするために、2種類の変速制御、具体的には、第1の変速制御または第2の変速制御を実行することが可能である。図7は、第1の変速制御を説明するフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。ここでは、変速機TMの変速比を、第2速に相当する固定変速比を跨いで変更する制御、具体的にはダウンシフトについて説明する。図3の図表で説明すると、「2nd〜3rd」の動作状態から「1st〜2nd」の動作状態に変更される。すなわち、第2シンクロ23が第3速ギヤ対19に動力伝達可能に連結された状態から、第2シンクロ23が第1速ギヤ対20に動力伝達可能に連結された状態に切り替える制御例を説明する。
先ず、ステップS1は待機状態への制御ステップであり、この待機状態とは、「変速機TMで所定の変速比を維持しており、次におこなわれる変速比の変更制御を待機している状態」である。このステップS1についで、変速機TMで急変速をおこなう要求、具体的には、固定変速比を跨いで変更させる要求があるか否かが判断される(ステップS2)。このステップS2の処理の前提となる変速機TMの変速比の制御について説明する。前記のように、車速およびアクセル開度に基づいて、車両の目標駆動力が求められ、その目標駆動力に基づいて、動力源1の目標回転数および目標トルクが求められている。この動力源1の実回転数を目標回転数に近づけるために、変速機TMの目標変速比が決定される。そして、変速機TMの実際の変速比を、目標変速比に近づける場合に、図4の制御マップを用いることができる。図4の制御マップには、変速機TMの変速比に対応させて、シンクロの動作状態の制御に用いる判断線、各シンクロの動作状態、各ポンプモータの容積が示されている。
この図4では、この判断線は、第2速または第3速に相当する固定変速比を跨ぐ変速比の制御について設定されている。図4に示す例では、第2速に相当する固定変速比を跨ぐアップシフトの際に、第2シンクロ23を第1速ギヤ対20に連結した状態から、第2シンクロ23を第3速ギヤ対19に連結する状態に切り替える「1→3判断線」が示されている。また、図4では、第2速に相当する固定変速比を跨ぐダウンシフトの際に、第2シンクロ23を第3速ギヤ対19に連結した状態から、第2シンクロ23を第1速ギヤ対20に連結した状態に切り替える「3→1判断線」が示されている。さらに、図4には、第3速に相当する固定変速比を跨ぐアップシフトの際に、第3シンクロ24を第2速ギヤ対18に連結した状態から、第3シンクロ24を第4速ギヤ対17に連結した状態に切り替える「2→4判断線」が示されている。さらに、図4には、第3速に相当する固定変速比を跨ぐダウンシフトの際に、第3シンクロ24を第4速ギヤ対17に連結した状態から、第3シンクロ24を第2速ギヤ対18に連結した状態に切り替える「4→2判断線」が示されている。なお、「1→3判断線」と「3→1判断線」との間、および、「2→4判断線」と「4→2判断線」との間には、各シンクロの動作を切り替える制御が頻繁に繰り返される現象、つまり、ハンチングを防止するためにヒステリシスが設けられている。
そして、ステップS2では、第2シンクロ23の動作状態を切り替える要求の有無を判断する場合に、図4に示すマップを用いて、その時点における変速機TMの実際の変速比(すなわち実変速比)と、電子制御装置43で求められる目標変速比とを比較して判断する。そして、ステップS2の判断時点で、実変速比と目標変速比との差が予め定められた所定値未満である場合は、ステップS2で否定的に判断されて、ステップS1に戻る。これに対して、ステップS2の判断時点で、実変速比と目標変速比との差が予め定められた所定値以上である場合は、ステップS2で肯定的に判断されてステップS3に進む。このステップS3では、リリーフ弁41のリリーフ圧をゼロ(Pa)にする指令が出力される。この指令は、リリーフ弁41を開いて油路14の油圧を油路15に排圧させ、油路14の圧力をゼロ(Pa)にする指令である。このステップS3の処理は、第2シンクロ23の伝達トルクを低下させるための制御である。
このステップS3についで、リリーフ弁41のリリーフ圧がゼロになったか否かが判断される(ステップS4)。リリーフ弁41のリリーフ圧がゼロになったか否かの判定は、例えば、リリーフ圧をゼロにする指令が出力された時点からの待ち時間Tlateを設定しておき、その待ち時間Tlateが経過したことによってリリーフ圧がゼロになったと判定することができる。また、その場合の待ち時間Tlateは、例えば、予め設定された油温によるマップに基づいて設定することができる。
そして、リリーフ弁41のリリーフ圧が未だゼロでないこと、すなわち、上記の待ち時間Tlateが未だ経過していない場合は、このステップS4で否定的に判断されて、ステップS3に戻る。これに対して、リリーフ弁41のリリーフ圧がゼロになったこと、すなわち、上記の待ち時間Tlateが経過した場合は、ステップS4で肯定的に判断されて、ステップS5に進む。このステップS5では、第2シンクロ23を第3速駆動ギヤ19Aから解放させる指令が出力され、かつ、動力源1の回転数の制御を開始する指令が出力され、かつ、ポンプモータの容積を制御する指令が出力される。まず、第2シンクロ23の動作状態の制御の技術的意味を説明する。前述のように、リリーフ弁41のリリーフ圧がゼロに制御されて、第2ポンプモータ13がOFFの状態にあるため、第2ポンプモータ13は、変速機TMの入力部材2から出力軸16の間における動力伝達に関与しない。言い換えると、第2ポンプモータ13と第2シンクロ23との間における伝達トルクがゼロに低減され、その間の動力伝達が遮断される。つまり、第2ポンプモータ13は、エンジントルクの反力を受け持たない状態であり、その動作状態を切り替え可能である。したがって、第2ポンプモータ13の押出容積の状態にかかわらず、リリーフ弁41のリリーフ圧をゼロにすることにより、第2シンクロ23の切り替え動作を実行可能な状態にすることができ、そのため、速やかに、言い換えると、第2ポンプモータ13の押出容積がゼロになるのを待たずに、第2シンクロ23の動作状態の切り替えを開始することができる。
つぎに、ステップS5でおこなわれる動力源1の回転数の制御を具体的に説明する。このステップS5では、動力源1の目標回転数Neを次式(2)により求め、動力源1の実際の回転数を目標回転数に近づける制御をおこなう。
Ne=R1×Nout ・・・(2)
この数式2において、「R1」は、変速後における変速機TMの目標変速比であり、「Nout」は出力軸16の回転数である。
Ne=R1×Nout ・・・(2)
この数式2において、「R1」は、変速後における変速機TMの目標変速比であり、「Nout」は出力軸16の回転数である。
さらに、ステップS5でおこなわれる各ポンプモータ12,13の容積制御について説明する。このステップS5では、次式3に基づいて、第1ポンプモータ12の押出容積q1および第2ポンプモータ13の押出容積q2が制御される。
γ={(1+ρ)×(κ1×q1+κ2×q2)}/(q1+q2) ・・・(3)
この数式3において、「γ」は変速機TMの変速比であり、「ρ」は、各遊星歯車機構3,4のサンギヤ3S,4Sとリングギヤ3R,4Rとの歯数比(すなわち、「サンギヤ3S,4Sの歯数/リングギヤ3R,4Rの歯数」)であり、「κ1」は、第1ポンプモータ12の動力伝達経路におけるギヤ比であり、「κ2」は、第2ポンプモータ13の動力伝達経路におけるギヤ比である。
γ={(1+ρ)×(κ1×q1+κ2×q2)}/(q1+q2) ・・・(3)
この数式3において、「γ」は変速機TMの変速比であり、「ρ」は、各遊星歯車機構3,4のサンギヤ3S,4Sとリングギヤ3R,4Rとの歯数比(すなわち、「サンギヤ3S,4Sの歯数/リングギヤ3R,4Rの歯数」)であり、「κ1」は、第1ポンプモータ12の動力伝達経路におけるギヤ比であり、「κ2」は、第2ポンプモータ13の動力伝達経路におけるギヤ比である。
この第1ポンプモータ12および第2ポンプモータ13の容積制御を、図4に基づいて説明する。現時点の実変速比R0から、第2速の固定変速比を跨いで目標変速比R1までダウンシフトする場合、第1ポンプモータ12の押出容積q1および第2ポンプモータ13の押出容積q2で示されている。つまり、第1ポンプモータ12の押出容積q1は、現時点の容積q10から、ダウンシフト後の必要容積である容積q11を目標として制御される。また第2ポンプモータ13の押出容積q2は、現時点の容積q20から、ダウンシフト後の必要容積である容積q21を目標として制御される。
このステップS5についで、第2シンクロ23が第3速駆動ギヤ19Aから解放されたか否かが判断される(ステップS6)。このステップS6で否定的に判断された場合は、ステップS5に戻る。これに対して、ステップS6で肯定的に判断された場合は、リリーフ弁41を制御してリリーフ圧を一旦上昇させ、その後に、リリーフ圧をゼロに低下させる制御をおこなう(ステップS7)。このステップS7においてリリーフ圧を一旦上昇させると、第2シンクロ23の伝達トルクが一旦上昇する。また、ステップS7では、リリーフ圧を上昇させてから所定時間が経過した後、リリーフ圧をゼロにする制御をおこなうことが可能である。また、ステップS7において、リリーフ圧をゼロにする制御を、次式の算出結果に基づいておこなうことも可能である。
(目標変速比R1−実変速比R0)×Nout ・・・(4)
(目標変速比R1−実変速比R0)×Nout ・・・(4)
この算出結果と、リリーフ圧をゼロにする制御のタイミングとを決定したマップを、予め電子制御装置43に記憶させておけばよい。すなわち、電子制御装置43には、リリーフ圧を一旦高める制御を開始してから、リリーフ圧を再度ゼロに低下させるまでの「所定時間」が記憶されている。さらに、このステップS7では、第2ポンプモータ13の実際の回転数と、ダウンシフト後の変速比における第2ポンプモータ13の目標回転数との差が、所定値よりも小さくなった場合に、リリーフ圧をゼロに制御することも可能である。このように、リリーフ圧を上昇させると、第1ポンプモータ12が油圧を発生し、その油圧が第2ポンプモータ13で回収される。つまり、第1ポンプモータ12から吐出された圧油の運動エネルギにより、第2ポンプモータ13の回転状態が強制的に変化させられる。具体的には、逆回転している第2ポンプモータ13の回転数が停止に近づくように低下させられる。さらに、第2ポンプモータ13の回転方向が、逆回転から正回転に切り替わり、第2ポンプモータ13は正回転での回転数が上昇する。ここで、「正回転」とは、動力源1の回転方向と同じ回転方向という意味である。このように、第2ポンプモータ13の回転数が上昇することと並行して、第3シンクロ23を構成するスリーブの回転数が、変速前の回転数から変速後の回転数に近づくように上昇する。
このステップS7についで、リリーフ圧がゼロになったか否かが判断される(ステップS8)。このステップS8で否定的に判断された場合は、ステップS7に戻る。これに対して、ステップS8で肯定的に判断された場合は、第2シンクロ23を第1速駆動ギヤ20Aに係合させる指令を出力する(ステップS9)。このステップS9についで、第2シンクロ23と第1速駆動ギヤ20Aとの係合が完了し、かつ、第2ポンプモータ13の押出容積が目標容積となったか否かが判断される(ステップS10)。第2シンクロ23と第1駆動ギヤ20Aとの係合が完了したか否かは、モータ軸11の軸線に沿った方向における第2シンクロ23の位置、または出力軸16の回転数、または第2シンクロ23を第3速駆動ギヤ19Aに係合させる指令を出力してからの経過時間などに基づいて判断することが可能である。また、第2ポンプモータ13の目標容積は、図4のマップに基づいて求められており、第2ポンプモータ13の実際の押出容積が、目標押出容積になったか否かは、モータ軸11の回転数に基づいて間接的に判断することができる。
このステップS10で否定的に判断された場合はステップS9に戻る。これに対して、ステップS10で肯定的に判断された場合は、リリーフ弁41のリリーフ圧をゼロから、「通常制御用のリリーフ圧」に上昇させる指令を出力する(ステップS11)。ここでは、リリーフ圧をステップ的に上昇させるのではなく、緩やかにスイープアップさせる。その場合におけるリリーフ圧の上昇勾配は、ショックが生じないように、実験またはシミュレーションをおこなって決定する。このステップS11についで、リリーフ弁41のリリーフ圧が、「通常制御用のリリーフ圧」まで上昇したか否かが判断される(ステップS12)。このステップS12で否定的に判断された場合はステップS11に戻り、ステップS12で肯定的に判断された場合は、ステップS13に進む。このステップS13では、動力源1の回転数の制御を終了させる指令を出力し、かつ、第2シンクロ23の動作状態を切り替える制御が終了したことを、他の制御系統に通知する処理をおこなう。このステップS13についで、そのステップS13の処理が終了したか否かが判断され(ステップS14)、ステップS14で否定的に判断された場合はステップS13に戻る。また、ステップS13で終了する「動力源1の回転数の制御」とは、ステップS5で開始された「動力源1の回転数の制御」である。さらに、ステップS14で肯定的に判断された場合は、スタートに戻る。なお、図7の各ステップにおいて、「N」で示す矢印は、そのステップで否定的に判断された場合のルーチンを意味し、「Y」で示す矢印は、そのステップで肯定的に判断された場合のルーチンを示す。
つぎに、第1の変速制御を含むタイムチャートの一例を、図5に基づいて説明する。ここで、第1の変速制御をおこなった場合におけるパラメータの経時変化は、図5に実線で示されている。まず、時刻t11において、変速機TMの変速比を、実変速比R0から目標変速比R1に変更する信号が検知される。この時点では、電子制御装置43では「急変速判断が成立」との処理はおこなわれない。これは、電子制御装置43に入力される信号の誤差、ノイズ、外乱などの不都合を除去するためである。この時刻t11以前においては、リリーフ圧を「通常制御用のリリーフ圧」に制御する指令値が出力されている。この指令値は、ソレノイド42Aのデューティ比で表される。また、第2シンクロ23を第3速駆動ギヤ19Aから解放する指令はオフされており、かつ、第2シンクロ23を第3速駆動ギヤ19Aから解放する制御が完了したことを示す判定が不成立となっている。
さらに、第2シンクロ23を第1速駆動ギヤ20Aに係合させる指令はオフされており、かつ、第2シンクロ23が第1速駆動ギヤ20に係合されたことを示す判定が不成立となっている。また、動力源1の回転数はほぼ一定であり、かつ、動力源1の回転数を制御する指令はオフされている。この「動力源1の回転を制御する指令」は、ステップS5でおこなわれる「動力源1の回転数の制御」のための指令である。さらに、第2ポンプモータ13の目標とする押出容積の指令値(破線)は、容量q20とする指令値となっている。また、第1ポンプモータ12の目標とする押出容積の指令値(実線)は、容量q10とする指令値となっている。さらに、第2ポンプモータ13の回転方向は逆回転であり、かつ、第2ポンプモータ13の回転数は第3速に対応する目標回転数となっている。この目標回転数は、第2ポンプモータ13の実際の押出容積を、目標とする押出容積に制御するための回転数である。
ついで、時刻t11から所定の時間が経過した時刻t12において、「急変速判断が成立」との処理が電子制御装置43でおこなわれ、リリーフ圧をゼロとする指令値が、電子制御装置43から出力される。なお、時刻t12では、図5に示されたパラメータのうち、リリーフ圧以外のパラメータは、時刻t12以前と同じである。さらに、時刻t12から待ち時間Tlateが経過して時刻t13になると、第2シンクロ23を第3速駆動ギヤ19Aから解放される指令が出力される。このように、第2シンクロ23が第3速駆動ギヤ19Aから解放させる制御が開始されると、動力源1の負荷が低下して動力源1の回転数が上昇を開始する。また、時刻t13で、ステップS5で説明した「動力源1の回転数の制御」を開始する指令が出力される。動力源1の回転数の上昇に伴い、第2ポンプモータ13の押出容積を減少させる指令値が出力され、かつ、第1ポンプモータ12の押出容積を増加させる指令値が出力される。時刻t13と時刻14との間で、第2ポンプモータ13の押出容積を一定とする指令値が出力される。これ以後、第2ポンプモータ13の押出容積は一定に制御される。
その後、時刻t14で、第2シンクロ23を第3速駆動ギヤ19Aから解放する制御が完了したことの判定が成立すると、第2シンクロ23を第3速駆動ギヤ19Aから解放させるように移動させる指令がなくなり、かつ、リリーフ圧をゼロから上昇させる制御がおこなわれる。すると、第1ポンプモータ12から吐出された圧油が第2ポンプモータ13に供給されて、第2ポンプモータ13の回転数が、実線で示すようにゼロに近づく方向に変化する。そして、第2ポンプモータ13の回転方向が逆回転から正回転に切り替わり、第2ポンプモータ13は正回転した状態で回転数が上昇する。さらに、時刻t14以降は第1ポンプモータ12の容積を略一定にする指令値が出力される。また、リリーフ圧を再度、ゼロに向けて低下させる制御がおこなわれ、時刻t14から所定時間が経過して時刻t15になり、リリーフ圧がゼロとなると、第2シンクロ23を第1速駆動ギヤ20Aに係合させる指令が出力される。この時刻t15以降は、第2ポンプモータ13の回転数が若干低下する。これは、第2シンクロ23を構成するシンクロナイザーリングが、第1速駆動ギヤ20Aと一体回転する部材に接触したときの摩擦力(フリクション)による作用である。ついで、第2ポンプモータ13の回転数が時刻t16以降に再び上昇し、時刻t17で、第2ポンプモータ13の回転数が、ダウンシシフト後の目標回転数と一致する。
その後、時刻t18において、第2シンクロ23が第1速駆動ギヤ20Aに完全に係合された判定が成立すると、第2シンクロ23を第1速駆動ギヤ20Aに係合させるように、第2シンクロ23を移動させる指令がなくなる。さらに、時刻t19以降は、リリーフ圧を上昇させるように指令値が出力される。その後、時刻t20でリリーフ圧が「通常制御用のリリーフ圧」まで上昇すると、時刻t12以降に出力されていた「動力源1の回転数を制御する指令」は出力されなくなる。
つぎに、変速機TMで実行可能な第2の変速制御を、図8のフローチャートに基づいて説明する。図8のフローチャートにおいて、図7のフローチャートと同じステップ番号では、同じ処理及び同じ判断がおこなわれる。この図8のフローチャートと図7のフローチャートとを比較すると、図8のフローチャートでは、ステップS6で肯定的に判断された場合は、図7に示されたステップS7,S8をおこなうことなく、ステップS9に進む点が異なる。
この第2の変速制御に対応するタイムチャートの一例を、前記図5に基づいて説明する。第2の変速制御がおこなわれた場合におけるパラメータの経時変化が、図5に破線で示されている。なお、第2の変速制御において、第1の変速制御と同じである場合は実線で示されている。第2の変速制御においては、時刻t14以降も破線で示すようにリリーフ圧をゼロにする指令値が出力される。また、第2の変速制御では、時刻t14から時刻t15の間で、破線で示すように、第2シンクロ23を第1速駆動ギヤ20Aに係合させる指令が出力されている。第2の変速制御をおこなった場合、第2ポンプモータ13の回転数をゼロに近づけようとする力は、第2シンクロ23の摩擦力に依存する。このため、第2の変速制御における第2ポンプモータ13の回転数の変化勾配は、破線で示すようになる。第1の変速制御における第2ポンプモータ13の回転数の変化勾配よりも緩やかである。具体的には、時刻t15と時刻t16との間における時刻t15′から、変化勾配が急となっている。その後、第2の変速制御では、第2ポンプモータ13の回転方向が正回転となっている。そして、第2の変速制御において、第2ポンプモータ13の実際の回転数が、目標回転数と一致するのは時刻t18である。さらに、第2の変速制御では、破線で示すように、時刻t19以降に、第2シンクロ23が第1速駆動ギヤ20Aに係合された判断が成立し、かつ、第2シンクロ23を軸線に沿った方向に移動させる指令がなくなっている。さらに、第2の変速制御では、時刻t19以降に、破線で示すように、リリーフ圧をゼロから「通常用のリリーフ圧」に戻す指令が出力され、時刻t21でリリーフ圧が、「通常用のリリーフ圧」に制御されている。なお、図5のタイムチャートでは、第1の変速制御および第2の変速制御において、第1ポンプモータ12の押出容積の指令値が共に実線で示され、第2のポンプモータ13の押出容積の指令値が共に破線で示されている。
つぎに、第1の変速制御及び第2の変速制御を、図6の共線図に基づいて説明する。図6には、第1遊星歯車機構3および第2遊星歯車機構4を構成する回転要素について、その回転方向及び回転数が示されている。図6において、「正」は正回転を示し、「逆」は逆回転を示す。基本的には、動力源1は正回転に限定されるものとして説明する。変速前における各回転要素の回転状態が、図6に実線で示されている。このとき、サンギヤ4Sおよび第2ポンプモータ13は逆回転しており、その他の回転要素は正回転している。
これに対して、変速途中における各回転要素の状態が、第1の変速制御は破線で示され、第2の変速制御は一点鎖線で示されている。ここで、第1の変速制御及び第2の変速制御は、共に図5の時刻t15における回転要素の回転数が示されている。この図6では、変速前と変速後とで、キャリヤ3Cの回転数が同じであるとして示されている。また、第1の変速制御および第2の変速制御共に、リングギヤ3Rおよびリングギヤ4Rの回転数は、変速後における回転数の方が変速前の回転数よりも高くなる。また、サンギヤ3Sは、第1の変速制御および第2の変速制御共に、変速前は正回転しているが、変速後は逆回転している。図6に示すように、第3速におけるキャリヤ4Cの回転数は、第3速の変速比(G3rd)×出力軸16の回転数(No)で求められ、第3速におけるリングギヤ3R,4Rの回転数は、実変速比(Ro)×出力軸16の回転数(No)で求められ、第1速におけるキャリヤ4Cの回転数は、第1速の変速比(G1st)×出力軸16の回転数(No)で求められ、第1速におけるリングギヤ3R,4Rの回転数は、目標変速比(R1)×出力軸16の回転数(No)で求められる。この図6に示すように、第1の変速制御におけるキャリヤ4Cおよび第2ポンプモータ13の回転数の方が、第2の変速制御における同回転数よりも高い。
このように、第1の変速制御を実行すると、第2シンクロ23の解放が完了した時点(時刻t14)から、第2ポンプモータ13の実際の回転数が、目標回転数と一致するまで(時刻t17)の時間を、第2の変速制御に比べて相対的に短縮することができる。したがって、変速機TMの変速比の変更速度(変速速度)を高めることができる。また、第2シンクロ23を動作させて、スリーブを第1速駆動ギヤ20Aに係合させる場合に、この第2シンクロ23で吸入するエネルギは、時刻t16における目標回転数と、第2シンクロ23の実回転数との差ΔNP1に依存する。これに対して、第2の変速制御では、時刻t15の時点で第2シンクロ23のシンクロナイザーを第1速駆動ギヤに接触させた時点から、第2シンクロ23でエネルギを吸収することとなる。すなわち、時刻t15における目標回転数と、第2シンクロ23の実回転数との差ΔNP0に依存するエネルギを吸収する。伝達するトルクが同じであるとすれば、回転数差の大きい比較例の方が、第2シンクロ23で吸収するエネルギも大きくなることは明らかである。なお、第2シンクロ23で吸収するエネルギとは、摩擦抵抗により生じる熱エネルギである。したがって、第1の変速制御の方が第2の変速制御に比べて、第2シンクロ23の耐久性が高くなる。
このように、この具体例では、制御内容が異なる2種類の変速制御を選択的に実行可能である。つぎに、変速要求が発生した場合に、第1の変速制御および第2の変速制御のいずれか一方を選択し、かつ、実行する例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。まず、急変速判断が成立したか否かが判断される(ステップS40)。このステップS40の処理は、ステップS2の処理に相当する。そして、ステップS40で否定的に判断された場合はリターンされ、ステップS40で肯定的に判断された場合は、ステップS41およびステップS42の処理をおこなう。このステップS41では、電子制御装置43に入力される信号、および電子制御装置43に記憶されているデータに基づいて、時間Tsyc0および時間Tsyc1aおよび時間Tsyc1bを推定する処理をおこなう。
ここで、時間Tsyc0は、前記図5に基づいて説明した時刻t15′から時刻t18までの時間であり、時間Tsyc1aは、時刻t14から時刻t15までの時間であり、時間Tsyc1bは、時刻t16から時刻t17までの時間である。上記時間Tsyc0は、例えば次式により求めることが可能である。
Tsyc0=K(NP1aftr−NP1bfr)
上記の数式において、「K」は係数であり、電子制御装置43に予め固定値として記憶しておいてもよいし、変数でもよい。係数Kを変数とする場合には、係数Kをマップにより求めることができる。そのマップとしては、ポンプモータ12,13により吸入及び吐出される圧油の油温と、シンクロナイザーリングの押し付け力との関係から係数Kを定めたマップを用いることができる。このマップでは、押し付け力が大きくなることに伴い、係数Kが小さくなる。
Tsyc0=K(NP1aftr−NP1bfr)
上記の数式において、「K」は係数であり、電子制御装置43に予め固定値として記憶しておいてもよいし、変数でもよい。係数Kを変数とする場合には、係数Kをマップにより求めることができる。そのマップとしては、ポンプモータ12,13により吸入及び吐出される圧油の油温と、シンクロナイザーリングの押し付け力との関係から係数Kを定めたマップを用いることができる。このマップでは、押し付け力が大きくなることに伴い、係数Kが小さくなる。
また、「NP1aftr」は、変速比の変更後における第1ポンプモータ12の回転数であり、この回転数NP1aftrは次式により求めることが可能である。
NP1aftr=((1+ρ)×G1st−ρ×R1)×No
上記の数式において「ρ」は、第2遊星歯車機構4の変速比であり、キャリヤ4Cの回転数をサンギヤ4Sの回転数で除して求められる。また、「NP1bfr」は変速前の変速比における第1ポンプモータ12の回転数であり、この回転数NP1bfrは、第1ポンプモータ12の回転数を検出するセンサの信号から求めることが可能である。
NP1aftr=((1+ρ)×G1st−ρ×R1)×No
上記の数式において「ρ」は、第2遊星歯車機構4の変速比であり、キャリヤ4Cの回転数をサンギヤ4Sの回転数で除して求められる。また、「NP1bfr」は変速前の変速比における第1ポンプモータ12の回転数であり、この回転数NP1bfrは、第1ポンプモータ12の回転数を検出するセンサの信号から求めることが可能である。
さらに、時間Tsyc1aは、図7のステップS7の処理で説明した「所定時間」に相当する。さらに、時間Tsyc1bは、例えば、図9のマップを用いて求めることが可能である。この図9は電子制御装置43に記憶されているマップであり、このマップにおいては、横軸に、変速比の変更後における第1ポンプモータ12の回転数が示されている。縦軸には、時間Tsyc1bが示されている。この図9のマップには、油温をパラメータとして、時間Tsyc1bと、変速比の変更後における第1ポンプモータ12の回転数との関係が示されている。また、油温とは、第1ポンプモータ12および第2ポンプモータ13により吸入及び吐出される圧油の温度である。図9のマップでは、変速比の変更後における第1ポンプモータ12の回転数が高くなることにともない、時間Tsyc1bが長くなる特性を有する。また、変速比の変更後における第1ポンプモータ12の回転数が同じであっても、油温が低くなることにともない、時間Tsyc1bが長く設定される特性となっている。
上記のステップS41についでおこなわれるステップS42では、
時間Tsyc0>時間Tsyc1a+時間Tsyc1b
であるか否かが判断される。このステップS42で肯定的に判断された場合は、第1の変速制御を選択し(ステップS43)、かつ、第1の変速制御を実行し(ステップS44)、この制御ルーチンを終了する。このステップS44で実行される処理は、図7のステップS3以降の処理に相当する。これに対して、ステップS42で否定的に判断された場合は、第2の変速制御を選択し(ステップS45)、かつ、第2の変速制御を実行し(ステップS46)、この制御ルーチンを終了する。このステップS46で実行される処理は、図8のステップS3以降の処理に相当する。このように、図1のフローチャートでは、変速機TMの変速時間が同じであれば、第2の変速制御を選択して実行する一方、これ以外の場合は、変速時に切替機構の切替に要する時間が短くなる方の変速制御を選択して実行する。したがって、変速機TMで、固定変速段に相当する変速比を跨いで変速比を変更する場合に、車両の走行状態に関わりなく、その変速時間(変速比を変更する制御を開始してから終了するまでの時間)を相対的に短くすることができ、変速制御を違和感無くスムーズにおこなうことができる。
時間Tsyc0>時間Tsyc1a+時間Tsyc1b
であるか否かが判断される。このステップS42で肯定的に判断された場合は、第1の変速制御を選択し(ステップS43)、かつ、第1の変速制御を実行し(ステップS44)、この制御ルーチンを終了する。このステップS44で実行される処理は、図7のステップS3以降の処理に相当する。これに対して、ステップS42で否定的に判断された場合は、第2の変速制御を選択し(ステップS45)、かつ、第2の変速制御を実行し(ステップS46)、この制御ルーチンを終了する。このステップS46で実行される処理は、図8のステップS3以降の処理に相当する。このように、図1のフローチャートでは、変速機TMの変速時間が同じであれば、第2の変速制御を選択して実行する一方、これ以外の場合は、変速時に切替機構の切替に要する時間が短くなる方の変速制御を選択して実行する。したがって、変速機TMで、固定変速段に相当する変速比を跨いで変速比を変更する場合に、車両の走行状態に関わりなく、その変速時間(変速比を変更する制御を開始してから終了するまでの時間)を相対的に短くすることができ、変速制御を違和感無くスムーズにおこなうことができる。
ここで、図1のフローチャートに示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS40が、この発明における変速要求判断手段に相当し、ステップS41,S42,S43,S45が、この発明における選択手段に相当し、ステップS44,S46が、この発明における制御実行手段に相当する。また、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、内燃機関または電動モータなどの動力源が、この発明の動力源に相当し、入力部材2が、この発明の入力部材に相当し、出力軸16が、この発明の出力部材に相当し、中間軸8および出力軸16により、第1の動力伝達経路が構成され、中間軸10および出力軸16により、第2の動力伝達経路が構成されている。また、第1速用ギヤ対20および第2速用ギヤ対18および第3速用ギヤ対19および第4速用ギヤ対17が、この発明の伝動機構に相当する。さらに、変速機TMの変速比が、この発明の変速比に相当する。さらに、第1のシンクロナイザー22および第2のシンクロナイザー23および第3のシンクロナイザー24が、この発明の切替機構に相当し、可変容量型の流体圧ポンプモータ12,13が、この発明の可変容量型の流体圧ポンプモータに相当する。また「可変容量型の流体圧ポンプモータの回転状態」には、回転数および回転方向が含まれる。
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、対象とする変速機は、図1に示す構成以外のものであってもよく、要は、少なくとも二つの動力伝達経路で伝達するトルクを流体圧ポンプモータの押出容積に応じて変更でき、したがっていずれか一方の動力伝達経路のみを介してトルクを伝達して変速比を設定し、また両方の動力伝達経路を介してトルクを伝達することにより変速比を設定できる変速機であればよい。また、固定変速比を設定できるように構成する場合、固定変速比は4速より多くてもよく、あるいは反対に少なくてもよい。さらに、フェール時にいずれかのポンプモータの吐出圧を低下させる手段は、そのために設けた特定のバルブであってもよく、上記のリリーフ弁に限られない。またさらに、フェールによって押出容積を増大させる場合、最大まで増大させずに、予め定めた容積まで増大させるように構成してもよい。そして、この発明では、動力伝達経路は二つに限られず、要は、複数設けてあればよい。
なお、変速機TMのダウンシフトが、第3速を跨ぐ変速である場合に、上記の制御を実行することも可能である。さらに、上記の説明では、変速機TMの変速比を大きくするダウンシフトについて説明されているが、変速機TMの変速比を変更する制御が、固定変速比に対応する変速比を跨ぐようなアップシフトをおこなう場合にも、この発明の制御を実行可能である。さらに、この発明では、固定変速比を設定する機構としては、ギヤ対に替えてベルトやチェーンなどの機構を用いてもよい。そして、この発明で差動作用のある歯車機構を用いる場合、シングルピニオン型遊星歯車機構に替えて例えばダブルピニオン型遊星歯車機構を用いることができる。さらに、遊星歯車機構に代えて、遊星ローラ機構を用いることも可能である。これは、ローラ同士の間に作動油を介在させて、そのせん断力により動力伝達をおこなうトラクション伝動装置である。この遊星ローラ機構においても、前記の入力要素および反力要素及び出力要素が、差動回転可能に設けられる。すなわち、遊星歯車機構および遊星ローラ機構は、いずれも、入力要素と出力要素との間の変速比を無段階に変更可能な無段変速機である。
1…動力源、 2…入力部材、 8,10…中間軸、 12,13…可変容量型の流体圧ポンプモータ(ポンプモータ)、 14,15…油路、 16…出力軸、 17…第4速用ギヤ対、 18…第2速用ギヤ対、 19…第3速用ギヤ対、 20…第1速用ギヤ対、 22…第1のシンクロナイザー(第1シンクロ)、 23…第2のシンクロナイザー(第2シンクロ)、 24…第3のシンクロナイザー(第3シンクロ)、 41,42…リリーフ弁、 TM…変速機。
Claims (3)
- 動力源の動力が入力される入力部材から出力部材に至る間に並列に設けられかつそれぞれ互いに異なる複数の変速比を選択的に設定可能な少なくとも2つの動力伝達経路と、各動力伝達経路を介して伝達されるトルクを押出容積に応じて変化させるように前記各動力伝達経路に設けられかついずれか一方の押出容積がゼロの場合に他方が圧力流体の給排が阻止されてロックされるように前記圧力流体が通る流路を介して相互に接続された少なくとも2つの可変容量型の流体圧ポンプモータと、一方の可変容量型の流体圧ポンプモータがロックされた場合に前記動力源からの動力を前記出力部材に伝達する第1伝動機構と、他方の可変容量型の流体圧ポンプモータがロックされた場合に前記動力源からの動力を前記出力部材に伝達する第2伝動機構と、前記各伝動機構のそれぞれを、動力伝達可能な状態と動力が遮断される状態とに別個に切り替える切替機構とを備えた、可変容量型の流体圧ポンプモータを用いた変速機の変速制御装置において、
いずれかの前記切替機構を係合状態から解放状態に切り替えた後に該切替機構を解放状態から係合状態に切り替える変速要求の有無を判断する変速要求判断手段と、
前記変速要求があったことが前記変速要求判断手段で判断された場合に、前記係合状態から解放状態に切り替えるべき切替機構に掛かるトルクを低下させた後に前記切替機構を解放状態に制御し、その後に、前記切替機構に掛かるトルクを増大させて前記切替機構の回転数が変化した状態で該切替機構を係合状態に制御する第1の変速制御、または、前記係合状態から解放状態に切り替えるべき切替機構に掛かるトルクを低下させた後に前記切替機構を解放状態に制御し、その後に、該切替機構を係合状態に制御する第2の変速制御のうち、いずれか一方を選択する選択手段と、
前記第1の変速制御または第2の変速制御のうち、前記選択手段により選択された変速制御を実行する制御実行手段と
を備えていることを特徴とする可変容量型の流体圧ポンプモータを用いた変速機の変速制御装置。 - 前記選択手段は、前記第1の変速制御を実行する場合に要する第1の変速時間と、前記第2の変速制御を実行する場合に要する第2の変速時間とを予測し、前記変速時間が短くなると予測される方の変速制御を選択する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型の流体圧ポンプモータを用いた変速機の変速制御装置。
- 前記第1の変速制御には、切替機構に掛かるトルクを増大させてから再度低下させる制御が含まれており、
前記選択手段は、
前記第1の変速制御を実行することを仮定して、切替機構に掛かるトルクを増大させてから再度低下させるまでの時間と、切替機構に掛かるトルクを増大させ、かつ、切替機構を係合させる制御が開始されて可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が上昇し、かつ、一旦低下した時点から、変速後の変速比に相当する回転数に同期するまでの時間とを加えて第1の変速時間を求める制御をおこない、
かつ、
前記第2の変速制御を実行することを仮定して、切替機構の係合が開始されて可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が、変速比の変更前の回転数から変化を開始した時点から、可変容量型の流体圧ポンプモータの回転数が、変速比の変更後における回転数に到達するまでの第2の変速時間を求める制御をおこなうとともに、
前記第1の変速時間の方が第2の変速時間未満である場合は、前記第1の変速制御を選択し、前記第2の変速時間の方が第1の変速時間以下である場合は、前記第2の変速制御を選択する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型の流体圧ポンプモータを用いた変速機の変速制御装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020255892A1 (ja) * | 2019-06-19 | 2020-12-24 | 株式会社小松製作所 | 作業車両及び作業車両の制御方法 |
CN112648308A (zh) * | 2020-12-30 | 2021-04-13 | 蜂巢传动科技河北有限公司 | 基于离合器调节同步器两端速差的控制方法、装置及系统 |
-
2007
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